(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01D 34/68 20060101AFI20231031BHJP
A01D 34/64 20060101ALI20231031BHJP
A01D 43/06 20060101ALI20231031BHJP
B62D 25/10 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A01D34/68 Z
A01D34/64 H
A01D43/06
A01D34/68 L
B62D25/10 B
(21)【出願番号】P 2020075740
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2022-12-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸田 大尊
(72)【発明者】
【氏名】綱島 太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 克朋
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05947219(US,A)
【文献】特開2016-106624(JP,A)
【文献】米国特許第01345048(US,A)
【文献】米国特許第04606422(US,A)
【文献】特開2007-110906(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00800759(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0139296(US,A1)
【文献】特開2016-101121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0203864(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/68
A01D 34/64
A01D 43/06
B62D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体と、
前記走行車体に設けられるモア装置と、
前記走行車体の前方に設けられる運転席と、
前記走行車体の後方に設けられるエンジンと、
前記エンジンの上方に設けられ、吸気口を有するボンネットと、
前記ボンネットに設けられ、前記吸気口を上方から覆うカバーと、
前記ボンネットの上方に設けられ、前記モア装置で刈り取った芝草を集草するコレクタと、
前記モア装置と前記コレクタを接続する接続部と、
を備え、
前記カバーは、
前記ボンネットとの間に隙間を形成して配置され
、
前記接続部は、
前記カバーよりも前方に設けられ、
前記カバーは、
前記接続部側の前記前方に対応する側面以外の側面にのみ前記隙間が形成されること
を特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記吸気口の外周に沿うとともに、前記ボンネットに対して直交する側面を有する屈曲部材をさらに備え、
前記カバーは、
前記吸気口に向かい合う天面と、
前記天面に対して直交する側面とを有し、
前記カバーの前記側面は、
前記屈曲部材の側面と向かい合うように配置されるとともに、前記隙間が形成されること
を特徴とする請求項
1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両の後部にエンジンを搭載し、エンジン上方にボンネットを配置する芝刈機がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の芝刈機では、例えば、エンジンの冷却効率を高めるために、ボンネットに吸気口を設けた場合、吸気口から刈り取った芝草が侵入するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、芝草の侵入を抑制しつつ、エンジンの冷却効率を高めることができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両(1)は、走行車体(2)と、モア装置(3)と、運転席(20)と、エンジン(4)と、ボンネット(22)と、カバー(23)とを備える。前記モア装置(3)は、前記走行車体(2)に設けられる。前記運転席(20)は、前記走行車体(2)の前方に設けられる。前記エンジン(4)は、前記走行車体(2)の後方に設けられる。前記ボンネット(22)は、前記エンジン(4)の上方に設けられ、吸気口(222)を有する。前記カバー(23)は、前記ボンネット(22)に設けられ、前記吸気口(222)を上方から覆う。前記カバー(23)は、前記ボンネット(22)との間に隙間を形成して配置される。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、芝草の侵入を抑制しつつ、エンジンの冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る乗用芝刈機の側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る乗用芝刈機の斜視図である。
【
図4】
図4は、ECUの全体構成を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、カバーおよび屈曲部材の位置関係を示す図である。
【
図8】
図8は、カバーおよび屈曲部材の配置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<乗用芝刈機1の全体構成>
まず、
図1を参照して、作業車両である乗用芝刈機1の全体構成について簡単に説明する。
図1は、実施形態に係る乗用芝刈機1の側面図である。
【0011】
乗用芝刈機1は、車体フレーム21を備える走行車体2の前部に設けられた運転席20に着席した操縦者(作業者ともいう)によって操作される。なお、以下の説明において、前後方向とは、乗用芝刈機1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。乗用芝刈機1の進行方向は、乗用芝刈機1の直進時において、運転席20からステアリングホイール201へと向かう方向とする。
【0012】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下の説明では、「前」側へ向けて左右を規定している。すなわち、操縦者が運転席20に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。また、上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は、互いに3次元で直交している。各方向は、説明をわかりやすくするために便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。なお、以下では、乗用芝刈機1を指して機体と呼ぶ場合がある。
【0013】
図1に示すように、乗用芝刈機1は、左右一対の走行輪として、走行車体2の前部に左右一対の前輪31を備えるとともに、走行車体2の後部に左右一対の後輪32を備えている。
【0014】
また、乗用芝刈機1は、走行車体2の下部前方に、縦軸(
図1において上下方向に沿った軸)回りに回転する刈刃と、この刈刃を駆動するモータとを有するモア装置3を備える。モア装置3は、走行車体2の前方に、モア昇降装置330を介して昇降自在に取付けられる。
【0015】
また、モア装置3は、エンジン4の動力を図示しないモアPTO軸、モア入力軸301およびモアデッキ300内のモア伝動装置(不図示)を経由して、上記した刈刃に伝達する。
【0016】
また、乗用芝刈機1は、走行車体2の前部に操縦部200を備える。操縦部200は、運転席20と、フロアステップ202と、ステアリングコラム203と、ステアリングホイール201とを備える。フロアステップ202は、運転席20の前方に設けられる。ステアリングコラム203は、フロアステップ202の前部に立設される。ステアリングホイール201は、ステアリングコラム203の上部に設けられる。ステアリングコラム203の周辺には、ステアリングホイール201の他、操作パネル204や、各種の操作レバー205や各種の操作スイッチなどが設けられる。そして、操縦部200の後部には、安全バー206が前後傾倒自在に設けられる。
【0017】
また、走行車体2上における運転席20の後方には、コレクタ8が設けられている。コレクタ8は、モア装置3で刈り取った芝草など(以下、刈草という場合がある)を収容する集草容器である。コレクタ8は、昇降アーム85を介して上下昇降可能に搭載される。
【0018】
また、コレクタ8の下方には、エンジン部40が設けられる。エンジン部40は、エンジン4と、排気ガス浄化装置5と、エアクリーナ610と、ミッションケース7とを備える。
【0019】
エンジン4は、例えば、過給機(ターボチャージャ)付きのディーゼルエンジンであるが、過給機を備えないエンジンであってもよい。
【0020】
排気ガス浄化装置5は、エンジン4からの排気ガスを機体外に導く排気管43の中途に設けられる。排気ガス浄化装置5は、内部にDPF(Diesel Particulate Filter)と呼ばれるフィルタを収納し、かかるDPFに排気ガスを通過させることで、粒子を捕集するようにしている。また、捕集された粒子が堆積することでDPFが目詰まりすることがあるため、堆積した粒子を燃焼し焼失させる再生機能を備えている。
【0021】
エアクリーナ610は、エンジン4に清浄な空気を供給する。エアクリーナ610は、運転席20の左上方に配置されたプレクリーナ620に接続している。プレクリーナ620は、機体フレームに固定されている。
【0022】
ミッションケース7は、エンジン4の運転席20側の下部に配置され、エンジン4からの動力が伝達される。具体的には、エンジン4からの動力は、図示しないPTO軸を介して、ミッションケース7が有する油圧式の図示しない無段変速装置の油圧ポンプ13a(
図2参照)を介して、トラニオン軸が傾動することで、後輪32に接続される図示しない油圧モータを変速させ、後輪32を変速駆動する。
【0023】
次に、
図2を用いて、乗用芝刈機1の構成についてさらに説明する。
図2は、実施形態に係る乗用芝刈機1の斜視図である。なお、
図2では、乗用芝刈機1の構成にうち、コレクタ8等の一部の構成を省略して示している。
【0024】
図2に示すように、乗用芝刈機1は、ボンネット22と、ECU(Engine Control Unit)100とをさらに備える。ボンネット22は、エンジン4およびコレクタ8の間に配置され、エンジン4を覆う部材である。
【0025】
また、
図2に示すように、ボンネット22の上方には、モア装置3で刈り取った芝草(以下、刈草)をコレクタ8へ搬送する搬送口400が設けられる。具体的には、搬送口400は、コレクタ8との接続部であり、詳細には、コレクタ8が下降した通常の位置にあるとき、コレクタ8の送入口(不図示)に搬送口400が重なりあうことで、モア装置3で刈り取った刈草が図示しないブロアによりコレクタ8内に送られる。
【0026】
実施形態に係る乗用芝刈機1では、搬送口400からコレクタ8に入り損ねた刈草がボンネット22の吸気口に侵入することを防ぐためにカバー23が配置されるが、かかるカバー23の詳細については後述する。
【0027】
ECU100は、エンジン4を制御する制御装置である。ECU100は、走行車体2の後方に配置される。具体的には、ECU100は、エンジン4および油圧ポンプ13aよりも後方に配置される。換言すれば、ECU100およびエンジン4の間に、油圧ポンプ13aが位置する配置関係となる。
【0028】
これにより、エンジン4の周囲の熱風が油圧ポンプ13aによって遮られることで、ECU100の周辺に熱風が流れないようにできる。すなわち、エンジン4の周囲温度が上昇したとしても、ECU100の周囲温度の上昇を抑制できる。このため、周囲温度の上昇によるECU100の故障を抑えることができる。
【0029】
また、
図1で示したように、エンジン4の周辺に排気ガス浄化装置5等の高温になりやすい部品を集めることで、高温になりやすい部品とECU100との距離を一定以上確保できるため、ECU100の周囲温度の上昇を抑制できる。
【0030】
ここで、
図3を用いて、ECU100の配置についてさらに説明する。
図3は、ECU100周辺の拡大図である。
図3では、乗用芝刈機1の右上方からECU100を見た図を示している。
【0031】
図3に示すように、ECU100は、ブラケット11に固定される。ブラケット11は、走行車体2の後方に配置される後方部位111と、後方部位111の左右端から走行車体2の前方へ向かって延在する側方部位112とを有する。
【0032】
側方部位112は、エンジン4を支持するとともに、左右の後輪32(後輪32の車軸)を支持する。後方部位111は、左右の側方部位112を連結する部材であり、これにより、ブラケット11の剛性を向上させている。
【0033】
ECU100は、板状の後方部位111のうち、前方側の主面に配置されるとともに、側方が側方部位112に囲まれて配置される。これにより、エンジン4の熱風がブラケット11によって遮られるため、ECU100の周囲温度の上昇を抑制できる。
【0034】
また、ECU100がブラケット11に固定されることで、後輪32の走行振動やエンジン4の駆動振動等をブラケット11全体に分散できるため、ECU100が受ける振動を抑制できる。
【0035】
また、ECU100の上下方向には、ブラケット11が存在せず、開放している。つまり、ブラケット11は、ECU100の上下方向が開放している。これにより、乗用芝刈機1の加熱されていない走行風をECU100の周辺に取り込むことができるとともに、温かい空気を上方へ逃がすことができるため、ECU100の周辺温度の上昇を抑制できる。
【0036】
また、
図3に示すように、ECU100は、板状であり、後方部位111に対して略平行に配置される。具体的には、ECU100の後述する支持部材110の主面110a(
図4参照)が走行車体2に対して上下方向に延在するとともに、主面110aが走行車体2の前後方向に向かい合うように配置される。つまり、ECU100は、上下方向に立てた状態で配置される。これにより、ECU100周辺をコンパクトに構成できるとともに、ECU100上に堆積する塵埃を減らすことができる。なお、ECU100は、支持部材110の主面110aが走行車体2の左右方向に向かい合うように配置されてもよい。
【0037】
次に、
図4を用いて、ECU100の固定方法について説明する。
図4は、ECU100の全体構成を示す斜視図である。
図4では、ECU100を左後方から見た図を示している。
【0038】
図4に示すように、ECU100は、ECU100の制御回路を支持する支持部材110を有する。
図4に示すように、支持部材110は、板状の部材であり、後方側の主面110aに複数の突出部100aが設けられる。なお、主面110aの裏面側に位置する主面には、制御回路が固定される。なお、
図4では、突出部100aが3つである場合を示しているが、4つ以上でも、2つ以下でもよい。
【0039】
複数の突出部100aそれぞれには、上下方向に延在するボルト120aおよびナット120b等の締結具が設けられる。そして、後方部位111にも、複数の突出部100aに対応した位置に図示しない突出部である固定部が設けられ、この固定部に設けられた図示しない孔部にボルト120aが挿入され、ナット120bにより締結される。
【0040】
さらに、
図4に示すように、ボルト120aおよびナット120bに挟まれた位置に緩衝部材130が設けられる。上記した後方部位111の固定部は、緩衝部材130およびナット120bの間に位置する。緩衝部材130は、例えば、ゴムマウントであるが、弾性部材であれば任意の部材を採用可能である。
【0041】
このように、ECU100は、緩衝部材130を介して後方部位111に固定されることで、ブラケット11からの振動を緩衝部材130により吸収できるため、ECU100に与える振動を抑制できる。
【0042】
また、ECU100は、複数の突出部100aによって後方部位111に固定されることで、ブラケット11からの振動を複数の突出部100aそれぞれに分散できるため、ECU100に与える振動を抑制できる。
【0043】
次に、
図5~
図9を用いて、ボンネット22周辺の構成について説明する。
図5および
図6は、乗用芝刈機1の拡大図である。なお、
図5および
図6では、説明の便宜上、ボンネット22を透過させた状態で示している。また、
図6では、カバー23を省略した状態を示している。
【0044】
図5および
図6に示すように、カバー23は、ボンネット22の吸気口222を覆うように上方に配置される。吸気口222は、エンジン4および排気ガス浄化装置5の上方に設けられ、吸気した空気によりエンジン4および排気ガス浄化装置5を冷却する。
【0045】
具体的には、吸気口222は、フレーム部221により複数に分割される。
図6では、走行車体2の前後方向に延在する2本のフレーム部221により、3つの吸気口222に分割される。なお、吸気口222の分割数は4つ以上でも、2つ以下でもよい。また、フレーム部221は、走行車体2の前後方向に延在する場合に限らず、左右方向に延在してもよい。
【0046】
そして、
図5に示すように、カバー23は、側面に切欠部231を有する。例えば、切欠部231は、U字状に切り欠かれた形状であるが、V字状等であってもよく、任意の形状を採用可能である。また、
図5では、各側面に2つの切欠部231が設けられる場合を示しているが、切欠部231の数は、1つであってもよく、3つ以上であってもよく、さらに、それぞれの切欠部231の形状や大きさは、同じであってもよく異なってもよい。
【0047】
また、
図5では、切欠部231を形成した場合を示しているが、切欠部231に代えて、カバー23の側面に任意の形状の貫通孔が設けられてもよい。
【0048】
また、
図6に示すように、ボンネット22には、切欠部231に対応する位置に設けられたL字状の屈曲部材24を有する。具体的には、屈曲部材24は、吸気口222の外周(縁)に沿って配置される。
【0049】
そして、カバー23の切欠部231と、屈曲部材24との間に形成された隙間から吸気口222に空気が供給される。ここで、
図7を用いて、カバー23、屈曲部材24との位置関係に説明する。
【0050】
図7は、カバー23および屈曲部材24の位置関係を示す図である。
図7では、カバー23および屈曲部材24を走行車体2の左右方向から見た断面図を示している。
【0051】
図7に示すように、カバー23は、天面23aおよび側面23bにより構成される。天面23aは、吸気口222と向かい合う位置に設けられる。側面23bは、天面23aに対して直交して配置される。なお、カバー23の側面23bには、隙間を形成する切欠部231が設けられる。また、屈曲部材24は、底面24aおよび側面24bにより構成される。底面24aは、ボンネット22に沿って配置される。側面24bは、ボンネット22および底面24aに対して直交して配置される。また、屈曲部材24の側面24bは、カバー23の側面23bと向かい合って配置される。なお、屈曲部材24の底面24aがボンネット22に固定される。
【0052】
図7に示すように、カバー23および屈曲部材24は、互いに離間している。具体的には、カバー23の側面23bと、屈曲部材24の底面24aとは離間し、カバー23の天面23aと屈曲部材24の側面24bとは離間している。すなわち、カバー23および屈曲部材24の間には、隙間が形成される。これにより、搬送口400(
図2参照)からコレクタ8に入り損ねた刈草をカバー23の天面23aで防ぎつつ、カバー23の側面23bに形成された隙間から空気が通過することで、吸気口222に空気を供給することができエンジン4の冷却効率を高めることができる。
【0053】
また、
図7に示すように、屈曲部材24における側面24bの端部は、カバー23の側面23bの端部よりも上方に位置している。これにより、カバー23の側面23bから吸気口222へ侵入することを抑制できる。
【0054】
なお、本実施形態では、ボンネット22に屈曲部材24が設けられる場合を示したが、屈曲部材24に代えて、カバー23の切欠部231に刈草の侵入を防止する網状部材(ネット)を配置してもよい。
【0055】
次に、
図8を用いて、カバー23および屈曲部材24の配置関係について説明する。
図8は、カバー23および屈曲部材24の配置関係を示す図である。
図8では、乗用芝刈機1の上面図を模式的に示している。
【0056】
図8に示すように、搬送口400は、カバー23に対して前方側に配置される。つまり、カバー23のうち、前方側から刈草が侵入しやすい。そのため、カバー23の4つの側面のうち、前方側の側面には、隙間を形成せず、左右側の側面および後方側の側面に隙間を形成する。つまり、カバー23は、接続部である搬送口400側の側面以外の側面に隙間を形成する。
【0057】
具体的には、カバー23の前方側の側面には、切欠部231や屈曲部材24を配置しない。つまり、カバー23の4つの側面のうち、搬送口400に最も近い側面を塞ぐ。これにより、搬送口400からコレクタ8に入り損ねた刈草の侵入を高精度に抑制できる。
【0058】
なお、
図8では、カバー23の前方側の側面のみ隙間を形成しないようにしたが、左右側の側面および後方の側面の3つの側面のうち、少なくとも1つの側面に隙間が形成されるようにできれば、他の側面は塞いでもよい。
【0059】
なお、乗用芝刈機1は、吸気口222に吸気を補助する電動ファン41を備えてもよい。
図9は、電動ファン41の配置を示す図である。具体的には、電動ファン41は、ボンネット22のうち、カバー23とは反対側の主面に設けられ、吸気口222を覆うようにして配置される。これにより、エンジン4や排気ガス浄化装置5の冷却効率を高めることができる。
【0060】
上述したように、実施形態に係る乗用芝刈機1は、車輪32を有する走行車体2と、走行車体2に設けられるモア装置3と、走行車体2の前方に設けられる運転席20と、走行車体2の後方に設けられるエンジン4と、エンジン4よりも後方に配置され、エンジン4の動力を車輪32へ伝達するための油圧ポンプ13aと、油圧ポンプ13aよりも後方に配置され、エンジン4を制御する制御装置(ECU100)とを備える。これにより、エンジン制御装置であるECU100の周囲温度の上昇を抑制できる。
【0061】
また、乗用芝刈機1は、エンジン4および車輪32を支持するブラケット11をさらに備える。ECU100は、左右方向の側方がブラケット11に囲まれた状態でブラケット11に固定される。これにより、エンジン4からの熱風をECU100の左右方向の側方に設けられたブラケット11により遮ることができるため、ECU100の周囲温度の上昇を抑制できる。
【0062】
また、ブラケット11は、ECU100の上下方向が開放している。これにより、エンジン4により熱せられていない走行風を取り込むことができるため、ECU100の周囲温度の上昇を抑制できる。
【0063】
また、ECU100は、制御回路を支持する支持部材110を有する。支持部材110は、ブラケット11に固定される複数の突出部100aを有する。これにより、エンジン4や車輪32の振動がブラケット11を伝った場合であっても、複数の突出部100aによって分散されるため、ECU100の特定箇所に過度の振動がかかることを抑制できる。
【0064】
また、複数の突出部100aは、緩衝部材130を介してブラケット11に固定される。これにより、エンジン4や車輪32の振動がブラケット11を伝った場合であっても、かかる振動を緩衝部材130によって吸収できるため、ECU100にかかる振動を抑制できる。
【0065】
また、支持部材110は、板状であり、主面110aが走行車体2に対して上下方向に延在して配置される。これにより、ECU100が立てた状態で固定されるため、ECU100周辺をコンパクトに構成できるとともに、ECU100の上下方向の側面に塵埃が堆積することを抑制できる。
【0066】
上述したように、実施形態に係る乗用芝刈機1は、走行車体2と、走行車体2に設けられるモア装置3と、走行車体2の前方に設けられる運転席20と、走行車体2の後方に設けられるエンジン4と、エンジン4の上方に設けられ、吸気口222を有するボンネット22と、ボンネット22に設けられ、吸気口222を上方から覆うカバー23とを備える。カバー23は、ボンネット22との間に隙間を形成して配置される。これにより、芝草の侵入を抑制しつつ、エンジンの冷却効率を高めることができる。
【0067】
また、カバー23は、吸気口222に向かい合う天面23aと、天面23aに対して直交する側面23bとを有する。そして、側面23bには、隙間を形成する切欠部231が設けられる。これにより、切欠部231から吸気口222へ空気を取り込むことができるため、新たな部材を設ける必要なくコストが嵩むことを抑制できる。
【0068】
また、乗用芝刈機1は、吸気口222の外周に沿うとともに、ボンネット22に対して直交する側面24bを有する屈曲部材24をさらに備える。カバー23の側面23bは、屈曲部材24の側面24bと向かい合うように配置されるとともに、隙間が形成される。これにより、屈曲部材24の側面24bで刈草の吸気口222への侵入を防止しつつ、隙間から吸気口222へ空気を供給できる。
【0069】
また、乗用芝刈機1は、ボンネット22の上方に設けられ、モア装置3で刈り取った芝草を集草するコレクタ8をさらに備える。コレクタ8は、モア装置3との接続部(搬送口400)がカバー23よりも前方に設けられる。そして、カバー23は、接続部側の側面以外の側面に隙間が形成される。これにより、接続部からコレクタ8に入り損ねた刈草がカバー23の前方側の側面から侵入することを抑制できる。
【0070】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 乗用芝刈機
2 走行車体
3 モア装置
4 エンジン
5 排気ガス浄化装置
7 ミッションケース
8 コレクタ
11 ブラケット
13a 油圧ポンプ
20 運転席
21 車体フレーム
22 ボンネット
23 カバー
24 屈曲部材
24a 底面
24b 側面
31 前輪
32 後輪
40 エンジン部
41 電動ファン
43 排気管
85 昇降アーム
100 ECU
100a 突出部
110 支持部材
111 後方部位
112 側方部位
120a ボルト
120b ナット
130 緩衝部材
200 操縦部
201 ステアリングホイール
202 フロアステップ
203 ステアリングコラム
204 操作パネル
205 操作レバー
206 安全バー
221 フレーム部
222 吸気口
231 切欠部
300 モアデッキ
301 モア入力軸
330 モア昇降装置
400 搬送口
610 エアクリーナ
620 プレクリーナ