(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】光ネットワーク管理装置
(51)【国際特許分類】
H04J 14/02 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H04J14/02 198
(21)【出願番号】P 2022027531
(22)【出願日】2022-02-25
(62)【分割の表示】P 2021037894の分割
【原出願日】2016-03-18
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2015065717
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/エラスティック光通信ネットワーク構成技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
(72)【発明者】
【氏名】田島 章雄
(72)【発明者】
【氏名】竹下 仁士
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 慎介
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-143614(JP,A)
【文献】特開2014-192642(JP,A)
【文献】特開2015-019289(JP,A)
【文献】FUJISAWA S. et al.,Utilization of spectrum slot fragmentation to improve network resource efficiency on elastic optical network,2015 Optical Fiber Communications Conference and Exhibition (OFC),米国,Optical Society of America,2015年03月,Th2A.45
【文献】関屋 元義 他,運用中の光ネットワーク資源の利用効率を高める波長デフラグメンテ-ション技術,FUJITSU,第64巻,第5号,2013年09月,p.564-572
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上のクライアント信号のデータ変動の通知を受け付ける受信部と、
前記ネットワークにおける光サブキャリアの未使用部分の個片化を低減させる制御を行う制御部、とを備え、
前記制御部は、
受け付けた前記データ変動に応じて、前記クライアント信号の伝送に使用する前記光サブキャリアである運用光サブキャリアを、光送信ノードと光受信ノードとで同期して変更させ、
変更後の前記運用光サブキャリアに、前記クライアント信号を、前記運用光サブキャリアの変更に同期してマッピングさせ、
前記クライアント信号のマッピング条件を、前記光送信ノードと前記光受信ノードとで同期して更新する
光ネットワーク管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記運用光サブキャリアのうち、運用を停止する変更候補光サブキャリアを選定する制御と、
変更により前記運用光サブキャリアとなる変更後光サブキャリアの波長を設定する制御、
との各結果に基づいて、前記運用光サブキャリアを変更する制御を行う
請求項1に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光サブキャリアのうち、前記変更候補光サブキャリア以外の前記光サブキャリアに、前記クライアント信号をマッピングする制御を行う
請求項2に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記変更候補光サブキャリアを選定する制御、および、前記変更後光サブキャリアの波長を設定する制御において、リンクの個数が最小である前記運用光サブキャリアから制御を開始する
請求項2に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記光サブキャリアのうち、同一波長帯で隣接するリンクの未使用光サブキャリアの連続数が最大となる光サブキャリアを、前記変更候補光サブキャリアに選定する
請求項2または3に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記未使用光サブキャリアの連続数が同一である場合、隣接する波長帯の光サブキャリアのうち、未使用の光サブキャリア数が最大となる光サブキャリアを、前記変更候補光サブキャリアに選定する
請求項5に記載した光ネットワーク管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、同一波長帯で隣接するリンクにおける使用中の光サブキャリア数が最大となる前記変更後光サブキャリアの波長に、前記変更後光サブキャリアの波長を設定する
請求項2に記載した光ネットワーク管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ネットワーク管理装置に関し、特に、マルチキャリア伝送方式による光ネットワーク管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高機能端末等の急速な普及に加え、ビデオストリーミングサービスに代表される動画コンテンツのサービスが急速に増加していることから、ネットワーク内の伝送容量が急激に拡大している。
【0003】
このような背景のもと、近年、通信キャリアのネットワークに、複数の階層で構成された多階層ネットワークを導入することが検討されている。多階層ネットワークの一例として、上位階層のパケットネットワークと下位階層の光ネットワークを組み合わせた構成がある。ここで、サービスネットワークとして階層化された隣接する階層の内、相対的に上位に位置するネットワークを上位階層、相対的に下位に位置するネットワークを下位階層と呼んでいる。
【0004】
上位階層のネットワークは、例えばIP(Internet Protocol)やMPLS(Multi-Protocol Label Switching)によるネットワークである。IPネットワークは統計多重効果によりネットワークのリソースを効率的に使用できるという特徴がある。一方、下位階層のネットワークである光ネットワークは長距離・大容量伝送に適している。一般に、ネットワークはこれらの階層ごとに独立に制御される。しかし、この2種類のネットワーク階層を統合してトラフィック需要に対して効率的に制御することにより、ネットワークのリソース使用効率を最大化し、運用コストを低減させることが期待されている。
【0005】
上述した多階層ネットワークの導入に加えて、増大するトラフィック需要に対応するため、新しい光ネットワークの概念やネットワークの運用方法を導入することが検討されている。このような例として、エラスティックネットワーク技術およびダイナミックなネットワークの運用技術がある。
【0006】
下位階層の光ネットワークにおいては、ネットワークをより柔軟に活用することが可能なエラスティックネットワーク技術の導入が進んでいる。エラスティックネットワーク技術とは、従来は固定的であった光レイヤにおける変調方式を可変にすることによって、伝送距離とその伝送スループットに対して最小限の周波数帯域で伝送することを可能とする技術である。これにより、光ファイバ内の波長リソースなどの光ネットワークのリソースの利用効率を最大化することが可能である。また、エラスティックネットワーク技術の最大の特徴は、従来の100GHzや50GHzといった固定グリッドではなく、12.5GHzという粒度の細かい周波数スロットの概念を導入することにより、光レイヤの伝送粒度を向上させることができる点にある。これにより、光レイヤにおいて複数の光キャリアなど複数の物理媒体で伝送するマルチキャリア伝送方式が今後主流になると考えられている。
【0007】
ネットワークの運用技術に関しては、従来は固定的なネットワークの運用であったが、ネットワークを動的に運用することが期待されている。この背景には、ネットワークに収容するクライアントのトラフィックの変動量が増大していることがある。そして、光ネットワークをダイナミックに運用することによって、ネットワークの使用効率を向上させることができると期待されている。
【0008】
しかしながら、上術したエラスティックネットワーク技術とネットワークのダイナミックな運用技術の導入によって、波長帯域のフラグが発生することが指摘されている。このため、エラスティックネットワーク技術を導入することによってネットワーク全体の収容効率が向上しても、波長フラグの発生により長距離ルートのパスが同一波長では確保できないという問題が生じる。ここでフラグとは、光ネットワークを構成する各リンクの波長利用状況において、未使用波長領域が個片化した状態を言う。この波長フラグを解消する技術として波長デフラグメンテーション技術がある。波長デフラグメンテーション技術は、一般的には、光ネットワーク内の特定のリンクを占有している波長を他の波長に移設することにより、波長利用の効率化を図る技術である。
【0009】
このような波長デフラグメンテーション技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された関連する周波数割当装置は、光信号の始点と終点を結ぶ経路および周波数を選択する装置であって、経路・周波数計算結果記憶手段、共通空き周波数情報生成手段、空き周波数状態評価手段、および周波数・経路決定手段を有する。
【0010】
経路・周波数計算結果記憶手段は経路・周波数結果を格納する。共通空き周波数情報生成手段は、互いに接続されるファイバグループを抽出し、抽出したファイバグループのそれぞれの空き周波数状態を表す論理情報について、論理演算することで、ファイバ間共通の空き周波数状態についての論理情報を生成する。空き周波数状態評価手段は、生成したファイバ間共通の空き周波数数情報を基に、ファイバ間共通の空き周波数状態に対して、空き周波数の連続性を加味して空き周波数状態に評価値を与える。そして、周波数・経路決定手段は、空き周波数状態評価手段で算出した評価値を基準として、通信路として設定する周波数と通過ファイバを決定し、経路・周波数計算結果記憶手段に格納する。
【0011】
このような構成とすることにより、特許文献1に記載された周波数割当装置によれば、トランスペアレント型光パス網におけるフラグメンテーションの発生を効果的に抑制し、波長(周波数)リソースの利用効率を最適化することができる、としている。
【0012】
また、関連技術としては、特許文献2~4に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2012/057095号
【文献】国際公開第2010/032844号
【文献】特表2006-513672号公報
【文献】特開2006-060571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した関連する周波数割当装置は、トラヒック転送要求を受けて、ネットワーク上の経路を決定し、さらに決定した経路にわたって波長を割り当てる装置である。すなわち、ネットワークの初期設定時においてフラグメンテーションの発生を抑制するように周波数を割り当てる装置である。
【0015】
しかし、ネットワークの運用中にこのような周波数の割り当てを実施すると、ネットワークの瞬断が発生し、データが欠損するという問題が生じる。
【0016】
このように、光ネットワークの運用中に波長デフラグメンテーションを行うと、ネットワークの瞬断が発生し、データが欠損するという問題があった。
【0017】
本発明の目的は、上述した課題である、光ネットワークの運用中に波長デフラグメンテーションを行うと、ネットワークの瞬断が発生し、データが欠損する、という課題を解決する光ネットワーク管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の光ネットワーク管理装置は、ネットワーク上のクライアント信号のデータ変動の通知を受け付ける受信部と、ネットワークにおける光サブキャリアの未使用部分の個片化を低減させる制御を行う制御部、とを備え、制御部は、受け付けたデータ変動に応じて、クライアント信号の伝送に使用する光サブキャリアである運用光サブキャリアを、光送信ノードと光受信ノードとで同期して変更させ、変更後の運用光サブキャリアに、クライアント信号を、運用光サブキャリアの変更に同期してマッピングさせる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光ネットワーク管理装置によれば、光ネットワークの運用中であっても、ネットワークの瞬断によるデータの欠損を生じることなく、波長デフラグメンテーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワーク制御方法を説明するための、各リンクにおける運用光サブキャリアを示す図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワーク制御方法を説明するための、運用光サブキャリアとクライアント信号のスループット量の時間変化を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワークシステムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワークシステムを構成する光ノード装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワークシステムの動作を説明するための、ネットワークトポロジーを示す図である。
【
図5A】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワークシステムにおける波長デフラグメンテーションを行う前の波長利用状況を示す図である。
【
図5B】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワークシステムにおける波長デフラグメンテーションを行った後の波長利用状況を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る光ネットワークシステムが備えるネットワーク管理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7A】本発明の第2の実施形態に係る光ネットワークシステムにおいて、光サブキャリアの運用停止前の波長利用状況を示す図である。
【
図7B】本発明の第2の実施形態に係る光ネットワークシステムにおいて、光サブキャリアの運用停止後の波長利用状況を示す図である。
【
図7C】本発明の第2の実施形態に係る光ネットワークシステムにおいて、光サブキャリアの再稼働後の波長利用状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0022】
〔第1の実施形態〕
本実施形態による光ネットワーク制御方法について説明する。本実施形態による光ネットワーク制御方法においては、まず、複数の光サブキャリアを用いて伝送するクライアント信号のデータ量を監視する。そして、このデータ量の変動に応じて、光サブキャリア変更処理と再マッピング処理とを、同期して行う。ここで、光サブキャリア変更処理は、複数の光サブキャリアのうち、クライアント信号を伝送するために用いる運用光サブキャリアを変更する処理である。再マッピング処理は、クライアント信号を変更後の運用光サブキャリアにマッピングし直す処理である。
【0023】
次に、
図1Aおよび
図1Bを用いて、本実施形態による光ネットワーク制御方法について具体的に説明する。
図1Aは、各リンクにおける運用光サブキャリアを示す図であり、
図1Bは、運用光サブキャリアとクライアント信号のスループット量の時間変化を示す図である。
【0024】
初期状態においては、ノードAとノードBとの間のリンクが、4種の光サブキャリア波長(λ1、λ2、λ3、λ4)を有する光マルチキャリアにより運用されているものとする。また、ノードBとノードCとの間のリンクにおいては、波長がλ5とλ6である光サブキャリアによって他のサービスが運用されているものとする。このような初期状態の波長利用状況においては、ノードAからノードCまでエンド・ツー・エンド(End to End)のサービスを新規に提供することはできない。
【0025】
しかし、本実施形態の光ネットワーク制御方法においては、クライアント信号のデータ量の変動に応じて、光サブキャリア変更処理と再マッピング処理とを同期して行うことにより波長デフラグメンテーションを行う構成としている。したがって、本実施形態の光ネットワーク制御方法によれば、光ネットワークの運用中であっても、ネットワークの瞬断によるデータの欠損を生じることなく、波長デフラグメンテーションを行うことができる。そのため、上述した新規のサービスを提供することが可能である。
【0026】
図1Bに示した例を用いて、さらに具体的に説明する。ここで、上述したデータ量(スループット量)の変動は、データ量が減少し、データ量の減少量が、単一の光サブキャリアの伝送容量を超えて変動する場合を例として説明する。すなわち、
図1Bに示すように、光ネットワークの運用中に光サブキャリアの1本分のクライアント通信需要が減少したとする。ここで、クライアントデータを波長がλ1、λ2、λ3である3本の光サブキャリアに集約してマッピングを行い、波長がλ4である光サブキャリアは再運用に向けてλ6に波長を設定変更する。これにより、光ネットワークの運用中に波長デフラグメンテーションを行うことができる。
【0027】
この結果、
図1Aに示すように、波長λ4の光サブキャリアを波長λ6の光サブキャリアに移設することにより、波長λ4を用いてノードAからノードCまでエンド・ツー・エンド(End to End)のリンクを使用することが可能となる。
【0028】
次に、本実施形態による光ネットワークシステムについて説明する。
図2は、本実施形態による光ネットワークシステムの構成を模式的に示すブロック図である。また、
図3は、本実施形態による光ネットワークシステムを構成する光ノード装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
本実施形態による光ネットワークシステム1000は、ネットワーク管理装置100と複数の光ノード装置200を有する。ネットワーク管理装置100は複数の光ノード装置200を集中制御する機能を備えており、例えばネットワークマネージメントシステム(Network Management System:NMS)である。ここで、各光ノード装置200は
図2に示すように、光レイヤとIPレイヤなどを含む多階層を統合したノード装置である。
【0030】
図3に示すように、光ノード装置200は、クライアント側ネットワーク300と接続するクライアント側インターフェース部(クライアント側インターフェース手段)210、クロスコネクト部(クロスコネクト手段)220、基幹系ネットワーク400と接続するライン側インターフェース部(ライン側インターフェース手段)230、および制御部240を有する。
【0031】
クライアント側インターフェース部210は、複数の光サブキャリアを用いて伝送するクライアント信号を収容する。ライン側インターフェース部230は、複数の光サブキャリアを生成する。また、制御部240はネットワーク管理装置100と通信する機能を有する。
【0032】
クロスコネクト部220は、クライアント信号のデータ量を監視するクライアント信号監視部222を備える。そして、データ量の変動に応じて、光サブキャリア変更処理と再マッピング処理とを同期して行う。ここで、光サブキャリア変更処理は、複数の光サブキャリアのうち、クライアント信号を伝送するために用いる運用光サブキャリアを変更する処理である。また、再マッピング処理は、クライアント信号を変更後の運用光サブキャリアにマッピングし直す処理である。
【0033】
続いて、光ノード装置200の構成について、さらに詳細に説明する。
【0034】
クライアント側インターフェース部210は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおけるレイヤ1からレイヤ3までの様々な粒度のクライアントデータを収容可能な構成とすることができる。
【0035】
クロスコネクト部220は、転送するクライアントデータのスイッチング制御に加えて、アグリゲーション制御やフラグメンテーション制御を行うことが可能である。
【0036】
クライアント信号監視部222は、クライアントの転送サービス毎にフレーム量やパケット量などのデータ量を検出する。ここで、クライアント信号監視部222がデータ量の変動を制御部240に通知する構成とすることができる。データ量の変動は、データ量が減少し、データ量の減少量が、単一の光サブキャリアの伝送容量を超えて変動する場合とすることができる。具体的には例えば、クライアント信号監視部222が設定された閾値を超えるデータ量を検出した場合に、クライアント信号監視部222がその旨を制御部240に通知し、制御部240がネットワーク管理装置100に通知する構成とすることができる。このとき、典型的には、単一の光サブキャリアにマッピングできるスループットを基準として閾値を策定する。
【0037】
ライン側インターフェース部230は、複数の光サブキャリアを生成しマルチキャリアを形成する機能を有する。
【0038】
次に、本実施形態による光ネットワークシステム1000の動作および光ネットワーク制御方法について、さらに詳細に説明する。
【0039】
以下では、
図4に示すように、光ネットワークシステムが、4台の光ノード装置がタンデムに接続されたネットワークトポロジーを有する場合を例として説明する。光レイヤにおいては、1本あたり100Gbpsのスループットを有する光サブキャリアを用い、最大で4本、すなわち400Gbpsまで伝送する通信方式を例として説明する。
【0040】
図5A、5Bに、光ネットワークシステム1000における特定の時間の波長利用状況を示す。
図5Aは波長デフラグメンテーションを行う前の波長利用状況であり、
図5Bは波長デフラグメンテーションを行った後の波長利用状況を示す。
図5A、5Bの横軸は、ノードAからノードDまでの各ノードに光ノード装置が直列に接続されたリンクを示しており、縦軸は各リンクにおける運用波長を示している。
【0041】
図5Aに示すように、波長デフラグメンテーションを行う前の波長利用状況は、サービスが運用と停止を繰り返すことによって、未使用の波長領域が細片化した利用状況となっている。例えば
図5Aに示す場合、ノードAからノードBまでのリンクにおいては、サービス1が波長λ8、λ9、およびλ10の3本の光サブキャリアからなるマルチキャリアを用いて運用されている。すなわち、
図5Aに示す波長利用状況では、ノードAからノードDまでエンド・ツー・エンドのサービスは提供できないことになる。
【0042】
次に、光ネットワークシステム1000を構成するネットワーク管理装置100の動作について説明する。
図6は、ネットワーク管理装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
ネットワーク管理装置100は、未使用の光サブキャリアが個片化した状態を最小化する処理、すなわち波長デフラグメンテーション処理を行う。
【0044】
図6に示すように、ネットワーク管理装置100の動作(制御アルゴリズム)は3部の構成に分けられる。第1部はパスの処理順序を決定するアルゴリズムである(ステップS100)。第2部は、運用している光マルチキャリアの中で、クライアントデータのトラフィック量に応じて運用を停止する光サブキャリアを選定するアルゴリズムである。すなわち、運用光サブキャリアのうち、運用を停止する変更候補光サブキャリアを選定する処理である(ステップS200)。そして、第3部は、運用を停止した光サブキャリアの波長を、再運用に向けて新たに再設定するアルゴリズムである。すなわち、変更により運用光サブキャリアとなる変更後光サブキャリアの波長を設定する処理である(ステップS300)。
【0045】
まず、波長デフラグメンテーションの対象候補となる光パス、すなわちサービスのデータベースを作成する(ステップS10)。このとき、対象候補となる光パスの条件は、マルチキャリアからなり、かつ隣接するリンクに未使用スロットがあることである。その後、クライアント信号のトラフィック量が閾値を超えたことを検出すると、これをトリガとして波長デフラグメンテーションの対象とする光サブキャリアの抽出を開始する。
【0046】
図5Aに示した例では、サービス1からサービス4までの4種のサービスが波長デフラグメンテーションの対象となり、データベースに格納される。サービス5も2個の波長を使用したマルチキャリア伝送であるが、すでに隣接リンクが占有されており、隣接するリンクに未使用スロットが存在しないため対象外となる。
【0047】
その後、クライアント信号のスループット量が減少し、その減少量が単一の光サブキャリアのスループットを上回ったとき、光ノード装置200はネットワーク管理装置100にトリガ信号を発出する。すなわち、光レイヤの転送能力が過剰になったと判断した時点を、波長デフラグメンテーション処理の開始時とする。
【0048】
ネットワーク管理装置100は、まず、光パスの処理順序を決定するアルゴリズムを実行する(ステップS100)。このとき、データベースに登録されている光パスの中で、リンク数の小さい順に処理を開始する(ステップS110)。光パスのリンク数が同じ場合には、運用しているサブキャリア数が多い光パスの順に処理を開始する(ステップS120)。また、サブキャリア数も同じ場合は、波長の短い光パスから順に処理を行う(ステップS130)。さらに波長も同じ場合は、ノード番号の次数が低い光ノード装置に近い光パスより順に処理する(ステップS140)。以上の処理により、優先処理する波長デフラグメンテーションの対象となる光パスの決定が完了する(ステップS150)。
【0049】
次に、処理対象に決定した光パスを構成する複数の光サブキャリアの中で、同じ波長スロットの隣接リンクにおける連続した未使用スロット数の多い順番で光サブキャリアの選定を行う。すなわち、複数の光サブキャリアのうち、同一の波長帯で隣接するリンクにおける未使用の光サブキャリアが連続している個数が最大である光サブキャリアを変更候補光サブキャリアに選定する(ステップS210)。
【0050】
未使用スロット数が同じである場合は、隣接する波長スロットにおける光サブキャリアの未使用数が多い順番で光サブキャリアの選定を行う。すなわち、隣接する波長帯の光サブキャリアのうち、未使用の光サブキャリアの個数が最大である光サブキャリアを変更候補光サブキャリアに選定する(ステップS220)。これは、隣接する波長スロットの未使用数が多い光サブキャリアを移動させることによって、波長スロット幅が大きく長距離の伝送が可能な光パスを確保できるからである。なお、この波長スロットは送受信ノード間の合計数とする。未使用の波長スロット数も同じ場合は、波長の短い順番で処理を行う(ステップS230)。
【0051】
以上の処理により、運用を停止する光サブキャリアが決定する(ステップS240)。また、2個分の光サブキャリアを運用停止とする閾値検出トリガが同時に得られた場合であっても、上述したアルゴリズムと同様なアルゴリズムにより処理することが可能である。
【0052】
次に、運用停止した光サブキャリアの波長を、再運用に向けて再設定するするアルゴリズムを実行する。すなわち、変更後光サブキャリアの波長を設定する処理を行う(ステップS300)。
【0053】
この場合においても、上述した運用停止する光サブキャリアを選定するアルゴリズムと同様に、短距離パスの順、すなわち、リンクの個数が最小である運用光サブキャリアから処理を開始する(ステップS310)。
【0054】
まず、対象となるリンクにおける隣接リンクの使用率の高い波長スロットの順番で設定波長を選定する。すなわち、変更後光サブキャリアの波長を、同一の波長帯で隣接するリンクにおける使用中の光サブキャリアの個数が最大である光サブキャリアの波長に設定する(ステップS320)。
【0055】
隣接するリンクにおける使用中の光サブキャリアの個数が同一である場合、隣接する波長スロットの使用数が多い順番で設定波長を選定する。すなわち、変更後光サブキャリアの波長を、隣接する波長帯の光サブキャリアのうち、使用中の光サブキャリアの個数が最大である光サブキャリアの波長に設定する(ステップS330)。ここでの処理は、波長設定を行う一般的なアルゴリズムであるMost-usedアルゴリズムに類似している。隣接する波長帯の使用中の光サブキャリアの個数が同一である場合は、波長の短い順番で選定を行う(ステップS340)。
【0056】
上述したアルゴリズムによって、再運用する光サブキャリアの波長を決定する(ステップS350)。
【0057】
その後、光サブキャリアの運用を停止し、データベースを更新する。続いて、次の光パスの処理を行う(ステップS20)。そして、クライアントのトラフィック量の閾値検出トリガを検出した時に、新規波長の光サブキャリアによって運用を開始し(ステップS30)、波長デフラグメンテーション処理を完了する。
【0058】
上述した本実施形態による波長デフラグメンテーションのアルゴリズムについて、
図5Aに示した波長利用状況を用いて具体的に説明する。
【0059】
図5Aに示した波長デフラグメンテーション前の波長利用状況においては、サービス1からサービス5の5個のサービスが、波長デフラグメンテーション制御の対象サービスと判断されてデータベースに格納される。その後、この5個のサービスの全てにおいてクライアント信号のスループットの低下が検知された場合について説明する。ここで、スループットの低下量は、すべてのサービスにおいて光サブキャリア1本の伝送容量分であるとする。すなわち、全てのサービスにおいて光レイヤの光サブキャリア1本がオーバースペックとなっているものとする。
【0060】
まず、5個のサービスの処理順序を決定する。上述したように、リンク数が少ないサービスを優先的に処理する。サービス1はノードAからノードBまで、サービス2はノード CからノードDまでであり、共にリンク数は1個であるため、他のサービスよりも優先的に処理されることになる。リンク数が同じ場合は、光サブキャリア数が多い順番に処理を行う。ここで、サービス1はλ8、λ9、およびλ10の3個の光サブキャリアを使用しており、サービス2はλ1とλ2の2個の光サブキャリアを使用している。したがって、光サブキャリアの個数が多いサービス1を優先して、波長デフラグメンテーション処理を行う。
【0061】
次に、サービス1を構成する光サブキャリアの中で、運用を停止する光サブキャリアの選定を行う。上述した通り、サービス1は、波長がλ8、λ9、λ10である3個の光サブキャリアを使用している。この3個の光サブキャリアのうち、同一波長スロットで隣接リンクにおける連続した未使用スロット数が多い順番で光サブキャリアの選定を行う。すなわち、波長がλ9とλ10である光サブキャリアは、ノードBからノードDの隣接リンクにおいて既にサービス5が運用されているので、隣接する未使用スロット数は「0」である。一方、波長がλ8である光サブキャリアは、ノードBからノードDの隣接リンクにおいて運用されているサービスが存在しないので、隣接する未使用スロット数は2個である。以上により、サービス1を構成する光サブキャリアの中では、波長がλ8である光サブキャリアが運用停止する光サブキャリア(変更候補光サブキャリア)に決定される。
【0062】
次に、再運用時における波長を設定する。上述したサービス1を構成する波長がλ8である光サブキャリアの移設候補として、λ1とλ3とλ6の3個の波長スロットが存在する。この3個の波長の中で、まず、対象となるリンクの隣接リンクにおける波長スロットの使用率が高い順番で設定波長を選定する。すなわち、波長がλ1とλ3の隣接リンクは未使用であるため「0」とし、波長がλ6の隣接リンクはノードBからノードDまでサービス4が運用しているため、使用率は「1」となる。したがって、隣接リンクの使用率の高い波長λ6を再設定する波長とする。
【0063】
サービス1の次に波長デフラグメンテーション制御の対象となるサービス2についても、同様なアルゴリズムにより処理を行う。サービス2では、サービス1と同様なアルゴリズムにより、波長がλ1である光サブキャリアが波長デフラグメンテーションの対象となる。また、再稼働時の移設候補の波長は、候補となるλ4、λ5、λ8の中から、隣接リンクの使用率からλ4とλ5に絞り込まれる。両者は隣接波長の使用率も同じであることから、波長の短いλ4を移設先に選定する。
【0064】
サービス3およびサービス4については、リンク数および光サブキャリア数が同じであるので、波長が短い順に処理を行う。この場合、サービス3が次の処理対象となる。サービス3は波長がλ4とλ5である2個の光サブキャリアを用いて運用されている。λ4の隣接リンクであるノードCとノードDの間には、サービス2で運用されていた波長がλ1である光サブキャリアが移設されてくる。そのため、隣接する未使用の波長スロット数を比較すると、λ4が「0」、λ5が「1」となるので、波長がλ5である光サブキャリアが運用停止の対象となる。サービス4については、波長がλ6である光サブキャリアが処理対象となるが、事後的に隣接リンクに未使用の波長スロットが存在しない状態となるため、波長デフラグメンテーションの対象候補とはならない。
【0065】
上述したアルゴリズムによる波長デフラグメンテーション処理によって、波長デフラグメンテーション後の波長利用状況は
図5Bに示す状態になる。波長デフラグメンテーション前(
図5A)と波長デフラグメンテーション後(
図5B)の波長利用状況を、以下で比較する。波長デフラグメンテーション前はノードAからノードDまで連続した波長帯域は存在していなかったが、波長デフラグメンテーション後は、波長がλ1とλ5とλ8の3個の波長帯域において連続した波長帯域の確保が可能となる。
【0066】
次に、本実施形態による帯域制御技術について説明する。
【0067】
上述したように、ネットワーク管理装置100が管理している波長利用状況に応じて、マルチキャリアの中で特定の光サブキャリアが波長デフラグメンテーションの対象として選定される。したがって、帯域制御技術として、光サブキャリア数の変更、およびそれに伴うクライアントデータのマッピングテーブルの変更が必要になる。
【0068】
すなわち、光ノード装置200は、変更候補光サブキャリアを選定する処理と変更後光サブキャリアの波長を設定する処理の結果に基づいて光サブキャリア変更処理を行い、それとともに再マッピング処理を行う。ここで、再マッピング処理には、クライアント信号を、複数の光サブキャリアのうち変更候補光サブキャリア以外の光サブキャリアにマッピングし直す処理が含まれる。
【0069】
本実施形態では伝送フレームの同期技術を利用した無瞬断の帯域制御技術を適用する。光サブキャリアの個数を無瞬断で変更するためには、複数レーンで伝送する光サブキャリアのフレーム同期条件とクライアントデータの光サブキャリアへのマッピング条件を動的に変更する必要がある。複数レーンの伝送フレームの同期条件は、SDH(Synchronous Digital Hierarchy)伝送におけるLCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)技術をOTN(Optical Transport Network)に拡張することによって達成することができる。ここでLCASとは、GFP(Generic Framing Procedure)やVCAT(Virtual Concatenation)により構成されたレイヤ1の帯域を、無瞬断で増加・減少させる技術である。すなわち、LCAS技術は送信ノードと受信ノードの間で同期してレーンを切り替えることによって、無瞬断で伝送レーン数を変更する技術である。
【0070】
また、クライアントデータの光サブキャリアへのマッピング条件に関しては、上述したフレーム同期と連動して、クロスコネクト部が保有するデータの転送テーブルを更新することにより行う。これにより、マッピング条件を無瞬断で変更することが可能である。
【0071】
ここで、レイヤ2のMAC(Media Access Control)フレームをレイヤ1のOTUフレームに収容して伝送する場合について説明する。レイヤ2データの最大スループットが単一の光サブキャリアのスループットより大きい場合は、MACフレームのフラグメンテーション処理により、クライアントのデータの伝送フレームを複数の処理レーンに分割し、複数の光サブキャリアにマッピングする。クライアントデータ量が減少した場合、出力レーン数を減少させるため、光ノード装置200内のクロスコネクト部220はフラグメンテーション処理の処理テーブルを変更する。この処理テーブルの変更と同時に、レーン変更情報を対向ノードに通知し、送受信ノード間で同時にレーン数を切り替える。これにより、無瞬断でレーン数を可変することができる。
【0072】
このように、本実施形態による光ノード装置200は、光サブキャリア変更処理と再マッピング処理とを、同期して行う。ここで、光サブキャリア変更処理は、光サブキャリアを伝送する伝送レーンを、送信側と受信側で同期して切り替える処理である。また、再マッピング処理は、クライアント信号の転送テーブルを送信側と受信側で同期して更新する処理である。
【0073】
また、再稼働時も同様に、クライアント信号の増加をトリガ信号として、レーン数の変更情報を対向ノードに通知し、送受信ノード間で同時にレーン数を切り替える。同時に、各送受信ノードのクロスコネクト部において、処理テーブルの変更処理を行う。
【0074】
すなわち、データ量が減少した後に増加に転じる場合をデータ量の変動とする。この場合、光サブキャリア変更処理は、運用光サブキャリアに変更後光サブキャリアを追加する処理となる。また、再マッピング処理は、クライアント信号を、複数の光サブキャリアのうち変更候補光サブキャリア以外の光サブキャリアと変更後光サブキャリアにマッピングし直す処理となる。
【0075】
上述したように、本実施形態による光ネットワークシステム、光ノード装置および光ネットワーク制御方法によれば、光ネットワークの運用中であっても、ネットワークの瞬断によるデータの欠損を生じることなく、波長デフラグメンテーションを行うことができる。
【0076】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、クライアント信号の収容形態が第1の実施形態と異なる。第1の実施形態においては、単一のクライアント信号を扱う場合について説明したが、本実施形態においては、クライアント信号が複数種類のクライアント信号を含む場合について説明する。すなわち、同一の送信ノード装置と受信ノード装置との間の通信において、同一対地で複数のクライアントサービスを収容する場合について説明する。なお、本実施形態における光ネットワークシステムおよび光ノード装置の構成、および制御アルゴリズムは第1の実施形態によるものと同様であるので、それらの説明は省略する。
【0077】
本実施形態ではクライアント信号が、MPLS-TP(Multi Protocol Label Switching - Transport Profile)におけるLSP(Label Switched Path)などの複数のクライアントデータである場合について説明する。このような複数のクライアントデータを、第1の実施形態と同様に、複数の光サブキャリアにマッピングして同一対地で伝送する。
【0078】
ここで、複数のクライアントデータの中で、ある特定のクライアントデータ、例えばMPLS-TPの場合のLSPのスループットが減少した場合、他のクライアントデータ(LSP)がすでにマッピングされている光サブキャリアへ移設マッピングする。そして、このときクライアントデータを移設した後に未使用状態となった光サブキャリアの運用を停止する。
【0079】
【0080】
図7Aに、複数のLSPを複数の光サブキャリアにマッピングする構成例を示す。同図に示すように、5種のクライアントデータ(LSP-1~5)を1本当たり100Gbpsのスループットを有する光サブキャリア4本にマッピングする場合を例に説明する。この場合、LSP-1からLSP-5までの5種のデータをODU4-4v(Optical channel Data Unit)のバーチャルコンテナに収容する。
【0081】
ここで、LSP-1からLSP-5までのクライアント容量が300Gbps以下まで減少したとき、例えばLSP-2(2)とLSP-4(4)のデータ量が減少した場合、
図7Bに示すようにLSP-2(2)をLSP-4(4)の光サブキャリアに移設する。それとともに、ネットワーク管理装置(NMS)が管理している波長利用状況から、波長フラグメンテーションを解消するのに最適な光サブキャリア、すなわち波長デフラグメンテーション候補である光サブキャリアDFを選定する。そして、光サブキャリアDFに搭載されているクライアントデータ、
図7Aの例ではLSP-5のクライアントデータ(5)をLSP-2がマッピングされていた光サブキャリアに移設する。同時に、光サブキャリアDFの運用を停止し、フレーム連接数を1個減らしてODU4-3vに収容する。この帯域制御は、第1の実施形態と同様に、無瞬断で行うことが可能である。
【0082】
この後、クライアント信号が増加したことによるトリガ信号によって、再稼働処理が行われる。この場合、
図7Cに示すように、波長デフラグメンテーションの結果、LSP-5のクライアントデータ(5)は光サブキャリアDFとは異なる波長スロットの光サブキャリアに移設される。
【0083】
再稼働処理の場合においても、レーン数を削減する場合と同様にLCAS技術を用いることにより、レーン数の変更情報(レーン数の増加)を対向ノードに通知し、送受信ノード間で同期してレーン数を無瞬断で増加させることができる。また、各ノードの光ノード装置が備えるクロスコネクト部は、レーン数の変更と同期して、LSPをスイッチする処理テーブルを変更する処理を行う。
【0084】
上述したように、本実施形態による光ネットワークシステム、光ノード装置および光ネットワーク制御方法によれば、光ネットワークの運用中であっても、ネットワークの瞬断によるデータの欠損を生じることなく、波長デフラグメンテーションを行うことができる。
【0085】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態においては、光ノード装置がトラフィック予測部を備えた構成とした点において、第1の実施形態による光ノード装置200と異なる。その他の構成は、第1の実施形態によるものと同様であるので、その説明は省略する。
【0086】
本実施形態による光ノード装置は、トラフィック予測部が、クライアント信号のデータ量が単一の光サブキャリアの伝送容量を超えて変動すると予測した場合に、クロスコネクト部が処理を開始する。トラフィック予測部は、データ保持部とデータ解析部を備えた構成とすることができる。データ保持部は、特定の時間間隔で検出したトラフィック量を保持する。また、データ解析部は、トラフィック変動量の傾きを検出する。なお、トラフィック予測部はクライアント側インターフェース部210またはクロスコネクト部220に配置される。
【0087】
第1の実施形態および第2の実施形態においては、クライアント信号のスループットの減少量が単一の光サブキャリアのスループットを超えた場合にトリガ信号を発出する構成とした。すなわち、光レイヤの転送能力が過剰になったと判断した時点を、波長デフラグメンテーション処理の開始信号とした。
【0088】
それに対して、本実施形態においては、トラフィック予測部がトラフィック変動量の変動経緯から推測してトリガ信号を発出する構成とした。トラフィック予測部は、クライアント信号のデータ量をリアルタイムに検出しその変動量の増減の傾きから、一定時間後のクライアントデータ量を予測する。これにより、クロスコネクト部220が波長デフラグメンテーションに必要な処理を行う時間をより多く確保することが可能になる。
【0089】
上述したように、本実施形態による光ノード装置、およびそれを用いた光ネットワークシステムによれば、光ネットワークの運用中であっても、ネットワークの瞬断によるデータの欠損を生じることなく、波長デフラグメンテーションを行うことができる。
【0090】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1000 光ネットワークシステム
100 ネットワーク管理装置
200 光ノード装置
210 クライアント側インターフェース部
220 クロスコネクト部
222 クライアント信号監視部
230 ライン側インターフェース部
240 制御部
300 クライアント側ネットワーク
400 基幹系ネットワーク