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特許7375671ゲートウェイシステム、ゲートウェイ装置、プラガブルONU、ゲートウェイシステムの保守方法およびループバック試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ゲートウェイシステム、ゲートウェイ装置、プラガブルONU、ゲートウェイシステムの保守方法およびループバック試験方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H04L12/44 200
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020077958
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021175092
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 康裕
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-142529(JP,A)
【文献】特開2013-175930(JP,A)
【文献】特開2017-175484(JP,A)
【文献】特開2008-109177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0232794(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0006631(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラガブルONUと、
ゲートウェイ装置とを備え、前記ゲートウェイ装置は、
前記プラガブルONUを着脱可能なインターフェイスと、
ユーザネットワークインターフェイスポートとを有し、
前記プラガブルONUに接続されたOLTから送られたループバックフレームの経路を制御して、前記ユーザネットワークインターフェイスポートに対するループバック試験を実行する、ゲートウェイシステム。
【請求項2】
前記ゲートウェイ装置は、
前記ユーザネットワークインターフェイスポートに接続されたPHY部を含み、
前記ゲートウェイシステムは、前記ループバックフレームに含まれる前記PHY部のMACアドレスに基づいて、前記PHY部で前記ループバックフレームを折り返すように前記ループバックフレームの経路を制御する、請求項1に記載のゲートウェイシステム。
【請求項3】
前記ゲートウェイ装置は、
前記PHY部のMACアドレスを不揮発的に記憶する記憶部と、
前記記憶部から前記PHY部のMACアドレスを読み出すゲートウェイ制御部とを含み、
前記プラガブルONUは、
前記ゲートウェイ制御部と通信可能であり、前記ゲートウェイ制御部から前記PHY部のMACアドレスを受信するONU制御部を含み、
前記ONU制御部は、前記ループバックフレームに含まれるMACアドレスが前記PHY部のMACアドレスに一致することを前記ゲートウェイ制御部に通知する、請求項2に記載のゲートウェイシステム。
【請求項4】
前記ONU制御部は、前記ループバックフレームに含まれるMACアドレスが前記ゲートウェイ制御部から受信した前記PHY部のMACアドレスと異なる場合には、PONポートに対するループバック試験が行われるように前記ループバックフレームの経路を制御する、請求項3に記載のゲートウェイシステム。
【請求項5】
プラガブルONUを着脱可能なインターフェイスと、
ユーザネットワークインターフェイスポートと、
前記ユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック試験を行なうように、前記プラガブルONUに接続されたOLTからのループバックフレームの経路を制御するゲートウェイ制御部とを備える、ゲートウェイ装置。
【請求項6】
ゲートウェイ装置に着脱可能なプラガブルONUであって、
前記プラガブルONUと前記ゲートウェイ装置との接続のためのインターフェイスと、
ONU制御部とを備え、前記ONU制御部は、
前記プラガブルONUに入力されたループバックフレームの宛先を判定して、前記ループバックフレームの前記宛先が前記プラガブルONUとは異なる場合には、前記インターフェイスを通じて前記ループバックフレームが前記プラガブルONUから出力されるように、前記ループバックフレームの経路を制御する、プラガブルONU。
【請求項7】
プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置の設置場所において、前記プラガブルONUを新しいプラガブルONUに交換するステップと、
前記新しいプラガブルONUに接続されたOLTから前記ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック試験を実行するステップとを備え、前記ループバック試験を実行するステップは、前記新しいプラガブルONUおよび前記ゲートウェイ装置が前記OLTからのループバックフレームの経路を制御するステップを含み、
コンピュータが、前記ループバック試験の結果に基づいて、前記ユーザネットワークインターフェイスポートの良否を判定するステップをさらに備える、ゲートウェイシステムの保守方法。
【請求項8】
プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置によるループバック試験方法であって、
OLTから送られたループバックフレームを前記プラガブルONUが受信するステップと、
前記プラガブルONUにより受信された前記ループバックフレームの経路を制御して、前記ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートに対するループバック試験を実行するステップとを備える、ループバック試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゲートウェイシステム、ゲートウェイ装置、プラガブルONU、ゲートウェイシステムの保守方法およびループバック試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信の分野では、たとえば通信テストあるいは障害時の切り分けなどの際にループバック試験が実行される。たとえば特開2008-109177号公報(特許文献1)は、PON(Passive Optical Network)型の光伝送システムにおいて実行されるONU(Optical Network Unit)ループバック試験方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-109177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2008-109177号公報に示されるように、従来、ONUは、光トランシーバとホストデバイスとが一体化された構成を有していた。しかしながら近年では、スイッチ、ルータ等に代表されるゲートウェイ装置に着脱可能(いわゆるプラガブル)なONUが提案されている。
【0005】
一般的に、EPON(Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)でのループバック試験は、IEEE802.3ah規格に従って行われる。IEEE802.3ah規格に準拠したループバック試験では、OLTは、ONUの光回線側ポート(EPONポート)でのループバックを指定する。これにより、PONサービスの管理者あるいはオペレータは、ONUのEPONポートでのループバックの結果を確認できる。
【0006】
しかしながら、IEEE802.3ah規格には、ONUのUNI(User Network Interface)ポートでのループバックは定義されていない。したがって、ゲートウェイ装置とプラガブルONUとを組み合わせたシステムでは、IEEE802.3ah規格に準拠したループバック試験を実行した際に、ゲートウェイ装置のUNIを含めたエンド・ツー・エンドでのループバック試験が実施できない。
【0007】
この課題に対して、特開2008-109177号公報では、ONUループバック試験において、UNI-PHYで折り返し処理を行うことを開示する。しかし、特開2008-109177号公報に開示されたONUは、プラガブルONUとは異なり、光トランシーバとホストデバイスとが一体化された構成を有する。したがって特開2008-109177号公報は、上記の課題に対する解決策を示していない。
【0008】
したがって本開示の目的は、プラガブルONUとゲートウェイ装置とからなるゲートウェイシステムにおいて、ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック機能を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施形態に係るゲートウェイシステムは、プラガブルONUと、ゲートウェイ装置とを備え、ゲートウェイ装置は、プラガブルONUを着脱可能なインターフェイスと、ユーザネットワークインターフェイスポートとを有し、ゲートウェイシステムは、プラガブルONUに接続されたOLTから送られたループバックフレームの経路を制御して、ユーザネットワークインターフェイスポートに対するループバック試験を実行する。
【0010】
本開示の実施形態に係るゲートウェイ装置は、プラガブルONUを着脱可能なインターフェイスと、ユーザネットワークインターフェイスポートと、ユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック試験を行なうように、プラガブルONUに接続されたOLTからのループバックフレームの経路を制御するゲートウェイ制御部とを備える。
【0011】
本開示の実施形態に係るプラガブルONUは、ゲートウェイ装置に着脱可能なプラガブルONUであって、プラガブルONUとゲートウェイ装置との接続のためのインターフェイスと、ONU制御部とを備え、ONU制御部は、プラガブルONUに入力されたループバックフレームの宛先を判定して、ループバックフレームの宛先がプラガブルONUとは異なる場合には、インターフェイスを通じてループバックフレームがプラガブルONUから出力されるように、ループバックフレームの経路を制御する。
【0012】
本開示の実施の形態に係るゲートウェイシステムの保守方法は、プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置の設置場所において、プラガブルONUを新しいプラガブルONUに交換するステップと、新しいプラガブルONUに接続されたOLTからゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック試験を実行するステップとを備え、ループバック試験を実行するステップは、新しいプラガブルONUおよびゲートウェイ装置がOLTからのループバックフレームの経路を制御するステップを含み、コンピュータが、ループバック試験の結果に基づいて、ユーザネットワークインターフェイスポートの良否を判定するステップをさらに備える。
【0013】
本開示の実施の形態に係るループバック試験方法は、プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置によるループバック試験方法であって、OLTから送られたループバックフレームをプラガブルONUが受信するステップと、プラガブルONUにより受信されたループバックフレームの経路を制御して、ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートに対するループバック試験を実行するステップとを備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、プラガブルONUとゲートウェイ装置とからなるゲートウェイシステムにおいて、ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るPONシステムの概略構成を示した図である。
図2図2は、図1に示したOLTおよびゲートウェイシステムの構成を示した図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係るゲートウェイシステムのハードウェア構成の1つの例を示したブロック図である。
図4図4は、IEEE802.3ah標準に規定されたLoopbackフレームのフォーマットを示した図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係るループバック試験に関する初期化処理を示したシーケンス図である。
図6図6は、プラガブルONUが正常に稼働した後のループバック処理を説明するシーケンス図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に従うゲートウェイシステムの保守方法の例を示したシーケンス図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係るゲートウェイシステムが適用された無線通信基地局の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0017】
(1) 本開示の実施形態に係るゲートウェイシステムは、プラガブルONUと、ゲートウェイ装置とを備え、ゲートウェイ装置は、プラガブルONUを着脱可能なインターフェイスと、ユーザネットワークインターフェイスポートとを有し、ゲートウェイシステムは、プラガブルONUに接続されたOLTから送られたループバックフレームの経路を制御して、ユーザネットワークインターフェイスポートに対するループバック試験を実行する。
【0018】
上記によれば、プラガブルONUとゲートウェイ装置とからなるゲートウェイシステムにおいて、ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイス(UNI)ポートを指定したループバック機能を実現できる。
【0019】
(2) 好ましくは、ゲートウェイ装置は、ユーザネットワークインターフェイスポートに接続されたPHY部を含み、ゲートウェイシステムは、ループバックフレームに含まれるPHY部のMACアドレスに基づいて、PHY部でループバックフレームを折り返すようにループバックフレームの経路を制御する。
【0020】
上記によれば、ユーザネットワークインターフェイスポートに入出力される信号を終端するPHY部がループバックフレームの宛先に指定される。ループバックフレームは、PHY部で折り返される。したがって、UNIポートを指定したループバック機能を実現できる。
【0021】
(3) 好ましくは、ゲートウェイ装置は、PHY部のMACアドレスを不揮発的に記憶する記憶部と、記憶部からPHY部のMACアドレスを読み出すゲートウェイ制御部とを含み、プラガブルONUは、ゲートウェイ制御部と通信可能であり、ゲートウェイ制御部からPHY部のMACアドレスを受信するONU制御部を含み、ONU制御部は、ループバックフレームに含まれるMACアドレスがPHY部のMACアドレスに一致することをゲートウェイ制御部に通知する。
【0022】
上記によれば、プラガブルONUは、ゲートウェイ装置のPHY部のMACアドレスを把握できる。これにより、プラガブルONUは、ループバックフレームに含まれるMACアドレスに基づいて、そのループバックフレームがユーザネットワークインターフェイスポートのループバック試験のためのフレームであると判断することができる。プラガブルONUが、ループバックフレームに含まれるMACアドレスがPHY部のMACアドレスに一致することをゲートウェイ制御部に通知するので、ゲートウェイ装置は、ループバックフレームをPHY部で折り返すように、ループバックフレームの経路を制御することができる。したがって、UNIポートのループバック試験を実行できる。
【0023】
(4) 好ましくは、ONU制御部は、ループバックフレームに含まれるMACアドレスがゲートウェイ制御部から受信したPHY部のMACアドレスと異なる場合には、PONポートに対するループバック試験が行われるようにループバックフレームの経路を制御する。
【0024】
上記によれば、ループバックフレームに含まれるMACアドレスに基づいて、UNIポートに対するループバック試験、およびPONポートに対するループバック試験を選択的に実行することができる。
【0025】
(5) 本開示の実施形態に係るゲートウェイ装置は、プラガブルONUを着脱可能なインターフェイスと、ユーザネットワークインターフェイスポートと、ユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック試験を行なうように、プラガブルONUに接続されたOLTからのループバックフレームの経路を制御するゲートウェイ制御部とを備える。
【0026】
上記によれば、プラガブルONUとゲートウェイ装置とからなるゲートウェイシステムにおいて、ゲートウェイ装置のUNIポートを指定したループバック機能を実現できる。
【0027】
(6) 本開示の実施形態に係るプラガブルONUは、ゲートウェイ装置に着脱可能なプラガブルONUであって、プラガブルONUとゲートウェイ装置との接続のためのインターフェイスと、ONU制御部とを備え、ONU制御部は、プラガブルONUに入力されたループバックフレームの宛先を判定して、ループバックフレームの宛先がプラガブルONUとは異なる場合には、インターフェイスを通じてループバックフレームがプラガブルONUから出力されるように、ループバックフレームの経路を制御する。
【0028】
上記によれば、ゲートウェイ装置においてループバック試験を実施することができる。ゲートウェイ装置でのループバックフレームの折り返し場所にゲートウェイ装置のUNI PHYが指定されていれば、UNI PHYで折返し処理が実施される。したがって、UNIポートを指定したループバック機能を実現することができる。上記プラガブルONUは、このようなループバック機能を提供することができる。
【0029】
(7) 本開示の実施の形態に係るゲートウェイシステムの保守方法は、プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置の設置場所において、プラガブルONUを新しいプラガブルONUに交換するステップと、新しいプラガブルONUに接続されたOLTからゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートを指定したループバック試験を実行するステップとを備え、ループバック試験を実行するステップは、新しいプラガブルONUおよびゲートウェイ装置がOLTからのループバックフレームの経路を制御するステップを含み、コンピュータが、ループバック試験の結果に基づいて、ユーザネットワークインターフェイスポートの良否を判定するステップをさらに備える。
【0030】
上記によれば、ゲートウェイ装置の設置場所(たとえば加入者宅)においてプラガブルONUを交換した後、OLTからPON区間を経由してゲートウェイ装置のUNIポートまでのエンド・ツー・エンドのループバック試験が実施される。これにより、ゲートウェイ装置の設置場所において、プラガブルONUを交換した際にPONシステムの疎通を確認できるので、ユーザに提供するサービスを向上させることができる。
【0031】
(8) 本開示の実施の形態に係るループバック試験方法は、プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置によるループバック試験方法であって、OLTから送られたループバックフレームをプラガブルONUが受信するステップと、プラガブルONUにより受信されたループバックフレームの経路を制御して、ゲートウェイ装置のユーザネットワークインターフェイスポートに対するループバック試験を実行するステップとを備える。
【0032】
上記によれば、プラガブルONUが接続されたゲートウェイ装置において、ゲートウェイ装置のUNIポートを指定したループバック機能を実現できる。
【0033】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0034】
本開示の実施の形態は、OLTからループバック試験を実行可能なように構成されたPONシステムに適用可能である。したがって特に限定されるものではないが、本開示の一実施形態に係るPONシステムは、IEEE802.3ah準拠のGEPON(Gigabit Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)システムであってもよい。
【0035】
図1は、本開示の一実施形態に係るPONシステム100の概略構成を示した図である。図1に示すように、PONシステム100は、OLT10と、n個(nは1以上の整数)のONU20-1,20-2,・・・,20-nと、光回線1とを備える。光回線1は、光ファイバ2,4-1,4-2,・・・,4-nと、光カプラ3とを含む。
【0036】
OLT10は通信事業者の局側に設置される光回線終端装置である。OLT10の光入出力端には、光ファイバ2の一端が光学的に接続される。光ファイバ2の他端は、光カプラ3に接続される。光ファイバ4-1,…4-nの各々の一端は、光カプラ3に光学的に接続される。さらに、光ファイバ4-1,…4-nの各々の他端は、ONU20-1,20-2,・・・,20-nのそれぞれに光学的に接続される。
【0037】
ONU20-1,20-2,・・・,20-nの各々は、光回線サービスのユーザ側(たとえば加入者宅)に設置される光回線終端装置である。ONU20-1は、ホームゲートウェイ(HGW)30に着脱可能なONU(プラガブルONU)である。具体的には、ONU20-1は、HGW30の基板に対して活線挿抜が可能である。一実施形態によれば、ONU20-1はSFP(Small Form-Factor Pluggable)ONUであり、ONU20-1のフォームファクタおよび電気的インターフェイスは、MSA(Multi Source Agreement)に従う。なお、本開示の実施の形態では、「SFP」との用語を、SFP、SFP+、SFP28、QSFP、QSFP28、およびそれらの上位互換のプラガブル光モジュールの総称として用いている。
【0038】
HGW30は、加入者宅に設置されるゲートウェイ装置である。ONU20-1がHGW30に実装された状態において、ONU20-1およびHGW30は、ゲートウェイシステム40を構成する。本開示の実施形態では「ゲートウェイ装置」および「ゲートウェイシステム」との用語は、ネットワークを中継する機器あるいはシステムを意味する。したがって本開示の実施の形態では、「ゲートウェイ装置」は特定の装置に限定されない。
【0039】
HGW30には、ユーザ端末50が接続される。HGW30とユーザ端末50との間の接続は、有線接続でもよく、無線接続でもよい。以下の例に限定されないが、ユーザ端末50は、たとえばパーソナルコンピュータ、光電話、スマートフォン、タブレット等であってもよい。
【0040】
なお、ONU20-2~20-nの各々は、プラガブルONUでもよく、光トランシーバとホストデバイスとが一体化されたONUであってもよい。
【0041】
図2は、図1に示したOLT10およびゲートウェイシステム40の構成を示した図である。以下の説明および対応の図では、ONU20-1を「ONU20」と表記する。OLT10は、NNI(Network Node Interface)部11と、MAC(Media Access Control)部12と、SerDes(SerializerDeserializer)部13と、光リンク(Optical Link)部14とを含む。OLT10は、NNI部11を介して上位ネットワーク70に接続されるとともに、光リンク部14を介して光回線1(PON区間)に接続される。
【0042】
OLT10は、さらに、CPU15と、フラッシュROM(Flash)16と、DRAM17とを含む。CPU15は、外部の制御端末80(たとえばパーソナルコンピュータ)からアクセス可能である。たとえば、制御端末80は、ループバック試験の結果をOLT10から取得することができる。あるいはオペレータが制御端末80を操作することによって、制御端末80はOLT10の動作を制御することができる。
【0043】
ONU20は、光リンク(Optical Link)部21と、MAC部24とを含む。光リンク部21は光回線1(PON区間)に接続される。MAC部24は、MAC部24はMPU25を含み、光リンク部21に接続されてPONポートの論理的終端を実施する。したがってMAC部24を、以下では「PON MAC」と呼ぶ場合もある。
【0044】
ONU20(SFP ONU)は、MSAインターフェイス32を介してHGW30に接続される。MSAインターフェイス32により、ONU20はHGW30に着脱可能であるとともに、ONU20とHGW30との間で電気信号を遣り取りすることができる。なお、図2では、ONU20側のインターフェイス部(たとえば基板上の端子)およびHGW30側のインターフェイス部(ONU20側のインターフェイス部に接続されるスロットなど)をまとめてMSAインターフェイス32として示している。
【0045】
HGW30は、CPU35と、DRAM36と、フラッシュROM(Flash)37と、PHY部38A,38Bと、ユーザネットワークインターフェイス(UNI)ポート39A,39Bとを含む。CPU35、DRAM36、フラッシュROM37、PHY部38A,38Bは、バス34に接続される。CPU35は、HGW30を統括的に制御するゲートウェイ制御部に相当する。
【0046】
PHY部38A,38Bは、ユーザネットワークインターフェイス(UNI)ポート39A,39Bに接続される。UNIポート39A,39Bはユーザ端末(図1を参照)との間で信号を入出力するためのポートである。PHY部38A,38Bは、IC(いわゆるPHYチップ)によって構成される。なお、ゲートウェイ装置30は最低1つのUNIポートを有していればよい。したがってゲートウェイ装置30の有するUNIポートの数は特に限定されない。
【0047】
MAC部24のMPU25は、HGW30のCPU35と、MSAインターフェイス32のバスを介して相互に通信可能である。本開示の実施の形態では、MPU25とCPU35との間の通信にはI2C通信を用いることができる。I2C通信は、MPU25とCPU35との間をシリアルバスで接続しデータ転送するために利用される。さらにI2C通信は、MPU25とCPU35との間のKeep-Aliveのチェックに利用されうる。したがって、MPU25とCPU35とは、I2C通信によって相互の通信の状態をチェックすることができる。
【0048】
図3は、本開示の一実施形態に係るゲートウェイシステムのハードウェア構成の1つの例を示したブロック図である。図3に示すように、ゲートウェイシステム40は、複数のプラガブルONUを含むこともできる。ONU32A,32B,32C,32Dは、それぞれ、光ファイバ4A,4B,4C,4Dに光学的に接続されて、OLT10(図1を参照)との間で光信号を遣り取りする。ONU20A,20B,20C,20Dの各々は、SFP ONUであり、図2に示したONU20と同じ構成を有する。
【0049】
HGW30は、HGW基板31を有する。HGW基板31上に、SFPソケット32A,32B,32C,32Dが実装され、ONU20A~20Dの各々は、SFPソケット32A,32B,32C,32Dにそれぞれ挿入される。SFPソケット32A,32B,32C,32Dはバス34を介してCPU35に接続される。SFPソケット32A,32B,32C,32Dの各々は、図2に示したMSAインターフェイス32のHGW30側インターフェイスに相当する。HGW30の他の部分の構成については、既に説明したので、ここでは説明を繰り返さない。
【0050】
PONシステムの運用においては、障害発生時に装置故障か回線異常、あるいは、それ以外の不測の事態かを切り分ける機能が必要であり、このうちONUに係る障害検知を切り分けるために、IEEE802.3ah標準にてONUのループバック試験機能が規定されている。IEEE802.3ah標準に準拠したループバック試験では、ONUは、OLTから送られたフレームをPONインターフェイスで折返して、OLTにフレームを返送する。
【0051】
PONサービスの管理者あるいはオペレータは、IEEE802.3ah標準に従うループバックを実施することによって、PON区間が正常か否かを確認することができる。一方、IEEE802.3ah標準には、HGW30のUNIポート(PHY部)を指定したループバック試験は規定されていない。
【0052】
UNIポート(PHY部)を指定したループバック試験が実施できない場合、仮にHGW30のUNIポートにハードウェア異常等の初期不良があったとしても、局側のオペレータからのテストではその不良を発見できない。このような場合には、UNIポートの異常の発見は、ONUのユーザから、PONサービスの管理者あるいはオペレータへの報告に依存されると想定される。
【0053】
また、修理等の理由によってHGWの設置された場所(たとえば加入者宅)でプラガブルONUを交換しても、その場でUNIポート(PHY部)を指定したループバック試験およびその結果の確認ができなければ、ユーザにとっては、疎通テストが完了した(すなわちプラガブルONUの交換作業が完全に完了した)とはいえない。このため、ユーザに対するサービスの点からも、UNIポート(PHY部)を指定したループバック試験が実施できないことが課題となる。
【0054】
したがって本開示の実施の形態では、以下の特徴によって、HGW30のUNIポート(PHY部)を指定したループバック試験を実施可能とする。
【0055】
(1)ゲートウェイ装置のPHY部のMACアドレスおよび稼働状況等のステータスを認識するためのプラガブルONUの構成。
【0056】
(2)PON区間から受信したループバックフレームをMSAインターフェイス経由でUNI PHYへ送るためのプラガブルONUの判断プロセス。
【0057】
(3)UNI PHYをループバックモードに切替えるための構成。
【0058】
図2を参照しながら上記(1)~(3)の特徴を説明する。(1)の特徴に関して、PHY部38A,38BのMACアドレスがHGW30のフラッシュROM37に格納される。フラッシュROM37へのPHY部38A,38BのMACアドレスの書込みは、たとえばHGW30の工場出荷時に実行される。ONU20がHGW30に接続されたとき、あるいはONU20が既にHGW30に接続された状態でHGW30に電源が投入された場合に、HGW30のCPU35は、フラッシュROM37から、PHY部38A,38BのMACアドレスを読み出す。ONU20のMPU25は、I2C通信により、CPU35から、PHY部38A,38BのMACアドレスを取得するとともに、PHY部38A,38Bの稼働状況等のステータスを取得する。したがって本実施の形態では、MPU25は、CPU35からPHY部のMACアドレスを受信するONU制御部を実現する。
【0059】
上記(2)の特徴に関して、OLT10は、ループバック試験の開始に先立ってONU20から、PHY部38A,38BのMACアドレスを取得する。ループバック試験開始時に、OLT10は、PHY部38AまたはPHY部38BのMACアドレスを指定する。具体的には、OLT10は、IEEE802.3ahにて規定されたLoopback Control OAMPDUフレーム(以下、Loopbackフレームと記載する)にPHY部38A(またはPHY部38B)のMACアドレスを格納する。ONU20のMPU25は、Loopbackフレームを受け取った際に、Loopbackフレームに格納されたMACアドレスをCPU35から取得したMACアドレスと比較する。両方のMACアドレスが一致する場合には、MPU25は、当該Loopbackフレームを、MSAインターフェイス32を介して、CPU35に転送する。
【0060】
図4は、IEEE802.3ah標準に規定されたLoopbackフレームのフォーマットを示した図である。図4に示すように、Loopbackフレームは、2バイトのフラグ(Flag)、1バイトのコード(Code)、1バイトのループバックコマンド(Loopback Command)、および62バイトのフィールドからなる。
【0061】
Loopbackフレームは、EPON区間で管理される論理リンク(LLID)上を流れる。当該LLIDに関連付けられたONUは、そのLoopbackフレームを受信する。従来のループバックでは、ONUはPONインターフェイスで折返し処理を実施する。
【0062】
本開示の実施の形態では、LoopbackフレームにPHY部のMACアドレスを格納する。たとえば62バイトのフィールド内の指定された領域AにPHY部のMACアドレスを格納してもよい。これにより、UNIポートを指定したループバック試験を実行することができる。
【0063】
なお、本開示の実施の形態では、領域A、または62バイトのフィールド内の別の領域にMAC部24(PON MAC)のMACアドレスを格納してもよい。この場合、Loopbackフレームには、PON MACのMACアドレスとPHY部のMACアドレスとのいずれか一方が格納される。これにより、PONポートを指定したループバック試験と、UNIポートを指定したループバック試験とを切替えて実行することができる。
【0064】
上記(3)の特徴に関して、HGW30のCPU35は、ONU20からLoopbackフレームが転送されると、PHY部38A,38Bをループバック(LB)モードに変更する。これによって、CPU35は、PHY部38A,38Bでの折り返し処理を許可する。
【0065】
OLT10から送られたLoopbackフレームはプラガブルONU(ONU20)、MSAインターフェイス32を介して、HGW30が管理するPHY部38A(またはPHY部38B)に到達する。PHY部38A(またはPHY部38B)は、Loopbackフレームを折り返す。折り返されたLoopbackフレームは、ONU20に送られる。ONU20は、そのLoopbackフレームをOLT10に送り返す。これにより、HGW30のUNIポートを指定したループバック試験が実現される。
【0066】
本開示の実施の形態に係るループバック試験の流れについて説明する。図5は、本開示の実施の形態に係るループバック試験に関する初期化処理を示したシーケンス図である。以下の記載および図5において、「UNI PHY部38」との表記は、PHY部38A,38Bのいずれか一方を示す記載であり、PHY部38A,38Bのどちらか一方に限定するものではない。同様に、「ONU20」との表記は、図3に示したONU20A~20Dのいずれか1つを示す記載であり、ONU20A~20Dのいずれか1つに限定するものではない。
【0067】
まず、ONU20がHGW30に接続された状態で、HGW30に電源が投入される(ステップS1)。これにより、ONU20にも電源が投入されて、ONU20およびHGW30が起動される。
【0068】
HGW30のCPU35は、フラッシュROM37に対して、UNI PHY(PHY部38)のMACアドレスを要求する(ステップS2)。フラッシュROM37は、その要求に応答して、フラッシュROM37に記憶されたMACアドレスをCPU35に返送する(ステップS3)。
【0069】
ONU20のMPU25は、HGW30のCPU35に対して、UNI PHYのMACアドレスを要求する(ステップS4)。CPU35は、要求に応答して、フラッシュROM37から取得したMACアドレスをMPU25に返送する(ステップS5)。なお、ステップS4の処理は、ONU20への電源投入後であれば、ステップS3以前に実行されてもよい。
【0070】
一方、ONU20は、IEEE802.3ahの規格に従うリンクアップ処理を実行する。ステップS11において、ONU20は、MPCP(Multi-Point Control Protocol)に従うリンクアップを実行して、OLT10とONU20との間に論理リンク(LLID)を確立させる。LLIDの確立により、ステップS12において、OLT10は、ONUのPON MACのMACアドレスを把握する。
【0071】
ステップS13において、OLT10とONU20との間で、OAM(Operations, Administration, and Maintenance)プロトコルに従うリンクアップが行われる。ステップS14において、OLT10は、ONU20に対する命令を含む拡張OAMメッセージをONU20に送る。この命令は、ONU20のハードウェア情報をONU20に対して要求することを含む。
【0072】
ステップS15において、ONU20は、OLT10からの命令に従い、応答用の拡張OAMメッセージに、UNI PHYのMACアドレスを格納する。ステップS16において、ONU20は、その応答用の拡張OAMメッセージをOLT10に送る。これにより、ONU20は、OLT10に、ONU20のハードウェア情報を通知する。OLT10は、ONU20からの拡張OAMメッセージにより、ONU20のUNI PHYのMACアドレスを把握する(ステップS17)。
【0073】
ステップS15~S17の処理によって、OLT10とONU20との間で、HGW30に実装されているUNI PHYのMACアドレスが共有される(ステップS18)。OLT10、ONU20およびHGW30は正常に稼働を開始する(ステップS20)。
【0074】
図6は、プラガブルONUが正常に稼働した後のループバック処理を説明するシーケンス図である。図6に示す処理は、図5に示したステップS20の処理から続く処理である。
【0075】
OLT10は、ループバック開始要求のためのLoopbackフレームにUNI PHY(PHY部38)のMACアドレスを格納する。OLT10は、そのフレームをONU20に送信する(ステップS21)。これにより、OLT10は、UNI MACアドレスを指定する。
【0076】
ONU20のMPU25は、Loopbackフレームによって指定されたMACアドレスから、Loopbackフレームの折返しの場所を判定する。この際に、MPU25は、指定されたMACアドレスがPON MAC(MAC部24)のMACアドレスか否かを判定する(ステップS22)。
【0077】
指定されたMACアドレスがMAC部24のMACアドレスに一致する場合(ステップS22においてYES)、MPU25は、MAC部24に対して折返し処理を実行するように指示する(ステップS23)。指示に応じて、MAC部24は、折返し処理を有効にする(ステップS24)。これによりMAC部24は、ループバックモードとなる。ONU20は、OLT10からのLoopbackフレームをMAC部24で折り返してOLT10に送り返す(ステップS25)。
【0078】
一方、Loopbackフレームによって指定されたMACアドレスがPON MACのMACアドレスと異なる場合(ステップS22においてNO)、MPU25は、LoopbackフレームをHGW30のCPU35に転送する。CPU35は、Loopbackフレームによって指定されたMACアドレスが、UNI PHY(PHY部38)のMACアドレスに合致すると判定する(ステップS26)。したがって、MPU25からCPU35に、Loopbackフレームによって指定されたMACアドレスがPHY(PHY部38)のMACアドレスに一致することが通知される。CPU35は、PHY部38に対して折返し処理を実行するように指示する(ステップS27)。指示に応じて、PHY部38は、折返し処理を有効にする(ステップS28)。これにより、PHY部38はループバックモードとなる。
【0079】
続いて、ループバック処理が実行される(ステップS29)。HGW30は、OLT10からのLoopbackフレームをPHY部38で折り返してOLT10に送り返す。
【0080】
ステップS29の処理は、ステップS31~S37の処理からなる。ONU20のMPU25は、OLT10からのLoopbackフレームを受信する(ステップS31)。MPU25は、そのLoopbackフレームを、HGW30のCPU35へと転送する(ステップS32)。HGW30のCPU35は、Loopbackフレームを受信すると、そのLoopbackフレームをPHY部38に転送する(ステップS33)。PHY部38は、Loopbackフレームを折返す(ステップS34)。
【0081】
Loopbackフレームは、CPU35に戻されて、CPU35は、そのLoopbackフレームをONU20のMPU25に転送する(ステップS35,S36)。MPU25は、LoopbackフレームをOLT10に送り返す(ステップS37)。
【0082】
このように本開示の実施の形態では、ゲートウェイシステム40は、OLT10から送られたループバックフレームの経路を制御する。具体的には、OLT10は、ループバック試験の開始に先立って、ONU20から、PHY部38A,38BのMACアドレスを取得する。ループバック試験開始時に、ONU20のMPU25は、Loopbackフレームを受け取った際に、Loopbackフレームに格納されたMACアドレスをCPU35から取得したMACアドレスと比較する。両方のMACアドレスが一致する場合には、MPU25は、当該Loopbackフレームを、MSAインターフェイス32を介して、CPU35に転送する。CPU35はPHY部をループバックモードに設定する。これにより、UNI PHYのループバック試験を正しく実施できる。
【0083】
さらに、本開示の実施の形態によれば、LoopbackフレームによってPON MACのMACアドレスを指定することによって、PON区間のループバック試験も実施することができる。したがってIEEE802.3ah標準に従う既存のループバック試験も実施できる。
【0084】
本開示の実施の形態によれば、プラガブルONUと一体化されたホームゲートウェイの複数のポイントでリンクテストを実施できる。さらに本開示の実施の形態によれば、プラガブルONUとホームゲートウェイという複数の異なる装置の間で正常に通信ができることを容易に検査できる。したがって、ゲートウェイシステムの保守(たとえばプラガブルONUの交換)の際に、エンド・ツー・エンドでの疎通確認をより確実に行うことができる。
【0085】
図7は、本開示の実施の形態に従うゲートウェイシステムの保守方法の例を示したシーケンス図である。ステップS100において、交換作業が実行される。たとえば、ゲートウェイシステムの設置場所において、故障したプラガブルONUが新しいプラガブルONUに交換される。なお、交換作業は、プラガブルONUの交換に限定されず、HGW30の交換も含むことができる。
【0086】
交換作業が終了すると、ステップS110において初期化処理が実行される。この初期化処理は、図5に示したステップS1~S20の処理に相当する。
【0087】
初期化処理に続いて、正常稼働時のループバック処理が実行される(ステップS120)。このループバック処理は、図6に示したステップS21~S29の処理に相当する。
【0088】
ループバック処理が実行されると、OLT10は、その処理の結果を制御端末80に送信する(ステップS130)。これにより、制御端末80は、ループバック試験の結果を取得する(ステップS140)。制御端末80は、ループバック試験の結果に基づいて、UNIポートの良否を判定する(ステップS150)。UNIポートの良否の判定基準には、ONUのPON MACで折返されるループバック試験の判定基準と同じ基準を用いてもよい。
【0089】
たとえば局側のPONサービスの管理者(またはオペレータでもよい)は、ゲートウェイシステムの設置場所(たとえば加入者宅)にいる作業員に、ループバック試験の結果が正常であることを電話、電子メール等の手段により連絡することができる。作業員がループバック試験の完了をユーザに通知することにより、ユーザは、ループバック試験の結果を確認できる。ユーザは交換作業の完了をユーザ確認できる。したがって本開示の実施の形態に係る保守方法は、ユーザに提供されるサービスの質の向上を図ることができる。
【0090】
本開示の実施の形態に係るゲートウェイ装置は、ホームゲートウェイに限定されるものではない。たとえばゲートウェイ装置は、無線通信の基地局であってもよい。無線通信基地局は、たとえば5G(第5世代無線通信システム)モバイル基地局であってもよい。
【0091】
図8は、本開示の実施の形態に係るゲートウェイシステムが適用された無線通信基地局の構成を示した図である。図8に示すように、ゲートウェイシステム40Aは、ゲートウェイ装置30Aを含む。UNIポート39A,39Bにそれぞれ無線部60A,60Bが接続される点において、ゲートウェイ装置30Aは、図3に示したHGW30の構成と異なる。無線部60A,60Bは、それぞれアンテナ65A,65Bに接続される。このように、本開示の実施の形態は、ゲートウェイとしての機能を満たし、UNIポートを有し、かつ、プラガブルONUが挿抜可能な装置に適用することができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 光回線
2,4,4A,4B,4C,4D 光ファイバ
3 光カプラ
10 OLT
11 NNI部
12,24 MAC部
13 SerDes部
14,21 光リンク部
15,35 CPU
16,37 フラッシュROM
17,36 DRAM
20,20-1,20-2,20-n,20A,20B,20C,20D ONU
30 ホームゲートウェイ(HGW)
30A ゲートウェイ装置
31 基板
32 MSAインターフェイス
32A,32B,32C,32D ソケット
34 バス
38A,38B PHY部
39A,39B ユーザネットワークインターフェイスポート
40,40A ゲートウェイシステム
50 ユーザ端末
60A,60B 無線部
65A,65B アンテナ
70 上位ネットワーク
80 制御端末
100 PONシステム
A 領域
S1~S5,S11~S37,S100~S150 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8