(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231031BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20231031BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231031BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/09 S
B60W40/02
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2020168188
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 洸祐
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中谷 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】松村 健
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062696(JP,A)
【文献】特開2017-045194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による自車両に対する運転を支援する運転支援を前記自車両の走行に関連する交通情報に基づいて行う制御手段を備えた車両運転支援装置において、
前記自車両の前方の情報を検出する前方情報検出装置を備えており、
前記制御手段は、
前記前方情報検出装置が検出した情報からその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第1交通情報として取得するための第1処理を行い、
前記自車両の現在位置とデータベースに格納されている地図データとを照合して前記データベースに格納されている交通情報のうちその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第2交通情報として取得するための第2処理を行い、
前記第1交通情報を取得した場合、前記第1交通情報を取得してから
前記第1交通情報を新たに取得しないまま前記自車両が走行した距離が所定第1距離に達したとの所定第1条件が成立するまでの間、前記第2交通情報を取得しても、前記第1交通情報に基づく前記運転支援を行う、
ように構成されて
おり、
前記所定第1距離は、連続した同種の2つの前記第1交通情報を取得した地点間の距離に応じた距離に設定される、
車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御手段は、前記第1交通情報を取得してから前記所定第1条件が成立するまでの間、前記第2処理により前記第2交通情報を取得してもその取得した第2交通情報を保存しておかないように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の車両運転支援装置において、
前記制御手段は、前記所定第1条件が成立した場合、
前記第1交通情報を取得してから前記所定第1条件が成立するまでの間に取得して保存しておいた第2交通情報
又は前記所定第1条件が成立した後に取得した第2交通情報に基づく前記運転支援を行うように構成されている、
車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両運転支援装置において、
前記所定第1距離は、前記自車両が高速道路を走行している場合、前記自車両が一般道路を走行している場合よりも、長い距離に設定される、
車両運転支援装置。
【請求項5】
運転者による自車両に対する運転を支援する運転支援を前記自車両の走行に関連する交通情報に基づいて車両運転支援装置に行わせる車両運転支援方法であって、
前記自車両の前方の情報を検出し、検出した情報からその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第1交通情報として取得するための第1処理を前記車両運転支援装置に行わせるステップと、
前記自車両の現在位置とデータベースに格納されている地図データとを照合して前記データベースに格納されている交通情報のうちその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第2交通情報として取得するための第2処理を前記車両運転支援装置に行わせるステップと、
前記第1交通情報を取得した場合、前記第1交通情報を取得してから前記第1交通情報を新たに取得しないまま前記自車両が走行した距離が所定第1距離であって、連続した同種の2つの前記第1交通情報を取得した地点間の距離に応じた距離に設定される所定第1距離に達したとの所定第1条件が成立するまでの間、前記第2交通情報を取得しても、前記第1交通情報に基づく前記運転支援を前記車両運転支援装置に行わせるステップと、
を備えた車両運転支援方法。
【請求項6】
請求項6に記載の車両運転支援方法を実行するための車両運転支援コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラにより撮影される自車両前方の道路標識の画像の情報(カメラ画像情報)から自車両に適用される制限速度を認識し、認識した制限速度をディスプレイに表示することにより自車両に適用される制限速度を運転者に知らせる機能を備えた車両運転支援装置が知られている。又、こうした車両運転支援装置として、カメラ画像情報に加え、カーナビゲーションシステムから取得される制限速度の情報(カーナビゲーション情報)から自車両に適用される制限速度を取得し、取得した制限速度をディスプレイに表示するようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
ところで、カメラ画像情報から制限速度を正確に認識できなかった場合、カメラ画像情報から認識した制限速度よりも、カーナビゲーション情報から取得した制限速度のほうが正確である可能性が高い。一方、カーナビゲーション情報が古いものであったり、工事現場等に一時的に設置される道路標識の情報がカーナビゲーション情報としてカーナビゲーションシステムに格納されていなかったりしたときには、カーナビゲーション情報から取得した制限速度よりも、カメラ画像情報から認識した制限速度のほうが正確である可能性が高い。
【0005】
このように、状況に応じて、カメラ画像情報から認識した制限速度のほうが正確であったり、カーナビゲーション情報から取得した制限速度のほうが正確であったりすることがある。このことは、制限速度のみならず、その他の交通規制等の交通情報についても当てはまる。
【0006】
そして、その時点の自車両の走行に関連する交通情報をディスプレイに表示する形での運転支援や、その時点の自車両の走行に関連する交通情報を考慮して運転者による自車両の運転操作をアシストする形での運転支援を行う場合、交通情報として適正なものを認識していなければ、適正な運転支援を行うことができない。
【0007】
本発明の目的は、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正な交通情報に基づく運転支援を行うことができる車両運転支援装置、車両運転支援方法及び車両運転支援コンピュータプログラムを提供することにある。
【0008】
本発明に係る車両運転支援装置は、運転者による自車両に対する運転を支援する運転支援を前記自車両の走行に関連する交通情報に基づいて行う制御手段を備えている。更に、本発明に係る車両運転支援装置は、前記自車両の前方の情報を検出する前方情報検出装置を備えている。
【0009】
前記制御手段は、前記前方情報検出装置が検出した情報からその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第1交通情報として取得するための第1処理を行い、前記自車両の現在位置とデータベースに格納されている地図データとを照合して前記データベースに格納されている交通情報のうちその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第2交通情報として取得するための第2処理を行う。そして、前記制御手段は、前記第1交通情報を取得した場合、前記第1交通情報を取得してから前記第1交通情報を新たに取得しないまま前記自車両が走行した距離が所定第1距離に達したとの所定第1条件が成立するまでの間、前記第2交通情報を取得しても、前記第1交通情報に基づく前記運転支援を行う。そして、本発明に係る車両運転支援装置において、前記所定第1距離は、連続した同種の2つの前記第1交通情報を取得した地点間の距離に応じた距離に設定される。
【0010】
第2交通情報は、データベースから取得されるので、その地点の自車両の走行に関連する交通情報がデータベースに格納されている限り、確実に取得される。しかしながら、道路工事現場に道路標識等が一時的に設置されていても、そうした道路標識等の情報は、データベースに格納されないか、或いは、格納されるとしても即座に格納されるわけではない。従って、こうした一時的に設置された道路標識等の示す交通情報は、データベースから第2交通情報として取得されない可能性が高い。又、交通情報の内容に変更が生じた場合(例えば、制限速度が時速40kmから時速60kmに変更された場合等)、その交通情報の変更は、データベースに即座に反映されるわけではない。従って、交通情報の内容に変更が生じている場合にデータベースから取得される第2交通情報は、適正なものではない可能性が高い。
【0011】
一方、第1交通情報は、前方情報検出装置の検出情報から取得される。従って、道路標識等が一時的に設置されている場合も、その道路標識等の示す交通情報は、検出情報から第1交通情報として取得され、しかも、その取得された第1交通情報は、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものである。又、交通情報の内容に変更が生じている場合も、その変更後の交通情報が検出情報から第1交通情報として取得されるので、その取得された第1交通情報は、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものである。しかしながら、前方情報検出装置の検出情報の検出精度や検出情報に基づく第1交通情報の取得精度等の理由から、自車両が道路標識等にさしかかっても、第1交通情報が取得されないことがある。一般に、道路標識等は、一定の距離以下の間隔で設置されているので、自車両が一定期間走行すれば、道路標識等の示す交通情報が第1交通情報として新たに取得されるはずであるところ、自車両が一定期間走行しても、新たな第1交通情報が取得されなければ、本来取得されるはずの第1交通情報が取得されなかった可能性があり、このときに先に取得した第1交通情報に基づく運転支援が継続していると、その運転支援がその時点の自車両の走行に本来関連する交通情報に沿ったものではなくなってしまう。
【0012】
このように、取得される確実性については、第1交通情報よりも第2交通情報のほうが高いものの、取得された内容の適正度については、第2交通情報よりも第1交通情報のほうが高い。このように、第1交通情報にも第2交通情報にも、一長一短がある。
【0013】
本発明に係る車両運転支援装置によれば、第1交通情報が取得された場合、一定期間(即ち、所定第1条件が成立するまでの間)は、第2交通情報が取得されても、第1交通情報が運転支援に使用され続ける。このため、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものに基づく運転支援が行われる。
又、一般に、同種の交通情報を示す道路標識等は、交差点毎に設置されていたり所定距離以内の間隔で設置されていたりする。従って、自車両が一定の距離を走行しても新たな第1交通情報が取得されなければ、その時点で運転支援に使用している第1交通情報が適正なものではない可能性がある。本発明に係る車両運転支援装置によれば、第1交通情報は、それが取得されてから自車両が所定距離を走行するまでの間だけ、運転支援に使用される。このため、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものに基づいて運転支援が行われる。
更に、本発明に係る車両運転支援装置によれば、同種の交通情報を示す道路標識等の設置間隔の過去データに基づいて所定第1距離が設定される。このため、第1交通情報の信頼性が維持される適切な距離を走行するまでの間、第1交通情報に基づく運転支援が行われる。
【0014】
本発明に係る車両運転支援装置において、前記制御手段は、前記第1交通情報を取得してから前記所定第1条件が成立するまでの間、前記第2処理により前記第2交通情報を取得してもその取得した第2交通情報を保存しておかないように構成されてもよい。
【0015】
これによれば、利用することのない交通情報(第2交通情報)を保存しておかないので、制御負荷を無駄に大きくしてしまうことを抑制することができる。
【0016】
又、前記制御手段は、前記所定第1条件が成立した場合、前記第1交通情報を取得してから前記所定第1条件が成立するまでの間に取得して保存しておいた第2交通情報又は前記所定第1条件が成立した後に取得した第2交通情報に基づく前記運転支援を行うように構成されてもよい。
【0017】
これによれば、一定期間の経過後は、データベースから取得される交通情報(第2交通情報)が運転支援に利用される。このため、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものに基づいて運転支援を行うことができる。
【0020】
又、前記所定第1距離は、例えば、前記自車両が高速道路を走行している場合、前記自車両が一般道路を走行している場合よりも、長い距離に設定される。
【0021】
一般に、同種の交通情報を示す道路標識等の設置間隔は、一般道路よりも高速道路のほうが長い。本発明に係る車両運転支援装置によれば、所定距離が一般道路よりも高速道路のほうが長い距離に設定される。このため、自車両が一般道路を走行しているときも高速道路を走行しているときも、第1交通情報の信頼性が維持される適切な距離を走行するまでの間、第1交通情報に基づく運転支援が行われる。
【0024】
更に、本発明に係る車両運転支援方法は、運転者による自車両に対する運転を支援する運転支援を前記自車両の走行に関連する交通情報に基づいて車両運転支援装置に行わせる方法である。本発明に係る車両運転支援方法は、前記自車両の前方の情報を検出し、検出した情報からその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第1交通情報として取得するための第1処理を前記車両運転支援装置に行わせるステップと、前記自車両の現在位置とデータベースに格納されている地図データとを照合して前記データベースに格納されている交通情報のうちその時点の前記自車両の走行に関連する交通情報を第2交通情報として取得するための第2処理を前記車両運転支援装置に行わせるステップと、前記第1交通情報を取得した場合、前記第1交通情報を取得してから前記第1交通情報を新たに取得しないまま前記自車両が走行した距離が所定第1距離であって、連続した同種の2つの前記第1交通情報を取得した地点間の距離に応じた距離に設定される所定第1距離に達したとの所定第1条件が成立するまでの間、前記第2交通情報を取得しても、前記第1交通情報に基づく前記運転支援を前記車両運転支援装置に行わせるステップと、を備えている。
【0025】
これによれば、先に述べたように、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものに基づく運転支援が行われる。
更に、本発明に係る車両運転支援方法によれば、同種の交通情報を示す道路標識等の設置間隔の過去データに基づいて所定第1距離が設定される。このため、第1交通情報の信頼性が維持される適切な距離を走行するまでの間、第1交通情報に基づく運転支援が行われる。
【0026】
更に、本発明に係る車両運転支援コンピュータプログラムは、上記車両運転支援方法を実行するプログラムである。
【0027】
これによれば、先に述べたように、その時点の自車両の走行に関連する交通情報として適正なものに基づく運転支援が行われる。
更に、本発明に係る車両運転支援コンピュータプログラムによれば、同種の交通情報を示す道路標識等の設置間隔の過去データに基づいて所定第1距離が設定される。このため、第1交通情報の信頼性が維持される適切な距離を走行するまでの間、第1交通情報に基づく運転支援が行われる。
【0028】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置及びその車両運転支援装置が搭載される車両を示した図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の1つの作動パターンを示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の別の1つの作動パターンを示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の更に別の1つの作動パターンを示した図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の更に別の1つの作動パターンを示した図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置の更に別の1つの作動パターンを示した図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る車両運転支援装置について説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る車両運転支援装置10が示されている。車両運転支援装置10は、自車両100に搭載される。
【0031】
<ECU>
車両運転支援装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0032】
<駆動装置等>
自車両100には、駆動装置21、制動装置22及び画像表示装置23が搭載されている。
【0033】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるための駆動力を自車両100に加える装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより自車両100に加えられる駆動力を制御することができる。
【0034】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するための制動力を自車両100に加える装置であり、例えば、ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより自車両100に加えられる制動力を制御することができる。
【0035】
<画像表示装置>
画像表示装置23は、例えば、ディスプレイである。画像表示装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、画像表示装置23に各種の画像を表示させることができる。
【0036】
<前方情報検出装置等>
更に、自車両100には、アクセルペダル31、アクセルペダル操作量センサ32、ブレーキペダル33、ブレーキペダル操作量センサ34、前方情報検出装置41、車速検出装置42、GPS装置43及び地図データベース44が搭載されている。
【0037】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ32は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ32は、アクセルペダル31の操作量を検出し、検出した操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル31の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。ECU90は、アクセルペダル操作量APに応じて駆動装置21の作動を制御する。
【0038】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ34は、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ34は、ブレーキペダル33の操作量を検出し、検出した操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル33の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。ECU90は、ブレーキペダル操作量BPに応じて制動装置22の作動を制御する。尚、ECU90は、ブレーキペダル操作量BPがゼロよりも大きくなった場合、ブレーキペダル33が操作されたことを認識することができる。
【0039】
<前方情報検出装置>
前方情報検出装置41は、自車両100の前方の情報(検出情報IFd)を検出する装置である。前方情報検出装置41は、例えば、車載カメラ及び交通情報受信機等の装置である。車載カメラは、自車両100の前方を撮影することにより検出情報IFdを画像データの形で検出する。交通情報受信機は、道路に設置されている路側機等の送信機から発信される交通情報を示す無線信号を受信することにより検出情報IFdを検出する。
【0040】
前方情報検出装置41は、ECU90に電気的に接続されている。前方情報検出装置41は、検出情報IFdをECU90に送信する。ECU90は、その検出情報IFdからその時点の自車両100の走行に関連する情報(交通情報IF)を取得する。
【0041】
本例において、交通情報IF(自車両100の走行に関連する情報)は、例えば、制限速度等の規制、道路案内等の案内、運転者に対する注意喚起、及び、運転者に対する指示である。
【0042】
前方情報検出装置41が車載カメラである場合、ECU90は、車載カメラから送信される自車両100の前方の画像データから道路標識及び道路標示(道路標識等)を認識した場合、その道路標識等の示す交通情報IFを取得する。道路標識は、道路脇又は道路上方に設置されている標識であり、道路標示は、道路の路面に設けられた標示である。尚、道路標識には、交通情報IFの内容が変化することのないタイプの標識の他に、交通情報IFの内容が状況に応じて変化することのあるタイプの標識(電光表示タイプの標識)も含まれる。
【0043】
又、前方情報検出装置41が交通情報受信機である場合、ECU90は、交通情報受信機が受信した無線信号を受信した場合、その無線信号が示す交通情報IFを取得する。
【0044】
<車速検出装置>
車速検出装置42は、自車両100の走行速度を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置42は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置42は、自車両100の走行速度を検出し、その走行速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の走行速度を車速SPDとして取得する。更に、ECU90は、車速SPD及び経過時間に基づいて自車両100が走行した距離(走行距離D)を取得する。
【0045】
<GPS装置>
GPS装置43は、ECU90に電気的に接続されている。GPS装置43は、GPS信号を受信し、受信したGPS信号をECU90に送信する。ECU90は、GPS信号に基づいて自車両100の現在位置Pnowを取得することができる。
【0046】
<地図情報データベース>
地図データベース44には、地図データDTmap及び交通情報データDTtrfが格納されている。尚、車両運転支援装置10は、自車両100の外部のデータベースから無線で地図データDTmap及び交通情報データDTtrfを取得するように構成されてもよい。又、本例においては、地図データベース44に地図データDTmap及び交通情報データDTtrfが格納されているが、交通情報データDTtrfが地図データベース44とは別のデータベースに格納されていてもよい。
【0047】
地図データベース44は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、自車両100の現在位置Pnowを地図データベース44に格納されている地図データDTmapと照合し、自車両100が現在走行している地図上の地点を特定し、その地点において自車両100の走行に関連する交通情報IFを地図データベース44に格納されている交通情報データDTtrfに基づいて取得する。
【0048】
<車両運転支援装置の作動の概要>
次に、車両運転支援装置10の作動について説明する。
【0049】
車両運転支援装置10は、自車両100に対する運転者の運転に役立つ情報を提供することにより或いは自車両100の走行に係る制御を自動的に行うことにより自車両100に対する運転者の運転を支援する運転支援を行う。特に、車両運転支援装置10は、そうした運転支援をその時点の自車両100の走行に関連する交通情報IFに基づいて行う。言い換えれば、車両運転支援装置10は、以下に述べる方法に従って運転支援を行う。別の言い方をすれば、車両運転支援装置10は、以下に述べるように運転支援を行うコンピュータプログラムを備えている。
【0050】
運転支援は、例えば、交通情報IFを表す画像を画像表示装置23に表示する交通情報表示であり、又、交通情報IFが制限速度である場合においてその制限速度を自車両100の車速SPDが超えないように自車両100に加える駆動力を制限したり、自車両100に制動力を加えたりする車速制限制御である。
【0051】
車両運転支援装置10は、検出情報IFdから交通情報IFを第1交通情報IF1として取得するための処理(第1処理)を所定時間間隔で行う。更に、車両運転支援装置10は、自車両100の現在位置Pnowと地図データDTmapとを照合することにより自車両100が現在走行している地図上の位置を特定し、その位置での交通情報IFを交通情報データDTtrfから第2交通情報IF2として取得するための処理(第2処理)を所定時間間隔で行う。
【0052】
例えば、検出情報IFdに含まれる道路標識等の情報から交通情報IFを取得する場合、道路標識等の情報は、自車両100がその道路標識等にさしかかったときにだけ、検出情報IFdに含まれている。言い換えれば、道路標識等の情報が検出情報IFdに常に含まれているわけではない。従って、第1処理が行われても、第1交通情報IF1が取得されないことがある。
【0053】
一方、地図データベース44から交通情報IFを取得する場合、基本的には、自車両100の走行地点の道路に紐付けられた交通情報データDTtrfが地図データベース44に格納されているので、第2処理が行われれば、地図データベース44から第2交通情報IF2が取得される。
【0054】
そこで、車両運転支援装置10は、以下のように運転支援を行う。
【0055】
車両運転支援装置10は、第1処理により第1交通情報IF1を取得した場合、第1交通情報IF1に基づく運転支援を開始する。
【0056】
従って、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1を取得したときに第2交通情報IF2に基づく運転支援を行っていた場合、運転支援を第1交通情報IF1に基づく運転支援に切り替える。又、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を行っているときに新たな第1交通情報IF1を取得した場合、運転支援を新たに取得した第1交通情報IF1に基づく運転支援に切り替える。勿論、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援も第2交通情報IF2に基づく運転支援も行っていないときに第1交通情報IF1を取得した場合、その第1交通情報IF1に基づく運転支援を開始する。
【0057】
そして、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を開始した後、所定第1条件C1が成立するまでの間は、第2交通情報IF2を取得しても、第2交通情報IF2に基づく運転支援を行うことなく、第1交通情報IF1に基づく運転支援を継続する。
【0058】
本例においては、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を行っているときに第2交通情報IF2を取得した場合、その取得した第2交通情報IF2を保存又は記憶しておかないように構成されている。しかしながら、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を行っているときに第2交通情報IF2を取得した場合、その取得した第2交通情報IF2を新たな第2交通情報IF2を取得するまでの間、保存又は記憶しておくように構成されてもよい。
【0059】
そして、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を開始した後、所定第1条件C1が成立した場合、その第1交通情報IF1に基づく運転支援を終了する。
【0060】
本例において、所定第1条件C1は、第1交通情報IF1が取得された後、新たな第1交通情報IF1が取得されない状態で第1交通情報IF1が取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達したとの条件、又は、第1交通情報IF1が取得されてから新たな第1交通情報IF1が取得されない状態で第1交通情報IF1が取得されてから経過した時間(第1経過時間T1)が所定第1時間T1_thに達したとの条件である。
【0061】
尚、所定第1距離D1_th及び所定第1時間T1_thは、固定値であってもよいが、状況に応じて変動する値であってもよい。例えば、同種の道路標識や道路標示が設置されている距離的な間隔は、一般道路よりも高速道路のほうが長い。そこで、所定第1距離D1_thは、自車両100が一般道路を走行しているときよりも、自車両100が高速道路を走行しているときのほうが長い距離に設定されてもよく、所定第1時間T1_thは、自車両100が一般道路を走行しているときよりも、自車両100が高速道路を走行しているときのほうが長い時間に設定されてもよい。尚、自車両100が一般道路を走行しているか高速道路を走行しているかは、例えば、地図データベース44に格納されている情報等に基づいて判定可能である。
【0062】
又、同種の道路標識や道路標示が設置されている距離的な間隔は、国によって異なる。そこで、所定第1距離D1_thは、自車両100が走行している国における設置間隔が長いほど長い距離に設定されてもよく、所定第1時間T1_thは、自車両100が走行している国における設置間隔が長いほど長い時間に設定されてもよい。尚、自車両100が何れの国を走行しているかは、例えば、地図データベース44に格納されている情報等に基づいて判定可能である。
【0063】
又、所定第1距離D1_thは、同種の道路標識等の設置間隔の過去データに基づいて設定されてもよい。例えば、所定第1距離D1_thは、第1処理により第1交通情報IF1を取得した距離的な間隔が長いほど長い距離に設定されてもよい。より具体的には、所定第1距離D1_thは、第1交通情報IF1を取得したときにその第1交通情報IF1を取得した地点とその第1交通情報IF1を取得する1つ前に第1交通情報IF1を取得した地点との間の距離に設定されてもよい。同様に、所定第1時間T1_thは、第1処理により第1交通情報IF1を取得した時間的な間隔が長いほど長い距離に設定されてもよい。より具体的には、所定第1時間T1_thは、第1交通情報IF1を取得したときにその第1交通情報IF1を取得する1つ前に第1交通情報IF1を取得してから今回、第1交通情報IF1を取得するまでに経過した時間に設定されてもよい。
【0064】
又、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を行っていないとき又は第1交通情報IF1に基づく運転支援を終了したとき若しくは第1交通情報IF1に基づく運転支援を終了した後に第2処理により第2交通情報IF2を取得した場合、第2交通情報IF2に基づく運転支援を開始する。
【0065】
尚、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を終了したときに第2処理により第2交通情報IF2を取得して保存又は記憶していた場合、第2交通情報IF2に基づく運転支援を開始するように構成されてもよい。
【0066】
従って、先に述べたように、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援を行っているときに第2交通情報IF2を取得しても、第2交通情報IF2に基づく運転支援を行わない。又、車両運転支援装置10は、第2交通情報IF2に基づく運転支援を行っているときに新たな第2交通情報IF2を取得した場合、運転支援を新たな第2交通情報IF2に基づく運転支援に切り替える。勿論、車両運転支援装置10は、第1交通情報IF1に基づく運転支援も第2交通情報IF2に基づく運転支援も行っていないときに第2交通情報IF2を取得した場合、その第2交通情報IF2に基づく運転支援を開始する。
【0067】
そして、車両運転支援装置10は、第2交通情報IF2に基づく運転支援を開始した後、所定第2条件C2が成立した場合、その第2交通情報IF2に基づく運転支援を終了する。
【0068】
本例において、所定第2条件C2は、第2交通情報IF2が取得された後、第1交通情報IF1も新たな第2交通情報IF2も取得されない状態で第2交通情報IF2が取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が所定第2距離D2_thに達したとの条件、又は、第2交通情報IF2が取得されてから第1交通情報IF1も新たな第2交通情報IF2も取得されない状態で第2交通情報IF2が取得されてから経過した時間(第2経過時間T2)が所定第2時間T2_thに達したとの条件である。尚、本例において、所定第1時間T1_thと所定第2時間T2_thとは、同じ長さの時間に設定されているが、互いに異なる時間に設定されてもよい。
【0069】
例えば、運転支援が交通情報表示(交通情報IFを示す画像の画像表示装置23での表示)であり、第1交通情報IF1及び第2交通情報IF2がそれぞれ制限速度である場合、以下のように交通情報表示が行われる。車両運転支援装置10が行う交通情報表示には、様々なパターンがあるが、以下においては、幾つかの代表的なパターンを紹介する。
【0070】
<表示パターン1>
図2に示したように、自車両100が地点P20に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R120が前方情報検出装置41により検出されると、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得され、検出された道路標識R120を自車両100が通過するときに時速40kmの標識制限速度表示D120(時速40kmの制限速度を示す画像I120の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0071】
その後、自車両100が地点P21に到達したとき及び地点P22に到達したときに時速60kmの制限速度R221及び制限速度R222が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P20で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示(時速60kmの制限速度を示す画像の画像表示装置23での表示)は行われず、時速40kmの標識制限速度表示D120が継続される。
【0072】
その後、自車両100が地点P23に到達したときに時速30kmの制限速度を示す道路標識R123が前方情報検出装置41により検出され、時速30kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得されると、検出された道路標識R123を自車両100が通過するときに制限速度表示(制限速度を示す画像の画像表示装置23での表示)が時速40kmの標識制限速度表示D120から時速30kmの標識制限速度表示D123(時速30kmの制限速度を示す画像I123の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0073】
その後、自車両100が地点P24に到達したとき及び地点P25に到達したときに時速60kmの制限速度R224及び制限速度R225が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速30kmの標識制限速度が地点P23で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示は行われず、時速30kmの標識制限速度表示D123が継続される。
【0074】
その後、自車両100が地点P26に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R126が前方情報検出装置41により検出され、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得されると、検出された道路標識R126を自車両100が通過するときに制限速度表示が時速30kmの標識制限速度表示D123から時速40kmの標識制限速度表示D126(時速40kmの制限速度を示す画像I126の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0075】
その後、自車両100が地点P27に到達したときに時速60kmの制限速度R227が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P26で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示は行われず、時速40kmの標識制限速度表示D126が継続される。
【0076】
<表示パターン2>
又、
図3に示したように、自車両100が地点P30に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R130が前方情報検出装置41により検出されると、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得され、検出された道路標識R130を自車両100が通過するときに時速40kmの標識制限速度表示D130(時速40kmの制限速度を示す画像I130の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0077】
その後、自車両100が地点P31に到達したとき及び地点P32に到達したときに時速60kmの制限速度R231及び制限速度R232が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P30で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示は行われず、時速40kmの標識制限速度表示D130が継続される。
【0078】
その後、時速40kmの標識制限速度が地点P30で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が地点P33で所定第1距離D1_thに達する。一方、時速60kmのデータ制限速度R232が地点P32で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P33では所定第2距離D2_thに達していない。従って、自車両100が地点P33に到達したときに制限速度表示が時速40kmの標識制限速度表示D130から時速60kmのデータ制限速度表示D233(時速60kmの制限速度を示す画像I233の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0079】
その後、自車両100が地点P34に到達したときに時速50kmの制限速度R234が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得され且つ自車両100が地点P33から地点P34まで走行する間に新たな標識制限速度(第1交通情報IF1)が取得されていないので、制限速度表示が時速60kmのデータ制限速度表示D233から時速50kmのデータ制限速度表示D234(時速50kmの制限速度を示す画像I234の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0080】
その後、標識制限速度もデータ制限速度も取得されないまま時速50kmのデータ制限速度R234が地点P34で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P35で所定第2距離D2_thに達するので、所定第2条件C2が成立する。従って、自車両100が地点P35に到達したときに時速50kmのデータ制限速度表示D234が終了する。その結果、画像表示装置23に制限速度を示す画像は表示されなくなる。
【0081】
<表示パターン3>
又、
図4に示したように、自車両100が地点P40に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R140が前方情報検出装置41により検出されると、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得され、検出された道路標識R140を自車両100が通過するときに時速40kmの標識制限速度表示D140(時速40kmの制限速度を示す画像I140の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0082】
その後、自車両100が地点P41に到達したとき及び地点P42に到達したときに時速60kmの制限速度R241及び制限速度R242が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P30で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示は行われず、時速40kmの標識制限速度表示D140が継続される。
【0083】
その後、時速40kmの標識制限速度が地点P40で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が地点P43で所定第1距離D1_thに達する。従って、所定第1条件C1が成立する。一方、時速60kmのデータ制限速度R242が地点P42で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P43では所定第2距離D2_thに達していない。従って、自車両100が地点P43に到達したときに制限速度表示が時速40kmの標識制限速度表示D140から時速60kmのデータ制限速度表示D243(時速60kmの制限速度を示す画像I243の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0084】
その後、自車両100が地点P44に到達したときに時速50kmの制限速度R244が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得され且つ自車両100が地点P43から地点P44まで走行する間に新たな標識制限速度が取得されていないので、制限速度表示が時速60kmのデータ制限速度表示D243から時速50kmのデータ制限速度表示D244(時速50kmの制限速度を示す画像I244の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0085】
その後、自車両100が地点P45に到達したときに時速60kmの制限速度R245が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得され且つ自車両100が地点P44から地点P45まで走行する間に新たな標識制限速度が取得されていないので、制限速度表示が時速50kmのデータ制限速度表示D244から時速60kmのデータ制限速度表示D245(時速60kmの制限速度を示す画像I245の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0086】
その後、自車両100が地点P46に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R146が前方情報検出装置41により検出され、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得されると、検出された道路標識R146を自車両100が通過するときに制限速度表示が時速60kmのデータ制限速度表示D245から時速40kmの標識制限速度表示D146(時速40kmの制限速度を示す画像I146の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0087】
その後、自車両100が地点P47に到達したときに時速60kmの制限速度R247が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P46で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示は行われず、時速40kmの標識制限速度表示D146が継続される。
【0088】
<表示パターン4>
又、
図5に示したように、自車両100が地点P50に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R150が前方情報検出装置41により検出されると、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得され、検出された道路標識R150を自車両100が通過するときに時速40kmの標識制限速度表示D150(時速40kmの制限速度を示す画像I150の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0089】
その後、自車両100が地点P51に到達したとき及び地点P52に到達したときに時速60kmの制限速度R251及び時速50kmの制限速度R252が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P50で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示は行われず、時速40kmの標識制限速度表示D150が継続される。
【0090】
その後、時速40kmの標識制限速度が地点P50で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が地点P53で所定第1距離D1_thに達する。一方、時速50kmのデータ制限速度R252が地点P52で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P53では所定第2距離D2_thに達していない。従って、自車両100が地点P53に到達したときに制限速度表示が時速40kmの標識制限速度表示D150から時速60kmのデータ制限速度表示D253(時速50kmの制限速度を示す画像I253の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0091】
その後、標識制限速度もデータ制限速度も取得されないまま時速50kmのデータ制限速度R252が地点P52で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P54で所定第2距離D2_thに達するので、所定第2条件C2が成立する。従って、自車両100が地点P54に到達したときに時速50kmのデータ制限速度表示D253が終了する。その結果、画像表示装置23に制限速度を示す画像は表示されなくなる。
【0092】
その後、自車両100が地点P55に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R155が前方情報検出装置41により検出されると、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得され、検出された道路標識R155を自車両100が通過するときに時速40kmの標識制限速度表示D155(時速40kmの制限速度を示す画像I155の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0093】
<表示パターン5>
又、
図6に示したように、自車両100が地点P60に到達したときに時速40kmの制限速度を示す道路標識R160が前方情報検出装置41により検出されると、時速40kmの制限速度が標識制限速度(第1交通情報IF1)として取得され、検出された道路標識R160を自車両100が通過するときに時速40kmの標識制限速度表示D160(時速40kmの制限速度を示す画像I160の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0094】
その後、自車両100が地点P61に到達したとき及び地点P62に到達したときに時速60kmの制限速度R261及び時速50kmの制限速度R262が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されるが、時速40kmの標識制限速度が地点P60で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が所定第1距離D1_thに達していないので、時速60kmのデータ制限速度表示も時速50kmのデータ制限速度表示も行われず、時速40kmの標識制限速度表示D160が継続される。
【0095】
その後、時速40kmの標識制限速度が地点P60で取得されてからの自車両100の走行距離D(第1走行距離D1)が地点P63で所定第1距離D1_thに達する。一方、時速50kmのデータ制限速度R262が地点P62で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P63では所定第2距離D2_thに達していない。従って、自車両100が地点P63に到達したときに制限速度表示が時速40kmの標識制限速度表示D160から時速50kmのデータ制限速度表示D263(時速50kmの制限速度を示す画像I263の画像表示装置23での表示)に切り替わる。
【0096】
その後、標識制限速度もデータ制限速度も取得されないまま時速50kmのデータ制限速度R262が地点P62で取得されてからの自車両100の走行距離D(第2走行距離D2)が地点P64で所定第2距離D2_thに達するので、所定第2条件C2が成立する。従って、自車両100が地点P64に到達したときに時速60kmのデータ制限速度表示D263が終了する。その結果、画像表示装置23に制限速度を示す画像は表示されなくなる。
【0097】
その後、自車両100が地点P65に到達したときに時速60kmの制限速度R265が地図データベース44からデータ制限速度(第2交通情報IF2)として取得されると、時速60kmのデータ制限速度表示D265(時速60kmの制限速度を示す画像I265の画像表示装置23での表示)が開始される。
【0098】
<効果>
第2交通情報IF2は、地図データベース44から取得されるので、その地点の自車両100の走行に関連する交通情報IFが地図データベース44に格納されている限り、確実に取得される。しかしながら、道路工事現場に道路標識等が一時的に設置されていても、そうした道路標識等の情報は、地図データベース44に格納されないか、或いは、格納されるとしても即座に格納されるわけではない。従って、こうした一時的に設置された道路標識等の示す交通情報IFは、地図データベース44から第2交通情報IF2として取得されない可能性が高い。又、交通情報IFの内容に変更が生じた場合(例えば、制限速度が時速40kmから時速60kmに変更された場合等)、その交通情報IFの変更は、地図データベース44に即座に反映されるわけではない。従って、交通情報IFの内容に変更が生じている場合に地図データベース44から取得される第2交通情報IF2は、適正なものではない可能性が高い。
【0099】
一方、第1交通情報IF1は、前方情報検出装置41の検出情報IFdから取得される。従って、道路標識等が一時的に設置されている場合も、その道路標識等の示す交通情報IFは、検出情報IFdから第1交通情報IF1として取得され、しかも、その取得された第1交通情報IF1は、その時点の自車両100の走行に関連する交通情報IFとして適正なものである。又、交通情報IFの内容に変更が生じている場合も、その変更後の交通情報IFが検出情報IFdから第1交通情報IF1として取得されるので、その取得された第1交通情報IF1は、その時点の自車両100の走行に関連する交通情報IFとして適正なものである。しかしながら、前方情報検出装置41の検出情報IFdの検出精度や検出情報IFdに基づく第1交通情報IF1の取得精度等の理由から、自車両100が道路標識等にさしかかっても、第1交通情報IF1が取得されないことがある。一般に、道路標識等は、一定の距離以下の間隔で設置されているので、自車両100が一定期間走行すれば、道路標識等の示す交通情報IFが第1交通情報IF1として新たに取得されるはずであるところ、自車両100が一定期間走行しても、新たな第1交通情報IF1が取得されなければ、本来取得されるはずの第1交通情報IF1が取得されなかった可能性があり、このときに先に取得した第1交通情報IF1に基づく運転支援が継続していると、その運転支援がその時点の自車両100の走行に本来関連する交通情報IFに沿ったものではなくなってしまう。
【0100】
このように、取得される確実性については、第1交通情報IF1よりも第2交通情報IF2のほうが高いものの、取得された内容の適正度については、第2交通情報IF2よりも第1交通情報IF1のほうが高い。このように、第1交通情報IF1にも第2交通情報IF2にも、一長一短がある。
【0101】
こうした事情に鑑み、車両運転支援装置10によれば、まず、第1交通情報IF1が取得された場合、取得された第1交通情報IF1は、その時点の自車両100の走行に関連する交通情報IFとして適正なものであるので、一定の期間は、第2交通情報IF2が取得されても、第1交通情報IF1が運転支援に使用され続ける。そして、第1交通情報IF1が取得されてから一定の期間が過ぎるまでに新たな第1交通情報IF1が取得されない場合、第2交通情報IF2が運転支援に使用されるようになる。このように運転支援に使用する交通情報IFを切り替えることにより、全体として、自車両100の走行に関連する交通情報IFとして適正なものに基づく運転支援が行われるようになる。
【0102】
<具体的な作動>
次に、車両運転支援装置10の具体的な作動について説明する。車両運転支援装置10のECU90のCPUは、
図7に示したルーチンを所定時間間隔で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図7のステップ700から処理を開始し、その処理をステップ705に進め、第1処理を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ710に進め、第2処理を実行する。次いで、CPUは、処理をステップ715に進め、第1交通情報IF1を取得したか否かを判定する。
【0103】
CPUは、ステップ715にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ720に進め、その時点で第1交通情報IF1に基づく運転支援を実行している場合、その第1交通情報IF1に基づく運転支援を終了し、その時点で第2交通情報IF2に基づく運転支援を実行している場合、その第2交通情報IF2に基づく運転支援を終了する。尚、CPUは、処理をステップ720に進めた時点で第1交通情報IF1に基づく運転支援も第2交通情報IF2に基づく運転支援も実行していない場合、運転支援を実行していない状態を維持する。
【0104】
次いで、CPUは、処理をステップ725に進め、ステップ705で新たに取得した第1交通情報IF1に基づく運転支援を開始する。次いで、CPUは、処理をステップ730に進め、第1走行距離D1の計測を開始する。第1走行距離D1は、ステップ705で第1交通情報IF1を新たに取得してからの自車両100の走行距離Dである。次いで、CPUは、処理をステップ735に進める。
【0105】
一方、CPUは、ステップ715にて「No」と判定した場合、処理をステップ735に直接進める。
【0106】
CPUは、処理をステップ735に進めると、第2交通情報IF2を取得したか否かを判定する。
【0107】
CPUは、ステップ735にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ740に進め、第2走行距離D2の計測を開始する。第2走行距離D2は、ステップ710で第2交通情報IF2を新たに取得してからの自車両100の走行距離Dである。次いで、CPUは、処理をステップ745に進める。
【0108】
一方、CPUは、ステップ735にて「No」と判定した場合、処理をステップ745に直接進める。
【0109】
CPUは、処理をステップ745に進めると、第1走行距離D1が所定第1距離D1_th以上であるか否かを判定する。
【0110】
CPUは、ステップ745にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ750に進め、その時点で実行している第1交通情報IF1に基づく運転支援を終了する。尚、CPUは、その時点で第1交通情報IF1に基づく運転支援を実行していない場合、第1交通情報IF1に基づく運転支援を実行していない状態を維持する。次いで、CPUは、処理をステップ755に進め、第2走行距離D2が所定第2距離D2_thよりも短いか否かを判定する。
【0111】
CPUは、ステップ755にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ760に進め、第2交通情報IF2に基づく運転支援を実行する。尚、このとき、既に第2交通情報IF2に基づく運転支援が実行されている場合、その第2交通情報IF2に基づく運転支援が継続される。その後、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0112】
一方、CPUは、ステップ755にて「No」と判定した場合、処理をステップ765に進め、その時点で実行している第2交通情報IF2に基づく運転支援を終了する。尚、CPUは、その時点で第2交通情報IF2に基づく運転支援を実行していない場合、第2交通情報IF2に基づく運転支援を実行していない状態を維持する。その後、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0113】
又、CPUは、ステップ745にて「No」と判定した場合、処理をステップ795に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0114】
以上が車両運転支援装置10の具体的な作動である。
【0115】
又、車両運転支援装置10が道路種別に応じて所定第1距離D1_thを設定するように構成されている場合、CPUは、
図8に示したルーチンを所定時間間隔で実行する。この場合、所定のタイミングになると、CPUは、
図8のステップ800から処理を開始し、その処理をステップ805に進め、自車両100が現在走行している道路の種別を取得する。次いで、CPUは、処理をステップ810に進め、ステップ805で取得した道路の種別に基づいて自車両100が現在走行している道路が一般道路か否かを判定する。
【0116】
CPUは、ステップ810にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ815に進め、一般道路用の所定第1距離D1_thとして予め記憶してある距離Dshortを所定第1距離D1_thに設定する。その後、CPUは、処理をステップ895に進め。本ルーチンを一旦終了する。
【0117】
一方、CPUは、ステップ810にて「No」と判定した場合、処理をステップ820に進め、ステップ805で取得した道路の種別に基づいて自車両100が現在走行している道路が高速道路か否かを判定する。
【0118】
CPUは、ステップ820にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ825に進め、高速道路用の所定第1距離D1_thとして予め記憶してある距離Dlongを所定第1距離D1_thに設定する。その後、CPUは、処理をステップ895に進め。本ルーチンを一旦終了する。
【0119】
一方、CPUは、ステップ820にて「No」と判定した場合(即ち、自車両100が現在走行している道路の種別が一般道路でも高速道路でもない場合、或いは、一般道路か高速道路かを判別できない場合)、処理をステップ830に進め、標準的な所定第1距離D1_thとして予め記憶してある距離Dbaseを所定第1距離D1_thに設定する。その後、CPUは、処理をステップ895に進め。本ルーチンを一旦終了する。
【0120】
又、車両運転支援装置10が国に応じて所定第1距離D1_thを設定するように構成されている場合、CPUは、
図9に示したルーチンを所定時間間隔で実行する。この場合、所定のタイミングになると、CPUは、
図9のステップ900から処理を開始し、その処理をステップ905に進め、自車両100が現在走行している国の種別を取得する。次いで、CPUは、処理をステップ910に進め、ステップ905で国の種別を取得できたか否かを判定する。
【0121】
CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ915に進め、各国に対応する所定第1距離D1_thとして予め記憶してある距離Dstateの中からステップ905で取得した国の種別が示す国に対応する距離Dstateを選択し、その距離Dstateを所定第1距離D1_thに設定する。その後、CPUは、処理をステップ995に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0122】
一方、CPUは、ステップ910にて「No」と判定した場合、処理をステップ920に進め、標準的な所定第1距離D1_thとして予め記憶してある距離Dbaseを所定第1距離D1_thに設定する。その後、CPUは、処理をステップ995に進め。本ルーチンを一旦終了する。
【0123】
又、車両運転支援装置10が第1交通情報IF1を取得する距離的な間隔の過去データに基づいて所定第1距離D1_thを設定するように構成されている場合、CPUは、
図10に示したルーチンを所定時間間隔で実行する。この場合、所定のタイミングになると、CPUは、
図10のステップ1000から処理を開始し、その処理をステップ1005に進め、
図7のステップ705の第1処理の実行により第1交通情報IF1を新たに取得したか否かを判定する。
【0124】
CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1010に進め、
図7のステップ705で新たな第1交通情報IF1を取得した地点とその1つ前にその新たな第1交通情報IF1と同種の第1交通情報IF1を取得した地点との間の距離Ddataを所定第1距離D1_thに設定する。その後、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0125】
一方、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定した場合、処理をステップ1095に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0126】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0127】
10…車両運転支援装置、23…画像表示装置、41…前方情報検出装置、44…地図データベース、90…ECU、100…自車両