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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】描画装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20231031BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20231031BHJP
   G09G 3/02 20060101ALI20231031BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
G09G3/02 A
H04N5/74 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020087955
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021182096
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】小山 裕貴
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060019(JP,A)
【文献】特開2004-126465(JP,A)
【文献】特開2004-279847(JP,A)
【文献】特開2010-044170(JP,A)
【文献】特公昭47-017859(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0022783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08 - 26/10
G09G 3/02
G03B 21/00
G03B 21/14
G03B 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射される光を反射する第1ミラーを含み、前記第1ミラーの反射光を第1の方向に出射する状態と第2の方向に出射する状態とに切り換える切り替えスイッチと、
前記第1の方向に出射された前記第1ミラーの反射光を反射する第2ミラーを含み、前記第1ミラーの反射光を走査するように前記第2ミラーを駆動して、第1の描画面に描画する第1ミラー駆動機構と、
前記第2の方向に出射された前記第1ミラーの反射光を反射する第3ミラーを含み、前記第1ミラーの反射光を走査するように前記第3ミラーを駆動して、前記第1の描画面と異なる第2の描画面に描画する第2ミラー駆動機構と、を備える、描画装置。
【請求項2】
前記切り替えスイッチは、前記第1ミラーを駆動するミラー駆動機構である、請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
前記レーザ光源から前記第1ミラーに至る第1の光路上に配置され、前記レーザ光源から出射される光を反射して前記第1ミラーに入射させる第4ミラーをさらに備える、請求項1または請求項2に記載の描画装置。
【請求項4】
前記第1ミラーから前記第2ミラーに至る第2の光路上に配置され、第1ミラーから出射される光を反射して前記第2ミラーに入射させる第5ミラーをさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の描画装置。
【請求項5】
前記レーザ光源から出射される光は、赤色の光と、緑色の光と、青色の光と、が合波された光である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、描画装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の半導体発光素子からの光が合波される発光部と、発光部からの光を走査する走査部とを含む光モジュールが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。このような光モジュールは、発光部からの光を所望の経路に沿って走査することにより、文字や図形などを描画することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-186068号公報
【文献】特開2014-56199号公報
【文献】国際公開第2007/120831号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の描画面に描画することが求められる場合がある。このような場合、単一の光源で複数の描画面に描画できることが望まれる。
【0005】
そこで、単一の光源で複数の描画面に描画することができる描画装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った描画装置は、レーザ光源と、レーザ光源から出射される光を反射する第1ミラーを含み、第1ミラーの反射光を第1の方向に出射する状態と第2の方向に出射する状態とに切り換える切り替えスイッチと、第1の方向に出射された第1ミラーの反射光を反射する第2ミラーを含み、第1ミラーの反射光を走査するように第2ミラーを駆動する第1ミラー駆動機構と、第2の方向に出射された第1ミラーの反射光を反射する第3ミラーを含み、第1ミラーの反射光を走査するように第3ミラーを駆動する第2ミラー駆動機構と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記描画装置によれば、単一の光源で複数の描画面に描画することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、図1に示すレーザ光源の内部の構造を示す概略平面図である。
図3図3は、MEMSで構成されている切り替えスイッチを示す概略平面図である。
図4図4は、図3に示す切り替えスイッチを図3に示す線分IV-IVで切断した場合の概略断面図である。
図5図5は、実施の形態2における描画装置の構成を示す概略図である。
図6図6は、実施の形態3における描画装置の構成を示す概略図である。
図7図7は、実施の形態4における描画装置の構成を示す概略図である。
図8図8は、実施の形態5における描画装置の構成を示す概略図である。
図9図9は、実施の形態6における描画装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る描画装置は、レーザ光源と、レーザ光源から出射される光を反射する第1ミラーを含み、第1ミラーの反射光を第1の方向に出射する状態と第2の方向に出射する状態とに切り換える切り替えスイッチと、第1の方向に出射された第1ミラーの反射光を反射する第2ミラーを含み、第1ミラーの反射光を走査するように第2ミラーを駆動する第1ミラー駆動機構と、第2の方向に出射された第1ミラーの反射光を反射する第3ミラーを含み、第1ミラーの反射光を走査するように第3ミラーを駆動する第2ミラー駆動機構と、を備える。
【0010】
本開示の描画装置において、レーザ光源から出射された光は、第1ミラーによって反射される。切り替えスイッチにより第1ミラーを駆動して、第1ミラーの反射光を第1の方向に出射する状態に切り替える。第1の方向に出射された第1ミラーの反射光を第2ミラーに入射させる。第1ミラー駆動機構により第1ミラーの反射光を走査するよう第2ミラーを駆動させて、第1の描画面に描画することができる。切り替えスイッチにより第1ミラーを駆動して、第1ミラーの反射光を第2の方向に出射する状態に切り替える。第2の方向に出射された第1ミラーの反射光を第3ミラーに入射させる。第2ミラー駆動機構により第1ミラーの反射光を走査するよう第3ミラーを駆動させて、第2の描画面に描画することができる。このように、切り替えスイッチにより第1ミラーの反射光を第1の方向に出射する状態および第2の方向に出射する状態に切り替え、一つのレーザ光源で第1の描画面および第2の描画面に描画することができる。よって、このような描画装置は、単一の光源で複数の描画面に描画することができる。
【0011】
上記描画装置において、切り替えスイッチは、第1ミラーを駆動するミラー駆動機構であってもよい。このようにすることにより、高速で第1ミラーを駆動させて、第1の描画面の描画および第2の描画面の描画を交互に高速で実現することができる。よって、第1の描画面の描画および第2の描画面の描画を視覚的に同時に行うことができる。
【0012】
上記描画装置において、レーザ光源から第1ミラーに至る第1の光路上に配置され、レーザ光源から出射される光を反射して第1ミラーに入射させる第4ミラーをさらに備えてもよい。このようにすることにより、レーザ光源および切り替えスイッチの設置位置の位置関係の自由度を高めることができる。
【0013】
上記描画装置において、第1ミラーから第2ミラーに至る第2の光路上に配置され、第1ミラーから出射される光を反射して第2ミラーに入射させる第5ミラーをさらに備えてもよい。このようにすることにより、第1の描画面の描画と第2の描画面の描画とを視覚的に同時に行いたい場合や切り替えスイッチとしてミラー駆動機構を用いた場合に、第1ミラーの振れ角を比較的小さくして、より精度よく描画することができる。
【0014】
上記描画装置において、レーザ光源から出射される光は、赤色の光と、緑色の光と、青色の光と、が合波された光であってもよい。このような光を用いることにより、所望の色の光によって描画することができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の描画装置の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0016】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1における描画装置の構成について説明する。図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概略図である。図1を参照して、実施の形態1における描画装置211Aは、レーザ光源212と、切り替えスイッチ221Aと、第1ミラー駆動機構231Aと、第2ミラー駆動機構231Bと、を含む。本実施形態においては、切り替えスイッチ221A、第1ミラー駆動機構231Aおよび第2ミラー駆動機構231Bは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により構成されている。
【0017】
レーザ光源212は、レーザを外部に出射する出射口215が形成され、内部に配置される光学的な部品を覆う筐体214を含む。図2は、図1に示すレーザ光源212の内部の構造を示す概略平面図である。
【0018】
図2を参照して、本実施の形態1におけるレーザ光源212は、発光部31と、発光部31により出射された光を合波する合波部32と、を含む。発光部31および合波部32は、それぞれ図2において破線で示される。発光部31は、光軸Lに沿って赤色のレーザ光を出射する赤色レーザダイオード41と、光軸Lに沿って緑色のレーザ光を出射する緑色レーザダイオード42と、光軸Lに沿って青色のレーザ光を出射する青色レーザダイオード43と、を含む。赤色レーザダイオード41、緑色レーザダイオード42および青色レーザダイオード43は、半導体チップにより構成されている。赤色レーザダイオード41と、緑色レーザダイオード42と、青色レーザダイオード43は、それぞれ間隔をあけて並列に配置されている。合波部32は、第1レンズ51と、第2レンズ52と、第3レンズ53と、第1フィルタ61と、第2フィルタ62と、第3フィルタ63と、を含む。第1レンズ51は、赤色レーザダイオード41から出射された光のスポットサイズを変更する。第2レンズ52は、緑色レーザダイオード42から出射された光のスポットサイズを変更する。第3レンズ53は、青色レーザダイオード43から出射された光のスポットサイズを変更する。第1フィルタ61は、赤色の光を反射する。第2フィルタ62は、赤色の光を透過し、緑色の光を反射する。第3フィルタ63は、赤色の光および緑色の光を透過し、青色の光を反射する。合波部32は、赤色レーザダイオード41、緑色レーザダイオード42および青色レーザダイオード43から出射される光を合波する。レーザ光源212において、合波部32によって合波された光は、出射口215を通って光路を示す矢印D11に沿って出射される。
【0019】
描画装置211Aにおいて、レーザ光源212から出射される光は、赤色の光と、緑色の光と、青色の光と、が合波された光である。レーザ光源212から出射される光として、このような合波光を用いると、描画する際に所望の色の光によって描画することができる。なお、レーザ光源212から出射される光は、平行光であって、直進性が高い光である。
【0020】
本実施形態においては、切り替えスイッチ221Aは、ミラー駆動機構である。図3は、MEMSで構成されている切り替えスイッチを示す概略平面図である。図4は、図3に示す切り替えスイッチを図3に示す線分IV-IVで切断した場合の概略断面図である。図3は、第1ミラー222Aの板厚方向に見た図である。なお、第1ミラー222Aの板厚方向は、図4中の矢印Tで示す方向である。また、図4において、後述する仮想線125Aを軸として第1ミラー222Aが傾斜した状態が破線で示されている。
【0021】
図3および図4を参照して、切り替えスイッチ221Aは、矢印D11の方向に出射されたレーザ光源212から出射された光を反射する第1ミラー222Aを含む。切り替えスイッチ221Aは、第1ミラー222Aの反射光を第1の方向に出射する状態と第2の方向に出射する状態とに切り換えるよう第1ミラー222Aを駆動する。
【0022】
ベース部111および第1ミラー222Aの構成について説明する。本実施形態においては、第1ミラー222Aは、円板状である。第1ミラー222Aの反射面223Aの直径Wは、例えば1.2mmである。第1ミラー222Aの反射面223Aには、例えば、アルミニウムといった金属が蒸着されている。第1ミラー222Aは、反射面223Aがベース部111の一方の主表面である一方の面121Aに沿うように配置される。
【0023】
ベース部111には、貫通孔115A,115B,115C,115Dが形成されている。第1ミラー222Aは、貫通孔115C,115D内に配置される。ベース部111は、第1ミラー222Aを揺動させる駆動部113と、駆動部113を取り囲むように配置される枠体112と、を含む。ベース部111は、貫通孔115C,115Dを取り囲むベース部111の内壁面129A,129Bと第1ミラー222Aの外縁130とを接続する接続部としての一対の第1の軸部118A,118Bと、一対の第2の軸部119A,119Bと、を含む。図3に示すように第1ミラー222Aの板厚方向に見て、ベース部111の外形形状は、長方形の形状を有する。ベース部111の外壁面である枠体112の外壁面114Aは、第1ミラー222Aの板厚方向に見て、一対の長辺と一対の短辺とを含む形状である。枠体112は、環状に形成される。駆動部113は、外壁面114Aから離れて配置される。枠体112は、外壁面114Aに沿って延びる形状である。
【0024】
駆動部113は、一対の第1部分116A,116Bと、第2部分117とを含む。なお、図3において、枠体112と一対の第1部分116A,116Bとのそれぞれの境界を破線で示している。一対の第1部分116A,116Bはそれぞれ、枠体112に接続される。一対の第1部分116A,116Bはそれぞれ、枠体112の内壁面114Bから互いが位置する方向に突出するように配置される。第2部分117は、第1ミラー222Aの板厚方向に見て、長方形の形状を有する。枠体112の一方の面121Aと、第1部分116Aの一方の面121Bおよび第1部分116Bの一方の面121Cとはそれぞれ連なって形成される(特に図4参照)。
【0025】
一対の第2の軸部119A,119Bは、細い棒状である。一対の第2の軸部119A,119Bはそれぞれ、一対の第1部分116A,116Bに接続されている。一対の第2の軸部119A,119Bはそれぞれ、第2部分117の外縁124の一部と接続されている。
【0026】
第2部分117は、上記した貫通孔115C,115Dを有する。第2部分117と一対の第1部分116A,116Bとの間、第2部分117と枠体112との間および一対の第1部分116A,116Bと枠体112との間には、一対の第2の軸部119A,119Bが配置される領域を除いて貫通孔115A,115Bが配置される。第2部分117は、一対の第1部分116A,116Bに対して一対の第2の軸部119A,119Bを揺動軸として揺動可能に一対の第2の軸部119A,119Bにより支持されている。すなわち、一対の第2の軸部119A,119Bは、第1ミラー222Aを揺動可能に支持する第2の支持部である。一対の第2の軸部119A,119Bを通り、一点鎖線で示す第2の仮想線125Bが、揺動の中心軸となる。
【0027】
一対の第1の軸部118A,118Bは、細い棒状である。一対の第1の軸部118A,118Bは、貫通孔115C,115Dを取り囲むベース部111の内壁面129A,129Bと第1ミラー222Aの外縁130とを接続する接続部である。第2部分117と第1ミラー222Aとの間には、一対の第1の軸部118A,118Bが配置される領域を除いて貫通孔115C,115Dが配置される。第1ミラー222Aは、駆動部113に対して一対の第1の軸部118A,118Bを揺動軸として共振により揺動可能に一対の第1の軸部118A,118Bにより支持されている。すなわち、一対の第1の軸部118A,118Bは、第1ミラー222Aを揺動可能に支持する第1の支持部である。一対の第1の軸部118A,118Bを通り、一点鎖線で示す第1の仮想線125Aが、揺動の中心軸となる。
【0028】
駆動部113は、一対のピエゾ素子122A,122Bを含む。第1部分116Aの一方の面121B上に、一対のピエゾ素子122A,122Bが配置される。ピエゾ素子122A,122Bは、Y方向に間隔をあけて配置される。ピエゾ素子122A,122Bは、第1ミラー222Aの板厚方向に見て、それぞれ長方形の形状を有する。同様に、駆動部113は、一対のピエゾ素子123A,123Bを含む。第1部分116Bの一方の面121C上に、一対のピエゾ素子123A,123Bが配置される。ピエゾ素子123A,123Bは、Y方向に間隔をあけて配置される。ピエゾ素子123A,123Bは、第1ミラー222Aの板厚方向に見て、それぞれ長方形の形状を有する。
【0029】
MEMSで構成されている切り替えスイッチ221Aを使用する場合は、ピエゾ素子122A,122Bまたはピエゾ素子123A,123Bに所望の直流電圧を印加することで、第1ミラー222Aの位置を決定することができる。すなわち、ピエゾ素子122A,122Bまたはピエゾ素子123A,123Bに所望の直流電圧を印加することで、仮想線125Bを軸として第1ミラー222Aを所望の角度に傾斜させて、所望の方向に反射光を出射させることができる。
【0030】
駆動部113は、一対のピエゾ素子127A,127Bを含む。ピエゾ素子127A,127Bはそれぞれ、第2部分117の一方の面121D上に配置される。内壁面129Aに沿って、ピエゾ素子127Aが配置される。内壁面129Bに沿って、ピエゾ素子127Bが配置される。
【0031】
MEMSで構成されている切り替えスイッチ221Aを使用する場合は、ピエゾ素子127Aまたはピエゾ素子127Bに所望の直流電圧を印加することで、第1ミラー222Aの位置を決定することができる。すなわち、ピエゾ素子127Aまたはピエゾ素子127Bに所望の直流電圧を印加することで、仮想線125Aを軸として第1ミラー222Aを所望の角度に傾斜させて、所望の方向に反射光を出射させることができる。
【0032】
なお、第1ミラー駆動機構231Aは、第1の方向に出射された第1ミラー222Aの反射光を反射する第2ミラー232Aを含む。第1ミラー駆動機構231Aは、第1ミラー222Aの反射光を第2ミラー232Aにより反射させる。第1ミラー駆動機構231Aは、第2ミラー232Aを揺動させるように駆動する。第2ミラー駆動機構231Bは、第2の方向に出射された第1ミラー222Aの反射光を反射する第3ミラー233Bを含む。第2ミラー駆動機構231Bは、第1ミラー222Aの反射光を第3ミラー233Bにより反射させる。第2ミラー駆動機構231Bは、第3ミラー233Bを揺動させるように駆動する。第1ミラー駆動機構231Aおよび第2ミラー駆動機構231Bの構成はそれぞれ、MEMSで構成されている切り替えスイッチ221Aの構成と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0033】
次に、描画装置211Aを用いて第1の描画面および第2の描画面に描画する場合の動作について説明する。まず、第1の描画面241Aに描画する場合について説明する。再び図1を参照して、レーザ光源212からレーザ光が出射される。レーザ光は平行光であり、出射口215から矢印D11で示す方向に出射される。レーザ光は、切り替えスイッチ221Aの第1ミラー222Aの反射面223Aに到達する。ここで、第1ミラー222Aは、切り替えスイッチ221Aにより、第1ミラー222Aの反射光を第1の方向である矢印D12の方向に出射する状態に切り換えられている。よって、第1ミラー222Aの反射光は、矢印D12に沿って進行し、第1ミラー駆動機構231Aの第2ミラー232Aに到達する。第2ミラー232Aは、第1ミラー222Aの反射光を反射する。ここで、第1ミラー駆動機構231Aは、第1ミラー222Aの反射光を第2ミラー232Aによって反射させて走査するように第2ミラー232Aを駆動する。よって、第2ミラー232Aにより矢印D13の方向に沿って第2ミラー232Aの反射光を進行させ、第1の描画面241Aに描画することができる。
【0034】
次に第1ミラー222Aが切り替えスイッチ221Aにより、第1ミラー222Aの反射光を第2の方向である矢印D14の方向に出射する状態に切り替えられると、第1ミラー222Aの反射光は、矢印D14に沿って進行し、第2ミラー駆動機構231Bの第3ミラー233Bに到達する。第3ミラー233Bは、第1ミラー222Aの反射光を反射する。ここで、第2ミラー駆動機構231Bは、第1ミラー222Aの反射光を第3ミラー233Bによって反射させて走査するように第3ミラー233Bを駆動する。よって、第3ミラー233Bにより矢印D15の方向に沿って第3ミラー233Bの反射光を進行させ、第2の描画面241Bに描画することができる。
【0035】
このように、上記描画装置211Aでは、レーザ光源212から出射された光は、第1ミラー222Aによって反射される。切り替えスイッチ221Aにより第1ミラー222Aを駆動して、第1ミラー222Aの反射光を第1の方向である矢印D12の方向に出射する状態に切り替える。第1の方向に出射された第1ミラー222Aの反射光を第2ミラー232Aに入射させる。第1ミラー駆動機構231Aによって、第1ミラー222Aの反射光を第2ミラー232Aによって反射させて走査するよう第2ミラー232Aを駆動させて、第1の描画面241Aに描画することができる。次に、切り替えスイッチ221Aにより第1ミラー222Aを駆動して、第1ミラー222Aの反射光を第2の方向である矢印D14の方向に出射する状態に切り替える。第2の方向に出射された第1ミラー222Aの反射光を第3ミラー233Bに入射させる。第2ミラー駆動機構231Bによって、第1ミラー222Aの反射光を第3ミラー233Bによって反射させて走査するよう第3ミラー233Bを駆動させて、第2の描画面241Bに描画することができる。このように、切り替えスイッチ221Aにより第1ミラー222Aの反射光を第1の方向に出射する状態および第2の方向に出射する状態に切り替え、一つのレーザ光源212で第1の描画面241Aおよび第2の描画面241Bに描画することができる。その結果、上記描画装置211Aは、単一のレーザ光源212で第1の描画面241Aおよび第2の描画面241Bに描画することができる描画装置となっている。
【0036】
上記描画装置211Aにおいて、切り替えスイッチ221Aは、第1ミラー222Aを駆動するミラー駆動機構である。よって、高速で第1ミラー222Aを駆動させて、第1の描画面241Aの描画および第2の描画面241Bの描画を交互に高速で実現することができる。よって、上記描画装置211Aは、第1の描画面241Aの描画および第2の描画面241Bの描画を視覚的に同時に行うことができる描画装置となっている。
【0037】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2における描画装置の構成を示す概略図である。実施の形態2の描画装置は、第4ミラーをさらに含む点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0038】
図5を参照して、実施の形態2における描画装置211Bは、第1ミラー222Aを含む切り替えスイッチ221Aと、第2ミラー232Aを含む第1ミラー駆動機構231Aと、第2ミラー駆動機構(図示せず)と、を含む。描画装置211Bは、レーザ光源212から第1ミラー222Aに至る第1の光路上に配置され、レーザ光源212から出射される光を反射して第1ミラー222Aに入射させる第4ミラー216を含む。切り替えスイッチ221Aは、第4ミラー216によって反射された光が第1ミラー222Aに入射する位置に配置されている。
【0039】
このような描画装置211Bは、レーザ光源212から出射され、第4ミラー216によって反射された光が第1ミラー222Aに入射する。第1ミラー222Aからの反射光が、第2ミラー232Aに入射する。この入射した光を利用して、第1の描画面241Aに描画する。よって、このような描画装置211Bは、レーザ光源212および切り替えスイッチ221Aの設置位置の位置関係の自由度を高めることができる描画装置となっている。
【0040】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図6は、実施の形態3における描画装置の構成を示す概略図である。実施の形態3の描画装置は、第5ミラーをさらに含む点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0041】
図6を参照して、実施の形態3における描画装置211Cは、第1ミラー222Aを含む切り替えスイッチ221Aと、第2ミラー232Aを含む第1ミラー駆動機構231Aと、第2ミラー駆動機構(図示せず)と、を含む。描画装置211Cは、第1ミラー222Aから第2ミラー232Aに至る第2の光路上に配置され、第1ミラー222Aから出射される光を反射して第2ミラー232Aに入射させる第5ミラー217を含む。第1ミラー駆動機構231Aは、第5ミラー217によって反射された光が第2ミラー232Aに入射する位置に配置されている。
【0042】
このような描画装置211Cは、レーザ光源212から出射され、第1ミラー222Aによって反射された光が第5ミラー217に入射する。第5ミラー217からの反射光が、第2ミラー232Aに入射する。この入射した光を利用して、第1の描画面241Aに描画する。このような描画装置211Cは、第1の描画面241Aの描画と第2の描画面の描画とを視覚的に同時に行いたい場合や切り替えスイッチ221Aとしてミラー駆動機構を用いた場合に、第1ミラー222Aの振れ角を比較的小さくして、より精度よく描画することができる描画装置となっている。
【0043】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図7は、実施の形態4における描画装置の構成を示す概略図である。実施の形態4の描画装置は、ミラーをさらに含む点およびミラー駆動機構の数が異なる点において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0044】
図7を参照して、実施の形態4における描画装置211Dは、第1ミラー駆動機構231Aと、第2ミラー駆動機構231Bと、第3ミラー駆動機構231Cと、第4ミラー駆動機構231Dと、第5ミラー駆動機構231Eと、第6ミラー駆動機構231Fと、を含む。描画装置211Dは、第1ミラー222Aから第2ミラー232Aに至る第2の光路上に配置され、第1ミラー222Aから出射される光を反射して第2ミラー232Aに入射させる第5ミラー217を含む。
【0045】
切り替えスイッチ221Aは、第1ミラー222Aを駆動させて、レーザ光源212から入射し、第1ミラー222Aによって反射された光を、第1ミラー駆動機構231A、第2ミラー駆動機構231Bおよび第3ミラー駆動機構231Cのそれぞれに入射させることができる。第1ミラー駆動機構231A、第2ミラー駆動機構231Bおよび第3ミラー駆動機構231Cには、レーザ光源212から出射され、第1ミラー222Aによって反射された光が入射する。
【0046】
第1ミラー駆動機構231Aは、第1ミラー駆動機構231Aに入射した光を走査する。そして、第1の描画面241Aに画像を描画する。第2ミラー駆動機構231Bは、第2ミラー駆動機構231Bに入射した光を走査する。そして、第2の描画面241Bに画像を描画する。第3ミラー駆動機構231Cは、第3ミラー駆動機構231Cに入射した光を走査する。そして、第3の描画面241Cに画像を描画する。
【0047】
切り替えスイッチ221Aは、第1ミラー222Aを駆動させて、レーザ光源212から入射し、第1ミラー222Aによって反射され、さらに第5ミラー217によって反射された光を、第4ミラー駆動機構231D、第5ミラー駆動機構231Eおよび第6ミラー駆動機構231Fのそれぞれに入射させることができる。第4ミラー駆動機構231D、第5ミラー駆動機構231Eおよび第6ミラー駆動機構231Fには、レーザ光源212から出射され、第1ミラー222Aによって反射され、さらに第5ミラー217によって反射された光が入射する。
【0048】
第4ミラー駆動機構231Dは、第4ミラー駆動機構231Dに入射した光を走査する。そして、第4の描画面241Dに画像を描画する。第5ミラー駆動機構231Eは、第5ミラー駆動機構231Eに入射した光を走査する。そして、第5の描画面241Eに画像を描画する。第6ミラー駆動機構231Fは、第6ミラー駆動機構231Fに入射した光を走査する。そして、第6の描画面241Fに画像を描画する。
【0049】
このような描画装置211Dは、1つのレーザ光源212で、360度に相当する領域において、6つに分割した描画面241A,241B,241C,241D,241E,241Fで描画することができる描画装置となっている。よって、上記描画装置211Dは、単一の光源でより多くの描画面に描画することができる描画装置となっている。
【0050】
本実施形態において、レーザ光源212から第1ミラー222Aに至る第1の光路上に配置され、レーザ光源212から出射される光を反射して第1ミラー222Aに入射させる第4ミラーをさらに備えてもよい。このようにすることにより、レーザ光源212および切り替えスイッチ221Aの設置位置の位置関係の自由度を高めることができる。
【0051】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図8は、実施の形態5における描画装置の構成を示す概略図である。実施の形態5の描画装置は、自動車に実装されており、描画面として自動車のフロントガラス、サイドガラスおよびリアガラスを利用している点において実施の形態1および実施の形態2の場合とは異なっている。
【0052】
図8を参照して、実施の形態5における描画装置211Eは、自動車251に搭載されている。自動車251は、運転席252の前方に配置されるフロントガラス253と、運転席252の側方に配置されるサイドガラス254と、運転席252の後方に配置されるリアガラス255と、を含む。描画装置211Eは、レーザ光源212と、切り替えスイッチ221Aと、第5ミラー217と、第1ミラー駆動機構231Aと、第2ミラー駆動機構231Bと、第3ミラー駆動機構231Cと、第4ミラー駆動機構231Dと、を含む。レーザ光源212、切り替えスイッチ221A、第1ミラー駆動機構231A、第2ミラー駆動機構231B、第3ミラー駆動機構231Cおよび第4ミラー駆動機構231Dはそれぞれ、例えば自動車の天井256に取り付けられている。
【0053】
描画装置211Eにより、例えばフロントガラス253を第3の描画面241C、サイドガラス254を第1の描画面241A、リアガラス255を第4の描画面241Dとすることができる。このような描画装置211Eは、構成のコンパクト化が求められる自動車251の車室内において、限られたスペースを有効に活用して安価に各ガラスに描画することができる描画装置となっている。
【0054】
(実施の形態6)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態6について説明する。図9は、実施の形態6における描画装置の構成を示す概略図である。実施の形態6の描画装置は、自動車の外側の周辺を描画面としている点において実施の形態5の場合とは異なっている。
【0055】
図9を参照して、実施の形態6における描画装置211Fは、自動車251に搭載されている。描画装置211Fは、レーザ光源212と、切り替えスイッチ221Aと、第1ミラー駆動機構231Aと、第2ミラー駆動機構231Bと、第3ミラー駆動機構231Cと、を含む。描画装置211Fは、自動車251の外側の周辺を描画面としている。具体的には、第1ミラー駆動機構231A、第2ミラー駆動機構231Bおよび第3ミラー駆動機構231Cは、フロント側から順に自動車251のボディ257の側面の外側を描画面としている。このような描画装置211Fは、自動車251の外側の横部分を描画面として描画することができる。
【0056】
(他の実施の形態)
上記の実施の形態においては、描画装置がレーザ光源212や切り替えスイッチ221A、第1ミラー駆動機構231A等の位置を制御する制御装置を含んでもよい。制御装置は、第1ミラー222A等に入射する光量を監視するモニター機構の光量のデータや外部から入力されるデータを基に、レーザ光源212等を移動させることにしてもよい。こうすることにより、描画装置を構成する各部材の位置の調整を精密に行うことができる。また、レーザ光源212の位置を移動させる駆動機構を設け、制御装置からの信号により駆動機構を駆動させてレーザ光源212等の位置を調整することにしてもよい。
【0057】
上記の実施の形態においては、圧電現象によりミラーを揺動させることにしたが、これに限らず、他の方式、例えば電磁力を利用してミラーを揺動させることにしてもよい。
【0058】
上記の実施の形態において、ミラー駆動機構は、一対の第1の軸部および一対の第2の軸部によってミラーを揺動させることにしたが、これに限らず、ミラー駆動機構は、いずれか一方によってミラーを揺動するようにしてもよい。
【0059】
上記の実施の形態においては、レーザ光源212において赤色の光、緑色の光および青色の光を合波して出射することとしたが、これに限らず、レーザ光源212から出射された赤色の光、緑色の光および青色の光をレーザ光源212外で合波することにしてもよい。この場合、例えば、導波路を利用して合波してもよい。さらにレーザ光源212は、単色の光を出射してもよいし、2色の光、4色以上の光を出射することにしてもよい。さらにレーザ光源212は、CANタイプのレーザ光源212であってもよい。
【0060】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示の描画装置は、単一の光源で複数の描画面への描画が求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0062】
31 発光部
32 合波部
41 赤色レーザダイオード
42 緑色レーザダイオード
43 青色レーザダイオード
51 第1レンズ
52 第2レンズ
53 第3レンズ
61 第1フィルタ
62 第2フィルタ
63 第3フィルタ
111 ベース部
112 枠体
113 駆動部
114A 外壁面
114B,129A,129B 内壁面
115A,115B,115C,115D 貫通孔
116A,116B 第1部分
117 第2部分
118A,118B 第1の軸部
119A,119B 第2の軸部
121A,121B,121C,121D 面
122A,122B,123A,123B,127A,127B ピエゾ素子
124,130 外縁
125A,125B 仮想線
211A,211B,211C,211D,211E,211F 描画装置
212 レーザ光源
214 筐体
215 出射口
216 第4ミラー
217 第5ミラー
221A 切り替えスイッチ
222A 第1ミラー
223A 反射面
231A 第1ミラー駆動機構
231B 第2ミラー駆動機構
231C 第3ミラー駆動機構
231D 第4ミラー駆動機構
231E 第5ミラー駆動機構
231F 第6ミラー駆動機構
232A 第2ミラー
233B 第3ミラー
241A,241B,241C,241D,241E,241F 描画面
251 自動車
252 運転席
253 フロントガラス
254 サイドガラス
255 リアガラス
256 天井
257 ボディ
11,D12,D13,D14,D15,T 矢印
,L,L 光軸
直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9