(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】充電制御方法、サーバ及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20231031BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231031BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20231031BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20231031BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20231031BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231031BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20231031BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231031BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231031BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231031BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20231031BHJP
【FI】
H02J7/04 N
B60L50/60
B60L53/12
B60L53/14
B60L53/67
B60L53/68
B60L58/12
H01M10/44 P
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 P
H02J7/02 G
(21)【出願番号】P 2020166540
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】東出 宇史
(72)【発明者】
【氏名】宇野 慶一
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013379(JP,A)
【文献】特開2011-109824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H01M 10/42 - 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う複数の車両のバッテリの充電を制御する充電制御方法であって、
充電を行う環境の温度を測定すること、
測定した前記環境の温度に基づいて、充電を終了させる充電率である第1の充電率を決定すること、及び
充電対象である前記車両の前記バッテリを前記第1の充電率まで充電すること
を含み、
前記環境の温度が第1の温度よりも低い第2の温度の場合の前記第1の充電率は、前記環境の温度が前記第1の温度の場合の前記第1の充電率よりも低くなるように決定され
、
充電対象である前記車両の充電前の充電率を第2の充電率とするとき、前記第1の充電率は、前記第2の充電率の状態の前記バッテリを、前記次の走行までの所定時間内で充電可能な範囲から設定される、
充電制御方法。
【請求項2】
前記第1の充電率は、前記環境の温度の関数として決定される、請求項1に記載の充電制御方法。
【請求項3】
前記第1の充電率は、前記バッテリが前記第1の充電率の状態から、前記所定の経路を走行するのに放電すると予測される予測放電量の電気を放電した後に、前記バッテリに許容される最低の充電率である第3の充電率よりも高い充電率となるように決定される、請求項
1または2に記載の充電制御方法。
【請求項4】
前記予測放電量は、前記車両が走行する経路の長さを考慮して設定される、請求項
3に記載の充電制御方法。
【請求項5】
前記予測放電量は、前記車両が走行する経路の気象条件を考慮して設定される、請求項
3に記載の充電制御方法。
【請求項6】
前記予測放電量は、前記車両が走行する経路の混雑状況を考慮して設定される、請求項
3に記載の充電制御方法。
【請求項7】
前記車両は、旅客運送用の車両であり、前記予測放電量は、前記車両に乗車する利用者の推定人数を考慮して設定される、請求項
3に記載の充電制御方法。
【請求項8】
前記所定時間内に、前記バッテリの前記第1の充電率を、前記予測放電量を消費した後に、前記第3の充電率よりも高い充電率となるような充電率に設定できない場合、前記運行スケジュールを変更する、請求項
3から7の何れか一項に記載の充電制御方法。
【請求項9】
前記車両の制御部が前記第1の充電率を決定する、請求項1から
8の何れか一項に記載の充電制御方法。
【請求項10】
運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う複数の車両のバッテリの充電を制御するサーバであって、
充電を行う環境の温度を取得する取得部と、
前記環境の温度に基づいて、充電を終了させる充電率である第1の充電率を決定する制御部と、
充電対象である前記車両の前記バッテリを前記第1の充電率まで充電させる指示を、充電装置に送信する通信部と
を含み、
前記制御部は、前記環境の温度が第1の温度よりも低い第2の温度の場合の前記第1の充電率を、前記環境の温度が前記第1の温度の場合の前記第1の充電率よりも低くなるように決定
し、
充電対象である前記車両の充電前の充電率を第2の充電率とするとき、前記制御部は、前記第1の充電率を、前記第2の充電率の状態の前記バッテリが前記次の走行までの所定時間内で充電可能な範囲から設定する、
サーバ。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1の充電率を、前記環境の温度の関数として決定する、請求項
10に記載のサーバ。
【請求項12】
前記制御部は、前記第1の充電率を、前記バッテリが前記第1の充電率の状態から、前記所定の経路を走行するのに放電すると予測される予測放電量の電気を放電した後に、前記バッテリに許容される最低の充電率である第3の充電率よりも高い充電率となるように決定する、請求項
10または11に記載のサーバ。
【請求項13】
前記制御部は、前記所定時間内に、前記バッテリの前記第1の充電率を、前記予測放電量の電気を放電した後に前記第3の充電率よりも高い充電率となるような充電率に設定できない場合、前記運行スケジュールを変更する、請求項
12に記載のサーバ。
【請求項14】
運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う複数の車両のバッテリの充電を制御するシステムであって、
前記複数の車両と、
充電を行う環境の温度を測定する温度センサと、
前記環境の温度に基づいて、充電を終了させる充電率である第1の充電率を決定する制御部を含むサーバと、
充電対象である前記車両の前記バッテリを前記第1の充電率まで充電させる充電装置とを含み、
前記制御部は、前記環境の温度が第1の温度よりも低い第2の温度の場合の前記第1の充電率を、前記環境の温度が前記第1の温度の場合の前記第1の充電率よりも低くなるように決定
し、
充電対象である前記車両の充電前の充電率を第2の充電率とするとき、前記制御部は、前記第1の充電率を、前記第2の充電率の状態の前記バッテリが前記次の走行までの所定時間内で充電可能な範囲から設定する、
システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1の充電率を、前記環境の温度の関数として決定する、請求項
14に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、前記第1の充電率を、前記バッテリが前記第1の充電率の状態から、前記所定の経路を走行するのに放電すると予測される予測放電量の電気を放電した後に、前記バッテリに許容される最低の充電率である第3の充電率よりも高い充電率となるように決定する、請求項
14または15に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御部は、前記所定時間内に、前記バッテリの前記第1の充電率を、前記予測放電量を消費した後に前記第3の充電率よりも高い充電率となるような充電率に設定できない場合、前記運行スケジュールを変更する、請求項
16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの充電を制御する充電制御方法、サーバ及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定経路を周回走行し利用者を輸送する複数の電動車両、及び、複数の電動車両を管理するサーバを含む車両運行管理システムが提案されている。例えば、特許文献1では、所定の走行経路を周回走行中の電動車両に搭載されるバッテリの最大出力値に基づいて、予定されている運行計画に従う走行の可否を判断し、必要な場合、運行計画を再構築することが記載されている。これにより、特許文献1では、不測の事態により電動車両の最大出力値又は電動車両への要求出力値が変動した場合に、車両が停滞することなく輸送サービスを提供するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両の運行を管理するシステムでは、電動車両を充電する際の環境の温度に応じた充電期間の違いは考慮されていない。充電を行う環境の温度が低いとき、所定の充電率まで充電を行うのにかかる時間が長くなるため車両の利用効率が低下することがある。その結果、充電を行う環境の温度が低い場合、必要な車両の台数が多くなるということが生じうる。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、充電を行う環境の温度が相対的に低い場合でも、充電を行う環境の温度が相対的に高い場合の利用効率により近い利用効率で電動車両を利用することができる、充電制御方法、サーバ及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る充電制御方法は、運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う複数の車両のバッテリの充電を制御する充電制御方法である。前記充電制御方法は、充電を行う環境の温度を測定すること、測定した前記環境の温度に基づいて、充電を終了させる充電率である第1の充電率を決定すること、及び、充電対象である前記車両の前記バッテリを前記第1の充電率まで充電することを含む。さらに、前記環境の温度が第1の温度よりも低い第2の温度の場合の前記第1の充電率は、前記環境の温度が前記第1の温度の場合の前記第1の充電率よりも低くなるように決定される。
【0007】
本開示の一実施形態に係るサーバは、運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う複数の車両のバッテリの充電を制御するサーバである。前記サーバは、充電を行う環境の温度を取得する取得部と、前記環境の温度に基づいて、充電を終了させる充電率である第1の充電率を決定する制御部と、充電対象である前記車両の前記バッテリを前記第1の充電率まで充電させる指示を、充電装置に送信する通信部とを含む。前記制御部は、前記環境の温度が第1の温度よりも低い第2の温度の場合の前記第1の充電率を、前記環境の温度が前記第1の温度の場合の前記第1の充電率よりも低くなるように決定する。
【0008】
本開示の一実施形態に係るシステムは、運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う複数の車両のバッテリの充電を制御するシステムである。前記システムは、前記複数の車両と、充電を行う環境の温度を測定する温度センサと、前記環境の温度に基づいて、充電を終了させる充電率である第1の充電率を決定する制御部を含むサーバと、充電対象である前記車両の前記バッテリを前記第1の充電率まで充電させる充電装置とを含む。前記制御部は、前記環境の温度が第1の温度よりも低い第2の温度の場合の前記第1の充電率を、前記環境の温度が前記第1の温度の場合の前記第1の充電率よりも低くなるように決定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、充電を行う環境の温度が相対的に低い場合の車両の利用効率を、充電を行う環境の温度が相対的に高い場合の車両の利用効率により近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る充電制御システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】車両の走行スケジュールの一例を示す図である。
【
図5】充電率0%の状態からバッテリを充電したときの経過時間に対する充電率の変化の一例を示す図である。
【
図6】
図5の例よりも充電を行う環境の温度が低い場合の、経過時間に対する充電率の変化の一例を示す図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る車両のバッテリの充電方法を示すフロー図である。
【
図9】
図8の第1の充電率を決定する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る充電制御システム1の概略構成を示すブロック図である。充電制御システム1は、サーバ10と、複数の車両20と、車庫30に配置された充電装置31及び温度センサ32とを含む。サーバ10は、車庫30の配置された施設と同じ場所に配置されてよく、車庫30が配置された施設と異なる施設に配置されてよい。サーバ10と、充電装置31及び温度センサ32とは、情報の送受信が可能である。サーバ10と、充電装置31及び温度センサ32とは、通信回線により1対1接続されてもよく、ネットワーク40を介して接続されてもよい。サーバ10と、複数の車両20とは、ネットワーク40に接続されており、互いに通信可能に構成されてよい。
【0013】
(サーバの構成)
サーバ10は、複数の車両20のバッテリ28(
図2参照)の充電を制御する。サーバ10は、複数の車両20の運行を管理してよい。あるいは、サーバ10は、複数の車両20の運行を管理する他のサーバと通信可能に構成されてよい。サーバ10は、サーバ通信部11(通信部)、サーバ制御部12(制御部)、サーバ記憶部13、及び、温度取得部14(取得部)を備える。
【0014】
サーバ通信部11は、通信モジュールを含み、車両20及び充電装置31と情報の送受信が可能に構成される。サーバ通信部11は、情報の送信、受信に係るプロトコル処理、送信信号の変調および受信信号の復調等の処理を行うことができる。
【0015】
サーバ制御部12は、サーバ10が備える各構成部を制御する。サーバ制御部12は、サーバ通信部11を介して車両20からバッテリ28の充電率(SOC:State of Charge)を含む種々の情報を取得することができる。サーバ制御部12は、温度取得部14を介して温度センサ32からバッテリ28の充電を行う際の周囲の環境の温度情報を取得することができる。以下において、バッテリ28の充電を行う際の周囲の環境の温度を「環境温度」と呼ぶ。サーバ制御部12は、サーバ通信部11を介して充電装置31を制御することができる。サーバ制御部12は、充電装置31によるバッテリ28の充電開始及び充電終了を制御することができる。サーバ制御部12は、車両20のバッテリ28を所定の充電率まで充電させる指示を、充電装置31に送信することができる。ここで、充電率は、バッテリの満充電の容量に対する残容量の割合を百分率(%)で表したものである。充電率は、バッテリ残量又は残容量と言い換えることができる。
【0016】
サーバ制御部12は、1つ以上のプロセッサを含んでよい。サーバ制御部12は、種々のプロセッサを含みうる。プロセッサには、特定のプログラムを読み込ませることにより、プログラムされた機能を実行する汎用プロセッサおよび、特定の処理に特化した専用プロセッサが含まれる。専用プロセッサとしては、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を採用しうる。
【0017】
サーバ記憶部13は、サーバ制御部12が実行するプログラム及びサーバ制御部12が実行する処理に必要な情報を記憶する。サーバ記憶部13は、半導体メモリ、磁気記憶装置、光記憶装置を含む。半導体メモリは、ROM(read only memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、等を含みうる。RAMにはDRAM(Dynamic Random Access Memory)とSRAM(Static Random Access Memory)とが含まれうる。磁気記憶装置は、ハードディスク等が含まれる。光記憶装置は、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、およびブルーレイ(Blu-ray;登録商標)等が含まれる。
【0018】
温度取得部14は、車庫30の温度センサ32から車両20の充電を行う環境温度の情報を取得可能に構成される。温度取得部14は、ネットワーク40を介して環境温度の情報を取得してよい。温度取得部14は、ネットワーク40とは異なる通信経路を用いて環境温度の情報を取得してよい。温度取得部14は、一部又は全部をサーバ通信部11と同一の構成要素を用いて構成されてよい。車庫30に配置された温度センサ32に代えて、充電を行う環境温度を測定するため、充電制御システム1は、各車両20が有する外気温を測定する温度センサを用いることも可能である。この場合、温度取得部14は、ネットワーク40を介して車両20から環境温度の情報を取得してよい。
【0019】
(車両の構成)
車両20は、予め定められた経路を、運行スケジュールに従って走行する自動運転可能な車両である。車両20は、例えば旅客運送用のバス等の形態の車両である。車両20は、走行経路上に設けられた、停留所で利用者を乗車及び降車させてよい。車両20は、運行スケジュールに従い、それぞれ所定の経路を走行した後、順次他の車両20と交代し、次の走行のためバッテリの充電を行う。車両20の自動運転は、例えばSAE(Society of Automotive Engineers)において定義されるレベル1からレベル5までのいずれかのレベルで実施されてよい。自動運転は、例示した定義に限られず、他の定義に基づいて実施されてもよい。車両20としては、電力を用いて走行する電気自動車が使用される。
【0020】
図2に例示すように、車両20は、車両通信部21と、車両制御部22と、駆動部23と、電気装備24と、車両記憶部25と、位置検出部26と、センサ27と、バッテリ28とを含む。車両20のそれぞれの構成部は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0021】
車両通信部21は、ネットワーク40を介して、サーバ10と情報を送受信可能に構成される。車両通信部21は、例えば車載通信機であってよい。車両通信部21は、ネットワーク40に接続する通信モジュールを含んでよい。通信モジュールは、例えば4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでよい。
【0022】
車両制御部22は、車両20が備える各構成部を制御する。車両制御部22は、1つ以上のプロセッサを含んでよい。車両制御部22は、サーバ制御部12と同様に種々のプロセッサを含みうる。車両制御部22は、駆動部23を制御して運行スケジュールに従って所定の経路を自動運転により走行する。車両制御部22は、バッテリ28から充電率の情報を取得して、サーバ10に送信してよい。
【0023】
駆動部23は、車両20の走行に係る機能を提供する。駆動部23は、車両制御部22の制御の下で、車両20を走行させる。駆動部23はモータ、ステアリング、ブレーキ等を含む。駆動部23は、車両制御部22の制御の下で、位置検出部26及びセンサ27と協働して、自動運転による走行を実行してよい。
【0024】
電気装備24は、駆動部23以外の車両20内の種々の電力を消費する設備を含む。電気装備24は、エアコン、ヘッドライト、自動ドア、及び、車両20内の表示装置等を含む。
【0025】
車両記憶部25は、車両制御部22が実行するプログラム及び車両制御部22が実行する処理に必要な情報を記憶する。車両記憶部25は、サーバ記憶部13と同様に、半導体メモリ、磁気記憶装置、及び、光記憶装置等を含む。車両記憶部25は、車両20が走行する走行経路及び運行スケジュールを記憶することができる。
【0026】
位置検出部26は、車両20の位置情報を取得する。位置検出部26は、全地球測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)に対応する受信機を含んでよい。全地球測位システムに対応する受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を含んでもよい。本実施形態において、車両20は、位置検出部26を用いて、車両20自身の位置情報を取得できるものとする。車両20は、車両20自身の位置情報を、車両通信部21を介してサーバ10に送信してよい。
【0027】
センサ27は、自動運転に用いられる車両20の外部を検知するセンサである。センサ27は、車両20の周辺の人及び物を検出することができる。センサ27は、走行時において前方の車両との距離を測定するセンサを含む。センサ27は、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波レーダ、超音波センサ、および、カメラが含まれる。カメラは、複数台のカメラを同一方向に向けて配置したステレオカメラを含む。また、センサ27は、車両20の外気温を測定する温度センサを含んでよい。
【0028】
バッテリ28は、繰り返し充放電可能な二次電池である。バッテリ28は、少なくとも車両20の駆動部23に電力を供給する。バッテリ28は、車両20の電気装備24を含む電力を必要とする全ての装置に電力を供給してよい。車両20は、バッテリ28以外に他のバッテリを含むことも可能である。バッテリ28は、任意の二次電池を使用する事ができる。バッテリ28は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ナトリウムイオン電池、マグネシウム空気電池、リチウム空気電池、又は、亜鉛空気電池とすることができる。
【0029】
車両制御部22は、各車両20のバッテリ28の充電率を取得または推定することができる。例えば、車両記憶部25は、バッテリ28の端子間の開放電圧(OCV:open circuit voltage)と充電率(SOC)との関係を示す、SOC-OCV特性を予め記憶する。車両制御部22は、バッテリ28から、バッテリ28の端子間の電圧を取得し、開放電圧を推定する。車両制御部22は、推定した開放電圧と車両記憶部25に記憶されたSOC-OCV特性に基づいて、充電率を推定することができる。また、例えば、バッテリ28は、電流積算法により充電率を算出してよい。この場合、バッテリ28は、充電時及び放電時の電流を時間積分した積分値を算出する機構を有することができる。これにより、車両制御部22は、バッテリ28に蓄積されている電荷量を求め、充電率を算出することができる。車両制御部22は、バッテリ28の充電率を推定するために、複数の手段を組み合わせて用いることができる。
【0030】
バッテリ28は、
図1の車庫30等の充電拠点又は車両基地に設置された充電装置31により充電することができる。充電装置31は、車両20のバッテリ28を、有線又は無線により充電する。有線による給電方式では、充電装置31と車両20とは充電用のケーブル及びコネクタにより接続される。無線による給電方式では、充電装置31の送電コイルから車両20の受電コイルに対して、磁界結合方式又は磁界共鳴方式等により電力が供給される。
【0031】
一実施形態において、充電装置31は、サーバ10のサーバ制御部12の制御の下で、バッテリ28の充電を行う。サーバ制御部12は、バッテリ28への給電の開始及び終了を制御する。サーバ10は、ネットワーク40を介して、充電中にバッテリ28の充電率を車両20から取得してよい。サーバ10は、充電中にバッテリ28の充電率を充電装置31を介して取得してよい。
【0032】
(車両の運行)
図3及び
図4を用いて、複数の車両20の運行の一例について説明する。
図3において、複数の車両20は、車両20A,20B,20C,20D,20E及び20Fを含む。複数の車両20は、それぞれ、運行スケジュールに従って所定の走行経路50を走行する。走行経路50は、環状の経路を循環する経路、及び、直線状の経路を往復する経路等を含む。
図3では、走行経路50は環状の経路とする。走行経路50中には、利用者の乗降のため複数の停留所51X,51Y及び51Zが設けられている。車両20は、停留所51X,51Y及び51Zで順次停車した後停留所51Xに戻る。それぞれの車両20は、運行スケジュールに従って走行経路50を所定回数周回(直線状の経路の場合は所定回数往復)した後、車庫30に移動する。車庫30に入ると、車両20に対して、決められた整備作業が行われるとともに、充電装置31によりバッテリ28の充電が行われる。バッテリ28の充電は、予めプログラムされた手順に従い全て自動で行われてよい。バッテリ28の充電は、少なくとも部分的に人が介在して行われてよい。
【0033】
一例として、
図4に概略を示すように、車両20は、各時点で3台の車両20が走行経路50を走行するように配車される。
図4の例によれば、まず、車両20Aが走行経路50に投入され、走行経路50を1周走行した後、車両20Bが走行経路50に投入される。車両20Bは、車両20Aの後ろを、走行経路50の約3分の1に相当する距離だけ離れて走行するように投入されてよい。車両20Bが走行経路50に投入され、走行経路50を1周走行した後、車両20Cがさらに走行経路50に投入される。車両20Cは、車両20Bの後ろを、走行経路50の約3分の1に相当する距離だけ離れて走行するように投入されてよい。
図4の例では、車両20A、車両20B及び車両20Cは、それぞれ、5周ずつ走行経路50を周回する。
【0034】
車両20Aは、走行経路50の5周目の周回のとき、5周目の周回が終了する停留所51Xを終点とし車両20Aの内部及び外部に表示する。車両20Aは、停留所51Xに到着すると、利用者を全て降車させ走行経路50を離脱して車庫30に移動する。車両20Aが走行経路50を離脱するのと同じタイミングで、車庫30に待機していた車両20Dが、走行経路50に投入され、停留所51Xを起点として走行経路50を周回し始める。車両20B及び車両20Cも、車両20Aと同様に、走行経路50の5周目の周回の後、走行経路50を離脱して車庫30に移動する。車両20B及び車両20Cが走行経路50を離脱するのと同じタイミングで、それぞれ、車両20E及び車両20Fが走行経路50に投入される。
【0035】
各車両20は、走行経路50を周回する間に電力を消費し、バッテリ28の充電率が低下する。各車両20は、車庫30に待機中に、あらかじめ決められたスケジュールに従って、バッテリ28の充電を行う。充電を終えた車両20は、後のあらかじめ決められたタイミングで走行経路50に投入され、利用者を輸送する。例えば、車両20Aは、走行開始から第6-10周目に当たる期間内に充電を行い、走行開始から11周目に当たるタイミングで再び走行経路50に投入される。
【0036】
このようにすることによって、
図3及び
図4で図示した例では、6台の車両20A-20Fにより、走行経路50上で常時3台の車両が利用者を輸送することができる。また、常に均等な時間間隔で車両20が走行経路50上を巡回するようにすることができる。
【0037】
図5は、第1の温度での、充電率0%の状態からバッテリ28を充電したときの経過時間に対する充電率の変化の一例を説明する図である。第1の温度は、例えば25°Cとすることができる。
図5は、バッテリ28の充電特性の一例を示している。
図5によれば、バッテリ28を充電率が20%から50%まで充電するには、t2-t1の期間が必要となる。また、バッテリ28を充電率50%から80%まで充電するには、t3-t2の期間が必要となる。例えば、車両20が運行スケジュールに従って走行すると、充電率100%のときにバッテリ28に蓄積される容量の30%の電気を使用する場合、サーバ制御部12は、バッテリ28の充電率50%-80%の領域を使用することができる。
図5では、この充電に必要となる充電期間をTで表している。
【0038】
しかしながら、充電装置31がバッテリ28の充電をする環境温度は、常に一定にできない場合がある。充電をする際の環境温度が相対的に低くなると、温度が高い場合に比べて充電速度が遅くなることが知られている。そのため、充電期間Tを一定とした場合、環境温度が低い場合は、温度が高い場合に比べて充電できる容量が少なくなる。その結果、予め運行スケジュールにより定められた経路を全て走行できない場合が生じうる。あるいは、環境温度が低い場合、環境温度が高い場合と同じ充電率まで充電を行おうとすると、環境温度が高い場合に比べて、より長い充電期間Tが必要となる。その結果、環境温度が低い場合には、車両20が車庫に待機する時間を相対的に長くする必要が生じうる。そのため、環境温度が低い場合には、環境温度が高い場合に比べてより多くの車両20が必要となりうる。
【0039】
例えば、バッテリ28を充電する環境温度が第1の温度よりも低い第2の温度となり、バッテリ28の充電特性が
図5から
図6のように変化した場合を想定する。第2の温度は、例えば5°Cである。この場合、充電率50%から80%までバッテリ28を充電するのに必要な充電期間T(=t3-t2)は、
図5の場合と比べて長くなる。例えば、
図5の場合は、充電に必要となる充電期間Tが20分のところ、
図6では重電に必要な充電期間Tが30分となり得る。
【0040】
そこで、本実施形態の充電制御システム1では、サーバ制御部12が充電を行う環境温度に基づいて、充電を行う際に充電を終了させる充電率を第1の充電率として決定する。例えば、
図6の充電特性において、
図7に示すように第1の充電率を60%とする。運行スケジュールに従って走行した場合に放電される電気量(電荷の量)が、充電率100%のときの容量の30%ならば、走行経路50を走行した後の車両20の充電前の充電率は30%となる。これにより、バッテリ28は、
図5に示した場合とほぼ等しい充電期間Tで、充電率30%から、充電率60%まで充電することが可能になる。第1の充電率は、環境温度が第1の温度より低い第2の温度の場合、第1の温度の場合の第1の充電率よりも低くなるように決定される。バッテリ28は、充電率が高くなるほど、単位時間当たりに充電できる電気量が少なくなるので、充電率の低い領域を用いて充電することで、充電速度を速めることができる。ただし、バッテリ28の充電量に余裕を持たせるため、第1の充電率は走行経路50の走行で放電する電気量を考慮したうえで、なるべく高い値に設定されることが望ましい。
【0041】
サーバ制御部12は、温度センサ32から取得した温度と、バッテリ28の充電特性とから、第1の充電率を算出してよい。あるいは、サーバ制御部12は、第1の充電率を環境温度の関数として決定してよい。第1の充電率は、充電を行う環境温度に対して単調に増加する関数となる。あるいは、サーバ10は、環境温度と第1の充電率とを対応付けたテーブルをサーバ記憶部13に記憶することができる。サーバ制御部12は、このテーブルを参照して第1の充電率を決定してよい。
【0042】
車両20が車庫30において充電可能な時間は、車両20が走行経路50を離脱してから次に走行経路50に投入されるまでの時間、整備に係る時間、及び、利用可能な充電装置31の台数等によって制約を受ける。また、走行経路50の渋滞又は利用者の人数等の諸条件により車両20の充電前の充電率が、変動する場合がある。以下に、車両20の充電前の充電率を第2の充電率と呼ぶ。サーバ制御部12は、次の走行までの所定時間内に、第2の充電率の状態のバッテリ28を、第1の充電率まで充電できるか判定してよい。サーバ制御部12は、所定時間内にバッテリ28を第1の充電率まで充電できないと判断した場合、第1の充電率を所定時間内で充電可能な範囲に設定し直してよい。
【0043】
また、バッテリ28が第1の充電率の状態から、走行経路50を運行スケジュールに従って走行した場合に放電すると予測される電気量を予測放電量とする。サーバ制御部12は、予測放電量を放電した後の充電率が、バッテリ28に許容される最低の充電率である第3の充電率を上回るように制御する。第3の充電率は、バッテリ28を安全に使用できる範囲で放電を行うために設定された最低電圧である。第3の充電率は電池の種類及び構造等によって決定される。第3の充電率は、例えば、20%とすることができる。
【0044】
サーバ制御部12は、車両20が走行する走行経路50の長さを考慮して予測放電量を設定することができる。走行経路50が長ければ、走行経路50が短い場合に比べて、予測放電量は大きくなる。車両制御部22は、走行経路50の起伏、及び、交差点の数等を考慮して予測放電量を設定してよい。
【0045】
サーバ制御部12は、車両20が走行する走行経路50の気象条件を考慮して、予測放電量を設定することができる。車両制御部22は、外部の情報源、又は、運行中の車両20から気象情報を取得可能に構成されてよい。風、雨、気温等の条件により、車両20を走行させるのに必要となる電力が変化することがある。例えば、悪天候で路面が濡れている場合、タイヤの転がり抵抗が大きくなるので、予測放電量は悪天候でない場合よりも大きく設定されてよい。また、例えば、車両の外部の気温が高い場合、エアコンによる電力消費を考慮して、予測放電量は気温が低い場合よりも大きく設定されてよい。さらに、例えば、悪天候の場合、運行スケジュールに予期しない遅延が生じうる。運行スケジュールに遅延が生じた場合、車両20内で消費される電力が増加しうる。したがって、サーバ制御部12は、悪天候の場合、リスクを考慮して予測放電量をより大きな値に設定してよい。
【0046】
サーバ制御部12は、車両20が走行する走行経路50の混雑状況を考慮して、予測放電量を設定することができる。サーバ制御部12は、外部の情報源、又は、運行中の車両20から走行経路50の混雑情報を取得可能に構成されてよい。走行経路50に混雑している道路が含まれる場合、走行距離当たりの電力消費量が増加するとともに、走行時間も増加する。したがって、走行経路50に混雑が発生していない場合に比べて、予測放電量は大きく設定されてよい。また、走行経路50上に混雑が発生している場合、放電量を正確に推定することは難しい。そのため、サーバ制御部12は、予測のブレを考慮して、予測放電量をより大きな値に設定してよい。
【0047】
サーバ制御部12は、車両20に乗車する利用者の推定人数を考慮して、予測放電量を設定することができる。サーバ制御部12は、外部の情報源、又は、運行中の車両20から走行経路50の混雑情報を取得可能に構成されてよい。例えば、サーバ制御部12は、予め外部の情報源から走行経路50周辺のイベント情報を取得し、これに基づいて利用者の人数を推定してよい。また、サーバ制御部12は、曜日及び時間帯ごとの車両20の過去の利用者の情報に基づいて、現時点での利用者の数を推定してよい。過去の車両20の利用者の情報は、サーバ記憶部13に蓄積することができる。利用者の数がより多いと推定される場合、サーバ制御部12は、車両20の予測放電量をより大きく設定してよい。
【0048】
サーバ制御部12は、運行スケジュールに従って走行し予測放電量の電気を放電した後に、第3の充電率よりも高い充電率となるように、第1の充電率を決定する。環境温度に基づいて決定された第1の充電率のバッテリ28から予測放電量の電気が放電されると、バッテリ28の充電率が第3の充電率を下回ると推定される場合、サーバ制御部12は、複数の車両20の運行スケジュールを変更する。例えば、サーバ制御部12は、当該車両20の走行経路50を周回する周回数を減らしてよい。他に利用可能な車両20がある場合、サーバ制御部12は、走行させる車両20を交代させてよい。サーバ10は、変更した運行スケジュールを各車両20に送信してよい。
【0049】
(充電制御方法)
次に、
図8及び
図9を参照して、サーバ制御部12が実行する充電制御方法について説明する。
【0050】
サーバ制御部12は、車両20の充電を行う環境温度を取得する(ステップS101)。
図1に示した例では、サーバ制御部12は、車庫30内の温度センサ32が検出した温度を、ネットワーク40を介して取得する。サーバ制御部12は、車両20が充電装置31により充電可能となったことを示す信号を、車両20又は充電装置31から取得して、この信号をトリガーとしてステップS101の処理を実行してよい。
【0051】
次に、取得した温度に基づいて、サーバ制御部12は、車両20の第1の充電率を決定する(ステップS102)。
【0052】
ステップS102における第1の充電率を決定する手順の詳細が、
図9に示される。
【0053】
サーバ制御部12は、ステップS101で取得した充電を行う環境温度に基づいて、第1の充電率を導出する(ステップS201)。第1の充電率は、バッテリ28の充電特性に基づいて決定されてよい。
【0054】
サーバ制御部12は、車両20の充電のために割り当てられた時間内に、充電前の第2の充電率から第1の充電率まで充電できるか否かを判定する(ステップS202)。第1の充電率まで充電できる場合(ステップS202:Yes)、サーバ制御部12の処理は、ステップS204に進む。第1の充電率まで充電できない場合(ステップS202:Yes)、サーバ制御部12は、第1の充電率を充電可能な範囲内の充電率に変更し(ステップS203)、ステップS204に進む。
【0055】
サーバ制御部12は、充電後に所定経路を走行後の予測される充電率が、許容される最低の充電率である第3の充電率以上か否かを判定する(ステップS204)。所定経路を走行後の予測される充電率が、第3の充電率以上の場合(ステップS204:Yes)、サーバ制御部12の処理は、ステップS206に進む。所定経路を走行後の予測される充電率が、第3の充電率未満の場合(ステップS204:No)、サーバ制御部12は、車両20が走行経路50を走行中に、充電率が第3の充電率を下回ることのないように、運行スケジュールを変更する(ステップS205)。ステップS205の終了した後、サーバ制御部12の処理は、ステップS206に進む。
【0056】
サーバ制御部12は、第1の充電率を確定させ(ステップS206)、
図8のフロー図に戻る。
【0057】
サーバ制御部12は、ステップS206で確定した第1の充電率まで充電を行うように、充電装置31を制御する(ステップS103)。サーバ制御部12は、車両20から充電中の各時点におけるバッテリ28の充電率の情報を取得し、充電装置31を制御してよい。
【0058】
本開示の充電制御システム1、サーバ10、及び、充電制御方法によれば、充電を行う環境温度が第1の温度の場合の第1の充電率は、環境温度が前記第1の温度より高い第2の温度の場合の第1の充電率よりも低くなるように決定される。そのため、環境温度が相対的に低い第1の温度の場合でも、所定の時間内に環境温度が相対的に高い第2の温度の場合により近い量の電力を充電することができる。これによって、第2の温度の場合により近い利用効率で車両20を利用することが可能になる。
【0059】
また、第1の充電率は、バッテリ28が第1の充電率の状態から、所定の経路を走行するために消費されると予測される予測放電量の電気を放電した後に、バッテリに許容される最低の充電率である第3の充電率よりも高い充電率となるように決定される。これによって、充電を行う環境温度が低い場合に、第1の充電率を低く設定しつつ、充電率が走行中に第3の充電率を下回らないようにすることができる。したがって、走行中に充電率の低下による不具合、又は、バッテリ切れ等を生じることを防止することができる。
【0060】
上記実施形態では、車両20のバッテリ28は、車両20に装着されたまま充電するものとした。しかし、バッテリ28は、車両20と着脱可能に構成されてよい。この場合、バッテリ28は、車両20と分離して充電することができるものとする。車両20は、走行スケジュールに従って、走行経路50を走行した後、車庫30でバッテリ28を充電済のバッテリ28と交換することができる。このような場合でも、本開示の充電方法は、各バッテリ28に対して適用することができる。本開示の充電方法は、バッテリ28の数が限定されている場合に、充電を行う環境温度が低い場合でも、バッテリ28の利用効率を、充電を行う環境温度が高い場合に近づけることができる。
【0061】
上記実施形態では、サーバ10のサーバ制御部12が、各車両20の充電の開始及び終了を制御した。しかし、車両20の車両制御部22は、上述の実施形態のサーバ制御部12の機能の少なくとも一部を有してよい。例えば、車両制御部22は、充電のため接続された充電装置31から環境温度の情報を取得し、充電装置31を制御可能に構成されてよい。車両制御部22は、環境温度に基づいて、第1の充電率を決定してよい。車両制御部22は、決定した第1の充電率に基づいて、充電の終了を制御してよい。したがって、本開示の車両制御方法は、車両20及び充電装置31によって実行することも可能である。
【0062】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0063】
1 充電制御システム
10 サーバ
11 サーバ通信部(通信部)
12 サーバ制御部(制御部)
13 サーバ記憶部
14 温度取得部(取得部)
20,20A-20F 車両
21 車両通信部
22 車両制御部
23 駆動部
24 電気装備
25 車両記憶部
26 位置検出部
27 センサ
28 バッテリ
30 車庫
31 充電装置
32 温度センサ
40 ネットワーク
50 走行経路
51X-51Z バス停