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特許7375912捜索情報提供システムおよび捜索情報提供方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】捜索情報提供システムおよび捜索情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/24 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B66B23/24 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022507997
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2020012441
(87)【国際公開番号】W WO2021186712
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】世古 和希
(72)【発明者】
【氏名】小島 健史
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 稔郎
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/063708(WO,A1)
【文献】特開2003-184381(JP,A)
【文献】特開2005-128634(JP,A)
【文献】特開平10-275211(JP,A)
【文献】国際公開第2009/090724(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00 - 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口から出口に向かって移動することによって人を搬送する搬送部材の移動に伴って移動しながら前記人を補助する往き部分と、前記出口から前記入口に向かう方向に移動している戻り部分とを通る循環経路で循環する手すり部材に付いた前記人の指紋の痕が撮影されている撮影画像における前記人の指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合する照合手段と、
前記手すり部材における前記人の指紋の画像が前記捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、前記捜索対象者を検知したことを表す情報を予め定められた報告先に向けて出力する出力手段と
有する捜索情報提供装置を備え、
前記手すり部材に付いた前記人の指紋の痕を前記循環経路の前記戻り部分で撮影し前記捜索情報提供装置に前記人の指紋の画像を供給する指紋撮影装置をさらに備える
捜索情報提供システム
【請求項2】
前記捜索情報提供装置の前記出力手段は、前記捜索対象者を検知したことを表す情報として、前記捜索対象者を識別する情報と、前記人の指紋の画像が撮影された撮影時刻を表す時間情報と、撮影された場所を表す情報とを出力する請求項1に記載の捜索情報提供システム
【請求項3】
前記手すり部材における前記人の指紋の痕を発光させる発光薬を、前記指紋撮影装置により撮影される前記循環経路の部分よりも手前側の部分で前記手すり部材に付着する付着装置と、
前記手すり部材における前記指紋撮影装置により撮影される部分に向けて、前記発光薬を発光させる光を照射する照射装置と、
前記手すり部材に付いている前記人の指紋の痕および前記発光薬を、前記指紋撮影装置により撮影される前記循環経路の部分を通った後の部分で取り除く除去装置と
をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の捜索情報提供システム。
【請求項4】
前記付着装置と前記照射装置と前記指紋撮影装置と前記除去装置は、同じ筐体内に収納されている請求項に記載の捜索情報提供システム。
【請求項5】
前記搬送部材で搬送されている人を撮影する人物撮影装置をさらに備え、
前記捜索情報提供装置は、
前記指紋撮影装置により撮影された前記指紋の画像と、当該画像に撮影されている指紋を持つ人の前記人物撮影装置により撮影された画像とを関連付ける紐付け手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記手すり部材における前記人の指紋の画像が前記捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、前記捜索対象者の指紋の画像と一致した前記人の指紋の画像に、前記紐付け手段によって関連付けられている前記人の画像を前記報告先に出力する機能をさらに備える請求項乃至請求項の何れか一項に記載の捜索情報提供システム。
【請求項6】
捜索情報提供装置に備えられているコンピュータによって、
入口から出口に向かって移動することによって人を搬送する搬送部材の移動に伴って移動しながら前記人を補助する往き部分と、前記出口から前記入口に向かう方向に移動している戻り部分とを通る循環経路で循環する手すり部材に付いた前記人の指紋の痕が撮影されている撮影画像における前記人の指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合し、
前記手すり部材における前記人の指紋の画像が前記捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、前記捜索対象者を検知したことを表す情報を予め定められた報告先に向けて出力し、
また、前記人の指紋の画像を、指紋撮影装置によって、前記手すり部材に付いた前記人の指紋の痕を前記循環経路の前記戻り部分で撮影する
捜索情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の捜索に有効な情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人を捜索する際に、監視カメラの映像を利用する場合がある。特許文献1には、エレベータのかごの内部、あるいは、かごが停止する階のかごの乗降口を撮影するカメラにより撮影された人物の顔データを利用して、指名手配犯を検知する技術が開示されている。
【0003】
なお、特許文献2には、入室者を搬送する循環型搬送装置に設置された生体情報センサーによって入室者の生体情報を読み取り、当該読み取った生体情報を利用して建物などの入り口部分に設けられたゲートの開閉を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2009/090724号
【文献】特開2003-184381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
人を捜索する際に、特許文献1に示されているようなエレベータのかごの内部、あるいは、かごの乗降口を撮影するカメラだけでなく、街中に設置されている監視カメラや、駅の構内に設置されている監視カメラなどの撮影画像をも利用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、捜索対象者が監視カメラの撮影範囲内を通過したとしても、その通過した部分が柱の影になる部分というような監視カメラの死角であると、監視カメラの映像に捜索対象者が映らないという問題がある。
【0007】
本発明の主な目的は、監視カメラの映像とは異なる情報であって人の捜索に有効な情報を提示可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る捜索情報提供装置は、その一形態として、
入口から出口に向かって移動することによって人を搬送する搬送部材の移動に伴って移動しながら前記人を補助する往き部分と、前記出口から前記入口に向かう方向に移動している戻り部分とを通る循環経路で循環する手すり部材に付いた前記人の指紋の痕が撮影されている撮影画像における前記人の指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合する照合部と、
前記手すり部材における前記人の指紋の画像が前記捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、前記捜索対象者を検知したことを表す情報を予め定められた報告先に向けて出力する出力部と
を備える。
【0009】
本発明に係る捜索情報提供システムは、その一形態として、
上述したような捜索情報提供装置と、
前記手すり部材に付いた前記人の指紋の痕を前記循環経路の前記戻り部分で撮影し前記捜索情報提供装置に前記人の指紋の画像を供給する指紋撮影装置と
を備える。
【0010】
本発明に係る捜索情報提供方法は、その一形態として、
入口から出口に向かって移動することによって人を搬送する搬送部材の移動に伴って移動しながら前記人を補助する往き部分と、前記出口から前記入口に向かう方向に移動している戻り部分とを通る循環経路で循環する手すり部材に付いた前記人の指紋の痕が撮影されている撮影画像における前記人の指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合し、
前記手すり部材における前記人の指紋の画像が前記捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、前記捜索対象者を検知したことを表す情報を予め指定された報告先に出力する。
【0011】
本発明に係るプログラム記憶媒体は、その一形態として、
入口から出口に向かって移動することによって人を搬送する搬送部材の移動に伴って移動しながら前記人を補助する往き部分と、前記出口から前記入口に向かう方向に移動している戻り部分とを通る循環経路で循環する手すり部材に付いた前記人の指紋の痕が撮影されている撮影画像における前記人の指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合する処理と、
前記手すり部材における前記人の指紋の画像が前記捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、前記捜索対象者を検知したことを表す情報を予め指定された報告先に出力する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、監視カメラの映像とは異なる情報であって人の捜索に有効な情報を提示可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る第1実施形態の捜索情報提供システムおよび捜索情報提供装置の構成を表す図である。
図2】第1実施形態の捜索情報提供装置の動作例を説明するフローチャートである。
図3】第2実施形態の捜索情報提供装置の構成を説明する図である。
図4】第3実施形態の捜索情報提供装置の構成を説明する図である。
図5】第4実施形態の捜索情報提供システムの構成を表す図である。
図6】第4実施形態の捜索情報提供装置の構成を表す図である。
図7】第4実施形態の捜索情報提供装置の動作例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る第1実施形態の捜索情報提供システムの構成を表す図である。第1実施形態の捜索情報提供システム1は、エスカレータ14の手すり部材16に付いた人の指紋の痕を利用して、捜索対象者の捜索に有効な情報を提供するシステムである。エスカレータ14は、搬送部材15と、手すり部材16とを備えている。搬送部材15は、搬送対象である人17を乗せる入口から出口に向かう方向に移動することによって、搬送部材15に乗っている人17を入口側から出口側に搬送可能な構成を備えている。手すり部材16は、搬送部材15の移動に伴って移動しながら搬送部材15に乗っている人17を補助する部材である。手すり部材16は、入口から出口に向かう方向に移動する往き部分と、出口から入口に向かう方向に移動する戻り部分とを通る循環経路で循環する。なお、図1では、エスカレータ14は昇り方向に人を搬送しているが、エスカレータ14は、降り方向に人を搬送する場合も有る。降り方向に人を搬送する場合には、手すり部材16の移動方向(循環方向)は、図1とは逆向きになる。
【0016】
第1実施形態の捜索情報提供システム1は、指紋取得装置3と、捜索情報提供装置4と、データベース5とを備えている。指紋取得装置3は、手すり部材16に付いた人の指紋の痕を撮影し、人の指紋が撮影されている撮影画像を出力する構成を備えている。指紋取得装置3の構成は、手すり部材16に付いた人の指紋の痕を撮影し、人の指紋が撮影されている撮影画像を出力できれば、限定されるものではないが、その一例を次に説明する。例えば、指紋取得装置3は、付着装置31と、照射装置32と、指紋撮影装置33と、除去装置34とを備えている。
【0017】
指紋撮影装置33は、例えば動画を撮影するビデオカメラである。指紋撮影装置33は、手すり部材16の循環経路における出口から入口に向かう戻り部分を通っている手すり部材16に向き合って当該手すり部材16の表面に付いている人の指紋の痕を撮影可能な位置に設置されている。つまり、手すり部材16は、エスカレータ14の入口から出口に向かう往き部分を通っている際に、搬送部材15に乗っている人17により把持されることによって、その表面に人17の指紋の痕が付くことが想定される。エスカレータ14の出口に達した人17が搬送部材15から降りることにより手を外した手すり部材16の部分(つまり、指紋の痕が付いている部分)は、その移動の向きを出口から入口に向かう方向に変える。そして、この手すり部材16の部分は、例えば戻り部分を通っている手すり部材16の部位などを覆うカバー部材(図示せず)の内部を移動していく。このように、戻り部分を通っている手すり部材16の部位がカバー部材により覆われることにより、当該戻り部分で手すり部材16に新たに人の指紋が付くことが回避される。
【0018】
指紋撮影装置33は、手すり部材16が往き部分を通っている際に人17によって把持されることにより付いた指紋の痕を、手すり部材16の戻り部分で撮影する。指紋撮影装置33により撮影される手すり部材16の部分は、照射装置32から放射された光によって照射される。指紋撮影装置33は、その照射装置32から放射される光の波長を持つ光を撮影可能な撮影装置である。
【0019】
指紋撮影装置33は、捜索情報提供装置4と接続しており、撮影画像を捜索情報提供装置4に出力する。指紋撮影装置33は、捜索情報提供装置4に出力する撮影画像に、例えば、撮影時刻を表す時間情報と、撮影した場所を表す情報とを関連付ける機能を備えている。撮影した場所を表す情報としては、例えば、撮影した指紋撮影装置33を識別する情報や、撮影したエスカレータ14(手すり部材16)の設置場所を表す情報などがある。
【0020】
なお、手すり部材16は、帯状の上面部分と、その両側の側面部分とを備えていることが多い。また、手すり部材16を把持している手の指は、手すり部材16の側面部分を押圧することが多いと想定される。これらのことから、指紋撮影装置33は、そのような手すり部材16の少なくとも一方の側面部分(右手で把持されると想定される場合には、手すり部材16の移動方向を向いた場合に右側の側面部分、左手で把持する場合にはその左右反対側の側面部分)を撮影する。さらに、例えば複数の指紋撮影装置33を設けることにより、手すり部材16の上面部分およびその両側の側面部分の撮影画像を取得可能な構成が指紋取得装置3に設けられてもよい。
【0021】
さらにまた、指紋撮影装置33の撮影範囲は、例えば人の手の標準的な大きさとされる大きさに基づいた大きさと成している。このような撮影範囲は、指紋撮影装置33により撮影された撮影画像に、複数人の指紋が撮影されることを抑制する。
【0022】
付着装置31は、指紋撮影装置33によって人の指紋の痕が明瞭に撮影されるように、手すり部材16に付いた人の指紋の痕を発光させる発光薬を、指紋撮影装置33により撮影される循環経路部分よりも手前側の部分で手すり部材16に付着する構成を備えている。発光薬は、例えば、指から分泌され指の表面に付着している分泌物と反応することにより、紫外線や赤外線や可視光における特定の波長の光を照射した際に発光する蛍光試薬が用いられる。
【0023】
照射装置32は、前述したように、指紋撮影装置33により撮影される手すり部材16の部分に光を照射する装置である。照射装置32から放射される光は、付着装置31によって手すり部材16に付着され、かつ、指からの分泌物による指紋の痕に反応している発光薬を発光させる波長を持つ光である。
【0024】
上述したような付着装置31による発光薬と、照射装置32による光の照射とによって、単に可視光によって手すり部材16の表面を撮影する場合に比べて、指紋撮影装置33による明瞭な指紋の画像が得られる。
【0025】
除去装置34は、指紋撮影装置33により撮影される手すり部材16の循環経路部分よりも後ろの循環経路部分で、手すり部材16の表面に付着している発光薬および指紋の痕を除去する装置である。例えば、除去装置34は、動いている手すり部材16の表面に、洗剤が含まれている布を押し付けることにより、その布によって発光薬や指紋の痕を拭き取る構成を備える。除去装置34により、発光薬や指紋の痕が除去された手すり部材16の部分が、入口から出口に向かう往き部分に向かうことになる。このため、エスカレータ14から降りた人の指紋の痕に、新たにエスカレータ14に乗ってきた人の指紋の痕が重なって付いてしまうことがなくなり、指紋の痕の重なりにより指紋を判別できないという事態が抑制される。
【0026】
第1実施形態では、上述したような指紋取得装置3を構成する付着装置31と照射装置32と指紋撮影装置33と除去装置34とは同じ筐体35の内部に収納されている。この構成は、付着装置31と、照射装置32と、指紋撮影装置33と、除去装置34とが別個独立である場合に比べて、指紋取得装置3を設置する工事の作業効率を向上させるという効果が得られる。
【0027】
データベース5は、記憶装置であり、指紋の画像が当該指紋を持つ人を識別する情報(以下、個人識別情報とも称する)と関連付けられて格納されている。第1実施形態では、データベース5には、捜索対象者を含む複数人の指紋の画像が予め格納されている。このような個人情報である指紋の画像が格納されているデータベース5は、例えば、警察により保有されている。
【0028】
捜索情報提供装置4は、例えばコンピュータ装置(サーバ)により構成され、指紋取得装置3から指紋の撮影画像を受信すると、当該撮影画像を利用して、捜索対象者の捜索に有効な情報を生成して出力する機能を備える。すなわち、捜索情報提供装置4は、演算装置10と、記憶装置11とを備えている。記憶装置11は、データやコンピュータプログラム(以下、プログラムとも称する)12を記憶する記憶媒体である。記憶媒体には様々な種類があり、記憶装置11は、何れの記憶媒体により構成されてもよい。また、捜索情報提供装置4には、複数種の記憶媒体が備えられていてもよく、この場合には、複数種の記憶媒体をまとめて記憶装置11として表すこととする。記憶装置11の構成および動作の説明は省略する。
【0029】
演算装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサを備えている。プロセッサは、記憶装置11に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、当該プログラムに基づいた様々な機能を持つことができる。例えば、第1実施形態では、演算装置10は、照合部20と、出力部21という機能部を有している。
【0030】
照合部20は、指紋取得装置3の指紋撮影装置33から受信した撮影画像に指紋が撮影されているか否かを例えば予め与えられている指紋検知用の指紋パターンを利用して判断する機能を備える。ここでは、照合部20は、指紋撮影装置33から受信した撮影画像を構成する全てのフレーム画像について指紋の有無を判断するのではなく、フレーム画像を時系列で並べた場合に、予め定めた枚数毎の処理対象のフレーム画像について指紋の有無を判断する。例えば、指紋の有無を判断するために選択された処理対象のフレーム画像に撮影されている手すり部材16を撮影順に並べた場合に、重複撮影されている部分が許容範囲内の大きさとなるように、処理対象のフレーム画像が選択される。つまり、フレーム画像を時系列で並べた場合に、処理対象として選択されるフレーム画像間の間隔(枚数)は、手すり部材16の移動速度と、指紋撮影装置33の撮影範囲とに基づいて、上述したように決定される。
【0031】
さらに、照合部20は、撮影画像(処理対象のフレーム画像)に指紋が撮影されている場合には、撮影画像から、指紋が撮影されている画像部分を抽出する機能を備える。抽出した画像部分には、撮影画像に関連付けられている情報(撮影時刻を表す時間情報と、撮影した場所を表す情報)と同じ情報が関連付けられる。
【0032】
なお、撮影画像に複数の指紋が撮影されている場合には、照合部20は、撮影画像から、指紋がそれぞれ撮影されている複数の画像部分を抽出する。抽出した複数の画像部分には、抽出元の撮影画像(フレーム画像)に関連付けられている同じ情報(撮影時刻を表す時間情報と、撮影した場所を表す情報)が関連付けられる。また、照合部20により抽出された画像部分は、撮影時刻を表す時間情報と、撮影した場所を表す情報とが関連付けられた状態で、例えば、データベース5、あるいは、データベース5とは別個のデータベース(図示せず)に格納される。
【0033】
さらにまた、照合部20は、抽出した画像部分(以下、受信指紋画像とも称する)を、データベース5に格納されている指紋の画像(以下、格納指紋画像とも称する)と照合し、受信指紋画像に合致する格納指紋画像が有るか否かを判断する機能を備える。第1実施形態では、照合部20は、データベース5に格納されている全ての格納指紋画像と、受信指紋画像とを照合するのではなく、捜索対象者として予め指定されている人の個人識別情報に関連付けられている格納指紋画像と、受信指紋画像とを照合する。捜索対象者として予め指定される人の情報は、例えばユーザが、情報を入力する入力装置(図示せず)を操作することにより、捜索情報提供装置4に入力され保持される。なお、画像を照合して合致する画像が有るか否かを判断する手法には、指紋認証の分野で利用される手法を含めて様々な手法があり、ここでは、その手法は限定されず、当該手法の説明は省略される。また、上述したように、照合部20は、データベース5の情報(つまり、外部への提供ができない個人情報)を利用することから、捜索情報提供装置4は、データベース5と同様に、警察により保有されて管理される。
【0034】
出力部21は、照合部20によって受信指紋画像に合致する捜索対象者の格納指紋画像がある(換言すれば、受信指紋画像が捜索対象者の格納指紋画像に合致する)と判断されると、捜索対象者の検知情報を報告先装置7に向けて出力する機能を備える。捜索対象者の検知情報とは、捜索対象者を検知したことを表す情報であり、第1実施形態では、受信指紋画像が撮影された撮影時刻を表す時間情報および撮影された場所を表す情報を含む。さらに、捜索対象者の検知情報は、受信指紋画像に合致する格納指紋画像に関連付けられている個人識別情報(つまり、捜索対象者を識別する個人識別情報)をも含む。このような捜索対象者の検知情報は、報告先装置7に向けて出力され、また、記憶装置11に格納される。
【0035】
出力部21が捜索対象者の検知情報を出力する報告先である報告先装置7は、予め定められている。報告先装置7の具体例としては、例えば、警察関係者が保有して利用するコンピュータ装置がある。このような報告先装置7において、捜索対象者の検知情報を受信すると、捜索対象者が検知されたことを、ディスプレイ装置により視覚的に、また、スピーカにより聴覚的に、施設内を監視している監視者に向けて報知する。また、報告先装置7には、捜索対象者の個人識別情報に関連付けられている捜索対象者の氏名などの個人情報(個人を特定する情報)が予め与えられている。報告先装置7は、捜索対象者の検知情報を受信した場合には、捜索対象者が検知されたことを報知するだけでなく、検知された捜索対象者の氏名などをも報知してもよい。すなわち、報告先装置7によって、捜索対象者の捜索に有効な情報が例えば警察関係者に報知(提供)される。
【0036】
ところで、同じ施設内の別々の場所に、それぞれ、複数のエスカレータ14が設置されているとする。このような場合に、それらエスカレータ14のそれぞれに対応する指紋取得装置3が設置され、さらに、それら指紋取得装置3にそれぞれ接続する、あるいは、それら指紋取得装置3に共通に接続する捜索情報提供装置4が設けられてもよい。さらにまた、捜索対象者が、施設内に入ってから出るまでの間に、当該施設内における複数のエスカレータ14を利用したとする。このような場合には、報告先装置7には、捜索対象者による複数のエスカレータ14の利用に起因した捜索対象者の複数の検知情報が送信されてくることになる。これにより、報告先装置7では、それら捜索対象者の複数の検知情報を利用して、施設内に入ってから出るまでの捜索対象者の軌跡をたどることが可能である。なお、捜索対象者が施設に入ったことと、施設から出たこととは、例えば、捜索対象者の予め与えられている顔画像と、施設の出入り口を出入りする人の顔画像が撮影されている撮影画像とを利用して検知可能である。
【0037】
さらにまた、報告先装置7は、街中や建物や駅の構内などに設けられている複数のエスカレータ14のそれぞれに対応させて設置されている複数の指紋取得装置3に、それぞれ、あるいは、共通に接続されている捜索情報提供装置4と接続されていてもよい。この場合には、報告先装置7は、捜索情報提供装置4から送信されてくる捜索対象者の複数の検知情報を利用して、施設内に限定されず、より広範囲において、捜索対象者の軌跡をたどることが可能になる。なお、捜索情報提供装置4とデータベース5と報告先装置7の設置場所は、警察の施設に限定されず、例えば、エスカレータ14が設置されている施設に設けられている警察分室であってもよい。
【0038】
以下に、第1実施形態における捜索情報提供装置4における情報提供に係る動作の一例を図2を利用して説明する。なお、図2は、捜索情報提供装置4の演算装置10が実行する動作(捜索情報提供手法)の一例を説明するフローチャートである。
【0039】
例えば、捜索情報提供装置4は、指紋取得装置3の指紋撮影装置33から撮影画像を受信し(ステップS101)、演算装置10の照合部20が、受信した撮影画像における処理対象のフレーム画像に指紋が撮影されているか否かを判断する。この判断処理では、例えば指紋の画像パターンを利用したパターンマッチング手法が用いられる。
【0040】
処理対象のフレーム画像に指紋が撮影されている場合には、照合部20は、その指紋が撮影されている画像部分を受信指紋画像として抽出し、当該受信指紋画像をデータベース5における捜索対象者の格納指紋画像と照合する(ステップS102)。そして、照合部20は、受信指紋画像が、照合した格納指紋画像に合致するか否かを判断する(ステップS103)。受信指紋画像が、照合した格納指紋画像に合致していると照合部20が判断した場合には、出力部21は、捜索対象者を検知したことを表す検知情報を報告先装置7に出力する(ステップS104)。その検知情報には、受信指紋画像と合致する格納指紋画像に関連付けられている捜索対象者の個人識別情報と、受信指紋画像が撮影された撮影時刻を表す時間情報と、受信指紋画像が撮影された場所の情報とが含まれる。
【0041】
一方、処理対象のフレーム画像から抽出した全て(一つも含む)の受信指紋画像、および、全て(一人も含む)の捜索対象者の格納指紋画像に関する照合処理(ステップS102)と判断処理(ステップS103)が終了するまでそれらの処理は繰り返し実行される。これらの処理の結果、受信指紋画像に合致する格納指紋画像は無いと照合部20により判断された場合には、演算装置10における処理対象のフレーム画像について情報提供に係る動作は終了し、次の処理対象のフレーム画像に係る動作(処理)に備える。
【0042】
第1実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は上記のように構成されており、エスカレータ14の手すり部材16について指紋の痕を利用した捜索対象者に関わる情報を提供可能な構成を備えている。すなわち、第1実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、監視カメラの映像とは異なる情報であって人の捜索に有効な情報を提示可能であるという効果を得ることができる。
【0043】
また、第1実施形態では、指紋取得装置3は、エスカレータ14とは別個の装置であることから、既存のエスカレータ14に対応させて設置することができる。つまり、第1実施形態の捜索情報提供システム1は、既存のエスカレータ14を利用して構築することができる。
【0044】
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。この第2実施形態の説明において、第1実施形態の捜索情報提供システムおよび捜索情報提供装置を構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0045】
第2実施形態における捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、第1実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4の構成と同様な構成を備えている。第2実施形態では、それに加えて、捜索情報提供装置4の演算装置10は、図3に表されるような機能部である生成部22を備えている。なお、図3では、捜索情報提供装置4における記憶装置11の図示が省略されている。
【0046】
第2実施形態では、捜索情報提供装置4は、別々の場所に設置されている複数のエスカレータ14にそれぞれ対応させて設置されている複数の指紋取得装置3の指紋撮影装置33と接続している。
【0047】
生成部22は、複数の指紋取得装置3の指紋撮影装置33により撮影された指紋の画像を利用して、捜索対象者が移動した軌跡を表す軌跡情報を生成する機能を備えている。例えば、生成部22は、予め定められた長さの時間内に、報告先装置7に向けて出力された複数の捜索対象者の検知情報のなかに、同じ捜索対象者の検知情報が複数含まれている場合がある。このような場合に、生成部22は、同じ捜索対象者の複数の検知情報にそれぞれ含まれている受信指紋画像の撮影時刻を表す時間情報と、撮影場所を表す情報とを利用して、捜索対象者の軌跡を辿って軌跡情報を生成する。
【0048】
生成部22により生成された軌跡情報には、捜索対象者の個人識別情報が関連付けられ、当該軌跡情報は、例えば、出力部21により報告先装置7に向けて出力される。また、捜索対象者の個人識別情報が関連付けられた軌跡情報は、捜索情報提供装置4の記憶装置11に格納される。
【0049】
第2実施形態における捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4の上述した構成以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0050】
第2実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、第1実施形態と同様の構成を備えていることから、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、捜索対象者の軌跡情報をもユーザに提供可能であることから、捜索対象者の捜索により有効な情報を提供できることとなる。
【0051】
<第3実施形態>
以下に、本発明に係る第3実施形態を説明する。この第3実施形態の説明において、第1又は第2の実施形態の捜索情報提供システムおよび捜索情報提供装置を構成する構成部分と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0052】
第3実施形態における捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、指紋の画像だけでなく、人の顔画像をも利用して、捜索対象者の捜索に利用可能な情報を提供する構成を備える。
【0053】
すなわち、第3実施形態における捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、第1あるいは第2の実施形態の構成に加えて、図4に表されているような人物撮影装置36を備えている。人物撮影装置36は、例えば動画を撮影するビデオカメラであり、搬送部材15に乗っている人17を撮影するように設置される。第3実施形態では、人物撮影装置36の設置場所は、エスカレータ14の出口側である。すなわち、人物撮影装置36は、エスカレータ14から降りる人の顔および搬送部材15の昇り方向に移動する最後のステップ部分が同じ撮影画像に撮影されるように、カメラの撮影範囲を考慮して、エスカレータ14の出口側に設置される。
【0054】
人物撮影装置36は、捜索情報提供装置4に接続されており、撮影画像を捜索情報提供装置4に出力する。人物撮影装置36から捜索情報提供装置4に出力される撮影画像には、撮影された時刻を表す時間情報と、撮影された場所を表す情報とが関連付けられる。
【0055】
第3実施形態では、捜索情報提供装置4の演算装置10は、第1あるいは第2の実施形態で説明した機能部に加えて、紐付け部23を備えている。紐付け部23は、指紋撮影装置33による撮影画像から照合部20により抽出された受信指紋画像と、当該受信指紋画像の指紋を持つ人と想定される人の人物撮影装置36により撮影された顔画像とを関連付ける機能を備えている。すなわち、エスカレータ14から降りる人が把持を解消すると想定される手すり部材16の部分と、指紋撮影装置33により撮影される手すり部分16の部分との間の長さは予め求まる。また、手すり部材16の移動速度は、例えば、手すり部材16を回転させている回転駆動装置(図示せず)から取得する情報に基づいて取得可能である。それら長さと移動速度の情報と、指紋撮影装置33による処理対象の受信指紋画像が撮影された時刻の情報とに基づいて、処理対象の受信指紋画像の指紋を持つ人と想定される人が人物撮影装置36により撮影された時刻は算出可能である。これにより、紐付け部23は、処理対象の受信指紋画像に関連付ける人物撮影装置36による撮影画像の撮影時刻を算出し、算出した撮影時刻に人物撮影装置36によって撮影された撮影画像を抽出する。そして、紐付け部23は、抽出した人物撮影装置36による撮影画像と、処理対象の受信指紋画像とを関連付ける。
【0056】
処理対象の受信指紋画像に合致する格納指紋画像があることが照合部20の処理結果により検知した場合には、紐付け部23は、その処理対象の受信指紋画像に合致するデータベース5の格納指紋画像にも、人物撮影装置36による撮影画像を関連付けてもよい。
【0057】
また、出力部21は、捜索対象者の検知情報を報告先装置7に向けて出力する際に、その検知情報に関係する受信指紋画像に関連付けられている人物撮影装置36による撮影画像をも含ませる。
【0058】
第3実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、第1又は第2の実施形態と同様の構成を備えていることから、第1又は第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第3実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、捜索対象者と想定される人の顔画像を報告先装置7に向けて出力できるから、捜索対象者の捜索により有効な情報を提供できることとなる。
【0059】
なお、第1~第3の実施形態では、エスカレータ14の手すり部材16に付いた人の指紋の痕を撮影した撮影画像を利用して捜索対象者の捜索に有効な情報を提供する捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4について説明している。第1~第3の実施形態の捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、動く歩道の手すり部材に付いた人の指紋の痕を撮影した撮影画像を利用して捜索対象者の捜索に有効な情報を提供するシステムとしても適用可能である。
【0060】
さらに、第1~第3の実施形態における捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、飛行機の搭乗予定者の指紋画像を予め取得することができれば、空港内において、搭乗予定者を捜索する際の情報を提供するシステムとして適用することもできる。このような場合には、データベース5には、例えば、空港の管理会社や旅客機の運航会社などが取得した飛行機の搭乗予定者の指紋画像が格納されることとなる。つまり、このような場合には、捜索情報提供装置4とデータベース5と報告先装置7は、警察により保有されて管理されるのではなく、指紋画像を取得して保有する空港の管理会社や旅客機の運航会社などにより保有されて管理される。すなわち、捜索情報提供装置4とデータベース5と報告先装置7を管理する管理者(管理会社などの組織も含む)や、設置場所は、捜索情報提供システムが構築される目的に応じて、適宜設定される。
【0061】
さらに、指紋撮影装置33により撮影された指紋の画像から得られる指紋の大きさの情報により、例えば、エスカレータ14の利用者が大人であるか子供であるかを推定することは可能である。このようなことから、指紋撮影装置33による撮影画像に基づいた受信指紋画像を、捜索対象者の捜索に用いる情報の生成以外の目的で、捜索情報提供装置4は、予め定められた出力先に出力してもよい。
【0062】
さらに、第1~第3の実施形態における捜索情報提供システム1および捜索情報提供装置4は、例えば、エスカレータ14の出口側に繋がる通路の先にある例えば部屋の入り口に入場のための認証システムに応用することが可能である。ただ、この場合には、セキュリティを高めるための構成と合わせることが好ましい。なお、このような場合には、データベース5には、例えば、部屋の入出を管理している会社などが取得した入室許可者の指紋画像が格納されることとなる。つまり、このような場合には、捜索情報提供装置4とデータベース5と報告先装置7は、警察により保有されて管理されるのではなく、指紋画像を取得して保有する会社などにより保有されて管理される。
【0063】
さらに、第1~第3の実施形態における捜索情報提供装置4は、例えば、処理負荷の軽減を図るために、演算装置10の照合部20の動作を休止する機能を備えていてもよい。例えば、指紋取得装置3の指紋撮影装置33により撮影される手すり部材16が、エスカレータ14に利用者が居ないときに停止する場合には、その手すり部材16の停止と稼動に応じて照合部20の休止と稼動が制御されてもよい。
【0064】
さらに、手すり部材16における人の手により把持される部分が、人が把持したくなるような触感の材料により構成されたり、デザインであったり、色であったりしてもよい。さらに、手すり部材16における人の手により把持される部分が、指紋の痕が付きやすい材料により構成されてもよい。
【0065】
<第4実施形態>
以下に、本発明に係る第4実施形態を説明する。
【0066】
図5は、第4実施形態の捜索情報提供システムの構成を表すブロック図である。捜索情報提供システム40は、指紋撮影装置41と、捜索情報提供装置42とを備えている。
【0067】
指紋撮影装置41は、手すり部材に付いた人の指紋の画像を撮影する装置である。すなわち、手すり部材は、入口から出口に向かって移動することによって人を搬送する搬送部材の移動に伴って移動しながら人を補助する往き部分と、出口から入口に向かう方向に移動している戻り部分とを通る循環経路で循環する。指紋撮影装置41は、その手すり部材の循環経路における戻り部分で人の指紋の画像を撮影する。
【0068】
捜索情報提供装置42は、指紋撮影装置41による指紋の画像を利用して捜索対象者の捜索に利用する情報を生成して出力する機能を備える。図6は、捜索情報提供装置42の構成を表すブロック図である。捜索情報提供装置42は、例えば、コンピュータ装置により構成される。捜索情報提供装置42は、機能部として、照合部44と、出力部45とを備えている。
【0069】
照合部44は、指紋撮影装置41による指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合する機能を備えている。
【0070】
出力部45は、手すり部材における指紋の画像が捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、捜索対象者を検知したことを表す情報を予め定められた報告先に向けて出力する機能を備える。
【0071】
第4実施形態の捜索情報提供システム40および捜索情報提供装置42は上述したように構成されている。次に、捜索情報提供装置42における動作の一例を図7を利用して説明する。
【0072】
例えば、捜索情報提供装置42は、指紋撮影装置41から指紋の画像を受信すると(ステップS301)と、照合部44は、受信した指紋の画像を、予め与えられている捜索対象者の指紋の画像に照合する(ステップS302)。その後、出力部45は、指紋の画像が捜索対象者の指紋の画像に合致した場合には、捜索対象者を検知したことを表す情報を予め定められた報告先に向けて出力する(ステップS303)。
【0073】
第4実施形態の捜索情報提供システム40および捜索情報提供装置42は、第1~第3の実施形態と同様に、手すり部材に付いた指紋の痕を利用した捜索対象者に関わる情報を提供可能な構成を備えている。すなわち、第4実施形態の捜索情報提供システム40および捜索情報提供装置42は、監視カメラの映像とは異なる情報であって人の捜索に有効な情報を提示可能であるという効果を得ることができる。
【0074】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1,40 捜索情報提供システム
4,42 捜索情報提供装置
16 手すり部材
20,44 照合部
21,45 出力部
33,41 指紋撮影装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7