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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ケーブルシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20231031BHJP
   H04B 10/80 20130101ALI20231031BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G01D5/353 B
H04B10/80
H04J14/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021554856
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2020038490
(87)【国際公開番号】W WO2021090644
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019203272
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-208279(JP,A)
【文献】特開平4-5529(JP,A)
【文献】国際公開第2008/105202(WO,A1)
【文献】特開2007-40738(JP,A)
【文献】特開平2-189507(JP,A)
【文献】特許第2712103(JP,B2)
【文献】特開昭63-113323(JP,A)
【文献】特開2014-165858(JP,A)
【文献】特開2010-200361(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0080812(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0164526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26、5/353
G02B 6/00
G01B 11/16
G01K 11/32-11/324
H04B 10/00-10/90
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバ心線を備えたケーブルを、ケーブル周囲環境の光ファイバセンシングに用いるケーブルシステムであって、
前記光ファイバ心線の損失を含む伝送損失を補償する光増幅中継装置を備え、
前記光ファイバセンシングは、前記光ファイバセンシングに用いられる送出光であるプローブ光を、前記光ファイバ心線を伝送させ、前記プローブ光についての前記光ファイバ心線からの後方散乱光を受光して分析するものであり、
前記ケーブルの少なくとも一端には、前記光ファイバセンシングを行うセンシング用送受信装置が接続され、
前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線においては、
前記光ファイバセンシング以外の用途に用いられる光信号の波長がアサインされる第一波長帯がある場合には、前記第一波長帯と、前記プローブ光及び前記後方散乱光の波長である第二波長帯とが、互いに異なるように配置されており、
前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線を伝送する光の中継増幅を行う、前記光増幅中継装置に備えられる光増幅部は、互いに反対向きの光を増幅する、第一の増幅器と第二の増幅器とを備え、
前記プローブ光及び前記後方散乱光の各々は、前記第一の増幅器及び前記第二の増幅器のいずれかにより増幅され、
前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線においては、前記プローブ光とその前記プローブ光についての前記後方散乱光は、伝送方向が互いに逆向きの、対となる2心の前記光ファイバ心線である光ファイバ心線対にて伝送されるように構成されており、
前記対となる2心の光ファイバ心線を伝送する光を増幅する前記光増幅中継装置において、前記後方散乱光を、前記対となる2心の光ファイバ心線の他方の前記光ファイバ心線に合波させる光経路を備え、
前記光経路は、通過する前記後方散乱光の波長帯を選択し、増幅する光増幅器及び光フィルタを備え、
遠隔操作により前記後方散乱光の伝達を阻止する伝達阻止部をさらに備え
複数の前記光ファイバ心線対のうちの一対の前記光ファイバ心線対に対して、互いに異なる波長の前記プローブ光を送出する送信部と当該プローブ光についての前記後方散乱光を受信する受信部とを備える前記センシング用送受信装置が、対向で接続されている、
ケーブルシステム。
【請求項2】
前記光ファイバセンシングに用いる前記光ファイバ心線の数は、前記ケーブルに備えられる全ての前記光ファイバ心線の数より少なく、
前記光増幅中継装置において、前記光ファイバセンシングに用いる心線に接続される光増幅部にのみ、前記光ファイバセンシングのための光増幅器が追加されている、
請求項1に記載されたケーブルシステム。
【請求項3】
前記センシング用送受信装置と前記ケーブルとが接続される、前記ケーブルの端において、前記後方散乱光を、前記光ファイバ心線対に含まれる他の前記光ファイバ心線に合波させる光経路を備え、
前記光経路は、通過する前記後方散乱光の波長帯を選択し、増幅する光増幅器及び光フィルタを備えている、請求項1又は2に記載されたケーブルシステム。
【請求項4】
遠隔操作により前記プローブ光の伝達を阻止する伝達阻止部をさらに備える、請求項1から3の何れか1項に記載されたケーブルシステム。
【請求項5】
前記阻止は、前記後方散乱光を増幅する前記光増幅器の励起の停止により行われる、請求項1に記載されたケーブルシステム。
【請求項6】
処理部を備える前記センシング用送受信装置をさらに備え、
前記処理部は、前記分析を行うとともに、前記分析がされたデータが前記ケーブルの周囲環境情報を表すものとして妥当か否かを判定し、前記否の判定がされた前記データに所定の属性情報を付加するか、又は、前記否の判定がされた前記データを出力しない、請求項1からのうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
【請求項7】
前記処理部は、前記判定を前記受光した前記後方散乱光の、信号レ ベル、ノイズレベル、signal to noise ratio、のうちの少なくともいずれかにより行う、請求項に記載されたケーブルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバセンシングに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバは通信用に広く使用されている。例えば、海を挟んだ陸地間を結ぶ通信海底光ケーブルシステムは、国際通信網の実現手段として、今日、世界中に広く敷設され、使用されている。
【0003】
光ケーブルを用いた光通信システムでは、光ファイバの伝送損失を補償するために、光増幅中継装置が所定の間隔で光ケーブルに挿入されている。光増幅中継装置の駆動電力はケーブル陸揚げ地点から、光ケーブル内の給電線を通して給電されている。
【0004】
光増幅器の実現手段として今日広く普及しているのはEDFA(Er-doped Fiber Amplifier、Er(エルビウム)添加光ファイバ増幅器)である。EDFAは、Er-doped Fiberという特殊な光ファイバに励起光を入力することでレーザー増幅器として機能する。また一部の限られた用途向けにSOA(Semiconductor Optical Amplifier、半導体光増幅器)も用いられている。これは半導体レーザー発振器と同様に、半導体内の活性層を電流で励起するレーザー増幅器である。
【0005】
通信用光ケーブルシステムにおいては、二心(一対)の光ファイバ心線を光ファイバ心線対として対向通信する構成が、一般的に用いられる。光ファイバ心線対は、ファイバペア(fiber pair、以下「FP」)とも呼ばれる。一般的な光増幅器は、光アイソレータを入出力ポートに備えているため、一方向の光信号のみ増幅可能である。一対のファイバペア用の光増幅中継装置は、それぞれの心線にその進行方向が一致する光増幅器を持つ。すなわち一対のファイバペア用の光増幅中継装置は、互いに逆向きの2つの光増幅器を持つ。
【0006】
一つの光ファイバ心線に双方向の光信号を伝送する構成も、一部の限られた通信用途に用いられている。その場合の光増幅中継装置には、典型的には、特許文献1の図1(b)に説明されているような構成が用いられる。以降ではこの構成を一心双方向構成と呼ぶ。
【0007】
双方向の光信号を1方向ずつに分離し、再び結合する方法として、この開示技術では方向性光結合器が用いられているが、特許文献2のように光サーキュレータを用いる方法も周知である。
【0008】
一方、近年、光ファイバをセンサとして用いる光ファイバセンシングシステムの開発が進み、光ファイバセンシングシステムの様々な応用が提案されている。光ファイバセンシング技術の中で、特に光ファイバで生じるレイリー(Rayleigh)後方散乱光を、信号処理して高度に分析する方式の発展が著しい。ここで、後方散乱光は、光ファイバセンシングのために光ファイバ心線に入力されるセンシング用光信号であるプローブ光についての戻り光である。以下、「光ファイバセンシング」を、「センシング」とも記す。
【0009】
後方散乱光のパワーだけを測定する方式は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometry)と呼ばれて、伝送線路の健全性確認に広く用いられている。この健全性確認で検知しようとしているのは線路の異常損失増加や断線であり、音響振動のような時間的に刻々と変化するような現象ではない。そのため、OTDR測定においては、多数回測定して平均化することでSN比を改善する手法が合わせて用いられる。ここで、SN比は、signal to noise ratioの略である。
【0010】
これに対して光ファイバセンシング技術においては、戻り光のパワーだけでなく位相や偏波状態も緻密に分析する。また、単なるOTDRに比べると格段に高速、広帯域での測定が行われる。これにより光ファイバの各位置が感じている音や振動、歪みや温度などの様々な情報を得ることができる。
【0011】
光ファイバセンシングシステムの典型的な信号伝送の構成は前述の一心双方向である。光ファイバセンシングシステムは、OTDRと同様に、センシング媒体である光ファイバ内をプローブ光が進むと同時に、後方散乱光が反射戻り光となって、同じ光ファイバを逆向きに進んで戻ってくる構成だからである。
【0012】
光ファイバセンシングシステムのセンシングが可能な範囲は、光ファイバが持つ伝送損失のために、典型的には50km程度が上限となっている。更なる長距離のセンシングを実現するため、光ファイバの損失を補償する光増幅器を用いる構成が提案されている。
【0013】
特許文献2のFig.3aには、プローブ光が減衰により弱まる場所に一心双方向型の光増幅中継装置を配置して、遠隔から光励起して損失補償する技術が開示されている。
【0014】
また、ファイバペアで通信する通信用光ケーブルシステムにおいて、OTDRを用いた伝送線路の健全性監視を実現するために、光増幅中継装置の内部に専用の戻り光回線を設ける技術が広く用いられている(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。
【0015】
反射戻り光を分離した後、対向側の線路に合波する際の合波箇所としては、対向側光増幅器の出力側を合波箇所とする構成と入力側を合波箇所とする構成の2形態あることが一般的に知られている。
【0016】
図1は、そのような2形態の合波箇所を表す概念図である。図1(a)は光増幅器の出力側で合波する構成、図1(b)は光増幅器の入力側で合波する構成を、模式的に示している。
【0017】
図1(a)に表される構成において、図示せぬ右側の端局にOTDRが設置され、OTDRから出力されるパルス光が、光ファイバ72中を伝送している場合を想定する。その場合、光ファイバ72のカプラ92より左方で生じた当該OTDRパルス光の戻り光は、カプラ92によりその一部が光ファイバ73に入力される。そして、当該戻り光は、カプラ91により光ファイバ71に合波され、光ファイバ71中を伝送し、OTDRに戻り、測定される。
【0018】
同様に、図示せぬ左側の端局にOTDRが設置され、OTDRから出力されるパルス光が、光ファイバ71中を伝送している場合を想定する。その場合、光ファイバ71のカプラ91より右方で生じた当該OTDRパルス光の戻り光は、カプラ91により光ファイバ73に入力され、カプラ92により光ファイバ72に合波され、光ファイバ72中を伝送し、OTDRに戻り、測定される。
【0019】
このように、図1(a)に表される構成においては、微弱な戻り光が増幅されずに所定の区間伝送されることになる。そのため、図1(a)に表される構成は、戻り光が雑音に埋もれやすい短所がある。ただし、図1(a)に表される構成は、戻り光経路が光ファイバ73の1つで済む。また、この構成は、光増幅器の入力側に損失を持つ光部品を挿入しなくて済むので中継器の雑音指数を劣化させずに済む。
【0020】
図1(b)の構成において、図示せぬ右側の端局にOTDRが設置され、OTDRから出力されるパルス光が、光ファイバ72中を伝送している場合を想定する。その場合、光ファイバ72のカプラ95より左方で生じた当該OTDRパルス光の戻り光は、光ファイバ72を右方に伝送する。そして、当該戻り光は、カプラ95により光ファイバ74に入力される。そして、当該戻り光は、カプラ93により光ファイバ71に合波され、光増幅器81により増幅された後に、光ファイバ71中を右方に伝送し、OTDRに戻り、測定される。
【0021】
同様に、図示せぬ左側の端局にOTDRが設置され、OTDRから出力されるパルス光が、光ファイバ71中を伝送している場合を想定する。その場合、光ファイバ71のカプラ94より右方で生じた当該OTDRパルス光の戻り光は、光ファイバ71中を左方に伝送する。そして、当該戻り光は、カプラ94によりその一部が光ファイバ75に入力され、カプラ96により光ファイバ72に合波され、光増幅器82により増幅された後、光ファイバ72中を左方に伝送し、OTDRに戻り、測定される。
【0022】
図1(b)の構成の場合は、図1(a)の構成とは反対に、中継装置が備える戻り光経路は、光ファイバ74及び75の2つ必要となる。また光増幅器の入力側に損失を持つ光部品を挿入するので中継器の雑音指数が少なからず劣化するという短所がある。しかしながら、この構成の場合は、微弱な反射戻り光が増幅されてから、次の光増幅中継装置までの一区間伝送される。そのため、この構成は、反射戻り光が雑音に埋もれにくいという長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【文献】特許第3093510号公報
【文献】米国特許第7595865号明細書
【文献】特許第2712103号公報
【非特許文献】
【0024】
【文献】光海底ケーブル、(株)パレード、ISBN 978-4-434-14494-3、2010年5月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
光増幅中継装置を含み一般的な通信を行う光ケーブルシステムに、光ファイバセンシング機能を併せ持たせる方法の開示はない。
【0026】
例えば、特許文献3や非特許文献1は、ファイバペアで通信する通信用光ケーブルシステムにおいて、OTDRを用いて伝送線路の健全性監視を行う方法を開示する。しかしながら、特許文献3や非特許文献1が開示する方法は、光ファイバケーブルが感じている振動や温度の情報を遠隔測定するものではない。
【0027】
また、特許文献2は、光ファイバケーブルが感じている振動や温度の情報を遠隔測定するシステムに光増幅中継装置を適用してセンシング範囲を伸ばす方法を開示する。しかしながら、特許文献2が開示する方法においては、センシング専用のシステムについての手法であって、光通信用信号との共存は考慮されていない。
【0028】
本発明は、光ファイバセンシングシステムに光増幅中継装置を適用してセンシング範囲を伸ばすことが可能なケーブルシステム等の提供を目的とする。本発明は、さらに、光増幅中継装置を用いて長距離通信を実現している光通信システムと光ファイバセンシングシステムが共存したケーブルシステム等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明のケーブルシステムは、複数の光ファイバ心線を備えたケーブルを、ケーブル周囲環境の光ファイバセンシングに用いるケーブルシステムであって、前記光ファイバ心線の損失を含む伝送損失を補償する光増幅中継装置を備え、前記光ファイバセンシングは、前記光ファイバセンシングに用いられる送出光であるプローブ光を、前記光ファイバ心線を伝送させ、前記プローブ光についての前記光ファイバ心線からの後方散乱光を受光して分析するものであり、前記ケーブルの少なくとも一端には、前記光ファイバセンシングを行うセンシング用送受信装置が接続され、前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線においては、前記センシング以外の用途に用いられる光信号の波長がアサインされる第一波長帯がある場合には、前記第一波長帯と、前記プローブ光及び前記後方散乱光の波長である第二波長帯とが、互いに異なるように配置されており、前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線を伝送する光の中継増幅を行う、前記光増幅中継装置に備えられる光増幅部は、互いに反対向きの光を増幅する、第一の増幅器と第二の増幅器とを備え、前記プローブ光及び前記後方散乱光の各々は、前記第一の増幅器及び前記第二の増幅器のいずれかにより増幅される。
【発明の効果】
【0030】
本発明のケーブルシステム等は、光ファイバセンシングシステムに光増幅中継装置を適用してセンシング範囲を伸ばすことを可能にする。本発明のケーブルシステム等は、さらに、光増幅中継装置を用いて長距離通信を実現している光通信システムと光ファイバセンシングシステムが共存したケーブルシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ファイバペアで通信する通信システムにおける、合波箇所に関する2つの形態を説明する概念図である。
図2】第一実施形態に係るケーブルシステムの構成例を表す概念図である。
図3】第一実施形態の波長アサイン例を模式的に表す図である。
図4図2中の部分901の拡大図である。
図5】第二実施形態のケーブルシステムの第一の構成例を表す概念図である。
図6図5中の部分902の拡大図である。
図7】第二実施形態の波長アサイン例を模式的に表す図である。
図8】第二実施形態のケーブルシステムの第二の構成例を説明する、図5中の部分902の拡大図である。
図9】第二実施形態のケーブルシステムの第三の構成例を説明する、図5中の部分902の拡大図である。
図10】第三実施形態の光増幅中継装置の第一の構成例を表す概念図である。
図11】第三実施形態の光増幅中継装置の第二の構成例を表す概念図である。
図12】第三実施形態の光増幅中継装置の第三の構成例を表す概念図である。
図13】第四実施形態の技術を説明するための説明図である。
図14】実施形態の光増幅中継装置の最小限の構成を表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の理解の容易性を考慮して、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において必要に応じて重複説明は省略されている。
実施形態説明に用いる呼称を改めて整理する。光増幅器は、原則として光ファイバ1心が入出力される光増幅の基本単位を指す。光増幅器は一心双方向型の場合もある。一心双方向型の光増幅器は複数の光増幅器を組み合わせて1つの増幅器として構成される場合もある。
光増幅部は、FP(ファイバペア)1組が入出力される複数の光増幅器のセットを指す。
光増幅中継装置は、原則として光ケーブル1本が入出力される増幅中継装置であり、ケーブルに含まれるFPの数に応じた光増幅部が収容されている増幅中継装置を指す。
【0033】
<第一実施形態>
本実施形態は、通信用光信号、プローブ光と後方散乱光とが同一の光ファイバ心線を伝送するケーブルシステムに関する実施形態である。
[構成と動作]
図2を参照して、本実施形態に係るケーブルシステム10の構成例について説明する。この例では、ケーブルシステム10を、構成が最もシンプルなpoint-to-pointのネットワーク構成で説明している。ケーブルシステム10は、端局装置11、光ケーブル21、光増幅中継装置31乃至3n、などの主要素を備える。
【0034】
また、光ケーブル21中に表される線は光ファイバ心線を表す。光ケーブル21は、8心の光ファイバ心線を備える。これらの光ファイバ心線は、FP411乃至414の4つのFPを成している。ここで、FPはFiber Pairの略である。ケーブルシステム10は4FPのシステムである。各光ファイバ心線では波長多重された通信用光信号の光伝送が行われている。なお、端局装置11及び12の内部主要構成である波長多重分離器とトランスポンダ群は、FP411に接続された波長多重分離器112及び122とトランスポンダ群111及び121のみを図示してある。FP412乃至414に接続された波長多重分離器及びトランスポンダ群は、図の煩雑さを避けるため省略してある。
【0035】
この例では、下のFPであるFP414は、一般的な光通信に加えて、光ファイバセンシングを行う。端局装置11及び12の、FP414の波長多重主信号光(通信用信号光)を受信する側の光ファイバには、インテロゲーター(interrogator、ITG)であるITG119及び129が接続されている。
【0036】
インテロゲーター(ITG)は、センシング用の送出光である前述のプローブ光を光ファイバ心線に送出する。プローブ光は、probeパルス光ということもある。そして、ITGは、光ファイバ心線から戻される、プローブ光のレイリー後方散乱戻り光(以下、単に「後方散乱光」ともいう。)を受信及び解析する。インテロゲーター(ITG)は、上記動作を行う周知の装置である。
【0037】
FP414の波長アサイン(波長の割当て)においては、ITG119及び129の、プローブ光の波長帯と、通信用光信号に用いられる波長帯とを分けてアサインする。ここで、通信用光信号は、一般的な光ファイバ通信に用いられる光信号である。
【0038】
図3に、ITG119及び129の波長アサインの一例が模式的に示される。ITG119及び129の各々から光ファイバ心線に送出されるプローブ光の波長は、通信用光信号の波長帯域とは区別して割り当てられている。プローブ光の波長と、波長多重主信号である通信用光信号の波長帯域との間には、適切なガードバンドが設けられている。
【0039】
図2において一点鎖線で囲まれた部分である部分901の拡大図を図4に示す。波長多重主信号である通信用光信号は、光ファイバ心線4141中を、図4の左から右に伝送される。ITG129から送出されるプローブ光は、それとは反対方向に、図4の右から左に伝送される。光増幅部3(n-1)4及び3n4は、伝送損失を補償する中継装置のうちFP414を伝送する光を増幅中継する部分である。そのうち図4の光ファイバ心線4141側を通る光増幅器は、光ファイバ心線4141を伝送される双方向の光を増幅する双方向光増幅中継器である。
【0040】
光増幅部3n4の伝送路4141側の光増幅器の上側の経路(光増幅器3n42を通る経路)は、波長多重主信号である通信用光信号の光増幅器3n42による増幅中継が行われる経路である。一方、下側の経路(光増幅器3n43を通る経路)はプローブ光の増幅中継が行われる経路である。下側の経路には、波長選択フィルタであるフィルタ3n44が挿入されている。フィルタ3n44は、プローブ光の波長帯だけを通過させ、それ以外の波長帯の通過を阻止する。
【0041】
なお、サーキュレータ3n45は、光ファイバ心線4141を右方に伝送する光を光増幅器3n42に入力するとともに、フィルタ3n44からの光を光ファイバ心線4141に左方に伝送されるように入力するためのものである。また、サーキュレータ3n46は、光増幅器3n42からの光を右方に伝送させるとともに、右方から入力された光を光増幅器3n43に入力する。
【0042】
図2において、ITG129でセンシングを行う範囲の光増幅中継装置は、FP414の光増幅部として、光増幅部3n4と同様の構成を備える。
またITG119でセンシングを行う範囲の光増幅中継装置も、FP414の光増幅部として、光増幅部3n4と同様の構成を備える。端局装置11側と端局装置12側では光ファイバ心線4141と4142の送受の向きが反対のため、ITG119側のセンシング範囲の光増幅部(314、324、…)では、光ファイバ心線4142側が一心双方向増幅器となる。その動作はITG129側と同様のため、説明は省略する。
【0043】
伝送線路である光ファイバ心線4141内で発生した後方散乱光は、波長多重主信号である通信用光信号と同じ方向に伝送され、光増幅部3n4により増幅中継され、ITG129により受信、分析される。
【0044】
ITG129は、その分析により、図2に一例を示す光ケーブル21の各点が感じている環境情報を取得する。
【0045】
なお、図4においてITG129に備えられる送信部1291は、プローブ光を光ファイバ心線4141に送出する部分である。また、受信部1292は、光ファイバ心線4141からの後方散乱光を受信し、当該後方散乱光から、光ファイバ心線4141が取得した環境情報を解析する部分である。
【0046】
また、図4において、端局装置12内にある、光増幅器1281、1284、フィルタ1282、サーキュレータ1283、波長選択カプラ16及びそれらを接続する光ファイバ心線からなる構成は、双方向一対の光増幅器、及び、ITG129と光ファイバ心線4141の接続経路である。当該接続経路は、送信部1291が送出するプローブ光を、光ファイバ心線4141に送出するとともに、光ファイバ心線4141からの後方散乱光を受信部1292に導く。
【0047】
当該接続経路は、一心双方向型の光増幅器と同一構成で実現しても良い。その場合には不必要な合波・分波が生じるので、不必要な合分波を省いたものが当該接続経路である。
【0048】
一般の波長多重通信システムにおける光増幅中継装置の間隔は60~80kmにもなる。そのため、プローブ光の入射パワーは高くする必要があり、またパルス状であるため尖頭値パワーが極めて高くなる。その状況下で波長多重主信号である通信用光信号を並進させると、光ファイバ中の非線形光学効果により、通信用光信号に劣化が生じる恐れがある。
【0049】
そのため図2及び図4に表される構成では、プローブ光を通信用光信号と逆向きに伝送させている。これにより通信用光信号への劣化が大幅に低減される。
【0050】
一方、後方散乱光のパワーは通信用光信号に比べて低く、またパルス状でもない。そのため、後方散乱光が通信用光信号と並進伝送しても劣化原因となる危険性は少ない。
【0051】
前述のように、図2の光ケーブル21には、全部で8心の光ファイバ心線が含まれているが、センシング機能を併合した光ファイバ心線は、端局12側では光ファイバ心線4141のみ、端局装置11側では光ファイバ心線4142のみとしている。その理由は、光ファイバケーブル外部の環境の振動や温度などをセンシングする際、光ファイバケーブル内の他の光ファイバ心線でセンシングしてもほぼ同じ値が得られるためである。そのため、代表の一心の光ファイバ心線のみで光ファイバセンシングを行えば十分と考えられる。このようにすることで通信用の光増幅中継装置にセンシング信号用の部品を追加する際の負担が抑えられる。また中継装置の消費電力の増加割合も小さくて済む。
【0052】
後方散乱光を用いる光ファイバセンシングでは、センシングが可能な距離に原理上の上限がある。そのため、光増幅中継で損失が十分補償されたとしてもセンシングが可能な距離は制約される。例えばサンプリング速度50Hzでは約2000kmが上限となる。これ以外にもSN劣化や非線形劣化などでセンシングが可能な距離は制約される。この制約により、片端からのセンシングで光ケーブルのケーブル長の全部を測定できない場合に、図2のように両端からセンシングすることにより、ある程度解消できる。また、片端からのセンシングでケーブル長の全部を測定できる場合であっても、左右両方からセンシングすることで冗長化を図ることもできる。
【0053】
[効果]
本実施形態においては、光増幅中継装置を含む光伝送システムに、光ケーブルをセンサとして周囲環境をセンシングする機能を併せ持たせる構成が提供されている。
【0054】
本実施形態のケーブルシステムにおいては、一心の光ファイバ心線にプローブ光を通信用光信号と逆向きに伝送させる。これにより、プローブ光による通信用光信号の劣化が抑えられる。前記ケーブルシステムは、上記において、その光ファイバ心線の増幅部に、通信用光信号を増幅中継する光増幅器と並列に、逆方向のプローブ光を増幅する増幅器を接続する。本実施形態のケーブルシステムは、上記により、光増幅中継装置から先の光ケーブルの環境情報もセンシングすることを可能にする。
【0055】
本実施形態のケーブルシステムを用いれば、センシング光と通信用光信号とを波長多重した時の、互いに対する劣化の影響をより効果的に抑圧できる。心線及び増幅部を、通信とセンシングで共用できるため、センシングのための専用心線及びそのための専用増幅部を設ける必要がなく、経済性に優れる。さらに本実施形態の構成は、ケーブル内の最低1心に対して施せば十分であるので、センシング機能の追加に関するコスト増が抑えられる。
【0056】
さらに、本実施形態のケーブルシステムにおいては、プローブ光が心線単位で閉じている。そのため、前記ケーブルシステムは、後述するようなファイバペアを用いる構成に比べて、ネットワーク設計が容易という特長を有する。
【0057】
<第二実施形態>
本実施形態は、通信用光信号、プローブ光と後方散乱光とがFiber Pair(FP)を伝送するが、それらの光が伝送する光ファイバ心線はそのFP内において異なり得る、ケーブルシステムに関する実施形態である。
[構成と動作]
まず、図5を参照して、本実施形態のケーブルシステム10の構成例を説明する。図5に表されるケーブルシステム10は図2に表されるものと同様に、構成が最もシンプルなpoint-to-pointのネットワーク構成のものである、また、このケーブルシステム10は、図2に表されるものと同様に、4FPシステムである。
【0058】
図5の構成例では、背景技術の項で述べた、図1に表される、伝送線路を監視するための戻り光の経路を、光増幅中継装置31乃至3nの中の光増幅部の各々が備える。当該戻り光の経路は、黒丸と直線で模式的に表される。
【0059】
一番下のFPであるFP414は、一般的な光通信を行うとともに、光ファイバセンシングを行う。FP414には、端局装置11のITG119及び端局装置12のITG129も接続されている。
【0060】
図5に一点鎖線で表される部分902の拡大図を、図6に示す。図6には、部分902以外に、FP414に接続されているトランスポンダ群118及び128並びに図5に表されるITG119及び129が表されている。また、図6図8及び図9においては、OTDR用の戻り光経路は煩雑になるため図示が省略されている。OTDR用の戻り光経路は、図5において黒丸と直線とで表される、FPを構成する2心(一対)の光ファイバ心線を接続する部分である。また、図6図8及び図9においては、波長多重主信号である通信用光信号の流れは図示が省略されている。
【0061】
図6においては、一つのFPの両端にITG119及び129が対向するように接続されている。ITG119のプローブ光のセンシング波長は波長λ1、ITG129のセンシング波長は波長λ2である。図6に表される構成においては、このように、対向する二つのITGのセンシング波長を互いに異ならせることで、同じ波長の光が重なることによる測定上の不都合が回避されている。
【0062】
なお、図6においてITG119に備えられる送信部1191は、センシング用のプローブ光(λ1)を光ファイバ心線4141に送出する部分である。また、受信部1192は、光ファイバ心線4141で生じ、光ファイバ心線4142を経由して伝送されてくる後方散乱光(λ1)を受信し、当該後方散乱光から、光ファイバ心線4141において取得した環境情報を解析する部分である。
【0063】
また、ITG129に備えられる送信部1291は、プローブ光(λ2)を光ファイバ心線4142に送出する部分である。また、受信部1292は、光ファイバ心線4142で生じ、光ファイバ心線4141を経由して伝送されてくる後方散乱光(λ2)を受信し、当該後方散乱光から、光ファイバ心線4142において取得した環境情報を解析する部分である。
【0064】
また、図6において、カプラ1186、光増幅器1181・1183、フィルタ1182、カプラ1187及びそれらを接続する光ファイバ心線からなる構成は、双方向一対の光増幅器、及び、ITG119とFP414の接続経路である。当該接続経路は、送信部1191が光ファイバ心線4141に送出するプローブ光についての、光ファイバ心線4141からの後方散乱光を、受信部1192に導く。
【0065】
波長λ1のプローブ光は光ファイバ心線4141を、波長λ2のプローブ光は光ファイバ心線4142を、それぞれ波長多重主信号である通信用光信号と波長多重され並進伝送される。
【0066】
光ファイバ区間1の光ファイバ心線4141で生じる波長λ1の後方散乱光の一部は、光増幅部314のカプラ3m11により分離され、光増幅器3m5で増幅された後、フィルタ3m7によりセンシング波長帯だけに帯域が制限される。その後、当該後方散乱光はカプラ3m10により光ファイバ心線4142に合波され、光増幅器3m3により増幅された後に、光ファイバ区間2の光ファイバ心線4142をITG119に向かって、通信用光信号と並進伝送される。ここで、後方散乱光が、カプラ3m10により光ファイバ心線4142を伝送する光と合波される際に、光ファイバ区間1よりもさらに右方の光ファイバ区間からの後方散乱光と重なり干渉しないように、プローブ光のパルス幅は十分短く設定されている。
【0067】
同様に、光ファイバ区間2の光ファイバ心線4142で生じる波長λ2の後方散乱光は、カプラ3m9によりその一部が分離され、光増幅器3m4によって光増幅され、フィルタ3m6によりセンシング波長帯に帯域が制限される。波長λ2の後方散乱光は、さらに、カプラ3m8により光ファイバ心線4141を流れる光と合波され、光ファイバ心線4141をITG129に向かって通信用光信号と並進伝送される。
【0068】
なお、図6中のトランスポンダ群118及び128は、FP414の両端に接続されるトランスポンダを集合体として1つで表したものである。また、波長選択カプラ134aは、トランスポンダ群118からの通信用光信号と送信部1191からのプローブ光を合波し、光ファイバ心線4141に送出するためのものである。また、波長選択カプラ134bは、光ファイバ心線4142からの光を、トランスポンダ群118及びITG119に分岐入力するためのものである。
【0069】
図6の構成は、線路監視用OTDRの戻り光経路と似ているが、光増幅器3m4及び3m5と波長選択用のフィルタ3m6及び3m7が備えられていることが特徴である。OTDRの監視対象は線路の損失であり、その状態変化は時間的に緩やかであるため、多数回の平均を行ってSN比を高めることができる。そのため、線路監視用OTDRの戻り光経路には、光増幅器や波長選択用のフィルタが不要なのである。むしろ線路監視用OTDRの戻り光経路の損失は十分大きくする必要がある。なぜなら波長多重通信光は4141側、4142側で異ならせていないので、それらの後方散乱光が対向側の通信用信号光と干渉してしまい、通信障害を生じるからである。
【0070】
一方、光ファイバセンシングのモニタするものは、光ケーブル21を取り巻く振動や音等の環境であり、環境の状態が時間的に早く変化する場合があるため、測定を繰り返して平均化することができない場合が多い。そのため、光増幅することで信号レベルを高く保ち、SN劣化を防ぎ、平均化等を行うことなしに環境を表す環境情報を取得できるようにする。
【0071】
本実施形態におけるFP414の波長アサイン(波長の割当て)は、第一実施形態と同様に、センシングに用いる波長と、通信波長帯とを分けて行われる。それに加えて図6の構成では、1つのファイバペアであるFP414の両端に、互いに対向するようにITG119及び129が接続されているため、送出するプローブ光の波長を、互いに異ならせる必要がある。従い、FP414の波長のアサイン(波長の割当て)は、例えば、図7に表されるようになる。図7に表される波長λ1及びλ2は、各々、ITG119及び129からFP411に送出されるプローブ光に割り当てられる波長である。このように、検出用の光の波長をFPに伝送させる方向ごとに異ならせることは、OTDRによる線路健全性監視においても行われている。
【0072】
図5の光ケーブルには、全部で8心の光ファイバ心線が含まれている。その中で、センシング機能を併合した光ファイバ心線は、FP414の二つの光ファイバ心線だけとしている。第一実施形態でも説明したように、センシング機能を併合した光ファイバ心線をFP414の二つの光ファイバ心線に絞り込むことで、通信用の光増幅中継装置にセンシング信号用の部品を追加する際の負担を必要最小限に抑えることができる。
【0073】
一方、図8に示すように、光ケーブル21の中のFP413にITG117を、FP414にITG129を接続したとする。(図8では、FP411、FP412に関しては、図示が省略されている。)その場合、ITG117とITG129とは、一つのFPにおいては対向して接続されない。その場合は、ITG117からのプローブ光に割り当てられる波長λ1とITG129からのプローブ光に割り当てられる波長λ2とを異ならせる必要がなくなり、プローブ光の波長種類の管理を不要にすることができる。
【0074】
なお、中継器内の戻り光経路は、実際には図6のように双方向の経路を用意しておき、後述する光スイッチ機能により、片方向の経路を遮断することで、図8の構成を実現することが好適である。
【0075】
なお、図8中のトランスポンダ群116及び127は、FP413の両端に接続されるトランスポンダ群である。また、トランスポンダ群118及び128は、FP414の両端に接続されるトランスポンダ群である。
【0076】
また、カプラ133aは、トランスポンダ群116からの通信用光信号とITG117からのプローブ光を合波し、光ファイバ心線4131に送出するためのものである。また、カプラ133bは、光ファイバ心線4132からの光を、トランスポンダ群116及びITG117に分岐入力するためのものである。
【0077】
また、波長選択カプラ134aは、トランスポンダ群118からの通信用光信号を光ファイバ心線4141に送出するためのものである。また、波長選択カプラ134bは、光ファイバ心線4142からの光を、トランスポンダ群118に入力するためのものである。
【0078】
第二実施形態の他の構成であるケーブルシステム10の構成を図9に示す。背景技術で述べたように、FPからなる通信路の光増幅中継装置における戻り光の経路の形態は、図1(a)及び(b)に示すように、対向増幅器の出力側に合波する形(図1(a)参照)と、入力側に合波する形(図1(b)参照)の2通りが知られている。前述の、図6は、後方散乱光を図1(b)のように入力側に合波する形態である。これに対し、図9は、後方散乱光を図1(a)のように出力側に合波する形で第二実施形態のケーブルシステムを構成したものである。
【0079】
波長λ1のプローブ光は光ファイバ心線4141を、波長λ2のプローブ光は光ファイバ心線4142を、それぞれ波長多重主信号である通信用光信号と波長多重され並進伝送される。
【0080】
光ファイバ区間1の光ファイバ心線4141で生じる波長λ1の後方散乱光の一部は、光増幅部314のカプラ3m11により分離され、光増幅器3m5で増幅された後、フィルタ3m7によりセンシング波長帯だけに帯域が制限される。その後、当該後方散乱光はカプラ3m9により光ファイバ心線4142に合波され、通信用光信号と並進伝送される。
【0081】
同様に、光ファイバ区間2の光ファイバ心線4142で生じる波長λ2の後方散乱光は、カプラ3m9によりその一部が分離され、光増幅器3m4によって光増幅され、フィルタ3m6によりセンシング波長帯に帯域が制限される。波長λ2の後方散乱光は、さらに、カプラ3m11により光ファイバ心線4141を流れる光と合波され、光ファイバ心線4141をITG129に向かって通信用光信号と並進伝送される。
【0082】
上記を除いて、図9の説明は図6と同様であり、重複する説明は省略されるものとする。
【0083】
[効果]
第一実施形態と同様に、本実施形態においても、光増幅中継装置を含む光伝送システムに、光ケーブルをセンサとして周囲環境をセンシングする機能を併せ持たせる構成が提供されている。
【0084】
本実施形態のケーブルシステムにおいては、プローブ光の後方散乱光が、後方散乱光用の光増幅器で増幅された後に、通信用光信号を増幅する光増幅器で増幅され、プローブ光の送出元のITGに到達する。そのため、前記ケーブルシステムは、ITGにおいて後方散乱光がノイズに埋もれて環境情報の取得ができなくなるのを一層抑えることができる。
【0085】
本実施形態を用いれば、センシングのための専用の光ファイバ心線対及びそのための一対の増幅部を設ける必要がないため、経済性に優れる。さらに本実施形態は、ケーブル内の最低1つの光ファイバ心線対に対して施せば十分であるので、センシング機能の追加に関するコスト増が抑えられる。
【0086】
<第三実施形態>
本実施形態は、第一及び第二実施形態の技術内容を改良する共通技術に関するものである。本実施形態は、センシングに関するプローブ光又は前記プローブ光で生じた後方散乱光の伝搬を、遠隔から遮断できるようにする内容である。
[構成と動作]
図10は、第一実施形態に本実施形態を適用した、第一の構成例である光増幅部3n4の構成を表す概念図である。図10に表される光増幅部3n4は、図4に表される第一実施形態のものに、光スイッチであるスイッチ3n47を追加したものである。
【0087】
スイッチ3n47は、遠隔からそのオンオフが制御できるようになっている。これにより、光増幅部3n4は、光増幅部3n4から左方の光ファイバ心線4141へのプローブ光の伝送を止めることができる。
【0088】
なお、スイッチ3n47をオンオフさせる制御信号は、例えば、光ケーブルに含まれるいずれかの光ファイバ心線により、図示されない端局装置からスイッチ3n47に送信される。当該制御信号の通信方法は、例えば、非特許文献1に開示がある。
【0089】
図10に表される光増幅部3n4の構成に相当する構成を図2に表される光増幅部314乃至3(n-1)4に適用した場合、その適用された光増幅部は、その光増幅部より先のFP414へのプローブ光の伝搬を止めることができる。
【0090】
図11は、第二実施形態に本実施形態を適用した、第二の構成例である光増幅部314の構成を表す概念図である。図11に表される光増幅部314は、図6に表される第二実施形態の光増幅部314に、光スイッチであるスイッチ3m12及び3m13を追加したものである。
【0091】
スイッチ3m12及び3m13は、遠隔からそのオンオフが制御できるようになっている。光増幅部314は、スイッチ3m12をオフにした場合には、光ファイバ心線4142を通じての左方からの後方散乱光がITG129に伝達されるのを止めることができる。また、光増幅部314は、スイッチ3m13をオフにした場合には、光ファイバ心線4141を通じての右方からの後方散乱光が光ファイバ心線4142を通じて左方に(ITG119に)伝達されるのを止めることができる。
【0092】
なお、スイッチ3m12及び3m13をオンオフさせる制御信号は、例えば、光ケーブルに含まれるいずれかの光ファイバ心線により、図示されない端局装置により、スイッチ3m12及び3m13に送信される。当該制御信号の通信方法は、例えば、非特許文献1に開示がある。
【0093】
図11に表される光増幅部314では、プローブ光の伝送を止めることはできない。ケーブルシステム内の任意の箇所で任意の波長信号の通過/阻止を切り替える方法として、図12に一例を示すような構成が光増幅中継装置内に設けられても良い。FBG3m17は、プローブ光の波長帯の光を反射する光フィルタである。ここで、FBGは、Fiber Bragg Gratingの略である。
【0094】
図12に表される構成においては、左方からのプローブ光は、サーキュレータ3m15によりFBG3m17に入力され、左方に反射される。反射されたプローブ光はサーキュレータ3m15により光スイッチであるスイッチ3m16に入力される。
【0095】
スイッチ3m16がオンのときは、プローブ光は、カプラ3m14でFBG3m17を通過した光と合波され、右方に伝送される。一方、スイッチ3m16がオフのときは、プローブ光は遮断される。
【0096】
そのため、図12の構成により、当該構成の左方からのプローブ光の通過及び遮断を、遠隔から制御できる。
【0097】
第三実施形態で用いる光を遮断する方法は、光スイッチを用いる以外も考えられる。例えば、通過/遮断を切り替えたいプローブ光又は後方散乱光が増幅される光増幅器の励起を停止する方法もある。具体的には光増幅器がEDFAのように光励起タイプの場合はその励起光を、SOAのように電流励起の場合は電流を停止する方法が考えられる。励起を停止すれば光増幅媒体はプローブ光又は後方散乱光を吸収する。当該吸収損失により、遮断することができる。
【0098】
本実施形態が提供する機能は、光ファイバセンシングを行う距離の範囲を遠隔から設定可能とするものである。当該距離の範囲を設定できることは、次の点で重要である。
【0099】
単一の種類の光増幅中継装置で構成されたケーブルシステムでは、ITGから送出されたプローブ光は遮断されることなく、対向側の端局まで伝送される。プローブ光がケーブルシステムを伝送され続ける間、後方散乱光が発生し続け、ITGに戻り続ける。そして、ITGに後方散乱光が到達する間は、波長や偏波が同じプローブ光を重ねて送出することができない。そのため、この場合、ITGにおけるサンプリング速度が大幅に低く制限される可能性が高い。しかも、SN比や光ファイバ中の非線形現象などによって、もはやセンシング精度が確保できないほどの長距離であっても、途中で測定を打ち切ることができない。そのため、ITGは、波長や偏波が同じプローブ光を重ねて送出するためには、プローブ光が遠端に行き着いて、後方散乱光が戻らなくなるまで待たねばならない。
【0100】
図10の構成では、プローブ光自体の伝搬を止めることができる。一方、図11の構成ではプローブ光の伝搬は止められないが、後方散乱光がITGに到達しなくすることはできる。これにより、いずれの構成も、センシング距離範囲を遠隔から設定することができる。
【0101】
光増幅中継装置を製造する上で、一つのFPにプローブ光を伝送するための経路を有する品種と、経路を有さない品種を用意して、各々を必要な場所に配置するという方法も考えられる。ただし、この場合、用意する光増幅中継装置の品種が増えるという問題が生じる。そのため、光増幅中継装置の品種の取り違いを防ぐ管理コストが増え、スペアとして保持する光増幅中継装置の品種が増えてコストが増加する。光増幅中継装置を、プローブ光経路を持つものに統一できれば管理コストが減り、全体としてコスト抑制も図れる。ただし、光増幅中継装置の種類を統一するためには、プローブ光又は後方散乱光の経路を遠隔からオンオフできる機能を備える必要がある。そのような場合に、図10又は図11に表される構成は有効である。
【0102】
[効果]
本実施形態の光増幅部は、外部からの遠隔操作により、プローブ光又はプローブ光の後方散乱光の光増幅中継装置の通過を止めることができる。そのため、前記光増幅部は、後方散乱光がITGに到達している間は、ITGがプローブ光を送出することができず、ITGにおけるサンプリング速度が大幅に低く制限される、という問題を解消し得るなどの効果をもたらす。
【0103】
<第四実施形態>
以上説明した実施形態の技術を用いれば、光ファイバセンシングに関する光も光増幅中継装置で増幅されて伝送されるので、長距離の光ファイバセンシングが可能となる。本実施形態は、そのように光増幅器を用いて長距離の光ファイバセンシングが可能となったケーブルシステムにおいて、その価値をより高める技術に関するものである。
【0104】
[構成と動作]
図13は、本実施形態の技術を説明するための説明図である。図13には、ケーブルシステムにおいて、端局装置に設置されたITGで検知される全信号レベルを規格化したときの、規格化された信号に含まれるノイズのレベルを表す。当該ケーブルシステムは、第一実施形態又は第二実施形態の技術を適用して、光増幅によりプローブ光及び後方散乱光(本実施形態の説明ではこれらをまとめてセンシング光と称する)の減衰を補償するものである。光増幅中継によりセンシング光の減衰が補償されるため、光増幅中継装置を通過するとノイズレベルは下がる。しかしながら、ノイズのレベルは、原理上、送信端で得られていたレベルにまでは回復しない。そのため光増幅中継の回数が増えるに従い、すなわちITGから遠ざかるに従い、ノイズレベルは次第に上昇する。そして十分なセンシング精度を得るために下回るべきノイズレベル閾値を超える中継区間が現れる。
【0105】
1つの中継区間の中で最もノイズレベルが高くなるのは、プローブ光が光増幅中継装置に入る手前の箇所である。なぜなら、プローブ光は、光増幅中継装置に入る手前の箇所において伝送損失により最も弱くなり、加えて、その弱まったプローブ光から生じた後方散乱光も、光増幅器まで最も遠い箇所であるため、最も大きな伝送損失を被るためである。その結果、その箇所からノイズ光の蓄積による光SN比の劣化現象が拡大していくのである。
【0106】
ただし、このような現象が起きても、1つの中継区間の中で、プローブ光が光増幅中継装置から出た直後の箇所は、ノイズレベルが低いため、モニタできる。
【0107】
そこで本実施形態では、このようにノイズレベルが増加してモニタできない区間を、「モニタ不能区間」と判別し、設定して、ノイズで覆われたデータを出力しないようにする。一方、モニタできる区間から得られたセンシングデータは引き続き出力する。
【0108】
「モニタ不能区間」のデータを出力しない、ということの具体的な実施形態としては様々な周知の手法が適用可能である。例えば、「モニタ不能区間」のデータであることを意味する特殊なデータ値を予め定めておき、その値で当該区間の出力データを埋める。あるいは、センシングデータとして数値データに加えて属性値も備える複合的なデータ要素形式としておき、「モニタ不能区間」のデータであることを意味する属性値をセットする。あるいは、センシングデータとは別にケーブル距離に対するデータの有効無効を記録したデータを、センシングデータと常に組にして持つこととしておき、「モニタ不能区間」の位置と範囲の情報をデータと一体化して持つ、などの手法がある。
【0109】
ここで例として挙げた手法では、「モニタ不能区間」の範囲が増減しても、時間当たり出力されるデータ量が変わらないという特長がある。無効データであることを示す属性情報を付加して出力することは、受け側がそれを実質的に受け取らないので、実質的に出力しないことと同じである。
条件や時間によって時間当たりの出力データ量が増減することはデータ処理や通信において負担となるため、無効データであっても無効の属性を付けたうえでデータ出力し、時間当たり出力されるデータ量は一定で変わらない方が好まれることが多い。
【0110】
「モニタ不能区間」の判別に用いる情報としては、ノイズレベルが利用できる。例えば、ケーブルの置かれている場所の振動をセンシングしている場合に、振動を受けているわけではないのに常に振動が現れているのはノイズであって実際の振動ではないので区別が可能である。
【0111】
また、「モニタ不能区間」の判別には、定性的な傾向も利用できる。当該定性的な傾向とは、例えば、プローブ光の光増幅中継装置の入り口付近が「モニタ不能区間」の始点となりやすい箇所であり、ITGから遠くなるほど、プローブ光の経路上の上流側に向かって「モニタ不能区間」が広がっていくことである。
【0112】
なお、上記の「モニタ不能区間」の判別動作は、例えば、ITGに備えられるコンピュータの処理部において行われるものである。
【0113】
[効果]
ITGから離れると、いずれ1つの中継区間に占める「モニタ不能区間」の割合が増えて、モニタする価値がなくなる。その場合には、第三実施形態の方法を用いてセンシング光を遮断すればよい。
【0114】
そこで、もし、本実施形態の技術を用いない場合は、「モニタ不能区間」が少しでも生じている区間から先のセンシング光を遮断し、まだ有効な区間からのデータも切り捨てねばならない。なぜならばノイズレベルが閾値を超えた区間からは、実際の環境情報とは無関係なセンシングデータが現れて、それを基にした分析システムや警報システムなどが誤動作する恐れが高いためである。
【0115】
本実施形態の内容を用いれば、まだ残されている、モニタできる区間からの情報を利用することが可能になる。
【0116】
<変形例>
以下の説明においては、一般的に知られた技術知識に基づく変形例をいくつか挙げる。
【0117】
光信号をその進行方向によって分離する光素子として、第一の実施形態ではカプラ(とアイソレータ)、第二の実施形態ではサーキュレータを用いたが、これらは入れ替えられても良い。また、サーキュレータは、光増幅器の入出力に必要となるアイソレータと兼用させても良い。その場合は、コスト低減に加えて、光部品の挿入損失を減らす効果が期待できる。
【0118】
実施形態では進行方向が同一の光信号を合波する光素子としてカプラ(方向性光結合器)を用いた。これは波長依存性がないものとして説明したが、合波する互いの波長帯が異なるので、波長選択カプラを用いても良い。
【0119】
光フィルタの実現方法としては、誘電体多層膜、FBG(Fiber Bragg Grating)などが知られており、形態として、透過型、反射型があることが知られている。またフィルタ形状(通過中心波長、通過帯域幅など)を可変できる光フィルタも知られている。実施形態の技術の実施には、それらのうちのいずれを適用しても良い。
【0120】
光増幅中継装置内部に備えるプローブ光又は後方散乱光用の光増幅器の実現方法としては、背景技術の項において述べた光ファイバ型増幅器(EDFA)や半導体光増幅器(SOA)、集中ラマン増幅器などがある。そして、光増幅の手段であればいずれが用いられても良い。
【0121】
光増幅中継装置内に備える、実施形態の技術で用いた合分波部品は、OTDRによる線路健全性監視のための合分波部品と兼ねても良い。
【0122】
以上の実施形態の説明においては、実施形態の技術の適用先はケーブルに挿入された光増幅中継装置で説明した。これは煩雑な説明を避けるためであるが、OTDRによる線路健全性監視手法と同様に、端局におけるケーブルと接続される光増幅装置にも適用されるべきことは言うまでもない。
【0123】
以上、実施形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0124】
例えばここで示したネットワーク構成はpoint-to-pointのリンクであったが、分岐が含まれるより複雑なネットワーク構成においても同様に実施できる。
【0125】
なお、以上の説明においては、実施形態の光ケーブルは、海底ケーブルであっても陸上に設置される光ケーブルであっても構わない。光ケーブルの設置場所は任意である。
【0126】
また、以上の説明においては、実施形態のケーブルは、光ファイバ心線を主たる構成要素とした光ファイバケーブルで説明した。しかしながら、例えば銅線を主たる構成要素とした送電ケーブルに光ファイバ心線が副構成要素として含まれているケーブルでも、同様に本技術を適用して、効果を得ることができる。
【0127】
図14は、実施形態の増幅装置の最小限の構成であるケーブルシステム10xの構成を表すブロック図である。ケーブルシステム10xは、光増幅中継装置3xを備える。光増幅中継装置3xは、光増幅部3cxを備える。光増幅部3cxは、第一の増幅器3axと第二の増幅器3bxとを備える。
【0128】
光増幅中継装置3xは、複数の光ファイバ心線を備えたケーブルを、ケーブル周囲環境の光ファイバセンシングに用いるケーブルシステムである。光増幅中継装置3xは、前記光ファイバ心線の損失を含む伝送損失を補償する光増幅中継装置を備える。
【0129】
前記光ファイバセンシングは、前記光ファイバセンシングに用いられる送出光であるプローブ光を、前記光ファイバ心線を伝送させ、前記プローブ光についての前記光ファイバ心線からの後方散乱光を受光して分析するものである。
【0130】
前記ケーブルの少なくとも一端には、前記光ファイバセンシングを行うセンシング用送受信装置が接続されている。また、前記ケーブルの端には、前記光ファイバ通信を行うための送受信装置が接続されていてもよい。
【0131】
前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線においては、第一波長帯と第二波長帯とが、互いに異なるように構成されている。ここで、前記第一波長帯は、前記センシング以外の用途に用いられる光信号の波長である。また、前記第二波長帯は、前記プローブ光及び前記後方散乱光の波長である。
【0132】
前記光ファイバセンシングの機能を持つ前記光ファイバ心線の中継増幅を行う、前記光増幅中継装置に備えられる光増幅部は、互いに反対向きの光を増幅する、第一の増幅器と第二の増幅器とを備える。
【0133】
前記プローブ光及び前記後方散乱光のいずれもが、前記第一の増幅器及び前記第二の増幅器のうちの少なくとも一方により増幅される。
【0134】
そのため、光増幅中継装置3xは、前記プローブ光及び前記戻り光のいずれについても増幅中継することが可能である。従い、光増幅中継装置3xは、光ファイバセンシングとを行うケーブルシステムにおける光増幅中継を可能にする。
【0135】
そのため、ケーブルシステム10xは、光ファイバセンシングシステムに光増幅中継装置を適用してセンシング範囲を伸ばすことを可能にする。また、ケーブルシステム10xは、さらに、光増幅中継装置を用いて長距離通信を実現している光通信システムと光ファイバセンシングシステムが共存したケーブルシステムを提供する。
【0136】
そのため、ケーブルシステム10xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0137】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0138】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
複数の光ファイバ心線を備えたケーブルを、光ファイバ通信及びケーブル周囲環境の光ファイバセンシングに用いるケーブルシステムであって、
前記光ファイバ心線の損失を補償する光増幅中継装置を備え、
前記光ファイバセンシングは、前記光ファイバセンシングに用いられる送出光であるプローブ光を、前記光ファイバ心線を伝送させ、前記プローブ光についての前記光ファイバ心線からの後方散乱光を受光して分析するものであり、
前記ケーブルの端には、前記光ファイバ通信を行うための送受信装置が接続され、
また前記ケーブルの少なくとも一端には、前記光ファイバセンシングを行うセンシング用送受信装置が接続され、
前記光ファイバ通信は、前記光ファイバ心線の対である光ファイバ心線対を用いた対向通信であり、
前記光ファイバ通信と前記光ファイバセンシングの両機能を持つ前記光ファイバ心線においては、
前記光ファイバ通信に用いられる光信号である通信用光信号の波長である第一波長帯と、前記プローブ光及び前記後方散乱光の波長である第二波長帯とが、互いに異なるように構成されており、
前記光ファイバ通信と前記光ファイバセンシングの両機能を持つ前記光ファイバ心線の中継増幅を行う、前記光増幅中継装置に備えられる光増幅部は、互いに反対向きの光を増幅する、第一の増幅部と第二の増幅部とを備え、
前記通信用光信号、前記プローブ光及び前記後方散乱光のいずれもが、前記第一の増幅部及び前記第二の増幅部のうちの少なくとも一方により増幅される、
ケーブルシステム。
(付記2)
前記光ファイバセンシングに用いる前記光ファイバ心線の数は、前記ケーブルに備えられる全ての前記光ファイバ心線の数より少なく、前記光ファイバセンシングに用いる心線に接続された光増幅部は、備えられている全光増幅部数より少ない、付記1に記載されたケーブルシステム。
(付記3)
前記光ファイバ通信と前記光ファイバセンシングの両機能を持つ前記光ファイバ心線において、
前記プローブ光及び前記後方散乱光は一心の前記光ファイバ心線を一心双方向伝送されており、一心双方向構成の光増幅中継装置を用いて増幅中継伝送されており、
さらに、前記プローブ光は、前記通信用光信号と逆向きに伝送する、
付記1又は付記2に記載されたケーブルシステム。
(付記4)
遠隔操作により、前記プローブ光又は前記後方散乱光の伝達を阻止する、伝達阻止部をさらに備える、付記3に記載されたケーブルシステム。
(付記5)
前記阻止は、前記センシング用光信号又は前記後方散乱光を増幅する光増幅器の励起の停止により行われる、付記4に記載されたケーブルシステム。
(付記6)
前記センシング用送受信装置が直接に接続される、光通信を行うための構成要素が備える光増幅器は、前記プローブ光のための一心双方向型の光増幅器である、付記3に記載されたケーブルシステム。
(付記7)
前記光ファイバ通信と前記光ファイバセンシングの両機能を持つ前記光ファイバ心線においては、前記プローブ光とその前記プローブ光についての前記後方散乱光は、それぞれ前記通信用光信号と並進して伝送されるように構成されており、
当該光ファイバ心線対を伝送する光を増幅する前記光増幅中継装置において、前記後方散乱光を、前記光ファイバ心線対の他方の前記光ファイバ心線に合波させる光経路を備え、
前記光経路は、通過する前記後方散乱光の波長帯を選択し、増幅する光増幅器及び光フィルタを備える、付記1に記載されたケーブルシステム。
(付記8)
前記センシング用送受信装置が直接に接続される、光通信を行うための構成要素が備える光増幅器に、前記光経路が設けられている、付記7に記載されたケーブルシステム。
(付記9)
遠隔操作により、前記プローブ光又は前記後方散乱光の伝達を阻止する、伝達阻止部をさらに備える、付記7又は付記8に記載されたケーブルシステム。
(付記10)
前記阻止は、前記プローブ光又は前記後方散乱光を増幅する前記光増幅器の励起の停止により行われる、付記9に記載されたケーブルシステム。
(付記11)
付記7乃至付記10のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステムであり、
前記複数の前記光ファイバ心線対のうちの一対の前記光ファイバ心線対に対して、互いに異なる波長の前記プローブ光を送出する送信部と当該プローブ光についての前記後方散乱光を受信する受信部とを備える前記センシング用送受信装置が接続されている、ケーブルシステム。
(付記12)
付記7乃至10のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステムであり、
前記複数の前記光ファイバ心線対に含まれる互いに異なる前記光ファイバ心線対に、同じ波長の前記プローブ光を送出する送信部と当該プローブ光についての前記後方散乱光を受信する受信部とを備える前記センシング用送受信装置が接続されている、ケーブルシステム。
(付記13)
処理部を備える前記センシング用送受信装置をさらに備え、
前記処理部は、前記分析を行うとともに、前記分析がされたデータが前記ケーブルの周囲環境情報を表すものとして妥当か否かを判定し、前記否の判定がされた前記データに所定の属性情報を付加するか、又は、前記否の判定がされた前記データを出力しない、付記1乃至付記12のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記14)
前記処理部は、前記判定を前記受光した前記後方散乱光の、信号レベル、ノイズレベル、signal to noise ratio、のうちの少なくともいずれかにより行う、付記13に記載されたケーブルシステム。
(付記15)
複数の光ファイバ心線を備えたケーブルを、光ファイバ通信及びケーブル周囲環境の光ファイバセンシングに用いるケーブルシステムにおいて、前記光ファイバ心線の損失を光増幅器によって増幅中継する中継装置であり、
前記光ファイバセンシングは、前記光ファイバセンシングに用いられる送出光であるプローブ光を、前記光ファイバ心線を伝送させ、前記プローブ光についての前記光ファイバ心線からの後方散乱光を分析するものであり、
前記光ファイバ通信に用いられる光信号である通信用光信号の波長である第一波長帯と、前記プローブ光及び前記後方散乱光の波長である第二波長帯とは、互いに異なり、
第一の増幅部と第二の増幅部とを備え、
前記通信用光信号、前記プローブ光及び前記後方散乱光のいずれもが、前記第一の増幅部及び前記第二の増幅部のうちの少なくとも一方により増幅される、
光増幅中継装置。
(付記16)
前記ケーブル内の前記複数の前記光ファイバ心線のうちの一心の増幅器は一心双方向光増幅器である、
付記15に記載された光増幅中継装置。
(付記17)
遠隔操作により、前記プローブ光又は前記後方散乱光の伝達を阻止する、伝達阻止部をさらに備える、付記16に記載された光増幅中継装置。
(付記18)
前記阻止は、前記プローブ光を増幅する前記光増幅器の励起の停止により行われる、付記17に記載された光増幅中継装置。
(付記19)
遠隔操作により、前記プローブ光の通過及び遮断を切り替える切替部をさらに備える、付記16に記載された光増幅中継装置。
(付記20)
前記通過及び前記遮断の切替えは、前記プローブ光を増幅する前記光増幅器の励起の有無により行われる、付記19に記載された光増幅中継装置。
(付記21)
前記ケーブルシステムは、二心の前記光ファイバ心線を一対として対向伝送する光ファイバペアを一対以上備えたものであり、
当該プローブ光についての前記後方散乱光を、前記一対の他方の前記光ファイバ心線に合波させる光経路を備え、
前記光経路は、通過する前記後方散乱光の波長帯を選択し、増幅する光増幅器及び光フィルタを備える、付記15に記載された光増幅中継装置。
(付記22)
遠隔操作により、前記プローブ光又は前記後方散乱光の伝達を阻止する、伝達阻止部をさらに備える、付記21に記載された光増幅中継装置。
(付記23)
前記阻止は、前記プローブ光を増幅する前記光増幅器の励起の停止により行われる、付記22に記載された光増幅中継装置。
(付記24)
遠隔操作により、前記後方散乱光の通過及び遮断を切り替える切替部をさらに備える、付記7に記載されたケーブルシステム。
(付記25)
前記通過及び前記遮断の切替えは、前記後方散乱光を増幅する前記光増幅器の励起の有無により行われる、付記24に記載されたケーブルシステム。
(付記26)
前記ケーブルをさらに備え、
前記分析を行う端局装置と前記端局装置から最初の前記光増幅中継装置との間、又は、前記端局装置の内部に、前記光ファイバ心線からなる光ファイバペアの一方の前記光ファイバ心線の第一の光を当該光ファイバペアの他の前記光ファイバ心線の第二の光に合波するための光合波経路が設けられている、付記1乃至付記14のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記27)
前記ケーブルをさらに備え、
前記複数の前記光ファイバ心線を備える前記ケーブルにおいて、前記プローブ光及び当該プローブ光についての前記後方散乱光を増幅中継伝送する前記光ファイバ心線の数は、前記ケーブルに含まれる光ファイバ心線数未満である、付記1乃至付記14のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記28)
前記ケーブルをさらに備え、
前記ケーブルは前記光ファイバ心線からなる光ファイバペアを複数備え、前記ケーブルの端部に、互いに異なる波長の前記プローブ光を送出する送信部と当該プローブ光についての前記後方散乱光を受信する受信部とを備えるセンシング用送受信装置が接続されている、
付記1乃至付記14のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記29)
前記センシング用送受信装置をさらに備える付記28に記載されたケーブルシステム。
(付記30)
前記ケーブルをさらに備え、
一本の前記光ファイバ心線を前記通信用光信号と前記プローブ光とを互いに逆向きに伝送する、
付記2乃至付記6のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記31)
前記ケーブルをさらに備え、
前記ケーブルは前記光ファイバペアを複数備え、前記ケーブルの複数の端部に、同じ波長の前記プローブ光を送出する送信部と当該プローブ光についての前記後方散乱光を受信する受信部とを備えるセンシング用送受信装置が接続されており、
前記端部の各々において前記センシング用送受信装置が接続される前記光ファイバペアを互いに異ならせた、
付記7乃至付記11のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記32)
前記センシング用送受信装置をさらに備える付記31に記載されたケーブルシステム。
(付記33)
前記分析を行うとともに、前記分析が困難な前記ケーブルの区間を特定する、処理部をさらに備える、付記26乃至付記32のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
(付記34)
前記処理部は、前記特定を前記後方散乱光の、信号レベル、ノイズレベル、signal to noise ratio及び前記光増幅中継装置の近傍であるか否かの別、のうちの少なくともいずれかにより行う、付記33に記載されたケーブルシステム。
(付記35)
前記処理部は、前記分析が困難な前記ケーブルの区間については前記分析を行わない、付記33又は付記34に記載されたケーブルシステム。
(付記36)
前記処理部は、前記特定した前記区間に、前記ケーブルの前記分析ができた他区間の分析結果を適用する、付記33乃至付記35のうちのいずれか一に記載されたケーブルシステム。
【0139】
なお、付記1の前記光ファイバ心線は、例えば、図4の光ファイバ心線4141又は図6の光ファイバ心線4141及び4142、である。前記光ファイバ心線は、あるいは、例えば、図8の光ファイバ心線4131、4132、4141及び4142、図10の光ファイバ心線4141、又は、図11の光ファイバ心線4141及び4142である。
【0140】
また、前記ケーブルは、例えば、図2又は図5の光ケーブル21である。また、前記ケーブルシステムは、例えば、図2又は図5のケーブルシステム10である。
また、前記光増幅中継装置は、例えば、図2又は図5に表される光増幅中継装置31、32、3(n-1)又は3nである。また、前記光増幅部は、図2に表される光増幅部314、324、3(n-1)4又は3n4、又は、図4に表される光増幅中継装置3(n-1)4又は3n4である。
【0141】
また、付記17、付記19及び付記20の光増幅中継装置は、例えば、図10に表される光増幅部3n4である。また、付記18の光増幅装置は、前述の光増幅器の励起を停止させる構成を備える光増幅装置である。
【0142】
また、付記21の光増幅中継装置は、例えば、図6又は図9に表される光増幅部314である。また、付記22の光増幅中継装置は、例えば、図11に表される光増幅部314である。
【0143】
また、前記プローブ光は、例えば、前述のプローブ光又はprobeパルス光である。また、前記後方散乱光は、例えば、前述のレイリー後方散乱光又は後方散乱光である。
【0144】
また、前記分析は、例えば、図2図4図5図6図8又は図9のITG119又は129において行われる、受信された前記後方散乱光の分析である。また、前記送受信装置は、例えば、図2図4図5図6図8又は図9の、トランスポンダ群111又は121、図6又は図9のトランスポンダ群118又は128、又は、図8のトランスポンダ群116、118、127又は128、あるいは、これらのトランスポンダ群に含まれるトランスポンダである。
【0145】
また、前記センシング用送受信装置は、例えば、図2図4図5図6図8又は図9のITG119又は129である。また、前記光ファイバ心線対は、例えば、図2図5図6の、図8又は図9の、ファイバペア411、412、413又は414である。また、前記第一波長帯は、例えば、図3又は図7に表される波長多重主信号(通信用光信号)の波長帯である。
また、前記第二波長帯は、例えば、図3又は図7に表されるプローブ光の波長帯である。
【0146】
また、前記第一の増幅器は、例えば、図4に表される光増幅器3n42及び3n43のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m2及び3m5のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m21及び3m5のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m32及び3m4のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図11に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの一方である。
【0147】
また、前記第二の増幅器は、例えば、図4に表される光増幅器3n42及び3n43のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m2及び3m5のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m21及び3m5のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m32及び3m4のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図11に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの前記第一の増幅器でない方である。
【0148】
また、付記2のケーブルシステムは、例えば、図2又は図5のケーブルシステム10である。
【0149】
また、付記3のケーブルシステムは、例えば、図2のケーブルシステム10、図4の部分901を含むケーブルシステム、又は、図10の構成を含むケーブルシステムである。
【0150】
また、付記4のケーブルシステムは、例えば、図10の構成を含むケーブルシステムである。
【0151】
また、付記5のケーブルシステムは、例えば、前述の光増幅器の励起を停止させる構成を備えるケーブルシステムである。
【0152】
また、付記6のケーブルシステムは、例えば、図2のケーブルシステム10、図4の部分901を含むケーブルシステム、又は、図10の構成を含むケーブルシステムである。 また、付記7のケーブルシステムは、例えば、図5のケーブルシステム10、又は、図6の部分902を含むケーブルシステムである。
【0153】
また、付記8のケーブルシステムは、例えば、図6の部分902を備えるケーブルシステムである。
【0154】
また、付記9のケーブルシステムは、例えば、図11の構成を備えるケーブルシステムである。
【0155】
また、付記10のケーブルシステムは、例えば、前述の光増幅器の励起を停止させる構成を備えるケーブルシステムである。
【0156】
また、付記11のケーブルシステムは、例えば、図5のケーブルシステム10、又は、図6の部分902を含むケーブルシステムである。
【0157】
また、付記12のケーブルシステムは、例えば、図8の部分902を備えるケーブルシステムである。
【0158】
また、付記13及び付記14のケーブルシステムは、例えば、第四実施形態で説明された動作を行うITGを備えるケーブルシステム10である。
【0159】
また、付記15の前記光ファイバ心線は、例えば、図4の光ファイバ心線4141又は図6の光ファイバ心線4141及び4142、である。前記光ファイバ心線は、あるいは、例えば、図8の光ファイバ心線4131、4132、4141及び4142、図10の光ファイバ心線4141、又は、図11の光ファイバ心線4141及び4142である。
【0160】
また、前記ケーブルは、例えば、図2又は図5の光ケーブル21である。また、前記ケーブルシステムは、例えば、図2又は図5のケーブルシステム10である。また、前記プローブ光は、例えば、前述のプローブ光又はprobeパルス光である。
【0161】
また、前記後方散乱光は、例えば、前述のレイリー後方散乱戻り光又は後方散乱光である。また、前記通信用光信号は、例えば、前述の通信用光信号である。また、前記第一波長帯は、例えば、図3又は図7に表される波長多重主信号(通信用光信号)の波長帯である。また、前記第二波長帯は、例えば、図3又は図7に表されるプローブ光の波長帯である。
【0162】
また、前記第一の増幅器は、例えば、図4に表される光増幅器3n42及び3n43のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m2及び3m5のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m21及び3m5のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m32及び3m4のうちの一方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図11に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの一方である。
【0163】
また、前記第二の増幅器は、例えば、図4に表される光増幅器3n42及び3n43のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m2及び3m5のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図6に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m21及び3m5のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第一の増幅器は、あるいは、例えば、図8に表される光増幅器3m32及び3m4のうちの前記第一の増幅器でない方である。前記第二の増幅器は、あるいは、例えば、図11に表される光増幅器3m3及び3m4のうちの前記第一の増幅器でない方である。
【0164】
また、付記16の光増幅中継装置は、例えば、図2に表される光増幅部314、324、3(n-1)4又は3n4、又は、図4に表される光増幅中継装置3(n-1)4又は3n4である。また、付記17、付記19及び付記20の光増幅中継装置は、例えば、図10に表される光増幅部3n4である。また、付記18の光増幅装置は、前述の光増幅器の励起を停止させる構成を備える光増幅装置である。
【0165】
また、付記21の光増幅中継装置は、例えば、図6又は図9に表される光増幅部314である。
【0166】
また、付記23の光増幅中継装置は、前述の光増幅器の励起を停止させる構成を備える光増幅中継装置である。
【0167】
また、付記24及び付記25のケーブルシステムは、前述の、後方散乱光の通過及び遮断を切り替える構成を備えるケーブルシステムである。
【0168】
また、付記26のケーブルシステムは、例えば、図4又は図6に表す構成を備えるケーブルシステムである。
【0169】
また、付記27のケーブルシステムは、例えば、図2又は図5に表すケーブルシステム10である。また、付記28及び付記29のケーブルシステムは、例えば、図2に表すケーブルシステム10である。また、付記30のケーブルシステムは、例えば、図2に表すケーブルシステム10である。また、付記31及び付記32のケーブルシステムは、例えば、図8に表すケーブルシステム10である。
【0170】
また、付記33乃至付記36のケーブルシステムは、例えば、第四実施形態で説明された動作を行うITGを備えるケーブルシステム10である。
【0171】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0172】
この出願は、2019年11月18日に出願された日本出願特願2019-203272を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0173】
1、2 光ファイバ区間
10 ケーブルシステム
11、12 端局装置
111、116、118、121、127、128 トランスポンダ群
112、122 波長多重分離器
117、119、129 ITG
1191、1291 送信部
1192、1292 受信部
1186、1187、133a、133b、3m8、3m9、3m10、3m11、3m31、91、92、93、94、95、96 カプラ
134a、134b、16 波長選択カプラ
21 光ケーブル
31、32、3(n-1)、3n 光増幅中継装置
314、324、3(n-1)4、3n4、3x 光増幅部
3ax 第一の増幅器
3bx 第二の増幅器
1183、1184、1281、1284、3m2、3m3、3m4、3m5、3m21、3m22、3m32、3n42、3n43 光増幅器
1182、1282、3m6、3m7、3n44 フィルタ
3m12、3m13、3m16、3n47 スイッチ
1283、3m15、3n45、3n46 サーキュレータ
411、412、413、414 ファイバペア(FP)
4141、4142 光ファイバ心線
71、72 光ファイバ
81、82 光増幅器
901、902 部分
図1
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