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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電気装置用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 5/02 20060101AFI20231031BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231031BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20231031BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20231031BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20231031BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20231031BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20231031BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231031BHJP
   F25B 41/42 20210101ALI20231031BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F25B5/02 C
H01M10/613
H01M10/6569
H01M10/6556
H01M10/647
H01M10/625
H01M10/663
F25B1/00 321L
F25B41/42
F25B43/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020123697
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020292
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 大騎
(72)【発明者】
【氏名】榎島 史修
(72)【発明者】
【氏名】深沼 哲彦
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-23703(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070115(WO,A1)
【文献】特開2011-49138(JP,A)
【文献】特開2020-17358(JP,A)
【文献】実開昭50-31566(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079637(US,A1)
【文献】特表2015-515093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 5/02
F25B 41/40 - 41/48
F25B 43/00
H01M 10/60 - 10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮してガス冷媒を吐出する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出されたガス冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された液冷媒を減圧する膨張弁と、
減圧された前記液冷媒が流れるとともに、電気装置と熱交換する並列接続された複数の蒸発器と、を有する冷凍サイクルを備え、
前記複数の蒸発器の下流と前記圧縮機の上流とを接続する排出通路を有し、
前記排出通路は、前記複数の蒸発器から排出された冷媒を合流させる合流部を備え、
前記合流部は、前記冷媒の液相と気相とを有し、
前記複数の蒸発器は、前記合流部の前記液相に接続され、
前記圧縮機は、前記合流部の前記気相に接続され、
前記排出通路における前記複数の蒸発器と前記合流部との間に位置する通路は、重力方向にて前記合流部の前記液相の液面高さ以下に配置される電気装置用冷却装置。
【請求項2】
前記複数の蒸発器は、第1蒸発器と第2蒸発器とを有し、
前記合流部は、前記第1蒸発器に連通する第1連通口と、前記第2蒸発器に連通する第2連通口と、前記合流部から前記圧縮機に向けて冷媒を排出する排出口と、を備え、
前記排出口の位置が、前記第1連通口及び前記第2連通口の位置より重力方向の上方である請求項1に記載の電気装置用冷却装置。
【請求項3】
前記合流部は、前記第1蒸発器と前記第2蒸発器とを跨ぐように延びており、
前記排出口は、前記合流部の延在方向において、前記第1連通口と前記第2連通口との間に位置する請求項2に記載の電気装置用冷却装置。
【請求項4】
前記排出通路における前記合流部よりも下流側の通路は、前記合流部に対して重力方向の上方に向かって延在している請求項2又は請求項3に記載の電気装置用冷却装置。
【請求項5】
前記第1連通口及び前記第2連通口は、前記合流部における重力方向の最下部に位置している請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の電気装置用冷却装置。
【請求項6】
前記凝縮器の下流と前記複数の蒸発器の上流とを接続する供給通路を有し、
前記供給通路は、前記複数の蒸発器毎に設けられた分流通路と、
前記分流通路に前記液冷媒を分配する分配通路と、を備え、
前記膨張弁は、前記分流通路毎に設けられる請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電気装置用冷却装置。
【請求項7】
前記合流部は、前記圧縮機へのガス冷媒の流出を許容し、且つ前記圧縮機への液冷媒の流出を阻止するアキュムレータである請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電気装置用冷却装置。
【請求項8】
前記電気装置は電池モジュールであり、前記複数の蒸発器には、前記電池モジュールがそれぞれ配設される請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の電気装置用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を有する冷凍サイクルを備えた電気装置用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器を有する冷凍サイクルを用いて、電気装置としての電池モジュールを冷却する電気装置用冷却装置として、例えば特許文献1が知られている。圧縮機は、冷媒を圧縮してガス冷媒を吐出する。凝縮器は、圧縮機から吐出されたガス冷媒を凝縮する。膨張弁は、凝縮器で凝縮された液冷媒を減圧する。蒸発器には、膨張弁で減圧された液冷媒が流れるとともに、電池モジュールと熱交換する。そして、液冷媒と電池モジュールとの蒸発器を介した熱交換が行われて、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要となる潜熱によって、電池モジュールが冷却される。このような構成によれば、電池モジュールを冷却するための冷却回路を別途設ける必要が無く、既存の冷凍サイクルを利用して電池モジュールを冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2015-515093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の電池モジュールを複数の蒸発器を用いて各々冷却することが考えられる。この場合、例えば、複数の蒸発器は、並列接続されている。このとき、例えば、並列接続された二つの蒸発器の一方を流れる液冷媒の流量と、並列接続された二つの蒸発器の他方を流れる液冷媒の流量とにばらつきが生じる場合がある。例えば、並列接続された二つの蒸発器の一方を流れる液冷媒の流量が、並列接続された二つの蒸発器の他方を流れる液冷媒の流量よりも少ない場合、並列接続された二つの蒸発器の一方の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまう虞がある。また、例えば、並列接続された二つの蒸発器の一方と熱交換する電池モジュールの発熱量が、並列接続された二つの蒸発器の他方と熱交換する電池モジュールの発熱量よりも大きい場合、並列接続された二つの蒸発器の一方の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまう虞がある。このように、例えば、並列接続された二つの蒸発器の一方の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまうと、その蒸発器と熱交換する電池モジュールにおける蒸発器の下流に対応する部位が、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要となる潜熱によって冷却されなくなるため、冷却性能が悪化してしまう。
【0005】
なお、このような課題は、電気装置用冷却装置の冷却対象が電池モジュールに限った課題ではなく、発熱をする電気装置が冷却対象であれば、電気装置用冷却装置として、同様な課題が生じる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、冷却性能を向上させることができる電気装置用冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電気装置用冷却装置は、冷媒を圧縮してガス冷媒を吐出する圧縮機と、前記圧縮機から吐出されたガス冷媒を凝縮する凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された液冷媒を減圧する膨張弁と、減圧された前記液冷媒が流れるとともに、電気装置と熱交換する並列接続された複数の蒸発器と、を有する冷凍サイクルを備え、前記複数の蒸発器の下流と前記圧縮機の上流とを接続する排出通路を有し、前記排出通路は、前記複数の蒸発器から排出された冷媒を合流させる合流部を備え、前記合流部は、前記冷媒の液相と気相とを有し、前記複数の蒸発器は、前記合流部の前記液相に接続され、前記圧縮機は、前記合流部の前記気相に接続され、前記排出通路における前記複数の蒸発器と前記合流部との間に位置する通路は、重力方向にて前記合流部の前記液相の液面高さ以下に配置される。
【0008】
例えば、並列接続された二つの蒸発器の一方を流れる液冷媒の流量が、並列接続された二つの蒸発器の他方を流れる液冷媒の流量よりも少ない場合を考える。また、例えば、並列接続された二つの蒸発器の一方と熱交換する電気装置の発熱量が、並列接続された二つの蒸発器の他方と熱交換する電気装置の発熱量よりも大きい場合を考える。このような場合、並列接続された二つの蒸発器の一方の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまう場合が考えられる。このとき、電気装置用冷却装置において、複数の蒸発器の下流と圧縮機の上流とを接続する排出通路は、複数の蒸発器から排出された冷媒を合流させる合流部を備え、複数の蒸発器は、合流部の液相に接続され、圧縮機は、合流部の気相に接続されている。そして、排出通路における複数の蒸発器と合流部との間に位置する通路は、重力方向で合流部の液相の液面高さ以下に配置されている。これによれば、例えば、並列接続された二つの蒸発器の他方から合流部へ流出した液冷媒が、並列接続された二つの蒸発器の一方に流入することで、並列接続された二つの蒸発器の一方と熱交換する電気装置における蒸発器の下流に対応する部位を、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要な潜熱によって冷却することができる。その結果として、冷却性能を向上させることができる。
【0009】
上記電気装置用冷却装置において、前記複数の蒸発器は、第1蒸発器と第2蒸発器とを有し、前記合流部は、前記第1蒸発器に連通する第1連通口と、前記第2蒸発器に連通する第2連通口と、前記合流部から前記圧縮機に向けて冷媒を排出する排出口と、を備え、前記排出口の位置が、前記第1連通口及び前記第2連通口の位置より重力方向の上方であるとよい。
【0010】
例えば、第1蒸発器の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまったとする。このとき、排出口の位置が、第1連通口及び第2連通口の位置より重力方向の上方である。したがって、例えば、第2蒸発器から第2連通口へ流出した液冷媒が、排出口よりも第1連通口に向けて流れ易くなるため、合流部の液冷媒が第1連通口を介して第1蒸発器に流入し易くなる。よって、合流部の液冷媒が、第1連通口を介して第1蒸発器に流入することで、第1蒸発器と熱交換する電気装置における第1蒸発器の下流に対応する部位を、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要な潜熱によって冷却することができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0011】
上記電気装置用冷却装置において、前記合流部は、前記第1蒸発器と前記第2蒸発器とを跨ぐように延びており、前記排出口は、前記合流部の延在方向において、前記第1連通口と前記第2連通口との間に位置するとよい。
【0012】
これによれば、例えば、排出口が、合流部の延在方向において、第1連通口及び第2連通口の一方寄りに位置している場合に比べると、第1連通口及び第2連通口それぞれからの冷媒が、排出口に効率良く流入する。したがって、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0013】
上記電気装置用冷却装置において、前記排出通路における前記合流部よりも下流側の通路は、前記合流部に対して重力方向の上方に向かって延在しているとよい。
これによれば、例えば、排出通路における合流部よりも下流側の通路が、合流部に対して水平方向に向かって延在している場合に比べると、電気装置用冷却装置における水平方向への体格を小さくすることができる。
【0014】
上記電気装置用冷却装置において、前記第1連通口及び前記第2連通口は、前記合流部における重力方向の最下部に位置しているとよい。
これによれば、例えば、第1蒸発器の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまったとしても、第2蒸発器から第2連通口へ流出した液冷媒が、第1連通口を介して第1蒸発器に流入し易くなるため、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0015】
上記電気装置用冷却装置において、前記凝縮器の下流と前記複数の蒸発器の上流とを接続する供給通路を有し、前記供給通路は、前記複数の蒸発器毎に設けられた分流通路と、前記分流通路に前記液冷媒を分配する分配通路と、を備え、前記膨張弁は、前記分流通路毎に設けられるとよい。
【0016】
例えば、分配配管に膨張弁を設けて、分配配管に流れる液冷媒を膨張弁によって減圧して、分配配管によって減圧した液冷媒を分流通路毎に分配する場合を考える。この場合、分配配管から分流通路毎に減圧した液冷媒が分配される際に、減圧した液冷媒中に含まれるガス冷媒の流れの影響を受けて、液冷媒が分配配管から分流通路毎に均等に分配され難くなってしまう虞がある。すると、各蒸発器に流れる液冷媒の流量にばらつきが生じてしまう。
【0017】
そこで、凝縮器で凝縮されて液化した液冷媒を分配配管から分流通路毎に分配した後、分流通路毎に設けられる膨張弁によって液冷媒を減圧するようにした。これによれば、各蒸発器に流れる液冷媒の流量のばらつきを抑えることができる。
【0018】
上記電気装置用温調装置において、前記合流部は、前記圧縮機へのガス冷媒の流出を許容し、且つ前記圧縮機への液冷媒の流出を阻止するアキュムレータであるとよい。
これによれば、冷凍サイクルにおいて、合流部とは別にアキュムレータを設ける必要が無いため、構成を簡素化することができる。
【0019】
上記電気装置用冷却装置において、前記電気装置は電池モジュールであり、前記複数の蒸発器には、前記電池モジュールがそれぞれ配設されるとよい。
電池モジュールは、電気装置用冷却装置の冷却対象である電気装置として好適である。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態における電池用冷却装置を模式的に示す平面図。
図2】第1蒸発器、第2蒸発器及び接続配管の周辺を示す模式図。
図3】電池用冷却装置の一部分を破断して示す断面図。
図4】別の実施形態における電池用冷却装置の一部分を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、電気装置用冷却装置を電気装置としての電池モジュールを冷却する電池用冷却装置に具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。本実施形態の電池用冷却装置は、例えば、車両に搭載されている。
【0023】
図1に示すように、電池用冷却装置10は、冷凍サイクル11を備えている。電池用冷却装置10は、冷凍サイクル11を用いて、複数の電池モジュール20を冷却する。電池モジュール20は、電池セルである角型電池20aを複数有している。電池モジュール20は、各角型電池20aの厚み方向がそれぞれ一致した状態で各角型電池20aが互いに並設されることにより構成されている。各角型電池20aは、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池である。
【0024】
複数の電池モジュール20は、複数の第1電池モジュール21、及び複数の第2電池モジュール22を含む。各第1電池モジュール21及び各第2電池モジュール22は、各電池モジュール20の角型電池20aの並設方向に対して直交する方向に交互に並んで配置されている。そして、各第1電池モジュール21及び各第2電池モジュール22が、例えば、図示しないハウジング内に収容されることにより、1つの電池パックとしてパッケージ化されている。
【0025】
冷凍サイクル11は、圧縮機12、凝縮器13、膨張弁14、複数の蒸発器15、及びアキュムレータ16を有している。圧縮機12は、低温低圧のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を吐出する。凝縮器13は、圧縮機12から吐出されたガス冷媒を凝縮する。膨張弁14は、凝縮器13で凝縮されて液化した高温高圧の液冷媒を減圧して低温低圧の気液二相冷媒にする。蒸発器15には、気液二相冷媒が流れる。したがって、蒸発器15には、減圧された液冷媒が流れる。アキュムレータ16は、圧縮機12へのガス冷媒の流出を許容し、且つ圧縮機12への液冷媒の流出を阻止する。
【0026】
圧縮機12と凝縮器13とは第1配管17によって接続されている。第1配管17の一端は、圧縮機12の吐出口12aに接続されている。圧縮機12の吐出口12aは、圧縮機12の下流側の端部である。第1配管17の他端は、凝縮器13の入口13aに接続されている。凝縮器13の入口13aは、凝縮器13の上流側の端部である。
【0027】
複数の蒸発器15は、第1電池モジュール21と熱的に結合される第1蒸発器31と、第2電池モジュール22と熱的に結合される第2蒸発器32と、を有している。したがって、複数の蒸発器15は、電池モジュール20と熱交換する。電池用冷却装置10は、各第1電池モジュール21に対応して第1蒸発器31を1つずつ有するとともに、各第2電池モジュール22に対応して第2蒸発器32を1つずつ有している。したがって、複数の蒸発器15には、電池モジュール20がそれぞれ配設されている。各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32は、各第1電池モジュール21及び各第2電池モジュール22の並設方向に交互に並んで配置されている。したがって、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32の並設方向は、各第1電池モジュール21及び各第2電池モジュール22の並設方向に一致している。
【0028】
各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32は、扁平長四角筒状である。各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32は全て同一形状である。したがって、各第1蒸発器31の流路断面積と各第2蒸発器32の流路断面積とは同じである。各第1蒸発器31の長手方向の両端部は、開口している。各第1蒸発器31の長手方向の一方の開口は、各第1蒸発器31の入口31aである。各第1蒸発器31の入口31aは、各第1蒸発器31の上流側の端部である。各第1蒸発器31の長手方向の他方の開口は、各第1蒸発器31の出口31bである。各第1蒸発器31の出口31bは、各第1蒸発器31の下流側の端部である。各第2蒸発器32の長手方向の両端部は、開口している。各第2蒸発器32の長手方向の一方の開口は、各第2蒸発器32の入口32aである。各第2蒸発器32の入口32aは、各第2蒸発器32の上流側の端部である。各第2蒸発器32の長手方向の他方の開口は、各第2蒸発器32の出口32bである。各第2蒸発器32の出口32bは、各第2蒸発器32の下流側の端部である。
【0029】
各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32は、各々の長手方向が各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32の並設方向に対して直交する方向となるようにそれぞれ配置されている。各第1蒸発器31の入口31a及び各第2蒸発器32の入口32aは、各々の長手方向の一方に位置している。各第1蒸発器31の出口31b及び各第2蒸発器32の出口32bは、各々の長手方向の他方に位置している。
【0030】
電池用冷却装置10は、凝縮器13の出口13bと各第1蒸発器31の入口31a及び各第2蒸発器32の入口32aとを接続する供給通路40を有している。凝縮器13の出口13bは、凝縮器13の下流側の端部である。したがって、供給通路40は、凝縮器13の下流と複数の蒸発器15の上流とを接続する。よって、複数の蒸発器15は、並列接続されている。第1蒸発器31は、並列接続された二つの蒸発器15の一方であり、第2蒸発器32は、並列接続された二つの蒸発器15の他方である。
【0031】
供給通路40は、複数の第1蒸発器31毎に設けられた第1供給配管41と、複数の第2蒸発器32毎に設けられた第2供給配管42と、を備えている。したがって、各第1供給配管41及び各第2供給配管42は、複数の蒸発器15毎に設けられた分流通路40Aである。各第1供給配管41は、各第1蒸発器31の入口31aに接続されている。各第2供給配管42は、各第2蒸発器32の入口32aに接続されている。
【0032】
また、供給通路40は、分流通路40Aに液冷媒を分配する分配通路としての分配配管43を備えている。分配配管43は、各第1供給配管41及び各第2供給配管42に接続されている。分配配管43の一端は、凝縮器13の出口13bに接続されている。分配配管43の他端は閉塞している。分配配管43は、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32に対して、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32の並設方向に延びている。
【0033】
各第1供給配管41の一端は、分配配管43の途中にそれぞれ接続されている。各第2供給配管42の一端は、分配配管43の途中にそれぞれ接続されている。各第1供給配管41の一端における分配配管43に対する接続箇所、及び各第2供給配管42の一端における分配配管43に対する接続箇所は、分配配管43の一端から他端にかけて交互に並んだ状態で一定の間隔をあけて配置されている。各第1供給配管41の他端は、各第1蒸発器31の入口31aに接続されている。各第2供給配管42の他端は、各第2蒸発器32の入口32aに接続されている。
【0034】
膨張弁14は、各第1供給配管41に設けられる第1膨張弁51と、各第2供給配管42に設けられる第2膨張弁52と、を含む。したがって、膨張弁14は、分流通路40A毎に設けられている。各第1膨張弁51は、各第1供給配管41の一部の流路断面積を小さくしたオリフィスである。したがって、各第1膨張弁51は、固定絞りである。各第1膨張弁51の流路断面積はそれぞれ同じである。各第2膨張弁52は、各第2供給配管42の一部の流路断面積を小さくしたオリフィスである。したがって、各第2膨張弁52は、固定絞りである。各第2膨張弁52の流路断面積はそれぞれ同じである。各第1膨張弁51の流路断面積と各第2膨張弁52の流路断面積とは同じである。
【0035】
各第1蒸発器31の入口31aは、各第1供給配管41及び分配配管43を介して凝縮器13に接続されている。したがって、各第1蒸発器31の入口31aは、各第1膨張弁51を介して凝縮器13にそれぞれ接続されている。各第2蒸発器32の入口32aは、各第2供給配管42及び分配配管43を介して凝縮器13に接続されている。したがって、各第2蒸発器32の入口32aは、各第2膨張弁52を介して凝縮器13にそれぞれ接続されている。
【0036】
図2に示すように、複数の第1蒸発器31及び複数の第2蒸発器32のうち、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32の並設方向で隣り合う第1蒸発器31の出口31bと第2蒸発器32の出口32bとは、接続配管33によって接続されている。したがって、電池用冷却装置10は、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32の並設方向で隣り合う第1蒸発器31と第2蒸発器32とに対応して接続配管33を1つずつ備えている。各接続配管33の内部は、第1蒸発器31及び第2蒸発器32から排出された冷媒を合流させる合流部60である。したがって、合流部60は、複数の蒸発器15から排出された冷媒を合流させる。
【0037】
各接続配管33は、円筒状である。接続配管33の両端はそれぞれ閉塞している。各接続配管33の合流部60は、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32に対して、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32の並設方向に延びている。各第1蒸発器31の出口31bは、各接続配管33における一端寄りの部位に接続されている。各第2蒸発器32の出口32bは、各接続配管33における他端寄りの部位に接続されている。したがって、合流部60は、第1蒸発器31と第2蒸発器32とを跨ぐように延びている。合流部60の延在方向は、接続配管33の軸方向である。
【0038】
図3に示すように、各第1蒸発器31の厚み方向の一方に位置する第1外面311、及び各第2蒸発器32の厚み方向の一方に位置する第1外面321は、各接続配管33の外周面33aに対して接線方向にそれぞれ延びている。そして、電池用冷却装置10は、各第1蒸発器31の第1外面311、及び各第2蒸発器32の第1外面321が、各第1蒸発器31の厚み方向の他方に位置する第2外面312、及び各第2蒸発器32の厚み方向の他方に位置する第2外面322よりも重力方向の下側に位置するように車両に搭載されている。
【0039】
各第1供給配管41は、各第1蒸発器31の入口31aから各第1蒸発器31の入口31aの配置面に対して重力方向の上方に延びている。各第2供給配管42は、各第2蒸発器32の入口32aから各第2蒸発器32の入口32aの配置面に対して重力方向の上方に延びている。分配配管43は、各第1供給配管41及び各第2供給配管42に対して重力方向の上方に設けられている。
【0040】
各接続配管33の合流部60は、各第1蒸発器31の出口31bに連通する第1連通口61と、各第2蒸発器32の出口32bに連通する第2連通口62と、をそれぞれ備えている。各第1連通口61及び各第2連通口62は、各接続配管33の合流部60における重力方向の最下部に位置している。また、各接続配管33には、各第1連通口61と各第1蒸発器31の出口31bとを接続する第1接続通路331と、各第2連通口62と各第2蒸発器32の出口32bとを接続する第2接続通路332と、が形成されている。したがって、各第1蒸発器31の出口31bは、第1接続通路331を介して合流部60に連通している。また、各第2蒸発器32の出口32bは、第2接続通路332を介して合流部60に連通している。
【0041】
各第1蒸発器31の第2外面312、及び各第2蒸発器32の第2外面322は、同一平面上に位置している。したがって、各第1蒸発器31の第2外面312、及び各第2蒸発器32の第2外面322は、重力方向でそれぞれ同じ高さに位置している。各第1蒸発器31の第2外面312には、各第1電池モジュール21が載置されている。これにより、各第1蒸発器31の第2外面312と各第1電池モジュール21とは熱的に結合されている。各第2蒸発器32の第2外面322には、各第2電池モジュール22が載置されている。これにより、各第2蒸発器32の第2外面322と各第2電池モジュール22とは熱的に結合されている。
【0042】
各接続配管33の合流部60は、排出口63を備えている。排出口63は、合流部60から圧縮機12に向けて冷媒を排出する。排出口63は、合流部60の延在方向において、第1連通口61と第2連通口62との間に位置している。排出口63は、各接続配管33を軸方向から見たときに、各第1蒸発器31の第1外面311、及び各第2蒸発器32の第1外面321における各接続配管33の外周面33aとの接続位置に対して、接続配管33の軸線を挟んで反対側に配置されている。よって、排出口63は、合流部60における重力方向の最上部に位置している。したがって、排出口63の位置は、第1連通口61及び第2連通口62の位置よりも重力方向の上方である。
【0043】
電池用冷却装置10は、複数の排出配管34、及び集合配管35を有している。集合配管35は、例えば、円筒状である。集合配管35は、各接続配管33と平行に延びている。また、各接続配管33には、排出口63に連通する連通通路33hが形成されている。各排出配管34の一端は、各接続配管33の連通通路33hにそれぞれ接続されている。各排出配管34は、各接続配管33の連通通路33hから真っ直ぐに延びている。各排出配管34は、各接続配管33の連通通路33hから重力方向の上方に延びている。各排出配管34の他端は、集合配管35に接続されている。
【0044】
図1に示すように、集合配管35の一端は、アキュムレータ16の入口16aに接続されている。集合配管35の他端は閉塞している。また、アキュムレータ16と圧縮機12とは第2配管18によって接続されている。第2配管18の一端は、アキュムレータ16の出口16bに接続されている。第2配管18の他端は、圧縮機12の吸入口12bに接続されている。圧縮機12の吸入口12bは、圧縮機12の上流側の端部である。
【0045】
第1接続通路331、第2接続通路332、合流部60、連通通路33h、排出配管34、集合配管35、アキュムレータ16の内部、及び第2配管18は、複数の蒸発器15の下流と圧縮機12の上流とを接続する排出通路64を構成している。したがって、電池用冷却装置10は、排出通路64を有し、排出通路64は、合流部60を備えている。
【0046】
図3に示すように、連通通路33h及び排出配管34は、排出通路64における合流部60よりも下流側の通路であり、合流部60に対して重力方向の上方に向かって延在している。第1接続通路331及び第2接続通路332は、排出通路64における複数の蒸発器15と合流部60との間に位置する通路である。合流部60は、冷媒の液相65と気相66とを有している。第1接続通路331及び第2接続通路332は、合流部60の液相65に接続されている。したがって、第1蒸発器31は、第1接続通路331を介して合流部60の液相65に接続されるとともに、第2蒸発器32は、第2接続通路332を介して合流部60の液相65に接続されている。よって、複数の蒸発器15は、合流部60の液相65に接続されている。第1接続通路331及び第2接続通路332は、重力方向にて合流部60の液相65の液面高さH1以下に配置されている。また、連通通路33hは、合流部60の気相66に接続されている。したがって、圧縮機12は、合流部60の気相66に接続されている。
【0047】
次に、本実施形態の作用について説明する。
圧縮機12の吐出口12aから第1配管17へ吐出された高温高圧のガス冷媒は、第1配管17及び凝縮器13の入口13aを介して凝縮器13に供給される。凝縮器13に供給されたガス冷媒は、外気との凝縮器13を介した熱交換が行われることにより凝縮されて液化する。凝縮器13で凝縮されて液化した高温高圧の液冷媒は、凝縮器13の出口13bから分配配管43に排出され、分配配管43内を流れる。そして、分配配管43内を流れる液冷媒は、各第1供給配管41と各第2供給配管42とに分配される。したがって、分配配管43は、凝縮器13で凝縮されて液化した液冷媒が流れるとともに各第1供給配管41と各第2供給配管42とに液冷媒を分配する。
【0048】
各第1供給配管41を流れる高温高圧の液冷媒は、各第1膨張弁51を通過する際にそれぞれ減圧される。減圧された液冷媒にはガス冷媒が含まれ、低温低圧の気液二相冷媒になっている。各第1供給配管41を流れる気液二相冷媒は、各第1蒸発器31の入口31aを介して各第1蒸発器31の内部を流れる。また、各第2供給配管42を流れる高温高圧の液冷媒は、各第2膨張弁52を通過する際にそれぞれ減圧され、低温低圧の気液二相冷媒になる。各第2供給配管42を流れる気液二相冷媒は、各第2蒸発器32の入口32aを介して各第2蒸発器32の内部を流れる。
【0049】
そして、各第1蒸発器31の内部を流れる気液二相冷媒と各第1電池モジュール21との各第1蒸発器31を介した熱交換が行われて、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要となる潜熱によって、各第1電池モジュール21が冷却される。また、各第2蒸発器32の内部を流れる気液二相冷媒と各第2電池モジュール22との各第2蒸発器32を介した熱交換が行われて、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要となる潜熱によって、各第2電池モジュール22が冷却される。
【0050】
各第1蒸発器31の内部を通過した気液二相冷媒は、各第1蒸発器31の出口31bを介して各接続配管33の合流部60に流出する。また、各第2蒸発器32の内部を通過した気液二相冷媒は、各第2蒸発器32の出口32bを介して各接続配管33の合流部60に流出する。したがって、合流部60は、冷媒の液相65と気相66とを有している。なお、各第1膨張弁51及び各第2膨張弁52は、各接続配管33に気液二相冷媒が少なくとも流れる状態となるように、流路断面積がそれぞれ予め調整されている。
【0051】
そして、各接続配管33の合流部60に流出した気液二相冷媒は、各排出配管34、集合配管35、及びアキュムレータ16の入口16aを介してアキュムレータ16の内部に供給され、アキュムレータ16内において液冷媒とガス冷媒とに分離される。アキュムレータ16内の液冷媒は、アキュムレータ16内に貯留される。一方で、アキュムレータ16内のガス冷媒は、アキュムレータ16の出口16bを介して第2配管18に排出されるとともに第2配管18及び圧縮機12の吸入口12bを介して圧縮機12に吸入される。したがって、各排出配管34は、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32それぞれを通過した冷媒を圧縮機12に向けて排出する。
【0052】
ところで、第1蒸発器31の内部を流れる気液二相冷媒中に含まれる液冷媒の流量と、第2蒸発器32の内部を流れる気液二相冷媒中に含まれる液冷媒の流量とにばらつきが生じる場合がある。ここで、例えば、第1蒸発器31の内部を流れる気液二相冷媒中に含まれる液冷媒の流量が、第2蒸発器32の内部を流れる気液二相冷媒中に含まれる液冷媒の流量よりも少ない場合を考える。この場合、気液二相冷媒と第1電池モジュール21との第1蒸発器31を介した熱交換が行われることにより、図2において破線の矢印で示すように、第1蒸発器31の下流である第1蒸発器31の出口31b付近で液冷媒が蒸発し切ってしまう虞がある。また、例えば、第1電池モジュール21の発熱量が第2電池モジュール22の発熱量よりも大きい場合、気液二相冷媒と第1電池モジュール21との第1蒸発器31を介した熱交換が行われることにより、第1蒸発器31の出口31b付近で液冷媒が蒸発し切ってしまう虞がある。
【0053】
このとき、第1接続通路331及び第2接続通路332は、重力方向にて合流部60の液相65の液面高さH1以下に配置されている。よって、図2において実線の矢印で示すように、第2蒸発器32の出口32bから合流部60へ流出した液冷媒が、第1蒸発器31の出口31bに流入可能になっている。したがって、各接続配管33の合流部60は、第1蒸発器31及び第2蒸発器32の一方の出口31b,32bから流出した液冷媒を、第1蒸発器31及び第2蒸発器32の他方の出口31b,32bに流入可能とする。そして、第2蒸発器32の出口32bから合流部60へ流出した液冷媒が、第1蒸発器31の出口31bに流入することで、第1電池モジュール21における第1蒸発器31の出口31b付近に対応する部位が、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要な潜熱によって冷却される。よって、第1電池モジュール21における第1蒸発器31の出口31b付近に対応する部位での温度上昇が抑制され、第1電池モジュール21全体での温度分布のばらつきが抑制される。その結果として、第1電池モジュール21の性能の低下が抑制される。
【0054】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)電池用冷却装置10において、複数の蒸発器15の下流と圧縮機12の上流とを接続する排出通路64は、複数の蒸発器15から排出された冷媒を合流させる合流部60を備え、複数の蒸発器15は、合流部60の液相65に接続され、圧縮機12は、合流部60の気相に接続されている。そして、排出通路64における複数の蒸発器15と合流部60との間に位置する通路は、重力方向で合流部60の液相65の液面高さH1以下に配置されている。例えば、第1蒸発器31を流れる気液二相冷媒中に含まれる液冷媒の流量が、第2蒸発器32を流れる気液二相冷媒中に含まれる液冷媒の流量よりも少なかったり、第1電池モジュール21の発熱量が第2電池モジュール22の発熱量よりも大きかったりする場合を考える。この場合、気液二相冷媒と第1電池モジュール21との第1蒸発器31を介した熱交換が行われることにより、第1蒸発器31の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまう場合が考えられる。この場合であっても、例えば、第2蒸発器32の出口32bから合流部60へ流出した液冷媒が、第1蒸発器31の出口31bに流入することで、第1電池モジュール21における第1蒸発器31の下流に対応する部位を、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要な潜熱によって冷却することができ、冷却性能を向上させることができる。
【0055】
(2)例えば、気液二相冷媒と第1電池モジュール21との第1蒸発器31を介した熱交換が行われることにより、第1蒸発器31の出口31b付近で液冷媒が蒸発し切ってしまったとする。このとき、排出口63の位置が、第1連通口61及び第2連通口62の位置より重力方向の上方である。したがって、例えば、第2蒸発器32の出口32bから第2連通口62へ流出した液冷媒が、排出口63よりも第1連通口61に向けて流れ易くなるため、合流部60の液冷媒が第1連通口61を介して第1蒸発器31の出口31bに流入し易くなる。よって、合流部60の液冷媒が、第1連通口61を介して第1蒸発器31の出口31bに流入することで、第1電池モジュール21における第1蒸発器31の下流に対応する部位を、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要な潜熱によって冷却することができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0056】
(3)排出口63は、合流部60の延在方向において、第1連通口61と第2連通口62との間に位置している。これによれば、例えば、排出口63が、合流部60の延在方向において、第1連通口61及び第2連通口62の一方寄りに位置している場合に比べると、第1連通口61及び第2連通口62それぞれからの気液二相冷媒が、排出口63に効率良く流入する。したがって、冷凍サイクル11の効率を向上させることができる。
【0057】
(4)排出通路64における合流部60よりも下流側の通路は、合流部60に対して重力方向の上方に向かって延在している。これによれば、例えば、排出通路64における合流部60よりも下流側の通路が、合流部60に対して水平方向に向かって延在している場合に比べると、電池用冷却装置10における水平方向への体格を小さくすることができる。
【0058】
(5)第1連通口61及び第2連通口62は、合流部60における重力方向の最下部に位置している。これによれば、例えば、第1蒸発器31の下流で液冷媒が蒸発し切ってしまったとしても、第2蒸発器32から第2連通口62へ流出した液冷媒が、第1連通口61を介して第1蒸発器31に流入し易くなるため、冷却性能をさらに向上させることができる。
【0059】
(6)例えば、分配配管43に膨張弁を設けて、分配配管43に流れる液冷媒を膨張弁によって減圧して、分配配管43によって減圧した液冷媒を分流通路40A毎に分配する場合を考える。この場合、分配配管43から分流通路40A毎に液冷媒が分配される際に、減圧した液冷媒中に含まれるガス冷媒の流れの影響を受けて、液冷媒が分配配管43から分流通路40A毎に均等に分配され難くなってしまう虞がある。すると、各蒸発器15に流れる液冷媒の流量にばらつきが生じてしまう。
【0060】
そこで、凝縮器13で凝縮されて液化した液冷媒を分配配管43から分流通路40A毎に分配した後、分流通路40A毎に設けられる膨張弁14によって液冷媒を減圧するようにした。これによれば、各蒸発器15に流れる液冷媒の流量のばらつきを抑えることができる。
【0061】
(7)本実施形態の電池用冷却装置10によれば、第1電池モジュール21及び第2電池モジュール22を好適に冷却することができる。したがって、電池モジュール20は、電気装置用冷却装置の冷却対象である電気装置として好適である。
【0062】
(8)例えば、第2蒸発器32の出口32bから合流部60へ流出した液冷媒が、第1蒸発器31の出口31bに流入することで、第1電池モジュール21における第1蒸発器31の出口31b付近に対応する部位を、液冷媒がガス冷媒に変化するときに必要な潜熱によって冷却することができる。したがって、第1電池モジュール21における第1蒸発器31の出口31b付近に対応する部位での温度上昇を抑制することができるため、第1電池モジュール21全体での温度分布のばらつきが抑制される。その結果として、第1電池モジュール21の性能の低下を抑制することができる。
【0063】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
図4に示すように、合流部60が、圧縮機12へのガス冷媒の流出を許容し、且つ圧縮機12への液冷媒の流出を阻止するアキュムレータであってもよい。この場合、合流部60には、合流部60に流入する気液二相冷媒に含まれる液冷媒及びガス冷媒のうち、液冷媒が圧縮機12に向けて流出しないように液冷媒を合流部60に貯留可能な容積が予め確保されている。合流部60は、例えば、図4に示すような四角箱状である。このような構成であれば、アキュムレータ16を削除してもよい。これによれば、冷凍サイクル11において、合流部60とは別にアキュムレータを設ける必要が無いため、構成を簡素化することができる。
【0065】
○ 実施形態において、電池用冷却装置10は、例えば、分配配管43に膨張弁を設けて、分配配管43に流れる液冷媒を膨張弁によって減圧して、分配配管43によって減圧した液冷媒を第1供給配管41と第2供給配管42とに分配する構成であってもよい。要は、電池用冷却装置10は、第1蒸発器31の入口31a、及び第2蒸発器32の入口32aが、膨張弁を介して凝縮器13にそれぞれ接続されている構成であればよい。
【0066】
○ 実施形態において、各第1膨張弁51及び各第2膨張弁52が、例えば、流路断面積を調整可能な可変絞りであってもよい。この場合、接続配管33に気液二相冷媒が少なくとも流れる状態となるように、各第1膨張弁51及び各第2膨張弁52の流路断面積を調整する必要がある。
【0067】
○ 実施形態において、第1連通口61及び第2連通口62は、合流部60における重力方向の最下部に位置していなくてもよい。要は、排出通路64における複数の蒸発器15と合流部60との間に位置する通路が、重力方向で合流部60の液相65の液面高さH1以下に配置されていればよい。
【0068】
○ 実施形態において、合流部60に、例えば、第1蒸発器31がさらに1つ接続されていてもよい。要は、合流部60は、複数の蒸発器15から排出された冷媒を合流させるものであればよく、合流部60には、第1蒸発器31が2つ以上接続されていてもよいし、第2蒸発器32が2つ以上接続されていてもよい。
【0069】
○ 実施形態において、排出口63の位置が、第1連通口61及び第2連通口62の位置より重力方向の上方でなくてもよく、例えば、排出口63の位置と第1連通口61及び第2連通口62の位置とが同じ高さであってもよいし、排出口63の位置が、第1連通口61及び第2連通口62の位置よりも低くてもよい。
【0070】
○ 実施形態において、例えば、排出口63が、合流部60の延在方向において、第1連通口61及び第2連通口62の一方寄りに位置していてもよい。
○ 実施形態において、排出通路64における合流部60よりも下流側の通路が、合流部60に対して、例えば、水平方向に向かって延在していてもよい。
【0071】
○ 実施形態において、各第1供給配管41が、各第1蒸発器31の入口31aから各第1蒸発器31の長手方向に延びており、各第2供給配管42が、各第2蒸発器32の入口32aから各第2蒸発器32の長手方向に延びていてもよい。この場合、分配配管43は、各第1供給配管41及び各第2供給配管42の延在方向において、各第1供給配管41及び各第2供給配管42に対して、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32とは反対側に設けられている。
【0072】
○ 実施形態において、各第1蒸発器31及び各第2蒸発器32それぞれの形状は、特に限定されるものではない。
○ 実施形態において、電気装置は、電池モジュール20に限定されるものではない。例えば、電気装置として、車載用の電力変換装置やモータ等を対象としてもよい。要は、電気装置用冷却装置としては、発熱をする電気装置が冷却対象であればよく、電池用冷却装置10に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
10…電気装置用冷却装置である電池用冷却装置、11…冷凍サイクル、12…圧縮機、13…凝縮器、14…膨張弁、15…蒸発器、20…電気装置である電池モジュール、31…第1蒸発器、32…第2蒸発器、40…供給通路、40A…分流通路、43…分配通路としての分配配管、60…合流部、61…第1連通口、62…第2連通口、63…排出口、64…排出通路、65…液相、66…気相。
図1
図2
図3
図4