(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車両制御方法、車両制御プログラム、及び車両制御システム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/02 20060101AFI20231031BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231031BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231031BHJP
B60Q 1/02 20060101ALI20231031BHJP
B60Q 1/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B60W40/02
B60W50/14
G08G1/16 C
B60Q1/02 C
B60Q1/00 G
(21)【出願番号】P 2020096348
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100113011
【氏名又は名称】大西 秀和
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳嗣
(72)【発明者】
【氏名】森田 祐輔
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-320700(JP,A)
【文献】特開2017-194861(JP,A)
【文献】特開2006-036075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/16
B60Q 1/02
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を制御する車両制御方法であって、
前記車両に搭載された第1センサを用いて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出することと、
前記車両に搭載された第2センサを用いて、前記車両が前記車両を覆う上方構造物の下方を通過しているか否かを判定することと、
前記降雨状態が検出された場合、天候状態は前記降雨状態であると判定することと、
前記降雨状態から前記非降雨状態への遷移が検出された場合、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因するか否かを判定することと、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因する場合、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移を棄却し、前記降雨状態が継続していると判定することと、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因しない場合、前記天候状態は前記非降雨状態であると判定することと、
前記天候状態が前記降雨状態であるか前記非降雨状態であるかに基づいて前記車両を制御することと
を含
み、
状態遷移検出タイミングは、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が検出されたタイミングであり、
トンネル進入タイミングは、前記車両が前記上方構造物の下方の空間に進入したことが検出されたタイミングであり、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因するか否かを判定することは、前記状態遷移検出タイミングと前記トンネル進入タイミングとの間の差が所定時間以内である場合に前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因すると判定することを含む
車両制御方法。
【請求項2】
請求項1
に記載の車両制御方法であって、
前記車両を制御することは、前記天候状態が前記降雨状態である場合に、前記車両に搭載された出力装置を制御して警告をドライバに通知することを含む
車両制御方法。
【請求項3】
請求項1
に記載の車両制御方法であって、
前記車両の操舵、加速、及び減速のうち少なくとも1つを自動的に制御する運転支援制御を実行することを更に含み、
前記車両を制御することは、前記運転支援制御の実行中、前記天候状態が前記降雨状態である場合に、前記車両に搭載された出力装置を制御して警告をドライバに通知することを含む
車両制御方法。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の車両制御方法であって、
前記第2センサは、前記車両の周囲の照度を計測する照度センサであり、
前記車両が前記上方構造物の下方を通過しているか否かは、前記照度に基づいて判定される
車両制御方法。
【請求項5】
車両を制御する車両制御プログラムであって、
前記車両制御プログラムは、1又は複数のプロセッサによって実行され、
前記1又は複数のプロセッサは、前記車両制御プログラムを実行することにより、
前記車両に搭載された第1センサによる検出結果に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出し、
前記車両に搭載された第2センサによる検出結果に基づいて、前記車両が前記車両を覆う上方構造物の下方を通過しているか否かを判定し、
前記降雨状態が検出された場合、天候状態は前記降雨状態であると判定し、
前記降雨状態から前記非降雨状態への遷移が検出された場合、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因するか否かを判定し、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因する場合、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移を棄却し、前記降雨状態が継続していると判定し、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因しない場合、前記天候状態は前記非降雨状態であると判定し、
前記天候状態が前記降雨状態であるか前記非降雨状態であるかに基づいて前記車両を制御
し、
状態遷移検出タイミングは、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が検出されたタイミングであり、
トンネル進入タイミングは、前記車両が前記上方構造物の下方の空間に進入したことが検出されたタイミングであり、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因するか否かを判定することは、前記状態遷移検出タイミングと前記トンネル進入タイミングとの間の差が所定時間以内である場合に前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因すると判定することを含む
車両制御プログラム。
【請求項6】
車両を制御する車両制御システムであって、
1又は複数のプロセッサと、
前記車両に搭載されたセンサによって検出される前記車両の周囲の状況を示す周辺状況情報が格納される1又は複数の記憶装置と
を備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記周辺状況情報に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出し、
前記周辺状況情報に基づいて、前記車両が前記車両を覆う上方構造物の下方を通過しているか否かを判定し、
前記降雨状態が検出された場合、天候状態は前記降雨状態であると判定し、
前記降雨状態から前記非降雨状態への遷移が検出された場合、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因するか否かを判定し、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因する場合、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移を棄却し、前記降雨状態が継続していると判定し、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因しない場合、前記天候状態は前記非降雨状態であると判定し、
前記天候状態が前記降雨状態であるか前記非降雨状態であるかに基づいて前記車両を制御する
ように構成され
、
状態遷移検出タイミングは、前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が検出されたタイミングであり、
トンネル進入タイミングは、前記車両が前記上方構造物の下方の空間に進入したことが検出されたタイミングであり、
前記降雨状態から前記非降雨状態への前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因するか否かを判定することは、前記状態遷移検出タイミングと前記トンネル進入タイミングとの間の差が所定時間以内である場合に前記遷移が前記上方構造物の下方を前記車両が通過することに起因すると判定することを含む
車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を制御する技術に関する。特に、本発明は、天候状態に基づいて車両を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両制御装置を開示している。車両制御装置は、トンネル内で自車両と対向する対向車両の状態を検出する。そして、車両制御装置は、対向車両の状態に基づいて、トンネルの先のエリアが悪天候であるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
天候状態が降雨状態であるか否かに基づいて車両を制御することを考える。降雨状態とは、雨あるいは雪が降っている悪天候状態を意味する。降雨状態は、車両に搭載されたセンサを用いることによって検出可能である。但し、車両が車両を覆う上方構造物の下方を通過している期間、センサによる降雨状態の検出は一時的に停止する。結果として、車両が上方構造物の下方を通過する度に、車両制御のハンチングが発生することになる。
【0005】
本発明の1つの目的は、天候状態が降雨状態であるか否かに基づく車両制御のハンチングを抑制することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点は、車両を制御する車両制御方法に関連する。
車両制御方法は、
車両に搭載された第1センサを用いて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出することと、
車両に搭載された第2センサを用いて、車両が車両を覆う上方構造物の下方を通過しているか否かを判定することと、
車両が上方構造物の下方を通過する場合、降雨状態から非降雨状態への遷移が検出されたとしても、降雨状態が継続していると判定することと、
天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかに基づいて車両を制御することと
を含む。
【0007】
第2の観点は、車両を制御する車両制御プログラムに関連する。
車両制御プログラムは、1又は複数のプロセッサによって実行される。
1又は複数のプロセッサは、車両制御プログラムを実行することにより、
車両に搭載された第1センサによる検出結果に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出し、
車両に搭載された第2センサによる検出結果に基づいて、車両が車両を覆う上方構造物の下方を通過しているか否かを判定し、
車両が上方構造物の下方を通過する場合、降雨状態から非降雨状態への遷移が検出されたとしても、降雨状態が継続していると判定し、
天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかに基づいて車両を制御する。
【0008】
第3の観点は、車両を制御する車両制御システムに関連する。
車両制御システムは、
1又は複数のプロセッサと、
車両に搭載されたセンサによって検出される車両の周囲の状況を示す周辺状況情報が格納される1又は複数の記憶装置と
を備える。
1又は複数のプロセッサは、
周辺状況情報に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出し、
周辺状況情報に基づいて、車両が車両を覆う上方構造物の下方を通過しているか否かを判定し、
車両が上方構造物の下方を通過する場合、降雨状態から非降雨状態への遷移が検出されたとしても、降雨状態が継続していると判定し、
天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかに基づいて車両を制御する
ように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、天候状態が降雨状態であるか否かに基づいて、車両制御が行われる。天候状態が降雨状態であるか否かを判定するために、車両が上方構造物の下方を通過しているか否かも考慮される。具体的には、車両が上方構造物の下方を通過する場合は、降雨状態から非降雨状態への遷移が検出されたとしても、降雨状態が継続していると判定される。これにより、車両が上方構造物の下方を通過する際の車両制御のハンチングが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る車両制御システムの概要を説明するための概念図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る車両制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る車両制御システムの構成例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るセンサ群と運転環境情報の例を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るトンネル通過判定処理の一例を説明するための概念図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る天候状態判定処理を要約的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
1.概要
1-1.車両制御システム
図1は、本実施の形態に係る車両制御システム10の概要を説明するための概念図である。車両制御システム10は、車両1を制御する。典型的には、車両制御システム10は、車両1に搭載されている。あるいは、車両制御システム10の少なくとも一部は、車両1の外部に配置され、リモートで車両制御を行ってもよい。
【0013】
車両制御は、車両1のライトやワイパーといった機器を自動的にON/OFFする「車両機器制御」を含む。
【0014】
また、車両制御は、車両1に搭載された出力装置を制御してドライバに情報を提供する「情報提供制御」を含む。出力装置としては、表示装置やスピーカが例示される。
【0015】
更に、車両制御は、車両1の操舵、加速、及び減速のうち少なくとも1つを自動的に制御する「車両走行制御」を含む。特に、車両走行制御は、車両1の運転を支援する「運転支援制御」に適用される。運転支援制御としては、自動運転制御、リスク回避制御、車線維持支援制御(LTA: Lane Tracing Assist)、等が挙げられる。自動運転制御は、車両1の自動運転を制御する。例えば、自動運転制御は、車両1が目的地に向かって自動的に走行するように車両走行制御を行う。リスク回避制御は、車両1の前方の物体との衝突リスクを低減するために操舵制御と制動制御のうち少なくとも一方を行う。車線維持支援制御は、車両1が走行レーンに沿って走行するように車両走行制御を行う。
【0016】
1-2.天候状態に基づく車両制御
本実施の形態では、特に、天候状態に基づく車両制御について考える。車両制御システム10は、車両1に搭載されたセンサを用いて、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかを判定する。ここで、「降雨状態」とは、雨あるいは雪が降っている悪天候状態を意味する。一方、「非降雨状態」とは、降雨状態ではない状態を意味する。
【0017】
悪天候フラグFLは、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかを示す。天候状態が降雨状態であると判定された場合、車両制御システム10は、悪天候フラグFLをONに設定する。一方、天候状態が非降雨状態であると判定された場合、車両制御システム10は、悪天候フラグFLをOFFに設定する。そして、車両制御システム10は、悪天候フラグFLに基づいて車両制御を行う。
【0018】
例えば、悪天候フラグFLがONである場合、車両制御システム10は、ドライバに警告を通知する情報提供制御を行う。特に、降雨状態では上述の運転支援制御の精度が低下する可能性もある。従って、車両制御システム10は、運転支援制御の実行中に悪天候フラグFLがONとなった場合に、ドライバに警告を通知する情報提供制御を行ってもよい。実行中の運転支援制御が自動運転制御である場合、車両制御システム10は、手動運転の開始を要求する移行要求(transition demand)をドライバに通知してもよい。
【0019】
他の例として、悪天候フラグFLがONである場合、車両制御システム10は、車両1のワイパーを自動的に作動させてもよい。
【0020】
1-3.上方構造物を考慮した車両制御
次に、
図1に示されるように、車両1が上方構造物3の下方を通過する場合を考える。上方構造物3は、車両1の上方に存在し、車両1を覆う構造物である。例えば、上方構造物3は、トンネルを形成する構造物である。この場合、車両1が上方構造物3の下方を通過するとは、車両1がトンネル内を通過することを意味する。トンネルの他、上方構造物3の例としては、道路の立体交差、屋根、シェード、樹木、等が挙げられる。いずれの場合であっても、上方構造物3は、雨や雪の落下を妨げる。上方構造物3の下方では、車両1が上方構造物3によって覆われるため、センサによる降雨状態の検出は一時的に停止する。
【0021】
まず、比較例として、センサによる降雨状態の検出結果が、そのまま、悪天候フラグFLに反映される場合を考える。
図1に示されるように、上方構造物3の前後では、センサによって降雨状態が検出され、悪天候フラグFLはONに設定される。一方、車両1が上方構造物3の下方を通過する期間、センサによる降雨状態の検出は一時的に停止し、悪天候フラグFLはOFFに設定される。このように、車両1が上方構造物3の下方を通過する度に、悪天候フラグFLのON/OFFが切り替わる。その結果、悪天候フラグFLに基づく車両制御のハンチングが発生することになる。そのような車両制御のハンチングに対し、車両1のドライバは煩わしさを感じるおそれがある。
【0022】
そこで、本実施の形態は、車両1が上方構造物3の下方を通過する際の車両制御のハンチングを抑制することができる技術を提供する。具体的には、車両1が上方構造物3の下方を通過する場合、車両制御システム10は、センサによって降雨状態から非降雨状態への遷移が検出されたとしても、降雨状態が継続していると判定する(みなす)。言い換えれば、降雨状態から非降雨状態への状態遷移が上方構造物3の下方の車両1の通過に起因する場合、車両制御システム10は、その状態遷移を棄却し、降雨状態が継続していると判定する。これにより、
図1に示されるように、車両1が上方構造物3の下方を通過する期間においても、悪天候フラグFLはONのまま維持される。その結果、悪天候フラグFLに基づく車両制御のハンチングが抑制される。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る車両制御システム10の機能構成を示すブロック図である。車両制御システム10は、機能ブロックとして、天候状態検出部11、トンネル通過判定部12、悪天候フラグ判定部13、及び車両制御部14を備えている。
【0024】
天候状態検出部11は、車両1に搭載された第1センサを用いて、天候状態(すなわち、降雨状態あるいは非降雨状態)を検出する。第1センサは、車両1の周囲の状況を検出する。その第1センサによる検出結果に基づいて、天候状態検出部11は、降雨状態あるいは非降雨状態を検出する。第1センサ及び天候状態検出部11による処理の具体例は後述される。
【0025】
トンネル通過判定部12は、車両1に搭載された第2センサを用いて、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定する。第2センサは、車両1の周囲の状況を検出する。第2センサは、第1センサと同じであってもよいし、異なっていてもよい。その第2センサによる検出結果に基づいて、トンネル通過判定部12は、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定する。第2センサ及びトンネル通過判定部12による処理の具体例は後述される。
【0026】
悪天候フラグ判定部13は、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかを判定し、悪天候フラグFLを設定する。この悪天候フラグ判定部13は、天候状態検出部11による検出結果だけでなく、トンネル通過判定部12による判定結果も考慮して、悪天候フラグFLを設定する。
【0027】
具体的には、天候状態検出部11によって降雨状態が検出された場合、悪天候フラグ判定部13は、天候状態は降雨状態であると判定し、悪天候フラグFLをONに設定する。天候状態検出部11によって降雨状態から非降雨状態への状態遷移が検出された場合、悪天候フラグ判定部13は、その状態遷移が上方構造物3の下方を車両1が通過することに起因するか否かを判定する。状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因する場合、悪天候フラグ判定部13は、その状態遷移を棄却し、降雨状態が継続していると判定し、悪天候フラグFLをONのまま維持する。一方、状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因しない場合(すなわち、雨が止んだ場合)、悪天候フラグ判定部13は、天候状態は非降雨状態であると判定し、悪天候フラグFLをOFFに設定する。
【0028】
車両制御部14は、車両1を制御する車両制御を行う。特に、車両制御部14は、悪天候フラグ判定部13により設定される悪天候フラグFLに基づいて車両制御を行う。すなわち、車両制御部14は、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかに基づいて、車両制御を行う。
【0029】
1-4.効果
以上に説明されたように、本実施の形態に係る車両制御システム10は、天候状態が降雨状態であるか否かに基づいて車両1を制御する。天候状態が降雨状態であるか否かを判定するために、車両制御システム10は、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かも考慮に入れる。具体的には、車両制御システム10は、車両1が上方構造物3の下方を通過する場合、降雨状態から非降雨状態への遷移が検出されたとしても、降雨状態が継続していると判定する。これにより、車両1が上方構造物3の下方を通過する際の車両制御のハンチングが抑制される。車両制御のハンチングが抑制されることにより、車両1のドライバが感じる煩わしさが軽減される。
【0030】
例えば、天候状態が降雨状態である場合、車両制御システム10は、ドライバに警告を通知する情報提供制御を行う。特に、上述の運転支援制御の実行中に天候状態が降雨状態となった場合、車両制御システム10は、ドライバに警告を通知する情報提供制御を行ってもよい。本実施の形態によれば、車両1が上方構造物3の下方を通過する度に警告が不必要にON/OFFされることが抑制される。これにより、車両1のドライバが感じる煩わしさが軽減される。
【0031】
また、車両1が上方構造物3の下方を通過する前の天候状態が降雨状態である場合、車両1が上方構造物3の下方を通過している期間においてもドライバに対する警告は継続する。車両1が上方構造物3の下方を通過した後の天候状態も降雨状態である可能性は高いため、ドライバに対する警告が継続することは好適である。つまり、車両1が上方構造物3の下方を通過した後の降雨状態をあらかじめドライバに通知することができ、安全をより確かなものとすることができる。
【0032】
以下、本実施の形態に係る車両制御システム10について更に詳しく説明する。
【0033】
2.車両制御システムの具体例
2-1.構成例
図3は、本実施の形態に係る車両制御システム10の構成例を概略的に示すブロック図である。車両制御システム10は、センサ群20、走行装置30、ライト40、ワイパー50、HMI(Human Machine Interface)ユニット60、及び制御装置100を備えている。
【0034】
センサ群20は、車両1の周囲の状況や車両1の状態を検出する。センサ群20の具体例は後述される。
【0035】
走行装置30は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車両1の車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ等が例示される。制動装置は、制動力を発生させる。
【0036】
ライト40は、ヘッドライトやフォグランプを含む。ワイパー50は、フロントウィンドウ、リアウィンドウ、等に設置される。
【0037】
HMIユニット60は、車両1のドライバに情報を提供し、また、ドライバから情報を受け付けるためのインタフェースである。具体的には、HMIユニット60は、入力装置61と出力装置62を有している。入力装置61としては、タッチパネル、スイッチ、マイク、等が例示される。出力装置62としては、表示装置、スピーカ、等が例示される。表示装置としては、インストルメントパネルに設置されたディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD: Head-Up Display)、等が例示される。
【0038】
制御装置100は、車両1を制御する。典型的には、制御装置100は、車両1に搭載されるマイクロコンピュータである。制御装置100は、ECU(Electronic Control Unit)とも呼ばれる。制御装置100は、複数のECUから構成されていてもよい。あるいは、制御装置100は、車両1の外部の情報処理装置であってもよい。その場合、制御装置100は、車両1と通信を行い、車両1をリモートで制御する。
【0039】
制御装置100は、1又は複数のプロセッサ110及び1又は複数の記憶装置120を備えている。以下、簡単のため、1又は複数のプロセッサ110を単に「プロセッサ110」と呼び、1又は複数の記憶装置120を単に「記憶装置120」と呼ぶ。プロセッサ110は、各種処理を実行する。記憶装置120には、各種情報が格納される。記憶装置120としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、等が例示される。プロセッサ110がコンピュータプログラムである「車両制御プログラム」を実行することにより、プロセッサ110(制御装置100)による各種処理が実現される。車両制御プログラムは、記憶装置120に格納されている、あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。
【0040】
2-2.情報取得処理
プロセッサ110は、車両1の運転環境を示す運転環境情報200を取得する「情報取得処理」を実行する。運転環境情報200は、車両1に搭載されたセンサ群20による検出結果に基づいて取得される。取得された運転環境情報200は、記憶装置120に格納される。
【0041】
図4は、センサ群20と運転環境情報200の例を示すブロック図である。センサ群20は、周辺状況センサ21、車両状態センサ25、及び位置センサ26を含んでいる。運転環境情報200は、周辺状況情報210、車両状態情報250、位置情報260、及び地図情報270を含んでいる。
【0042】
周辺状況センサ21は、車両1の周囲の状況を検出する。例えば、周辺状況センサ21は、カメラ22、物体認識センサ23、照度センサ24、等を含んでいる。カメラ22は、車両1の周囲の状況を撮像する。物体認識センサ23は、車両1の周囲の物体を認識するセンサであり、ライダー(LIDAR: Laser Imaging Detection and Ranging)及びミリ波レーダの少なくとも一方を含んでいる。照度センサ24は、車両1の周囲の照度を計測する。周辺状況センサ21は、降雨状態を検出する専用センサであるレインセンサを含んでいてもよい。
【0043】
周辺状況情報210は、車両1の周囲の状況を示す情報である。プロセッサ110は、周辺状況センサ21による検出結果に基づいて周辺状況情報210を取得する。周辺状況情報210は、カメラ撮像情報220、物体認識情報230、及び照度情報240を含んでいる。
【0044】
カメラ撮像情報220は、カメラ22による撮像結果を示す。例えば、カメラ撮像情報220は、カメラ22によって撮像される車両1の周辺の状況を示す画像を含む。
【0045】
物体認識情報230は、車両1の周囲の物体の認識結果を示す情報である。車両1の周囲の物体としては、上方構造物3、他車両、歩行者、標識、白線、等が例示される。物体は、カメラ22によって撮像される画像を解析することによって認識される。また、物体は、物体認識センサ23によって認識される。物体認識情報230は、認識された物体の車両1に対する相対位置を少なくとも示す。
【0046】
照度情報240は、照度センサ24によって計測される照度を示す。
【0047】
車両状態センサ25は、車両1の状態を検出する。車両状態センサ25としては、車速センサ、ヨーレートセンサ、横加速度センサ、操舵角センサ、等が例示される。
【0048】
車両状態情報250は、車両1の状態を示す情報である。車両1の状態としては、車速、ヨーレート、横加速度、操舵角、等が例示される。プロセッサ110は、車両状態センサ25による検出結果から車両状態情報250を取得する。
【0049】
位置センサ26は、車両1の位置及び方位を検出する。位置センサ26としては、GPS(Global Positioning System)センサが例示される。
【0050】
位置情報260は、車両1の位置及び方位を示す情報である。プロセッサ110は、位置センサ26による検出結果から位置情報260を取得する。また、プロセッサ110は、周辺状況情報210に基づく周知のローカライズ(Localization)によって、より高精度な位置情報260を取得してもよい。
【0051】
地図情報270は、レーン配置、道路形状、等を示す。地図情報270は、上方構造物3の位置を含んでいてもよい。プロセッサ110は、地図データベースから、必要なエリアの地図情報270を取得する。地図データベースは、車両1に搭載されている所定の記憶装置に格納されていてもよいし、車両1の外部の管理サーバに格納されていてもよい。後者の場合、プロセッサ110は、管理サーバと通信を行い、必要な地図情報270を取得する。
【0052】
2-3.天候状態判定処理
プロセッサ110は、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかを判定する「天候状態判定処理」を実行する。悪天候フラグFLは、天候状態判定処理の結果、すなわち、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかを示す。具体的には、悪天候フラグFL=ONは降雨状態を示し、悪天候フラグFL=OFFは非降雨状態を示す。悪天候フラグFLは、記憶装置120に格納される。天候状態判定処理の詳細は、後のセクション3において説明される。
【0053】
2-4.車両制御
プロセッサ110は、車両1を制御する車両制御を実行する。
図2で示された車両制御部14は、プロセッサ110によって実現される。以下に説明されるように、プロセッサ110は、様々な種類の車両制御を実行する。いくつかの車両制御は、記憶装置120に格納された悪天候フラグFLに基づいて実行される。
【0054】
2-4-1.車両走行制御
プロセッサ110は、車両1の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、加速制御、及び減速制御のうち少なくとも1つを含む。プロセッサ110は、走行装置30を制御することによって車両走行制御を実行する。具体的には、プロセッサ110は、操舵装置を制御することによって操舵制御を実行する。また、プロセッサ110は、駆動装置を制御することによって加速制御を実行する。また、制御装置100は、制動装置を制御することによって減速制御を実行する。
【0055】
2-4-2.運転支援制御
車両走行制御は、車両1の運転を支援する運転支援制御に適用される。つまり、プロセッサ110は、車両1の操舵、加速、及び減速のうち少なくとも1つを自動的に制御することによって、車両1の運転を支援する。そのような運転支援制御としては、自動運転制御、リスク回避制御、車線維持支援制御、等が挙げられる。この運転支援制御は、上記の運転環境情報200に基づいて実行される。
【0056】
自動運転制御の一例は、次の通りである。プロセッサ110は、位置情報260と地図情報270に基づいて、目的地に到達するための走行プランを生成する。更に、プロセッサ110は、走行プランに従って目標軌道を生成する。目標軌道は、車両1が走行する道路内における車両1の目標位置及び目標速度を含む。そして、プロセッサ110は、車両1が目標軌道に追従するように車両走行制御を行う。
【0057】
リスク回避制御の一例は、次の通りである。プロセッサ110は、車両状態情報250(車速等)と物体認識情報230に基づいて、車両1の前方に存在し、車両1と衝突する可能性のある物体を認識する。プロセッサ110は、認識した物体との衝突リスクが軽減されるような目標軌道を生成する。例えば、目標軌道は、物体から離れる方向への操舵を要求する。あるいは、目標軌道は、減速を要求する。そして、プロセッサ110は、車両1が目標軌道に追従するように車両走行制御(操舵制御と制動制御の少なくとも一方)を行う。
【0058】
車線維持支援制御の一例は、次の通りである。例えば、目標軌道は、走行レーンの中央を通る線である。プロセッサ110は、地図情報270と位置情報260に基づいて、走行レーンの中央を通る目標軌道を算出することができる。あるいは、プロセッサ110は、物体認識情報230(白線情報)に基づいて、走行レーンを認識し、目標軌道を算出することができる。プロセッサ110は、車両1が目標軌道に追従するように車両走行制御を行う。
【0059】
2-4-3.車両機器制御
プロセッサ110は、照度情報240で示される照度に基づいて、ライト40を自動的にON/OFFする。例えば、照度が閾値未満の場合、プロセッサ110は、ライト40を自動的にON(点灯)する。一方、照度が閾値以上の場合、プロセッサ110は、ライト40を自動的にOFF(消灯)する。
【0060】
また、プロセッサ110は、悪天候フラグFLに基づいて、ワイパー50を自動的にON/OFFしてもよい。例えば、悪天候フラグFL=ONの場合、プロセッサ110は、ワイパー50を自動的にONする。一方、悪天候フラグFL=OFFの場合、プロセッサ110は、ワイパー50をOFFする。
【0061】
2-4-4.情報提供制御
プロセッサ110は、出力装置62を制御してドライバに情報を提供する情報提供制御を行う。例えば、悪天候フラグFL=ONの場合、プロセッサ110は、出力装置62を制御してドライバに警告を通知する。特に、降雨状態では上述の運転支援制御の精度が低下する可能性もある。従って、プロセッサ110は、運転支援制御の実行中に悪天候フラグFLがONとなった場合に、出力装置62を制御してドライバに警告を通知してもよい。実行中の運転支援制御が自動運転制御である場合、プロセッサ110は、手動運転の開始を要求する移行要求をドライバに通知してもよい。
【0062】
3.天候状態判定処理
上述の通り、プロセッサ110は、天候状態判定処理を実行し、悪天候フラグFLを設定する。以下に説明されるように、天候状態判定処理は、天候状態検出処理、トンネル通過判定処理、及び悪天候フラグ判定処理を含んでいる。天候状態検出処理、トンネル通過判定処理、及び悪天候フラグ判定処理は、それぞれ、
図2で示された天候状態検出部11、トンネル通過判定部12、及び悪天候フラグ判定部13による処理に相当する。すなわち、
図2で示された天候状態検出部11、トンネル通過判定部12、及び悪天候フラグ判定部13は、プロセッサ110によって実現される。
【0063】
3-1.天候状態検出処理
プロセッサ110は、天候状態(すなわち、降雨状態あるいは非降雨状態)を検出する「天候状態検出処理」を実行する。この天候状態検出処理には、車両1の周辺の状況を検出する周辺状況センサ21(第1センサ)が用いられる。つまり、プロセッサ110は、周辺状況情報210に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出する。
【0064】
例えば、第1センサは、物体認識センサ23である。物体認識センサ23は、ライダー及びミリ波レーダの少なくとも一方を含んでいる。ライダーから出力されるレーザ光、あるいは、ミリ波レーダから出力される電波は、空気中の雨滴あるいは雪で反射する。その反射状況に基づいて、雨滴あるいは雪の量が算出される。雨滴あるいは雪の量が閾値以上である場合、天候状態は降雨状態であると判定される。すなわち、プロセッサ110は、物体認識センサ23による認識結果を示す物体認識情報230に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出することができる。
【0065】
他の例として、第1センサは、カメラ22であってもよい。例えば、カメラ22は、車両1の室内に設置され、車両1の前方の状況を撮像する。そのカメラ22によって撮像される画像を解析することによって、フロントウィンドウ上に付着した雨滴や雪、あるいは、空間中の雨滴や雪を検出することができる。雨滴あるいは雪の量が閾値以上である場合、天候状態は降雨状態であると判定される。すなわち、プロセッサ110は、カメラ22による撮像結果を示すカメラ撮像情報220に基づいて、降雨状態あるいは非降雨状態を検出することができる。
【0066】
更に他の例として、第1センサは、降雨状態を検出するための専用センサであるレインセンサであってもよい。この場合、プロセッサ110は、レインセンサによって降雨状態あるいは非降雨状態を検出する。
【0067】
3-2.トンネル通過判定処理
プロセッサ110は、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定する「トンネル通過判定処理」を実行する。ここでの、「トンネル通過」とは、トンネルに限らず上方構造物3の下方を通過することを意味する。このトンネル通過判定処理には、車両1の周辺の状況を検出する周辺状況センサ21(第2センサ)が用いられる。つまり、プロセッサ110は、周辺状況情報210に基づいて、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定する。
【0068】
例えば、第2センサは、照度センサ24である。プロセッサ110は、照度情報240で示される照度に基づいて、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定する。この場合、ライト40の自動ON/OFFに用いられる照度センサ24及び照度情報240が、トンネル通過判定処理にも流用される。
【0069】
図5は、照度センサ24を利用したトンネル通過判定処理の一例を説明するための概念図である。
図5に示される例では、上方構造物3は、トンネル5を形成する構造物である。この場合、車両1が上方構造物3の下方を通過するとは、車両1がトンネル5内を通過することを意味する。
【0070】
昼間、トンネル5の外の照度ILは、第1閾値ILth1以上である。一方、トンネル5内の照度ILは、第1閾値ILth1よりも低い。昼間、照度ILが第1閾値ILth1以上である場合、プロセッサ110は、車両1がトンネル5の外にいると判定する。照度ILが第1閾値ILth1よりも低い値に低下した場合、プロセッサ110は、車両1がトンネル5内に入ったと判定する。照度ILが第1閾値ILth1以上の値に戻った場合、プロセッサ110は、車両1がトンネル5の外に出たと判定する。
【0071】
夜間、トンネル5の外の照度ILは、第2閾値ILth2以下である。一方、トンネル5内の照度ILは、第2閾値ILth2よりも高い。夜間、照度ILが第2閾値ILth2以下である場合、プロセッサ110は、車両1がトンネル5の外にいると判定する。照度ILが第2閾値ILth2よりも高い値に増加した場合、プロセッサ110は、車両1がトンネル5内に入ったと判定する。照度ILが第2閾値ILth2以下の値に戻った場合、プロセッサ110は、車両1がトンネル5の外に出たと判定する。
【0072】
他の例として、第2センサは、カメラ22であってもよい。カメラ撮像情報220は、露光量を含んでいる。上述の照度ILの代わりに露光量を用いることによって、車両1がトンネル5内を通過しているか否かを判定することができる。
【0073】
更に他の例として、第2センサは、カメラ22あるいは物体認識センサ23であってもよい。プロセッサ110は、カメラ22によって撮像された画像を解析することによって、上方構造物3を認識することができる。あるいは、上方構造物3は、ライダーやミリ波レーダといった物体認識センサ23によっても認識され得る。物体認識情報230は、認識された上方構造物3の車両1に対する相対位置を示す。プロセッサ110は、その物体認識情報230に基づいて、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定することができる。
【0074】
更に他の例として、第2センサは、位置センサ26であってもよい。地図情報270が上方構造物3の位置を示している場合、プロセッサ110は、位置情報260と地図情報270に基づいて、車両1が上方構造物3の下方を通過しているか否かを判定することができる。
【0075】
3-3.悪天候フラグ判定処理
プロセッサ110は、天候状態が降雨状態であるか非降雨状態であるかを判定し、悪天候フラグFLを設定する「悪天候フラグ判定処理」を実行する。この悪天候フラグ判定処理は、天候状態検出処理の結果だけでなく、トンネル通過判定処理の結果も考慮することにより行われる。
【0076】
具体的には、天候状態検出処理によって降雨状態が検出された場合、プロセッサ110は、天候状態は降雨状態であると判定し、悪天候フラグFLをONに設定する。
【0077】
天候状態検出処理によって降雨状態から非降雨状態への状態遷移が検出された場合、プロセッサ110は、その状態遷移が上方構造物3の下方を車両1が通過することに起因するか否かを判定する。例えば、プロセッサ110は、状態遷移検出タイミングとトンネル侵入タイミングとを比較する。状態遷移検出タイミングは、天候状態検出処理によって降雨状態から非降雨状態への状態遷移が検出されたタイミングである。一方、トンネル侵入タイミングは、トンネル通過判定処理によって車両1が上方構造物3の下方の空間に侵入したことが検出されたタイミングである。状態遷移検出タイミングとトンネル侵入タイミングとの間の差が所定時間以内である場合、プロセッサ110は、状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因している(関連している)と判定する。
【0078】
状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因する場合、プロセッサ110は、その状態遷移を棄却し、降雨状態が継続していると判定する、すなわち、悪天候フラグFLをONのまま維持する。一方、状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因しない場合(すなわち、雨が止んだ場合)、プロセッサ110は、天候状態は非降雨状態であると判定し、悪天候フラグFLをOFFに設定する。
【0079】
3-4.処理フロー
図6は、本実施の形態に係る天候状態判定処理を要約的に示すフローチャートである。
図6に示される処理フローは、一定サイクル毎に繰り返し実行される。
【0080】
ステップS100において、プロセッサ110は、上述の情報取得処理を実行し、運転環境情報200を取得する。運転環境情報200は、記憶装置120に格納される。
【0081】
続くステップS110において、プロセッサ110は、上述の天候状態検出処理を実行する。
【0082】
ステップS120において、プロセッサ110は、天候状態検出処理によって降雨状態が検出されたか否かを判定する。降雨状態が検出された場合(ステップS120;Yes)、処理は、ステップS130に進む。一方、降雨状態が検出されなかった場合、すなわち、非降雨状態が検出された場合(ステップS120;No)、処理は、ステップS140に進む。
【0083】
ステップS130において、プロセッサ110は、天候状態は降雨状態であると判定し、悪天候フラグFLをONに設定する。
【0084】
ステップS140において、プロセッサ110は、ステップS120における非降雨状態の検出が、降雨状態から非降雨状態への状態遷移によるものか否かを判定する。降雨状態から非降雨状態への状態遷移が発生している場合(ステップS140;Yes)、処理は、ステップS150に進む。それ以外の場合(ステップS140;No)、処理は、ステップS160に進む。
【0085】
ステップS150において、プロセッサ110は、状態遷移が上方構造物3の下方を車両1が通過することに起因するか否かを判定する。状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因する場合(ステップS150;Yes)、プロセッサ110は、その状態遷移を棄却する。そして、処理は、上述のステップS130に進む。一方、状態遷移が上方構造物3の下方を通過することに起因しない場合(ステップS150;No)、処理は、ステップS160に進む。
【0086】
ステップS160において、プロセッサ110は、天候状態は非降雨状態であると判定し、悪天候フラグFLをOFFに設定する。
【0087】
以上に説明された処理により、車両1が上方構造物3の下方を通過する際に悪天候フラグFLのハンチングが発生することが抑制される。結果として、悪天候フラグFLに基づく車両制御のハンチングが発生することも抑制される。
【符号の説明】
【0088】
1 車両
3 上方構造物
5 トンネル
10 車両制御システム
11 天候状態検出部
12 トンネル通過判定部
13 悪天候フラグ判定部
14 車両制御部
20 センサ群
21 周辺状況センサ
100 制御装置
110 プロセッサ
120 記憶装置
200 運転環境情報
210 周辺状況情報