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特許7375977プログラマブルロジックコントローラ、支援装置、及び表示装置、並びに、ロギング方法、支援方法、及び表示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】プログラマブルロジックコントローラ、支援装置、及び表示装置、並びに、ロギング方法、支援方法、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G05B19/05 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023076791
(22)【出願日】2023-05-08
【審査請求日】2023-05-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100157967
【弁理士】
【氏名又は名称】管田 洋明
(72)【発明者】
【氏名】仲野 良祐
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-143169(JP,A)
【文献】特開2021-189482(JP,A)
【文献】特開平03-223905(JP,A)
【文献】特開2001-273013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、前記制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む制御処理を、制御周期毎に繰り返す制御部を備え、
前記制御部は、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、前記複数の制御周期各々において前記複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、前記複数の変数それぞれの値を前記制御周期よりも長い収集期間内に収集することを特徴とするプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の制御周期のうち先頭の制御周期から前記複数の制御周期のうち何れかの制御周期までの期間に収集された変数を示す変数情報を記録し、前記何れかの制御周期の次の制御周期において、前記変数情報に基づき、前記複数の変数のうち未だ収集されていない変数の値を収集することを特徴とする請求項1記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項3】
前記制御部は、前記何れかの制御周期において、前記ロギング処理の実行時間を計測し、前記ロギング処理の実行時間が所定時間に達した場合、前記何れかの制御周期における前記ロギング処理を終了することを特徴とする請求項2記載のプログラマブルロジックコントローラ。
【請求項4】
プログラマブルロジックコントローラの支援装置であって、
前記プログラマブルロジックコントローラは、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、前記制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む制御処理を、制御周期毎に繰り返し、前記支援装置から出力される設定情報に基づいて、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、前記複数の制御周期各々において前記複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、前記複数の変数それぞれの値を前記制御周期よりも長い収集期間内に収集し、
前記支援装置は、
前記制御プログラムを解析して、前記制御プログラムにおいて使用されている変数を抽出するプログラム解析部と、
抽出された変数の中から、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を選択する選択部と、
前記収集期間の指定を受け付ける受付部と、
前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を示す情報と前記収集期間を示す情報とを、前記設定情報として出力する設定情報出力部と、
を備えることを特徴とする支援装置。
【請求項5】
前記収集期間及び前記制御周期に基づいて、前記複数の制御周期の個数を決定し、前記複数の変数それぞれの値の総データ量と前記複数の制御周期の個数とに基づいて、前記複数の制御周期各々において収集される前記一部の変数の値のデータ量を求める計算部と、
前記複数の制御周期各々において収集される前記一部の変数の値のデータ量を出力するデータ量出力部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の支援装置。
【請求項6】
部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、前記制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む制御処理を、制御周期毎に繰り返し、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、前記複数の制御周期各々において前記複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、前記複数の変数それぞれの値を前記制御周期よりも長い収集期間内に収集するプログラマブルロジックコントローラと
記収集期間における前記複数の変数それぞれの値の収集時刻と対応付けて、前記複数の変数それぞれの値を表示する表示装置と、
を備えることを特徴とするプログラマブルロジックコントローラシステム
【請求項7】
プログラマブルロジックコントローラが、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、前記制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む制御処理を、制御周期毎に繰り返し、
前記プログラマブルロジックコントローラは、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、前記複数の制御周期各々において前記複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、前記複数の変数それぞれの値を前記制御周期よりも長い収集期間内に収集することを特徴とするロギング方法。
【請求項8】
表示装置が、前記収集期間における前記複数の変数それぞれの値の収集時刻と対応付けて、前記複数の変数それぞれの値を表示することを特徴とする請求項7記載のロギング方法。
【請求項9】
プログラマブルロジックコントローラが、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、前記制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む制御処理を、制御周期毎に繰り返し、前記プログラマブルロジックコントローラの支援装置から出力される設定情報に基づいて、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、前記複数の制御周期各々において前記複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、前記複数の変数それぞれの値を前記制御周期よりも長い収集期間内に収集し、
前記支援装置が、
前記制御プログラムを解析して、前記制御プログラムにおいて使用されている変数を抽出し、
抽出された変数を表示し、
表示された変数の中から選択された複数の変数を、前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数として特定し、
前記収集期間の指定を受け付け、
前記制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を示す情報と前記収集期間を示す情報とを、前記設定情報として出力する、
ことを特徴とする支援方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller,PLC)の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
PLCに関して、監視機器から入力される各種データとデバイス値との時間的な関係を特定しやすくする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。ユーザアプリケーションの実行や機器の制御に影響なくロギングを行える技術も知られている(例えば、特許文献2を参照)。スケジューラを実装したPLCも知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-13526号公報
【文献】特許第7188631号公報
【文献】特開2008-146357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2のPLCでは、機器の制御に与える影響を抑制しながら、機器及びPLCの動作状態を示すデータを大量に収集することが難しい。
【0005】
1つの側面において、本発明は、PLCによる機器の制御において使用される変数の値を適切に収集することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態によれば、プログラマブルロジックコントローラは、制御部を含む。制御部は、制御処理を制御周期毎に繰り返す。制御処理は、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む。
【0007】
制御部は、制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、複数の制御周期各々において複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、複数の変数それぞれの値を制御周期よりも長い収集期間内に収集する。
【0008】
別の実施形態によれば、プログラマブルロジックコントローラは、制御処理を制御周期毎に繰り返す。制御処理は、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む。
【0009】
プログラマブルロジックコントローラは、支援装置から出力される設定情報に基づいて、制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、複数の制御周期各々において複数の変数のうち一部の変数の値を収集する。これにより、プログラマブルロジックコントローラは、複数の変数それぞれの値を制御周期よりも長い収集期間内に収集する。
【0010】
支援装置は、プログラム解析部、選択部、受付部、及び設定情報出力部を含む。プログラム解析部は、制御プログラムを解析して、制御プログラムにおいて使用されている変数を抽出する。選択部は、抽出された変数の中から、制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を選択する。受付部は、収集期間の指定を受け付ける。設定情報出力部は、制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を示す情報と収集期間を示す情報とを、設定情報として出力する。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、プログラマブルロジックコントローラは、制御処理を制御周期毎に繰り返す。制御処理は、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む。
【0012】
プログラマブルロジックコントローラは、制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、複数の制御周期各々において複数の変数のうち一部の変数の値を収集する。これにより、プログラマブルロジックコントローラは、複数の変数それぞれの値を制御周期よりも長い収集期間内に収集する。
【0013】
プログラマブルロジックコントローラによって収集された情報を表示する表示装置は、表示部を含む。表示部は、収集期間における複数の変数それぞれの値の収集時刻と対応付けて、複数の変数それぞれの値を表示する。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面によれば、PLCによる機器の制御において使用される変数の値を適切に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】PLCシステムの構成例を示す図である。
図2】PLCが実行する各処理の実行期間の例を示す図である。
図3】収集期間の例を示す図である。
図4】PLCのハードウェア構成例を示す図である。
図5】PCのハードウェア構成例を示す図である。
図6】支援装置の機能構成例を示す図である。
図7】ロギング処理の実行の条件の設定を行う方法の例を説明する図である。
図8】UI画面の画面例である。
図9】ロギング設定データのデータ構造の例を示す図である。
図10】収集対象設定情報のデータ構造の例を示す図である。
図11】PLCの機能構成例を示す図である。
図12】PLCによるロギング実行方法の例を説明する図である。
図13】ロギング処理及び保存処理の処理内容の例を示すフローチャートである。
図14】ロギング収集データのデータ構造の例を示す図である。
図15】収集データのデータ構造の例を示す図である。
図16】同期収集処理の例を示すフローチャートである。
図17】非同期収集処理の例を示すフローチャートである。
図18】収集データ表示装置のハードウェア構成例を示す図である。
図19】収集データ表示装置の機能構成例を示す図である。
図20】収集データを表示する方法の例を説明する図である。
図21】プログラム表示処理の例を説明する図である。
図22】収集データの表示画面の画面例である。
図23】警告画面の画面例である。
図24】波形表示処理の例を説明する図である。
図25】収集データの波形表示画面の画面例である。
図26】ロギングファイル解析・変換処理の例を説明する図である。
図27】表示制御処理の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0017】
PLCは、ファクトリーオートメーションにおいて製造機器、搬送装置、検査装置等を制御する制御装置である。PLCは、ラダープログラム等の、ユーザにより作成されるユーザアプリケーションプログラムを実行することで様々な制御機器を制御する。
【0018】
PLCのような制御装置による機器の制御において異常が発生した場合には、その異常の原因を特定することが望ましい。また、このような異常の発生の場合に限られず、機器の制御に関する情報を記録しておいて、その後に情報を検証したいという要望がある。そこで、ユーザが、データの履歴を残すための条件を予め制御装置に設定しておき、この条件に基づいて、制御装置が、機器及び制御装置自体の動作状態を示すデータをロギングすることがある。
【0019】
特許文献1のPLCでは、各制御周期において、入力処理、ユーザアプリケーションプログラムを実行するプログラム実行処理、出力処理、及びロギング処理が順に実行される。しかしながら、入力処理、プログラム実行処理、及び出力処理に続いてロギング処理が追加されることで、制御周期が長くなると、次の制御周期の開始が遅延する。このため、ユーザアプリケーションがユーザの意図した通りに動作しないことがある。
【0020】
特許文献2のPLCでは、ロギング処理の追加によって制御周期が長くなることはないが、制御周期の伸長を抑えるために、ロギングされるデータのデータ量が制限されることがある。
【0021】
図1は、PLCシステムの構成例を示している。図1のPLCシステムは、PLC1と、パーソナルコンピュータ(Personal Computer,PC)2と、入出力モジュール3と、通信モジュール4とを含む。PLC1とPC2とは通信ケーブル6を介して接続されている。PLC1は、工場等に設置される各種制御機器を統括的に制御する。
【0022】
PC2はPLC1を支援する支援装置としての機能を提供する。PC2は、例えば、ユーザアプリケーションプログラムの編集を行うために用いられる。ユーザアプリケーションプログラムは、外部機器を制御するための制御プログラムに対応する。なお、以降の説明では、ユーザアプリケーションプログラムを「ユーザプログラム」と称することがある。
【0023】
ユーザプログラムは、例えば、IEC(International Electrotechnical Commission)61131-3準拠のラダー言語を用いて作成されてもよい。ユーザプログラムは、シーケンシャルファンクションチャート(Sequential Function Chart,SFC)等のフローチャート形式のモーションプログラム等といったグラフィカルプログラミング言語を用いて作成されてもよい。ユーザプログラムは、C言語等の高級プログラミング言語を用いて作成されてもよい。
【0024】
また、後述するように、PC2は、ロギング処理の実行の条件の設定を行う機能も提供する。
【0025】
PLC1と入出力モジュール3及び通信モジュール4とは通信バス7を介して接続されている。通信バス7には、複数の入出力モジュール3や複数の通信モジュール4が接続されていてもよい。入出力モジュール3及び通信モジュール4は、着脱可能となっている。入出力モジュール3及び通信モジュール4は、外部機器に対応する。
【0026】
入出力モジュール3は、サーボアンプやエンコーダ、あるいは、センサの信号を電気信号に変換するものであり、また、デジタル信号若しくはアナログ信号を入出力するものであってもよい。
【0027】
通信モジュール4は、他の機器との通信インタフェースを提供する。
【0028】
図2は、図1のPLCシステムにおいてPLC1が実行する各処理の実行期間の例を示している。
【0029】
PLC1は、入力処理、プログラム実行処理、出力処理、ロギング処理、及びシステム処理を含む制御処理を、制御周期毎に繰り返す。入力処理は、入出力モジュール3から受信した入力データを取り込む処理である。プログラム実行処理は、ユーザにより作成されたユーザプログラムを実行する処理である。このユーザプログラムの実行では、入力処理により取り込まれた入力データが用いられる。出力処理は、ユーザプログラムの実行結果を出力することによって入出力モジュール3を制御して、実行結果を入出力モジュール3の出力に反映させる処理である。
【0030】
ロギング処理は、ユーザプログラムにおいて使用されている変数の値を収集して、収集データを生成する処理である。ロギング処理は、PLC1を含むPLCシステムの各構成機器の動作状態を示すデータを記録し、履歴として保存する処理でもある。システム処理は、PLC1自身の動作を管理して、適正な動作を維持するための処理である。
【0031】
PLC1は、ユーザプログラムの実行を妨げないように、各制御周期における出力処理の後にロギング処理を実行する。制御周期は、入力処理、プログラム実行処理、出力処理、ロギング処理、及びシステム処理の実行期間の合計である。したがって、ロギング処理の実行期間は、制御周期の帯域により制限される。制御周期は、例えば、ユーザにより指定される。
【0032】
図3は、図1のPLCシステムにおいて用いられる収集期間の例を示している。図3の収集期間は、制御周期よりも長い期間であり、複数のロギング処理の実行期間を含む。各ロギング処理の実行期間は、複数の制御周期各々に含まれている。したがって、収集期間内において、収集対象の複数の変数が複数の制御周期それぞれのロギング処理に分割されて、制御周期とは非同期に変数の値が収集される。
【0033】
これにより、ユーザプログラムと機器の制御に関連する入力処理、プログラム実行処理、及び出力処理の実行期間に影響を与えることなく、所望のデータ量の変数の値を収集することが可能になる。したがって、機器の制御において使用される変数の値を適切に収集することができる。
【0034】
なお、プログラム実行処理、システム処理、及びロギング処理のそれぞれの実行期間の割合を変更することによってロギング処理の実行期間を調整可能にしてもよい。
【0035】
次に、PLCシステムにおけるPLC1及びPC2についてさらに詳細に説明する。
【0036】
まず、PLC1のハードウェア構成について、図4に示されているハードウェア構成例を参照しながら説明する。図4のPLC1は通信I/F11、CPU(Central Processing Unit)12、バスコントローラ13、メモリ14、及び記憶装置I/F15を含む。これらの構成要素は何れもハードウェアであって、内部バス16に接続されており、相互にデータの授受を行うことが可能である。「I/F」とはインタフェースの略称である。CPUは、プロセッサと呼ばれることもある。
【0037】
通信I/F11は通信ケーブル6に接続されており、PC2との間で行われる各種のデータの授受を管理する。
【0038】
CPU12は、ユーザプログラム、PLC1自身の動作を管理するためのシステムプログラム、ロギング実行プログラム等の各種のプログラムを実行する。
【0039】
バスコントローラ13は通信バス7に接続されており、入出力モジュール3や通信モジュール4との間で行われる各種のデータの授受を管理する。
【0040】
メモリ14は、例えば半導体メモリであり、RAM(Random Access Memory)領域及びROM(Read Only Memory)領域を含む。RAM領域は、CPU12が各種のプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に記憶しておく記憶領域として利用される。ROM領域は、各種のプログラムやデータが保存される領域であり、例えば不揮発性メモリが用いられる。
【0041】
記憶装置I/F15は、メモリカード等の外部記憶装置17に対する各種のデータの書き込み処理や読み出し処理を管理する。
【0042】
次に、PC2のハードウェア構成について、図5に示されているハードウェア構成例を参照しながら説明する。図5のPC2はCPU21、メモリ22、入力装置23、表示装置24、補助記憶装置25、及び通信I/F26を含む。これらの構成要素は何れもハードウェアであって、内部バス27に接続されており、相互にデータの授受を行うことが可能である。
【0043】
CPU21は、例えば、メモリ22を利用して所定のプログラムを実行することにより、ユーザプログラムの編集機能や、ロギング処理の実行の条件の設定を行うための機能を提供する。
【0044】
入力装置23は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等であり、ユーザからの指示又は情報の入力に用いられる。
【0045】
表示装置24は、例えば、ユーザへの問い合わせ又は指示や、処理結果の表示出力に用いられる。
【0046】
補助記憶装置25は、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置等であり、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリであってもよい。PC2は、補助記憶装置25にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ22にロードして使用することができる。
【0047】
通信I/F26は通信ケーブル6に接続されており、PLC1との間で行われる各種のデータの授受を管理する。
【0048】
<ロギングの設定>
【0049】
次に、図1のPLCシステムにおいて、ロギング処理の実行の条件をPLC1に設定する手法について説明する。
【0050】
まず図6について説明する。図6は支援装置30の機能構成例を示した図である。この構成例は、PLC1によるロギング処理の実行の条件を設定する機能を支援装置30が提供する場合の一例である。PLCシステムでは、所定の設定ツールプログラムをPC2に実行させることによって、支援装置30の機能をPC2が提供する。
【0051】
図6において、支援装置30は、プログラム解析部31、選択部32、受付部33、設定情報出力部34、計算部35、及びデータ量出力部36を含む。なお、支援装置30には、制御処理をPLC1に行わせるときの制御周期がユーザにより予め設定されているものとする。
【0052】
プログラム解析部31は、PLC1に実行させるユーザプログラムを解析して、ユーザプログラムにおいて使用されている複数の変数を抽出する。
【0053】
選択部32は、抽出された変数の中から、ユーザプログラムにおいて使用されている複数の変数を、収集対象の変数として選択する。
【0054】
受付部33は、制御周期よりも長い収集期間の指定を受け付ける。設定情報出力部34は、収集対象の複数の変数を示す情報と収集期間を示す情報とを、設定情報として出力する。
【0055】
PLC1は、支援装置30から出力される設定情報に基づいて、収集対象の複数の変数を複数の制御周期に分割し、複数の制御周期各々において、収集対象の複数の変数のうち一部の変数の値を収集する。これにより、PLC1は、収集対象の複数の変数それぞれの値を収集期間内に収集する。
【0056】
計算部35は、収集期間及び制御周期に基づいて、収集対象の複数の変数それぞれの値が分割して収集される複数の制御周期の個数を決定する。そして、計算部35は、複数の変数それぞれの値の総データ量と複数の制御周期の個数とに基づいて、複数の制御周期各々において収集される一部の変数の値のデータ量を求める。
【0057】
データ量出力部36は、複数の制御周期各々において収集される一部の変数の値のデータ量を出力する。
【0058】
このような支援装置30によれば、機器の制御に影響を与えることなく、所望のデータ量の変数の値を収集する処理を、PLC1に実行させることが可能になる。したがって、機器の制御において使用される変数の値を適切に収集することができる。
【0059】
図6のような構成を含む支援装置30によって行われる支援方法の一例である、ロギング処理の実行の条件の設定を行う方法について、図7を用いてさらに詳細に説明する。
【0060】
支援装置30には設定ツール40が備えられている。PC2では、所定の設定ツールプログラムをCPU21に実行させることによって設定ツール40の機能が提供される。
【0061】
設定ツール40にはプロジェクトデータ41が入力される。プロジェクトデータ41は、PLCシステムのシステム構成の情報、PLC1で実行させるユーザプログラム、及び、PLCシステムが含む入出力モジュール3や通信モジュール4等についての機能設定情報を含む情報である。ここでは、このプロジェクトデータ41は、例えばPC2において所定のプロジェクトデータ編集プログラムを実行することによりユーザによって既に作成されていて、例えば補助記憶装置25に既に記憶されているものとする。
【0062】
設定ツール40により、まず、このプロジェクトデータ41に対してS110の収集対象設定処理が行われる。この処理は、ユーザプログラムで使用されている変数から、ロギングの対象とする変数を設定する処理であって、図6の支援装置30におけるプログラム解析部31及び選択部32の機能を提供する処理である。
【0063】
このS110の処理はS111のプログラム解析処理を含む。プログラム解析処理は、プロジェクトデータ41に含まれているユーザプログラムを解析して、ユーザプログラムで使用されている複数の変数を抽出する処理である。S110の収集対象設定処理では、プログラム解析処理の実行によって抽出された変数から、PLC1に行わせるロギング処理による収集対象の変数をユーザに選択させる処理がさらに行われる。
【0064】
ここで図8について説明する。図8は、S110の収集対象設定処理で用いられるUI(User Interface)画面100の画面例を表している。
【0065】
図8の画面例では、UI画面100は、プログラム選択部101、抽出変数表示部102、及び対象変数表示部103を含む。支援装置30の機能を図5のPC2が提供する場合、表示装置24は、UI画面100を表示する。
【0066】
プログラム選択部101には、プロジェクトデータ41に含まれていたユーザプログラムを示す情報が表示される。なお、本実施形態では、複数のプログラムの集合体としてタスクが構成され、複数のタスクの集合体としてユーザプログラムが構成されているものとする。図8の画面例において、「アプリ名称」はユーザプログラムの名称であり、「タスク1」、「タスク2」、及び「タスク3」は各タスクの名称であり、「プログラム」、「プログラムN」は各タスクに属する各プログラムの名称である。この画面例では、ユーザプログラムと各タスクと各プログラムとの関係をツリー形式で表現することが表されている。
【0067】
プログラム選択部101に表示されているプログラムの名称の何れかを選択する操作がユーザにより行われると、選択された名称に対応するプログラムに対してS111のプログラム解析処理が行われ、そのプログラムで使用されている変数が抽出される。なお、プログラムの名称の代わりにタスクの名称を選択する操作が行われた場合には、選択された名称に対応するタスクに属するプログラムのそれぞれから変数が抽出される。このとき、抽出された変数の名称が抽出変数表示部102に一覧表示される。
【0068】
抽出変数表示部102に表示されている変数の名称のうちから何れか1以上を選択し、登録ボタン104を押下する操作がユーザにより行われると、選択された名称に対応する変数が収集対象の変数として特定される。このとき、特定された収集対象の変数の名称が対象変数表示部103に一覧表示される。
【0069】
なお、対象変数表示部103に表示されている収集対象の変数の名称のうちから何れか1以上を選択し、解除ボタン105を押下する操作がユーザにより行われると、選択された名称に対応する変数が収集対象の変数から除外される。
【0070】
また、一括登録ボタン106を押下する操作がユーザにより行われると、抽出変数表示部102に名称が表示されている変数の全てが収集対象の変数として選択され、その名称が対象変数表示部103に一覧表示される。その一方で、一括解除ボタン107を押下する操作がユーザにより行われると、対象変数表示部103に名称が表示されている変数の全てが収集対象の変数から除外される。
【0071】
また、S110の収集対象設定処理では、以上のようにして選択された収集対象の変数の全てについてロギング処理を実行した場合に収集される総データ量がプロジェクトデータ41に基づいて算出される。得られた総データ量は、UI画面100における収集データサイズ表示部108に表示される。
【0072】
ユーザにより予め設定されている制御周期は、UI画面100における制御周期表示部109に表示される。
【0073】
図7の説明に戻る。S120では収集動作設定処理が行われる。この処理は、ロギング処理の動作設定のための情報を作成する処理であって、図6の支援装置30における受付部33の機能を提供する処理である。この情報によって、例えば、収集対象のデータである変数の値の収集タイミング、データの収集を行う収集期間、収集したデータをPLC1が外部記憶装置17に保存させる保存タイミング等の設定がPLC1に対して行われる。
【0074】
収集期間を指定する操作がユーザにより行われると、指定された収集期間が受け付けられて、UI画面100における収集期間表示部110に表示される。
【0075】
上述したS110及びS120の処理に続いて、S130の設定内容確認処理が行われる。この処理は、S110の処理により選択された収集対象の変数の全てについてPLC1がロギング処理を実行した場合における制御処理の実行時間が、予め設定されている制御周期に収まるかどうかを判定する処理である。この処理は、さらに、図6の支援装置30における計算部35及びデータ量出力部36の機能も提供する。
【0076】
この処理では、例えば、PLC1により実行される制御処理における入力処理、プログラム実行処理、出力処理、及びシステム処理の実行時間がプロジェクトデータ41から算出される。そして、これらの実行時間の合計が制御周期から減算される。この減算によって得られる時間は、ロギング処理が実行可能な時間であり、この時間を「最大処理時間」と称することとする。
【0077】
次に、この最大処理時間に基づき、この時間内に収集可能なデータのデータ量が、制御周期で収集可能な最大サイズとして求められる。そして、この最大サイズと、S110の処理により算出していた総データ量(UI画面100における収集データサイズ表示部108に表示される値)との大小比較が行われ、総データ量が最大サイズ以下であるかどうかが判定される。
【0078】
総データ量が最大サイズを超えている場合、制御周期に非同期でのロギングを有効にする設定ボックス112の選択が可能になる。
【0079】
設定ボックス112を選択する操作がユーザにより行われると、図5のCPU21は、計算部35として動作し、収集期間及び制御周期に基づいて、収集期間の分割数を決定する。分割数は、収集対象の複数の変数それぞれの値が分割して収集される複数の制御周期の個数を表す。CPU21は、例えば、収集期間を制御周期で除算することで、分割数を計算することができる。
【0080】
次に、CPU21は、収集データサイズ表示部108に表示された総データ量と分割数とに基づいて、制御周期で収集可能なデータサイズを求める。制御周期で収集可能なデータサイズは、複数の制御周期各々において収集される一部の変数の値のデータ量を表す。CPU21は、例えば、総データ量を分割数で除算することで、制御周期で収集可能なデータサイズを計算することができる。
【0081】
図8の例では、制御周期が1msであり、収集期間が200msであるため、分割数は、200ms/1ms=200となる。また、総データ量は400kWである。Wは、ワード数を表す。この場合、制御周期で収集可能なデータサイズは、400kW/200=2kWとなる。
【0082】
制御周期で収集可能なデータサイズは、UI画面100におけるデータサイズ表示部111に表示される。データサイズ表示部111に表示されている2kW/30kWのうち、2kWが制御周期で収集可能なデータサイズであり、30kWは制御周期で収集可能な最大サイズである。この場合、図5の表示装置24は、データ量出力部36として動作し、制御周期で収集可能なデータサイズをUI画面100に表示する。
【0083】
制御周期、収集期間、収集データサイズ、及び制御周期で収集可能なデータサイズをUI画面100に表示することによって、例えば、収集対象の変数の検討をユーザに想起させることが可能になる。
【0084】
次に、S140の設定ファイル作成処理が行われる。この設定ファイル作成処理は、図6の支援装置30における設定情報出力部34の機能を提供する処理である。図5の通信I/F26は、設定情報出力部34として動作する。
【0085】
設定ファイル作成処理は、S110の処理により選択された収集対象の変数を特定する情報とS120の処理により設定されたロギング処理の動作設定情報とをロギング設定データ42として出力する処理である。ロギング設定データ42は、設定情報出力部34が出力する設定情報に対応する。ロギング設定データ42はPLC1に転送され、PLC1では、ロギング処理についての動作設定が、ロギング設定データ42の内容に基づいて行われる。
【0086】
ロギング設定データ42についてさらに説明する。図9は、ロギング設定データ42のデータ構造の一例を示している。
【0087】
ロギング設定データ42は、プロジェクトデータ情報51と、収集動作設定情報52と、収集対象設定情報53とを含む。
【0088】
プロジェクトデータ情報51は、PLC1に実行させるユーザプログラムを特定する情報であり、例えば、ユーザプログラムをコンパイルして得られるオブジェクトコードに付された名称(プロジェクト名)や、コンパイルの実行日時等の情報を含む。なお、プロジェクトデータ情報51は、プロジェクトデータ41の一部として含まれている。
【0089】
収集動作設定情報52はS120の収集動作設定処理によって作成される情報である。収集動作設定情報52には、例えば、収集タイミング、ユーザにより指定された収集期間、及び収集方式が含まれている。収集タイミングは、収集期間が開始されるタイミングを表す。
【0090】
収集方式は、同期又は非同期を示す情報である。同期は、制御周期に同期してロギングを行う収集方式であり、非同期は、制御周期とは非同期にロギングを行う収集方式である。図8の設定ボックス112が選択された場合、収集方式として非同期が設定され、それ以外の場合、収集方式として同期が設定される。
【0091】
収集動作設定情報52には、収集したデータをPLC1が外部記憶装置17に保存させる保存タイミング、及び収集したデータを保存させる保存先の外部記憶装置17を特定する情報も含まれている。
【0092】
収集対象設定情報53は、S110の収集対象設定処理によって選択された収集対象の変数についての情報である。収集対象設定情報53のデータ構造の一例が図10に示されている。
【0093】
図10の例では、収集対象設定情報53には、データの収集タイミングにおける収集データの合計サイズの情報が含まれている。また、収集対象設定情報53には、収集対象の変数の個数の情報が含まれている。さらに、収集対象設定情報53には、収集対象の変数のそれぞれについての情報として、メモリ種別、データ型、メモリアドレス、及びデータサイズの情報が含まれている。これらの情報によって、PLC1においてユーザプログラムが実行されたときに収集対象の変数の値の保持に使用される記憶領域の位置についてのメモリ14上の位置が特定される。
【0094】
PLC1によるロギング処理の実行の条件の設定は、上述した設定ツール40を用いることによって、支援装置30によって行われる。
【0095】
<ロギングの実行>
【0096】
次に、図1のPLCシステムにおいて、支援装置30としてのPC2によって設定された条件に従ってPLC1により行われるロギング処理について説明する。
【0097】
まず図11について説明する。図11はロギング処理を行うPLC1の機能構成例を示した図である。図11に示した構成例では、PLC1は、制御部61を含む。
【0098】
制御部61は、入力処理、プログラム実行処理、出力処理、ロギング処理、及びシステム処理を含む制御処理を、制御周期毎に繰り返す。制御部61は、支援装置30から出力されるロギング設定データ42に基づいて、収集対象の複数の変数を複数の制御周期に分割し、複数の制御周期各々において、収集対象の複数の変数のうち一部の変数の値を収集する。これにより、制御部61は、収集対象の複数の変数それぞれの値を収集期間内に収集する。図4に示したハードウェア構成例では、CPU12が制御部61として動作する。
【0099】
このようなPLC1によれば、機器の制御に影響を与えることなく、所望のデータ量の変数の値を収集することが可能になる。したがって、機器の制御において使用される変数の値を適切に収集することができる。
【0100】
図11のような構成要素を含むPLC1によって行われるロギング実行方法について、図12を用いてさらに詳細に説明する。S220、S250、S260、S270、及びS280の処理は、制御部61によって行われる。
【0101】
S220のプログラム実行処理は、入力処理で取り込まれた、入出力モジュール3や通信モジュール4から送られてくる入力データを用いてユーザプログラムを実行する処理である。この実行結果は、入出力モジュール3や通信モジュール4の制御のために出力処理によって出力される。図5のハードウェア構成例において、このプログラム実行処理を実行するCPU12は、ユーザプログラムの実行のためにメモリ14の記憶領域を使用する。このときに使用される記憶領域を、プログラム使用領域14aと称することとする。
【0102】
S250のロギング処理は、S220のプログラム実行処理により実行されるユーザプログラムにおいて使用されている変数のうち収集対象の変数の値を収集する処理である。この収集対象の変数についての情報と、ロギング処理の動作設定情報とを含むロギング設定データ42は、支援装置30(PC2)において前述したようにして作成されてPLC1に予め提供されているものとする。
【0103】
S260の時刻管理処理とS270の収集タイミング検知処理は、入力処理、プログラム実行処理、出力処理、ロギング処理、及びシステム処理を含む制御処理と並行して行われる。時刻管理処理は現在の時刻を計時する処理である。収集タイミング検知処理は、ロギング設定データ42に含まれている収集動作設定情報52により示されているデータの収集タイミングの到来を検知する処理である。
【0104】
S250のロギング処理では、収集タイミング検知処理による収集タイミングの到来の検知に応じて、収集対象の変数の値を収集する処理が行われる。また、ロギング処理では、変数の値の収集時刻を時刻管理処理による計時結果から取得し、変数の値とその収集時刻とをそれぞれ対応付けた収集データをリングバッファ62に保存する処理が行われる。
【0105】
リングバッファ62は、ロギング処理による変数の値の収集時刻を、その収集時刻に収集された変数の値に対応付けた収集データを、変数の値を収集する度に保存する記憶領域である。図4に示したハードウェア構成例では、メモリ14の記憶領域の一部によってリングバッファ62が構成される。
【0106】
また、PLC1のCPU12はS280の保存処理を実行する。この保存処理は、ロギング設定データ42に含まれている収集動作設定情報52により示されている保存タイミングの到来を検知する処理を含む。また、この保存処理は、記憶装置I/F15を制御して、リングバッファ62に保存されている収集データを保存タイミングの到来の検知に応じて読み出させて、収集動作設定情報52により示されている保存先である外部記憶装置17に保存させる処理を含む。
【0107】
ここで、S250のロギング処理とS280の保存処理とについて、図13に示したフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0108】
図13において、S258及びS259の処理は保存処理の詳細を表しており、残余のS251からS257の各処理はロギング処理の詳細を表している。
【0109】
図13に示されている処理は、各制御周期の制御処理において、ロギング処理の処理開始タイミングが到来すると開始される。
【0110】
まず、S251において、前述したS270の収集タイミング検知処理によって収集タイミングの到来が検知されたか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、収集タイミングの到来が検知されたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には、S252において、ロギング設定データ42の収集動作設定情報52に含まれる収集方式が非同期であるか否かを判定する処理が行われる。
【0111】
収集方式が非同期であるとき(判定結果がYESのとき)には、S253の非同期収集処理が行われ、収集方式が同期であるとき(判定結果がNOのとき)には、S254の同期収集処理が行われる。
【0112】
S251の判定処理において、収集タイミングの到来が検知されないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、S255において、ロギング設定データ42の収集動作設定情報52に含まれる収集方式が非同期であるか否かを判定する処理が行われる。
【0113】
収集方式が非同期であるとき(判定結果がYESのとき)には、S256において、ロギング設定データ42の収集対象設定情報53に情報が含まれていた収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、値の収集を済ませていない収集対象の変数が残っていると判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、S257の非同期収集処理が行われる。
【0114】
S255の判定処理において、収集方式が同期であるとき(判定結果がNOのとき)には、図13に示されている処理が終了する。S256の判定処理において、収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には、図13に示されている処理が終了する。
【0115】
S253の非同期収集処理、S254の同期収集処理、及びS257の非同期収集処理では、収集対象の変数の値が収集され、収集された値が、後述する収集データ73としてリングバッファ62に保存される。
【0116】
S253の非同期収集処理、S254の同期収集処理、又はS257の非同期収集処理に続き、S258では、ロギング設定データ42に含まれている収集動作設定情報52により示されている保存タイミングが到来したか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、保存タイミングが到来したと判定したとき(判定結果がYESのとき)にはS259に処理を進める。一方、この判定処理において、保存タイミングが到来しないと判定したとき(判定結果がNOのとき)には、S259の処理を行わずに、図13に示されている処理が終了する。
【0117】
S259では、今回実行中のロギング処理におけるS253の非同期収集処理、S254の同期収集処理、又はS257の非同期収集処理によりリングバッファ62に保存された収集データ73を読み出す処理が行われる。S259では、読み出された収集データ73を、収集動作設定情報52で示されている保存先の外部記憶装置17にロギング収集データ70として保存する処理も行われる。
【0118】
ロギング収集データ70についてさらに説明する。図14は、ロギング収集データ70のデータ構造の一例を示している。
【0119】
ロギング収集データ70は、プロジェクトデータ情報51と、収集データ数71と、収集データサイズ72と、1以上の収集データ73とを含む。
【0120】
プロジェクトデータ情報51は、PLC1で実行されたユーザプログラムを特定する情報であり、例えば、ユーザプログラムをコンパイルして得られるオブジェクトコードに付された名称や、コンパイルの実行日時の情報を含む。つまり、ロギング収集データ70に含まれているプロジェクトデータ情報51は、ロギング設定データ42に含まれていたプロジェクトデータ情報51と同様のものである。CPU12は、S253の非同期収集処理、S254の同期収集処理、及びS257の非同期収集処理において、ロギング設定データ42からプロジェクトデータ情報51を読み出してロギング収集データ70に取り込む。
【0121】
収集データ数71は、ロギング収集データ70に含まれている収集データ73の個数を表している情報である。また、収集データサイズ72は、ロギング収集データ70に含まれている収集データ73の総データ量を表している情報である。
【0122】
ロギング収集データ70には、収集データ73として、収集された変数の値についてのデータが、収集された順序に従って含まれている。この収集データ73のデータ構造の一例が図15に示されている。
【0123】
図15の例では、収集データ73にはタイムスタンプの情報が含まれている。このタイムスタンプは、変数の値の収集が行われたときの時刻を表している。
【0124】
また、収集データ73には、タイムスタンプの時刻において収集された1以上の変数のそれぞれの値を表す変数データが、「変数データ1」、「変数データ2」、・・・、「変数データN」として含まれている。
【0125】
S259の処理では、ロギング設定データ42とリングバッファ62に保存された収集データ73とを用いて、このようなデータ構造を有するロギング収集データ70を作成して外部記憶装置17に保存する処理が行われる。
【0126】
S259の処理が終了すると、図13に示されている処理が終了する。図13の処理によれば、収集方式が非同期である場合、S251において収集タイミングの到来が検知されていない場合であっても、S257の非同期収集処理が行われる。したがって、S253の非同期収集処理に続いて、S257の非同期収集処理が制御周期毎に繰り返される。これにより、制御周期とは非同期に変数の値を収集することが可能になる。
【0127】
なお、図13のフローチャートで示したロギング処理が終了したときには、CPU12は、ロギング設定データ42を外部記憶装置17にさらに保存する処理も行うようにする。このロギング設定データ42は、後述する収集データ73の表示の際に使用される。
【0128】
次に、図13におけるS254の同期収集処理について、図16に示したフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0129】
まず、S261において、今回の制御周期における制御処理についてのロギング処理の実行時間の計測を開始する処理が行われる。
【0130】
次に、S262において、前述したS260の時刻管理処理により計時されている現在の時刻をタイムスタンプとして取得し、得られたタイムスタンプを収集データ73のタイムスタンプとしてリングバッファ62に書き込む処理が行われる。
【0131】
次に、S263において、収集対象の各変数の現在の値を取得し、収集データ73のタイムスタンプの書き込み位置に続けて、取得した値を、変数データとして、収集対象の変数に対応づけられた所定の順序でリングバッファ62に書き込む処理が行われる。
【0132】
収集対象の変数の値は、ロギング設定データ42の収集対象設定情報53に含まれている収集対象の変数についてのメモリ種別、データ型、メモリアドレス、及びデータサイズの情報に基づいて特定される、プログラム使用領域14a上の位置で保持されている。したがって、S263の処理では、この位置で保持されているデータを読み出すことによって、収集対象の変数の値の取得が行われ、リングバッファ62への書き込みが行われる。
【0133】
次に、S264において、S261の処理により計測を開始した今回のロギング処理の実行時間が、前述した最大処理時間内に収まっているか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、今回のロギング処理の実行時間が最大処理時間内に収まっていると判定されたとき(判定結果がYESのとき)にはS265に処理を進める。一方、この判定処理において、今回のロギング処理の実行時間が最大処理時間内に収まらなかったと判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、今回の収集処理が終了する。なお、処理の高速化を目的として、このS264の処理を、次に説明するS265の判定処理における、収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)の後に行うようにしてもよい。
【0134】
S265では、ロギング設定データ42の収集対象設定情報53に情報が含まれていた収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には今回の収集処理が終了する。一方、この判定処理において、値の収集を済ませていない収集対象の変数が残っていると判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS263へ処理を戻して、値の収集を済ませていない収集対象の変数について、その値を収集する処理が行われる。
【0135】
以上の収集処理が終了すると、収集データ73のリングバッファ62への保存が完了し、続いて図13のS258の処理が行われる。
【0136】
次に、図13におけるS253及びS257の非同期収集処理について、図17に示したフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0137】
まず、S271において、今回の制御周期における制御処理についてのロギング処理の実行時間の計測を開始する処理が行われる。
【0138】
次に、S272において、図13のS251における収集タイミングの到来に伴ってS253の非同期収集処理が開始されたか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、S253の非同期収集処理が開始されたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)にはS273に処理を進める。一方、この判定処理において、S257の非同期収集処理が開始されたと判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS278に処理を進める。
【0139】
S273では、現在の時刻をタイムスタンプとして取得し、得られたタイムスタンプを収集データ73のタイムスタンプとしてリングバッファ62に書き込む処理が行われる。
【0140】
次に、S274において、収集対象の各変数の現在の値を取得し、収集データ73のタイムスタンプの書き込み位置に続けて、取得した値を、変数データとして、収集対象の変数に対応づけられた所定の順序でリングバッファ62に書き込む処理が行われる。
【0141】
次に、S275において、ロギング設定データ42の収集対象設定情報53に情報が含まれていた収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたか否かを判定する処理が行われる。この判定処理において、値の収集を済ませていない収集対象の変数が残っていると判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS276に処理を進める。
【0142】
S276では、S271の処理により計測を開始した今回のロギング処理の実行時間が所定時間に達したか否かを判定する処理が行われる。所定時間としては、例えば、ユーザにより指定された時間、又は前述した最大処理時間が用いられる。この判定処理において、今回のロギング処理の実行時間が所定時間に達していないと判定されたとき(判定結果がNOのとき)にはS274へ処理を戻して、値の収集を済ませていない収集対象の変数について、その値を収集する処理が行われる。
【0143】
一方、この判定処理において、今回のロギング処理の実行時間が所定時間に達したと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には、S277において、最後に収集された変数を示す変数情報を記録する処理が行われる。この変数情報は、ロギング設定データ42の収集対象設定情報53に情報が含まれていた収集対象の変数のうち、直前のS274の処理において収集された変数を示している。
【0144】
S275の判定処理において、収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)にはS277に処理を進める。
【0145】
S278では、次に収集する変数を特定する処理が行われる。S278の処理では、例えば、前回の非同期収集処理において記録された変数情報に基づいて、最後に収集された変数の次の変数が、次に収集する変数として特定される。最後に収集された変数が収集対象の最後の変数である場合、次に収集する変数が存在しないと判定される。
【0146】
次に、S279において、ロギング設定データ42の収集対象設定情報53に情報が含まれていた収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたか否かを判定する処理が行われる。S278の処理において次に収集する変数が存在しないと判定された場合、収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたと判定される。
【0147】
S279の判定処理において、値の収集を済ませていない収集対象の変数が残っていると判定されたとき(判定結果がNOのとき)には、次に収集する変数を対象として、S274以降の処理が行われる。なお、今回の非同期収集処理において収集される変数の値の収集時刻を記録しておきたい場合には、次に収集する変数を対象として、S273以降の処理が行われる。収集対象の変数の全てについて値の収集を済ませたと判定されたとき(判定結果がYESのとき)には今回の非同期収集処理が終了する。
【0148】
S273又はS274以降の処理が繰り返されることで、S277において、最後に収集された変数を示す変数情報が更新される。したがって、変数情報は、収集対象の複数の変数それぞれの値が分割して収集される複数の制御周期のうち、先頭の制御周期から今回の制御周期までの期間に収集された変数を示す情報である。今回の制御周期は、何れかの制御周期の一例である。
【0149】
以上の収集処理が終了すると、収集データ73のリングバッファ62への保存が完了し、続いて図13のS258の処理が行われる。
【0150】
<ロギングによる収集データの表示>
【0151】
次に、図1のPLCシステムにおけるPLC1により行われたロギング処理により得られた収集データ73を表示する手法について説明する。
【0152】
まず、収集データ73を表示する装置のハードウェア構成について説明する。図18は収集データ表示装置80のハードウェア構成例を示している。
【0153】
図18の構成例では、収集データ表示装置80は、CPU81、メモリ82、入力装置83、補助記憶装置84、表示装置85、及び記憶装置I/F86を含む。これらの構成要素は何れもハードウェアであって、内部バス87に接続されており、相互にデータの授受を行うことが可能である。
【0154】
CPU81は、例えば、メモリ82を利用して所定のプログラムを実行することにより、収集データの表示や収集データの波形表示等の各種の表示を制御する機能を提供する。
【0155】
入力装置83は、例えば、キーボードやポインティングデバイス等であり、ユーザからの指示又は情報の入力に用いられる。
【0156】
補助記憶装置84は、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置等であり、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリであってもよい。収集データ表示装置80は、補助記憶装置84にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ82にロードして使用することができる。
【0157】
表示装置85は、例えば、ユーザへの問い合わせ又は指示や、処理結果の表示出力に用いられる。
【0158】
記憶装置I/F86は、メモリカード等の外部記憶装置17に対する各種のデータの読み出し処理を管理する。
【0159】
収集データ表示装置80は以上のハードウェア構成を有している。なお、このようなハードウェア構成は、一般的なコンピュータが有している標準的な構成であるので、このようなコンピュータを用いて収集データ表示装置80を構成するようにしてもよい。また、図1のPLCシステムにおいて支援装置30として機能させたPC2をさらに用いて、収集データ表示装置80を構成するようにしてもよい。
【0160】
次に図19について説明する。図19は収集データ表示装置80の機能構成例を示した図である。
【0161】
図19の構成例では、収集データ表示装置80は、表示部91を含み、PLC1によって収集された情報を表示する。図18の表示装置85は、表示部91として動作する。
【0162】
表示部91は、収集期間における収集対象の複数の変数それぞれの値の収集時刻と対応付けて、複数の変数それぞれの値を表示する。
【0163】
このような収集データ表示装置80によれば、機器の制御に影響を与えることなく収集された所望のデータ量の変数の値を、収集期間内の時刻と対応付けて表示することができる。
【0164】
図19のような構成を含む収集データ表示装置80によって行われる、収集データを表示する方法の一例について、図20を用いてさらに詳細に説明する。
【0165】
収集データ表示装置80は、S310のプログラム表示処理、S320の波形表示処理、S330のロギングファイル解析・変換処理、及びS340の表示制御処理を行う。これらの各処理は、図18のCPU81によって行われる。これらの各処理をCPU81に行わせるプログラムはエンジニアリングソフトウェアと称されることもある。
【0166】
S310のプログラム表示処理は、前述したプロジェクトデータ41に含まれるユーザプログラムを表示すると共に、ロギング収集データ70から作成された表示用データを用いて、ユーザプログラムについての収集対象の変数の値を表示する処理である。表示用データは、収集時刻及び変数値を含む。なお、ここでは、プロジェクトデータ41は、例えばPC2において所定のプロジェクトデータ編集プログラムを実行することによりユーザによって既に作成されていて、例えば補助記憶装置84に既に記憶されているものとする。
【0167】
S320の波形表示処理は、ロギング収集データ70から作成された表示用データを用いて、収集時刻と収集対象の変数の値との関係を波形によって表示する処理である。
【0168】
S330のロギングファイル解析・変換処理は、ロギング設定データ42とロギング収集データ70を解析して、収集データ73を、S310のプログラム表示処理とS320の波形表示処理とのそれぞれに入力される表示用データに変換する処理である。なお、ここでは、ロギング設定データ42及びロギング収集データ70は外部記憶装置17により提供されるものとする。ロギングファイル解析・変換処理では、これらのデータが外部記憶装置17から読み出されて使用される。
【0169】
S340の表示制御処理は、S330のロギングファイル解析・変換処理によって作成された表示用データを、S310のプログラム表示処理とS320の波形表示処理とに提供する処理を含む。また、この表示制御処理は、プログラム表示処理と波形表示処理との表示を連動させる処理を含む。
【0170】
以下、収集データ表示装置80によって行われる、図20に示した各処理の詳細をさらに説明する。
【0171】
まず、S310のプログラム表示処理の詳細について、図21を用いて説明する。
【0172】
図21で表されているように、S310のプログラム表示処理は、S311の操作UI処理と、S312の変数値表示制御処理と、S313のユーザプログラム表示処理とを含む。
【0173】
S311の操作UI処理は、収集データ表示装置80のユーザによる入力装置83に対する操作に応じた入力を受け付ける処理である。
【0174】
S312の変数値表示制御処理は、S311の操作UI処理により受け付けられた入力の情報や、S340の表示制御処理からの連動の情報を受け付けて、表示用データに含まれる変数値の表示を制御する処理である。
【0175】
S313のユーザプログラム表示処理は、プロジェクトデータ41に含まれるユーザプログラムを表示すると共に、S312の変数値表示制御処理による制御の下で、収集対象の変数の値を、ユーザプログラムの表示上に表示させる処理である。
【0176】
ここで図22について説明する。図22は、収集データの表示画面の例である。この表示画面は、CPU81がS310のプログラム表示処理を実行することによって表示装置85に表示される。
【0177】
図22の画面例は、S313のユーザプログラム表示処理により得られるユーザプログラム表示画面113に重ねて、S311の操作UI処理により得られるUI画面120が表示されている状態を表している。
【0178】
S313のユーザプログラム表示処理によって、プロジェクトデータ41に含まれているユーザプログラムの内容を表す図(例えばラダープログラム)が作成され、ユーザプログラム表示画面113として表示される。
【0179】
UI画面120は、収集時刻毎に収集されている変数の値についての表示を順次更新させる指示を与えるコマ戻りボタン121-1及びコマ送りボタン121-2やシークバー122、表示させる変数の値の収集時刻を直接入力する時刻入力欄123等を有している。なお、時刻入力欄123は、コマ戻りボタン121-1及びコマ送りボタン121-2やシークバー122への操作によって指定される収集時刻を表示する表示欄としての機能も有している。
【0180】
S311の操作UI処理によって、コマ戻りボタン121-1及びコマ送りボタン121-2やシークバー122への操作に応じて指定された収集時刻が取得され、この時刻が時刻入力欄123に表示される。また、時刻の入力操作が時刻入力欄123に対して行われた場合には、この操作UI処理によって、入力された時刻が、指定した収集時刻として取得される。
【0181】
S312の変数値表示制御処理により、ロギング収集データ70において収集時刻が対応付けられている変数の値や、S311の操作UI処理によって取得された収集時刻の指定が取得される。なお、ロギング収集データ70はS330のロギングファイル解析・変換処理により取得されてS340の表示制御処理に送付されたものであり、変数値表示制御処理は、表示制御処理からロギング収集データ70の提供を受ける。また、この変数値表示制御処理により、指定された収集時刻における変数の値がS313のユーザプログラム表示処理に送られ、ユーザプログラム表示処理により、その変数の値についての表示が、ユーザプログラム表示画面113で行われる。
【0182】
図22の画面例において、ON/OFF表示114や変数表示115は、変数の値を表示するものである。
【0183】
ON/OFF表示114は、ONとOFFとのどちらかの状態を有するプログラム構成要素の状態が収集対象の変数として選択されている場合に、変数値で示される状態に応じた異なる色彩でその要素を塗りつぶした表示を行って変数値を表すものである。図22の画面例では、ON/OFF表示114として、ユーザプログラム中の収集対象の要素が黒塗りで表示されているが、実際には、例えば、「ON」の場合には赤塗りで、また、「OFF」の場合には青塗りでその要素が表示される。
【0184】
変数表示115は、プログラム構成要素に関する数値が収集対象の変数として選択されている場合に、その数値を変数値として直接表示するものである。
【0185】
以上のように、S311、S312、及びS313の処理によって、図22の画面例で表されているように、収集時刻とその収集時刻に収集された変数の値とが関係付けされて表示装置85で表示される。
【0186】
また、S310のプログラム表示処理はS314の照合処理とS315の警告処理とをさらに含む。
【0187】
S314の照合処理は、プロジェクトデータ41、ロギング設定データ42、及びロギング収集データ70のプロジェクトデータ情報51の照合を行う処理である。
【0188】
S315の警告処理は、S314の照合処理によって、各データのプロジェクトデータ情報51が一致しない場合に所定の警告を行う処理である。
【0189】
図23は、表示装置85に表示される警告画面の画面例を表している。S315の警告処理による所定の警告は、例えばこのような警告画面を表示装置85に表示することによって行われる。この画面例には、プロジェクトデータ情報51が一致しないことをユーザに警告する警告ダイアログ130が含まれている。なお、例えばユーザプログラムのデバッグを行う場合等には有益であるので、収集データ表示装置80では、プロジェクトデータ情報51が不一致であっても変数の値の表示の機能は利用可能としている。
【0190】
次に、S320の波形表示処理の詳細について、図24を用いて説明する。
【0191】
図24で表されているように、S320の波形表示処理は、S321の操作UI処理と、S322の変数値表示制御処理と、S323の波形作成処理とを含む。
【0192】
S321の操作UI処理は、S311の処理と同様の処理であり、収集データ表示装置80のユーザによる入力装置83に対する操作に応じた入力を受け付ける処理である。
【0193】
S322の変数値表示制御処理は、S312の処理と同様の処理であり、S321の操作UI処理により受け付けられた入力の情報や、S340の表示制御処理からの前述の連動の情報を受け付けて、表示用データに含まれる変数値の表示を制御する処理である。
【0194】
S323の波形作成処理は、S340の表示制御処理により提供される表示用データに基づいて、収集時刻と変数との関係を表している波形を作成して表示する処理である。
【0195】
ここで図25について説明する。図25は、収集データの波形表示画面140の例である。この波形表示画面140は、CPU81がS320の波形表示処理を実行することによって表示装置85に表示される。
【0196】
波形表示画面140に含まれている波形141は、S323の波形作成処理によって作成されたものである。なお、図27の画面例では、「変数1」、「変数2」、及び「変数3」のそれぞれについての波形141が、それぞれ実線、破線、及び一点鎖線を用いて表示されている。また、波形表示画面140に含まれている時刻表示142は、波形141により変数値との関係が表されている収集時刻を表しており、S323の波形作成処理によって波形表示画面140に表示される。
【0197】
また、S321の操作UI処理によって、収集時刻の範囲の移動指示が受け付けられると、S323の波形作成処理により、移動後の収集時刻の範囲についての波形141が波形表示画面140に表示される。また、波形表示画面140に表示されている太線143によって示される収集時刻が、S323の波形作成処理によって時刻表示欄144に表示される。
【0198】
S322の変数値表示制御処理により、S340の表示制御処理により提供される表示用データにおいて収集時刻が対応付けられている変数の値が取得される。また、このS322の変数値表示制御処理により、時刻表示欄144に表示された収集時刻が取得される。さらに、この変数値表示制御処理により、取得された収集時刻における変数の値が、波形141と太線143との交点の位置で表される変数の値として、変数値表示欄145に表示される。
【0199】
以上のように、S321、S322、及びS323の処理によって、図25の画面例で表されているように、収集時刻とその収集時刻に収集された変数の値とが関係付けされて表示装置85で表示される。
【0200】
次に、S330のロギングファイル解析・変換処理の詳細について、図26を用いて説明する。
【0201】
図26で表されているように、S330のロギングファイル解析・変換処理は、S331のロギング設定データ取得処理、S332のロギング収集データ取得処理、及び、S333の表示用データ作成処理を含んでいる。
【0202】
S331のロギング設定データ取得処理は、ロギング設定データ42を外部記憶装置17から取り込む処理である。
【0203】
S332のロギング収集データ取得処理は、ロギング収集データ70を外部記憶装置17から読み出して取り込む処理である。
【0204】
S333の表示用データ作成処理は、ロギング設定データ42とロギング収集データ70から、収集時刻及び変数値を含む表示用データを作成する処理である。
【0205】
次に、S340の表示制御処理の詳細について、図27を用いて説明する。
【0206】
図27で表されているように、S340の表示制御処理は、S341の変数値提供処理、S342の再生制御処理、及び、S343の収集データ取得処理を含む。
【0207】
S341の変数値提供処理は、S330のロギングファイル解析・変換処理により作成された表示用データを、収集時刻が対応付けられている変数の値として、S310のプログラム表示処理とS320の波形表示処理とに提供する処理である。
【0208】
S342の再生制御処理は、所定の連動の指示を受けると、S310のプログラム表示処理とS320の波形表示処理とを制御して、それぞれの処理により表示される画面の内容を連動させる処理である。この再生制御処理により、例えば、図22の画面例におけるUI画面120に対する操作により指定された収集時刻と、図25の画面例における太線143によって示される収集時刻とを同一の時刻とする処理が行われる。
【0209】
S343の収集データ取得処理は、S330のロギングファイル解析・変換処理により作成された表示用データを取得してS341の変数値提供処理に提供する処理である。
【0210】
以上のように、S340の表示制御処理によって、S330のロギングファイル解析・変換処理により作成された表示用データが、S310のプログラム表示処理とS320の波形表示処理とに提供される。
【0211】
以上、開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0212】
1 PLC
2 PC
3 入出力モジュール
4 通信モジュール
6 通信ケーブル
7 通信バス
11、26 通信I/F
12、21、81 CPU
13 バスコントローラ
14、22、82 メモリ
14a プログラム使用領域
15、86 記憶装置I/F
16、27、87 内部バス
17 外部記憶装置
23、83 入力装置
24、85 表示装置
25、84 補助記憶装置
30 支援装置
31 プログラム解析部
32 選択部
33 受付部
34 設定情報出力部
35 計算部
36 データ量出力部
40 設定ツール
41 プロジェクトデータ
42 ロギング設定データ
51 プロジェクトデータ情報
52 収集動作設定情報
53 収集対象設定情報
61 制御部
62 リングバッファ
70 ロギング収集データ
71 収集データ数
72 収集データサイズ
73 収集データ
80 収集データ表示装置
91 表示部
100、120 UI画面
101 プログラム選択部
102 抽出変数表示部
103 対象変数表示部
104 登録ボタン
105 解除ボタン
106 一括登録ボタン
107 一括解除ボタン
110 収集期間表示部
111 データサイズ表示部
112 設定ボックス
113 ユーザプログラム表示画面
114 ON/OFF表示
115 変数表示
120 UI画面
121-1 コマ戻りボタン
121-2 コマ送りボタン
122 シークバー
123 時刻入力欄
130 警告ダイアログ
140 波形表示画面
141 波形
142 時刻表示
143 太線
144 時刻表示欄
145 変数値表示欄
【要約】
【課題】PLCによる機器の制御において使用される変数の値を適切に収集する。
【解決手段】制御部は、外部機器を制御するための制御プログラムを実行するプログラム実行処理と、制御プログラムにおいて使用されている変数の値を収集するロギング処理とを含む制御処理を、制御周期毎に繰り返す。制御部は、制御プログラムにおいて使用されている複数の変数を複数の制御周期に分割し、複数の制御周期各々において複数の変数のうち一部の変数の値を収集することで、複数の変数それぞれの値を制御周期よりも長い収集期間内に収集する。
【選択図】図11
図1
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