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特許7375692情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20231031BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20231031BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20231031BHJP
   G01P 15/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
G06Q10/04
G01M99/00 Z
G01P15/00 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020114489
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012566
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100217113
【弁理士】
【氏名又は名称】高坂 晶子
(72)【発明者】
【氏名】大出水 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】井上 和幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】田中 由里香
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-027416(JP,A)
【文献】特開2007-066323(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G01M 99/00
G01P 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に加えられた衝撃検出する第1センサ及び前記対象物の周辺環境を観察する第2センサと通信する通信部と、
前記第1センサにより送信された、前記対象物に加えられた衝撃を検出したことを示す情報を、前記通信部を介して受信すると、前記衝撃が検出される前に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第1局所画像と、前記衝撃が検出された後に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第2局所画像とを比較することにより、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、前記第1局所画像に写っていない損傷が前記第2局所画像に写っている場合に損傷が発生したと判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときの前記対象物の周辺環境の観察結果として前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより撮像された前記周辺環境の画像である周辺画像を取得し、前記損傷を発生させた原因として、前記周辺画像に写っている人物を特定する制御部を備え
前記制御部は、更に、前記周辺画像及び前記衝撃が加えられた後に前記第2センサにより撮像された前記周辺環境の画像の少なくともいずれかに基づいて、特定した人物に意識があるか否かを判断し、意識がない場合には、前記損傷を発生させたことについて故意過失がないと推定する、情報処理装置。
【請求項2】
対象物に加えられた衝撃を検出する第1センサ及び前記対象物の周辺環境を観察する第2センサと通信する通信部と、
前記第1センサにより送信された、前記対象物に加えられた衝撃を検出したことを示す情報を、前記通信部を介して受信すると、前記衝撃が検出される前に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第1局所画像と、前記衝撃が検出された後に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第2局所画像とを比較することにより、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、前記第1局所画像に写っていない損傷が前記第2局所画像に写っている場合に損傷が発生したと判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときの前記対象物の周辺環境の観察結果として、前記衝撃が加えられたときに録音された前記周辺環境の音声である周辺音声を取得する制御部を備え、
前記周辺音声には、人物の声が含まれており、
前記制御部は、前記声を分析することにより、前記損傷を発生させた原因として、前記声を生じた人物を特定し、
前記制御部は、更に、前記周辺音声及び前記衝撃が加えられた後に録音された前記周辺環境の音声の少なくともいずれかに基づいて、特定した人物に意識があるか否かを判断し、意識がない場合には、特定した人物が前記損傷を発生させたことについて故意過失がないと推定する、情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の程度を評価する、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の寸法を測定することで、前記損傷の程度を評価する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の修繕に要する費用を算出することで、前記損傷の程度を評価する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の修繕に必要な材料を特定することで、前記損傷の程度を評価する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記損傷の程度を評価した結果を、前記損傷の修繕に関する情報として出力する、請求項から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
第1センサにより、対象物に加えられた衝撃を検出することと、
第2センサにより、前記対象物の周辺環境を観察することと、
前記第1センサにより衝撃が検出されると、情報処理装置により、前記衝撃が検出される前に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第1局所画像と、前記衝撃が検出された後に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第2局所画像とを比較することにより、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、前記第1局所画像に写っていない損傷が前記第2局所画像に写っている場合に損傷が発生したと判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより前記対象物の前記周辺環境を観察した結果として前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより撮像された前記周辺環境の画像である周辺画像を取得し、前記損傷を発生させた原因として、前記周辺画像に写っている人物を特定することと、
を含む情報処理方法であって、
前記情報処理装置により、前記周辺画像及び前記衝撃が加えられた後に前記第2センサにより撮像された前記周辺環境の画像の少なくともいずれかに基づいて、特定した人物に意識があるか否かを判断し、意識がない場合には、前記損傷を発生させたことについて故意過失がないと推定することを更に含む、情報処理方法
【請求項9】
第1センサにより、対象物に加えられた衝撃を検出することと、
第2センサにより、前記対象物の周辺環境を観察することと、
前記第1センサにより衝撃が検出されると、情報処理装置により、前記衝撃が検出される前に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第1局所画像と、前記衝撃が検出された後に前記第2センサにより取得された、前記対象物における前記衝撃が加えられた箇所の画像である第2局所画像とを比較することにより、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、前記第1局所画像に写っていない損傷が前記第2局所画像に写っている場合に損傷が発生したと判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより前記対象物の前記周辺環境を観察した結果として、前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより録された前記周辺環境の音声である周辺音声を取得することと、
を含む情報処理方法であって、
前記周辺音声には、人物の声が含まれており、
前記情報処理装置により、前記声を分析することにより、前記損傷を発生させた原因として、前記声を生じた人物を特定することと、
前記情報処理装置により、前記周辺音声及び前記衝撃が加えられた後に録音された前記周辺環境の音声の少なくともいずれかに基づいて、特定した人物に意識があるか否かを判断し、意識がない場合には、特定した人物が前記損傷を発生させたことについて故意過失がないと推定することと
を更に含む、情報処理方法
【請求項10】
前記情報処理装置により、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の程度を評価することを更に含む、請求項8又は請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記損傷の程度を評価することは、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の寸法を測定することで、前記損傷の程度を評価することを含む、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記損傷の程度を評価することは、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の修繕に要する費用を算出することで、前記損傷の程度を評価することを含む、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記損傷の程度を評価することは、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の修繕に必要な材料を特定することで、前記損傷の程度を評価することを含む、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記情報処理装置により、前記損傷の程度を評価した結果を、前記損傷の修繕に関する情報として出力することを更に含む、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
対象物に加えられた衝撃を検出する第1センサと、
前記対象物の周辺環境を観察する第2センサと、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置と、を備える情報処理システム。
【請求項16】
前記情報処理装置は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の程度を評価する、請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記情報処理装置は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の寸法を測定することで、前記損傷の程度を評価する、請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記情報処理装置は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の修繕に要する費用を算出することで、前記損傷の程度を評価する、請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記情報処理装置は、前記第2局所画像に基づいて前記損傷の修繕に必要な材料を特定することで、前記損傷の程度を評価する、請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記情報処理装置は、更に、前記損傷の程度を評価した結果を、前記損傷の修繕に関する情報として出力する、請求項16から請求項19のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建造物の重要位置と重要損傷を特定し、重要位置の重要損傷を評価することによって、建造物全体の健全度評価を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/043276号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、建造物の損傷に対する責任の所在を明らかにすることはできない。
【0005】
本開示の目的は、対象物に発生した損傷に対する責任の所在を明らかにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理装置は、
対象物に加えられた衝撃が検出されると、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときの前記対象物の周辺環境の観察結果に基づいて、前記損傷を発生させた原因を特定する制御部を備える。
【0007】
本開示に係る情報処理方法は、
第1センサにより、対象物に加えられた衝撃を検出することと、
第2センサにより、前記対象物の周辺環境を観察することと、
前記第1センサにより衝撃が検出されると、情報処理装置により、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより前記対象物の前記周辺環境を観察した結果に基づいて、前記損傷を発生させた原因を特定することと、
を含む。
【0008】
本開示に係る情報処理システムは、
対象物に加えられた衝撃を検出する第1センサと、
前記対象物の周辺環境を観察する第2センサと、
前記第1センサにより前記衝撃が検出されると、前記衝撃によって前記対象物に損傷が発生したか否かを判定し、損傷が発生したと判定した場合に、前記衝撃が加えられたときに前記第2センサにより前記対象物の周辺環境を観察した結果に基づいて、前記損傷を発生させた原因を特定する情報処理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、対象物に発生した損傷に対する責任の所在を明らかにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る情報処理システムの構成を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3】本開示の実施形態に係る情報処理システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図を参照して説明する。
【0012】
各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一又は相当する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0013】
図1を参照し、本実施形態に係る情報処理システム1の構成を説明する。
【0014】
本実施形態に係る情報処理システム1は、第1センサ30と、第2センサ40と、情報処理装置10と、を備える。
【0015】
情報処理装置10は、ネットワーク60を介して第1センサ30及び第2センサ40と通信可能である。
【0016】
ネットワーク60は、インターネット、少なくとも1つのWAN、少なくとも1つのMAN、又はこれらの組合せを含む。「WAN」は、wide area networkの略語である。「MAN」は、metropolitan area networkの略語である。ネットワーク60は、少なくとも1つの無線ネットワーク、少なくとも1つの光ネットワーク、又はこれらの組合せを含んでもよい。無線ネットワークは、例えば、アドホックネットワーク、セルラーネットワーク、無線LAN、衛星通信ネットワーク、又は地上マイクロ波ネットワークである。「LAN」は、local area networkの略語である。
【0017】
情報処理装置10は、データセンタなどの施設に設置される。情報処理装置10は、例えば、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバである。
【0018】
第1センサ30は、対象物2に設置され、対象物2に加えられた衝撃を検出する。本実施形態において、第1センサ30は、振動センサ又は加速度センサである。
【0019】
第2センサ40は、対象物2に設置される。本実施形態において、第2センサ40は、例えば、ネットワークカメラ又はIPカメラなどのカメラとして構成される。「IP」はinternet protocolの略語である。第2センサ40を対象物2に設置する代わりに、例えば、対象物2及びその周辺環境を空中から撮影可能な、カメラを搭載したドローンとして構成してもよい。
【0020】
第2センサ40が撮像する画像は、静止画像でもよいが、本実施形態では動画像である。本実施形態において、第2センサ40は、監視カメラとして構成される。
【0021】
第2センサ40は、更に、音声入力機能を備えて、撮像画像に加え又は撮像画像に代えて、対象物2において発生する音声を集音可能であってもよい。音声入力機能は、例えば、マイクロフォンなどの録音器として実装される。第2センサ40に音声入力機能を備えることにより、衝撃発生時に対象物2及びその周辺において発生した音声を取得することが可能となる。本実施形態の一変形例として、情報処理システム1は、音声入力機能を備えるセンサを、第2センサ40とは別に備えてもよい。
【0022】
対象物2は、不特定の人が利用する任意の建造物を構成する部材である。建造物の例としては、学校、図書館、若しくは公民館などの共用施設、ホテル若しくは旅館などの宿泊施設、又は集合住宅が挙げられる。本実施形態では、対象物2は、集合住宅の共用部分における壁、床、窓、又は扉である。
【0023】
本実施形態において、対象物2に衝撃が加えられる場合としては、地震などの天然災害による場合及び対象物2に物が衝突又は落下した場合などが想定される。本実施形態では、図1に示す人物50により対象物2に衝撃が加えられ、当該衝撃により損傷が発生した場合を想定している。対象物2に生じる損傷には、対象物2である部材の変形、欠損、ひび割れ、陥没、又は剥離が含まれる。
【0024】
図1を参照し、本実施形態の概要を説明する。
【0025】
本実施形態に係る情報処理システム1では、第1センサ30が、対象物2に加えられた衝撃を検出する。第1センサ30により衝撃が検出されると、第2センサ40が、対象物2の周辺環境を観察する。情報処理装置10は、検出された衝撃によって対象物2に損傷が発生したか否かを判定する。情報処理装置10は、損傷が発生したと判定した場合に、衝撃が加えられたときに第2センサ40により対象物2の周辺環境を観察した結果に基づいて、損傷を発生させた原因を特定する。
【0026】
本実施形態によれば、対象物2に衝撃が発生した際の対象物2の周辺環境を観察することにより、損傷に対する責任の所在を明らかにすることが可能となる。
【0027】
本実施形態に係る情報処理システム1において、第2センサ40により対象物2の周辺環境を観察することは、第2センサ40により周辺環境を撮像することを含む。
【0028】
本実施形態によれば、対象物2に衝撃が加えられたときに第2センサ40により撮像された周辺環境の画像に基づいて、損傷に対する責任の所在を明らかにすることが可能となる。
【0029】
本実施形態に係る情報処理システム1において、対象物2の周辺環境を観察することは、衝撃が加えられたときに第2センサ40により周辺環境の音声を録音することを含む。
【0030】
本実施形態によれば、対象物2に衝撃が加えられたときに第2センサ40により録音された周辺環境の音声に基づいて、損傷に対する責任の所在を明らかにすることが可能となる。
【0031】
本実施形態に係る情報処理システム1において、衝撃によって対象物2に損傷が発生したか否かを判定することは、情報処理装置10により、衝撃が検出される前に取得された、対象物2における衝撃が加えられた箇所の画像である第1局所画像と、衝撃が検出された後に取得された、対象物2における衝撃が加えられた箇所の画像である第2局所画像とを比較することにより、対象物2に損傷が発生したか否かを判定することを含む。
【0032】
本実施形態によれば、対象物2において衝撃が発生した箇所の画像に的を絞って比較することができるため、損傷が衝撃を原因して発生したものであるか否かを精度よく検出することができる。
【0033】
図2を参照し、本実施形態に係る情報処理装置10の構成を説明する。
【0034】
情報処理装置10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、出力部15とを備える。
【0035】
制御部11は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組合せを含む。プロセッサは、CPU若しくはGPUなどの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。「CPU」は、central processing unitの略語である。「GPU」は、graphics processing unitの略語である。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。「FPGA」は、field-programmable gate arrayの略語である。「ASIC」は、application specific integrated circuitの略語である。制御部11は、情報処理装置10の各部を制御しながら、情報処理装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0036】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。「RAM」は、random access memoryの略語である。「ROM」は、read only memoryの略語である。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。「SRAM」は、static random access memoryの略語である。「DRAM」は、dynamic random access memoryの略語である。ROMは、例えば、EEPROMである。「EEPROM」は、electrically erasable programmable read only memoryの略語である。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部12には、情報処理装置10の動作に用いられるデータと、情報処理装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0037】
通信部13は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部13は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを受信し、また情報処理装置10の動作によって得られるデータを送信する。
【0038】
入力部14は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又はマイクである。入力部14は、情報処理装置10の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部14は、情報処理装置10に備えられる代わりに、外部の入力機器として情報処理装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。「USB」は、Universal Serial Busの略語である。「HDMI(登録商標)」は、High-Definition Multimedia Interfaceの略語である。
【0039】
出力部15は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。「LCD」は、liquid crystal displayの略語である。「EL」は、electro luminescenceの略語である。出力部15は、情報処理装置10の動作によって得られるデータを出力する。出力部15は、情報処理装置10に備えられる代わりに、外部の出力機器として情報処理装置10に接続されてもよい。接続方式としては、例えば、USB、HDMI(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)などの任意の方式を用いることができる。
【0040】
情報処理装置10の機能は、本実施形態に係る情報処理プログラムを、制御部11としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、情報処理装置10の機能は、ソフトウェアにより実現される。情報処理プログラムは、情報処理装置10の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを情報処理装置10として機能させる。すなわち、コンピュータは、情報処理プログラムに従って情報処理装置10の動作を実行することにより情報処理装置10として機能する。
【0041】
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又はROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSDカード、DVD、又はCD-ROMなどの可搬型媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行う。「SD」は、Secure Digitalの略語である。「DVD」は、digital versatile discの略語である。「CD-ROM」は、compact disc read only memoryの略語である。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0042】
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラム又はサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示及び結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP型のサービスによって処理を実行してもよい。「ASP」は、application service providerの略語である。プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものが含まれる。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
【0043】
情報処理装置10の一部又は全ての機能が、制御部11としての専用回路により実現されてもよい。すなわち、情報処理装置10の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
【0044】
図3を参照し、本実施形態に係る情報処理システム1の動作を説明する。この動作は、本実施形態に係る情報処理方法に相当する。
【0045】
一例において、人物50が転んだことにより、対象物2に損傷が発生したとする。また、人物50は、転んだことにより意識を失っているとする。
【0046】
人物50が転んだことにより、対象物2に衝撃が加わり、ステップS101において、当該衝撃が第1センサ30により検出される。第1センサ30は、衝撃を検出したことを示す情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の制御部11は、通信部13を介し、第1センサ30から送信された情報を受信する。すなわち、制御部11は、対象物2に加えられた衝撃が検出されたことを示す情報を取得する。当該情報には、衝撃が発生した箇所の位置情報が含まれていてもよい。対象物2に加えられた衝撃が検出されると、ステップS102において、情報処理装置10の制御部11は、衝撃によって対象物2に損傷が発生したか否かを判定する。
【0047】
対象物2に損傷が発生したか否かの判定は任意の方法で行われてよいが、本実施形態では、以下の方法で行われる。
【0048】
情報処理装置10の制御部11は、衝撃検出の前に取得された、対象物2における衝撃が加えられた箇所の画像である第1局所画像と、衝撃検出の後に取得された、対象物2における衝撃が加えられた箇所の画像である第2局所画像とを比較することにより、対象物2に損傷が発生したか否かを判定する。具体的には、制御部11は、まず、対象物2の衝撃が加えられた箇所を特定し、特定した箇所を衝撃発生前に第2センサ40により撮像した画像を第1局所画像とし、衝撃発生後に第2センサ40により撮像された画像を第2局所画像として、第1局所画像に写っていない損傷が第2局所画像に写っている場合に、衝撃により損傷が発生したと判断する。制御部11は、衝撃発生前に第2センサ40により撮像した画像のうち衝撃発生箇所を拡大した画像を第1局所画像とし、衝撃発生後に第2センサ40により撮像された画像のうち衝撃発生箇所を拡大した画像を第2局所画像として利用してもよい。
【0049】
情報処理装置10の制御部11は、ステップS102において損傷が発生したと判定した場合に、ステップS103において、衝撃が加えられたときの対象物2の周辺環境の観察結果を取得する。本実施形態では、情報処理装置10の制御部11は、周辺環境の観察結果として、衝撃が加えられたときに第2センサ40により撮像された周辺環境の画像である周辺画像を取得する。具体的には、制御部11は、衝撃が加えられたときに第2センサ40により撮像された画像を、通信部13を介して受信する。なお、ステップS102において損傷が発生していないと判定された場合には、図3のフローは終了する。
【0050】
ステップS104において、情報処理装置10の制御部11は、損傷を発生させた原因を特定する。本実施形態では、制御部11は、ステップS103において取得した周辺環境の観察結果に基づいて、原因を特定する。具体的には、制御部11は、第2センサ40により撮像された画像を分析し、当該画像に写っている人物50を特定する。
【0051】
本例では、第2センサ40により撮像された画像には人物50が写っており、制御部11は、損傷を発生させた原因として、人物50を特定する。人物50の特定は任意の方法で行われてよいが、本例では、制御部11は、対象物2としての施設を利用する可能性のある人物を予め1人以上記憶したデータベースなどを参照し、顔認識を行うことにより人物50を特定する。
【0052】
本実施形態の一変形例として、情報処理装置10の制御部11は、対象物2の周辺環境の観察結果として、第2センサ40により撮像された画像とともに又は画像に代えて、衝撃が加えられたときに録音された周辺環境の音声である周辺音声を取得し、損傷を発生させた原因として、周辺音声を生じた人物を特定してもよい。
【0053】
具体的には、情報処理装置10の制御部11は、ステップS104において、ステップS103において取得した周辺環境の観察結果として、第2センサ40の音声入力機能により取得された、衝撃発生時に対象物2において発生した音声を分析し、人物50を特定してもよい。
【0054】
本変形例では、第2センサ40の音声入力機能により取得された音声に人物50の声が含まれており、制御部11は、損傷を発生させた原因として、人物50を特定する。人物50の特定は任意の方法で行われてよいが、本変形例では、制御部11は、当該声の声紋などを分析し、対象物2としての施設を利用する可能性のある人物を予め1人以上記憶したデータベースなどを参照し、声紋が一致する人物を抽出することにより、人物50を特定する。
【0055】
このようにして、情報処理装置10の制御部11は、衝撃が加えられたときの対象物2の周辺環境の観察結果に基づいて、損傷を発生させた原因を特定する。
【0056】
情報処理装置10の制御部11は、更に、損傷を発生させた原因を特定した結果を、損傷に対する責任の所在を示す情報として出力してもよい。具体的には、制御部11は、損傷を発生させた原因を特定した結果として、例えば、人物50の名前及び住所の少なくともいずれかを示す個人情報を、損傷に対する責任の所在を示す情報として生成し、出力してもよい。制御部11は、出力された情報を、例えば、集合住宅の管理組合などの、修繕費用を担当する組織又は者に、通信部13を介して送信してもよい。本変形例によれば、損傷に対する責任の所在が明らかとなり、修繕費用を誰が負担するかについて適正に判断することができる。
【0057】
ステップS105において、情報処理装置10の制御部11は、更に、特定した人物50が損傷を発生させたことについて故意過失があったか否かを推定する。本実施形態では、情報処理装置10の制御部11は、人物50に意識があるか否かを判断し、意識がない場合には、故意過失がないと推定する。人物50に意識があるか否かの判断は任意の方法で行われてよいが、本実施形態では以下の方法で行われる。
【0058】
情報処理装置10の制御部11は、周辺画像及び衝撃が加えられた後に撮像された周辺環境の画像の少なくともいずれかに基づいて人物50に意識があるか否かを判断し、意識がない場合には、故意過失がないと推定する。本実施形態では、制御部11は、ステップS103において取得した周辺画像及び衝撃が加えられた後に第2センサ40により撮像された周辺環境の画像の少なくともいずれかに基づいて、人物50に意識があるか否かを判断する。具体的には、制御部11は、衝撃が加えられたときに第2センサ40により撮像された周辺環境の画像及び衝撃が加えられた後に第2センサ40により撮像された周辺環境の画像の少なくともいずれかを分析して、当該画像に写っている人物50に意識があるか否かを判断する。
【0059】
本例では、制御部11は、衝撃が加えられたときに第2センサ40により撮像された周辺環境の画像に写っている人物50の位置と衝撃が加えられた後に第2センサ40により撮像された周辺環境の画像に写っている人物50の位置を比較する。制御部11は、位置が同じであると判断した場合、人物50が倒れたまま動いていないため、意識がないと判断する。
【0060】
本実施形態の一変形例として、情報処理装置10の制御部11は、周辺音声及び衝撃が加えられた後に録音された周辺環境の音声の少なくともいずれかに基づいて人物50に意識があるか否かを判断してもよい。具体的には、制御部11は、衝撃が加えられたときに第2センサ40により録音された周辺環境の音声及び衝撃が加えられた後に第2センサ40により録音された周辺環境の音声の少なくともいずれかを分析して、人物50に意識があるか否かを判断する。
【0061】
本変形例では、第2センサ40により録音された音声のうち、衝撃が加えられた後に録音された音声から人物50の声が検出されないため、制御部11は、人物50に意識がないと判断する。人物50の声の検出は任意の方法で行われてよいが、本変形例では、制御部11は、衝撃が加えられた後に第2センサ40により録音された音声を分析し、人物50の声紋などと一致する音声を抽出することにより、人物50の声を検出する。
【0062】
本実施形態の一変形例として、情報処理装置10の制御部11は、衝撃が加えられた後に取得された人物50の生体情報に基づいて人物50に意識があるか否かを判断してもよい。具体的には、制御部11は、衝撃が加えられたあとに、人物50に取り付けた生体センサにより測定された心拍数、脈拍数、呼吸数、又は血圧を示す生体情報を取得し、当該生体情報を分析することにより人物50に意識があるか否かを判断する。
【0063】
本実施形態の一変形例として、情報処理装置10の制御部11は、人物50に意識があるか否かを判断するとともに、又は当該判断に代えて、人物50の意識のレベルを段階的に評価し、意識のレベルに応じて故意過失の程度を段階的に推定してもよい。具体的には、制御部11は、人物50の意識のレベルが閾値以下である場合には、故意過失の程度が高いと推定してもよい。
【0064】
情報処理装置10の制御部11は、更に、故意過失を推定した結果を、損傷に対する責任の有無を示す情報として出力してもよい。具体的には、制御部11は、故意過失を推定した結果として、例えば、人物50の意識の有無を示す情報、又は心拍数、脈拍数、呼吸数、若しくは血圧を示す情報を、損傷に対する人物50の責任の所在の有無を示す情報として生成し、出力してもよい。制御部11は、出力された情報を、例えば、集合住宅の管理組合などの、修繕費用を担当する組織又は者に、通信部13を介して送信してもよい。本変形例によれば、損傷を発生させた人に故意過失がなければ免責するなどの判断がしやすくなり、修繕費用の負担割合についても適正に判断することができる。
【0065】
上述したように、情報処理装置10の制御部11は、対象物2に加えられた衝撃が検出されると、衝撃によって対象物2に損傷が発生したか否かを判定する。制御部11は、損傷が発生したと判定した場合に、衝撃が加えられたときの対象物2の周辺環境の観察結果に基づいて、損傷を発生させた原因を特定する。本実施形態によれば、対象物2に発生した損傷に対する責任の所在が明らかになる。
【0066】
本実施形態の一変形例として、情報処理装置10の制御部11は、ステップS102において、損傷が発生したと判定した場合に、更に、第2局所画像に基づいて、損傷の程度を評価してもよい。損傷の程度の評価は任意の方法で行われてよいが、例えば、制御部11は、第2局所画像に写っている損傷の寸法を測定することにより、損傷の程度を評価する。具体的には、制御部11は、第2局所画像に写っている損傷の深さ及び面積を測定し、測定した損傷の寸法が閾値以上であれば損傷の程度が大きいと評価する。
【0067】
制御部11は、第2局所画像に基づいて、損傷の修繕に要する費用を算出することで、損傷の程度を評価してもよい。具体的には、制御部11は、第2局所画像に写っている損傷の画像から、当該損傷の修繕に必要な部品、人員、修理工程、及び所要日数などを見積もり、修繕に係る費用を算出し、算出した費用の額が閾値以上であれば、損傷の程度が大きいと評価する。
【0068】
制御部11は、第2局所画像に基づいて、損傷の修繕に必要な材料を特定することで、損傷の程度を評価してもよい。具体的には、制御部11は、第2局所画像から当該損傷の生じた部位を特定し、対象物2の部位ごとの材質を予め記憶したデータベースなどを参照して、特定した部位の材質を特定し、特定した材質に合う材料の価格が閾値以上であれば、損傷の程度が大きいと評価する。
【0069】
本実施形態の一変形例として、情報処理装置10の制御部11は、更に、損傷の程度を評価した結果を、損傷の修繕に関する情報として出力してもよい。具体的には、制御部11は、損傷の程度を評価した結果として、例えば、損傷の寸法、損傷の修繕に要する費用、又は損傷の修繕に必要な材料を示す情報を、損傷の修繕に関する情報として生成し、出力してもよい。制御部11は、出力された情報を、例えば、集合住宅の管理会社などの、修繕を担当する部署又は者に、通信部13を介して送信してもよい。本変形例によれば、修繕に関する情報が迅速に担当者に通知されるため、修繕にかかる時間を短縮することができる。
【0070】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックを統合してもよいし、又は1つのブロックを分割してもよい。フローチャートに記載の複数のステップを記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行してもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【0071】
例えば、情報処理装置10は、対象物2に搭載又は設置されてもよい。その場合、第1センサ30又は第2センサ40の動作の少なくとも一部は、情報処理装置10により行われてもよい。第1センサ30は、第2センサ40に統合されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理システム
2 対象物
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 出力部
30 第1センサ
40 第2センサ
50 人物
60 ネットワーク
図1
図2
図3