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特許7375975画像形成装置、記録媒体の情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】画像形成装置、記録媒体の情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20231031BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231031BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20231031BHJP
   B41J 29/00 20060101ALN20231031BHJP
【FI】
B41J29/38 302
G03G21/00 370
G03G21/00 388
G03G21/00 396
B41J29/38 204
B65H7/02
B41J29/00 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023068311
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2022181138の分割
【原出願日】2022-11-11
(65)【公開番号】P2023099537
(43)【公開日】2023-07-13
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2021186991
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】木俣 明則
(72)【発明者】
【氏名】辻本 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】神保 典幸
(72)【発明者】
【氏名】林 健一
(72)【発明者】
【氏名】梅田 史郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-200397(JP,A)
【文献】特開2019-200292(JP,A)
【文献】特開2019-214185(JP,A)
【文献】特開2000-355127(JP,A)
【文献】特開2020-138491(JP,A)
【文献】特開2017-098599(JP,A)
【文献】特開2018-001487(JP,A)
【文献】特開2004-122766(JP,A)
【文献】特開2016-215590(JP,A)
【文献】特開2015-176399(JP,A)
【文献】特開2006-154913(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0069075(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
B65H 7/02
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の物性を検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力をユーザーより受け付ける受付手段と、
前記画像形成手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付手段が受け付けていない場合、前記検知手段は、第1の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御手段は、前記検知手段が検知した結果に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付手段が受け付けている場合、前記検知手段は、前記第1の検知モードによる検知動作とは異なる第2の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた入力に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の検知モードでは前記第1の検知モードよりも検知時間が短い請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の検知モードでは前記第1の検知モードよりも前記記録媒体の搬送速度が速い請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の検知モードは前記第2の検知モードよりも検知精度が高い請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記検知手段による記録媒体に対する検知範囲は、第1の検知モードと第2の検知モードで異なっており、かつ第1の検知モードの検知時間及び検知精度が第2の検知モードと同等以上である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2の検知モードの方が前記第1の検知モードよりも検知範囲が広い請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記受付手段により受け付けられた記録媒体の物性に関する情報は、記録媒体を収容する収容部に対して設定された記録媒体の物性に関する情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検知手段により検知された結果を基に記録媒体の種類を判別する判別手段を備えた請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
記録媒体の物性を検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置が、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力をユーザーより受け付ける受付ステップと、
前記画像形成手段を制御する制御ステップと、
を実行し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けていない場合、前記検知手段は、第1の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御ステップでは、前記検知手段が検知した結果に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けている場合、前記検知手段は、前記第1の検知モードによる検知動作とは異なる第2の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御ステップでは、前記受付ステップで受け付けた入力に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする記録媒体の情報処理方法。
【請求項10】
記録媒体の物性を検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力をユーザーより受け付ける受付ステップと、
前記画像形成手段を制御する制御ステップと、
を実行させ、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けていない場合、前記検知手段に、第1の検知モードによる検知動作を実行させ、前記制御ステップでは、前記検知手段が検知した結果に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けている場合、前記検知手段に、前記第1の検知モードによる検知動作とは異なる第2の検知モードによる検知動作を実行させ、前記制御ステップでは、前記受付ステップで受け付けた入力に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御する
ことを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、あるいはMFPと称される多機能デジタル複合機等の画像形成装置、記録媒体の情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、画像が形成されるシート等の記録媒体の属性(種類等)をユーザーが操作パネル等から設定し、この設定を基に、記録媒体に最適な画像形成条件で画像を行うものが知られている。
【0003】
また、最近では、光学センサ等を用いて記録媒体の物性を自動的に判別する画像形成装置が提供されている。
【0004】
また、特許文献1には、画像形成部へ搬送される記録材のメディア特性を検知するとともに、検知された搬送中の記録材の第1のメディア特性と、RAMに記憶される前回の画像形成時の記録材の第2のメディア特性とが異なり、且つ第1のメディア特性に応じた画像形成条件と第2のメディア特性に応じた画像形成条件とが異なる場合に画像形成処理を中断したり、さらには中断後にユーザーにメディア特性を入力手段により入力させ、入力されたメディア特性に応じた画像形成条件で、画像形成動作を再開させる画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-106112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ユーザーの入力等により画像形成装置に設定された記録媒体の属性が必ずしも正しいとは限らず、センサの記録媒体に関する検知結果と不一致である場合には、適正でない画像形成条件が設定され、この画像形成条件で強制的に画像形成が行われてしまうと、記録媒体が搬送経路上で詰まってしまういわゆるジャム等の不具合が発生する恐れがある。このような不具合が発生すると、必要に応じてサービスマンが対応することになるが、どのような使われ方をしたのか不明であるため原因を特定することができず、改善案を提案することができない。そこで、不具合が発生した原因の特定に寄与する技術が必要となる。
【0007】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、ジャム等の不具合の原因特定に寄与できる画像形成装置、記録媒体の情報の処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)記録媒体の物性を検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力をユーザーより受け付ける受付手段と、
前記画像形成手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付手段が受け付けていない場合、前記検知手段は、第1の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御手段は、前記検知手段が検知した結果に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付手段が受け付けている場合、前記検知手段は、前記第1の検知モードによる検知動作とは異なる第2の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御手段は、前記受付手段が受け付けた入力に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
(2)前記第2の検知モードでは前記第1の検知モードよりも検知時間が短い前項1に記載の画像形成装置。
(3)前記第2の検知モードでは前記第1の検知モードよりも前記記録媒体の搬送速度が速い前項1に記載の画像形成装置。
(4)前記第1の検知モードは前記第2の検知モードよりも検知精度が高い前項1に記載の画像形成装置。
(5)前記検知手段による記録媒体に対する検知範囲は、第1の検知モードと第2の検知モードで異なっており、かつ第1の検知モードの検知時間及び検知精度が第2の検知モードと同等以上である前項1に記載の画像形成装置。
(6)前記第2の検知モードの方が前記第1の検知モードよりも検知範囲が広い前項5に記載の画像形成装置。
(7)前記受付手段により受け付けられた記録媒体の物性に関する情報は、記録媒体を収容する収容部に対して設定された記録媒体の物性に関する情報であることを特徴とする前項1又は2に記載の画像形成装置。
(8)前記検知手段により検知された結果を基に記録媒体の種類を判別する判別手段を備えた前項1又は2に記載の画像形成装置。
(9)記録媒体の物性を検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置が、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力をユーザーより受け付ける受付ステップと、
前記画像形成手段を制御する制御ステップと、
を実行し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けていない場合、前記検知手段は、第1の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御ステップでは、前記検知手段が検知した結果に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けている場合、前記検知手段は、前記第1の検知モードによる検知動作とは異なる第2の検知モードによる検知動作を実行し、前記制御ステップでは、前記受付ステップで受け付けた入力に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御することを特徴とする記録媒体の情報処理方法。
(10)記録媒体の物性を検知する検知手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力をユーザーより受け付ける受付ステップと、
前記画像形成手段を制御する制御ステップと、
を実行させ、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けていない場合、前記検知手段に、第1の検知モードによる検知動作を実行させ、前記制御ステップでは、前記検知手段が検知した結果に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御し、
前記画像形成手段による画像形成に用いられる記録媒体の物性に関する情報の入力を前記受付ステップで受け付けている場合、前記検知手段に、前記第1の検知モードによる検知動作とは異なる第2の検知モードによる検知動作を実行させ、前記制御ステップでは、前記受付ステップで受け付けた入力に対応した画像形成条件により記録媒体に画像形成するよう前記画像形成手段を制御する
ことを実行させるためのプログラム。

【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、検知手段による、設定がされていない記録媒体に対する検知は、第1の検知モードで行われ、設定がされた記録媒体に対する検知は、第1の検知モードとは異なる第2の検知モードで行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の第1の一実施形態に係る画像形成装置が用いられた情報収集システムの構成図である。
図2】画像形成装置において、画像が印刷されるシートの搬送経路の一部を模式的に示した図である。
図3】光学センサの説明図である。
図4】超音波センサの説明図である。
図5】画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図6】画像形成装置の制御部の機能構成を説明するためのブロック図である。
図7】送信対象の情報をサーバーに送信する際の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図8】サーバーによる分析結果の一例を示すグラフである。
図9】サーバーによる分析結果の他の例を示すグラフである。
図10】サーバーによる分析結果のさらに他の例を示すグラフである。
図11】不具合が発生する可能性があることをユーザーに通知するための画面表示例を示す図である。
図12】第2の実施形態において、送信対象の情報をサーバーに送信する際の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態に係る画像形成装置が用いられた情報収集システムの構成図である。この情報収集システムは、画像形成装置1とサーバー2と端末装置3がインターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワーク4を介して相互に通信可能に接続されている。
【0012】
画像形成装置1としては、限定はされないが、複写機、プリンタ、あるいはMFP等が用いられる。この実施形態では、画像形成装置1は、画像が印刷される用紙等の記録媒体(以下、記録媒体をシートまたは用紙ともいう)の種類(シート種または紙種ともいう)をユーザーが設定できるユーザー設定モードと、ユーザーがシート種を設定することなく、画像形成装置がシート種を自動判別する自動検知モードとを有している。
【0013】
サーバー2は、後述するように、画像形成装置1から各種の情報を取得してデータ蓄積部21に蓄積し、蓄積したデータを必要に応じてデータ解析部22により解析し、更には解析結果を画像形成装置1に提供する役割を果たし、パーソナルコンピュータ等により構成されている。サーバー2は、クラウド上にある仮想サーバーいわゆるクラウドサーバーであっても良い。なお、サーバー2は1台の画像形成装置1だけでなく、複数台の画像形成装置1から情報を収集しても良い。
【0014】
端末装置3はユーザーによって操作されるパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等であり、この実施形態では画像形成装置1に対し、ユーザーがシート種の設定を含むプリントジョブを指示する指示手段として機能する。
【0015】
図2は、画像形成装置1において、画像が印刷されるシートの搬送経路の一部を模式的に示した図である。
【0016】
画像形成装置1の下部には給紙部60が備えられ、この給紙部60には、上段の1段目給紙カセット60aと下段の2段目給紙カセット60bが配置されるとともに、1段目給紙カセット60aの給紙口8a及び2段目給紙カセット60bの給紙口8bと連通して、上下方向にシート搬送路8が形成されている。そして、1段目給紙カセット60aの給紙口8aまたは2段目給紙カセット60bの給紙口8bからシート搬送路8に給紙されたシートは、シート搬送路8の上部位置に設置された一対のスキュー補正ローラー72まで、矢印Aで示すようにシート搬送路8を上方に搬送されるように構成されている。また、シート搬送路8を挟んで1段目給紙カセット60aの反対側には手差しトレイ(図示せず)が設けられ、手差しトレイにセットされたシートが手差し給紙口8cを介してシート搬送路8に供給される構成となっている。なお、図2に示す符号71は、2段目給紙カセット60bから給紙されたシートを搬送するための搬送ローラである。
【0017】
スキュー補正ローラー72は、シート搬送路8を搬送されるシートのスキュー(傾き)を補正するためのローラである。
【0018】
上段の1段目給紙カセット60aの給紙口8aとスキュー補正ローラー72の間において、シート搬送路8には、2つのメディア検知センサ91、92が搬送方向の上流側と下流側に配置されている。これらのメディア検知センサ91、92は、シートの種類判別用パラメータを検知するものであり、上流側のメディア検知センサ91は、種類判別用パラメータとしてシートに照射した光を検知する光学センサであり、下流側のメディア検知センサ92は、種類判別用パラメータとしてシートに向けて出力された超音波を検知する超音波センサである。なお、光学センサ91が上流側に、超音波センサ92が下流側に配置されていても良い。
【0019】
図3は、光学センサ91の説明図である。光学センサ91は、LED等の透過用光源91a及び反射用光源91bと、フォトダイオード等からなる受光素子91cで構成され、透過用光源91aから発光された光がシート搬送路8を搬送されるシートを透過する透過光93の光量と、反射用光源91bから発光された光がシートで反射される反射光94の光量を、受光素子91cで検知する。そして、検知した透過光量と反射光量のレベルを基に、後述する制御部100がシートの種類(坪量、OHP、再生紙、コート紙等)を判別する。なお、光学センサ91は、例えば赤、緑、青の各色に対応する複数のセンサ群で構成されていても良い。
【0020】
図4は超音波センサ92の説明図である。超音波センサ92は、シートの通過方向に対しシート搬送路8を挟んで斜めに対向配置(図2参照)された一対の超音波発信部92aと超音波受信部92bを備えている。この超音波センサ92は、通過中のシートに対して超音波発信部92aから超音波を発信し、シートを透過した超音波を超音波受信部92bで受信する。そして、後述する制御部100が、シートによる超音波の減衰量を基に1枚用紙か封筒かを判別する。
【0021】
図5は、画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、画像形成装置1は、制御部100、記憶装置110、画像読取装置120、操作パネル部50、画像形成部10、給紙部60、上述した光学センサ91、超音波センサ92を備え、さらにプリンタコントローラ150及びネットワークインターフェイス(ネットワークI/F)160等を備え、互いにシステムバス175を介して接続されている。
【0022】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、S-RAM(Static Random Access Memory)103、NV-RAM(Non Volatile RAM)104及び時計IC105等を備えている。
【0023】
CPU101は、ROM102等に保存されている動作プログラムを実行することにより、画像形成装置1の全体を統括的に制御する。例えばコピー機能、プリンタ機能、スキャン機能等を実行可能に制御するほか、特にこの実施形態では、前述した自動検知モードにおいて、光学センサ91による光量検知や超音波センサ92による超音波の検知を実行させ、検知結果を基にシート種を判別し、印刷時にはシート種判別結果に基づいて、シート種に対応する画像形成条件を自動的に設定して印刷を実行する。さらには、ユーザー設定モードにおいては、ユーザーが操作パネル部50の操作により行い、あるいは端末装置3からネットワーク4を介して行ったシート種の設定を含むプリントジョブの設定を受け付けると共に、受け付けたシート種に対応する画像形成条件を設定して印刷を実行する。さらにこの実施形態では、ユーザー設定モードにおいてユーザーによりシート種が設定されたシートに対しても、光学センサ91による光量検知や超音波センサ92による超音波の検知を実行させるとともに、検知結果を基にシート種の判別を行う。そして、受け付けたシート種と判別されたシート種の一致、不一致を調べ、その結果を含む必要な情報をサーバー2に送信する等の制御処理を実行するが、詳細は後述する。
【0024】
ROM102は、CPU101が実行するプログラムやその他のデータを格納する。
【0025】
S-RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に保存する。
【0026】
NV-RAM104は、バッテリでバックアップされた不揮発メモリであり、画像形成に係わる各種の設定や、表示部54の画素数や、表示部54に表示される各種画面のデータ等を記憶するものである。
【0027】
時計IC105は、時刻を計時すると共に、内部タイマーとして機能し処理時間の計測等を行う。
【0028】
記憶装置110は、ハードディスク等からなり、プログラムや各種データ等を保存する。
【0029】
画像読取装置120は、スキャナ等を備え、プラテンガラス上にセットされた原稿を走査することによって読み取り、読み取った原稿を画像データに変換する。
【0030】
操作パネル部50は、ユーザーが画像形成装置1へジョブ等の指示や各種設定を行う際に用いられるものであり、リセットキー51、スタートキー52、ストップキー53、表示部54及びタッチパネル55等を備えている。
【0031】
リセットキー51は、設定をリセットする際に使用されるものであり、スタートキー52はスキャン等の開始操作に使用されるものであり、ストップキー53は動作を中断する場合等に押下されるものである。
【0032】
表示部54は、例えば液晶表示装置からなりメッセージや各種の操作画面等を表示するものであり、タッチパネル55は表示部54の画面上に形成され、ユーザーのタッチ操作を検出する。
【0033】
画像形成部10は、画像読取装置120で読み取られた原稿の画像データや、外部の端末装置3等から送信されたプリントデータから生成された複写画像を用紙上に印字するものであり、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写ベルト、転写ローラ等の画像形成用のハードウェア部品からなる印刷エンジン18と、画像が形成されたシートを加熱加圧して画像を定着させる定着部19等を備えている。
【0034】
ネットワークI/F160は、ネットワーク4を介して、外部のサーバー2や端末装置3等との間でデータの送受信を行う通信手段として機能する。
【0035】
図6は、制御部100の機能構成を説明するためのブロック図である。制御部100は機能的に、メディア検知制御部100aと、シート種設定制御部100bと、画像形成制御部100cと、記憶部100dと、外部通信制御部100eを備えている。
【0036】
シート種設定制御部100bは、ユーザー設定モードにおいて、操作パネル部50や端末装置3からユーザーがプリントジョブで設定したシート種を受け付ける。
【0037】
メディア検知制御部100aは、メディア検知センサである光学センサ91及び超音波センサ92を動作させ、検知結果を基にシート種を判別する。前述したように、自動検知モードでのシート種判別のみならず、ユーザー設定モードにおいてユーザーがシート種を設定した場合にも、光学センサ91及び超音波センサ92を動作させて検知結果を基にシート種を判別する。
【0038】
画像形成制御部100cは、ユーザー設定モードでは、シート種設定制御部100bで受け付けたユーザーが設定したシート種を基に、自動検知モードではメディア検知制御部100aで判別されたシート種を基に、各シート種に対応する画像形成条件で画像形成部10を制御し、シートに画像を印刷する。
【0039】
記憶部100dは、ユーザーが設定したシート種とメディア検知制御部100aで判別されたシート種を保存する。
【0040】
外部通信制御部100eは、図2のネットワークI/F160に相当するものであり、ユーザー設定モードでユーザーが設定し記憶部100dに保存されたシート種に関する情報をサーバー2に送信する。さらに、ユーザーがシート種を設定したシート及び設定しなかったシートに対してメディア検知制御部100aで自動判別されたシート種に関する情報をサーバー2に送信する。
【0041】
サーバー2は受信した情報を基に、受け付けたシート種と判別されたシート種の一致/不一致を判定する。
【0042】
あるいは、ユーザーがシート種を設定したシートについて、受け付けたシート種と自動判別されたシート種の一致/不一致をシート種設定制御部100bが判定し、外部通信制御部100eが、受け付けたシート種に関する情報と自動判別されたシート種に関する情報のいずれか一方と共に、一致/不一致に関する情報をサーバー2に送信しても良い。あるいは、受け付けたシート種に関する情報と、自動判別されたシート種に関する情報と、一致/不一致に関する情報の全てをサーバー2に送信しても良い。
【0043】
送信に際しては、送信対象の各情報は、同一のIDを付す等の方法により相互に関連付けて送信される。これにより、サーバー2は受信した各情報を関連付けて保存蓄積することができる。
【0044】
画像形成装置1からサーバー2への情報の送信はネットワーク4を介して行われるが、画像形成装置1がUSB接続機能を備え、画像形成装置1とUSB接続された管理用パーソナルコンピュータ等から構成されるサーバー2に送信しても良い。
【0045】
次に、画像形成装置1の動作を制御部100による制御を中心に説明する。
【0046】
ユーザーが操作パネル部50を操作してプリントジョブを指示し、あるいは端末装置3から画像形成装置1に対してプリントジョブを指示する。ユーザー設定モードでは、プリントジョブの指示に際して、ユーザーが、画像を形成されるシートの種類(シート種)を設定できる。シート種の設定を含むプリントジョブは制御部100で受け付けられる。シート種の設定を含むプリントジョブの指示が端末装置3で行われた場合は、プリントジョブはネットワーク4を介して画像形成装置1に送信され、画像形成装置1の制御部100で受け付けられる。ユーザーがシート種を設定して印刷(画像形成)を行う場面としては、例えば、生産性を上げるためにユーザーが厚紙を普通紙として設定する場合がある。
【0047】
画像形成装置1の制御部100はプリントジョブを受け付けると、1段目給紙カセット90aまたは2段目給紙カセット90bからシートをシート搬送路8に給紙するとともに、給紙されたシートをスキュー補正ローラー72に向けて搬送する。
【0048】
制御部100は、搬送されたシートの搬送途中に、光学センサ91及び超音波センサ92によりシート種判別用パラメータを検知させる。具体的には、光学センサ91の光源91a、91bからシートに対して照射された光の透過光及び/または反射光を受光素子91cにより受光させる。また、超音波センサ92の超音波発信部92aから発信した超音波を超音波受信部92bで受信させる。
【0049】
制御部100は、光学センサ91における受光センサ91cでの受光量及び超音波センサ92における超音波受信部92bの受信量に基づいて、シートの種類を判別する。
【0050】
光学センサ91及び超音波センサ92でのシート種判別用パラメータの検知と、検知結果に基づくシート種の判別は、ユーザーがシート種を設定しなかったシートと設定したシートのいずれのシートについても実施される。
【0051】
この実施形態では、光学センサ91及び超音波センサ92でのシート種判別用パラメータの検知は、ユーザーがシート種を設定しない自動検知モードでは第1の検知モードで行われ、ユーザー設定モードでは、第1の検知モードとは異なる第2の検知モードで行われる。自動検知モードでは、第1の検知モードの検知結果に基づいてシート種の判別が行われ、判別したシート種に対応した画像形成条件でシートへの印刷が行われる。一方、ユーザー設定モードでは、第2の検知モードの検知結果に基づいてシート種の判別が行われるが、画像形成条件はユーザーが設定したシート種に対応した画像形成条件が適用され、この画像形成条件でシートへの印刷が行われる。従って、光学センサ91及び超音波センサ92での検知結果は反映されることなく印刷が行われる。
【0052】
第1の検知モードでは、シート種が不明であるため、シートの搬送速度を遅くしてどのシートであっても搬送できるようにしている。具体的には、図2に記したように、シートが各メディア検知センサ91、92に到達してからスキュー補正ローラー72に到達する間に検知を実行することで、生産性を出来るだけ低下させることなく、自動判別したシート種に対応する条件で画像形成を行っている。
【0053】
一方、第2の検知モードでは、ユーザーが設定したシート種に応じた搬送速度になる。このため、シート種によっては、第1の検知モード時よりも搬送速度が速くなるので、シートが各メディア検知センサ91、92に到達してからスキュー補正ローラー72に到達するまでの時間が短くなり、従って検知時間も短くなる。
【0054】
例えば、シートがメディア検知センサ91、92に到達したのちスキュー補正ローラ72に到達するまでのうち、検知結果が安定する範囲をメディア検知範囲としてそれぞれ25mmとし、第1の検知モード時のシート搬送速度:150mm/s、第2の検知モード時のシート搬送速度:150mm/s~400mm/sとすると、第1の検知時間は25mm÷150mm/s≒167msとなり、第2の検知時間は最小で25mm÷400mm/s≒63msとなる。
【0055】
各メディア検知センサ91、92によるシート種判別用パラメータの検知は、複数回にわたるサンプリングにより行われる。このサンプルリングは、CPU100aの処理能力及び制御要件の中で実行され、第2の検知モードでは、第1の検知モードよりもデータサンプル数が少なくなり、検知精度が低下することがある。逆に言えば、第1の検知モードの方が第2の検知モードよりも検知精度が高くなる。
【0056】
しかし、第2の検知モードでは、第1の検知モードと異なる範囲でシート種判別用パラメータの検知をして、検知時間や検知精度を第1の検知モードと同等以上にすることもできる。具体的には、シートの先端がスキュー補正ローラー72を超えて搬送された状態になっても検知を行うことで、検知範囲(検知長さ)を拡げることが可能になり、その分第2の検知モードの検知範囲の方が第1の検知モードの検知範囲よりも広くなり、第2の検知モードの検知時間や検知精度を第1の検知モードと同等以上とすることが可能である。第2の検知モードでは、自動判別されたシート種を画像形成プロセスに反映しないため生産性への影響はない。
【0057】
ユーザーがシート種を設定しない自動検知モードでは、メディア検知制御部100aは第1の検知モードでの検知を実行させるとともに、検知結果を基にシート種を判別し、画像形成制御部100cは画像形成部10を制御して、判別されたシート種に対応する画像形成条件でシートに画像を印刷させる。また、外部通信制御部100eが判別されたシート種に関する情報を、サーバー2に送信する。
【0058】
一方、ユーザー設定モードでは、ユーザーが設定したシート種をシート種設定制御部100bが受け付け、画像形成制御部100cは、受け付けたシート種に対応する画像形成条件で画像形成部10を制御し、シートに画像を印刷させる。また、メディア検知制御部100aは、メディア検知センサ91、92に第2の検知モードでの検知を実行させるとともに、検知結果を基にシート種を判別する。外部通信制御部100eは、判別されたシート種に関する情報、ユーザーが設定し画像形成装置が受け付けたシート種に関する情報、受け付けたシート種と判別されたシート種の一致/不一致に関する情報、のうちの少なくとも2つの情報をサーバー2に送信する。
【0059】
なお、サーバー2への情報の送信は、プリントジョブの終了毎に行われても良いし、複数のジョブ毎に行われても良いし、決められた時刻に行われても良いし、限定はされない。
【0060】
図7は、送信対象の情報をサーバー2に送信する際の画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。この動作は、画像形成装置の制御部100のCPU101aがROM101b等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0061】
ステップS01では、ユーザーによるシート種の設定の有無(設定を受け付けたかどうか)を調べる。シート種の設定が無かった場合(ステップS01で「無」)、ステップS02で第1の検知モードを適用し、ステップS03でシート種の自動検知・判別を行う。
【0062】
次いでステップS04では、自動検知・判別したシート種に対応する画像形成条件で画像形成を行った後、ステップS05で、自動検知・判別したシート種を含む情報をサーバー2に送信する。
【0063】
一方ステップS01で、ユーザーによるシート種の設定が有った場合(ステップS01で「有」)、ステップS06で第2の検知モードを適用し、ステップS07でシート種の自動検知・判別を行う。
【0064】
次いでステップS08では、ユーザーが設定したシート種に対応する画像形成条件で画像形成を行った後、ステップS09で、自動検知・判別されたシート種に関する情報と、ユーザーが設定し画像形成装置が受け付けたシート種に関する情報を送信する。なお、受け付けたシート種と自動検知・判別されたシート種の一致/不一致に関する情報をも送信しても良いし、自動検知・判別されたシート種に関する情報と受け付けたシート種に関する情報のいずれかに変えて、一致/不一致に関する情報を送信しても良い。
【0065】
ユーザーによるシート種の設定がなされない自動検知モードにおいて、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報の一例を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1の情報はプリントジョブ毎に生成され、表中の「送信日時」は情報をサーバーに送信するときの日時であり、「検知ID」はシート種の検知・判別を行ったプリントジョブに対応する識別情報である。「検知日時」はシート種の検知・判別を行った日時であり、「マシン情報」は画像形成装置1に付与された識別情報であり、「メディア検知シート種」は自動検知・判別されたシート種を示す情報である。この実施形態では、シート種の自動検知・判別は例えばプリントジョブの最初のシート等、1枚のシートについてのみ行っている。「検知ID時の通紙枚数」はそのジョブでの印刷枚数を示し、「検知ID時の不具合情報」はそのプリントジョブの実行中におけるジャムなどの不具合の有無を示し、この例では不具合が発生していないことが示されている。
【0068】
ユーザー設定モードにおいて、メディア検知センサ91、92による自動検知・判別を行わない場合に、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報の一例を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
表2では、表1の「送信日時」「マシン情報」の他に「ユーザー設定シート種」「設定シート種毎の通紙枚数」「設定シート種毎の不具合情報」が送信される。この例では、ユーザーが厚紙2を設定して印刷中に定着ジャムを発生したことが示されている。
【0071】
ユーザー設定モードにおいて、メディア検知センサ91、92による自動検知・判別を行った場合に、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報の第1の例を表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
表3の情報はプリントジョブ毎に生成される。表1と同様の情報である、「送信日時」「検知ID」「検知日時」「マシン情報」、「メディア検知シート種」「検知ID時の通紙枚数」「検知ID時の不具合情報」に加えて、ユーザーにより設定されたシート種を示す「ユーザー設定シート種」が送信される。この例では、ユーザーがシート種として厚紙2を設定したにもかかわらず、メディア検知センサ91、92に基づいて判別されたシート種は薄紙であり、両者が相違していることがわかる。また、プリントジョブ中に定着ジャムの不具合を発生していることが示されている。なお、不具合はジャムに限定されることはないし、またジャムの場合も定着部19以外の部位、例えばフィニッシャでのジャムであることを示すことも可能である。
【0074】
ユーザー設定モードにおいて、メディア検知センサ91、92による自動検知・判別を行った場合に、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報の第2の例を表4に示す。
【0075】
【表4】
【0076】
表4の例では、表3の「ユーザー設定シート種」に代えて、「ユーザー設定シート種との関係」についての情報が送信される。「ユーザー設定シート種との関係」は、ユーザーが設定したシート種と、メディア検知センサによるシート種の判別結果(この例では薄紙)の一致/不一致に関する情報であり、不一致であることが示されている。なお、表3の「ユーザー設定シート種」と表4の「ユーザー設定シート種との関係」の両方を送信しても良い。
【0077】
ユーザー設定モードにおいて、メディア検知センサ91、92による自動検知・判別を行った場合に、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報の第3の例を表5に示す。
【0078】
【表5】
【0079】
表4の例では、「ユーザー設定シート種との関係」について、ユーザーが設定したシート種と、メディア検知センサ91、92によるシート種の判別結果の一致/不一致が直接的に示されていたが、表5の例では坪量レベルの違いがシート種情報として示されている。つまり、厚紙2を基準として坪量区分が低い側に厚紙1を-1ランク、普通紙+を-2ランク、普通紙を-3ランク、薄紙を-4ランクとした場合、ユーザーが設定したシート種が厚紙2であるとすると、厚紙2と自動検知・判別されたシート種である薄紙とは坪量区分で-4ランク相違していることから、-4ランクで表示したものである。なお、表3の「ユーザー設定シート種」も併せて送信しても良い。
【0080】
表3~表5の例では、「メディア検知シート種」と「ユーザー設定シート種」の組み合わせか、「メディア検知シート種」と「ユーザー設定シート種との関係」の組み合わせをサーバー2に送信する構成とした。しかし、前述したように、「ユーザー設定シート種」と「ユーザー設定シート種との関係」の組み合わせを送信しても良いし、「メディア検知シート種」と「ユーザー設定シート種」と「ユーザー設定シート種との関係」の中から少なくとも2つの情報を送信すれば良い。
【0081】
また、各情報は検知IDを付されているから、検知IDを介して相互に関連付けられて送信されることになり、たとえ別々に送信されても、サーバー2は同一の検知IDを基に各情報を関連付けて取り扱うことができる。
【0082】
サーバー2は、画像形成装置1から送信される情報を受信し、データ蓄積部21で蓄積し、必要に応じてデータ解析部22で解析する。
【0083】
図8は、サーバー2による分析結果を示すもので、メディア検知センサ91、92による検知結果を基に判別したシート種に対応する画像形成条件で印刷を行った場合の、一定期間におけるシート種毎の通紙枚数とジャム率を示すグラフである。棒グラフが自動検知されたシート種毎の通紙枚数であり、折れ線グラフが通紙枚数に対するジャム枚数の比率(ジャム率)を示す。この分析は、市場に設置した画像形成装置1が、自動検知モードで動作した時にサーバー2に送信したデータ(表1)に含まれるメディア検知シート種や不具合情報(ジャムカウント)を基に行っている。図8からはジャムの発生頻度が小さいことがわかる。
【0084】
次に、ユーザーが設定したシート種に基づいて印刷を行った場合のシート種毎の通紙枚数とジャム率を図9に示す。この分析も、ユーザー設定に基づいて動作した画像形成装置1がサーバー2に送信したデータ(表2)に含まれるユーザー設定シート種や不具合情報を基に、サーバー2が行ったものである。図9からジャム発生の頻度が図8の場合に較べて大きいことがわかる。特に、厚紙のジャム率が他のシート種よりも大きくなっている。
【0085】
ちなみに、図8の自動検知モード時の総通紙枚数に対するジャム率は0.0070%であり、図9のユーザー設定モード時の同ジャム率は、0.0186%であり、自動検知モードよりもジャム率が大きい。また、ユーザー設定モードの方が、自動検知モードよりも、厚紙通紙比率が多く、薄紙通紙比率が少ない。
【0086】
図10は、ユーザー設定モードにおいて、ユーザーが設定したシート種に基づいて印刷を行うとともに、メディア検知センサ91、92によるシート種の自動検知・判別も行った場合(図10ではアクティブ検知と記している)に、サーバー2により分析されたシート種毎の通紙枚数とジャム率を示すグラフである。この場合の通紙枚数は、自動検知・判別されたシート種毎の通紙枚数のうち、ユーザーが設定したシート種が不一致であった場合の通紙枚数であり、この通紙枚数に対するジャム率である。この分析も、ユーザー設定に基づいて印刷を行いかつシート種の自動検知も行った画像形成装置1がサーバー2に送信したデータ(表3~表5)に含まれる、メディア検知シート種、ユーザー設定シート種あるいはユーザー設定シート種との関係、不具合情報を基に行っている。図10からも、厚紙や薄紙のジャム率が他のシート種よりも大きくなっていることがわかる。
【0087】
このように、この実施形態では、ユーザー設定モードにおいて、ユーザーにより設定され画像形成装置1が受け付けたシート種に関する情報と、画像形成装置1により自動検知・判別されたシート種と、ユーザーにより設定されたシート種と自動検知・判別されたシート種の一致/不一致に関する情報、のうちの少なくとも2つの情報をサーバー2に送信するから、サーバー2はこれらの情報を蓄積できる。また、蓄積された情報を用いて、どのシート種についてユーザーの設定ミスが多いか等を分析して不具合の原因を特定できるとともに、分析結果を定期的にあるいは任意のタイミングであるいはリアルタイムで画像形成装置1に送信することができる。画像形成装置1は、サーバー2から送信されてきた分析結果を外部通信制御部100eを介して受信し、印刷時等に、制御部100が分析結果に基づいたメッセージ等を表示部54に表示して、適正なシート種の設定確認をユーザーに促し、設定ミスによる不具合の発生を防止することができる。
【0088】
さらに、画像形成装置1は、ジャム等の不具合が発生したときは、具体的な不具合情報をも併せてサーバー2に送信することで、サーバー2はユーザーの設定ミスと不具合とを関連付けて蓄積し、蓄積データを分析することができる。例えば、ユーザーにより厚紙が設定され、自動検知・判別でシート種は薄紙と判別され、不具合情報としてジャム発生が多いことが蓄積データから分析されたときは、その分析結果を不具合発生情報として画像形成装置1に送信する。実際上、ユーザーが設定した厚紙に対応する画像形成条件で薄紙に印刷を実行すると、用紙が必要以上に加熱されカールが発生し定着部19でジャムを発生し易い。
【0089】
不具合発生情報をサーバー2から受信した画像形成装置1は、自動検知・判別されたシート種が例えば薄紙であり、ユーザーが設定したシート種が例えば厚紙であったときに、図11に示すように、ジャムが発生する可能性があることを表示部54に表示してユーザーに通知することができる。ユーザーは、印刷を続行するか中止するかを選択でき、印刷を続行する場合は、「自動検知した紙種で印刷する」の項目に対するチェックの有無により、自身が設定した厚紙で印刷するか、自動検知・判別した薄紙で印刷するかを選択できるようになっている。
【0090】
なお、ユーザーへの通知は、図11に示した画像形成装置1の表示部54への表示ではなく、端末装置3の画面への表示であっても良いし、予め登録されたアドレスへの電子メールによる通知であっても良いし、音声による通知であっても良い。
【0091】
また、不具合が発生する可能性があると分析したサーバー2が、自動検知・判別されたシート種に対応する画像形成条件に切り替える指示を画像形成装置1に行っても良い。この場合は、ユーザーに通知することなく、指示されたシート種の画像形成条件で印刷を行っても良いし、画像形成条件を切り替えて印刷を行うことをユーザーに通知しても良い。
【0092】
また、サーバー2から画像形成装置1への分析結果の送信は、不具合が発生した画像形成装置1だけでなく、同一のネットワーク4に接続された複数の画像形成装置1に対して行われても良い。
【0093】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。
【0094】
例えば、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報には、表3-表5に示した情報の他に各種の情報が含まれていても良い。例えば、シート表面の画像の有無についての画像情報、シートの透過率情報、反射率情報、剛度情報、厚み情報、坪量情報、サイズ情報、目方向情報、色情報、水分情報、平滑度情報、抵抗情報、摩擦情報、シートの構成情報及び印刷情報の少なくとも1つが含まれていても良い。シートの構成情報には、パルプ、コート、蛍光剤、填料、色材のうちの少なくとも1つが含まれ、印刷情報には、シートの銘柄、環境情報、給紙口情報、画像形成情報のうちの少なくとも1つが含まれる。
【0095】
表6は、これらの各情報を、取得する検知手段毎にまとめたものである。例えば、光学センサ91からは、光学特性から判定した用紙種類、透過率、反射率の各情報を得ることができる。給紙カセット90a、90bからは用紙サイズの情報を、シート搬送モータ(メカ機構)からは剛度の情報を、シート搬送ローラの変位量を変位センサで測定することでシート厚みの情報を、CMOSを利用したセンサからは、紙の目方向、平滑度、色の各情報を、それぞれ得ることができる。「ユーザー設定」はユーザーにより設定される情報である。
【0096】
【表6】
【0097】
また、シート種と坪量との関係を表7に示す。
【0098】
【表7】
【0099】
このような情報をサーバー2に送信することにより、サーバー2は、蓄積されたシート種の設定ミス情報と不具合情報等から、例えば、坪量と定着熱量と不具合の関係を分析することができ、分析結果を画像形成装置1に送信してユーザーに通知することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態における情報収集システム、画像形成装置1、サーバー2及びと端末装置3のハードウェア構成は、図1図6に示した情報収集システム、画像形成装置1等のハードウェア構成と同じであるため、説明は省略する。
【0100】
第1の実施形態では、画像形成装置1が、ユーザーにより設定されたシート種に関する情報と、自動検知・判別されたシート種に関する情報と、これら2つのシート種の一致/不一致に関する情報、のうちの少なくとも2つの情報を外部装置であるサーバー2に送信する場合について説明した。
【0101】
しかし、画像形成装置1からサーバー2に送信される情報はこれらに限定されることはなく、シートに関して設定された設定情報と、メディア検知センサ91、92等の検知手段により検知されたシートの検知情報と、設定情報と検知情報の一致/不一致に関する情報、のうち少なくとも2つの情報を外部装置であるサーバー2に送信する構成であっても良い。あるいは、設定情報及び検知情報は送信することなく、設定情報と検知情報の一致/不一致に関する情報を送信しても良い。設定情報と検知情報の一致/不一致の判定は、シート種設定制御部100bにより行われる。
【0102】
「シートに関して設定された設定情報」とは、印刷ジョブを実行する場合にユーザーがシート種等を設定した情報、給紙カセット60a、60bに対してユーザーが操作パネル等を通じて設定した情報、画像形成装置1の出荷時(初期)に予め給紙カセット60a、60bに対して設定された情報などであり、シートに対して画像形成装置1に設定されている情報であれば全て該当する。
【0103】
「シートの検知情報」は、シートの物性の検知情報であり、シートの透過率情報、反射率情報、剛度情報、厚み情報、坪量情報、サイズ情報、目方向情報、色情報、水分情報、平滑度情報、抵抗情報、摩擦情報などであり、シートに対してセンサで検知した情報であれば全て該当する。
【0104】
図12は、送信対象の情報をサーバー2に送信する際の画像形成装置1の動作を示すフローチャートである。この動作は、画像形成装置の制御部100のCPU101aがROM101b等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0105】
ステップS11では、シートに関して設定された設定情報の有無を調べる。設定情報が無かった場合(ステップS11で「無」)、ステップS12に進み、設定情報が有った場合(ステップS11で「有」)、ステップS16に進む。なお、シート設定モードを設けてユーザー等がシート設定モードを選択できるようにし、シート設定モードが選択されなかった場合はステップS12に進み、選択された場合はステップS16に進む構成としても良い。
【0106】
ステップS12では第1の検知モードを適用し、ステップS13でシートの物性の自動検知を行う。第1の検知モードでは、第1の実施形態における第1の検知モードと同様に、シートに関する情報が不明であるため、シートの搬送速度を遅くしてどのシートであっても搬送できるようにしている。
【0107】
次いでステップS14では、自動検知したシートの検知結果に対応する画像形成条件を自動的に設定して画像形成を行った後、ステップS15で、自動検知したシートの検知情報をサーバー2に送信する。
【0108】
一方ステップS16では第2の検知モードを適用し、ステップS17でシートの物性の自動検知を行う。第2の検知モードでは第1の実施形態における第2の検知モードと同様に、シートの設定情報に応じた搬送速度になる。
【0109】
次いでステップS18では、シートに関して設定された設定情報に対応する画像形成条件を自動的に設定して画像形成を行った後、ステップS09で、自動検知された検知情報と、シートに関して設定された設定情報を送信する。なお、シートに関して設定された設定情報と自動検知された検知情報の一致/不一致に関する情報をも送信しても良いし、自動検知された検知情報とシートに関して設定された設定情報のいずれかに変えて、一致/不一致に関する情報を送信しても良い。あるいはまた、自動検知された検知情報とシートに関して設定された設定情報は送信することなく、一致/不一致に関する情報を送信しても良い。
【0110】
また、自動検知されたシートの検知情報を基に、シート種設定制御部100bがシート種を判別し、判別されたシート種を併せてサーバー2に送信しても良い。
【0111】
第2の実施形態では、シートに関して設定された設定情報と、画像形成装置1により自動検知されたシートの検知情報と、シートに関する設定情報と検知情報の一致/不一致に関する情報、のうちの少なくとも2つの情報をサーバー2に送信し、あるいはシートに関する設定情報と検知情報の一致/不一致に関する情報をサーバー2に送信するから、サーバー2はこれらの情報を蓄積できる。また、蓄積された情報を用いて、どのシートについてユーザーの設定ミスが多いか等を分析して不具合の原因を特定できるとともに、分析結果を定期的にあるいは任意のタイミングであるいはリアルタイムで画像形成装置1に送信することができる。画像形成装置1は、サーバー2から送信されてきた分析結果を外部通信制御部100eを介して受信し、印刷時等に、制御部100が分析結果に基づいたメッセージ等を表示部54に表示して、適正なシートの設定確認をユーザーに促し、設定ミスによる不具合の発生を防止することができる。
【0112】
さらに、画像形成装置1は、ジャム等の不具合が発生したときは、具体的な不具合情報をも併せてサーバー2に送信することで、サーバー2はユーザーの設定ミス等のシートに関する設定ミスと不具合とを関連付けて蓄積し、蓄積データを分析することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 サーバー(外部装置)
3 端末装置(外部の印刷指示手段)
4 ネットワーク
8 シート搬送路
10 画像形成部
50 操作パネル部
54 表示部
60 給紙部
72 スキュー補正ローラー
91 光学センサ(メディア検知センサ)
91a、91b 光源
91c 受光検知素子
92 超音波センサ(メディア検知センサ)
91a 超音波送信部
91b 超音波受信部
100 制御部
100a メディア検知制御部(判別手段)
100b シート種設定制御部(受付手段)
100c 画像形成制御部
100d 記憶部
100e 外部通信制御部(送信手段、受信手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12