(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、車両、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0273 20230101AFI20231031BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231031BHJP
G09F 21/04 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G06Q30/0273
G08G1/00 D
G09F21/04 C
(21)【出願番号】P 2020066156
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】キン シン
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 貴之
(72)【発明者】
【氏名】柏井 忠大
(72)【発明者】
【氏名】高島 亨
(72)【発明者】
【氏名】半澤 弘明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 英男
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-280561(JP,A)
【文献】特開2020-004212(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0370863(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
G09F 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告を提示して走行する車両から、前記車両の周辺を撮影した撮影データ
と前記撮影データが撮影されたときの前記車両の速度データとを取得し、
前記撮影データに含まれる歩行者を画像解析によって抽出し、
抽出した前記歩行者の人数と前記速度データとに基づいて、前記広告の広告費を算出する、制御部、
を備え
、
前記制御部は、前記広告費を算出する際、前記速度データに基づいて、前記車両の速度が速いほど重み付けの値が相対的に小さくなるように前記歩行者の人数の重み付けする、情報処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記撮影データに含まれる前記歩行者と、前記車両との距離を画像解析によって算出し、
前記広告費を算出する際、前記距離と前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出する、情報処理装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記車両から、前記撮影データが撮影されたときに前記車両が走行していた車線を示す車線データをさらに取得し、
前記広告費を算出する際、前記車線データと前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出する、情報処理装置。
【請求項4】
請求項
1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
前記車両から、前記撮影データが撮影されたときの時間を示す時間データをさらに取得し、
前記広告費を算出する際、前記時間データと前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出する、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の情報処理装置を搭載する車両。
【請求項6】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記車両の周辺を撮影するカメラを搭載した前記車両と、
を備える、情報処理システム。
【請求項7】
広告を提示して走行する車両から、前記車両の周辺を撮影した撮影データ
と前記撮影データが撮影されたときの前記車両の速度データとを取得することと、
前記撮影データに含まれる歩行者を画像解析によって抽出することと、
抽出した前記歩行者の人数と前記速度データとに基づいて、前記広告の広告費を算出することと、
前記広告費を算出する際、前記速度データに基づいて、前記車両の速度が速いほど重み付けの値が相対的に小さくなるように前記歩行者の人数の重み付けすることと、を含む動作をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項8】
請求項
7に記載のプログラムにおいて、
前記撮影データに含まれる前記歩行者と、前記車両との距離を画像解析によって算出することを含む動作をさらにコンピュータに実行させ、
前記広告費を算出することは、前記距離と前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出することを含む、プログラム。
【請求項9】
請求項
7又は8に記載のプログラムにおいて、
前記車両から、前記撮影データが撮影されたときに前記車両が走行していた車線を示す車線データを取得することを含む動作をさらにコンピュータに実行させ、
前記広告費を算出することは、前記車線データと前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出することを含む、プログラム。
【請求項10】
請求項
7から9のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、
前記車両から、前記撮影データが撮影されたときの時間を示す時間データを取得することを含む動作をさらにコンピュータに実行させ、
前記広告費を算出することは、前記時間データと前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出することを含む、プログラム。
【請求項11】
情報処理装置における情報処理方法であって、
広告を提示して走行する車両から、前記車両の周辺を撮影した撮影データ
と前記撮影データが撮影されたときの前記車両の速度データとを取得することと、
前記撮影データに含まれる歩行者を画像解析によって抽出することと、
抽出した前記歩行者の人数と前記速度データとに基づいて、前記広告の広告費を算出することと、
前記広告費を算出する際、前記速度データに基づいて、前記車両の速度が速いほど重み付けの値が相対的に小さくなるように前記歩行者の人数の重み付けすることと、を含む、情報処理方法。
【請求項12】
請求項
11のいずれか一項に記載の情報処理方法において、
前記撮影データに含まれる前記歩行者と、前記車両との距離を画像解析によって算出することをさらに含み、
前記広告費を算出することは、前記距離と前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出することを含む、情報処理方法。
【請求項13】
請求項
11又は12に記載の情報処理方法において、
前記車両から、前記撮影データが撮影されたときに前記車両が走行していた車線を示す車線データを取得することをさらに含み、
前記広告費を算出することは、前記車線データと前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出することを含む、情報処理方法。
【請求項14】
請求項
11から13のいずれか一項に記載の情報処理方法において、
前記車両から、前記撮影データが撮影されたときの時間を示す時間データを取得することをさらに含み、
前記広告費を算出することは、前記時間データと前記歩行者の人数とに基づいて、前記広告費を算出することを含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、車両、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広告の手法として、車両の側面に広告を提示し、歩行者に広告を見せる手法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、車両の側面に発光ダイオードプレートを設置し、発光ダイオードプレートに広告情報をスクロールさせながら表示する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両に広告を提示して走行している場合、車両の近くを歩行している歩行者の数などに広告の効果は依存するが、広告の費用は固定の費用であることが多い。
【0006】
本開示の目的は、車両に提示する広告の費用を広告の効果と関連づけることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る情報処理装置は、
広告を提示して走行する車両から、前記車両の周辺を撮影した撮影データを取得し、
前記撮影データに基づいて、前記広告の広告費を算出する、制御部、
を備える。
【0008】
本開示に係るプログラムは、
広告を提示して走行する車両から、前記車両の周辺を撮影した撮影データを取得することと、
前記撮影データに基づいて、前記広告の広告費を算出することと、を含む動作をコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示に係る情報処理方法は、
情報処理装置における情報処理方法であって、
広告を提示して走行する車両から、前記車両の周辺を撮影した撮影データを取得することと、
前記撮影データに基づいて、前記広告の広告費を算出することと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車両に提示する広告の費用を広告の効果と関連づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す図である。
図1を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理システム1の構成及び概要を説明する。
【0014】
情報処理システム1は、情報処理装置10と、車両20とを備える。情報処理装置10と車両20とは、ネットワーク30を介して通信可能に接続されている。ネットワーク30は移動体通信網及びインターネットなどを含むネットワークであってよい。
【0015】
図1では、情報処理装置10及び車両20をそれぞれ1台ずつ示しているが、情報処理装置10及び車両20は、それぞれ2台以上であってもよい。
【0016】
情報処理装置10は、例えば、サーバとして機能するように構成された専用のコンピュータである。情報処理装置10は、汎用のPC(Personal Computer)であってもよい。
【0017】
情報処理装置10は、車両20とネットワーク30を介して通信可能である。情報処理装置10は、広告を提示して走行する車両20の広告費を算出する。広告費は、車両20が提示している広告に対して広告主が支払う費用である。
【0018】
情報処理装置10は、車両20から、車両20の周辺を撮影した撮影データを取得する。情報処理装置10は、車両20から取得した撮影データに基づいて、車両20が提示している広告の広告費を算出する。情報処理装置10は、算出した広告費を車両20に送信する。
【0019】
車両20は、例えば、ガソリン車、ディーゼル車、HV(Hybrid Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)、EV(Electric Vehicle)、又はFCV(Fuel Cell Vehicle)などの任意の種類の自動車である。車両20は、本実施形態では運転手によって運転されるが、任意のレベルで運転が自動化されていてもよい。自動化のレベルは、例えば、SAE(Society of Automotive Engineers)のレベル分けにおけるレベル1からレベル5のいずれかである。車両20は、MaaS(Mobility as a Service)専用車両でもよい。
【0020】
車両20は、車両20の側面などに広告を提示している。車両20は、側面に限らず、ボンネットの表面、又はルーフの表面など、車両20の周辺を歩行している歩行者から視認可能であり、且つ、車両20の運転に支障を生じさせない場所に、広告を提示してよい。車両20は、例えばタクシー又はバスのような事業用自動車である。
【0021】
図2を参照して、本開示の実施形態に係る情報処理装置10の構成を説明する。
【0022】
情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、制御部15とを備える。
【0023】
通信部11は、ネットワーク30に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部11は、LAN(Local Area Network)に対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、情報処理装置10は、通信部11を介してネットワーク30に接続されている。通信部11は、ネットワーク30を介して多様な情報を送信及び受信する。通信部11は、ネットワーク30を介して、車両20と通信可能である。
【0024】
記憶部12は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部12は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、情報処理装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部11によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部12に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク30から受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部12の一部は、情報処理装置10の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部12の一部は、任意のインタフェースを介して情報処理装置10と接続されてよい。
【0025】
入力部13は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力用インタフェースを含む。例えば、入力部13は、物理キー、静電容量キー、出力部14のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等を含むが、これに限定されない。
【0026】
出力部14は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力部14は、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0027】
制御部15は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部15は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0028】
図3を参照して、本開示の実施形態に係る車両20の構成を説明する。
【0029】
車両20は、通信装置21と、制御装置22と、複数のECU(Electronic Control Unit)23と、位置情報取得装置24と、カメラ25と、出力装置26とを備える。通信装置21、制御装置22、複数のECU23、位置情報取得装置24、カメラ25、及び出力装置26は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0030】
通信装置21は、ネットワーク30に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信装置21は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。一実施形態において、車両20は、通信装置21を介してネットワーク30に接続されている。通信装置21は、ネットワーク30を介して多様な情報を送信及び受信する。通信装置21は、ネットワーク30を介して、情報処理装置10と通信可能である。
【0031】
制御装置22は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御装置22は、車両20の各部を制御しながら、車両20の動作に関わる処理を実行する。
【0032】
制御装置22は、例えば、各ECU23等から車両20に係る各種の車両情報を受信する。車両情報は、速度、加速度、位置、ヘッドライトの状態、及び自動運転状態等を含む。制御装置22は、通信装置21を介して、車両情報を情報処理装置10に送信する。
【0033】
複数のECU23は、制御装置22と協働して車両20の動作を制御する。具体的には、複数のECU23は、制御装置22から制御指令を受信し、制御指令に従って車両20の動作を制御する。例えば、複数のECU23は、車両20の操作量を、制御指令に示される値となるように制御する。また、複数のECU23は、各制御タイミングにおいて、車両20に搭載された各種センサから車両20の制御量又は操作量の測定値を収集し、制御装置22へ送信する。
【0034】
位置情報取得装置24は、任意の衛星測位システムに対応する1つ以上の受信機を含む。例えば、位置情報取得装置24は、GPS(Global Positioning System)受信機を含んでもよい。位置情報取得装置24は、車両20の位置の測定値を位置情報として取得する。位置情報は、例えば住所、緯度、経度、及び高度等を含む。
【0035】
カメラ25は、車両20の周辺を撮影する。カメラ25は、車両20の周辺を歩行している歩行者を撮影できるように、少なくとも車両20の側方を撮影可能に設置されている。カメラ25は、可視光を撮像する撮像デバイスを含んでよいし、赤外光等の可視光以外の電磁波を撮像する撮像デバイスを含んでもよい。カメラ25は、車両20の周辺を撮影した撮影データを制御装置22に送信する。
図3では1台のカメラ25を示しているが、複数のカメラ25が、車両20に設置されていてもよい。
【0036】
出力装置26は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力用インタフェースを含む。例えば、出力装置26は、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等を含むが、これに限定されない。
【0037】
(情報処理システムの動作)
図1に示す情報処理システム1の動作を、
図1~
図3を参照して説明する。
【0038】
車両20は、広告を提示して走行する車両である。車両20は、例えば車両20の側面などに広告を提示した状態で走行する。
【0039】
車両20のカメラ25は、車両20の周辺を撮影する。カメラ25は、所定の時間間隔で静止画を撮影してもよいし、動画を撮影してもよい。
【0040】
車両20の周辺を歩行者が歩行しているとき、カメラ25が車両20の周辺を撮影した撮影データは、車両20の周辺を歩行している歩行者を含む。
【0041】
制御装置22は、カメラ25が車両20の周辺を撮影した撮影データを、通信装置21を介して情報処理装置10に送信する。以後、カメラ25が車両20の周辺を撮影した撮影データについて、単に「撮影データ」と称する場合もある。
【0042】
情報処理装置10の通信部11は、車両20が送信した撮影データを受信する。制御部15は、車両20が送信した撮影データを、通信部11を介して取得する。
【0043】
制御部15は、車両20から取得した撮影データに基づいて、車両20が提示している広告の広告費を算出する。制御部15による広告費の算出について、以下、具体的に説明する。
【0044】
制御部15は、車両20から取得した撮影データに対して画像解析を行い、撮影データに含まれる歩行者を抽出する。
【0045】
制御部15は、車両20から撮影データを取得する度に、撮影データに含まれる歩行者を抽出する処理を実行する。
【0046】
制御部15は、抽出した歩行者の人数に基づいて、車両20が提示している広告の広告費を算出する。制御部15は、例えば、撮影データを取得した当日に抽出した歩行者の人数の累計に基づいて広告費を算出する。この場合、制御部15は、撮影データを取得した当日の午前0時から、最新の撮影データを取得したときまでに取得した複数の撮影データから抽出した歩行者の人数の累計に基づいて、当日の広告費を算出してよい。なお、車両20に提示している広告の表示のオン/オフが可能である場合は、制御部15は、広告の表示が開始されてから終了するまでの間に撮影データから抽出した歩行者の人数の累計に基づいて広告費を算出してよい。
【0047】
制御部15が歩行者の人数を累計する期間は任意の期間であってよい。例えば、制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数を、1週間の期間で累計してもよいし、1ヶ月の期間で累計してもよい。
【0048】
制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、広告を提供する広告主と、車両20を所有している事業者との間で取り決められた所定のルールに従って、広告費を算出してよい。広告費は、例えば、歩行者の人数に比例していてよい。または、広告費は、例えば、所定の基本料金と、歩行者の人数に比例する料金とを足し合わせた料金であってよい。または、広告費は、例えば、歩行者の人数と共に、階段状に増加してよい。
【0049】
制御部15は、算出した広告費を、通信部11を介して車両20に送信する。
【0050】
車両20の通信装置21は、情報処理装置10が送信した広告費を受信する。制御装置22は、情報処理装置10が送信した広告費を、通信装置21を介して取得する。
【0051】
制御装置22は、取得した広告費を、出力装置26に出力させる。制御装置22は、例えば、取得した広告費を、出力装置26が含むディスプレイに表示させる。
【0052】
広告費が出力装置26に表示されると、車両20の運転者は、広告を車両20に提示していることによって得られる広告費をリアルタイムで確認することができる。広告費はカメラ25によって撮影された撮影データに含まれる歩行者の人数が多いほど高額となるため、広告費を知ることは、運転手にとって、歩行者が多いところを走行することの動機づけとなりうる。
【0053】
(歩行者の人数の重み付け)
情報処理装置10の制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、各種データに基づいて歩行者の人数に重み付けをした上で、広告費を算出してもよい。歩行者の人数に重み付けをするいくつかの例について、以下に説明する。
【0054】
<車両の速度による重み付け>
車両20の制御装置22は、ECU23から車両20の速度データを取得する。制御装置22は、撮影データを情報処理装置10に送信する際、その撮影データが撮影されたときの車両20の速度データを、撮影データと併せて情報処理装置10に送信する。
【0055】
情報処理装置10の制御部15は、車両20が撮影データと併せて送信した速度データを、通信部11を介して取得する。制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、撮影データが撮影されたときの車両20の速度データに基づいて、歩行者の人数の重み付けをする。
【0056】
制御部15は、車両20の速度が速いほど重み付けの値が相対的に小さくなるようにして、歩行者の人数の重み付けをする。制御部15は、重み付けの値を、車両20の速度に依存して連続的に変化させてもよいし、階段状に変化させてもよい。
【0057】
このように車両20の速度が速いほど重み付けの値が相対的に小さくなることで、撮影データが撮影されたときの車両20の速度が速いときは歩行者の人数が相対的に少なくカウントされ、撮影データが撮影されたときの車両20の速度が遅いときは歩行者の人数が相対的に多くカウントされる。これは、車両20の速度が速いときよりも遅いときの方が、歩行者が車両20に提示されている広告をよく視認することができるという傾向を反映している。したがって、制御部15は、上記傾向を反映し、広告の効果と関連づけて広告費を算出することができる。
【0058】
<車両と歩行者との距離による重み付け>
情報処理装置10の制御部15は、車両20から取得した撮影データに対して画像解析を行い、撮影データに含まれる歩行者を抽出する際、歩行者と車両20との距離も画像解析によって算出する。
【0059】
制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、歩行者と車両20との距離に基づいて、歩行者の人数の重み付けをする。
【0060】
制御部15は、歩行者の人数を抽出する際、例えば、車両20との距離が所定の距離閾値より遠い歩行者については、撮影データに含まれる歩行者の人数に含まれないようにするため、重み付けの値をゼロとする。
【0061】
あるいは、制御部15は、歩行者の人数を抽出する際、例えば、歩行者と車両20との距離が近いほど重み付けの値が相対的に大きくなるようにして、歩行者の人数の重み付けをしてもよい。
【0062】
このような、歩行者と車両20との距離に基づく重み付けは、車両20からの距離が遠い歩行者は車両20に提示されている広告をよく視認することができないという傾向を反映している。したがって、制御部15は、上記傾向を反映し、広告の効果と関連づけて広告費を算出することができる。
【0063】
<車両が走行している車線による重み付け>
車両20の制御装置22は、位置情報取得装置24から車両20の位置情報を取得する。制御装置22は、取得した位置情報と地図情報とに基づいて、車両20が走行している車線を判定する。制御装置22は、例えば、車両20が走行している道路が2車線である場合、左車線と右車線のどちらを走行しているかを判定する。制御装置22は、例えば、ネットワーク30に接続している地図サーバから、通信装置21を介して地図情報を取得してよい。制御装置22は、撮影データを情報処理装置10に送信する際、その撮影データが撮影されたときに車両20が走行していた車線を示す車線データを、撮影データと併せて情報処理装置10に送信する。
【0064】
情報処理装置10の制御部15は、車両20が撮影データと併せて送信した車線データを、通信部11を介して取得する。制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、撮影データが撮影されたときに車両20が走行していた車線を示す車線データに基づいて、歩行者の人数の重み付けをする。
【0065】
制御部15は、車両20が左車線を走行していたときに重み付けの値が相対的に大きくなるようにして、歩行者の人数の重み付けをする。
【0066】
このように車両20が左車線を走行していたときに重み付けの値が相対的に大きくなることで、撮影データが撮影されたときに車両20が左車線を走行していたときは歩行者の人数が相対的に多くカウントされ、撮影データが撮影されたときに車両20が左車線以外を走行していたときは歩行者の人数が相対的に少なくカウントされる。これは、車両20が左車線を走行しているときの方が、歩行者が車両20に提示されている広告をよく視認することができるという傾向を反映している。したがって、制御部15は、上記傾向を反映し、広告の効果と関連づけて広告費を算出することができる。
【0067】
<歩行者が車両のどちら側を歩行しているかによる重み付け>
車両20の制御装置22は、撮影データを情報処理装置10に送信する際、その撮影データが車両20のどちら側で撮影されたかを示すデータを、撮影データと併せて情報処理装置10に送信する。制御装置22は、例えば、カメラ25の設置場所に基づいて、撮影データが車両20のどちら側で撮影されたかを判定してよい。
【0068】
情報処理装置10の制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、撮影データが車両20のどちら側で撮影されたかに基づいて、歩行者の人数の重み付けをする。
【0069】
制御部15は、撮影データが車両20の左側で撮影されていたときに重み付けの値が相対的に大きくなるようにして、歩行者の人数の重み付けをする。
【0070】
このように撮影データが車両20の左側で撮影されていたときに重み付けの値が相対的に大きくなることで、車両20の左側を歩行している歩行者の人数が相対的に多くカウントされ、車両20の右側を歩行している歩行者の人数が相対的に少なくカウントされる。これは、車両20の左側を歩行している歩行者の方が車両20に提示されている広告をよく視認することができるという傾向を反映している。したがって、制御部15は、上記傾向を反映し、広告の効果と関連づけて広告費を算出することができる。
【0071】
<時間による重み付け>
制御装置22は、撮影データを情報処理装置10に送信する際、その撮影データが撮影されたときの時間を示す時間データを、撮影データと併せて情報処理装置10に送信する。
【0072】
情報処理装置10の制御部15は、車両20が撮影データと併せて送信した時間データを、通信部11を介して取得する。制御部15は、撮影データから抽出した歩行者の人数に基づいて広告費を算出する際、撮影データが撮影されたときの時間を示す時間データに基づいて、歩行者の人数の重み付けをする。
【0073】
制御部15は、歩行者の人数を抽出する際、例えば、撮影データが撮影されたときの時間が夜間である場合は、その撮影データに含まれている歩行者が歩行者の人数に含まれないようにするため、重み付けの値をゼロとする。制御部15は、撮影データが撮影されたときの時間が夜間であるか否かを、例えば、撮影データが撮影されたときの時間が所定の時刻閾値以後であるか否かによって判定してよい。
【0074】
あるいは、制御部15は、撮影データが撮影されたときの時間が夜間であるか否かを、例えば、車両20のヘッドライトのオン/オフの状態に基づいて判定してよい。この場合、車両20の制御装置22は、ECU23から車両20のヘッドライトのオン/オフの状態を示す情報を取得し、情報処理装置10に送信する。制御部15は、歩行者の人数を抽出する際、例えば、車両20のヘッドライトがオフである場合は、その撮影データに含まれている歩行者が歩行者の人数に含まれないようにするため、重み付けの値をゼロとしてよい。
【0075】
あるいは、制御部15は、撮影データが撮影されたときの時間が夜間であるか否かを、例えば、車両20が搭載している照度センサの検出結果に基づいて判定してよい。この場合、車両20の制御装置22は、照度センサから検出結果を取得し、情報処理装置10に送信する。制御部15は、歩行者の人数を抽出する際、例えば、車両20の照度センサの検出結果が所定の照度閾値以下である場合は、その撮影データに含まれている歩行者が歩行者の人数に含まれないようにするため、重み付けの値をゼロとしてよい。
【0076】
このような、撮影データが撮影された時間に基づく重み付けは、夜間においては、歩行者が車両20に提示されている広告をよく視認することができないという傾向を反映している。したがって、制御部15は、上記傾向を反映し、広告の効果と関連づけて広告費を算出することができる。
【0077】
制御部15は、上述したいくつかの例の重み付けについて、1つの重み付けだけを実行してもよいし、2つ以上の重み付けを組み合わせて実行してもよい。
【0078】
図4及び
図5に示すフローチャートを参照して、情報処理システム1の動作を説明する。
図4は、車両20の動作を主に示すフローチャートである。
図5は、情報処理装置10の動作を主に示すフローチャートである。
【0079】
図4のステップS101において、車両20のカメラ25は、車両20の周辺を撮影する。
【0080】
図4のステップS102において、車両20の制御装置22は、カメラ25が車両20の周辺を撮影した撮影データを、通信装置21を介して情報処理装置10に送信する。
【0081】
図5のステップS201において、情報処理装置10の通信部11は、車両20が送信した撮影データを受信する。制御部15は、車両20が送信した撮影データを、通信部11を介して取得する。
【0082】
図5のステップS202において、情報処理装置10の制御部15は、車両20から取得した撮影データに対して画像解析を行い、撮影データに含まれる歩行者を抽出する。
【0083】
図5のステップS203において、情報処理装置10の制御部15は、抽出した歩行者の人数に基づいて、車両20が提示している広告の広告費を算出する。
【0084】
図5のステップS204において、情報処理装置10の制御部15は、算出した広告費を、通信部11を介して車両20に送信する。
【0085】
図4のステップS103において、車両20の通信装置21は、情報処理装置10が送信した広告費を受信する。制御装置22は、情報処理装置10が送信した広告費を、通信装置21を介して取得する。
【0086】
図4のステップS104において、車両20の制御装置22は、取得した広告費を、出力装置26が含むディスプレイに表示させる。
【0087】
上述のように、本実施形態に係る情報処理装置10において、制御部15は、広告を提示して走行する車両20から、車両20の周辺を撮影した撮影データを取得し、取得した撮影データに基づいて、車両20が提示している広告の広告費を算出する。このように、本実施形態に係る情報処理装置10は、広告の費用を固定の費用とするのではなく、車両20の周辺を撮影した撮影データから判定できる車両20の周辺の状況に基づいて、広告の効果と関連づけて広告費を算出することができる。したがって、本実施形態に係る情報処理装置10は、車両20に提示する広告の費用を広告の効果と関連づけることができる。
【0088】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0089】
例えば、上述した実施形態において情報処理装置10において実行される一部の処理動作が車両20において実行されてもよい。車両20において実行される一部の処理動作が情報処理装置10において実行されてもよい。
【0090】
例えば、スマートフォン又はコンピュータ等の汎用の電子機器を、上述した実施形態に係る情報処理装置10として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る情報処理装置10等の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、一実施形態に係る開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0091】
例えば、上述した実施形態において、車両20は、事業用自動車であるとして説明したが、これに限定されない。車両20は、自家用自動車であってもよい。
【0092】
例えば、上述した実施形態において説明した情報処理装置10が車両20に搭載されてもよい。このとき、情報処理装置10は、ネットワーク30を介さずに車両20と直接的に情報通信を行ってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 制御部
20 車両
21 通信装置
22 制御装置
23 ECU(Electronic Control Unit)
24 位置情報取得装置
25 カメラ
26 出力装置
30 ネットワーク