IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-車載用表示装置 図1
  • 特許-車載用表示装置 図2
  • 特許-車載用表示装置 図3
  • 特許-車載用表示装置 図4
  • 特許-車載用表示装置 図5
  • 特許-車載用表示装置 図6
  • 特許-車載用表示装置 図7
  • 特許-車載用表示装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車載用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20231031BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231031BHJP
   G09F 9/35 20060101ALI20231031BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20231031BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
G09F9/35
G09F9/33
G09F9/00 362
G09F9/00 313
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020040043
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021138341
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 秀一
(72)【発明者】
【氏名】青木 敬
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173640(JP,A)
【文献】特開2003-098982(JP,A)
【文献】特開平10-078501(JP,A)
【文献】特開2017-206129(JP,A)
【文献】特開2007-127993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0032872(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0062118(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
G09F 9/00
9/33- 9/35
H10K 77/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(V)に搭載される車載用表示装置であって、
フレキシブルな表示パネル(21)を有してなる表示部(2)を備え、
前記車両の車両全長方向に沿った方向であって、車室側からウィンドシールド側に向かう方向を前方向とし、前記前方向とは反対方向を後方向として、
前記表示部は、一部が前記車両の運転席の前記前方向に位置し、前記運転席に着座する運転者向けの映像を表示する運転者用表示部(2A)と、一部が前記車両の助手席の前記前方向に位置し、前記助手席に着座する乗員向けの映像を表示する同乗者用表示部(2B)とにより構成され、前記運転者用表示部と前記同乗者用表示部とが連続的に繋がっており、
前記表示部のうち前記運転者用表示部と前記同乗者用表示部との境界部分を境界部(2C)とし、前記同乗者用表示部の側の端部を一端とし、前記表示部のうち前記境界部から前記一端の側に向かう一部の領域を境界近傍部(2E)として、
前記境界近傍部は、映像表示面(2a)に対する法線方向が前記後方向とは異なる方向であって、前記助手席の側に向かうように傾いた形状とされており、
前記同乗者用表示部のうち少なくとも前記助手席の前記前方向に位置する部分は、前記前方向に向かって凹んだ凹形状とされた凹部であり、
前記境界部は、前記表示パネルのうち前記凹部とは異なる部分と、前記凹部のうち前記運転者用表示部の側の端部との境界部分である、車載用表示装置。
【請求項2】
前記表示パネルのうち前記運転席と前記助手席との間の前記前方向に位置する一部の領域を中間部(2D)として、
前記中間部は、前記後方向に対して凸となる凸部であり、
前記境界部は、前記中間部の一部である、請求項1に記載の車載用表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、1つの前記表示パネルと、前記表示パネルの前記映像表示面を覆う透明カバー(22)とによりなり、
前記表示パネルは、前記同乗者用表示部から前記運転者用表示部に至るサイズである、請求項1または2に記載の車載用表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、複数の前記表示パネルと、複数の前記表示パネルの前記映像表示面を覆う透明カバー(22)とによりなり、
前記運転者用表示部および前記同乗者用表示部には、それぞれ異なる前記表示パネルが配置されている、請求項1または2に記載の車載用表示装置。
【請求項5】
前記車両に対する鉛直方向とは反対方向を上方向として、
前記境界近傍部は、前記上方向から見て、前記境界近傍部における前記映像表示面の接線(TA)と前記車両の車幅方向に沿った第1仮想直線(VL1)とのなす角度(θ1)が、前記車両におけるアイリプスの中心(EL)と前記境界部とを繋ぐ第2仮想直線(VL2)と前記第1仮想直線とのなす角度(θ2)以上である、請求項1ないしのいずれか1つに記載の車載用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両に搭載される車載用表示装置の分野では、映像の表示領域の大面積化が進められている。この種の車載用表示装置としては、例えば、特許文献1に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の車載用表示装置は、平面サイズの異なる2種以上の表示パネルと、2種以上の表示パネルを支持する支持体としての額縁とを備え、2種以上の表示パネルが額縁内において互いに重ならないように隣接して平行配置されてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-31898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した車載用表示装置は、例えば、自動車等の車両のインストルメントパネルに搭載され、助手席の前方から運転席の前方に至る大面積の映像表示領域を備えると共に、助手席に着座する乗員および運転席に着座する運転者それぞれの前方に各種映像を表示する。
【0006】
しかしながら、この車載用表示装置では、運転者向けの映像と助手席に着座する乗員(以下「同乗者」という)向けの映像とをそれぞれ表示した場合、運転者の視界に同乗者向けの映像が入り得る。このような場合、運転者が煩わしさを感じるおそれがあり、安全運転の観点からも好ましくない。そこで、走行中には一律に同乗者向けの映像をオフ状態とする制御を行うことも考えられるが、同乗者は、映像を見ることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、大面積の映像表示領域を備える車載用表示装置において、運転者の視界に同乗者向けの映像が入ることを抑制する一方で、同乗者にも映像を視認させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の車載用表示装置は、車両(V)に搭載される車載用表示装置であって、フレキシブルな表示パネル(21)を有してなる表示部(2)を備え、車両の車両全長方向に沿った方向であって、車室側からウィンドシールド側に向かう方向を前方向とし、前方向とは反対方向を後方向として、表示部は、一部が運転席の前方向に位置し、運転席に着座する運転者向けの映像を表示する運転者用表示部(2A)と、一部が助手席の前方向に位置し、助手席に着座する乗員向けの映像を表示する同乗者用表示部(2B)とにより構成され、運転者用表示部と同乗者用表示部とが連続的に繋がっており、表示部のうち運転者用表示部と同乗者用表示部との境界部分を境界部(2C)とし、同乗者用表示部の側の端部を一端とし、表示部のうち境界部から一端の側に向かう一部の領域を境界近傍部(2E)として、境界近傍部は、映像表示面(2a)に対する法線方向が後方向とは異なる方向であって、助手席側に向かうように傾いた形状とされており、同乗者用表示部のうち少なくとも助手席の前方向に位置する部分は、前方向に向かって凹んだ凹形状とされた凹部であり、境界部は、表示パネルのうち凹部とは異なる部分と、凹部のうち運転者用表示部の側の端部との境界部分である
【0009】
これにより、表示部のうち境界近傍部は、その映像表示面が後方向とは異なる方向であって助手席側を向く状態となり、表示した映像が運転席に着座する乗員の視界に入りにくい、または入らない状態となる。そのため、運転者用表示部と同乗者用表示部とを有する大面積の表示部を備える車載用表示装置において、助手席に着座する映像を表示しつつも、当該映像が運転席に着座する運転者の視界に入りにくい、または入らない構成となる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の車載用表示装置を示す図である。
図2】表示部の構成例を示す図である。
図3】表示部のうち境界近傍部における映像表示面の向きを説明するための図である。
図4】第2実施形態の車載用表示装置を示す図である。
図5】第3実施形態の車載用表示装置を示す図である。
図6】第4実施形態の車載用表示装置を示す図である。
図7】第5実施形態の車載用表示装置を示す図である。
図8】表示部を複数の表示パネルで構成した場合の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態の車載用表示装置1について、図1図3を参照して説明する。
【0014】
図1では、車両Vの車両全長方向に沿った方向であって、車室側からウィンドシールドV3に向かう方向を「前」とし、その反対方向を「後」として、これらの方向を矢印で示している。また、図1では、車両Vの車幅方向に沿った方向であって、車両Vの前方を見ている状態における紙面右側から左側に向かう方向を「左」とし、その反対方向を「右」とし、車両Vに対する鉛直方向の反対方向を「上」として、これらの方向を矢印等で示している。図2では、後述する表示部2の構成を分かり易くするため、構成要素をデフォルメしつつ、これらを離した状態で示すと共に、後述する表示パネル21の外郭の一部を破線で示している。
【0015】
なお、本明細書では、特に断りがない場合、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」の各方向は、図1に示す方向を意味する。また、後述する図3図7に示す「前」、「後」、「左」、「右」、「上」の各方向は、図1に矢印等で示す各方向に相当する。
【0016】
本実施形態の車載用表示装置1は、例えば図1に示すように、自動車などの車両Vに搭載され、車両Vの運転席から助手席まで至る大面積の表示部2を備え、運転者向けの映像と助手席に着座する同乗者向けの映像をそれぞれ表示可能な構成となっている。
【0017】
なお、本明細書では、図1に示すように、ステアリングホイールV2が車両Vの車幅方向における右側に配置されたもの、いわゆる右ハンドル車に搭載された場合を代表例として説明するが、勿論、いわゆる左ハンドル車にも適用可能である。
【0018】
表示部2は、例えば図1に示すように、インストルメントパネルV1上において、運転席の前方から助手席の前方までにわたって配置される。表示部2は、一部が運転席の前方向に位置し、運転席に着座する乗員向けの映像を表示する運転者用表示部2Aと、一部が助手席の前方に位置し、助手席に着座する乗員向けの映像を表示する同乗者用表示部2Bとを備える。表示部2は、運転者用表示部2Aと同乗者用表示部2Bとが連続的に繋がった構成となっており、本実施形態では、これらの領域の境界部分である境界部2Cを含む中間部2Dが後方向に向かって凸となるように突き出た凸部となっている。表示部2のうち中間部2Dとは異なる部分は、例えば図1に示すように、平板形状とされ、その映像表示面2aに対する法線方向が後方向に向かう配置とされる。中間部2Dは、同乗者用表示部2Bに表示される映像(以下「同乗者向け映像」という)を助手席に着座する乗員に提示しつつも、運転者の視界に同乗者向け映像を入りにくくするために凸部となっている。この詳細については、後述する。本実施形態では、境界部2Cは、図1に示すように、中間部2Dのうち最も車両Vの後方に突き出た頂点に位置している。
【0019】
なお、表示部2は、図1に示すように、例えばインストルメントパネルV1の上側に配置されるが、この配置に限定されるものではなく、インストルメントパネルV1のうち後方向を向く側面に沿って配置されてもよく、その搭載箇所については適宜変更され得る。
【0020】
表示部2は、例えば図2に示すように、各種映像を表示する表示パネル21と表示パネル21の映像を表示する側の面を覆う透明カバー22とによりなる。表示部2は、本実施形態では、1つの大面積の表示パネル21と1つの透明カバー22とが例えば図示しない透明な光学接着剤などにより接着されてなる。表示部2は、例えば、表示パネル21に透明カバー22を貼り付けた後、中央に凸部を備える図示しない支持体に取り付けるなどの方法により図1に示す形状とされる。
【0021】
表示パネル21は、可撓性のあるフレキシブルな表示体であり、例えば、公知の有機発光ダイオード(OLED)パネルとされる。表示パネル21は、例えば図2に示すように、映像表示の制御を行う制御部3に接続され、他の車載機器からの映像信号に基づいて各種映像を表示する。表示パネル21のうち運転者用表示部2Aに位置する部分には、例えば、スピードメータやタコメータなどの各種メータ、フューエルゲージ、テルテール、電子ミラーやカーナビゲーションシステムの表示画面などの運転者向けの映像が表示される。表示パネル21のうち同乗者用表示部2Bに位置する部分には、例えば、テレビ映像、オーディオ機器などのエンターテイメント系のコンテンツ画面などの同乗者向け映像が表示される。
【0022】
なお、OLEDパネルの構成等については、公知のため、本明細書ではその詳細な説明を省略する。
【0023】
透明カバー22は、例えば、透光性および可撓性のある任意の樹脂材料によりなるフィルムまたはガラスにより構成され、表示パネル21を保護する部材である。透明カバー22は、例えば、OCA(Optical Clear Adhesiveの略)やOCR(Optical Clear Resinの略)などの光学接着剤により表示パネル21に貼り付けされ、表示パネル21を保護する役割を果たす。
【0024】
制御部3は、例えば、図示しない回路基板上にCPUやROM、RAM等が搭載されてなる電子制御ユニットであり、ECU(Electronic Control Unitの略)とされる。制御部3は、例えば、図示しない他の車載センサや車載機器に接続され、当該他の車載センサや車載機器に対応する映像信号を表示パネル21に出力し、表示パネル21の表示制御を実行する構成とされる。制御部3は、車両VのうちインストルメントパネルV1の内部などの任意の箇所に配置される。
【0025】
なお、車載センサとしては、例えば、測距センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、オイルセンサやシートベルトセンサなどが挙げられるが、これらに限定されない。車載機器としては、例えば、ナビゲーション装置、カーエアコン、車載カメラ、通信機器やオーディオ装置などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
以上が、本実施形態の車載用表示装置1の基本的な構成である。
【0027】
次に、中間部2Dの形状およびその効果について図3を参照して説明するが、まず、表示部2全体が平板形状である場合に生じる課題について説明する。
【0028】
表示部2全体が平板形状である場合、運転者の視界には、運転者用表示部2Aに表示される運転者向け映像だけでなく、同乗者用表示部2Bに表示される同乗者向け映像も入りやすくなる。この場合、運転者は、必要以上に同乗者用表示部2Bの映像も周辺視野に入ってしまい、煩わしさを感じ得る。このような課題を解消するため、表示部2のうち同乗者用表示部2Bに視野角制御用のフィルムを貼り付けたり、車両Vの走行中に同乗者用表示部2Bの表示をオフ状態にしたりすることが考えられる。
【0029】
しかしながら、前者の場合、同乗者向け映像を助手席の位置からしか見えない状態とすることはできるものの、助手席に着座する乗員は、視野角制御用のフィルムを介した映像を見ることとなる。すなわち、助手席に着座する乗員は、同乗者用表示部2Bに表示される映像とは輝度や色度が異なる状態の映像を見ることとなる。そのため、同乗者用表示部2Bにおける映像の視認性が低下してしまう。一方、後者の場合、助手席に着座する乗員は、車両Vの走行中に同乗者用表示部2Bの映像を見ることができなくなる。
【0030】
これに対して、本実施形態の車載用表示装置1は、表示部2のうち中間部2Dが後方向に向かって突き出た凸部となっている。具体的には、表示部2のうち車両Vの車幅方向における同乗者用表示部2B側の端部を一端として、中間部2Dのうち境界部2Cから表示部2の一端側に向かう一部の領域、すなわち境界近傍部2Eは、運転者とは反対側を向く状態となっている。言い換えると、境界近傍部2Eは、例えば図1に示すように、映像表示面2aに対する法線方向(以下「映像面法線方向」という)が、後方向とは異なる方向であって、助手席側を向いた状態である。これにより、運転者の視界には境界近傍部2Eの映像が入りにくい、または入らないため、運転の妨げとなりにくい。
【0031】
また、同乗者用表示部2Bのうち境界近傍部2Eに隣接する所定の領域(以下「隣接領域」という)は、運転者から見たとき、凸状の中間部2Dにより遮られるため、映像を表示しても運転者に煩わしさを感じさせる原因とはならない。
【0032】
したがって、表示部2は、運転席と助手席との間の前方に位置する中間部2Dが凸状とされることで、同乗者用表示部2Bのうち少なくとも境界近傍部2Eおよび隣接領域に映像を表示しても当該映像が運転者の視界に入りにくく、運転の妨げとならない。また、同乗者用表示部2Bの映像表示をオフ状態にする必要がなく、視野角制御用のフィルムを貼り付ける必要もないため、表示部2は、助手席に着座する乗員に表示パネル21の本来の輝度や色度の映像を提示できる。
【0033】
また、表示部2は、例えば図3に示すように、境界近傍部2Eにおける映像が助手席に着座する乗員にのみ提示されるようにする観点から、境界近傍部2Eにおける映像表示面2aが運転者から見たときに所定の条件を満たす形状とされることが好ましい。具体的には、図3に示すように、上方向から見たとき、車両Vの車幅方向(左右方向)に沿った第1仮想直線VL1と境界近傍部2Eにおける映像表示面2aの接線TAとのなす角度θ1として、角度θ1が所定条件を満たすことが好ましい。より具体的には、境界近傍部2Eは、角度θ1が、車両VにおけるアイリプスELの中心ELと境界部2Cとを繋ぐ第2仮想直線VL2と第1仮想直線VL1とのなす角度θ2以上となる形状とされることが好ましい。これにより、運転席に着座する乗員は、隣接領域のみならず、境界近傍部2Eにおける大部分の映像を見ることができなくなる。
【0034】
本実施形態によれば、表示部2のうち同乗者用表示部2Bの大半または全部が運転者から見ることができない角度に配置されることとなり、運転者の視界に同乗者向けの映像が入り難く、かつ同乗者に同乗者向け映像を提示可能な車載用表示装置1となる。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態の車載用表示装置1について、図4を参照して説明する。
【0036】
本実施形態の車載用表示装置1は、例えば図4に示すように、表示部2のうち境界部2Cから一端側までの部分、すなわち同乗者用表示部2Bが略平板形状とされている。また、表示部2のうち同乗者用表示部2Bは、その全域における映像面法線方向が後左方向に向く配置とされている。本実施形態の車載用表示装置1は、これらの点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、これらの相違点について主に説明する。
【0037】
表示部2のうち同乗者用表示部2Bに位置する部分は、本実施形態では、すべて平板形状となっている。そのため、同乗者用表示部2Bは、境界近傍部2Eのみだけではなく、境界近傍部2Eとは異なる残部も映像面法線方向が後方向とは異なる方向であって、助手席側(図4の例では後左方向)を向いた状態となっている。そのため、表示部2は、同乗者用表示部2Bに表示される映像全体が運転者の視界に入りにくい、または入らない形状となる。
【0038】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる車載用表示装置1となる。また、表示部2は同乗者用表示部2Bの全域が運転者に見えにくい、または見えない状態となるため、上記第1実施形態に比べて、運転者の煩わしさをより低減する効果が期待される。
【0039】
(第3実施形態)
第3実施形態の車載用表示装置1について、図5を参照して説明する。
【0040】
本実施形態の車載用表示装置1は、例えば図5に示すように、表示部2のうち同乗者用表示部2Bの一部が前方向に向かって凹んだ凹形状の凹部となっており、残部が略平板形状となっている点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0041】
表示部2は、本実施形態では、後方向に対して凸となる中間部2Dがなく、運転者から見て、同乗者用表示部2Bの一部が前方向に向かって突き出た凹部とされている。また、表示部2は、同乗者用表示部2Bにおける凹部以外の部分が平板形状とされている。同乗者用表示部2Bの一部が凹部とされた場合であっても、図5に示すように、境界近傍部2Eは、運転者から見ることができない角度となり、映像を表示しても運転の妨げとはならない。また、同乗者用表示部2Bのうち境界近傍部2Eとは異なる部分については、運転席から見て、表示部2のうち境界部2Cから運転者用表示部2Aに向かう一部の領域により一部が遮られるため、当該一部に表示される映像が当該運転者の視界に入らない。そのため、同乗者用表示部2Bは、同乗者向け映像を表示しつつも、運転者に必要以上の映像情報を与えることはない。
【0042】
なお、図5では、運転者用表示部2Aが同乗者用表示部2Bよりも車幅方向における幅が広い例を示しているが、これに限定されず、運転者用表示部2Aと同乗者用表示部2Bとが同じサイズであってもよい。また、同乗者用表示部2Bの一部が凹部とされた例について説明したが、同乗者用表示部2Bは、その全部が凹部であってもよい。
【0043】
本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる車載用表示装置1となる。
【0044】
(第4実施形態)
第4実施形態の車載用表示装置1について、図6を参照して説明する。
【0045】
本実施形態の車載用表示装置1は、例えば図6に示すように、表示部2のうち略平板形状の同乗者用表示部2Bが映像表示面2aを後左方向に向けた状態となっている点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0046】
表示部2は、本実施形態では、後方向に対して凸となる中間部2Dがなく、運転者用表示部2Aおよび同乗者用表示部2Bがいずれも略平板形状とされている。また、表示部2は、運転者用表示部2Aがその映像面法線方向を後方向に向けた状態である一方で、同乗者用表示部2Bがその映像面法線方向を後左方向に向けた状態となっている。これにより、表示部2は、同乗者用表示部2Bに表示した映像が上記第2実施形態と同様に運転者の視界に入らない状態となる。
【0047】
本実施形態によっても、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様の効果が得られる車載用表示装置1となる。
【0048】
(第5実施形態)
第5実施形態の車載用表示装置1について、図7を参照して説明する。
【0049】
本実施形態の車載用表示装置1は、運転者用表示部2Aおよび同乗者用表示部2Bのうち中間部2Dとは異なる一部分が前方向に凸となる凹部である点で上記第1実施形態と相違する。本実施形態では、この相違点について主に説明する。
【0050】
表示部2は、本実施形態では、同乗者用表示部2Bのうち中間部2Dとは異なる一部分が凹部となっており、上記第1実施形態に比べて、同乗者用表示部2Bがより運転席から見えにくい、または見えない状態である。そのため、同乗者用表示部2Bは、同乗者向け映像を表示しても、当該映像が運転者の視界に入りにくい、または入らず、運転の妨げとはならない。
【0051】
なお、図7では、運転者用表示部2Aのうち中間部2Dとは異なる一部分が前方向に凸となる凹部とされた例を示しているが、これに限定されず、運転者用表示部2Aは、中間部2D以外の部分における形状については任意である。
【0052】
本実施形態によっても、上記第1実施形態および上記第2実施形態と同様の効果が得られる車載用表示装置1となる。
【0053】
(他の実施形態)
本発明は、実施例に準拠して記述されたが、本発明は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらの一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範疇や思想範囲に入るものである。
【0054】
(1)例えば、上記各実施形態では、表示部2を構成する表示パネル21がOLEDパネルである例について説明したが、表示パネル21は、フレキシブルディスプレイであればよく、液晶パネルやマイクロLEDパネルであってもよいし、他のものであってもよい。
【0055】
(2)上記各実施形態では、表示部2が1つの表示パネル21を備えた構成とされた例について説明したが、表示部2は、例えば図8に示すように、複数の表示パネル21を備えた構成であってもよい。例えば、この場合、表示部2は、並べて配置された複数の表示パネル21が透明カバー22と任意の材料によりなる支持体23とに挟まれた構成とされる。また、複数の表示パネル21は、共通の制御部3に接続されてもよいし、それぞれ異なる制御部3に接続されてもよい。なお、表示パネル21の数やサイズについては任意であり、適宜変更され得る。
【0056】
(3)上記第2実施形態では、表示部2のうち境界部2Cから一端までの全域が略平板形状とされた例について説明したが、同乗者用表示部2Bは、境界近傍部2Eが中間部2Dと同様に湾曲した形状とされ、残部が略平板形状であってもよい。
【0057】
(4)上記第3実施形態では、同乗者用表示部2Bは、境界近傍部2Eが凹部とされ、残部が略平板形状であってもよい。この場合、略平板形状とされた部分は、映像面法線方向が後方向または後左方向(いわゆる左ハンドル車の場合には後右方向)を向く状態とされる。
【符号の説明】
【0058】
2 表示部
2a 映像表示面
21 表示パネル
22 透明カバー
2A 運転者用表示部
2B 同乗者用表示部
2C 境界部
2D 中間部
2E 境界近傍部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8