(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】バイオチップ、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20231031BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20231031BHJP
C07K 1/04 20060101ALN20231031BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20231031BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G01N35/02 A
G01N37/00 103
C07K1/04 ZNA
C12N15/10 Z
(21)【出願番号】P 2021533681
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2019124473
(87)【国際公開番号】W WO2020119706
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】201811514682.2
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517110612
【氏名又は名称】ビージーアイ シェンチェン
【住所又は居所原語表記】Main building, Beishan Industrial Zone, Yantian Street, Yantian District, Shenzhen, Guangdong 518083, China
(73)【特許権者】
【識別番号】517135257
【氏名又は名称】ビージーアイ シェンヂェン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BGI SHENZHEN CO., LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジェン
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, シュン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シェン, ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ニー, ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ウェンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, シャンアー
(72)【発明者】
【氏名】ファン, シャオルオ
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-004065(JP,A)
【文献】特開2003-322652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0196880(US,A1)
【文献】特表2012-507513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0152081(US,A1)
【文献】特開2016-204316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0218484(US,A1)
【文献】国際公開第2002/096552(WO,A2)
【文献】特開2007-046933(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103645308(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0265032(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106311365(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107475071(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106872562(CN,A)
【文献】国際公開第2017/127570(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169196(WO,A1)
【文献】Matthew H. Lyttle,A new universal linker for solid phase DNA synthesis,Nucleic Acids Research,1996年,Vol. 24, No. 14,pp.2793-2798
【文献】山口和夫, DNAチップのための新規DNA固定化法の開発,Science Journal of Kanagawa University,2005年,Vol. 16,pp.99-100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/02
G01N 33/48~33/98
G01N 37/00
C07K 1/00~19/00
C07H 1/00~99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学物質及びコードを担持するバイオチップであって、前記コードが前記バイオチップと一意の対応関係を有し、前記バイオチップがシラン化試薬で処理された表面を有し、前記シラン化試薬が50%シラン化試薬であるバイオチップ。
【請求項2】
前記化学物質が反応試薬と反応することができ、それによって前記反応試薬中のモノマーを前記化学物質の末端に連結し、
前記化学物質がDNA/RNA合成反応を開始することができるリンカー分子であり、アミノ基と反応する官能基を開始末端に有し、酸に不安定な保護基で保護されたヒドロキシを末端に有するリンカー分子であるか、或いは、
前記化学物質がポリペプチド合成反応を開始することができるリンカー分子であり、アミノ基と反応する官能基を開始末端に有し、アミノ酸モノマーのカルボキシとカップリングする官能基を末端に有し、最終的に前記ポリペプチド合成反応が終了した後に酸で処理すると解離することができるリンカー分子である、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項3】
前記化学物質がユニバーサルリンカー又は4-ヒドロキシメチル安息香酸である、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項4】
前記コードが、数字、記号、グラフ及び/又は識別コードを含む、前記バイオチップの識別情報の特定の特性である、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項5】
前記コードが2次元バーコードである、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項6】
前記バイオチップが、前記バイオチップが、非研磨片面2次元バーコードチップ、非研磨両面2次元バーコードチップ、片面研磨片面2次元バーコードチップ、片面研磨両面2次元バーコードチップ、両面研磨片面2次元バーコードチップ及び両面研磨両面2次元バーコードチップから選択される、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項7】
前記バイオチップのサイズが2mm×2mm未満である、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項8】
前記バイオチップのサイズが0.5mm×0.5mmである、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項9】
前記バイオチップが、シリコンウェハ(シリコン結晶)、ガラスシート(ビーズ)、セラミック、シートメタル、プラスチックシート(ビーズ)、ゲル、ナイロン膜、又はそれらの任意の組み合わせから選択される材料で形成されている、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項10】
前記バイオチップが、シリコンウェハで形成されている、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項11】
前記バイオチップが多孔質ガラスで形成されており、前記多孔質ガラスの粒径が5μm~2000μmであり、前記多孔質ガラスの孔径が200Å~5000Åである、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項12】
前記バイオチップが、100nm酸化シリコンウェハ、300nm酸化シリコンウェハ、つや消し石英チップ、又は透明石英チップから選択される、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項13】
前記バイオチップが透明石英チップである、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項14】
前記シラン化試薬がAPTMS又はAPTESから選択される、請求項1に記載のバイオチップ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオチップを調製する方法であって、以下のステップ:
1)前記バイオチップをコード化するステップ、
2)前記バイオチップを前処理するステップ、
3)前記バイオチップの表面にシラン化処理を実施するステップであって、前記シラン化処理が、前記バイオチップをシラン化試薬に浸漬し、超音波処理を実施することによって前記バイオチップの表面に実施し、前記シラン化試薬が50%シラン化試薬であるステップ、
及び
4)前記バイオチップの表面を化学修飾するステッ
プ
を含む方法。
【請求項16】
5)前記化学修飾を検出又は定量的に分析するステップ
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記前処理が、酸処理、アルカリ処理、超音波処理、プラズマ洗浄、アセトン洗浄、又はそれらの組み合わせを含み、前記酸が硫酸、塩酸、リン酸、及びピラニア液から選択され、前記アルカリが水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記前処理方法が酸処理に続くプラズマ洗浄である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記前処理方法が水酸化ナトリウム処理に続くプラズマ洗浄及びアセトン洗浄である、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオチップの表面の化学修飾が、前記バイオチップの表面での化学物質の連結によって実現される、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
2次元バーコードがレーザー印刷によって前記バイオチップに印刷されている、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記コード化が赤色レーザーを使用してドット2次元バーコード方式によって実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記シラン化試薬がAPTES及びPTESを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
生体高分子の合成における、請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオチップ又は請求項15~
23のいずれか一項に記載の方法を使用することによって調製されたバイオチップの使用。
【請求項25】
前記生体高分子が核酸又はポリペプチドである、請求項
24に記載の使用。
【請求項26】
核酸を合成する方法であって、以下のステップ:
(1)請求項1~14のいずれか一項に記載のバイオチップ又は請求項15~
23のいずれか一項に記載の方法を使用することによって調製されたバイオチップを用意するステップであり、前記バイオチップに担持されたコードが合成する核酸の配列に対応しているステップ、
(2)デオキシリボヌクレオチドA、T、C、及びG又はリボヌクレオチドA、U、C、及びGの付加のために、並びに反応タンクそれぞれにおける脱保護、キャッピング、酸化、及び洗浄のためにそれぞれ使用される4つの反応タンクを用意するステップ、
(3)前記バイオチップに担持された前記コードを認識し、前記コードに対応する配列に従って付加するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを決定し、付加するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドが同じであるバイオチップを同じ反応タンクに選別するステップ、
(4)前記反応タンクに脱保護試薬を添加し、脱保護のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記脱保護試薬を排出するステップ、
(5)前記反応タンクに対応するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのカップリング試薬を添加し、カップリング反応のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記カップリング試薬を排出するステップ、
(6)前記反応タンクにキャッピング試薬を添加し、キャッピング反応のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記キャッピング試薬を排出するステップ、
(7)前記反応タンクに酸化試薬を添加し、酸化反応のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記酸化試薬を排出し、それによって1ヌクレオチドの付加を完了するステップ、
(8)前記コードに対応して合成される核酸の配列に応じて、ステップ(3)~(7)を1回又は複数回繰り返し、それによって前記バイオチップ上に予め決定された配列を有する核酸を生成するステッ
プ
を含む方法。
【請求項27】
(9)前記バイオチップから前記核酸を切断し、それによって前記核酸を入手するステップ
をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸合成の前、及び前記バイオチップを前記反応タンクに選別した後で、前記反応タンクに前記キャッピング試薬を添加し、キャッピング反応のために前記バイオチップを前記反応タンクに浸漬する、請求項
26に記載の方法。
【請求項29】
複数のチップを同時に使用して合成反応を実施する、請求
項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は生化学の分野に関する。特に、本出願は、バイオチップ、その調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]生体高分子は、DNA、RNA、ポリペプチド、多糖類などを主に含む。これらの生体高分子は、医薬、農業、食品、材料、環境などの分野で重要な用途があるため、これらの生体高分子のインビトロ合成は研究のホットスポットとなっており、巨大な市場が見込まれている。1950年代にTodd及びKhoranaの研究グループがDNA合成を初めて報告して以来(Michelwn,A.M.、Todd,A.R.J.Chem.Soc.、1955;Gilham,P.T.、Khorana,H.G.、J.A.m.Cliem.Soc.、1958)、DNA合成の方法は長期間にわたって開発されてきた。現在、古典的な合成法には、1980年代に開発されたカラム型合成法及び1990年代に開発されたマイクロアレイをベースにしたハイスループット合成法が含まれる。これらの方法は基本的には固相合成法であり、1つのデオキシリボヌクレオチドを合成の単位として使用しており、合成方法のほとんどには、ホスホロアミダイト化学法に基づいた4ステップサイクル、すなわち脱保護、カップリング、キャッピング、及び酸化ステップが関与している。各ステップでの反応の不完全さ、それに伴う副作用(脱アデニル化など)の可能性、及び反応の進行に伴う反応物濃度の低下のため、DNA一本鎖が延長するにつれて、DNA合成のエラー率が急激に増加し、収量が激減する。さらに、カラム型合成法の欠点は、試薬の使用量が多く、スループットが低いという欠点を有し、この合成は費用が高く、時間及び労力がかかるという事実の原因となっている。マイクロアレイをベースにした合成法はスループットが高く、試薬の使用量も少ないが、比較的にエラー率が高く、収率が低く、安定性が低い。RNA、ポリペプチド、及びポリリン酸などのその他の生体高分子の合成法は、固相担体上で1サイクルの化学反応を繰り返すDNAの固相合成法と類似しており、その合成特性も類似している。カラム型合成法はエラー率が低いが、試薬の消費量が多く、スループットが低いため、費用削減にはつながっていない。マイクロアレイをベースにした合成法は、スループットが高く、材料の量も少ないが、比較的にエラー率が高く、安定性が低い。したがって、高スループット、低費用、及び低エラー率を実現することができる合成チップを見いだすことが非常に重要である。
【0003】
[0003]バイオチップは、タンパク質チップ、又は遺伝子チップとも呼ばれ、DNAハイブリダイゼーションプローブ技術と半導体工業技術との組み合わせから作り出されたものである。この技術は、多数のプローブ分子を支持体上に固定し、次にDNA又は蛍光標識を有するその他の試料分子(例えば、タンパク質、因子若しくは低分子)とハイブリダイズさせ、各プローブ分子のハイブリダイゼーション信号強度を検出することによって、試料分子の量及び配列情報を得るというものである。バイオチップ技術は、核酸分子のハイブリダイゼーションから作り出された。いわゆるバイオチップとは、相互支持媒体上に高密度で固定された生体情報分子(例えば、遺伝子断片、DNA断片、又はポリペプチド、タンパク質、糖鎖分子、及び組織)の、アレイ内の各分子の配列及び位置の両方が既知であり、予め設定された配列ポイントアレイであるマイクロアレイハイブリダイズチップ(マイクロアレイ)を一般的に意味する。生体分子間の特異的な相互作用原理に従って、生化学分析方法がチップの表面に統合されており、それによってDNA、RNA、ポリペプチド、タンパク質、及びその他の生体成分のハイスループットで迅速な検出を実現する。バイオチップの狭義の概念は、生体分子(オリゴヌクレオチド、cDNA、ゲノムDNA、ポリペプチド、抗体、抗原など)をシリコンウェハ、ガラスシート(ビーズ)、プラスチックシート(ビーズ)、ゲル、及びナイロン膜などの固相マトリックスに様々な方法で固定することによって形成された生体分子ポイントアレイを意味する。したがって、バイオチップ技術は、マイクロアレイ技術とも呼ばれている。多くの生体情報を含有する固相マトリックスはマイクロアレイと呼ばれ、バイオチップとも呼ばれている。このようなチップをベースにして、バイオチップはマイクロ電子チップとも知られているマイクロ流体チップ、すなわちマイクロラボラトリーチップへと発達した。電子チップのように、バイオチップも統合されているが、バイオチップの統合は生体材料の統合である。実験室での検出と同様に、バイオチップでの血糖、タンパク質、酵素活性などの検出は、同じ生体反応の原理に基づいている。このように、バイオチップは担体プラットフォームである。バイオチップは、高集積度、ハイスループット、高感度、及び携帯性などの潜在的な利点を有するので、多くの場面で、特に生物学的合成及び検出の面で広く応用されており、応用の可能性は幅広い。
【0004】
[0004]現在、市販されている代表的なマイクロアレイ合成機、例えばCustomArray合成機では、合成反応はミクロンレベルの反応穴に縮小され、1つのチップに数万個の反応穴が存在している。このようにして、合成スループットは改善し、原材料の消費はある程度まで低減しているが、収率は低く、電気化学反応の制御は容易ではなく、エラー率は高い。さらに、温度及び湿度センサー、制御回路などもチップ上に統合されているため、製造方法が非常に複雑で、チップの価格も比較的に高価である。Twist合成機では、長いDNA分子断片を直接大量に得るために、高速マイクロスケールのインクジェットプリンティングヘッドをモノマーなどの試薬の伝達方法として使用することによって、特殊な処理を施したミクロンレベルのシリコンベースのチップ貫通ビア上でオリゴを合成し、次に合致した反応物を使用してこれらのマイクロ穴にドッキングさせ、インサイチュのPCR及びPCAを実現している。このバイオチップは、特定の化学修飾を施した特殊なシリコンベースの材料から形成されている。スループットは高いが、物理的に隔離することが必要である。さらに、このバイオチップはサイズが大きく(サイズは従来の96ウェルプレートと同等である)、商品化されていない。Evonetix回路によって制御されている合成機は、主に半導体の大規模な並列制御の特性を利用することによって、異なる部位の反応の独立した制御を実現している。しかし、実際の適用では、異なる部位での反応の相互作用をいかに回避し、生成物出力をいかに制御するかが重要な問題である。2018年の初めに、イギリスの企業Evonetixが、半導体チップ制御に基づいた合成技術を発表した。Evonetixの技術の重要な点は、理論上約10億部位のオリゴ合成及びリアルタイムでモニターすることができる高忠実度DNAエラー修正アセンブリ技術にある。合成方法を制御する原理は以下の通りである:特別に設計された、大規模処理が可能な合成部位の密閉されたチャンバー内に、融点が低く繰り返し加熱することが可能なブロック材料(n-テトラコサンなど)を添加し、合成機が回路信号を使用して各部位が帯電されるかどうかを制御し、その後その部位を加熱するかどうかを選択する。加熱する場合は、部位上の特殊な材料を部位に吸着させて、後から導入した試薬が部位上で反応するのを防ぐ。その後の合成をその部位で実施する必要がある場合は、材料を溶媒で洗い流し、合成反応のための部位を露出させる。このようにして、各部位における反応の個別制御を実現している。しかし、特殊な化学修飾に加えて、回路制御がチップ上に統合されているため、チップの製造方法は複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、この分野での新たな技術的ブレークスルー、特に、製造方法が簡単で、低価格で、複数検出のスループットを有し、再利用可能で、認識機能を有するバイオチップの必要が迫られている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本出願は、バイオチップ、バイオチップの調製方法及びその使用を提供する。本出願のバイオチップは、DNA、RNA、及びポリペプチドなどの生体高分子の合成及び検出、抗体スクリーニング、抗原認識などに適用することができ、応用の可能性は大きい。
【0007】
[0007]一態様において、本出願は、化学物質及びコードを担持するバイオチップを提供し、このコードはチップと一意の対応関係を有する。
【0008】
[0008]別の態様では、本出願は、本出願のバイオチップを調製する方法を提供し、この方法は、以下のステップを含む:
[0009]1)バイオチップをコード化するステップ、
[0010]2)バイオチップを前処理するステップ、
[0011]3)バイオチップの表面にシラン化処理を実施するステップ、
[0012]4)バイオチップの表面を化学修飾するステップ、及び
[0013]5)任意選択で、化学修飾を検出又は定量的に分析するステップ。
【0009】
[0014]別の態様では、本出願は、DNA、RNA、及びポリペプチドなどの生体高分子の合成における本出願のバイオチップの使用を提供する。
【0010】
[0015]別の態様では、本出願は、生物学的検出における本出願のバイオチップの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本出願による認識可能な2次元バーコードチップの例を模式的に示した図である。
【
図2】
図2は、本出願によるチップを使用したDNA合成の方法を模式的に示した図である。
【
図3】
図3は、本出願によるチップを使用したポリペプチド合成の方法を模式的に示した図である。
【
図4A】
図4Aは、実施例
3の実験1で合成したT30生成物のHPLCクロマトグラムを示した図である。
【
図4B】
図4Bは、実施例
3の実験2で合成したT30生成物のHPLCクロマトグラムを示した図である。
【
図4C】
図4Cは、実施例
3の実験3で合成したT30生成物のHPLCクロマトグラムを示した図である。
【
図4D】
図4Dは、実施例
3の実験4で合成したT30生成物のHPLCクロマトグラムを示した図である。
【
図4E】
図4Eは、実施例
3の実験5で合成したT30生成物のHPLCクロマトグラムを示した図である。
【
図4F】
図4Fは、実施例
3のT30の標準的試料のHPLCクロマトグラムを示した図である。
【
図5】
図5は、実施例
3の実験6で合成した生成物のゲル電気泳動図を示した図であり、Ctrlは標準的合成プライマー対照であり、列1~3はMix1~3である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0026]本出願では、特に定義されていない限り、本明細書で使用した技術的及び科学的用語は全て、本出願の技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味を有する。本出願の実施形態では、本明細書で記載したものと類似又は同等な方法及び材料を使用することができ、例示的で適切な方法及び材料のみを以下に記載している。公開されている出版物、特許出願、特許、及びその他の参考文献は全て、参照として本明細書に組み込まれている。さらに、材料、方法、及び実施形態は、例示に過ぎず、制限的なものではない。その一方で、本発明をよりよく理解するために、本出願は関連する用語の定義及び説明も提供する。本出願に記載されている用語の定義及び説明と、本出願の分野における当業者が一般的に理解している意味との間に矛盾がある場合、本出願に記載されている用語の定義及び説明が優先されるものとする。
【0013】
[0027]バイオチップ
[0028]一態様において、本出願は、化学物質及びコードを担持するバイオチップを提供し、このコードはチップと一意の対応関係を有する。
【0014】
[0029]当業者に知られているように、チップの基板はチップに適した任意の材料で形成されており、その材料は、反応試薬の活性に悪影響を及ぼさず、又は反応試薬と望ましくない副反応をしない。好ましくは、チップは不活性材料で形成されている。一部の好ましい実施形態では、チップは、シリコンウェハ(シリコン結晶)、ガラスシート(ビーズ)、セラミック、シートメタル、プラスチックシート(ビーズ)、ゲル、ナイロン膜、又はそれらの任意の組み合わせから選択される材料で形成されており、好ましくはシリコンウェハである。一実施形態では、チップは多孔質ガラスで形成されており、粒径は5μm~2000μmのいずれか1つ、より好ましくは25μm、50μm、100μm、200μm、及び500μmのいずれか1つであり、孔径は200Å~5000Åのいずれか1つ、より好ましくは500Å、1000Å、1500Å、2000Å、及び3000Åのいずれか1つである。チップは所望の形状を有することができる。例えば、チップはフレーク、立方体、円柱、球などの形態であってもよく、好ましくはチップは方形のフレークの形態である。特定の実施形態では、バイオチップはDNA合成用のマイクロチップであり、サイズは2mm×2mm、さらに1mm×1mm、0.5mm×0.5mm以下である。一部の好ましい実施形態では、本出願のチップは再利用される。
【0015】
[0030]コード
[0031]本出願のチップは認識可能な特性を有する。このために、チップをコード化して、チップに特定の信号を設ける必要がある。チップ上の特定の信号は、磁気信号、電気信号、識別コードなどであってもよいが、好ましくは、特定の信号は2次元バーコードである。
【0016】
[0032]したがって、特定の実施形態では、本出願のバイオチップはコードを担持し、そのコードはチップと一意の対応関係を有する。本明細書の「コード」とは、チップの識別情報の区別及び識別に使用されるあらゆる特性を意味することを理解されたい。この特性には、数字、記号、グラフ、バーコード、及び2次元バーコードなどの識別コード、好ましくは2次元バーコードが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0017】
[0033]好ましい実施形態では、チップに担持されたコードは2次元バーコードである。2次元バーコードは、ある特定の幾何学的グラフを一定の規則に従って平面上(2次元方向)に分配することによって形成された白黒のグラフを使用して、データ記号情報を記録するために使用され、言葉又は数値情報は、コンピュータの内部論理基盤を構成するビットストリーム「0」及び「1」の概念をコードシステム上で巧みに利用することによって2進法に対応したいくつかの幾何学図形を使用することによって表され、画像入力装置又は光電走査装置による自動読み取りによって自動情報処理が実現される。バーコード技術には、各コードシステムが特定の文字セットを有し、各文字が一定の幅を占め、一定の検証機能を有するなどのいくつかの一般原則が存在する。その一方で、異なる列の情報を自動的に認識し、グラフの回転変化点を処理する機能も有する。2次元バーコードにはエラー修正機能が内蔵されており、コードが破損又は汚損した場合にデータを復元することができる。データの復元には、数学的なエラー修正(リード・ソロモン)を採用することができる。
【0018】
[0034]一部の好ましい実施形態では、チップに担持されたコードは、少なくとも2つ又はそれ以上の特徴の組み合わせである。例えば、チップに担持されたコードは、識別コード(例えばバーコード又は2次元バーコード)と電気信号との組み合わせ、識別コード(例えばバーコード又は2次元バーコード)と光信号(例えば蛍光)との組み合わせ、識別コード(例えばバーコード又は2次元バーコード)と数字との組み合わせ、識別コード(例えばバーコード又は2次元バーコード)とRFIDタグとの組み合わせ、RFIDタグと電気信号との組み合わせ、RFIDタグと光信号(例えば、蛍光)との組み合わせ、RFIDlab及び数字の組み合わせ、数字と光信号(例えば、蛍光)との組み合わせ、或いは数字、グラフと識別コード(例えば、バーコード又は2次元バーコード)との組み合わせなどであってもよい。
【0019】
[0035]コードの重要な1つの機能は、チップを区別及び識別することである。「コードはチップと一意の対応関係を有する」という表現は、各チップが1つの一意のコードに対応していることを意味している。言い換えると、チップに担持されたコードは、互いに異なっている。各チップは担持されたコードと一意の対応関係を有するので、そのコードを認識することによって、複数のチップを簡便に区別することができ、又は複数のチップから目的のチップを迅速に簡便に探して識別することができる。
【0020】
[0036]本出願の方法では、チップに担持されたコードを様々な方法で認識する。一部の好ましい実施形態では、チップに担持されたコードは、検出器(例えば、数字、記号、グラフ、識別コード(例えば、バーコード、2次元バーコード)、RFIDタグ、光信号(例えば、蛍光、化学発光、ラマン分光法)、量子ドット、磁気信号、電気信号、又はそれらの組み合わせを認識することによる検出器)を使用することによって検出され、検出器によって検出された信号は、処理装置を使用して分析され、それによってチップの識別情報(コード)を認識する。数字、記号、グラフ、バーコード、2次元バーコード、RFIDタグ、蛍光、発光、量子ドット、ラマン分光法などを検出/認識するための様々な方法及び機器が当業者には知られており、光信号認識装置、磁気信号認識装置、電気信号認識装置、画像認識装置、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定はされない。例えば、その機器は2次元バーコード検出器、バーコード検出器、又はRFIDタグ読取機などである。
【0021】
[0037]チップ表面の化学修飾
[0038]チップにコードを付加した後、チップが異なる機能要件を満たすという目的を実現するために、チップ表面に化学修飾を実施する。チップの表面に修飾される特定の種類の分子は、チップの実際の適用に左右される。例えば、生体高分子の合成に使用されるチップの表面は合成反応を開始することができる分子で修飾されており、抗原の検出に使用されるチップの表面は特異的抗体で修飾されており、抗体のスクリーニングに使用されるチップの表面は特異的抗原で修飾されている。
【0022】
[0039]A.生体高分子合成用
[0040]チップの表面でDNA、RNA、及びポリペプチドなどの異なる種類の生体高分子を合成するために、各チップの対応する表面を化学的に修飾する必要があり、さらに、信号分配が不均一にならないようにするために、チップの表面に修飾された分子が均一に分配されていることを保証しながら、チップの表面に十分な修飾分子があることを確認することも必要である。
【0023】
[0041]このために、特定の態様では、本出願は、化学物質及びコードを担持するバイオチップを提供し、この化学物質は反応試薬と反応して反応試薬中のモノマーを化学物質の末端に連結し、このコードはバイオチップと一意の対応関係を有する。
【0024】
[0042]本明細書で使用するように、本出願のバイオチップは化学的に修飾されており、すなわち、バイオチップの表面は化学物質を連結することによって修飾されている。特定の実施形態では、この化学物質はリンカー分子(接続分子)であり、これが反応試薬と反応(カップリング反応又は連結反応)することによって、反応試薬のモノマーがリンカー分子の末端に連結する。
【0025】
[0043]核酸(DNA/RNA)合成用のバイオチップはリンカー分子で修飾されており、このリンカー分子は、好ましくは、開始末端にアミノ基と反応する官能基、末端に酸で処理すると保護基が除去されてヒドロキシを露出する、酸に不安定な保護基を有するヒドロキシ、中間にエステル基、脂質基、チオエステル基、o-ニトロベンジル基、クマリン基、ヒドロキシ、メルカプト、メルカプトエーテル基、カルボキシ、ホルミル、アミノ、アミド、アミド基、アルケニル、及びアルキニルから選択される任意の1つ又は複数の官能基を有する化合物であり、好ましくは、開始末端の官能基はカルボキシであり、末端のヒドロキシ保護基はトリフェニルメチル、例えば、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル(DMT)であり、これは有機溶媒(ジクロロメタン及びアセトニトリルなど)に溶かしたジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、又はトリフルオロ酢酸の溶液で除去される。好ましい実施形態では、リンカー分子は、DNA合成が完了した後、アンモノリシスで分解されて容易に放出される分子であり、好ましいリンカー分子はユニバーサルリンカーであり、このユニバーサルリンカーとはエキソ-N-フェニル-5-(スクシニルオキシ)-6-ジメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-3-ジカルビミド、エキソ-N-メチル-5-(スクシニルオキシ)-6-ジメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-3-ジカルビミド又はエキソ-N-メチル-5-(ジグリコルオキシ)-6-ジメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-3-ジカルビミドである。ユニバーサルリンカーの化学構造式は以下の通りである:
[0044](1)エキソ-N-フェニル-5-(スクシニルオキシ)-6-ジメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-3-ジカルビミド
【化1】
[0045](2)エキソ-N-メチル-5-(スクシニルオキシ)-6-ジメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-3-ジカルビミド
【化2】
[0046](3)エキソ-N-メチル-5-(ジグリコルオキシ)-6-ジメチル-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-3-ジカルビミド
【化3】
【0026】
[0047]ポリペプチド合成用のバイオチップは化学物質で修飾されており、この化学物質はポリペプチドの固相法での合成のためのポリマー担体(樹脂)である。この樹脂は、反応基が導入された場合にのみ、第1のアミノ酸(最初のアミノ酸)に直接連結する。導入された反応基によって、樹脂及び樹脂誘導体は、クロロメチル樹脂、カルボキシ樹脂、アミノ樹脂、又はヒドラジド樹脂に分けられる。BOC合成法ではMerrifield樹脂などのクロロメチル樹脂が一般的に選択され、FMOC合成法ではWang樹脂及び2-Cl(Trt)-Cl樹脂などのカルボキシ樹脂が一般的に選択される。最初のアミノ酸の固定化は、アミノ酸を保護するカルボキシと樹脂の反応基との間に形成される共有結合によって主に実現する。共有結合の形成には多くの方法がある。クロロメチル樹脂の場合、アミノ酸を保護するテトラメチルアンモニウム塩若しくはナトリウム塩、カリウム塩若しくはセシウム塩をまず調製し、その後生成物を樹脂と直接反応させるか、又はジオキサン、DMF若しくはDMSOなどの適切な有機溶媒中で適切な温度で反応させるのが一般的であるが、カルボキシ樹脂の場合、一般的にはDCC若しくはカルボキシジイミダゾールなどの適切な縮合剤を添加して、保護されたアミノ酸及び樹脂が混合エステルを形成してアミノ酸の固定化を完成させ、アミノ樹脂又はヒドラジド樹脂の場合、DCCなどの適切な縮合剤を添加した後、保護されたアミノ酸と樹脂との間に形成されるアミド結合によってアミノ酸の固定化を完成させる。
【0027】
[0048]ポリペプチド合成用のバイオチップの好ましい技術的解決では、チップを修飾するための化学物質(リンカー分子)はカルボキシ樹脂であり、これはWang樹脂及び2-Cl(Trt)-Cl樹脂などの、末端にカルボキシと縮合することができる基を有する分子、又は類似の化学構造を有する分子であり、好ましくは、開始末端にアミノと反応することができる官能基及び末端にアミノ酸モノマーのカルボキシとカップリングすることができ、酸で処理すると解離することができる官能基、中間にエステル基、脂質基、チオエステル基、o-ニトロベンジル基、クマリン基、ヒドロキシ、メルカプト、メルカプトエーテル基、カルボキシ、ホルミル、アミノ、アミド、アミド基、アルケニル、及びアルキニルのうちの任意の1つ又は複数の官能基を有する化合物を有するリンカー分子であり、例えば、4ーヒドロキシメチル安息香酸、4-クロロメチル安息香酸、又は置換された4ーヒドロキシメチル安息香酸若しくは4-クロロヒドロキシメチル安息香酸が挙げられ、好ましいリンカー分子は4ーヒドロキシメチル安息香酸である。
【0028】
[0049]B.バイオ検出
[0050]別の特定の態様では、本出願は、特異的抗原/抗体及びコードを担持するバイオチップを提供し、このコードはチップと一意の対応関係を有する。例えば、抗原検出用チップの表面を特異的な抗体で修飾し、抗体スクリーニング用チップの表面は特異的抗原で修飾する。
【0029】
[0051]バイオチップの調製
[0052]別の態様では、本出願はバイオチップを調製する方法を提供し、この方法は、以下のステップを含む:
[0053]1)チップをコード化するステップ、
[0054]2)チップを前処理するステップ、
[0055]3)チップの表面にシラン化処理を実施するステップ、
[0056]4)チップの表面を化学修飾するステップ、
[0057]5)任意選択で、化学修飾を検出又は定量的に分析するステップ。
【0030】
[0058]本発明で使用するように、「チップをコード化する」とは、チップに一意的な識別タグを付加することを意味する。本明細書では「コード」とは、チップの識別情報を区別及び識別するためのあらゆる特徴を意味することを理解されたい。この特徴には、数字、記号、グラフ、バーコード、及び2次元バーコードなどの識別コードが挙げられるが、これらに限定はされない。好ましい実施形態では、「チップをコード化する」ことは、チップに2次元バーコードを付加することを含み、この2次元バーコードはチップに一意に対応している。言い換えると、異なるチップに付加された2次元バーコードは、互いに異なっている。
【0031】
[0059]特定の実施形態では、本発明によれば、2次元バーコードは、認識可能な信号としてレーザー印刷を使用してチップ上に印刷されている。様々な適用状況に適応するためには、異なる種類の研磨及び2次元バーコードを有するチップ、すなわち、非研磨片面2次元バーコードチップ、非研磨両面2次元バーコードチップ、片面研磨片面2次元バーコードチップ、片面研磨両面2次元バーコードチップ、両面研磨片面2次元バーコードチップ及び両面研磨両面2次元バーコードチップを設計し製造することが必要である。チップの表面は、表面積を増大させ、2次元バーコードチップの迅速で正確で効率的な認識を確実にするために、フロスト処理又はナノポイントの位置修正など、特殊な要求を伴う適用状況では特殊な処理が施されている。
【0032】
[0060]DNA合成用の2次元バーコードチップを例にとると、以下の技術が採用されており、本出願によって提案されたDNA合成用チップのサイズは、適用状況に応じて、例えば2mm×2mm、さらには1mm×1mm、0.5mm×0.5mm以下に調整することができ、最小はサブミリメートルレベルであってもよい(例えば、
図1を参照)。チップのサイズが小さいので、ドット方式としてドット2次元バーコード方式を選択している。バリのない切断品質を確保するために、本出願で提案した2次元バーコードチップは、機械的に切断している。コード化の深さを確保するために、ポイントの位置が深く鮮明になるように赤色レーザーを選択しているので、その後の長期使用で多少の摩耗があっても、2次元バーコードの認識に影響はない。使用過程で大量のチップが付着してしまう問題を解決するために、振動する反応容器を使用して、チップ表面でのチップ反応の均一性に影響を与えることなく、使用過程における高い効率を確保する。チップの認識とは、チップを撮影し、拡大し、認識する過程のことある。チップをより良く認識するために、2次元バーコードのポイントはできる限り大きく深くする。
【0033】
[0061]特定の実施形態では、互いに異なる複数の2次元バーコードがシリコンウェハ全体に等間隔で印刷されており、例えば、2次元バーコードのサイズは1mm×1mmであってもよい。次に、シリコンウェハを2mm×2mmのチップに切断し、切断したときに2次元バーコードが各チップの中心に確実に位置するようにしている。
【0034】
[0062]本明細書で使用するように、「チップを前処理する」とは、チップの表面をきれいにし、一方で、表面反応の活性を向上させるためにより多くのヒドロキシを露出させるという目的を達成することである。前処理ステップには、酸処理、アルカリ処理、超音波処理、プラズマ洗浄、アセトン洗浄、又はそれらの組み合わせが含まれ、酸は硫酸、塩酸、リン酸、ピラニア液などから選択され、アルカリは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどから選択することができる。好ましい実施形態では、前処理方法は、酸処理に続くプラズマ洗浄であり、より好ましくは、前処理方法は、水酸化ナトリウム処理に続くプラズマ洗浄及びアセトン洗浄である。
【0035】
[0063]本明細書で使用するように、「チップの表面にシラン化処理を実施する」とは、チップの表面でアミノ修飾を実施することを意味する。シラン化の過程では、化学蒸着法(CVD)、溶液浸漬法、単純負圧蒸着法などのうちの1つ又は複数が採用され、シラン化試薬は、一端がアルコキシシリコン基、他端がアミノである試薬であり、APTMS、APTESなどから選択することができ、好ましくはAPTMSをシラン化試薬として使用し、さらに好ましくは50%のシラン化試薬を使用する。好ましい実施形態では、効率的なシラン化を確保する一方、簡便な操作性及び均一な表面修飾を確保するために、単純な負圧蒸着法を採用している。
【0036】
[0064]本明細書で使用するように、「チップの表面を化学的に修飾する」とは、チップの表面に化学物質を連結することを意味する。化学物質の具体的な種類は、チップの具体的な適用によって左右される。
【0037】
[0065]核酸(DNA/RNA)合成のためにバイオチップを使用する場合、化学物質は好ましくは開始末端にアミノと反応することができる官能基及び末端に酸に不安定な保護基を有するヒドロキシを有し、この保護基は酸で処理すると除去されてヒドロキシを露出し、中間にエステル基、脂質基、チオエステル基、o-ニトロベンジル基、クマリン基、ヒドロキシ、メルカプト、メルカプトエーテル基、カルボキシ、ホルミル、アミノ、アミド、アミド基、アルケニル、及びアルキニルのうちの任意の1つ又は複数の官能基を有するリンカー分子であり、好ましくは、開始末端はカルボキシであり、末端の保護基はトリフェニルメチル、例えば、4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル(DMT)であり、これは有機溶媒(ジクロロメタン及びアセトニトリルなど)に溶かしたジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸又はトリフルオロ酢酸の溶液で処理すると除去される。
【0038】
[0066]バイオチップをポリペプチド合成のために使用する場合、リンカー分子は、好ましくは、カルボキシ樹脂であり、すなわち、Wang樹脂及び2-Cl(Trt)-Cl樹脂などの、末端にカルボキシと縮合することができる基を有する分子、又は類似の化学構造を有する分子であり、好ましくは、開始末端にアミノと反応することができる官能基及び末端にアミノ酸モノマーのカルボキシとカップリングすることができ、酸で処理すると解離することができる官能基、中間にエステル基、脂質基、チオエステル基、o-ニトロベンジル基、クマリン基、ヒドロキシ、メルカプト、メルカプトエーテル基、カルボキシ、ホルミル、アミノ、アミド、アミド基、アルケニル、及びアルキニルのうちの任意の1つ又は複数の官能基を有する化合物を有するリンカー分子であり、例えば、4ーヒドロキシメチル安息香酸、4-クロロメチル安息香酸、又は置換された4ーヒドロキシメチル安息香酸若しくは4-クロロヒドロキシメチル安息香酸が挙げられ、好ましいリンカー分子は4ーヒドロキシメチル安息香酸である。
【0039】
[0067]バイオチップの調製のステップは、好ましくは以下の順序に従って実施されることに留意されたい:まずコード化を実施し、次に、バイオチップの修飾表面をより良く保護し、その後のバイオチップの適用を容易にするために表面の化学修飾を実施する。例えば、レーザー印刷を使用して2次元バーコードをチップに印刷した後に、チップに前処理及びシラン化処理を行い、最後にチップの表面を化学修飾するが、順序が逆の場合、例えば、チップに前処理及びシラン化処理を行った後にチップの表面を化学修飾し、最後に2次元バーコードをレーザー印刷を使用してチップに印刷する場合、レーザー印刷の過程でチップの表面に修飾された化学分子に損傷を与えやすく、その後のチップの適用に影響を与える。
【0040】
[0068]標的化合物を合成する場合、チップに担持された化学物質(リンカー分子)が毎回反応試薬と接触し、反応試薬のモノマーがリンカー分子の末端に連結してリンカー分子を延長させることはよく理解されるだろう。標的化合物が得られるまで、合成した化合物の長さを連続的に延長するために、接触及び反応を繰り返す。
【0041】
[0069]一部の好ましい実施形態では、チップ上での合成反応が完了した後に、合成された生成物(標的化合物)をチップから簡便に切断/分離することが必要である。
【0042】
[0070]例えば、標的化合物がDNAの場合、標的化合物はアンモノリシス反応によってチップから切断する。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応の試薬は、アンモニア水、アンモニアガス、メチルアミン、又はそれらの任意の組み合わせから選択することができる。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応は、室温~120℃、例えば、室温~60℃、60~90℃、及び90~120℃から選択される温度で実施する。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応は0.5時間~48時間、例えば、0.5~2時間、2~5時間、5~10時間、10~18時間、及び18~24時間実施することができる。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応後に標的化合物(DNA)を単離し精製する。例えば、MOP、PAGE、Page Plus、HPLC、又はそれらの任意の組み合わせを使用して、標的化合物(DNA)を単離し精製する。
【0043】
[0071]例えば、標的化合物がRNAの場合、アンモノリシス反応によって標的化合物をチップから切断する。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応の試薬は、アンモニア水、アンモニアガス、メチルアミン、又はそれらの任意の組み合わせから選択する。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応は、室温~120℃、例えば、室温~60℃、60~90℃、及び90~120℃から選択される温度で実施する。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応は0.5時間~48時間、例えば、0.5~2時間、2~5時間、5~10時間、10~18時間、及び18~24時間実施する。一部の好ましい実施形態では、アンモノリシス反応後に標的化合物(RNA)を単離し精製する。例えば、PAGE、Page Plus、HPLC、又はそれらの任意の組み合わせを使用して、標的化合物(RNA)を単離し精製する。一部の好ましい実施形態では、分離及び精製は、RNアーゼフリーの環境で実施する。例えば、一部の好ましい実施形態では、精製にHPLCを使用し、分離及び精製に使用する試薬及び装置にはいずれも、RNアーゼ汚染を回避するためにRNアーゼを含有しない(すなわち、RNアーゼフリーである)。
【0044】
[0072]例えば、標的化合物がポリペプチドの場合、溶出剤の添加によって標的化合物をチップから切断することができる。一部の好ましい実施形態では、溶出のための試薬(溶出剤)は、フッ化水素酸、トリフルオロ酢酸、テトラフルオロホウ酸、又はそれらの任意の組み合わせから選択することができる。一部の好ましい実施形態では、溶出反応は、室温~120℃、例えば、室温~60℃、60~90℃、及び90~120℃から選択される温度で実施することができる。一部の好ましい実施形態では、溶出反応は0.5時間~48時間、例えば、0.5~2時間、2~5時間、5~10時間、10~18時間、及び18~24時間実施することができる。一部の好ましい実施形態では、溶出反応後に標的化合物(ポリペプチド)を単離し精製する。例えば、高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動、又はそれらの任意の組み合わせを用いて、標的化合物(ポリペプチド)を単離し精製する。
【0045】
[0073]任意選択で、修飾ステップの後、チップの修飾品質を特徴付けるために、複数の技術的手段を使用して化学修飾を検出又は定量的に分析することができる。例えば、まず酸を添加することによってリンカー分子の末端のDMT保護ヒドロキシを脱保護し、収集した溶液の色を定性的に観察すると、赤い溶液はリンカー接続が成功していることを示し、すなわち、チップの修飾が成功していることを示している。さらに、収集した赤い溶液を収集して定量し、すなわち、UV可視分光光度計によってDMT定量を実施し、修飾したチップの表面のリンカー分子の数を判定し、チップの表面の分子の負荷容量を判定する。最後に、DMTを含まないチップを6-FAMの蛍光モノマーとカップリングさせ、カップリングしたチップを洗浄した後、蛍光を観察するために蛍光顕微鏡の下に置くと、修飾したチップの品質は、蛍光の存在、強度、及び均質性によって判定することができ、すなわち、チップ表面の高い蛍光強度、同時に均質な蛍光信号は、修飾したチップの良好な品質を示している。
【0046】
[0074]核酸合成用のバイオチップ
[0075]本出願のチップは、核酸(DNA/RNA)の合成に使用することができる。核酸の固相合成の一般的な方法及び原理は、当業者に知られている。一般的に、核酸の固相合成は、固相ホスホロアミダイトトリエステル法を採用しており、複数のヌクレオチドを複数回の循環反応によってチップに1つずつ順番に連結させて複数のヌクレオチドを含有する標的生成物を得るが、循環反応の各回は脱保護、活性化/カップリング、キャッピング、及び酸化の4つのステップを含む。
【0047】
[0076]DNA/RNA合成の特定の実施形態では、まず、合成に必要なモノマーの種類及び合成スループットの要件に応じて、チップコード化の方式を選択し、スループットの異なるDNA/RNA合成用バイオチップと、対応する認識装置、選別装置、並びにチップの移動及び試薬液導入及び排出を制御するための駆動装置を製造するために、認識及び選別方法を最初に定める。チップの特定の信号が認識装置によって認識され、チップが対応するカップリングモノマーを含有する「反応タンク」に選別された後、駆動装置が以下のことが実現するために制御される:脱保護のために脱保護試薬を反応タンクに導入して、反応が完了した後に脱保護試薬を排出し、その後カップリングのために反応タンクに対応するカップリングモノマーに応じてカップリング試薬を導入して、その後カップリング試薬を排出し、最後にキャッピング及び酸化それぞれのためにキャッピング試薬及び酸化試薬を順番に添加して、この時点で1サイクルが完了する。手順の設定に従って、このサイクルは合成が完了するまで連続的に繰り返され、チップを一緒に集めてDNA/RNAライブラリを得るか、又は認識選別技術を利用することによって個々のDNA/RNA断片を得る(フローチャートを
図2に示す)。
【0048】
[0077]ポリペプチド合成の特定の実施形態では、まず、ポリペプチド合成に必要なアミノ酸モノマーの種類及び合成スループットの要件に応じて、チップコード化の方式を選択し、スループットの異なるポリペプチド合成用バイオチップと、対応する認識装置、選別装置、並びにチップの移動及び試薬液導入及び排出を制御するための駆動装置を製造するために、認識及び選別方法を定める。チップの特定の信号が認識装置によって認識され、チップが対応するカップリングアミノ酸モノマーを含有する「反応タンク」に選別された後、駆動装置が以下のことを実現するために制御される:脱保護のために脱保護試薬を反応タンクに導入して、反応が終了した後に脱保護試薬を排出し、その後カップリングのために反応タンクに対応するカップリングアミノ酸モノマーに応じてカップリング試薬を導入して、その後カップリング試薬を排出し、この時点で1サイクルが完了する。手順の設定に従って、このサイクルは合成が完了するまで連続的に繰り返され、チップを一緒に集めてポリペプチドライブラリを得るか、又は認識選別技術を利用することによって個々のポリペプチド断片を得る(フローチャートを
図3に示す)。
【0049】
[0078]生物学的検出用バイオチップ
[0079]本出願のバイオチップは、抗原及び抗体のスクリーニング並びに疾患の診断などの生物学的検出、特に多数の生体試料の同時検出のために使用することができる。抗原及び抗体が特異的な結合力を有し、すなわち、ある抗原は対応する抗体と特異的に親和性を持って結合することができ、この特異的な親和性を利用することによって、抗原-抗体の特異的なスクリーニングを実施することができる。従来の生物学的検出チップでは、同時に1つの生体試料しか検出することができず、すなわち、抗体Aを選択する場合、スクリーニングするべき抗体ライブラリは特異的抗原Aで修飾したチップを通過し、溶出及び脱離の後、標的抗体Aが得られる。或いは、ハイスループットスクリーニングの目的を達成するために、複数の抗原部位を1つのチップ上で修飾するが、この種の修飾は複雑で区別が難しい。
【0050】
抗体のスクリーニング
[0080]本出願のバイオチップは、簡単なハイスループット抗体スクリーニングを実現することができる。その技術的適用の解決法を、1000個の抗体をスクリーニングすることができる修飾チップを例にとって説明することとする。
【0051】
[0081]1000個のチップ(チップのサイズは2mm×2mm、さらには1mm×1mm、0.5mm×0.5mm以下)を混合し、各チップを特異的抗原で修飾した後、抗体ライブラリの溶液を添加し、混合したチップを浸漬する。抗原及び抗体には特異的な結合効果があるので、一定期間の接触及び反応の後、特異的な抗体が対応するチップ上の抗原と結合し、その後抗体ライブラリを除去し、洗浄試薬を添加してチップを洗浄し、残存している未結合の抗体を確実に除去する。その後、チップに記された2次元バーコードに従って、1000個のチップを1000個の異なる反応ウェルに選別し、次にチップを含有する各反応ウェルに脱離試薬を添加して、チップに結合した抗体をチップ上の抗原から脱離して分離し、上記のステップを何度も繰り返して、抗体の完全な脱離を確実にする。その後、1000個の反応ウェル中の溶液を別々に新しい1000個の反応ウェルに移し、こうして対応する1000個の特異的な抗体を同時にスクリーニングし、最終的に得られた抗体を分析して特徴づける。陽性の結果を有する抗体を精製して、高純度の抗体を得る。上記の技術的解決法によって、抗体のハイスループットスクリーニングを完了するために、多数の高純度の特異的抗体が迅速で効率的に得られる。
【0052】
[0082]本発明が提案する抗体スクリーニングの適用では、抗原修飾を行うチップは体積が小さく製造が簡単であり、大規模の生産が可能なので、チップに2次元バーコードを記すことと併せて、迅速で効率的な認識及び選別を実施し、抗体スクリーニングのための技術的適用のスループットは1万又は100万レベルでさえも上回ることが可能である。
抗原の検出
[0083]本出願のバイオチップは、簡単なハイスループット抗原検出を実現する。その具体的な技術的適用の解決法を、1000個の抗原を検出することができる修飾チップを例にとって説明することとする。
【0053】
[0084]1000個のチップ(チップのサイズは2mm×2mm、さらには1mm×1mm、0.5mm×0.5mm以下)を混合し、各チップを特異的抗体で修飾した後、抗原ライブラリの溶液を添加し、混合したチップを浸漬する。抗原及び抗体には特異的な結合効果があるので、一定期間の接触及び反応の後、特異的抗原が対応するチップ上の抗体と結合し、その後抗原ライブラリを除去し、洗浄試薬を添加してチップを洗浄し、残存している未結合の抗体を確実に除去する。その後、チップに記された2次元バーコードに従って、1000個のチップを1000個の異なる反応ウェルに選別し、次にチップを含有する各反応ウェルに脱離試薬を添加して、チップに結合した抗原をチップ上の抗体から脱離して分離し、上記のステップを何度も繰り返して、抗体の完全な脱離を確実にする。その後、1000個の反応ウェル中の溶液を別々に新しい1000個の反応ウェルに移し、こうして対応する1000個の特異的な抗原を同時にスクリーニングし、最終的に得られた抗原を分析して特徴づける。上記の技術的解決法によって、抗原のハイスループットな検出が完了する。
【0054】
[0085]本発明が提案する技術的適用では、チップは体積が小さく製造が簡単であり、大規模の生産が可能なので、チップに2次元バーコードを記すことと併せて、迅速で効率的な認識及び選別を実施し、抗原検出のための技術的適用のスループットは1万又は100万レベルでさえも上回ることが可能である。
【実施例】
【0055】
[0086]以下の実施例によって本出願を詳細に説明するが、実施例で使用した主な試薬及び消耗品は以下の通りである。
【0056】
[0087]合成用固相担体:従来型チップ、100nm酸化シリコンウェハ、300nm酸化シリコンウェハ、つや消し石英チップ、透明石英チップ、サイズ:2×2×0.45mm
[0088]ACN(アセトニトリル):Beijing Dina Xingke
[0089]脱保護試薬:3% TCAデブロック、Beijing Dina Xingke
[0090]活性化剤:0.25M活性化剤、Beijing Dina Xingke
[0091]ホスホロアミダイトモノマーA、T、C、G:Sigma Aldrich
[0092]酸化剤:0.05M酸化剤、Beijing Dinaxingke
[0093]CAP A:無水酢酸/ピリジン/テトラヒドロフラン1/1/8、Beijing Dinaxingke
[0094]CAP B:17.6%w/v ナイトロジェン-メチルイミダゾール/アセトニトリル、Beijing Dina Xingke
[0095]アンモニア水:Sinopharm
[0096]T30標準試料:Shenzhen National Gene Bank
[0097]TAクローニングキット:pMDTM19-T、TaKaRa
【0057】
[0098]実施例1 核酸(DNA/RNA)合成用のチップの調製
[0099]まず、Guangruite Electronicsはカスタマイズされた2次元バーコードチップの印刷及び切断の実施を委託された。印刷には赤色レーザーを使用し、2次元バーコードのサイズは1mm×1mmであり、2次元バーコードを印刷した裸のシリコンウェハは2mm×2mm×0.45mmのマイクロチップに切断し、各マイクロチップの中心には特定の2次元バーコードを印刷し、2次元バーコードを印刷し切断したチップをピラニア溶液で前処理した後、プラズマで洗浄した。その後、前処理したチップをAPTMSを使用して簡単な負圧蒸着法でシラン化した。最後に、Wuhu Huaren technologyから購入したユニバーサルリンカーをチップに連結させた。
【0058】
[00100]その後、酸を添加することによってリンカー分子の末端のDMT保護ヒドロキシを脱保護し、収集した溶液の色を定性的に観察した。溶液が赤の場合、リンカーの連結が成功したこと、すなわち、チップ修飾が成功したことを示していた。次に、収集した赤い溶液を定量し、すなわち、チップの表面の分子の負荷容量を判定するために、DMTをUV可視分光光度計によって定量し、修飾したチップの表面のリンカーの分子数を判定した。或いは、DMTを含まないチップを6-FAMの蛍光モノマーとカップリングさせ、カップリングしたチップを洗浄した後、蛍光を観察するために蛍光顕微鏡の下に置くと、修飾したチップの品質は、蛍光の存在、強度、及び均質性によってさらに修飾したチップの品質を定性することができ、すなわち、チップ表面の高い蛍光強度及び均質な蛍光信号は、該チップの良好な品質を示す。
【0059】
[00101]具体的な修飾ステップは以下の通りである:
[00102]1.0.1M NaOH溶液100mLを調製し、2つの100mLビーカーに入れた。2次元バーコードの従来のチップ2000個を各ビーカーに入れた。ビーカーを手で震盪することによってチップを3分間洗浄した。まず、チップを脱イオン水で3回、アセトンで3回洗浄し、空気中で乾燥させ、チップの表面をきれいにして、その後のシラン化修飾を容易にした。
【0060】
[00103]2. 50%シラン化試薬100mLを調製し、2つの100mLビーカーに入れた。きれいにした2次元バーコードチップ2000個を各ビーカーに入れ、超音波機器で30分間超音波処理し、アセトンで5回洗浄し、空気中で乾燥させた。
【0061】
[00104]50%シラン化試薬は1%(APTES:PTES=1:1)アセトン溶液であり、全量100mLを例にとると、成分はAPTES500μL、PTES500μL、及びアセトン99mLであった。
【0062】
[00105]3. このチップを乾燥オーブン中で80℃で10分間乾燥させ、その後の実験のために取り出した。
【0063】
[00106]4. リンカー1000mg、HATU800mg、及びDIPEA2000μLを取り、アセトニトリル100mLに入れ、均一に震盪した後、50mL遠心分離管2本に入れた。シラン化した2次元バーコードチップ2000個を各遠心分離管に入れ、バーチカルミキサーで一晩攪拌した。反応が完了した後、チップを収集し、アセトニトリル及びアセトンでそれぞれ3回洗浄し、空気中で乾燥させた。
【0064】
[00107]その後、修飾した2次元バーコードチップ30個を取り出し、チップ表面のDMTをTCAデブロックで溶出した。DMTの濃度をUV-vis分光光度計で測定し、修飾した2次元バーコードチップ上のリンカーのグラフト密度を判定した。
【0065】
[00108]5. 修飾して乾燥させたチップは、後で使用するために50mLの遠心分離管に収集した。
【0066】
[00109]一方で、1%及び100%のシラン化試薬がチップの修飾に与える影響を比較した。1%及び100%のシラン化試薬それぞれを50%シラン化試薬の代わりに使用した以外は、ステップは上記と同じであった。1%シラン化試薬は1%(APTES:PTES=1:99)のアセトン溶液であり、全量100mLを例にとると、その成分はAPTES10μL、PTES990μL、及びアセトン99mLであった。100%シラン化試薬は1%(APTES:PTES=1:0)のアセトン溶液であり、全量100mLを例にとると、その成分はAPTES1000μL、PTES0μL、及びアセトン99mLであった。最後に、3種類の異なるシラン化率で修飾したチップ上のリンカーのグラフト密度を得た。結果を表1に示す。
【0067】
[00110]チップ表面のリンカーのグラフト密度は、標的化合物の実際の合成効果とは正の関係がない、すなわち、分子クラウディングの問題が関与しているため、高いグラフト密度が必ずしもチップの良好な合成効果を生み出すとは限らないことを考えると、チップ表面に十分な数の分子を確保しながら、連結したオリゴデオキシヌクレオチド鎖が実用における最終的な合成品質及び長さに影響を与えるほど密集しないように配慮することが必要である。したがって、この実施例でシラン化試薬の最適な比率を探究する場合、リンカーのグラフト密度、1ステップ合成効率、生成物の純度、及びその他の要素を総合的に考慮する必要がある。この実施例では、異なるシラン化試薬率で修飾したチップを入手した後、そのチップを使用してT5DNA配列(すなわち、TTTTT(配列番号15))を合成した。具体的な方法は実施例3に示し、最終生成物の純度及び1ステップ合成効率は表1に示す。表1の結果から、修飾に50%シラン化試薬を使用した場合、リンカーのグラフト密度は100%シラン化試薬ほど高くなかったが、最終生成物の純度及び得られた生成物の1ステップ合成効率は最も高かった。
【表1】
【0068】
[00111]実施例2 ポリペプチド合成用のチップの調製
[00112]最初に、Guangruite Electronicsはカスタマイズされた2次元バーコードチップの印刷及び切断の実施を委託された。印刷には赤色レーザーを使用し、2次元バーコードのサイズは1mm×1mmであり、2次元バーコードを印刷した裸のシリコンウェハは2mm×2mm×0.45mmのマイクロチップに切断し、各マイクロチップの中心に特定の2次元バーコードを印刷し、2次元バーコードを印刷し切断したチップをピラニア溶液で前処理した後、プラズマで洗浄した。その後、前処理したチップをAPTMSを使用することによって簡単な負圧蒸着法でシラン化した。最後に、Annaijiから購入した4ーヒドロキシメチル安息香酸をユニバーサルリンカーとしてチップに連結させた。
【0069】
[00113]実施例3 DNAの合成
[00114]この実施例では、本発明者らは、
図2に示したようなDNA合成方法及び4つの単一塩基反応タンクを使用してDNA分子を合成した。具体的なステップは以下の通りである:
[00115]S1. 合成モノマー、試薬、及び試薬タンクの調製
[00116]4つの反応タンク(第1、第2、第3、及び第4の反応タンク)は、デオキシリボヌクレオチドA、T、C、及びGをそれぞれ添加するため、並びに各反応タンクにおいて脱保護、キャッピング、酸化、及び洗浄を行うために用意されており、
[00117]カップリングの場合、
[00118]DMTで保護された5’-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するアデニル酸並びにテトラゾールを第1の反応タンクに添加した。
【0070】
[00119]DMTで保護された5’-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するグアノシン酸並びにテトラゾールを第2の反応タンクに添加した。
【0071】
[00120]DMTで保護された5’-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するシチジン酸並びにテトラゾールを第3の反応タンクに添加した。
【0072】
[00121]DMTで保護された5’-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するチミジン酸並びにテトラゾールを第4の反応タンクに添加した。
【0073】
[00122]脱保護の場合、トリクロロ酢酸のジクロロメタン溶液を脱保護試薬として4つの反応タンクに添加した。
【0074】
[00123]キャッピングの場合、無水酢酸/ピリジン/テトラヒドロフランのアセトニトリル溶液及びN-メチルイミダゾールをキャッピング試薬として4つの反応タンクの中に添加した。
【0075】
[00124]酸化の場合、0.01Mヨウ素溶液を酸化剤として4つのタンクに添加した。
【0076】
[00125]洗浄の場合、アセトニトリルを洗浄液として4つのタンクに添加した。
【0077】
[00126]S2. チップの調製
[00127]実施例1の50%シラン化試薬で修飾した5つの異なる種類のチップ(従来のチップ、100nm酸化シリコンチップ、300nm酸化シリコンチップ、つや消し石英チップ、及び透明石英チップ)を使用した。
【0078】
[00128]S3. 装置及びソフトウェアプログラムの調製
[00129]装置を用意したが、この装置には、
[00130]チップに担持された2次元バーコードを認識し、信号を生成した2次元バーコード認識装置、
[00131]チップを選別したチップ選別装置、
[00132]チップの移動を駆動した駆動装置、
[00133]試薬を様々な「タンク」に導入及び排出した試薬液駆動装置、
[00134]2次元バーコードが認識された後に2次元バーコード認識装置によって生成された信号を受信し、チップを選別するためにチップ選別装置を制御する、及び/又はチップを移動させる駆動装置を制御する命令を送信した中央処理装置、並びに
[00135]合成するDNA分子の配列、チップと2次元バーコードとの対応関係、合成するDNA分子の配列とチップとの対応関係、及び各固相マトリックスが経験した反応を保存するために使用された記憶装置が含まれる。
【0079】
[00136]さらに、合成する標的DNAの配列に応じて制御プログラムを設計し、予め決定されたDNA配列に応じてチップの選別方法を決定した。
【0080】
[00137]S4. DNA合成
[00138]まず、全チップを混合し、チップに予め印刷された2次元バーコードを認識装置によって認識した。中央処理装置は、認識装置によって生成された認識信号に従ってチップを選別するためにチップ選別装置を制御し、予め設定された制御プログラムに従って各チップを所望の反応タンクに移動させるために駆動装置を制御し、次に以下のことを実現するために試薬液駆動装置を制御した:脱保護のために脱保護試薬を反応タンクに導入し、反応が完了した後に脱保護試薬を排出し、洗浄液を導入してチップを洗浄し、その後カップリングのために反応タンクに対応するモノマーに応じてカップリング試薬を導入し、反応が完了した後にカップリング試薬を排出し、洗浄液を導入してチップを洗浄し、最後にキャッピング、酸化、及び洗浄それぞれのためにキャッピング試薬、酸化試薬、及び洗浄液を再度順番に導入し、この時点で1サイクルが完了し、すなわち、1塩基の付加/カップリングが完了した。具体的な操作ステップ、使用した試薬、及び反応時間を表2に示す。
【0081】
[00139]1つの塩基のカップリングが完了した後、DNA分子の合成が完了するまで、予め決定されたDNA合成の配列情報に従って、上記のステップを繰り返した。
【表2】
【0082】
[00140]S5. DNAの分離及び精製
[00141]DNA合成が完了した後、アンモノリシスのために全チップを収集し、合成した全DNA分子を分離し精製した。或いは、2次元バーコードを使用して全チップを認識することができ、標的チップを選別して収集してアンモノリシスを行い、それによって標的DNA分子を分離し精製した。
【0083】
[00142]この実施例では、T30DNA(配列:TTTTTTTTTT TTTTTTTTTTTTTTTTTTTT(配列番号16))合成のために5種類の異なるチップを選択し、この5種類のチップは、従来のチップ、100nm酸化チップ、300nm酸化チップ、つや消し石英チップ、及び透明石英チップであった。具体的なステップは以下の通りである。
【0084】
[00143](1)実験1-T30
[00144]従来のチップ(仕様:2×2×0.45mm、両面とも2次元バーコードを有する)40個を取り出して混合し、合成の標的配列に従って、このサイクルで添加するモノマーを決定した。チップ選別装置で選別を実施した後、同じモノマーで合成するチップを同じ反応タンクに選別し、CapA75μL及びCapB75μLからなるキャッピング試薬を添加した。チップを反応タンクに1回浸漬し、キャッピング試薬を排出し、未使用のキャッピング試薬をもう1回添加した後にチップをもう1回反応させるために浸漬し、合計40秒間キャッピング反応を実施し、その後キャッピング試薬を排出し、3回洗浄するためにアセトニトリルを添加した。使用したアセトニトリルを排出し、脱保護試薬TCA150μLを添加し、15秒間脱保護反応を実施した。使用した脱保護試薬を排出した後、未使用の脱保護試薬を再度加えて15秒間1回反応させた。脱保護ステップが完了した後、使用した脱保護試薬を排出し、3回洗浄するためにアセトニトリル250μLを添加した。アセトニトリルを排出した後、ホスホロアミダイトモノマーT40μL及び活性化剤ACT60μLを添加し、カップリング反応を60秒間実施した。使用した試薬を排出した後、未使用の試薬をもう1回添加して反応させ、2つの反応を合計120秒間実施した。カップリングステップを完了した。使用したカップリング試薬を排出し、1回洗浄するためにアセトニトリル250μLを添加した。アセトニトリルを排出し、capA75μL及びcapB75μLからなるキャッピング試薬を添加した。キャッピング反応を1回実施した。使用したキャッピング試薬を排出した後、未使用のキャッピング試薬をもう1回添加し、2回のキャッピング反応を合計40秒間実施した。使用したキャッピング試薬を排出し、1回洗浄するためにアセトニトリル250μLを添加した。アセトニトリルを排出し、酸化剤150μLを添加し、酸化反応を20秒間実施した。使用した試薬を排出した後、未使用の試薬をもう1回添加した。2回の酸化反応を合計40秒間実施した。使用した酸化試薬を排出し、アセトニトリル250μLを3回添加した。1サイクルはこの時点で完了した。上記のステップを30回繰り返し、その後最後に脱保護を実施し、アンモノリシスをアンモニア水で実施し、処理後にT30生成物を得た。1チップの合成量はNanodropによって定量的に測定し、HPLC純度はHPLC分析によって測定した。1ステップ合成効率を算出した(1ステップ合成効率はHPLC純度分析によって得られた)。例えば、合成T10のHPLC純度が80%だった場合、1ステップ合成効率は
【数1】
であった。HPLCの結果は
図4Aに示している。
【0085】
[00145]さらに、脱保護の1回目のサイクルの前にキャッピング処理を実施して末端基が完成していないチップ表面の領域を塞ぎ、こうして構築単位をカップリングできないようにして、合成効率を向上させることに注意されたい。2回目のサイクルからは、再度キャッピングを行う必要はないが、認識及び選別から「脱保護-カップリング-キャッピング-酸化」のステップを実施した。合成が完了するまでこのサイクルを実施した。
【0086】
[00146](2)実験2-T30
[00147]100nmの酸化チップ40個を取り出して、T30DNAを合成した。具体的なステップは、実験1と同じであった。HPLCの結果は
図4Bに示している。
【0087】
[00148](3)実験3-T30
[00149]300nmの酸化チップ40個を取り出して、T30DNAを合成した。具体的なステップは、実験1と同じであった。HPLCの結果は
図4Cに示している。
【0088】
[00150](4)実験4-T30
[00151]つや消し石英チップ40個を取り出して、T30DNAを合成した。具体的なステップは、実験1と同じであった。HPLCの結果は
図4Dに示している。
【0089】
[00152](5)実験5-T30
[00153]透明石英チップ40個を取り出して、T30DNAを合成した。具体的なステップは、実験1と同じであった。HPLCの結果は
図4Eに示している。
【0090】
[00154]上記5つの実験のDNA合成結果をまとめ、結果は表3に示している。表3から、透明石英チップを使用して実施したDNA合成で、生成物の純度及び1ステップ合成効率が最も高かったことがわかる。1ステップ合成効率が最も低い100nm酸化チップと比較して、1ステップ合成効率は2.5%増加しており、すなわち、各サイクルの合成効率は96.8%から99.3%に増加しており、全合成過程には30サイクルが必要なため、全合成過程後の生成物の純度は37.9%から81.0%へと大幅に向上した。合成した配列が長く、反応サイクル数が多いほど、生成物の純度がより顕著に向上している。
【表3】
【0091】
[00155](6)実験6:透明石英チップに基づいた59ntオリゴヌクレオチドの合成、遺伝子アセンブリ試験、及び配列決定結果の分析
[00156]合成に最適な担体をさらに特定するために、透明石英チップを使用して59ntのオリゴヌクレオチドを14個合成し、その配列を表4に示している。1ステップのPCA/PCR反応戦略に基いた小断片遺伝子アセンブリ及びゲル電気泳動像によって、標的バンドの正確さを確認した。最終的に、ゲル切断及び回収、TAクローニングによる形質転換、並びにサンガー配列決定法の後、最適な固相合成担体を特定した。
【表4】
【0092】
[00157]具体的なステップは以下の通りである:
[00158]透明石英チップの42個を取り出して、実施例3の実験1の方法に従ってオリゴヌクレオチドを合成した。脱保護を実施して上記の表に挙げた配列のオリゴヌクレオチド14個を合成した。各オリゴヌクレオチドは、3個のチップを使用して並行して合成し(すなわち、各配列は並行試験の3群を使用して合成した)、合計で42個のオリゴヌクレオチドを合成した。アンモノリシスのために42個のプライマー3*(59nt-1~59nt-14)を3群(14個/群)に分けた。処理後、59nt混合生成物3群各50μLが得られた。試料10μLにdNTP4μL、緩衝液5μL、ヘッドテールプライマー4μL、及びDNAポリメラーゼ0.5μLそれぞれを添加した。水を補給して体積を50μLにし、1ステップPCA/PCR反応のために混合物は均一に混合した。PCR増幅35サイクル後、生成物を12℃で保存した。PCR生成物2μLをゲルウェルにスポットし、電圧を180Vに調整し、電気泳動時間は30分とした。結果を
図5に示す。
図5から、透明石英チップで合成した59ntのプライマーによって組み立てられた560bp遺伝子バンドは、標準的な合成プライマーと比較して明確で正確あることがわかる。
【0093】
[00159]さらに、正確なバンドを有するPCR産物を含むゲルを切断して回収し、その後TaKaRa CompanyのTAクローニングキット(PMDTM19-T)をクローニング及び形質転換実験のために使用した。コロニーPCRによって確認された正確なバンドを有するTAクローン形質転換体をサンガー配列決定法に送った。サンガー配列決定の結果を表5に示す。3群の並列実験の平均エラー率は0.34%であった。
【表5】
[00160]異なる種類の2次元バーコードチップの化学修飾及び修飾したチップでの浸漬-認識-選別に基づいた一連の59ntオリゴヌクレオチド合成及び遺伝子合成及び配列決定によって、並びに複数のチップの合成のHPLC分析結果の比較によって、化学修飾によって修飾した2次元バーコードチップを使用してオリゴヌクレオチドを合成することができ、透明石英チップが最も優れた合成効果を有することが示されている。対応するT30プライマーの1チップ合成量は26.8pmolで、HPLC純度は81.0%で、1ステップ合成効率は99.3%に達した。最終的に、59ntプライマーの14個の合成、小断片のアセンブリ、及びサンガー配列決定によって、透明石英チップが優れた効果を有し、混合群の配列決定結果のエラー率は0.3%に低下したことをさらに確認した。
【0094】
[00161]上記の実施例及び実験結果は、本発明が提案するバイオチップをDNA合成に使用することができることを示しており、最終的な試験結果は、透明石英チップが現在主流である商業的合成に匹敵する良好な合成効果を有することを示している。本発明が提案した化学修飾バイオチップは、実現可能であり、応用の見通しが良好であることをさらに示している。
【0095】
[00162]実施例4 RNAの合成
[00163]この実施例では、本発明者らは、浸漬-選別に基づくRNA合成方法及びRNA分子の合成のための4つの単一塩基反応タンクを使用した。具体的なステップは以下の通りである:
[00164]S1. 合成モノマー、反応試薬及び「タンク」の調製
[00165]4つのタンク(第1、第2、第3、及び第4の反応タンク)は、リボヌクレオチドA、U、C、及びGをそれぞれ添加し、各反応タンクにおける脱保護、キャッピング、酸化、及び洗浄のために用意されており、
[00166]カップリングの場合、
[00167]DMTで保護された5'-ヒドロキシ及びTBDMSで保護された2'-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するアデニル酸並びにテトラゾールを第1の反応タンクに添加した。
【0096】
[00168]DMTで保護された5'-ヒドロキシ及びTBDMSで保護された2'-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するグアノシン酸並びにテトラゾールを第2の反応タンクに添加した。
【0097】
[00169]DMTで保護された5'-ヒドロキシ及びTBDMSで保護された2'-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するシチジン酸並びにテトラゾールを第3の反応タンクに添加した。
【0098】
[00170]DMTで保護された5'-ヒドロキシ及びTBDMSによって保護された2'-ヒドロキシ及びホスホロアミダイト基で保護された3’-ヒドロキシを有するチミジン酸並びにテトラゾールを第4の反応タンクに添加した。
【0099】
[00171]脱保護の場合、トリクロロ酢酸のジクロロメタン溶液を脱保護試薬として4つの反応タンクに添加した。
【0100】
[00172]キャッピングの場合、無水酢酸/ピリジン/テトラヒドロフランのアセトニトリル溶液及びN-メチルイミダゾールをキャッピング試薬として4つの反応タンクの中に添加した。
【0101】
[00173]酸化の場合、0.01Mヨウ素溶液を酸化剤として4つのタンクに添加した。
【0102】
[00174]洗浄の場合、アセトニトリルを洗浄液として4つのタンクに添加した。
【0103】
[00175]S2. チップの調製
[00176]実施例1の50%シラン化試薬で修飾したチップを使用した。
【0104】
[00177]S3. 装置及びソフトウェアプログラムの調製
[00178]装置を用意したが、この装置には
[00179] チップに担持された2次元バーコードを認識し、信号を生成した2次元バーコード認識装置、
[00180] チップを選別したチップ選別装置、
[00181] チップの移動を駆動した駆動装置、
[00182] 試薬を様々な「タンク」に導入及び排出した試薬液駆動装置、
[00183] 2次元バーコードが認識された後に2次元バーコード認識装置によって生成された信号を受信し、チップを選別するためにチップ選別装置を制御する、及び/又はチップを移動させる駆動装置を制御する命令を送信した中央処理装置、並びに
[00184] 合成するRNA分子の配列、チップと2次元バーコードとの対応関係、合成するRNA分子の配列とチップとの対応関係、及び各チップが経験した反応を保存するために使用された記憶装置が含まれる。
【0105】
[00185]さらに、合成する標的RNAの配列に応じて制御プログラムを設計し、予め決定されたRNA配列に応じてチップ選別方法及び移動方法を決定した。
【0106】
[00186]S4. RNA合成
[00187]まず、チップ100個を混合し、チップに予め印刷された2次元バーコードを認識装置によって認識した。中央処理装置は、認識装置によって生成された認識信号に従ってチップを選別するためにチップ選別装置を制御し、予め決定された制御プログラムに従って各チップを所望の反応タンクに移動させるために駆動装置を制御し、次に以下のことを実現するために試薬液駆動装置を制御した:脱保護のために脱保護試薬を反応タンクに導入し、反応が完了した後に脱保護試薬を排出し、洗浄液を導入してチップを洗浄し、その後カップリングのために反応タンクに対応するモノマーに応じてカップリング試薬を導入し、反応が完了した後にカップリング試薬を排出し、洗浄液を導入してチップを洗浄し、最後にキャッピング、酸化、及び洗浄それぞれのためにキャッピング試薬、酸化試薬、及び洗浄液を再度順番に導入し、この時点で1サイクルが完了し、すなわち、1塩基の付加/結合が完了した。具体的な操作ステップ、使用した試薬、及び反応時間を表6に示す。
【0107】
[00188]1つの塩基カップリングが完了した後、1000個のRNA分子の合成が完了するまで、予め決定されたRNA合成の配列情報に従って、上記のステップを繰り返した。
【表6】
【0108】
[00189]S5、RNAの分離及び精製
[00190]RNA合成が終了した後、アンモノリシスのためにチップ1000個を収集し、合成した全RNA分子全てを分離し精製した。或いは、2次元バーコードを使用してチップ1000個を認識することができ、標的チップを選別して収集してアンモノリシスを行い、それによって標的RNA分子を分離し精製した。
【0109】
[00191]各チップで合成されたRNA分子を分離、精製、及び配列決定した。合成された各RNA分子が期待された標的配列を有することが、配列決定の結果から示された。
【0110】
[00192]実施例5 ポリペプチドの合成
[00193]この実施例では、本発明者らは、
図3に示したような浸漬-選別に基づいたポリペプチド合成方法及びポリペプチド合成用の21個のアミノ酸反応タンクを使用した。具体的なステップは以下の通りである:
[00194]S1. 合成モノマー、反応試薬及び「タンク」の調製
[00195]23個のタンクであって、
[00196] それぞれ異なるアミノ酸モノマーを添加するために用意されており、各合成タンクが、Fmocで保護されたα-アミノ基、側鎖が保護された(側鎖が存在する場合)アミノ酸モノマー、並びにテトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、N-メチルモルホリン及びDMFを含有する21個の合成タンク(21個の従来のアミノ酸モノマーに対応)、
[00197] 20%ピペリジンを含有するDMF溶液を脱保護剤として使用した脱保護タンク、
[00198] 洗浄液としてDMF/DCMを含有した洗浄タンクを用意した。
【0111】
[00199]S2. チップの調製
[00200]実施例2で調製したチップを使用した。
【0112】
[00201]S3. 装置及びソフトウェアプログラムの調製
[00202]装置を用意したが、この装置には
[00203] チップに担持された2次元バーコードを認識し、信号を生成した2次元バーコード認識装置、
[00204] チップを選別したチップ選別装置、
[00205] チップの移動を駆動した駆動装置、
[00206] 試薬を様々な「タンク」に導入及び排出した試薬液駆動装置、
[00207] 2次元バーコードが認識された後に2次元バーコード認識装置によって生成された信号を受信し、チップを選別するためにチップ選別装置を制御する、及び/又はチップを移動する駆動装置を制御する命令を送信した中央処理装置、並びに
[00208] 合成するペプチドの配列、チップと2次元バーコードとの対応関係、合成するペプチドの配列とチップとの対応関係、及び各チップが経験する反応を保存するために使用された記憶装置が含まれる。
【0113】
[00209]さらに、合成する標的ペプチドの配列に応じて制御プログラムを設計し、予め決定されたペプチドの配列に応じてチップ選別方法及び移動方法を決定した。
【0114】
[00210]S4. ポリペプチド合成
[00211]まず、チップ1000個を脱保護のために脱保護タンクに入れ、反応完了後、2回洗浄するために洗浄タンクに移動し、その後チップに予め印刷された2次元バーコードを認識装置によって認識した。中央処理装置は、認識装置によって生成された認識信号に従ってチップを選別するためにチップ選別装置を制御し、カップリング反応のために予め決定された制御プログラムに従って各チップを所望の反応タンクに移動するために駆動装置を制御した。カップリング反応が完了した後、チップ全てを2回洗浄するために洗浄タンクに移動し、こうして1アミノ酸の付加/結合が完了した。上記ステップの各反応では、試薬液駆動装置を使用することによって、反応開始前に対応する試薬をタンクに導入し、反応が完了した後にタンクから排出した。具体的な操作ステップ、使用した試薬、及び反応時間を表7に示す。
【0115】
[00212]1アミノ酸のカップリングが完了した後、1000個のポリペプチド分子が合成されるまで、ポリペプチドの予め決定された配列情報に従って、上記のステップを繰り返した。
【表7】
【0116】
[00213]S5.ポリペプチドの分離及び精製
[00214]ポリペプチド合成が終了した後、解離のためにチップ1000個を収集し、合成したポリペプチド分子全てを分離し精製した。或いは、2次元バーコードを使用してチップ1000個を認識し、標的チップを選別して収集して解離を行い、それによって標的ポリペプチド分子を分離し精製した。
【0117】
[00215]各チップによって合成されたポリペプチド分子を分離、精製、及び配列決定した。合成された各ポリペプチド分子が期待された標的配列を有することが、配列決定の結果から示された。
さらなる実施形態は以下のとおりである。
[実施形態1]
化学物質及びコードを担持するバイオチップであって、前記コードが前記バイオチップと一意の対応関係を有するバイオチップ。
[実施形態2]
前記化学物質が反応試薬と反応することができ、それによって前記反応試薬中のモノマーを前記化学物質の末端に連結する、実施形態1に記載のバイオチップ。
[実施形態3]
前記化学物質がDNA/RNA合成反応を開始することができるリンカー分子であり、好ましくはアミノ基と反応する官能基を開始末端に有し、酸に不安定な保護基で保護されたヒドロキシを末端に有するリンカー分子であり、より好ましくはユニバーサルリンカーである、実施形態2に記載のバイオチップ。
[実施形態4]
前記化学物質がポリペプチド合成反応を開始することができるリンカー分子であり、好ましくはアミノ基と反応する官能基を開始末端に有し、アミノ酸モノマーのカルボキシとカップリングする官能基を末端に有し、最終的に前記ポリペプチド合成反応が終了した後に酸で処理すると解離することができるリンカー分子であり、より好ましくは4-ヒドロキシメチル安息香酸である、実施形態2に記載のバイオチップ。
[実施形態5]
抗体をスクリーニングするための特異的抗原を担持するか、又は抗原を検出するための特異的抗体を担持する、実施形態1に記載のバイオチップ。
[実施形態6]
前記コードが、数字、記号、グラフ及び/又は識別コードを含む、前記バイオチップの識別情報の特定の特性であり、好ましくは、前記コードが2次元バーコードである、実施形態1~5のいずれか1つに記載のバイオチップ。
[実施形態7]
前記バイオチップが、以下の特徴:
(1)前記バイオチップが、非研磨片面2次元バーコードチップ、非研磨両面2次元バーコードチップ、片面研磨片面2次元バーコードチップ、片面研磨両面2次元バーコードチップ、両面研磨片面2次元バーコードチップ及び両面研磨両面2次元バーコードチップから選択されることと、
(2)前記バイオチップのサイズが2mm×2mm未満、好ましくは0.5mm×0.5mmであることと、
(3)前記バイオチップが、シリコンウェハ(シリコン結晶)、ガラスシート(ビーズ)、セラミック、シートメタル、プラスチックシート(ビーズ)、ゲル、ナイロン膜、又はそれらの任意の組み合わせから選択される材料、好ましくはシリコンウェハで形成されていることと、
(4)前記バイオチップが多孔質ガラスで形成されており、前記多孔質ガラスの粒径が5μm~2000μmであり、前記多孔質ガラスの孔径が200Å~5000Åであることと、
(5)前記バイオチップが、フレーク、立方体、円柱、又は球状の形態であり、好ましくは前記バイオチップが方形のフレークの形態であることと、
(6)前記バイオチップが、100nm酸化シリコンウェハ、300nm酸化シリコンウェハ、つや消し石英チップ、又は透明石英チップから選択され、好ましくは、前記バイオチップが透明石英チップであることと、
(7)前記バイオチップが、シラン化試薬で処理された表面を有し、好ましくは前記シラン化試薬がAPTMS又はAPTESから選択され、より好ましくは前記シラン化試薬が50%シラン化試薬であること
のうちの1つ又は複数を有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載のバイオチップ。
[実施形態8]
実施形態1~7のいずれか1つに記載のバイオチップを調製する方法であって、以下のステップ:
1)前記バイオチップをコード化するステップ、
2)前記バイオチップを前処理するステップ、
3)前記バイオチップの表面にシラン化処理を実施するステップ、
4)前記バイオチップの表面を化学修飾するステップ、及び
5)任意選択で、前記化学修飾を検出又は定量的に分析するステップ
を含む方法。
[実施形態9]
前記前処理が、酸処理、アルカリ処理、超音波処理、プラズマ洗浄、アセトン洗浄、又はそれらの組み合わせを含み、前記酸が硫酸、塩酸、リン酸、及びピラニア液から選択され、前記アルカリが水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムから選択され、好ましくは前記前処理方法が酸処理に続くプラズマ洗浄であり、より好ましくは前記前処理方法が水酸化ナトリウム処理に続くプラズマ洗浄及びアセトン洗浄である、実施形態8に記載の方法。
[実施形態10]
前記バイオチップの表面の化学修飾が、前記バイオチップの表面での化学物質の連結によって実現される、実施形態8に記載の方法。
[実施形態11]
2次元バーコードがレーザー印刷によって前記バイオチップに印刷されており、好ましくは、コード化が赤色レーザーを使用してドット2次元バーコード方式によって実施される、実施形態8に記載の方法。
[実施形態12]
前記バイオチップをシラン化試薬に浸漬し、超音波処理を実施することによって、シラン化処理を前記バイオチップの表面に実施し、好ましくは前記シラン化試薬がAPTES及びPTESを含む、実施形態8に記載の方法。
[実施形態13]
前記シラン化試薬が50%シラン化試薬である、実施形態12に記載の方法。
[実施形態14]
生体高分子の合成における、実施形態1~7のいずれか1つに記載のバイオチップ又は実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法を使用することによって調製されたバイオチップの使用。
[実施形態15]
前記生体高分子が核酸又はポリペプチドである、実施形態14に記載の使用。
[実施形態16]
抗原又は抗体の検出における、実施形態1~7のいずれか1つに記載のバイオチップ又は実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法を使用することによって調製されたバイオチップの使用。
[実施形態17]
核酸を合成する方法であって、以下のステップ:
(1)実施形態1~7のいずれか1つに記載のバイオチップ又は実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法を使用することによって調製されたバイオチップを用意するステップであり、前記バイオチップに担持されたコードが合成する核酸の配列に対応しているステップ、
(2)デオキシリボヌクレオチドA、T、C、及びG又はリボヌクレオチドA、U、C、及びGの付加のために、並びに反応タンクそれぞれにおける脱保護、キャッピング、酸化、及び洗浄のためにそれぞれ使用される4つの反応タンクを用意するステップ、
(3)前記バイオチップに担持された前記コードを認識し、前記コードに対応する配列に従って付加するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを決定し、付加するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドが同じであるバイオチップを同じ反応タンクに選別するステップ、
(4)前記反応タンクに脱保護試薬を添加し、脱保護のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記脱保護試薬を排出するステップ、
(5)前記反応タンクに対応するデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドのカップリング試薬を添加し、カップリング反応のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記カップリング試薬を排出するステップ、
(6)前記反応タンクにキャッピング試薬を添加し、キャッピング反応のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記キャッピング試薬を排出するステップ、
(7)前記反応タンクに酸化試薬を添加し、酸化反応のために前記反応タンクに前記バイオチップを浸漬し、反応が完了した後に前記酸化試薬を排出し、それによって1ヌクレオチドの付加を完了するステップ、
(8)前記コードに対応して合成される核酸の配列に応じて、ステップ(3)~(7)を1回又は複数回繰り返し、それによって前記バイオチップ上に予め決定された配列を有する核酸を生成するステップ
を含み、任意選択で、以下のステップ:
(9)前記バイオチップから前記核酸を切断し、それによって前記核酸を入手するステップ
をさらに含む方法。
[実施形態18]
前記核酸合成の前、及び前記バイオチップを前記反応タンクに選別した後で、前記反応タンクに前記キャッピング試薬を添加し、キャッピング反応のために前記バイオチップを前記反応タンクに浸漬する、実施形態17に記載の方法。
[実施形態19]
複数のチップを同時に使用して合成反応を実施する、実施形態17又は18に記載の方法。
[実施形態20]
抗体のハイスループットスクリーニングのための方法であって、以下のステップ:
(1)複数のチップを混合するステップであり、前記チップが実施形態1~7のいずれか1つに記載のバイオチップ又は実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法によって調製されたバイオチップであり、各チップが特異的抗原で修飾されており、一意のコードを担持するステップ、
(2)複数の前記チップを検出対象の試料溶液に浸漬して、十分に反応させるステップ、
(3)前記試料溶液を除去して前記チップを洗浄するステップ、
(4)前記チップのそれぞれに担持された前記コードを認識し、前記コードに従ってチップそれぞれを互いに分離するステップ、及び
(5)前記チップに結合している前記抗体を前記チップの前記抗原から脱離させ、得られた抗体を特定するステップ
を含む方法。
[実施形態21]
抗原のハイスループット検出のための方法であって、以下のステップ:
(1)複数のチップを混合するステップであり、前記チップが実施形態1~7のいずれか1つに記載のバイオチップ又は実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法によって調製されたバイオチップであり、各チップが特異的抗体で修飾されており、一意のコードを担持するステップ、
(2)前記チップを検出対象の試料溶液に浸漬して、十分に反応させるステップ、
(3)前記試料溶液を除去して前記チップを洗浄するステップ、
(4)前記チップのそれぞれに担持された前記コードを認識し、前記コードに従ってチップそれぞれを互いに分離するステップ、及び
(5)前記チップに結合している前記抗原を前記チップ上の前記抗原から脱離させ、得られた抗原を特定するステップ
を含む方法。
[実施形態22]
ステップ(4)において、前記バイオチップが各バイオチップに担持された前記コードを認識することによって選別され、各チップが、前記チップの移動を駆動するように構成されている駆動装置によって異なる反応容器に移動させられる、実施形態20又は21に記載の方法。
[実施形態23]
選別されたチップを含有する前記反応容器に脱離試薬を添加して、前記抗原及び前記抗体の脱離を引き起こす、実施形態22に記載の方法。
【配列表】