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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20231031BHJP
   F04D 29/051 20060101ALI20231031BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/051
F04D29/42 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020123640
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020249
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楳山 亮
(72)【発明者】
【氏名】中根 芳之
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-160606(JP,U)
【文献】特公昭31-003603(JP,B1)
【文献】国際公開第2016/185570(WO,A1)
【文献】特開平06-193591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0263200(US,A1)
【文献】米国特許第05628616(US,A)
【文献】特開2006-188991(JP,A)
【文献】特開2015-102079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、
前記回転軸及び前記インペラを収容するケーシングと、を備える遠心圧縮機であって、
前記インペラは、
前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、
前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を有し、
前記ケーシングは、
前記ハブの前記背面と対向する対向面と、
前記対向面から前記インペラに向かって突出する突出部と、を有し、
前記ハブには、前記回転軸の径方向において前記突出部と重なり、前記回転軸の軸芯を中心に円環状に延び、前記突出部を収容する収容空間が形成され、
前記収容空間は、前記背面から前記外周面に向けて前記ハブを貫通する貫通孔を備え、
前記貫通孔は、前記ブレードを避けて開口しており
前記突出部は、前記背面よりも前記外周面側に向かって突出することによって前記収容空間内に配置されている、遠心圧縮機。
【請求項2】
前記突出部は、前記収容空間内の全域にわたって連続的につながる円環状に形成されている、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
回転軸と、
前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、
前記回転軸及び前記インペラを収容するケーシングと、を備える遠心圧縮機であって、
前記インペラは、
前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、
前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を有し、
前記ケーシングは、
前記ハブの前記背面と対向する対向面と、
前記対向面から前記インペラに向かって突出する突出部と、を有し、
前記ハブには、前記回転軸の径方向において前記突出部と重なり、前記回転軸の軸芯を中心に円環状に延び、前記突出部を収容する収容空間が形成され、
前記収容空間は、前記背面から前記外周面に向けて前記ハブを貫通する貫通孔を備え、
前記貫通孔は、前記ブレードを避けて開口しており、
前記ケーシングは前記インペラの背面側に配置されるリアハウジングを備え、前記リアハウジングは、前記インペラが形成する気流の吐出側から前記ハブの前記背面と前記対向面との隙間及び前記ハブの径方向における前記突出部の外側面と前記ハブとの隙間を通じて前記ハブの前記外周面に戻る気流が形成されるのを抑制する逆流抑制部をさらに有する、遠心圧縮機。
【請求項4】
前記逆流抑制部は、前記ハブの前記径方向における前記突出部の前記外側面に接続されている、請求項3に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
前記逆流抑制部は、前記突出部の突出方向に沿って間隔を置いて並ぶように配置された複数の逆流抑制要素を有し、
各前記逆流抑制要素は、前記ハブの周方向に沿って延びる形状を有する、請求項4に記載の遠心圧縮機。
【請求項6】
回転軸と、
前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、
前記回転軸及び前記インペラを収容するケーシングと、を備える遠心圧縮機であって、
前記インペラは、
前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、
前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を有し、
前記ケーシングは、
前記ハブの前記背面と対向する対向面と、
前記対向面から前記インペラに向かって突出する突出部と、を有し、
前記ハブには、前記回転軸の径方向において前記突出部と重なり、前記回転軸の軸芯を中心に円環状に延び、前記突出部を収容する収容空間が形成され、
前記収容空間は、前記背面から前記外周面に向けて前記ハブを貫通する貫通孔を備え、
前記貫通孔は、前記ブレードを避けて開口しており、
前記ケーシングは前記インペラの背面側に配置されるリアハウジングを備え、前記リアハウジングは、前記ハブの径方向における前記突出部の内側面と前記ハブとの隙間を通じて前記ハブの前記背面に向かう気流が形成されるのを抑制する漏れ抑制部をさらに有する、遠心圧縮機。
【請求項7】
前記漏れ抑制部は、前記ハブの前記径方向における前記突出部の前記内側面に接続されている、請求項6に記載の遠心圧縮機。
【請求項8】
前記漏れ抑制部は、前記突出部の突出方向に沿って間隔を置いて並ぶように配置された複数の漏れ抑制要素を有し、
各前記漏れ抑制要素は、前記ハブの周方向に沿って延びる形状を有する、請求項7に記載の遠心圧縮機。
【請求項9】
前記突出部の先端部は、前記対向面に向けて窪む形状を有する、請求項1から8のいずれかに記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2018-168707号公報には、インペラを備える遠心圧縮機が開示されている。この遠心圧縮機におけるインペラは、外周面及び背面を有するハブと、複数の翼と、を有している。ハブには、外周面と背面とを連通させる貫通孔が形成されている。この貫通孔の形成により、インペラの慣性モーメントと、インペラに作用するスラスト荷重と、が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-168707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2018-168707号公報に記載される遠心圧縮機では、ハブの外周面に沿って吐出側に向かう気流の一部が貫通孔を通じてインペラの背面側に向かう場合や、インペラが形成する気流の吐出側(ディフューザ等)からインペラの背面とリアハウジングとの隙間及び貫通孔を通じてインペラの外周面に戻る気流が形成される場合がある。この場合、性能(圧力比)が低下したり、インペラの駆動に必要な動力が増大したりする。
【0005】
本発明の目的は、インペラの慣性モーメント及びインペラに作用するスラスト荷重の低減と、圧力比の低下の抑制と、の双方を達成可能な遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一局面に従った遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、前記回転軸及び前記インペラを収容するケーシングと、を備える遠心圧縮機であって、前記インペラは、前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を有し、前記ケーシングは、前記ハブの前記背面と対向する対向面と、前記対向面から前記インペラに向かって突出する突出部と、を有し、前記ハブには、前記回転軸の径方向において前記突出部と重なり、前記回転軸の軸芯を中心に円環状に延び、前記突出部を収容する収容空間が形成され、前記収容空間は、前記背面から前記外周面に向けて貫通する貫通孔を備え、前記貫通孔は前記ブレードを避けて開口する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、インペラの慣性モーメント及びインペラに作用するスラスト荷重の低減と、圧力比の低下の抑制と、の双方を達成可能な遠心圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の遠心圧縮機の構成を概略的に示す図である。
図2】インペラの斜視図である。
図3図2とは異なる角度におけるインペラの斜視図である。
図4】インペラ及びリアハウジングの断面を概略的に示す図である。
図5】リアハウジングの変形例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の遠心圧縮機の構成を概略的に示す図である。図1に示されるように、遠心圧縮機1は、インペラ100と、タービンホイール200と、回転軸310と、モータ320と、軸受け330と、ケーシング400と、を備えている。
【0011】
回転軸310は、インペラ100とタービンホイール200とを接続している。この回転軸310は、モータ320により回転駆動される。回転軸310は、軸受け330で受けられている。なお、モータ320は、ロータと、ステータ(図示略)と、を有している。
【0012】
ケーシング400は、インペラ100、タービンホイール200、回転軸310、モータ320及び軸受け330を収容している。ケーシング400は、コンプレッサハウジング410と、タービンハウジング420と、センターハウジング430と、を有している。
【0013】
コンプレッサハウジング410は、インペラ100を収容している。コンプレッサハウジング410は、吸込み口411と、吐出部412と、を有している。コンプレッサハウジング410内におけるインペラ100の吐出側には、ディフューザ(図示略)が設けられている。
【0014】
タービンハウジング420は、タービンホイール200を収容している。タービンハウジング420は、吸込み部421と、排出口422と、を有している。
【0015】
センターハウジング430は、コンプレッサハウジング410とタービンハウジング420との間に配置されている。センターハウジング430は、モータ320と軸受け330とを収容している。
【0016】
センターハウジング430は、リアハウジング440を有している。すなわち、ケーシング400は、リアハウジング440を備えている。リアハウジング440は、インペラ100の背面側に配置されている。リアハウジング440は、インペラ100と軸受け330との間に設けられている。リアハウジング440の詳細については、後述する。
【0017】
インペラ100は、吸込み口411から吸い込まれたガス(例えば空気)を吐出部412から吐出させる。インペラ100は、回転軸310に固定されており、軸芯Aまわりに回転軸310と一体回転する。図2及び図3に示されるように、インペラ100は、ハブ110と、複数のブレード120と、を備えている。
【0018】
ハブ110は、回転軸310に固定されており、軸芯Aまわりに回転可能である。本実施形態では、軸芯Aは、回転軸310の回転中心軸に相当する。ハブ110は、外周面112と、背面118と、を有している。
【0019】
外周面112は、回転軸310(回転中心軸)の一方側(図1における上側)から他方側(図1における下側)に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有している。換言すれば、外周面112は、吸込み側の端部から吐出側の端部に向かうにしたがって次第に当該外周面112の外径が大きくなる形状を有している。外周面112は、前記一方側から前記他方側に向かうにしたがって回転軸310に近づく向きに凸となるように湾曲する形状を有している。
【0020】
背面118は、軸芯Aと直交している。背面118は、前記他方側(吐出側)に形成されている。背面118は、平坦に形成されている。
【0021】
ハブ110には、回転軸310の軸芯Aを中心に円環状に延びる収容空間110Sが形成されている。収容空間110Sには、背面118から外周面112に向けてハブ110を貫通する貫通孔hが形成されている。貫通孔hは、軸芯Aと平行な方向にハブ110を貫通している。貫通孔hは、ハブ110の外縁部の近傍に形成されることが好ましい。貫通孔hは、後述するブレード120を避けて開口している。
【0022】
ハブ110の外周面112は、内側外周面114と、外側外周面116と、を有している。
【0023】
内側外周面114は、ハブ110の径方向における貫通孔hの内側に位置する外周面である。
【0024】
外側外周面116は、径方向における貫通孔hの外側に位置する外周面である。本実施形態では、外側外周面116は、円環状(リング状)に形成されている。外側外周面116の背面118は、内側外周面114の背面118と面一である。
【0025】
各ブレード120は、ハブ110の外周面112に設けられている。各ブレード120は、内側外周面114から外側外周面116に至るように延びる形状を有している。各ブレード120は、内側外周面114と外側外周面116とを繋いでいる。複数のブレード120は、複数の第1ブレード120Aと、複数の第2ブレード120Bと、を有している。
【0026】
第1ブレード120Aは、内側外周面114のうち前記一方側の端部の近傍から外側外周面116に至るように延びる形状を有している。
【0027】
第2ブレード120Bは、内側外周面114のうち径方向における中央部から外側外周面116に至るように延びる形状を有している。
【0028】
図2図4に示されるように、各ブレード120は、ブレード本体122と、内側接続部124と、外側接続部126と、を有している。
【0029】
ブレード本体122は、内側外周面114から外側外周面116に至るように延びる形状を有している。ブレード本体122は、内側外周面114と外側外周面116とを繋いでいる。ブレード本体122は、ハブ110の回転方向に向けて傾倒している。
【0030】
内側接続部124は、ハブ110における収容空間110Sを規定する側面のうち軸芯Aに近い側の部位110aとブレード本体122との境界部に設けられている。内側接続部124は、背面118から離間するにしたがって軸芯Aに近づく向きに凸となるように湾曲する形状を有している。
【0031】
外側接続部126は、ハブ110における収容空間110Sを規定する側面のうち軸芯Aから遠い側の部位110bとブレード本体122との境界部に設けられている。外側接続部126は、背面118から離間するにしたがって軸芯Aから離間する向きに凸となるように湾曲する形状を有している。
【0032】
ここで、リアハウジング440について説明する。図4に示されるように、リアハウジング440は、対向面442と、突出部444と、逆流抑制部446と、漏れ抑制部448と、を有している。
【0033】
対向面442は、インペラ100の背面118と対向している。対向面442は、平坦に形成されている。
【0034】
突出部444は、対向面442からインペラ100に向かって突出する形状を有するとともに、収容空間110S内に配置されている。すなわち、突出部444は、回転軸310の径方向において収容空間110Sと重なっており、収容空間110Sに収容されている。突出部444は、収容空間110S内の全域にわたって連続的につながる円環状に形成されている。突出部444は、対向面442に対して直交している。突出部444の先端部444aは、径方向における外側(図4における右側)に向かうにしたがって対向面442に近づく形状を有している。この先端部444aは、ブレード本体122のうち軸芯Aと平行な方向(図4における上下方向)に先端部444aと対向する部位(内側接続部124と外側接続部126との間の部位)に倣う形状に形成されてもよい。
【0035】
逆流抑制部446は、インペラ100が形成する気流の吐出側から、ハブ110の背面118と対向面442との隙間と、ハブ110の径方向における突出部444の外側面と前記部位110bとの隙間と、を通じてハブ110の外周面112に戻る気流が形成されるのを抑制する。本実施形態では、逆流抑制部446は、径方向における突出部444の外側面に接続されている。
【0036】
逆流抑制部446は、突出部444の突出方向(図4における上向き)に沿って間隔を置いて並ぶように配置された複数の逆流抑制要素446aを有している。各逆流抑制要素446aは、ハブ110の周方向に沿って延びる形状を有している。各逆流抑制要素446aは、突出部444の周方向に沿って当該突出部444の全周にわたって連続的につながる円環状に形成されている。
【0037】
漏れ抑制部448は、ハブ110の径方向における突出部444の内側面と前記部位110aとの隙間を通じてハブ110の背面118に向かう気流が形成されるのを抑制する。本実施形態では、漏れ抑制部448は、径方向における突出部444の内側面に接続されている。
【0038】
漏れ抑制部448は、突出部444の突出方向に沿って間隔を置いて並ぶように配置された複数の漏れ抑制要素448aを有している。各漏れ抑制要素448aは、ハブ110の周方向に沿って延びる形状を有している。各漏れ抑制要素448aは、突出部444の周方向に沿って当該突出部444の全周にわたって連続的につながる円環状に形成されている。
【0039】
以上に説明したように、本実施形態の遠心圧縮機1では、インペラ100の収容空間110S内に突出部444が配置されているため、ハブ110の外周面112に沿って吐出側に向かう気流の一部が貫通孔hを通じてハブ110の背面118側に向かうことや、インペラ100が形成する気流の吐出側(ディフューザ等)からハブ110の背面118と対向面442との隙間及び貫通孔hを通じてハブ110の外周面112に戻る気流が形成されることが抑制される。よって、この遠心圧縮機1では、インペラ100の慣性モーメント及びインペラ100に作用するスラスト荷重の低減と、圧力比の低下の抑制と、の双方が達成される。
【0040】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
例えば、突出部444は、環状につながる形状ではなく、ハブ110の周方向に沿って間隔を置いて形成されてもよい。
【0042】
また、全てのブレード120は、互いに同じ形状に形成されてもよい。
【0043】
また、図5に示されるように、突出部444の先端部444aは、対向面442に向けて窪む形状を有していてもよい。また、逆流抑制部446は、対向面442のうち軸芯Aと平行な方向に外側外周面116と重なる部位に設けられてもよい。また、漏れ抑制部448は、対向面442のうち軸芯Aと平行な方向に内側外周面114と重なる部位に設けられてもよい。
【0044】
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0045】
この開示の一局面に従った遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、前記回転軸及び前記インペラを収容するケーシングと、を備える遠心圧縮機であって、前記インペラは、前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を有し、前記ケーシングは、前記ハブの前記背面と対向する対向面と、前記対向面から前記インペラに向かって突出する突出部と、を有し、前記ハブには、前記回転軸の径方向において前記突出部と重なり、前記回転軸の軸芯を中心に円環状に延び、前記突出部を収容する収容空間が形成され、前記収容空間は、前記背面から前記外周面に向けて前記ハブを貫通する貫通孔を備え、前記貫通孔は前記ブレードを避けて開口する。
【0046】
この遠心圧縮機では、インペラの収容空間内に突出部が配置されているため、ハブの外周面に沿って吐出側に向かう気流の一部が貫通孔を通じてハブの背面側に向かうことや、インペラが形成する気流の吐出側(ディフューザ等)からハブの背面とリアハウジングとの隙間及び貫通孔を通じてハブの外周面に戻る気流が形成されることが抑制される。よって、この遠心圧縮機では、インペラの慣性モーメント及びインペラに作用するスラスト荷重の低減と、圧力比の低下の抑制と、の双方が達成される。
【0047】
また、前記突出部は、前記収容空間内の全域にわたって連続的につながる円環状に形成されていることが好ましい。
【0048】
このようにすれば、圧力比の低下がより確実に抑制される。
【0049】
また、前記ケーシングは、前記インペラの背面側に配置されるリアハウジングを備え、前記リアハウジングは、前記インペラが形成する気流の吐出側から前記ハブの前記背面と前記対向面との隙間及び前記ハブの径方向における前記突出部の外側面と前記ハブとの隙間を通じて前記ハブの前記外周面に戻る気流が形成されるのを抑制する逆流抑制部をさらに有することが好ましい。
【0050】
このようにすれば、圧力比の低下がより確実に抑制される。
【0051】
この場合において、前記逆流抑制部は、前記ハブの前記径方向における前記突出部の前記外側面に接続されていることが好ましい。
【0052】
また、前記逆流抑制部は、前記突出部の突出方向に沿って間隔を置いて並ぶように配置された複数の逆流抑制要素を有し、各前記逆流抑制要素は、前記ハブの周方向に沿って延びる形状を有することが好ましい。
【0053】
また、前記ケーシングは、前記インペラの背面側に配置されるリアハウジングを備え、前記リアハウジングは、前記ハブの径方向における前記突出部の内側面と前記ハブとの隙間を通じて前記ハブの前記背面に向かう気流が形成されるのを抑制する漏れ抑制部をさらに有することが好ましい。
【0054】
このようにすれば、圧力比の低下がより確実に抑制される。
【0055】
この場合において、前記漏れ抑制部は、前記ハブの前記径方向における前記突出部の前記内側面に接続されていることが好ましい。
【0056】
また、前記漏れ抑制部は、前記突出部の突出方向に沿って間隔を置いて並ぶように配置された複数の漏れ抑制要素を有し、各前記漏れ抑制要素は、前記ハブの周方向に沿って延びる形状を有することが好ましい。
【0057】
また、前記突出部の先端部は、前記対向面に向けて窪む形状を有することが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1 遠心圧縮機、100 インペラ、110 ハブ、110S 収容空間、112 外周面、114 内側外周面、116 外側外周面、118 背面、120 ブレード、122 ブレード本体、124 内側接続部、126 外側接続部、200 タービンホイール、310 回転軸、320 モータ、330 軸受け、400 ケーシング、410 コンプレッサハウジング、420 タービンハウジング、430 センターハウジング、440 リアハウジング、442 対向面、444 突出部、444a 先端部、446 逆流抑制部、446a 逆流抑制要素、448 漏れ抑制部、448a 漏れ抑制要素、A 軸芯、h 貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5