(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車両のリッド装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20231031BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231031BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2022555478
(86)(22)【出願日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 JP2021036704
(87)【国際公開番号】W WO2022075283
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2020170388
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】沖野 真紘
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雄高
(72)【発明者】
【氏名】須藤 佑介
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095335(JP,A)
【文献】特開2019-043418(JP,A)
【文献】特開2017-047827(JP,A)
【文献】特開2020-050127(JP,A)
【文献】特開2020-111100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアウタパネルに設けられた開口部を開閉する蓋部を有するリッド装置であって、
前記蓋部は、
前記開口部を覆い、前記アウタパネルの一部を構成するアウタ部材と、
前記アウタ部材の裏面を覆うように設けられ、前記開口部の内側でヒンジを介して回動可能に連結されるインナ部材と、
前記アウタ部材と前記インナ部材との間に備えられ、前記アウタ部材と前記インナ部材とを固定するアウタブラケットと、を有し、
前記アウタ部材は、
前記アウタ部材の外周部の縁部が前記インナ部材側に延長されるとともに内周側に向かって折り返された折り返し部と、前記アウタ部材の外周部よりも内周側で前記折り返し部から前記インナ部材側に向かって立設された第1フランジと、を有し、
前記アウタブラケットは、前記第1フランジと結合される第2フランジを有して前記アウタ部材に固定され、
前記インナ部材は、
前記インナ部材の外周部から前記アウタ部材側に向けて延設され、少なくとも前記第1フランジと前記第2フランジとの結合部の外周側を覆う鍔部を有して前記アウタブラケットに固定される
ことを特徴とする車両のリッド装置。
【請求項2】
前記蓋部の一端部において、前記インナ部材が前記ヒンジを介して回動可能に支持され、
前記第1フランジと前記第2フランジとの結合部は、少なくとも前記蓋部の一端部と対向する他端部側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両のリッド装置。
【請求項3】
前記アウタパネルの前記開口部の内周縁は、前記開口部の内側に向かって屈曲されて前記開口部の内側に延び、
前記開口部に嵌め込まれ、前記開口部側の第1端部が前記開口部の内周縁の全周に亘って当接される筒状を成し、前記開口部の内側に収容部を形成するブラケット部材が設けられており、
前記インナ部材の前記鍔部は、前記アウタ部材の外周部より内周側に位置して、前記ブラケット部材の前記第1端部に対して周方向内側で対向するよう配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のリッド装置。
【請求項4】
前記開口部内で前記開口部の内周縁に接合されて前記ブラケット部材を支持する支持パネルが設けられ、
前記ブラケット部材の前記第1端部は、前記開口部の内周縁と前記支持パネルとの接合部を覆うよう設けられ、
前記アウタパネルの前記開口部の内周縁は、前記アウタ部材の前記折り返し部の厚さに応じた長さで車内側に延設される
ことを特徴とする請求項3に記載の車両のリッド装置。
【請求項5】
前記アウタ部材および前記アウタブラケットは、板金部材で形成され、前記第1フランジと前記第2フランジとは溶接により結合されており、
前記インナ部材は、樹脂部材で形成されて、前記アウタブラケットの周囲を覆った状態で前記アウタ部材の裏面側に設けられる
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の車両のリッド装置。
【請求項6】
前記開口部の内側に、車両の給油口もしくは給電口が収容されている
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の車両のリッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の供給口を覆うリッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられた給油口や給電口等の供給口を覆うリッド装置の多くは、アウタパネルと同一の板金部材で形成された蓋部を有している。
例えば特許文献1に記載されたリッド装置を備えた車両は、板金部材であるアウタパネルに車内側に凹んだ凹部が設けられ、当該凹部内に給電口が備えられている。リッド装置は、凹部を覆う蓋部(蓋部材)を備えており、蓋部は凹部の縁部にヒンジを介して開閉可能に支持されている。
【0003】
また、特許文献1に記載された蓋部は、例えば薄板形状のアウタ部品(本体)と、ヒンジの一端を固定するブラケット(ヒンジベース)と、により構成されている。そして蓋部は、アウタ部品の外周端部を折り曲げて設けられたフランジと、フランジに合わせて折り曲げられたブラケットの端部と、を例えばスポット溶接で固定する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、2個の板金部材を外周部で溶接して構成した蓋部は、開状態において当該溶接部が露出し、見栄えが悪いといった問題点を有する。
ところで、近年では、軽量化や見栄えを向上させるために、車両に樹脂部材が多用されている。リッド装置においても、板金部材で構成したアウタ部品と、アウタ部品の内側に合わせて固定された樹脂部品と、によって蓋部を構成したものが増加してきている。
【0006】
しかしながら、アウタ部品は、アウタパネルの一部を構成する薄板形状のアウタ部材と、樹脂部材を支持するアウタブラケットと、の2つの部品で構成され、アウタ部材とアウタブラケットとは、製作性の観点から、スポット溶接で固定されることが多い。
したがって、蓋部に樹脂部品を備えたとしても、依然として、アウタ部材とアウタブラケットとの溶接部を有し、蓋部の開状態において溶接部が見えて、見栄えを損ねるといった問題点がある。
【0007】
また、2個の板金部材を外周部で溶接して蓋部を構成した場合に、蓋部の開閉時に板金部材の端部を触ってしまい、安全性及び快適性を損ねる可能性もある。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、溶接部等の結合部を隠して見栄えを向上させるとともに、安全かつ快適に開閉が可能な蓋部を有するリッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明のリッド装置は、車両のアウタパネルに設けられた開口部を開閉する蓋部を有するリッド装置であって、前記蓋部は、前記開口部を覆い、前記アウタパネルの一部を構成するアウタ部材と、前記アウタ部材の裏面を覆うように設けられ、前記開口部の内側でヒンジを介して回動可能に連結されるインナ部材と、前記アウタ部材と前記インナ部材との間に備えられ、前記アウタ部材と前記インナ部材とを固定するアウタブラケットと、を有し、前記アウタ部材は、その外周部の縁部が前記インナ部材側に延長されるとともに内周側に向かって折り返された折り返し部と、前記アウタ部材の外周部よりも内周側で前記折り返し部から前記インナ部材側に向かって立設された第1フランジと、を有し、前記アウタブラケットは、前記第1フランジと結合される第2フランジを有して前記アウタ部材に固定され、前記インナ部材は、外周部から前記アウタ部材側に向けて延設され、少なくとも前記第1フランジと前記第2フランジとの結合部の外周側を覆う鍔部を有して前記アウタブラケットに固定されることを特徴とする。
【0009】
これにより、開口部を開閉する蓋部を有するリッド装置において、蓋部のアウタ部材の外周部の縁部が内周側に折り返されて折り返し部が形成されているので、作業者がアウタ部材の外周部の縁部に触れた際の安全性、快適性を向上させることができる。
また、インナ部材の鍔部によって、第1フランジと第2フランジとの結合部の外周側が覆われるので、蓋部を開状態にしても結合部が見えなくなり蓋部の見栄えを向上させることができる。
【0010】
好ましくは、前記蓋部の一端部において、前記インナ部材が前記ヒンジを介して回動可能に支持され、前記第1フランジと前記第2フランジとの結合部は、少なくとも前記蓋部の一端部と対向する他端部側に配置されているとよい。
これにより、ヒンジが接続された一端部を回動中心に蓋部が開閉されることで、蓋部を開状態にした際に、ヒンジとは反対側の蓋部の他端部が見え易くかつ作業者が手を掛ける可能性が高い。したがって、このように蓋部の開閉時に作業者が手を掛けやすくかつ見え易い箇所において、効果的に安全性、快適性の向上、及び見栄えの向上を図ることができる。
【0011】
好ましくは、前記アウタパネルの前記開口部の内周縁は、前記開口部の内側に向かって屈曲されて前記開口部の内側に延び、前記開口部に嵌め込まれ、前記開口部側の第1端部が前記開口部の内周縁の全周に亘って当接される筒状を成し、前記開口部の内側に収容部を形成するブラケット部材が設けられており、前記インナ部材の前記鍔部は、前記アウタ部材の外周部より内周側に位置して、前記ブラケット部材の前記第1端部に対して周方向内側で対向するよう配置されるとよい。
【0012】
これにより、開口部の内側に筒状のブラケット部材が設けられていることで、開口部の内側の見栄えを向上させることができる。また、インナ部材の鍔部がブラケット部材の第1端部に対して周方向内側で対向するよう配置されることで、蓋部の端部の厚さを折り返し部の厚さに抑えることができる。
好ましくは、前記開口部内で前記開口部の内周縁に接合されて前記ブラケット部材を支持する支持パネルが設けられ、前記ブラケット部材の前記第1端部は、前記開口部の内周縁と前記支持パネルとの接合部を覆うよう設けられ、前記アウタパネルの前記開口部の内周縁は、前記アウタ部材の前記折り返し部の厚さに応じた長さで車内側に延設されるとよい。
【0013】
これにより、ブラケット部材によって開口部の内周縁と支持パネルとの接合部が覆われるとともに、アウタパネルの開口部の内周縁が、アウタ部材の折り返し部の厚さに応じた長さで車内側に延設されているので、アウタ部材の折り返し部の厚さを低減して、アウタパネルの開口部の内周縁の車内側への折り返し寸法を短くすることができる。これにより、アウタパネルの開口部の内周縁における見栄えを向上させることができる。
【0014】
好ましくは、前記アウタ部材および前記アウタブラケットは、板金部材で形成され、前記第1フランジと前記第2フランジとは溶接により結合されており、前記インナ部材は、樹脂部材で形成されて、前記アウタブラケットの周囲を覆った状態で前記アウタ部材の裏面側に設けられるとよい。
これにより、板金部材で形成されたアウタ部材とアウタブラケットとの溶接部がインナ部材によって隠されて、見栄えを向上させることができる。
【0015】
好ましくは、前記開口部の内側に、車両の給油口もしくは給電口が収容されているとよい。
これにより、内部に給油口もしくは給電口が収容されている開口部を開閉する蓋部を有するリッド装置において、蓋部のアウタ部材とアウタブラケットとの結合部がインナ部材によって隠されて見栄えが向上するとともに、蓋部の開閉時において作業者が蓋部の外周部の縁部に触れた際での安全性、快適性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のリッド装置によれば、蓋部の開閉時に作業者が蓋部の外周部の縁部、即ちアウタ部材の折り返し部に触れた際の安全性、快適性を向上させることができるとともに、インナ部材の鍔部によって第1フランジと第2フランジとの結合部が隠されて見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態のリッド装置の外観図である。
【
図2】本実施形態のリッド装置におけるアウタ部材及びインナ部材の構造を示す組立図である。
【
図3】溶接部の位置における蓋部の構造を示す横断面図である。
【
図5】閉状態における蓋部の外周部及びその周囲のアウタパネルの構造を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した車両構造の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態のリッド装置1の外観図である。
図2は、本実施形態のリッド装置1における蓋部2の構造を示す組立図である。
なお、以下の説明では、開閉する蓋部2については、当該蓋部2を閉じた状態での車両前後方向を前後方向とし、車幅方向内側、車幅方向外側を内側、外側として説明する。
【0019】
図1、2に示すように、本発明の実施形態のリッド装置1は、車両のアウタパネル3の開口部4を覆う蓋部2と、ヒンジ5と、蓋部2の閉状態を保持するロック装置6と、を備えている。
開口部4は、車両の外側壁を形成するアウタパネル3に設けられている。開口部4の車幅方向内側には、車両の給電口7が配置されている。
【0020】
なお、本実施形態では、リッド装置1は車両の右後部に配置されている。略矩形状に構成された蓋部2の車両前側端部(一端部)にヒンジ5が固定される。蓋部2の車両前側端部を回動中心として、蓋部2の車両後側端部が車両の外側方(車両右方)に開くように構成されている。
ロック装置6は、閉状態の蓋部2の車両後側の部位を係止して、蓋部2の閉状態を維持することが可能な構成になっている。
【0021】
図2に示すように、蓋部2は、アウタ部材10、アウタブラケット11、インナ部材12により構成されている。
アウタ部材10は、角部を丸めた略矩形状の薄板部材であり、アウタパネル3と同一の板金部材で形成されている。
アウタブラケット11は、板金部材で形成され、アウタ部材10の内側に固定されて、アウタ部材10を支持する機能を有する。アウタブラケット11には、強度を確保するために、数mm程度の高さのリブ13が数か所設けられている。また、アウタブラケット11には、インナ部材12に設けられた図示しない爪部を係止する穴部14が複数個所設けられている。アウタブラケット11は、アウタ部材10とインナ部材12との間に挟まれて配置され、アウタ部材10とインナ部材12とを固定する機能を有する。なお、アウタブラケット11とインナ部材12とは、インナ部材12の爪部を穴部14に差し込んで、インナ部材12に対してアウタブラケット11を前方にスライドすることで互いに固定される。
【0022】
インナ部材12は、樹脂部材で形成され、アウタ部材10の内側(車幅方向内側)を、即ちアウタ部材10の裏面を覆うように配置される。インナ部材12の前側端部には、ヒンジ5の一端を固定するヒンジ固定部15が備えられている。インナ部材12は、開口部4の内側でヒンジ5を介して回動可能に連結されている。
アウタ部材10とアウタブラケット11とは、外周部の2か所、詳しくは、車両前後方向両端部の上下方向中央部の溶接部16(結合部)において、スポット溶接によって互いに固定されている。
【0023】
図3は、溶接部16の位置における蓋部2の構造を示す横断面図である。
図4は、蓋部2の外周部の構造を示す横断面図である。なお、
図3は、
図2中に記載されたA-A部の横断面図である。
図4は、
図2中に記載されたB-B部の横断面図である
図2、3に示すように、アウタ部材10の車両後方となる端部の上下方向中央部には、内側(車幅方向内側)に向かって突出する第1フランジ20が設けられている。また、アウタブラケット11の両端部にも、アウタ部材10の第1フランジ20と合わせて内側(車幅方向内側)に向かって突出する第2フランジ21が設けられている。アウタ部材10とアウタブラケット11との溶接部16は、第1フランジ20及び第2フランジ21に位置している。
【0024】
アウタ部材10は、後側端部が内周側に向かって折り返されて折り返し部22が設けられており、第1フランジ20がアウタ部材10の後端よりも例えば1cm程度前方(内周側)に位置している。
インナ部材12の外周部は、アウタ部材10に向かって外方(車幅方向外方)に折り曲げられ、アウタ部材10側に向けて延設した鍔部25が形成されている。鍔部25は、アウタ部材10の第1フランジ20の後方(外周側)に隣接して位置し、溶接部16を覆うよう設けられている。したがって、インナ部材12の鍔部25によって、溶接部16が後方から見えないように構成されている。
【0025】
なお、蓋部2の車両前方となる端部の溶接部16の近辺の構造についても、上記の車両後方の端部の構造と同様に構成されている。
図4に示すように、溶接部16以外の蓋部2の外周部では、アウタ部材10の外周端部は、内側(車幅方向内側)に向かって折り曲げられて縁部30が形成されている。インナ部材12は、鍔部25がアウタ部材10に向かって外側に折り曲げられ、更にその先端部で後方(外周側)に折り曲げられている。インナ部材12の外周端部31は、アウタ部材10の縁部30の先端近傍に位置している。なお、
図4では、アウタ部材10の縁部30の先端が、インナ部材12の外周端部31より車幅方向内側にわずかに突出しているが、外周端部31より車幅方向内側に突出しないようにすることが望ましい。
【0026】
図5は、閉状態における蓋部2の外周部及びその周囲のアウタパネル3の構造を示す横断面図である。なお、
図5は、
図1に記載されたC-C部の断面図である。
図1、5に示すように、車両のアウタパネル3の開口部4の車幅方向内側には、給電口ドアブラケット40(ブラケット部材)が備えられている。給電口ドアブラケット40は、樹脂によって形成され、筒状部と底板を有し、外側に向かって開口した箱状に形成されている。給電口ドアブラケット40の底板には給電口7が固定されており、当該給電口7は給電口ドアブラケット40内に形成された収容部に設けられている。
【0027】
図5に示すように、アウタパネル3の開口部4の内周縁である縁部41は、開口部4の全周に亘って車幅方向内側(車内側)に、アウタ部材10の折り返し部22の厚さ程度の長さ(例えば5mm程度)折り曲げられている。また、アウタパネル3の開口部4の縁部41には、給電口ドアブラケット40を支持するボディパネル42(支持パネル)が例えば溶接等で固定されている。ボディパネル42は、給電口ドアブラケット40の外周部を支持する。
【0028】
給電口ドアブラケット40の筒状部の縁部43(第1端部)は、アウタパネル3の開口部4に嵌め込まれ、アウタパネル3の縁部41に接触あるいは近接するように配置されている。給電口ドアブラケット40の縁部43とアウタパネル3の縁部41との間には、シーリング等によって隙間が埋められている。
以上のように、本実施形態のリッド装置1は、内部に給電口7が備えられたアウタパネル3の開口部4を覆う蓋部2を有し、蓋部2は、アウタパネル3の一部を構成する板金部材のアウタ部材10と、板金部材で形成されアウタ部材10を支持するアウタブラケット11と、樹脂部材で形成されたインナ部材12と、を備え、これらを重ね合わせるようにして構成されている。
【0029】
これにより、蓋部2の内側が樹脂部材のインナ部材12によって構成されることで、蓋部2の内側の見栄えを向上させることができる。
アウタ部材10とアウタブラケット11とは、蓋部2の前後方向両端部(閉状態における蓋部2の車両前後方向両端部)において、スポット溶接によって互いに固定されている。アウタ部材10の外周部において内側(閉状態における蓋部2の車幅方向内側)に向かって立設する第1フランジ20と、アウタブラケット11の外周部において内側(閉状態における蓋部2の車幅方向内側)に向かって立設する第2フランジ21と、が溶接されるので、第1フランジ20と第2フランジ21とをスポット溶接によって容易に固定することができる。
【0030】
本実施形態のアウタ部材10では、外周部が内周側に折り返されて折り返し部22が形成されているので、作業者がアウタ部材10の外周部に触れた際の安全性、快適性を向上させることができる。したがって、作業者が蓋部2を開閉するために蓋部2の端部を触れようとすると、アウタ部材10の折り返された形状の折り返し部22に触れるので、安全性、快適性を確保することができる。
【0031】
また、インナ部材12の外周部がアウタ部材10側に向かって折り曲げられて形成された鍔部25によって、第1フランジ20と第2フランジ21との溶接部16の外周側が覆われるので、蓋部2を開状態にしても溶接部16が見えなくなり蓋部2の見栄えを向上させることができる。
特に、アウタ部材10とアウタブラケット11との溶接部16が、蓋部2におけるヒンジ5とは反対側の後方側(他端部)に設けられているので、蓋部2の開閉時に作業者が手を掛け易くかつ見易い箇所で、効果的に安全性、快適性の向上、及び見栄えの向上を図ることができる。
【0032】
また、アウタパネル3の開口部4の縁部41が、アウタ部材10の第1フランジ20より外周側の折り返し部22の厚さに応じた長さで車両内側に屈曲しており、この縁部41の先端に樹脂製の箱型の給電口ドアブラケット40の端部が当接した構造になっている。
本実施形態では、第1フランジ20及び第2フランジ21が蓋部2の外周端部より内側に配置されており、当該外周端部がアウタ部材10の折り返し部22によって構成されているので、蓋部2の外周端部の厚さを折り返し部22の厚さに抑えることができる。したがって、この折り返し部22の厚さに合わせてアウタパネル3の開口部4の縁部41を短くすることができる。アウタパネル3の縁部41と給電口ドアブラケット40とは異なる部材であって、シーリング等によりこれらの当接部の隙間が埋められており、アウタパネル3の縁部41が短くなることで、蓋部2の開状態においてアウタパネル3の開口部4の縁部41の見栄えを向上させることができる。
【0033】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、溶接部16が蓋部2の前後方向両端部の2か所に設けられているが、上下方向端部等のその他の外周部に設けてもよい。また、インナ部材12が樹脂で形成されているが、その他の材質で形成されたものでもよい。アウタ部材10、インナ部材12、アウタブラケット11の形状については適宜変更してもよく、その他、リッド装置1の詳細な部分については適宜変更したものでもよい。
【0034】
また、以上の実施形態では、アウタ部材10の第1フランジ20とアウタブラケット11の第2フランジ21とは、溶接部16において溶接によって結合されているが、溶接以外の手段で結合してもよい。
また、上記実施形態では、車両の給電口7を開閉するリッド装置1に本発明を適用しているが、車両の給油口を開閉するリッド装置や、その他のリッド装置に本発明を適用することができる。本発明は、車両の開口部を開閉する蓋部を有するリッド装置に広く適用することができる。
【0035】
本出願は、2020年10月8日出願の日本特許出願2020-170388に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 リッド装置
2 蓋部
3 アウタパネル
4 開口部
5 ヒンジ
10 アウタ部材
11 アウタブラケット
12 インナ部材
16 溶接部(結合部)
20 第1フランジ
21 第2フランジ
22 折り返し部
25 鍔部
40 給電口ドアブラケット(ブラケット部材)
42 ボディパネル(支持パネル)