(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】入域管理システム、入域管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/25 20200101AFI20231031BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20231031BHJP
G07C 9/27 20200101ALI20231031BHJP
【FI】
G07C9/25
G07B15/00 M
G07C9/27
(21)【出願番号】P 2022193334
(22)【出願日】2022-12-02
【審査請求日】2023-05-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月3日東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所免震棟技術支援センターにおいて開催された放射線管理者連絡会議で発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】柴野 智武
(72)【発明者】
【氏名】中澤 勝
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕介
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-305226(JP,A)
【文献】特開2018-109935(JP,A)
【文献】特開2005-242775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
G07B 15/00
G06T 1/00- 1/60
G06T 7/00- 7/90
G06Q 50/00-50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート装置と
、顔認証装置
とを備える顔認証ゲートシステムと、
登録顔情報が登録されるサーバと、
を備え、
前記顔認証装置は、
放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取部と、
前記サーバに予め登録される前記登録顔情報を記憶する記憶部と、
入域者の顔情報を検知する顔情報検知部と、
前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取部によって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知部によって検知された前記顔情報とを照合する顔認証部と、
前記顔認証部による照合の結果に応じて、前記ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉部と、
前記入域者が前記放射線管理区域に立ち入る前の時期に前記登録顔情報が前記サーバに登録される度に、当該登録顔情報を前記サーバから取得し前記記憶部に記憶させ、前記入域者が前記放射線管理区域にて所定の作業を終えて前記放射線管理区域から退出した後の時期に登録顔情報が前記サーバから削除される度に、当該登録顔情報を前記記憶部から削除する登録顔情報更新部と、
を備える
入域管理システム。
【請求項2】
前記顔情報検知部は、
撮影部と、
赤外線検知部と、
を備え、
前記顔情報検知部によって検知された前記顔情報には、前記撮影部によって撮影された前記入域者の顔を示す2次元画像と、前記赤外線検知部によって検出された前記入域者の顔を示す3次元情報とが含まれる
請求項1に記載の
入域管理システム。
【請求項3】
前記顔認証部は、前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取部によって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知部によって検知された前記顔情報とを照合する
請求項1に記載の
入域管理システム。
【請求項4】
前記顔認証ゲートシステムによる顔認証が完了した後に所定の入域登録処理を行うための放射線管理装置をさらに備え
、
前記放射線管理装置は前記ゲート装置と前記放射線管理区域との間に配置され、
前記放射線管理装置の台数は前記ゲート装置の台数よりも多く設置される
請求項
1に記載の入域管理システム。
【請求項5】
ゲート装置と
、顔認証装置
とを備える顔認証ゲートシステム
と、
登録顔情報が登録されるサーバと、
を備える入域管理システムにおいて、
放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取ステップと、
前記サーバに登録される前記登録顔情報を前記顔認証装置に備えられる記憶部に記憶させる記憶ステップと、
入域者の顔情報を検知する顔情報検知ステップと、
前記記憶ステップにおいて前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取ステップによって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知ステップによって検知された前記顔情報とを照合する顔認証ステップと、
前記顔認証ステップによる照合の結果に応じて、前記ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉ステップと、
前記入域者が前記放射線管理区域に立ち入る前の時期に前記登録顔情報が前記サーバに登録される度に、当該登録顔情報を前記サーバから取得し前記記憶部に記憶させ、前記入域者が前記放射線管理区域にて所定の作業を終えて前記放射線管理区域から退出した後の時期に登録顔情報が前記サーバから削除される度に、当該登録顔情報を前記記憶部から削除する登録顔情報更新ステップと、
を前記顔認証装置が実行する
入域管理方法。
【請求項6】
ゲート装置と
、顔認証装置
とを備える顔認証ゲートシステム
と、
登録顔情報が登録されるサーバと、
を備える入域管理システムにおいて、
前記顔認証装置のコンピュータに、
放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取ステップと、
前記サーバに登録される前記登録顔情報を前記顔認証装置に備えられる記憶部に記憶させる記憶ステップと、
入域者の顔情報を検知する顔情報検知ステップと、
前記記憶ステップにおいて前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取ステップによって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知ステップによって検知された前記顔情報とを照合する顔認証ステップと、
前記顔認証ステップによる照合の結果に応じて、前記ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉ステップと、
前記入域者が前記放射線管理区域に立ち入る前の時期に前記登録顔情報が前記サーバに登録される度に、当該登録顔情報を前記サーバから取得し前記記憶部に記憶させ、前記入域者が前記放射線管理区域にて所定の作業を終えて前記放射線管理区域から退出した後の時期に登録顔情報が前記サーバから削除される度に、当該登録顔情報を前記記憶部から削除する登録顔情報更新ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入域管理システム、入域管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線管理区域について、法令(電離放射線障害防止規則、及び実用炉規則)、及び保安規定などに基づき許可していない者を当該管理区域に立入らせない措置を講じることが要求されている。当該要求を満たすため管理区域の出入管理エリアにおいて,人の出入りなどを監視するため保安監視員及び監視カメラ等により監視を実施しており、機械の導入による自動化はされていなかった。
なお、放射線管理区域管理システムとしては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、許可していない者を管理区域に立入らせない措置を講じることが要求されているが、従来の保安監視業務では、過去に照合確認不足で不適合が発生しており、人による立入者照合は人的負担が大きい。また、入域者の数は、原子力発電所内の全てのサービス建屋で1日当たり延べ1500人程度と多いため、放射線管理区域への立入のための照合を省力化することが求められている。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、放射線管理区域への立入のための照合を省力化することができる顔認証ゲートシステム、入域管理システム、顔認証方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、ゲート装置と顔認証装置とを備える顔認証ゲートシステムと、登録顔情報が登録されるサーバと、を備え、前記顔認証装置は、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取部と、前記サーバに予め登録される前記登録顔情報を記憶する記憶部と、入域者の顔情報を検知する顔情報検知部と、前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取部によって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知部によって検知された前記顔情報とを照合する顔認証部と、前記顔認証部による照合の結果に応じて、前記ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉部と、前記入域者が前記放射線管理区域に立ち入る前の時期に前記登録顔情報が前記サーバに登録される度に、当該登録顔情報を前記サーバから取得し前記記憶部に記憶させ、前記入域者が前記放射線管理区域にて所定の作業を終えて前記放射線管理区域から退出した後の時期に登録顔情報が前記サーバから削除される度に、当該登録顔情報を前記記憶部から削除する登録顔情報更新部と、を備える入域管理システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の入域管理システムにおいて、前記顔情報検知部は、撮影部と、赤外線検知部と、を備え、前記顔情報検知部によって検知された前記顔情報には、前記撮影部によって撮影された前記入域者の顔を示す2次元画像と、前記赤外線検知部によって検出された前記入域者の顔を示す3次元情報とが含まれる。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の入域管理システムにおいて、前記顔認証部は、前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取部によって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知部によって検知された前記顔情報とを照合する。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の入域管理システムにおいて、前記顔認証ゲートシステムによる顔認証が完了した後に所定の入域登録処理を行うための放射線管理装置をさらに備え、前記放射線管理装置は前記ゲート装置と前記放射線管理区域との間に配置され、前記放射線管理装置の台数は前記ゲート装置の台数よりも多く設置される。
【0012】
また、本発明の一態様は、ゲート装置と顔認証装置とを備える顔認証ゲートシステムと、登録顔情報が登録されるサーバと、を備える入域管理システムにおいて、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取ステップと、前記サーバに登録される前記登録顔情報を前記顔認証装置に備えられる記憶部に記憶させる記憶ステップと、入域者の顔情報を検知する顔情報検知ステップと、前記記憶ステップにおいて前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取ステップによって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知ステップによって検知された前記顔情報とを照合する顔認証ステップと、前記顔認証ステップによる照合の結果に応じて、前記ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉ステップと、前記入域者が前記放射線管理区域に立ち入る前の時期に前記登録顔情報が前記サーバに登録される度に、当該登録顔情報を前記サーバから取得し前記記憶部に記憶させ、前記入域者が前記放射線管理区域にて所定の作業を終えて前記放射線管理区域から退出した後の時期に登録顔情報が前記サーバから削除される度に、当該登録顔情報を前記記憶部から削除する登録顔情報更新ステップと、を前記顔認証装置が実行する入域管理方法である。
【0013】
また、本発明の一態様は、ゲート装置と顔認証装置とを備える顔認証ゲートシステムと、登録顔情報が登録されるサーバと、を備える入域管理システムにおいて、前記顔認証装置のコンピュータに、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取ステップと、前記サーバに登録される前記登録顔情報を前記顔認証装置に備えられる記憶部に記憶させる記憶ステップと、入域者の顔情報を検知する顔情報検知ステップと、前記記憶ステップにおいて前記記憶部に予め記憶される前記登録顔情報のうち前記カード読取ステップによって読み取られた前記IDカードが示す前記入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、前記顔情報検知ステップによって検知された前記顔情報とを照合する顔認証ステップと、前記顔認証ステップによる照合の結果に応じて、前記ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉ステップと、前記入域者が前記放射線管理区域に立ち入る前の時期に前記登録顔情報が前記サーバに登録される度に、当該登録顔情報を前記サーバから取得し前記記憶部に記憶させ、前記入域者が前記放射線管理区域にて所定の作業を終えて前記放射線管理区域から退出した後の時期に登録顔情報が前記サーバから削除される度に、当該登録顔情報を前記記憶部から削除する登録顔情報更新ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、放射線管理区域への立入のための照合を省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る入域管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る顔認証装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る顔認証装置の外観の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る顔認証装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る顔認証ゲート装置の配置の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る放射線管理区域への立ち入る際の処理の流れの一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る顔認証の処理の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
[入域管理システム1の構成]
図1は、本実施形態に係る入域管理システム1の構成の一例を示す図である。入域管理システム1は、例えば、原子力発電所の放射線管理区域への立ち入り(入域ともいう)を顔認証に基づいて管理するためのシステムである。入域管理システム1は、顔認証ゲート装置2と、顔情報登録サーバ6とを備える。なお、
図1では、1台の顔認証ゲート装置2しか示されていないが、入域管理システム1は、2台以上の顔認証ゲート装置2を備えてよい。
【0017】
顔認証ゲート装置2と、顔情報登録サーバ6とは、ネットワークN1を介して通信を行う。また、顔情報登録サーバ6と、ユーザ端末装置7とは、ネットワークN1を介して無線通信を行う。ネットワークN1は、一例として、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)である。
【0018】
なお、
図1において顔認証ゲート装置2の図には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。当該XYZ直交座標系において、Z軸の向きは、鉛直上向きである。以下の説明において、Z軸に平行な方向を上下方向ともいう。Z軸の向きを上向きともいう。Z軸の向きと逆の向きを下向きともいう。Z軸の方向の正の側を上側ともいい、Z軸の方向の負の側を下側ともいう。X軸に平行な方向を奥行方向ともいう。X軸の方向の正の側を手前側ともいい、X軸の方向の負の側を奥側ともいう。Y軸に平行な方向を左右方向ともいう。Y軸の方向の正の側を右側ともいい、Y軸の方向の負の側を左側ともいう。
【0019】
顔認証ゲート装置2は、顔認証装置3と、ゲート装置4とを備える。
ゲート装置4は、筐体41と、ゲート42とを備える。ゲート42は、顔認証装置3により開閉が制御される。筐体41には、顔認証装置3からの制御信号に応じてゲート42の開閉を制御するための制御機構(不図示)が備えられる。
【0020】
筐体41の上側の面である上面には連結部5が設けられる。連結部5は、筐体41と、顔認証装置3とを連結する。したがって、顔認証装置3は、連結部5に連結されて、筐体41の上側に設置される。
【0021】
顔認証装置3は、顔認証を行う。顔認証装置3は、顔情報と登録顔情報とを照合することによって顔認証を行う。本実施形態では、顔情報は、一例として、顔の2次元画像、及び顔の3次元情報である。
【0022】
顔認証装置3は、一例として、カメラ、赤外線センサー、及びディスプレイなどを備える情報端末である。顔の2次元画像は、カメラによって撮影される。顔の3次元情報は、赤外線センサーによって検知される。
【0023】
登録顔情報は、顔認証のために予め登録された顔情報である。顔認証装置3には、顔情報登録サーバ6を介して登録された登録顔情報が予め記憶されている。
【0024】
顔情報登録サーバ6は、入域者が顔認証を行う前の時期に予め顔情報を登録するために用いられる。顔情報登録サーバ6は、一例として、パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)である。入域者は、例えば、ユーザ端末装置7によって自身の顔を検知させる。ここでユーザ端末装置7は、一例として、カメラ、及び赤外線センサーを備える携帯情報端末である。
【0025】
ユーザ端末装置7によって検知された入域者の顔は、顔情報として顔情報登録サーバ6に登録される。顔情報登録サーバ6は、新たに顔情報が登録されると、当該顔情報を顔認証装置3に通知する。
【0026】
なお、顔認証装置3は、当該ディスプレイが顔認証を行う入域者の側を向く向きに設置される。
図1において、顔認証装置3は、当該ディスプレイが手前側を向く向きに設置される。なお、顔認証装置3は、当該ディスプレイが手前側を向く向きから、所定の角度だけ傾けて配置されてもよい。所定の角度とは、例えば0度より大きく45度以下の角度である。
顔認証装置3が設置される高さは、カメラの高さがが入域者の顔の高さの辺りとなるような高さである。例えば、顔認証装置3が設置される高さは、カメラの高さが150センチメートルから170センチメートルの範囲の高さとなるような高さである。
【0027】
[顔認証装置3の構成]
次に
図2から
図4を参照し、顔認証装置3の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る顔認証装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。顔認証装置3は、通信I/F(インターフェース)100と、カードリーダ101と、カメラ102と、赤外線センサー103と、ディスプレイ104と、CPU(Central Processing Unit)105と、ROM(Read Only Memory)106と、RAM(Random Access Memory)107とを備える。通信I/F100、カードリーダ101、カメラ102、赤外線センサー103、ディスプレイ104、CPU105、ROM106、及びRAM107は、互いに信号線によって接続される。
【0028】
通信I/F100は、無線ネットワークを介して通信を行うためのハードウェアである。本実施形態では、当該無線ネットワークは、ネットワークN1である。なお、通信I/F100は、有線通信によって顔情報登録サーバ6と通信を行ってもよい。
【0029】
カードリーダ101は、一例として、非接触型のICカードリーダである。カードリーダ101は、IDカードに記録された識別番号を読み取る。IDカードは、一例として、IC(Integrated Circuit)カードである。
【0030】
なお、カードリーダ101は、接触型のICカードリーダであってもよい。また、IDカードにバーコードが記録されていてもよい。その場合、カードリーダ101は、バーコードリーダーである。また、IDカードに2次元コードが記録されていてもよい。その場合、カードリーダ101は、2次元コードリーダーである。
【0031】
カメラ102は、入域者の顔の2次元画像を撮影する。カメラ102は、一例として、可視光撮像素子を備えたRGBカメラである。カメラ102が撮影する2次元画像は、RGB画像(カラー画像)である。
【0032】
赤外線センサー103は、一例として、入域者の顔の3次元情報を検知する。赤外線センサー103は、TOF(Time Of Flight)方式に基づいて赤外線によって入域者の顔の各点と自身との距離を測定する。赤外線センサー103による測定の結果、入域者の顔の3次元情報が生成される。
【0033】
ディスプレイ104は、一例として、液晶ディスプレイ、または有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0034】
CPU105は、ROM106からプログラムを読み込み、読み込んだプログラムに従って各種の制御を実行する。CPU105は、レジスターなどの内部記憶媒体を複数内蔵している。CPU105は、ROM106から内部記憶媒体にデータを一時的に記憶し、これを演算処理する。CPU105は、演算結果をレジスターに出力し、さらにレジスターからRAM107、または外部の記憶媒体に出力させる。
【0035】
ROM106は、CPU105が各種演算や制御を行うための各種プログラム、データ及びパラメーターなどを格納した主記憶装置である。ROM106は、ROM106に供給される電力がゼロの状態でも記憶内容を保持できる。
【0036】
RAM107は、CPU105にワーキングメモリーとして使用される主記憶装置である。RAM107は、CPU105により、プログラムやデータなどの書き込み及び消去が行われる。
【0037】
図3は、本実施形態に係る顔認証装置3の外観の一例を示す図である。カードリーダ101、カメラ102、及び赤外線センサー103はそれぞれ、一例として、ディスプレイ104が配置される面に配置される。
【0038】
図4は、本実施形態に係る顔認証装置3の機能構成の一例を示す図である。顔認証装置3は、カード読取部30と、顔情報検知部31と、表示部32と、制御部33と、記憶部34と、通信部35とを備える。
【0039】
カード読取部30は、IDカードを読み取る。カード読取部30は、カードリーダ101を含む。カード読取部30は、一例として、カードリーダ101にIDカードに内蔵されたICチップを読み取らせる。
【0040】
当該IDカードは、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードである。当該IDカードには、入域者識別情報A1が記録されている。本実施形態では、入域者識別情報A1は、当該IDカードに内蔵されたICチップに記録されている。IDカードを読み取るとは、当該IDカードに内蔵されたICチップに記録された入域者識別情報A1を読み取ることをいう。
【0041】
入域者識別情報A1は、入域者を識別するための情報である。入域者識別情報A1は、一例として、所定の桁の数字、及びアルファベットの組合せである。所定の桁は、一例として、16桁である。
ここでIDカードは、法令(電離放射線障害防止規則、及び実用炉規則)、及び保安規定などに基づき放射線管理区域への立入が許可された入域者に予め付与されている。
【0042】
なお、本実施形態では一例として、入域者識別情報A1は、IDカードに内蔵されたICチップに一度記録されると書き換えができない。なお、入域者識別情報A1は、書き換え可能であってもよい。入域者識別情報A1は、書き換え可能不可能な部分と、書き換え可能な部分とから構成されてもよい。ただし、第3者が入域者に成り済ますことを抑止するためには、入域者識別情報A1は、書き換え可能不可能であることが好ましい。
【0043】
顔情報検知部31は、入域者の顔情報B1を検知する。顔情報検知部31は、撮影部310と、赤外線検知部311とを備える。
【0044】
撮影部310は、入域者の顔を示す2次元画像を撮影する。撮影部310は、カメラ102を含む。撮影部310は、カメラ102によって入域者の顔を撮影した結果に基づいて、入域者の顔の2次元画像を生成する。2次元顔画像は、入域者の顔を示す2次元のRGB画像である。
【0045】
赤外線検知部311は、入域者の顔を示す3次元情報を検知する。赤外線検知部311は、赤外線センサー103を含む。赤外線検知部311は、赤外線センサー103によって入域者の顔の各点と赤外線センサー103との距離が測定された結果に基づいて、入域者の顔を示す3次元情報を生成する。当該3次元情報は、入域者の顔の3次元の形状(輪郭)を点群などによって示すデータである。
【0046】
本実施形態では、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1には、撮影部310によって撮影された入域者の顔を示す2次元画像と、赤外線検知部311によって検出された入域者の顔を示す3次元情報とが含まれる。
【0047】
表示部32は各種の情報を表示する。表示部32は、ディスプレイ104を含む。表示部32は、例えば、入域者に対して顔認証の手順を案内するための画面を表示する。当該画面には、例えば、IDカードの読み取りを案内するための画面、顔の撮影を案内するための画面、及び認証結果を通知するための画面などが含まれる。なお、表示部32は、制御部33によって制御されて表示を行う。
【0048】
制御部33は、顔認証装置3の動作、及びゲート装置4の動作について各種の制御を行う。制御部33は、CPU105を含む。制御部33は、識別情報取得部330と、顔情報取得部331と、登録顔情報更新部332と、顔認証部333と、ゲート開閉部334と、記録部335とを備える。これらの機能部はそれぞれ、例えばCPU105がROM106から読み込んだプログラムをRAM107に展開して、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。
【0049】
識別情報取得部330は、入域者識別情報A1をカード読取部30から取得する。
顔情報取得部331は、顔情報B1を顔情報検知部31から取得する。なお、顔情報取得部331は、顔情報B1のうち2次元画像から入域者の顔の画像を抽出し、新たに2次元画像とする。
【0050】
登録顔情報更新部332は、記憶部34に記憶される登録顔情報C1を更新する。登録顔情報更新部332は、登録顔情報が顔情報登録サーバ6に登録される度に、当該登録顔情報を顔情報登録サーバ6から取得し記憶部34に記憶させる。登録顔情報更新部332は、登録顔情報が顔情報登録サーバ6から削除される度に、当該登録顔情報を記憶部34から削除する。
【0051】
顔認証部333は、顔認証を行う。ここで顔認証部333は、予め登録された登録顔情報C1のうちカード読取部30によって読み取られたIDカードが示す入域者の入域者識別情報A1に紐づけられた登録顔情報と、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1とを照合する。顔認証部333が行う顔認証には、顔情報B1に含まれる2次元画像、及び3次元情報からそれぞれ顔の特徴量を抽出する処理が含まれる。
【0052】
ゲート開閉部334は、顔認証部333による照合の結果に応じて、ゲート装置4のゲート42の開閉を制御する。
【0053】
記録部335は、各種の情報を記録する。記録部335は、ROM106、及びRAM107を含む。記録部335が記録する情報には、IDから読み取られた入域者識別情報A1、顔認証部333による顔認証の結果を示す情報、及び顔認証が行われた時刻を示す情報(タイムスタンプ)などが含まれる。ここで記録部335は、記録した情報をログとして顔情報登録サーバ6に送信する。
【0054】
記憶部34は、各種の情報を記憶する。記憶部34は、ROM106、及びRAM107を含む。記憶部34が記憶する情報には、入域者識別情報A1、及び登録顔情報C1が含まれる。登録顔情報C1は、上述したように、顔情報登録サーバ6を介して予め登録された顔情報である。登録顔情報C1は、入域者識別情報A1と紐づけられて記憶部34に記憶される。
【0055】
通信部35は、顔情報登録サーバ6と通信を行う。通信部35は、通信I/F100を含む。
【0056】
なお、本実施形態では、カード読取部30と、顔情報検知部31と、表示部32と、記憶部34とが顔認証装置3として一体の装置として備えられる場合の一例について説明するが、これに限られない。カード読取部30と、顔情報検知部31と、表示部32と、記憶部34とのうちいずれか1以上が顔認証装置3とは別体の装置として備えられてもよい。その場合、各機能部に対応する顔認証装置3とは別体の装置と、顔認証装置3とは通信を行う。別体の装置と、顔認証装置3とは、通信線によって接続されて有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。無線通信には、ネットワークN1などのLANが用いられてもよいし、近距離無線通信が用いられてもよい。
【0057】
各機能部に対応する顔認証装置3とは別体の装置は、ゲート装置4の筐体41の上面に設けられてもよい。例えば、カードリーダ101が顔認証装置3とは別体として設けられる場合、カードリーダ101は、ゲート装置4の筐体41の上面に設けられてもよい。
【0058】
[顔認証ゲート装置2の配置]
図5は、本実施形態に係る顔認証ゲート装置2の配置の一例を示す図である。顔認証ゲート装置2は、原子力発電所内のサービス建屋内の出入管理エリアZ2に設置される。出入管理エリアZ2は、放射線管理区域Z1への出入を管理するためのエリアである。放射線管理区域Z1と、出入管理エリアZ2との境界には、管理区域入口G1が設けられている。
出入管理エリアZ2には、1以上の顔認証ゲート装置2と、1以上の管理装置8とが配置されている。管理装置8は、顔認証ゲート装置2と管理区域入口G1との間に配置される。
【0059】
入域管理システム1では、顔認証ゲート装置2による顔認証が完了した後に所定の入域登録処理が行われる。管理装置8は、当該入域登録処理を行う。当該入域登録処理には、例えば、入域者に装着された線量計と管理装置8とが通信を行い、警報を行うための線量の値を設定する処理、及び、入域者が放射線管理区域Z1に立ち入る作業目的の登録を行う処理などが含まれる。入域者は、顔認証ゲート装置2による顔認証を行った後、管理装置8によって入域登録処理を行った後、放射線管理区域Z1に立ち入る。
【0060】
図5に示す例では、2台の顔認証ゲート装置2が配置されている。
図5に示す例では、6台の管理装置8(管理装置8-1~管理装置8-6)が配置されている。2台の顔認証ゲート装置2は、所定の間隔を空けて並列に配置されている。6台の管理装置8は、所定の間隔を空けて並列に配置されている。これらの所定の間隔とは、例えば、人間が一人通過できる程度の間隔(1メートル以下など)である。複数の顔認証ゲート装置2が配置されている場合、当該複数の顔認証ゲート装置2のうちいずれが入域者の顔認証に用いられてもよい。また、複数の管理装置8が配置されている場合、当該複数の管理装置8ののうちいずれが入域者の入域登録処理に用いられてもよい。
【0061】
なお、本実施形態では、顔認証ゲート装置2と、管理装置8とが別体の装置として配置される場合の一例について説明したが、これに限られない。顔認証ゲート装置2と管理装置8とは一体の装置として配置されてもよい。
【0062】
顔認証ゲート装置2と、管理装置8とが別体の装置として配置される場合、顔認証ゲート装置2と管理装置8とを配置する際の可搬性において顔認証ゲート装置2と管理装置8とが一体の装置である場合に比べて有利である。また、顔認証ゲート装置2と、管理装置8とが別体の装置として配置される場合、顔認証ゲート装置2、及び管理装置8それぞれの台数を増減させる際に、顔認証ゲート装置2と管理装置8とが一体の装置である場合に比べて拡張性において有利である。
【0063】
ここで、顔認証ゲート装置2による顔認証に要する時間は、2秒程度である。一方、管理装置8による入域登録処理に要する時間は、15秒程度である。したがって、管理装置8による入域登録処理に要する時間は、顔認証ゲート装置2による顔認証に要する時間に比べて長い。そのため、大勢の入域者が放射線管理区域Z1に立ち入る場合、管理装置8の台数を、顔認証ゲート装置2の台数よりも多く設置することによって、顔認証を行った入域者が入域登録処理のために管理装置8の手前で順番を待つ事態が発生することを抑制できる。顔認証ゲート装置2と、管理装置8とが別体の装置として配置される場合には、顔認証ゲート装置2の台数と、管理装置8の台数とを独立に変更できるため、管理装置8の台数を顔認証ゲート装置2の台数よりも多く設置することができる。
【0064】
[入域管理システム1の処理の流れ]
次に
図6及び
図7を参照し、入域管理システム1の処理の流れとして、入域処理の流れについて説明する。入域処理は、入域者が放射線管理区域へ立ち入るための処理である。
図6は、本実施形態に係る放射線管理区域への立ち入る際の処理の流れの一例を示す図である。
【0065】
ステップS10:顔情報登録サーバ6は、顔情報を登録する。ここで入域者は、サービス建屋に入る前に、登録業務を行う施設(登録センターという)にて、顔情報の登録を行う。入域者は、ユーザ端末装置7によって自身の顔を検知させる。ユーザ端末装置7は、カメラによって、入域者の顔の2次元画像を撮影する。ユーザ端末装置7は、赤外線センサーによって、入域者の顔の3次元情報を検知する。検知の結果に基づいて、ユーザ端末装置7は、入域者の顔の2次元画像、及び3次元情報を顔情報として生成する。ユーザ端末装置7は、生成した顔情報を顔情報登録サーバ6に送信する。
【0066】
顔情報登録サーバ6は、ユーザ端末装置7から受信した顔情報を記憶する。顔情報は、顔情報登録サーバ6にデータベースとして記憶されることによって、顔情報登録サーバ6に登録される。
【0067】
なお、入域者は、ユーザ端末装置7を用いずに顔情報登録サーバ6に顔情報を登録してもよい。入域者は、予め用意した顔情報をUSBメモリなどの記憶装置に記憶させておき、当該記憶装置から顔情報登録サーバ6に当該顔情報を出力させてもよい。
【0068】
ステップS20:顔情報登録サーバ6は、登録された顔情報を顔認証装置3に送信する。なお、入域管理システム1に複数の顔認証ゲート装置2が備えられる場合、顔情報登録サーバ6は、複数の顔認証ゲート装置2それぞれに備えられる顔認証装置3に一斉に登録された顔情報を送信する。
【0069】
ステップS30:顔認証装置3は、登録顔情報を更新する。顔認証装置3が顔情報登録サーバ6から顔情報を受信すると、登録顔情報更新部332は、当該顔情報を記憶部34に記憶させる。これによって、当該顔情報は、記憶部34に記憶されている登録顔情報C1に加えられる。
【0070】
ステップS40:顔認証装置3は、顔認証を行う。ここで、登録センターにて登録を完了した入域者は、サービス建屋に移動し、出入管理エリアに設置された顔認証ゲート装置2によって顔認証を行う。顔認証の処理の詳細は、
図7を参照して後述する。
【0071】
ステップS50:顔認証装置3の記録部335は、顔認証の結果などを含むログを顔情報登録サーバ6に送信する。
【0072】
ステップS60:顔情報登録サーバ6は、顔認証装置3から受信したログを記録する。当該ログは、顔情報登録サーバ6にデータベースとして記憶される。
ここで入域者は、顔認証を完了すると、管理装置8による入域登録処理を行い、放射線管理区域に立ち入る。入域者は、放射線管理区域にて所定の作業を終えると、放射線管理区域から退出する。
【0073】
ステップS70:顔情報登録サーバ6は、顔情報を削除する。ここで入域者は、登録センターにて、顔情報の削除を行う。例えば、入域者によってIDカードが登録センターの事務員に提示される。当該事務員は、IDカードをカードリーダに読み取らせ、読み取られたIDカードが示す入域者の入域者識別情報に紐づけられた登録顔情報を顔情報登録サーバ6に削除させる。
【0074】
ステップS80:顔情報登録サーバ6は、削除された顔情報に紐づけられた入域者識別情報を顔認証装置3に送信する。
【0075】
ステップS90:顔認証装置3は、登録顔情報を更新する。顔認証装置3は、顔情報登録サーバ6から、削除された顔情報に紐づけられた入域者識別情報を受信する。登録顔情報更新部332は、当該入域者識別情報に紐づけられた登録顔情報を記憶部34から削除する。
以上で、入域管理システム1における入域処理を終了する。
【0076】
ここで入域管理システム1では、顔情報登録サーバ6への入域者の登録が頻繁に行われる。顔認証ゲート装置2では、登録顔情報更新部332を備えることによって、記憶部34に記憶されている登録顔情報C1は、顔情報登録サーバ6に記憶される登録顔情報が更新されると即時に更新される。換言すれば、顔認証ゲート装置2に記憶される登録顔情報C1と、顔情報登録サーバ6に記憶される登録顔情報とが同期される。
【0077】
顔認証ゲート装置2は、登録顔情報更新部332を備えることによって、入域者の登録が頻繁に行われる場合であっても、記憶部34に記憶されている登録顔情報C1を常に最新の状態に保つことができる。また、顔認証ゲート装置2は、ネットワークN1に接続できない場合であっても、記憶部34に記憶されている登録顔情報C1に基づいて顔認証の処理を行うことができる。
【0078】
図7は、本実施形態に係る顔認証の処理の流れの一例を示す図である。
図7に示す顔認証の処理は、
図6に示したステップS40として顔認証ゲート装置2によって実行される。なお、顔認証の処理の開始時において、ゲート装置4のゲート42は閉じられている。
【0079】
ステップS110:カード読取部30は、IDカードを読み取る。ここで入域者は、IDカードを顔認証装置3のカードリーダ101にかざす。顔認証部333は、カード読取部30によってIDカードが読み取られると、計時を開始する。これによって、IDカードが読み取られてから経過した時間が測定される。
【0080】
ステップS120:識別情報取得部330は、入域者識別情報A1を正常に取得できたか否かを判定する。入域者識別情報A1を正常に取得できない場合には、例えば、入域者識別情報エラーの場合と、カードエラーの場合とがある。入域者識別情報エラーの場合とは、カード読取部30によって読み取られたIDカードが示す入域者識別情報A1が登録されていない場合である。カードエラーの場合とは、カード読取部30によって読み取られたIDカードが、不正なカードである場合である。不正なカードとは、法令、及び保安規定などに基づき放射線管理区域への立入が許可された入域者に予め付与されたカード以外の種類のカードである。
【0081】
識別情報取得部330は、入域者識別情報A1を正常に取得できたと判定した場合(ステップS120;YES)、取得した入域者識別情報A1を顔認証部333に供給する。その後、顔認証装置3はステップS130の処理を実行する。一方、識別情報取得部330が入域者識別情報A1を正常に取得できなかったと判定した場合(ステップS120;NO)、顔認証装置3はステップS210の処理を実行する。
【0082】
ステップS130:顔情報検知部31は、入域者の顔情報B1を検知する。ここで撮影部310は、入域者の顔を示す2次元画像を撮影する。赤外線検知部311は、入域者の顔を示す3次元情報を検知する。顔情報取得部331は、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1を取得する。顔情報取得部331は、取得した顔情報B1を顔認証部333に供給する。
上述したように、顔情報B1のうち2次元顔画像は、撮影部310によって2次元顔画像が生成された後、顔情報取得部331によって当該2次元画像から入域者の顔の画像が抽出されて生成される。顔情報B1のうち3次元情報は、赤外線検知部311によって生成される。
【0083】
ステップS140:顔認証部333は、記憶部34に予め記憶される登録顔情報C1のうちカード読取部30によって読み取られたIDカードが示す入域者の入域者識別情報A1に紐づけられた登録顔情報と、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1とを照合する。ここで顔認証部333は、顔情報として、2次元画像、及び3次元情報の両方について照合を行う。
【0084】
ここで本実施形態では、一例として、ステップS130において撮影部310による2次元画像を生成する処理と、赤外線検知部311による3次元情報を生成する処理とは並行して実行される。なお、赤外線検知部311による3次元情報を生成する処理は、撮影部310による2次元画像を生成する処理の後、当該2次元画像が顔認証部333に供給された後に実行されてもよい。
【0085】
ステップS150:顔認証部333は、入域者識別情報A1に紐づけられた登録顔情報と、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1とが一致したか否かを判定する。顔認証部333は、当該登録顔情報に含まれる2次元画像と、当該顔情報B1に含まれる2次元画像とが一致し、かつ、当該登録顔情報に含まれる3次元情報と、当該顔情報B1に含まれる3次元情報とが一致した場合にのみ、当該登録顔情報と当該顔情報B1とが一致したと判定する。つまり、顔認証部333は、当該登録顔情報と当該顔情報B1とを照合した結果、2次元画像と3次元情報とのうち一方でも一致しなかった場合には、当該登録顔情報と当該顔情報B1とは一致していないと判定する。
【0086】
なお、2次元画像同士が一致するとは、当該2次元画像が示す顔の画像の特徴量が一致することをいう。3次元情報同士が一致するとは、当該3次元情報が示す顔の点群データの特徴量が一致することをいう。
【0087】
顔認証部333が当該登録顔情報と当該顔情報B1とが一致したと判定した場合(ステップS150;YES)、制御部33は、表示部32に顔認証に成功したことを通知するための画面を表示させる。その後、顔認証装置3はステップS160の処理を実行する。
一方、顔認証部333が当該登録顔情報と当該顔情報B1とが一致していないと判定した場合(ステップS150;NO)、顔認証装置3はステップS190の処理を実行する。
【0088】
また、赤外線検知部311による3次元情報を生成する処理は、ステップS150において2次元画像について認証が完了した場合に行われてもよい。その場合、2次元画像について認証が完了した後に生成された3次元情報について認証が行われる。これによって、2次元画像について認証が失敗する場合に、3次元情報を生成するための処理による負荷を軽減できる。
同様に、撮影部310による2次元画像を生成する処理は、ステップS150において3次元情報について認証が完了した場合に行われてもよい。その場合、3次元情報について認証が完了した後に生成された2次元画像について認証が行われる。これによって、3次元情報について認証が失敗する場合に、2次元画像を生成するための処理による負荷を軽減できる。
【0089】
ステップS160:記録部335は、顔認証に成功したことを示すログを記録する。記録部335は、当該ログとして、入域者識別情報A1と、顔認証が行われた時刻を示すタイムスタンプとを記録する。記録部335は、当該ログを顔情報登録サーバ6に送信する。
【0090】
ステップS170:ゲート開閉部334は、ゲート装置4にゲート42を開かせる。ここでゲート開閉部334は、ゲート42を開状態にするための制御信号をゲート装置4に送信する。
【0091】
ステップS180:ゲート開閉部334は、ゲート装置4にゲート42を閉じさせる。ゲート開閉部334は、入域者が顔認証ゲート装置2を通過するか、または、顔認証部333によって顔認証が成功してから所定の時間が経過すると、ゲート42を閉状態にするための制御信号をゲート装置4に送信する。
その後、顔認証ゲート装置2は、顔認証の処理を終了する。
【0092】
ステップS190:顔認証部333は、タイムアウトしたか否かを判定する。顔認証部333は、IDカードが読み取られてから経過した時間が所定の時間以上である場合、タイムアウトしたと判定する。所定の時間とは、一例として、10秒である。
【0093】
顔認証部333がタイムアウトしていないと判定した場合(ステップS190;NO)、顔情報検知部31は、ステップS120の処理を再度実行する。一方、顔認証部333がタイムアウトしたと判定した場合(ステップS190;YES)、制御部33は、表示部32に顔認証に失敗したことを通知するための画面を表示させる。その後、顔認証装置3はステップS200の処理を実行する。
【0094】
ステップS200:記録部335は、顔認証に失敗したことを示すログを記録する。記録部335は、当該ログとして、入域者識別情報A1と、失敗した顔認証が行われた時刻を示すタイムスタンプを記録する。記録部335は、当該ログを顔情報登録サーバ6に送信する。
その後、顔認証ゲート装置2は、顔認証の処理を終了する。
【0095】
ステップS210:記録部335は、エラー内容を示すログを記録する。記録部335は、当該ログとして、エラー内容と、エラーが発生した時刻を示すタイムスタンプを記録する。記録部335は、当該ログを顔情報登録サーバ6に送信する。
その後、顔認証ゲート装置2は、顔認証の処理を終了する。
【0096】
なお、顔認証の処理の途中において、入域者が閉状態にあるゲート42を無理に通過しようとした場合であっても、顔認証部333は、顔認証に失敗したと判定する。その場合、記録部335は、ステップS210の処理を実行する。その場合、記録部335は、エラー内容として、ゲート42を無理に通過しようとしたことを、タイムスタンプとともにログとして記録する。
【0097】
なお、顔認証の処理の途中において、入域者が閉状態にあるゲート42を無理に通過しようとした場合、制御部33は、警報処理を行ってもよい。警報処理において、例えば、制御部33は、スピーカから警報音を発生させる。その場合、顔認証装置3は当該スピーカを備える。また、警報処理において、制御部33は、警報ランプを点灯させてもよい。その場合、当該警報ランプは、例えば、ゲート装置4の筐体41に備えられる。警報ランプの代わりに、顔認証装置3のディスプレイ104に警報を示す画像(点滅する画面など)が表示されてもよい。
また、警報処理において、制御部33は、入域者が閉状態にあるゲート42を無理に通過しようとしたことを、顔情報登録サーバ6に報知してもよい。
【0098】
なお、顔認証の処理の途中において、入域者が閉状態にあるゲート42を無理に通過しようとした場合、記録部335は、監視カメラ(上述した
図1において不図示)の映像をログに含めて顔情報登録サーバ6に送信してもよい。また、その場合、記録部335は、カメラ102によって撮影された映像をログに含めて顔情報登録サーバ6に送信してもよい。顔情報登録サーバ6に送信された映像は、ゲート42を不正に通過しようとして入域者、及び状況を事後に特定するために用いられる。
【0099】
以上で、顔認証ゲート装置2は、顔認証の処理を終了する。
【0100】
なお、本実施形態では、顔情報B1として、カメラ102によって撮影される2次元画像と、赤外線センサー103によって検知される3次元情報との両方が用いられる場合の一例について説明したが、これに限られない。顔情報B1として、当該2次元画像と、当該3次元情報とのうちいずれか一方のみが用いられてもよい。なお、セキュリティのレベルを高めるためには、顔情報B1として当該2次元画像と当該3次元情報との両方が用いられた方が、いずれか一方のみが用いられる場合に比べて好ましい。
【0101】
なお、顔情報B1としてカメラ102によって撮影される2次元画像のみが用いられる場合、顔認証装置3の構成から赤外線センサー103は省略されてよい。これに応じて、顔情報検知部31の構成から赤外線検知部311は省略されてよい。
同様に、顔情報B1として赤外線センサー103によって検知される3次元情報のみが用いられる場合、顔認証装置3の構成からカメラ102は省略されてよい。これに応じて、顔情報検知部31の構成から撮影部310は省略されてよい。
【0102】
なお、本実施形態では、登録顔情報C1が顔認証の処理の前の時期に予め記憶部34に記憶される場合の一例について説明したが、これに限られない。登録顔情報C1は、顔認証の処理の前の時期に予め記憶部34に記憶されていなくてもよい。その場合、上述したステップS140の処理において、顔認証部333は、顔情報登録サーバ6に予め記憶される登録顔情報C1のうちカード読取部30によって読み取られたIDカードが示す入域者の入域者識別情報A1に紐づけられた登録顔情報と、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1とを照合する。ここで顔認証部333は、顔情報登録サーバ6から当該入域者識別情報A1に紐づけられた登録顔情報を取得する。また、その場合、顔認証装置3の構成から登録顔情報更新部332は省略される。
【0103】
ただし、顔認証部333は、顔情報登録サーバ6から当該入域者識別情報A1に紐づけられた登録顔情報を取得する場合、顔認証装置3と顔情報登録サーバ6との通信に時間を要してしまう。顔認証に要する時間を短くするためには、登録顔情報C1は予め記憶部34に記憶されることが好ましい。
【0104】
なお、顔認証の処理は、顔情報登録サーバ6によって行われてもよい。その場合、顔認証装置3の構成のうち、顔認証部333が顔情報登録サーバ6に備えられる。
【0105】
なお、制御部33は、顔認証の結果を通知するため、当該画面の表示とともに音を用いて通知してもよい。または、制御部33は、当該画面の表示に代えて、音を用いて通知してもよい。顔認証の結果の通知に音のみが用いられる場合には、顔認証装置3の構成からディスプレイ104は省略されてよい。これに応じて、顔情報検知部31の構成から表示部32は省略されてよい。
【0106】
以上に説明したように、本実施形態に係る顔認証ゲートシステム(本実施形態において、顔認証ゲート装置2)は、ゲート装置4と、顔認証装置3と、を備える。
顔認証装置3は、カード読取部30と、顔情報検知部31と、顔認証部333と、ゲート開閉部334と、を備える。
カード読取部30は、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取る。
顔情報検知部31は、入域者の顔情報B1を検知する。
顔認証部333は、予め登録された登録顔情報C1のうちカード読取部30によって読み取られた前記IDカードが示す入域者の識別情報(本実施形態において、入域者識別情報A1)に紐づけられた登録顔情報と、顔情報検知部31によって検知された顔情報B1とを照合する。
ゲート開閉部334は、顔認証部333による照合の結果に応じて、ゲート装置4のゲート42の開閉を制御する。
【0107】
この構成により、本実施形態に係る顔認証ゲートシステム(本実施形態において、顔認証ゲート装置2)では、顔情報検知部によって検知された入域者の顔情報に基づいて顔認証を行うことができるため、放射線管理区域への立入のための照合を省力化することができる。本実施形態に係る顔認証ゲートシステムでは、放射線管理区域への立入のための照合における人的負荷を軽減できる。また、本実施形態に係る顔認証ゲートシステムでは、放射線管理区域への立入のための照合に要する時間を短縮できる。本実施形態に係る顔認証ゲートシステムでは、当該照合に要する時間は、2秒程度である。
【0108】
許可していない入域者を放射線管理区域に立入らせない措置を講じることが要求されているが、保安監視業務では、過去に照合確認不足で不適合が発生しており、人による入域者の照合は人的負担が大きい。入域者の数は、原子力発電所内の全てのサービス建屋で1日当たり延べ1500人程度と多いため、現場の省力化が求められていた。
また、他人のIDカードで原子力発電所の防護区域に不正入域する事例も発生している。従来のようにガードマンによる立入者照合によって不正入域を監視する場合は、ガードマンは不正入域を発生させてはならないとのプレッシャーにさらされてきた。
上述したように、本実施形態に係る顔認証ゲートシステムでは、放射線管理区域への立入のための照合を省力化できる。
【0109】
従来の入域管理システムでは、ガードマンによってIDカードに印刷された入域者の顔写真を目視で照合することが行われていた。従来の入域管理システムで用いられてきたIDカードとは、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードである。本実施形態に係る入域管理システム1では、従来の入域管理システムで用いられてきたIDカードが、IDカードとして用いられる。そのため、従来の入域管理システムを入域管理システム1によって置き換える場合、従来の入域管理システムで用いられてきたIDカードをそのまま用いることができるため、新たにIDカードを導入する必要がない。
【0110】
なお、上述した実施形態における顔認証装置3の一部の機能部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、顔認証装置3に内蔵されたコンピュータシステムであって、オペレーティングシステム(Operating system:OS)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における顔認証装置3の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。顔認証装置3の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0111】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…入域管理システム、2…顔認証ゲート装置、3…顔認証装置、4…ゲート装置、30…カード読取部、31…顔情報検知部、333…顔認証部、334…ゲート開閉部、A1…入域者識別情報、B1…顔情報、C1…登録顔情報
【要約】
【課題】放射線管理区域への立入のための照合を省力化することができること。
【解決手段】顔認証ゲートシステムは、ゲート装置と、顔認証装置と、を備え、顔認証装置は、放射線管理区域への立入許可の管理に用いられるIDカードを読み取るカード読取部と、入域者の顔情報を検知する顔情報検知部と、予め登録された登録顔情報のうちカード読取部によって読み取られたIDカードが示す入域者の識別情報に紐づけられた登録顔情報と、顔情報検知部によって検知された顔情報とを照合する顔認証部と、顔認証部による照合の結果に応じて、ゲート装置のゲートの開閉を制御するゲート開閉部と、を備える。
【選択図】
図1