(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】活動支援装置、活動支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20231031BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231031BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08B25/04 K
G08B21/02
(21)【出願番号】P 2022505688
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2020011124
(87)【国際公開番号】W WO2021181659
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】冨永 慎
(72)【発明者】
【氏名】生藤 大典
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-147439(JP,A)
【文献】特開2016-181896(JP,A)
【文献】特開2003-046423(JP,A)
【文献】特許第6379271(JP,B1)
【文献】特開2017-204841(JP,A)
【文献】特開平11-066477(JP,A)
【文献】特開2006-285643(JP,A)
【文献】特開2005-286531(JP,A)
【文献】特開2003-87361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
G08B 25/04
G08B 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業員の位置を取得する位置取得手段と、
災害現場の建物の境界を示す境界データを取得する境界データ取得手段と、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置が、前記境界を跨いで変化した後、一定時間
の間、前記作業員の位置
が取得されない場合、前記作業員が前記建物に侵入したと判定する侵入判定手段と、
を備える、活動支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の活動支援装置であって、
前記境界データは、前記建物への侵入が可能な出入り口の位置データを含み、
前記作業員が侵入したと判定された場合、前記作業員の侵入位置を特定する特定手段、
を備える、活動支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の活動支援装置であって、
前記作業員が侵入したと判定された後、時間を計測する計測手段と、
前記作業員が侵入したと判定された後、異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物から撤退したかを判定する撤退判定手段と、
前記作業員が前記建物から撤退していないと判定され、かつ、計測された時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告する警告手段と、
を備える、活動支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の活動支援装置であって、
前記位置取得手段は、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
活動支援装置。
【請求項5】
コンピュータが、
作業員の位置を取得し、
災害現場の建物の境界を示す境界データを取得し、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置が、前記境界を跨いで変化した後、一定時間
の間、前記作業員の位置
が取得されない場合、前記作業員が前記建物に侵入したと判定する、
活動支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載の活動支援方法であって、
前記境界データは、前記建物への侵入が可能な出入り口の位置データを含み、
前記作業員が侵入したと判定された場合、前記作業員の侵入位置を特定する、
活動支援方法。
【請求項7】
請求項5に記載の活動支援方法であって、
前記作業員が侵入したと判定された後、時間を計測し、
前記作業員が侵入したと判定された後、異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物から撤退したかを判定し、
前記作業員が前記建物から撤退していないと判定され、かつ、計測された時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告する、
活動支援方法。
【請求項8】
請求項5に記載の活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得する場合、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
活動支援方法。
【請求項9】
コンピュータに、
作業員の位置を取得させ、
災害現場の建物の境界を示す境界データを取得させ、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置が、前記境界を跨いで変化した後、一定時間
の間、前記作業員の位置
が取得されない場合、前記作業員が前記建物に侵入したと判定させる、
命令を含むプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記境界データは、前記建物への侵入が可能な出入り口の位置データを含み、
前記コンピュータに、
前記作業員が侵入したと判定された場合、前記作業員の侵入位置を特定させる、
命令を含む、プログラム。
【請求項11】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記作業員が侵入したと判定された後、時間を計測させ、
前記作業員が侵入したと判定された後、異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物から撤退したかを判定させ、
前記作業員が前記建物から撤退していないと判定され、かつ、計測された時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告させる、
命令を含む、プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載のプログラムであって、
前記作業員の位置を取得させる場合、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活動支援装置、活動支援方法、及び、それを実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害現場、例えば消防作業現場では、作業員が安全かつ効率よく作業を行えるように、指揮官が各作業員に対して無線で指示を出すことが行われる。指揮官は、各作業員に指示を出すために、各作業員の状態を把握する必要がある。特許文献1には、監視者が被監視者の位置を把握することができる装置が開示されている。特許文献1に記載の装置は、救助者の経度位置および緯度位置を受信すると、建物の見取図に、救助者の位置を示すマークを位置情報に基づいて重畳させて表示画面に出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1により、施設の外部から救助者の位置を把握することができる。しかしながら、この特許文献1では、救助者が建物の壁際にいる場合には、救助者が壁の内側(施設内)にいるのか、外側(施設外)にいるのかが把握するのが難しいことがある。このため、指揮官は、救助者が施設外に入るにもかかわらず、施設内にいるものと誤信し、その結果、誤った指示を出してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的の一例は、作業員が建物に侵入したかを判定できる、活動支援装置、活動支援方法、および、それを実現するためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における活動支援装置は、
災害現場の作業員の活動を支援する活動支援装置であって、
前記作業員の位置を取得する位置取得部と、
前記災害現場の建物の境界を示す境界データを取得する境界データ取得部と、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物に侵入したかを判定する、侵入判定部と、
を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における活動支援方法は、
災害現場の作業員の活動を支援する活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記災害現場の建物の境界を示す境界データを取得するステップと、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物に侵入したかを判定するステップと、
を備える。
【0008】
更に、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに、災害現場の作業員の活動を支援させる、プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記災害現場の建物の境界を示す境界データを取得するステップと、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物に侵入したかを判定するステップと、
を実行させる命令を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、災害現場の作業員が、建物に侵入したかを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態1の活動支援装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、活動支援装置の構成を具体的に説明するためのブロック図である。
【
図3】
図3は、建物への侵入判定の方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、作業員の侵入位置を通知する表示画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の活動支援装置の動作を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、実施形態2の活動支援装置の具体的構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、時間超過を警告する警告画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、時間超過を警告する警告画面の別の例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態2の活動支援装置の動作を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、実施形態1、2における活動支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1における活動支援装置、活動支援方法およびプログラムについて、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0012】
[装置構成]
図1は、本実施形態の活動支援装置10の構成を示すブロック図である。活動支援装置10は、火災現場などの災害現場での作業員の活動を支援する装置である。活動支援装置10は、位置取得部1と、境界データ取得部2と、侵入判定部3とを備えている。
【0013】
位置取得部1は、災害現場の作業員の位置を取得する。
【0014】
境界データ取得部2は、災害現場の建物の境界を示す境界データを取得する。境界データについては後述する。
【0015】
侵入判定部3は、異なるタイミングで取得された作業員の位置と、境界データとに基づいて、作業員が建物に侵入したかを判定する。
【0016】
この活動支援装置10は、災害現場の作業員が、建物に侵入したか否かを判定する。作業員を指揮する指揮官は、この判定結果から、作業員が建物内にいるか、建物外にいるかを把握することができる。これにより、指揮官は、作業員が建物内に侵入しているにもかかわらず、建物外にいるものと誤信して、作業員に誤った指示を出したりすることを回避できる。
【0017】
続いて、
図2~
図5を用いて、活動支援装置10の構成について具体的に説明する。
【0018】
図2は、活動支援装置10の構成を具体的に説明するためのブロック図である。
【0019】
以下の説明では、災害現場は火災現場とする。作業員は、火災現場で消火・救助活動をしており、各作業員を指揮する指揮官は、指揮所から各作業員に指示を出しているものとする。また、作業員は、携帯機器50を携帯し、指揮所には、表示装置51が設置されているものとする。
【0020】
活動支援装置10は、携帯機器50及び表示装置51と、データ通信が可能である。
【0021】
携帯機器50は、例えば、腕時計型のウェアラブル端末である。携帯機器50は、測位システムの測位信号を受信して、現在位置の位置データを取得する機能を有している。測位システムは、GPS、Galileo、GLONASSなどの、GNSS(Global Navigation Satellite System)である。
【0022】
表示装置51は、活動支援装置10から受信したデータを画面に表示する。表示装置51は、汎用のPC(パーソナルコンピュータ)であってもよいし、スマートフォン、タブレット型端末装置などであってもよい。活動支援装置10と、表示装置51とは一体に設けられていてもよい。また、活動支援装置10は、表示装置51と同じ場所に設けられていてもよいし、離れた位置に設けられていてもよい。
【0023】
活動支援装置10は、上記した位置取得部1、境界データ取得部2及び侵入判定部3に加えて、特定部4及び通知部5を備えている。
【0024】
位置取得部1は、携帯機器50から位置データを受信することで、火災現場での作業員の位置を取得する。なお、火災現場に複数の作業員がいて、各作業員が携帯機器50を携帯している場合、位置取得部1は、携帯機器50から作業員のIDを、位置データと共に受信するようにしてもよい。
【0025】
境界データ取得部2は、災害現場の建物の境界を示す境界データを取得する。境界データは、建物の内外の境界線の位置データであって、例えば、建物の外壁の位置データである。また、境界データは、建物への侵入が可能な窓、ドアなどの出入り口の位置データ(以下、出入り口データと言う)を含んでいる。
【0026】
境界データ取得部2は、例えば、指揮官により指定されたエリアの境界データを取得する。境界データ取得部2は、境界データを提供するサービス業者から境界データを取得してもよいし、予め境界データが記憶された記憶装置から取得してもよい。境界データを記憶する記憶装置は、活動支援装置10が備えていてもよいし、外部に設置されていてもよい。また、境界データは、建物の情報を含む災害現場の地図データから抽出されてもよい。
【0027】
侵入判定部3は、異なるタイミングで位置取得部1が取得した作業員の位置と、境界データ取得部2が取得した境界データとに基づいて、作業員が建物に侵入したかを判定する。
【0028】
図3は、建物への侵入判定の方法を説明するための図である。
【0029】
図3では、タイミングT1で取得された作業員の位置61と、タイミングT1より後のタイミングT2で取得された作業員の位置62とを示している。また、2つの作業員の位置61と位置62との間には、境界データに基づく境界線60を示している。
図3に示すように、タイミングT2で取得された作業員の位置62は、タイミングT1で取得された作業員の位置61から境界線60を跨いで変化している。この場合、侵入判定部3は、作業員は建物に侵入したと判定する。
【0030】
このとき、侵入判定部3は、作業員の位置が境界を跨いで変化した後、一定時間、境界を跨ぐ作業員の位置の変化がない場合、作業員が侵入したと判定するようにしてもよい。
図3で説明すると、位置取得部1により位置62が取得された後、一定時間の間、境界線60を跨いだ作業員の位置が取得されていない場合に、侵入判定部3は、作業員は建物に侵入したと判定する。GPSなどの測位信号は誤差が含まれることがある。このため、一度だけの判定では、誤った判定結果となるおそれがある。そこで、侵入判定部3は、上記のように判定することで、誤った判定を回避できる。
【0031】
図2に戻る。特定部4は、作業員が建物に侵入した場合、作業員の侵入位置を特定する。
図3を用いて説明すると、特定部4は、作業員の位置61と位置62とを結ぶ直線と、境界線60との交点付近を、作業員の侵入位置と特定する。特定部4は、境界データに含まれる出入り口データから、特定した侵入位置付近に、建物の出入り口があるか否かを判定する。出入り口がある場合、特定部4は、作業員は、その出入り口を、作業員の侵入位置として特定する。
【0032】
通知部5は、侵入判定部3の判定結果、及び、特定部4の特定結果を、指揮所に設置される表示装置51に画面を表示させることで、指揮官に通知する。
図4は、作業員の侵入位置を通知する表示画面の一例を示す図である。
図4は、作業員が建物に侵入したときの表示画面を示す。
【0033】
通知部5は、火災現場の地図データを表示装置51へ送信する。これにより、表示装置51には、火災現場の地図が表示される。また、通知部5は、作業員が建物内に侵入したこと、侵入後の作業員の位置、及び、特定された侵入位置を、表示装置51へ送信する。表示装置51には、建物に侵入後の作業員の位置を示すマーク55と、作業員の侵入位置を示すマーク56及び文字情報57とが表示される。
【0034】
なお、通知部5は、作業員が建物に侵入していないときに、作業員の位置データを随時表示装置51へ送信してもよい。この場合、指揮官は、作業員の位置をリアルタイムで把握できるようになる。そして、侵入判定部3の判定結果から、作業員の建物への侵入を、リアルタイムで把握できるようになる。また、通知部5は、他の作業員の携帯機器50にも、侵入判定部3の判定結果、及び、特定部4の特定結果を通知するようにしてもよい。
【0035】
さらに、予め指揮官が侵入位置を活動支援装置10に指定し、指定された侵入位置と、特定部4が特定した侵入位置とが異なる場合に、通知部5が、侵入した位置を通知するようにしてもよい。この場合、指揮官は、自身の意に反する作業員の行動を把握することができる。
【0036】
また、出入り口がない場合には、特定部4は、建物の壁を破壊して侵入したと特定してもよい。この場合、指揮官に通知することで、指揮官は、作業員の退避ルートとして、その位置を利用することができる。
【0037】
[装置動作]
次に、本実施形態における活動支援装置10の動作について
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の活動支援装置10の動作を示すフロー図である。また、本実施形態では、活動支援装置10を動作させることによって、活動支援方法が実施される。よって、本実施形態における活動支援方法の説明は、以下の活動支援装置10の動作説明に代える。
【0038】
境界データ取得部2は境界データを取得する(S1)。次に、位置取得部1は、携帯機器50が測位信号から取得した位置データを受信することで、作業員の位置を取得する。(S2)。侵入判定部3は、作業員が建物に侵入したか否かを判定する(S3)。
【0039】
侵入判定部3は、
図3で説明したように、S2で取得された位置(例えば、
図3の位置62)が、その前に実行されたS2で取得された位置(例えば、
図3の位置61)から、S1で取得された境界データの境界線(例えば、
図3の境界線60)を跨いで変化しているかを判定する。作業員が侵入していない場合(S3:NO)、火災現場での作業は終了しているか否かを判定する(S6)。火災現場での作業が終了していない場合(S6:NO)、S2の処理が実行される。火災現場での作業が終了した場合(S6:YES)、本処理は終了する。
【0040】
作業員が建物に侵入した場合(S3:YES)、特定部4は、侵入位置を特定する(S4)。そして、通知部5は、作業員が建物内に侵入したこと、侵入後の作業員の位置、及び、特定された侵入位置を通知する(S5)。通知部5は、例えば表示装置51へ、これらのデータを送信する。表示装置51に
図4に示す画面が表示されることで、作業員の建物内への侵入が指揮官に通知される。
【0041】
なお、上記説明では、災害現場は火災現場としたが、他の災害現場、例えば、地震で建物が倒壊した現場、ガス漏れが発生した現場などであってもよい。
【0042】
[プログラム]
本実施形態1におけるプログラムは、コンピュータに、
図5に示す各ステップを実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における活動支援装置10と活動支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、位置取得部1、境界データ取得部2、侵入判定部3、特定部4及び通知部5として機能し、処理を行なう。
【0043】
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、位置取得部1、境界データ取得部2、侵入判定部3、特定部4及び通知部5のいずれかとして機能してもよい。
【0044】
また、コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0045】
[実施形態1における効果]
本実施形態の活動支援装置10によると、作業員が、建物に侵入したかを判定できる。この判定結果を指揮官に通知することで、指揮官は、作業員が建物外に入るにもかかわらず、建物内にいるものと誤信して、不適切な指示を出してしまうおそれを回避できる。また、判定結果を、災害現場にいる他の作業員に通知することで、他の作業員は、他の現場の状況を把握し易くなる。
【0046】
(実施形態2)
次に本発明の実施形態2における、活動支援装置、活動支援方法、及びプログラムについて、
図6~
図9を参照しながら説明する。
【0047】
図6は、本実施形態の活動支援装置20の具体的構成を示すブロック図である。
【0048】
活動支援装置20は、実施形態1で説明した、位置取得部1、境界データ取得部2、侵入判定部3、特定部4及び通知部5に加え、計測部6、撤退判定部7及び警告部8を備えている。位置取得部1、境界データ取得部2、侵入判定部3、特定部4及び通知部5は、実施形態1と同じであるため、その説明は省略する。
【0049】
計測部6は、侵入判定部3が、作業員が建物に侵入したと判定した後、時間を計測する。つまり、計測部6は、作業員が建物内へ継続して侵入している時間を計測するタイマである。
【0050】
撤退判定部7は、侵入判定部3が、作業員が建物に侵入したと判定した後、作業員が建物から撤退したかを判定する。撤退判定部7は、侵入判定部3と同様、異なるタイミングで取得された作業員の位置と、境界データとに基づいて、判定する。
図3を用いて説明すると、タイミングT1で取得された作業員の位置61は、建物内であるものとする。そして、撤退判定部7は、タイミングT1より後のタイミングT2で取得された作業員の位置62が、位置61から境界線60を跨いで変化している場合、作業員は建物から撤退したと判定する。
【0051】
警告部8は、撤退判定部7が、作業員が建物から撤退していないと判定し、かつ、計測部6が計測した時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告する。警告部8は、表示装置51を介して指揮官に警告してもよいし、携帯機器50を介して作業員に警告してもよい。所定時間は、予め決められた時間であってもよいし、警告内容によって適宜変更されてもよい。以下に、警告内容によって所定時間を決定する場合について説明する。
【0052】
作業員が所持している空気呼吸器の空気残量に関する警告を行う場合、所定時間は、空気呼吸器の空気残量に基づいて決定される。火災現場での活動時間は、作業員が所持している空気呼吸器の空気残量によって制限される。そこで、活動支援装置20は、空気呼吸器から直接、又は、携帯機器50を介して、空気呼吸器の空気残量を取得する。そして、活動支援装置20は、現在の空気残量から、継続して使用されたときに30%となるまでの時間を推定し、その推定時間を所定時間とする。なお、30%は一例である。作業員が建物内に継続している時間が、その所定時間を超えると、警告部8は、空気呼吸器の空気が底を尽き、作業員に危険が及ぶおそれがあるとして警告する。
図7は、時間超過を警告する警告画面の一例を示す図である。
【0053】
また、作業員の身体状況に関する警告を行う場合、所定時間は、作業員の生体情報に基づいて決定される。作業員の体温が異常に高い、又は、発汗量が多いなどの場合、火災現場での長時間の作業は、作業員に危険を及ぼす。そこで、活動支援装置20は、作業員の発汗量、又は、体温を携帯機器50から取得して、作業員が身体的に活動可能な時間を、経験則から予め設定されたルールなどから推定し、その推定時間を所定時間とする。作業員が建物内に継続している時間が、その所定時間を超えると、警告部8は、作業員の身体が危険であるとして警告する。
図8は、時間超過を警告する警告画面の別の例を示す図である。
【0054】
なお、警告部8による警告は、音声により行ってもよい。また、警告部8は、携帯機器50から、作業員に警告してもよい。
【0055】
[装置動作]
次に、本実施形態における活動支援装置20の動作について
図9を用いて説明する。
図9は、活動支援装置20の動作を示すフロー図である。また、本実施形態では、活動支援装置20を動作させることによって、活動支援方法が実施される。よって、本実施形態における活動支援方法の説明は、以下の活動支援装置20の動作説明に代える。
【0056】
S11~S16は、実施形態1の
図5に示すS1~S6と同じである。すなわち、境界データ取得部2は境界データを取得する(S11)。次に、位置取得部1は、携帯機器50が測位信号から取得した位置データを受信することで、作業員の位置を取得する。(S12)。侵入判定部3は、作業員が建物に侵入したか否かを判定する(S13)。作業員が侵入していない場合(S13:NO)、火災現場での作業は終了したか否かを判定する(S16)。火災現場での作業が終了していない場合(S16:NO)、S12の処理が実行される。火災現場での作業が終了した場合(S16:YES)、本処理は終了する。作業員が建物に侵入した場合(S13:YES)、特定部4は、侵入位置を特定する(S14)。そして、通知部5は、作業員が建物内に侵入したこと、侵入後の作業員の位置、及び、特定された侵入位置を通知する(S15)。
【0057】
次に、撤退判定部7は、建物に侵入した作業員が建物から撤退したかを判定する(S17)。退避していない場合(S17:NO)、計測部6は、作業員が建物内に継続して侵入している時間を計測する(S18)。警告部8は、計測した時間が所定時間を超えているか否かを判定する(S19)。所定時間が経過していない場合(S19:NO)、S17の処理が実行される。所定時間が経過した場合(S19:YES)、警告部8は、活動時間超過を警告する(S20)。そして、S17の処理が実行される。S17で、作業者は退避していると判定された場合(S18:YES)、S16の処理が実行される。
【0058】
[プログラム]
本実施形態2におけるプログラムは、コンピュータに、
図9に示す各ステップを実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、本実施形態における活動支援装置20と活動支援方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、位置取得部1、境界データ取得部2、侵入判定部3、特定部4、通知部5、計測部6、撤退判定部7、及び警告部8として機能し、処理を行なう。
【0059】
また、本実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、位置取得部1、境界データ取得部2、侵入判定部3、特定部4、通知部5、計測部6、撤退判定部7、及び警告部8のいずれかとして機能してもよい。
【0060】
また、コンピュータとしては、汎用のPCの他に、スマートフォン、タブレット型端末装置が挙げられる。
【0061】
[実施形態2における効果]
本実施形態の活動支援装置20によると、作業員が、建物に侵入したかを判定できる。この判定結果を指揮官に通知することで、指揮官は、作業員が建物外に入るにもかかわらず、建物内にいるものと誤信して、不適切な指示を出してしまうおそれを回避できる。また、判定結果を、災害現場にいる他の作業員に通知することで、他の作業員は、他の現場の状況を把握し易くなる。さらに、活動支援装置20は、作業者が長時間建物内に侵入し続けているときに警告することで、作業員に及ぶ危険を回避させることができる。
【0062】
(物理構成)
ここで、実施形態1、2におけるプログラムを実行することによって、活動支援装置を実現するコンピュータについて
図10を用いて説明する。
図10は、本発明の実施形態1、2における活動支援装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0063】
図10に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、またはCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。
【0064】
CPU111は、記憶装置113に格納された、実施形態1、2におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性の記憶装置である。また、実施形態1、2におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、実施形態1、2におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0065】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置が挙げられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボードおよびマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0066】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、およびコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0067】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))およびSD(Secure Digital)等の汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)等の磁気記録媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体が挙げられる。
【0068】
なお、実施形態における活動支援装置は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェアを用いることによっても実現可能である。更に、活動支援装置は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。
【0069】
上述した実施形態1、2の構成は、適宜組み合わせが可能である。また、上述した実施形態1、2の一部または全部は、以下に記載する(付記1)~(付記18)によって表現することができるが、以下の記載に限定されるものではない。
【0070】
(付記1)
災害現場の作業員の活動を支援する活動支援装置であって、
前記作業員の位置を取得する位置取得部と、
前記災害現場の建物の境界を示す境界データを取得する境界データ取得部と、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物に侵入したかを判定する、侵入判定部と、
を備える、活動支援装置。
【0071】
(付記2)
付記1に記載の活動支援装置であって、
前記侵入判定部は、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置が、前記境界を跨いで変化している場合、前記作業員が侵入したと判定する、
活動支援装置。
【0072】
(付記3)
付記2に記載の活動支援装置であって、
前記侵入判定部は、
前記作業員の位置が前記境界を跨いで変化した後、一定時間、前記境界を跨ぐ前記作業員の位置の変化がない場合、前記作業員が侵入したと判定する、
活動支援装置。
【0073】
(付記4)
付記1から付記3のいずれか一つに記載の活動支援装置であって、
前記境界データは、前記建物への侵入が可能な出入り口の位置データを含み、
前記作業員が侵入したと判定された場合、前記作業員の侵入位置を特定する、特定部、
を備える、活動支援装置。
【0074】
(付記5)
付記1から付記4のいずれか一つに記載の活動支援装置であって、
前記作業員が侵入したと判定された後、時間を計測する計測部と、
前記作業員が侵入したと判定された後、異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物から撤退したかを判定する撤退判定部と、
前記作業員が前記建物から撤退していないと判定され、かつ、計測された時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告する警告部と、
を備える、活動支援装置。
【0075】
(付記6)
付記1から付記5のいずれか一つに記載の活動支援装置であって、
前記位置取得部は、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
活動支援装置。
【0076】
(付記7)
災害現場の作業員の活動を支援する活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記災害現場の建物の境界を示す境界データを取得するステップと、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物に侵入したかを判定するステップと、
を備える、活動支援方法。
【0077】
(付記8)
付記7に記載の活動支援方法であって、
前記建物に侵入したかを判定するステップでは、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置が、前記境界を跨いで変化している場合、前記作業員が侵入したと判定する、
活動支援方法。
【0078】
(付記9)
付記8に記載の活動支援方法であって、
前記建物に侵入したかを判定するステップでは、
前記作業員の位置が前記境界を跨いで変化した後、一定時間、前記境界を跨ぐ前記作業員の位置の変化がない場合、前記作業員が侵入したと判定する、
活動支援方法。
【0079】
(付記10)
付記7から付記9のいずれか一つに記載の活動支援方法であって、
前記境界データは、前記建物への侵入が可能な出入り口の位置データを含み、
前記作業員が侵入したと判定された場合、前記作業員の侵入位置を特定するステップ、
を備える、活動支援方法。
【0080】
(付記11)
付記7から付記10のいずれか一つに記載の活動支援方法であって、
前記作業員が侵入したと判定された後、時間を計測するステップと、
前記作業員が侵入したと判定された後、異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物から撤退したかを判定するステップと、
前記作業員が前記建物から撤退していないと判定され、かつ、計測された時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告するステップと、
を備える、活動支援方法。
【0081】
(付記12)
付記7から付記11のいずれか一つに記載の活動支援方法であって、
前記作業員の位置を取得するステップでは、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
活動支援方法。
【0082】
(付記13)
コンピュータに、災害現場の作業員の活動を支援させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記作業員の位置を取得するステップと、
前記災害現場の建物の境界を示す境界データを取得するステップと、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物に侵入したかを判定するステップと、
を実行させる命令を含むプログラム。
【0083】
(付記14)
付記13に記載のプログラムであって、
前記建物に侵入したかを判定するステップでは、
異なるタイミングで取得された前記作業員の位置が、前記境界を跨いで変化している場合、前記作業員が侵入したと判定する、
プログラム。
【0084】
(付記15)
付記14に記載のプログラムであって、
前記建物に侵入したかを判定するステップでは、
前記作業員の位置が前記境界を跨いで変化した後、一定時間、前記境界を跨ぐ前記作業員の位置の変化がない場合、前記作業員が侵入したと判定する、
プログラム。
【0085】
(付記16)
付記13から付記15のいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記境界データは、前記建物への侵入が可能な出入り口の位置データを含み、
前記コンピュータに、
前記作業員が侵入したと判定された場合、前記作業員の侵入位置を特定するステップ、
を実行させる命令を含む、プログラム。
【0086】
(付記17)
付記13から付記16のいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記作業員が侵入したと判定された後、時間を計測するステップと、
前記作業員が侵入したと判定された後、異なるタイミングで取得された前記作業員の位置と、前記境界データとに基づいて、前記作業員が前記建物から撤退したかを判定するステップと、
前記作業員が前記建物から撤退していないと判定され、かつ、計測された時間が所定時間を超えている場合、活動時間超過を警告するステップと、
を実行させる命令を含む、プログラム。
【0087】
(付記18)
付記13から付記17のいずれか一つに記載のプログラムであって、
前記作業員の位置を取得するステップでは、測位システムからの測位信号に基づく位置を取得する、
プログラム。
【符号の説明】
【0088】
1 位置取得部
2 境界データ取得部
3 侵入判定部
4 特定部
5 通知部
6 計測部
7 撤退判定部
8 警告部
10 活動支援装置
20 活動支援装置
50 携帯機器
51 表示装置
55 マーク
56 マーク
57 文字情報
60 境界線
61 位置
61 位置
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス