(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】カップ型容器保持部材
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B65D5/50 101B
(21)【出願番号】P 2020154497
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 亮平
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-49318(JP,U)
【文献】中国実用新案第212829675(CN,U)
【文献】実開昭57-117317(JP,U)
【文献】特公昭35-1991(JP,B1)
【文献】特開2000-281053(JP,A)
【文献】実開昭51-97093(JP,U)
【文献】米国特許第4280622(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
B65D 77/26
B65D 25/10
B65D 81/05
B65D 81/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ型容器を箱体の内部で保持するカップ型容器保持部材において、
前記カップ型容器を保持する保持孔を備えた保持面部と、
前記保持面部に連続し前記保持面部を所定高さに支持する支持脚部と、を備え、
前記支持脚部は、前記保持面部から下方に向かうに連れて前記箱体の側壁に近付くように傾斜している
ことを特徴とするカップ型容器保持部材。
【請求項2】
請求項1に記載のカップ型容器保持部材であって、
前記保持面部と前記支持脚部との境界は、前記保持孔と交差する位置に配置されており、
前記保持孔の開口縁のうち、前記保持面部に形成された部分は、カップ型容器の外形に対応する第一仮想外周線に沿って形成されており、前記支持脚部に形成された部分は、ブランクシートの状態で前記第一仮想外周線よりも外側に位置する第二仮想外周線に沿って形成されていることを特徴とするカップ型容器保持部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカップ型容器保持部材であって、
一対の前記支持脚部が互いに対向するように形成されていることを特徴とするカップ型容器保持部材。
【請求項4】
請求項3に記載のカップ型容器保持部材であって、
前記支持脚部の全長は、前記保持面部の全長よりも小さいことを特徴とするカップ型容器保持部材。
【請求項5】
請求項4に記載のカップ型容器保持部材であって、
前記支持脚部は、前記保持面部の長手方向中間部に形成されていることを特徴とするカップ型容器保持部材。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のカップ型容器保持部材であって、
前記保持面部の外周縁の少なくとも一部が、前記箱体の前記側壁に当接することを特徴とするカップ型容器保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカップ型容器を箱の内部で保持するカップ型容器保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ型の容器を箱の内部で保持する部材としては、
図6に示すような保持パット100があった。かかる保持パット100は、一枚のシート材からなり、カップを保持するための保持孔101が複数形成された保持面部102と、保持面部102の両側に折り曲げて形成される一対の脚部103,103とを備えている。脚部103は、保持面部102の一辺の全長に亘って延在して、保持面部102に対して直角に折り曲げられている。すなわち、保持パット100は、側面視門型となっている。また、特許文献1に示す固定パットも同様に、保持孔が形成された保持面部と、保持面部の両側に直交する脚部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、コストダウンの観点から、使用する材料(段ボール)の面積を削減することが要求されている。一方で、保持部材におけるカップ型容器の保持性能は確保しなければならない。
【0005】
本発明は、前記した課題を解決し、カップ型容器の保持性能を維持しつつ、使用する材料の面積を削減できるカップ型容器保持部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、カップ型容器を箱体の内部で保持するカップ型容器保持部材において、前記カップ型容器を保持する保持孔を備えた保持面部と、前記保持面部に連続し前記保持面部を所定高さに支持する支持脚部と、を備えている。前記支持脚部は、前記保持面部から下方に向かうに連れて前記箱体の側壁に近付くように傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明のカップ型容器保持部材によれば、支持脚部は、箱体の側壁から離間した位置で保持面部に対して折り曲げられ、側壁に近付くように傾斜するので、保持面部から直角に折り曲げられた脚部を有する従来の保持パットよりも材料の面積を削減することができる。互いに対向する支持脚部は、断面ハ字状に構成されるので、安定した状態で保持面部を支持することができる。また、保持面部には保持孔が形成されているので、カップ型容器の保持性能を確保できる。
【0008】
本発明のカップ型容器保持部材においては、前記保持面部と前記支持脚部との境界は、前記保持孔と交差する位置に配置されており、前記保持孔の開口縁のうち、前記保持面部に形成された部分は、カップ型容器の外形に対応する第一仮想外周線に沿って形成されており、前記支持脚部に形成された部分は、ブランクシートの状態で前記第一仮想外周線よりも外側に位置する第二仮想外周線に沿って形成されているものが好ましい。このような構成によれば、支持脚部を傾斜させて屈曲させた状態で、保持孔を平面視でカップ型容器の外形に合わせることができる。したがって、カップ型容器を確実に保持することができる。
【0009】
本発明のカップ型容器保持部材においては、一対の前記支持脚部が互いに対向するように形成されているものが好ましい。このような構成によれば、保持面部を安定した状態で支持することができる。
【0010】
本発明のカップ型容器保持部材においては、前記支持脚部の全長は、前記保持面部の全長よりも小さいものが好ましい。このような構成によれば、支持脚部が小さくなるので、ブランクシートの状態で支持脚部が保持面部から張り出す場合であっても、材料の面積をより一層削減することができる。
【0011】
本発明のカップ型容器保持部材においては、前記支持脚部は、前記保持面部の長手方向中間部に形成されているものが好ましい。このような構成によれば、保持面部を安定した状態で支持することができる。
【0012】
本発明のカップ型容器保持部材においては、前記保持面部の外周縁の少なくとも一部が、前記箱体の前記側壁に当接するものが好ましい。このような構成によれば、保持面部の外周縁が箱体の側壁に当接することで固定されるので、カップ型容器をより一層安定した状態で保持することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカップ型容器保持部材によれば、カップ型容器の保持性能を維持しつつ、使用する材料の面積を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るカップ型容器保持部材を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るカップ型容器保持部材のブランクシートを示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るカップ型容器保持部材を示す部分平面図と断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るカップ型容器保持部材の使用状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るカップ型容器保持部材のブランクシートと従来の保持パットのブランクシートとを比較する平面図である。
【
図6】従来の保持部材の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るカップ型容器保持部材(以下、「容器保持部材」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、前後左右上下の方向は、容器保持部材を説明する上で便宜上設定したものであり、容器保持部材の構成や使用状態を限定するものではない。
【0016】
図1および
図3に示すように、容器保持部材1は、カップ型容器(以下、「カップ」という)2を箱体3の内部で保持するための部材である。カップ2は、例えばジュース等の飲料を入れるものであって、下方が縮径した円錐台形状を呈している。箱体3は、外形状が直方体形状を呈しており、カップ2を複数(本実施形態では12個)収容可能な大きさを有している。容器保持部材1は、保持面部10と支持脚部20とを備えている。
【0017】
図2に示すように、容器保持部材1は、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線(折線、線状の溝)において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2のブランクシートSは保持面部10の上面側が見えるように配置されている。なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、保持面部10は、カップ2を保持するシート状の部位である。保持面部10は、平面視で略長方形形状を呈しており、左右方向(長手方向)に延在する横辺12,12と、前後方向(短手方向)に延在する縦辺13,13を備えている。段ボールの波型の中芯は、縦辺13に沿って延在している。保持面部10は、箱体3内に所定の高さで、箱体3の底面と平行に配置される。保持面部10は、箱体3の側壁5の内周形状と同等の外周形状を備えており、箱体3内に設置された状態で横辺12と縦辺13がそれぞれ側壁5に当接する(
図3参照)。保持面部10は、カップ2を保持する保持孔11を備えている。保持孔11は、カップ2の胴部が挿入される貫通孔であって、保持面部10の設置高さに相当する高さにおけるカップ2の胴部の外径と同等の内径を備えている。保持孔11は、例えば前後方向に3つ、左右方向に4列の合計12個形成されている。
【0019】
支持脚部20は、保持面部10を所定高さに支持する部位であり、折れ線21を介して保持面部10に連設されている。折れ線21は、保持面部10と支持脚部20との境界に設けられていて、横辺12の延長線の内側において保持面部10の左右方向(長手方向)に延在し、保持孔11の開口縁に交差している。本実施形態の折れ線21は、段ボールの中芯の延在方向とも交差している。支持脚部20は、板状を呈しており、保持面部10から離間して下方に向かうに連れて、側壁5に近付くように傾斜している。本実施形態では、一対の支持脚部20,20が、互いに対向するように形成されている。一対の支持脚部20,20は、右側または左側から見た側面視でハ字状に対向している。本実施形態では、支持脚部20,20を側面視ハ字状に折り曲げた状態で、且つ箱体3に装着される前の状態で、支持脚部20の先端部は、保持面部10の横辺12の延長線よりも若干外側に突出している。
【0020】
支持脚部20は、保持面部10の長手方向中間部に形成されている。具体的には、支持脚部20は、最前列かたは最後列で左右方向に4つ配列された保持孔11のうち内側の2つの保持孔11a,11aと交差する位置に形成されている。支持脚部20の左右方向の端部は、左右方向外側の保持孔11と内側の保持孔11aとの間に位置している。
【0021】
内側の保持孔11aの外側部分は、支持脚部20に入り込んで形成されているため、保持孔11aのうち折れ線21よりも外側に位置する開口縁は、支持脚部20を保持面部10に対して傾斜させた際、平面視で内側に移動する。そこで、折れ線21よりも外側の保持孔11aは、外側に向かって広がって形成されている。すなわち、保持孔11aのうち、保持面部10に形成された部分は、カップ2の外形に対応する第一仮想外周線(本実施形態では、
図2に示す半径Rの円)に沿って形成されており、支持脚部20に形成された部分は、ブランクシートの状態で、第一仮想外周線よりも外側に位置する第二仮想外周縁(本実施形態では、
図2に示す半径Lの円)に沿って形成されている。具体的には、保持孔11aの内側部分(保持面部10に形成された部分)は、例えばカップ2の下端における半径よりも大きな半径R(例えば34mm)の円弧形状に形成され、保持孔11aの外側部分(支持脚部10に形成された部分)は、半径Rよりも大きい半径L(例えば長径37mm)の楕円弧形状 となっている(
図2参照)。このような形状の保持孔11aは、支持脚部20を屈曲させた状態で、平面視略円形となり、他の保持孔11と同等の形状となる(
図3参照)。
【0022】
以上説明した本実施形態の容器保持部材1によれば、支持脚部20を箱体3の側壁5から離間した位置で保持面部10に対して折り曲げ、側壁5に近付くように傾斜して形成しているので、保持面部から直角に折り曲げられた脚部を有する従来の保持パット100よりも材料の面積を削減することができる。さらに、支持脚部20の全長は、保持面部10の全長より短く、持脚部20が、当該支持脚部20が形成された横辺12の一部12aに形成され、その他の残部12bには支持脚部20は形成されていない。つまり、保持面部10より張り出す支持脚部20が小さくなるので、材料の面積をより一層削減することができる。
具体的には、
図5に示すように、従来の保持パット100の脚部103の部分が、保持面部10より張り出す支持脚部20の先端部のみに代わるので、
図5中、ハッチングで示した部分の材料が削減される。したがって、ブランクシートSを形成する段ボールの大きさが小さくなるので、その分のコストダウンが図れる。また、保持孔11aは、外側に広がるので、その分の材料が削減され軽量化が図られる。
【0023】
また、支持脚部20は、互いに対向するように形成され、互いに対向する支持脚部が断面ハ字状に構成されているので、支持脚部20がバランス良く、保持面部10を安定した状態で支持することができる。さらに、支持脚部20は、保持面部10の長手方向中間部(横辺12の長さ方向中間部)に形成されているので、保持面部10の長手方向(左右方向)においても、支持脚部20がバランス良く、保持面部10を安定した状態で支持することができる。また、支持脚部20は横辺12から前後方向に張り出しているが、段ボールの中芯は、支持脚部20の張り出し方向に沿って延在しているので、支持脚部20が折れ難く、強度が大きくなる。
【0024】
本実施形態では、保持面部10に保持孔11が形成されているので、カップ2の保持性能を確保できる。さらに、保持孔11aの開口縁のうち、保持面部10に形成された部分は、カップ2の外形に対応する第一仮想外周線に沿って形成されており、支持脚部20に形成された部分は、ブランクシートSの状態で、第一仮想外周線よりも外側に位置する第二仮想外周縁に沿って形成されている。つまり、保持面部10と支持脚部20との境界(折れ線21)よりも外側の保持孔11aの開口縁が外側に向かって広がっているので、支持脚部20を傾斜させて屈曲させた状態、つまり使用状態で、保持孔11aを平面視でカップ2の外形に合わせることができる。したがって、カップ2を確実に保持することができる。
【0025】
保持面部10の外周縁の一部(支持脚部20を除いた部分)が保持面部10の外周縁が箱体3の側壁5に当接することで、保持面部10が箱体3内に嵌合される。したがって、カップ2をより一層安定した状態で保持することができる。
【0026】
また、箱体3に装着する前の状態で、傾斜した支持脚部20の先端部が、保持面部10の横辺12の延長線よりも若干外側に突出しているので、容器保持部材1を箱体3内に設置したときに、支持脚部20は内側に押される。ここで、支持脚部20は、元に戻ろうとする復元力によって、箱体3の側壁5に対して付勢する。そのため、支持脚部20,20が互いに対向する側壁5,5間で突っ張ることとなり、容器保持部材1が箱体3に固定される。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。前記実施形態では、支持脚部20は、横辺12の中央部に形成されているが、これに限定されるものではなく、中央部から左右方向のいずれかに形成してもよい。一例として、最前列および最後列の4つの保持孔11のうち、内側の保持孔11の1つに折れ線21が交差するように支持脚部20を設ければよい。この場合、対向する横辺12に形成される支持脚部20は、左右方向に見て対称位置に形成するのが好ましい。このような構成によれば、支持脚部20の左右方向長さが短くなるので、材料の面積をより一層削減できる。
【0028】
また、前記実施形態では、支持脚部20を横辺12に形成しているが、縦辺13に形成してもよい。この場合、段ボールの中芯は、横辺12に沿う方向に波型が延在するように配置するのが好ましい。このようにすれば、縦辺13から延在する支持脚部の延在方向に沿って中芯が延在するので、支持脚部が折れ難く、強度を確保できる。
【0029】
前記実施形態では、折れ線21よりも外側の保持孔11aの開口縁は、外側に向かって広がっているが、これに限定されるものではない。カップ2の下部の径の減少割合が大きく、下部の径が大幅に小さいときは、保持孔11aを他の保持孔11と同様に真円としてもよい場合がある。この場合、支持脚部20を屈曲させた状態で、保持孔11aの外側が内側に移動し、カップ2の下部の小径の外周面にぴったりと当接する。
【符号の説明】
【0030】
1 容器保持部材(カップ型容器保持部材)
2 カップ(カップ型容器)
3 箱体
5 側壁
10 保持面部
11 保持孔
11a 保持孔
20 支持脚部
21 折れ線(境界)
S ブランクシート