(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】高周波超音波トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20231031BHJP
A61B 8/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04R17/00 330L
A61B8/00
H04R17/00 330J
H04R17/00 332A
(21)【出願番号】P 2020536093
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 US2018065367
(87)【国際公開番号】W WO2019133271
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399043060
【氏名又は名称】フジフィルム ソノサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チャガレス、ニコラス クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】イヴァニツキー、オレグ
(72)【発明者】
【氏名】パン、グォフェン
(72)【発明者】
【氏名】コラヤ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アミニ、ホセイン
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-122311(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0129890(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00- 8/15
H04R 1/00- 1/02
H04R 1/06
H04R 1/20- 1/34
H04R 1/40
H04R 1/44
H04R 3/00
H04R 9/00
H04R 13/00
H04R 15/00
H04R 17/00
H04R 17/10
H04R 19/00
H04R 23/00
H04R 29/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズドアレイ超音波トランスデューサであって、
熱膨張係数を有する圧電材料シートと、
前記圧電材料シートの外周を取り囲むフレームであって、前記フレームが、前記圧電材料
シートの前記熱膨張係数と同様の熱膨張係数を有するフレームと、
前記フレームと前記圧電材料シートの外周との間の充填材料
と、
1又は複数の整合層を介して前記圧電材料シートに固定されるレンズ
とを備え、
前記圧電材料シートが、複数の個々のトランスデューサ素子を画定する複数のカーフカットを含み、
前記レンズと前記1又は複数の整合層が、前記圧電材料
シートの前記カーフカットと整列する充填されたカーフカットを含み、それにより、前記レンズ内での前記レンズの前面の法線方向の音速が、前記レンズ内での前記レンズの前記前面と平行な方向の前記音速より速い、
超音波トランスデューサ。
【請求項2】
前記レンズがポリベンズイミダゾールで作製される、請求項1に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項3】
前記レンズの前面に1又は複数の整合層をさらに備える、請求項2に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項4】
前記レンズと前記圧電材料
シートとの間の前記1又は複数の整合層の前記カーフカットが、前記レンズの前記前面の前記1又は複数の整合層を貫通して延在する、請求項3に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項5】
前記レンズ及び前記レンズの前記前面の1又は複数の整合層が、前記超音波トランスデューサの焦点距離を規定するために丸みをなす、請求項4に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項6】
超音波トランスデューサであって、
熱膨張係数を有する圧電材料と、
前記圧電材料の外周を取り囲むフレームであって、前記フレームが、前記圧電材料の熱膨張係数と同様の熱膨張係数を有するフレームと、
前記フレームと前記圧電材料の外周との間に配置された充填材料
と、
1又は複数の整合層を介して前記圧電材料に固定されるレンズと、
を備
え、
前記圧電材料が、複数の個々のトランスデューサ素子を画定する複数のカーフカットを含む、超音波トランスデューサ。
【請求項7】
前記トランスデューサ素子が、前記圧電材料の幅にわたって延在し、それにより、前記トランスデューサ素子が、前記圧電材料と前記フレームとの間の前記充填材料を係合する第1の端部と第2の端部とを有する、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項8】
前記フレームがアルミナで作製される、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項9】
前記フレームがグラファイトで作製される、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項10】
前記フレームがモリブデンで作製される、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項11】
前記フレームが、導電性であり、前記トランスデューサ素子の領域において、前記圧電材料内の前記トランスデューサ素子と前記フレームの内端との間の間隔を維持する1又は複数の
エポキシ充填剤を含む、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項12】
前記フレームが、非導電性であり、前記トランスデューサ素子の遠位側の共通電極から前記トランスデューサ素子の近位側へ導電路を形成するために前記フレームを貫通して延在する1又は複数のビアを含む、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項13】
前記レンズが、前記圧電材料の個々のトランスデューサ素子を画定する前記カーフカットに整列する複数のカーフカットを含み、前記レンズ内の音速が、前記レンズの前面に平行な方向より、前記レンズの前面の法線方向の方が速い、請求項6に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項14】
前記レンズの前記カーフカットが、シリコーンで充填されている、請求項13に記載の超音波トランスデューサ。
【請求項15】
前記圧電材料の前記個々のトランスデューサ素子を画定する前記カーフカットに整列する、カーフカットを含む前記レンズ上に1又は複数の整合層をさらに含む、請求項
13に記載の超音波トランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年5月30日に出願された米国特許出願第15/993,156号の利益を主張し、これは、2017年12月29日に出願された米国特許仮出願番号第62/612,169号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示された技術は、超音波トランスデューサ、特に高周波超音波トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0003】
当業者に理解されるように、ほとんどの最新の超音波イメージングシステムは、圧電材料シートに形成された複数の個々のトランスデューサ素子から音響信号を生成することによって機能する。素子全体にわたって電圧パルスを印加することにより、素子は物理的に変形し、それにより対応する超音波信号が発生する。信号は、関心領域内に進行し、信号の一部がエコー信号としてトランスデューサに反射される。エコー信号が、トランスデューサ素子に作用すると、素子は振動し、対応する電圧が生成され、この電圧が電子信号として検出される。複数のトランスデューサ素子からの電子信号は、合成され解析され、その振幅、周波数、位相シフト、パワーなどの合成された信号の特性を決定する。特性は、定量化され、関心領域の画像を生成するために使用されるピクセルデータに変換される。
【0004】
フェーズドアレイトランスデューサは、合成された波面が所望の方向を指向するように、アレイ内の複数の素子を選択的に一度に励起することにより動作する。位相(たとえば、遅延時間)、場合によっては、各トランスデューサ素子によって生成される信号の振幅を慎重に変化させることにより、合成されたビームは、トランスデューサ直前の領域以外の領域を見るために、ある範囲の角度にわたって指向され得る。フェーズドアレイトランスデューサが好適に動作するためには、個々のトランスデューサ素子のピッチは、一般に、トランスデューサの中心周波数の波長の約1/2以下であることが必要である。低周波のフェーズドアレイトランスデューサ(たとえば、2~10MHz)が、以前から使用されているが、高周波のフェーズドアレイトランスデューサは、トランスデューサ素子のサイズが小さく、高周波超音波信号の減衰が大きいため、製造が困難であった。
【0005】
高周波超音波(たとえば、15MHz以上)は、身体の細かい詳細を撮像したり、動く組織の画像を補足したりするために使用される撮像モダリティで、ますます使用されている。トランスデューサの動作周波数が高くなるにつれて、トランスデューサ素子のサイズは小さくなる。しかしながら、低周波フェーズドアレイトランスデューサを製造するために使用される多くの製造技術は、高周波フェーズドアレイトランスデューサを生成するために簡単にはスケーリングできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本問題を考慮すると、改良された高周波超音波トランスデューサの設計が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示された技術は、圧電材料シートを取り囲むフレームを有する高周波超音波トランスデューサアレイである。フレームは、圧電材料に一致する熱膨張係数を有する。複数のトランスデューサ素子は、圧電材料シートに形成され、トランスデューサ素子の音響インピーダンスを、生成された超音波信号を集束するレンズの音響インピーダンスと一致させるために、1又は複数の整合層がトランスデューサ素子の前面に結合されている。一実施形態では、カーフカットは、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットに整列する整合層に配置される。整合層のカーフカットは、粉末が添加されたエポキシなどの材料が充填される。レンズは、最も外側の整合層に固定され、いくつかの実施形態では、1又は複数の整合層のカーフカットに整列した複数の充填されたカーフカットをも含む。一実施形態では、1又は複数の追加の整合層が、レンズの前面に追加され、レンズ材料の音響インピーダンスが水の音響インピーダンスに一致する。
【0008】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサは、フェーズドアレイとして機能するように設計され、異方性になるように作られたレンズを含み、それにより、超音波は、超音波がレンズの前面と平行な方向に進行するときの速度よりも速い速度で、レンズの前面の法線方向に進行する。レンズ内のカーフカットは、超音波信号をレンズの前面に指向する複数のミニ導波路を形成する。いくつかの実施形態では、レンズは、レンズのカーフカットを充たすために使用される材料よりも実質的に大きい音速を有するポリベンズイミダゾール(Celazole(登録商標))で作製される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、開示された技術の実施形態による、圧電シートを取り囲むフレームの平面図である。
【
図2A】
図2Aは、開示された技術の実施形態による、圧電シートを取り囲み、エポキシ材料が充填されたフレームの等角図である。
【
図3】
図3は、開示された技術の実施形態による、レーザを用いてトランスデューサ素子のカーフカット及びサブ・ダイス・カーフカットを、圧電シートに形成する方法を示す図である。
【
図4】
図4は、トランスデューサ素子カーフカットとサブ・ダイス・カーフカットとの中に配置された充填剤エポキシを示す圧電シートの拡大断面である。
【
図5】
図5は、開示された技術の実施形態による、ダイシングされ、エポキシ材料を充填されたトランスデューサ層の前面に付着された複数の整合層、及び整合層に接着されるレンズを示すトランスデューサスタックの一部の拡大断面である。
【
図6A】
図6Aは、トランスデューサスタック上に配置されるレンズ及び整合層の部分的な等角図である。
【
図6B】
図6Bは、開示された技術のいくつかの実施形態による、レンズを支持する上部整合層に形成された複数の突起の拡大図である。
【
図7】
図7は、開示された技術のいくつかの実施形態による、圧電層のための複数の代替的なサブ・ダイス・カーフカットパターンを示す図である。
【
図8】
図8は、開示された技術のいくつかの実施形態による、複数の整合層のための複数の代替的なサブ・ダイス・カーフカットパターンを示す図である。
【
図9】
図9は、開示された技術の実施形態による、トランスデューサスタックに固定された導電性支持フレームを示す図である。
【
図10】
図10は、開示された技術の実施形態による、圧電シートを取り囲むフレームの代替的な実施形態を示す図である。
【
図11】
図11は、開示された技術の実施形態による、高周波トランスデューサの断面図である。
【
図12】
図12は、開示された技術の実施形態による、高周波トランスデューサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に詳細に記述するように、高周波超音波トランスデューサは、フレームによって囲まれた圧電材料シートを含む。フレームは、圧電材料シートの熱膨張係数(CTE)と同様のCTEを有する導電性又は非導電性材料から製造される。フレームは、圧電材料を取り囲み、エポキシなどの絶縁材料により圧電材料から分離される。圧電材料シートの個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットは、圧電シートの全幅にわたって延在する。いくつかの実施形態では、サブ・ダイス・カーフカットは、単一のトランスデューサ素子を2つ又はそれ以上のサブ素子に分割する。いくつかの実施形態では、サブ・ダイス・カーフカットは、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットと平行である。他の実施形態では、サブ・ダイス・カーフカットは、トランスデューサ素子のカーフカットに対して斜め又は直角にカットされ、1 3のコンポジットを生成する。たとえば、90度のカーフは、圧電シートに正方形又は長方形の圧電ピラーを生成することができる。
【0011】
前世代の高周波超音波トランスデューサでは、圧電材料シートはレーザ加工されて、個々のトランスデューサ素子を画定する複数のカーフカットが生成されていた。隣接するトランスデューサ素子を画定するカーフカットと素子内のサブ・ダイス・カーフカットの空隙は、エポキシ材料が充填され、その後、シートは所望の厚さにラッピングされていた。カーフカットは、圧電シート幅より小さい長さを有し、その結果、圧電材料の境界又は周辺は、トランスデューサ素子周囲に多少の強度を提供していた。
【0012】
この手法は機能する一方で、改良可能と考えられている。たとえば、カーフカットの硬化エポキシは、圧電シートに応力を与える。エポキシは硬化すると収縮するため、各トランスデューサ素子は、横向きにカーフカット方向に引っ張られる。1つ又は2つの素子では重大ではないが、全ての素子全体にわたって合計された応力は、圧電シートに亀裂が入り得るレベルに達するおそれがある。さらに、エポキシの収縮に起因する応力は、トランスデューサ素子を変形させ、トランスデューサに一定の応力バイアスを生成すると考えられている。最終的に、各トランスデューサ素子は、シートの周囲で他の素子と物理的に接合されているため、素子が駆動パルスにより励起されエコー信号が素子に作用するとき、あるレベルのクロストークが素子間に発生する。以下に述べるように、開示された技術の1つの態様は、カーフカットが圧電シートの全幅にわたって延在するトランスデューサアレイの設計である。予備的なシミュレーションは、開示された設計は、カーフ充填材料の硬化に起因する応力を低減するだけでなく、トランスデューサ素子間の結合をも低減することを示している。これは、圧電シートの全幅より小さい幅で延在する従来のカーフ設計に比べて、帯域幅及び感度が大幅に改善されることを示す実験によって裏付けられている。
【0013】
当業者に理解されるように、図に示される本実施形態は、開示された技術の製造方法及び使用方法を説明する目的で描かれており、必ずしも縮尺で描かれているわけではない。
【0014】
図1に示すように、トランスデューサスタックは、内部に圧電材料シートが配置されるフレーム10を含む。フレーム10は、圧電材料シートを受容する中央開口部12を有し、圧電シートの外側エッジとフレーム10の内側エッジとの間に空間を生成する。好ましくは、フレーム10は、圧電材料の熱膨張係数(CTE)と同様のCTEを有する材料で作られている。いくつかの実施形態では、圧電材料シートは、PZTとしてより一般に知られているジルコニウム酸チタン酸鉛から製造される。以下の説明では、圧電材料はPZTと記載する。しかしながら、単結晶強誘電性リラクサ(single crystal ferroelectric relaxors)(たとえば、PMN-PT)又は合成圧電材料(synthetic piezoelectric material)などの他の材料が、PZTの代わりになり得ることが理解されるであろう。PZTの場合、フレーム材料の1つの好適な選択肢は、PZTのCTEに近いCTEを有する非導電性セラミックであるアルミナある。アルミナは、約7.2マイクロメートル/m℃のCTEを有し、一方PZTのCTEは約4.7マイクロメートル/m℃である。しかしながら、モリブデン又は細粒等方性グラファイトなどの、圧電材料と同様の熱膨張係数を有する他の材料を使用できることが理解されるであろう。本出願の目的で、その正常な動作範囲で動作し取り扱われるとき、フレームの圧電材料に熱応力による亀裂が発生しない場合、熱膨張係数は同様である。いくつかの実施形態では、フレーム10は、PZTを開口部の中心に位置決めし、PZTトランスデューサ素子をフレームの内側エッジから離間する、複数の内側に延在するタブ又は基準14(破線で示す)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、タブ14は、フレーム10がモリブデンやグラファイトのような導電性材料で作製される場合は使用されるが、フレーム10が非導電性のアルミナで作製される場合は使用されない。
【0015】
図2A及び
図2Bは、フレーム10の開口部12に配置された圧電材料シート20を示す。フレーム10の内側エッジと圧電材料シート20の外側エッジとの間の空間は、絶縁充填材料24が充填されている。一実施形態では、充填材料24は、酸化ハフニウム又はセラミック粒子でドープされたエポキシテクノロジー社(マサチューセッツ州ビルリカ)から入手可能なEPO-TEK301ファミリーなどのエポキシである。後述のように収縮に耐え、かつレーザ加工に耐えるように、粒子がエポキシに加えられる。
図3に示す実施形態では、充填材料24は、圧電材料シート20の側面周囲に成形され、シート状圧電材料20の上面と同一平面であり、上面32と底面34を有するスタック30を形成する。以下の説明では、完成したトランスデューサにおいて、スタックの底面34は関心領域の方を向いており、上面32は超音波オペレータに隣接する方を向いている。
【0016】
一旦充填材料24が硬化すると、スタック30の上面32及び底面34は、ラップ仕上げ、研磨又はその他の方法で平坦にされて、余分なエポキシを除去し、以下で説明されるような複数の追加機械加工工程のための平坦な基準を提供する。
【0017】
上面及び底面がラップ仕上げされると、エキシマレーザ又は他のパターニングレーザを用いてPZTシート20に、カーフカットが生成される。
図3に示すように、カーフカット40は、一方の端から他の端までPZTシート20の全幅にわたってカットされる。フレーム10が、位置合わせタブ又は基準14を含む場合、カーフカットは、位置合わせタブ14近傍に位置する非アクティブ領域42及び非アクティブ領域44を画定するために、PZTシートの各端から離れた位置から始まる。このように、トランスデューサ素子の端部は、エポキシが充填された隙間によってフレーム10の内側エッジから離隔されている。位置合わせタブ14が使用されない場合、PZTシート全体をダイシングして、トランスデューサ素子を形成してもよい。充填材料24のエポキシは、PZTより柔らかいので、トランスデューサ素子は、硬化した充填材料24内で効果的に浮いた状態になる。上述のように、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットは、フレームの一方の充填材料から始まりPZTシートの他方の側の充填材料24まで、PZTシート20の全幅にわたって続いてもよい。
【0018】
一実施形態では、カーフカットは、製造されるトランスデューサの所望の中心周波数に依存して、トランスデューサ素子を形成するのに十分な所望のピッチ及び深さで配置される。いくつかの実施形態では、トランスデューサ素子は、PZTの全幅にわたって延在するサブ・ダイス・カーフカットによって分離されている、2つの電気的に接続されたサブ素子を備える。一実施形態では、サブ・ダイス・カーフカットは、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットと同じ深さである。しかしながら、サブ・ダイス・カーフカットは、PZTの最終的な厚さ全体にわたって延在しないように、第1のカーフより浅い深さでカットされてもよい。他の実施形態では、トランスデューサ素子は、サブ・ダイス・カーフカットを全く含まなくてもよい。
【0019】
トランスデューサ素子を画定するカーフカット及びサブダイス素子(使用される場合)が、レーザによって形成された後、カーフカットには、
図4に示されるように、エポキシ材料48が充填される。一実施形態では、カーフカットの充填に使用されるエポキシ材料は、ドープされた可撓性EPO-TEK301エポキシである。
【0020】
一実施形態では、エポキシ材料48は、カーフカット底部に空気が捕捉されないように、減圧下にて部品に付着される。液状エポキシが付着され、次に、その部品は、比較的大きな圧力(たとえば、100psi以上)下に置かれ、液状エポキシをカーフカットに押し込み、硬化させる。
【0021】
カーフカット内のエポキシ48が硬化後、スタックの底面34は、ラップ仕上げ、研削又はその他の方法で平坦化される。次に、金又は接着性金属(クロムなど)を加えた金などの導電性金属の接地層60が、スパッタリング又は同様の技術によって、スタックの前面に付着される。導電性接地層60は、ダイシングしたPZTの前面、フレーム10の前面、及びフレーム10とPZTシートの端部との間に位置するエポキシ充填材料24の前面を覆う(トランスデューサが使用時に見た場合)。
【0022】
導電性接地層60を付着後、
図5に示されるように、1又は複数の整合層Ml、M2及びM3(図示の本実施形態において)並びにレンズL1が、スタックの前面に付着される。使用される整合層の数は、PZTの音響インピーダンスとレンズ材料の音響インピーダンスとの不整合に依存する。図示の実施形態では、3つの整合層M1、M2及びM3が、スタックの前面に使用されている。一実施形態では、整合層のそれぞれは、必要なトランスデューサ性能を達成するために、その音響性能を変更するための粉末がドープされたエポキシ材料を含む。
【0023】
一実施形態では、導電性接地層60を覆って付着される整合層M1は、タングステン粉末でドープされたEPO-TEK301エポキシ層を含む。
【0024】
一実施形態では、整合層M2は、整合層M1の表面を覆って付着され、タングステン粉末と炭化ケイ素(SiC)ナノ粒子でドープされたEPO-TEK301エポキシ層を含む。
【0025】
一実施形態では、整合層M3は、整合層M2の表面を覆って付着され、炭化ケイ素(SiC)ナノ粒子でドープされたEPO-TEK301エポキシ層を含む。
【0026】
一実施形態では、整合層のそれぞれは、好ましくは、トランスデューサの中心動作周波数の1/4波長の奇数倍の厚さを有する。ほとんどの場合、厚さは、4分の1波長の1、3、5、又は7倍のうちの1つである。しかしながら、これは、トランスデューサの所望の音響特性に応じて変化し得る。これらの整合層は、単なる例示であり、トランスデューサの所望の動作周波数、使用するレンズ材料などに応じて、他の整合層組成を使用してもよいことが理解されるであろう。所望の音響インピーダンスを達成するために整合層を粒子でドープする方法の詳細は、超音波トランスデューサ設計の当業者には既知であると考えられる。
【0027】
各整合層が付着され硬化した後、所望の厚さを達成し前面を平坦に保つために、スタックの前面がラッピングされる。いくつかの実施形態では、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットとサブ・ダイシング・カーフカット(使用される場合)とが整列するように、カーフカット62は、硬化した整合層にレーザを用いてカットされる。他の実施形態では、カーフカット62は、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットのみに整列するように、整合層に作られ、サブ・ダイス・カーフカット全体には作られなくてもよい。一実施形態では、カーフカット62は、整合層M3~M1を貫いて延在し、接地層とトランスデューサ素子との接続性を損なうことなく、部分的又は完全に接地層60を貫いて延在してもよい。一旦生成されると、整合層のカーフカット62は、PZT材質のカーフカットに充填するのと同じ充填エポキシ材料で充填される。
【0028】
整合層がカーフカットされ、充填され、ラッピングされた後、レンズ材料が整合層に接着される。高周波フェーズドアレイでは、
図6Aで示されるように、整合層のカーフカット62に整列したカーフカット96が、レンズ80に形成される(レンズの前面に設けられた整合層M4及び整合層M5を含む)。いくつかの実施形態では、レンズ80並びに整合層M4及び整合層M5は、トランスデューサ素子のカーフカットとサブ・ダイス・カーフカットの両方に整列したカーフカット96を含む。他の実施形態では、レンズ並びに整合層M4及び整合層M5は、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットに整列したカーフカットのみを含む。いくつかの実施形態では、カーフカットは、レンズと外側の整合層材料に作られ、充填され、その後レンズが整合層に取り付けられる。他の実施形態では、レンズと外側の整合層は、最初にトランスデューサスタックに接着され、次にカーフカットされ、充填されてもよい。湾曲部98は、レンズが所望の深さの面に超音波を集束させるように、レンズの前面に機械加工される。
【0029】
いくつかの実施形態では、くぼみ又は凹部72は、充填されたカーフカット62の間の位置で、最上端の整合層(たとえば、M3)にレーザ加工され、それにより、
図6Bに最もよく示されるように、PZTシートの幅にわたって延在する充填されたカーフの上部に、複数の支持梁又は突起74が形成される。梁74は、PZTシートの幅にわたってレンズ80を支持する。梁74は、レンズがスタックに固定されるとき、レンズ80の後面と最上端の整合層との距離を一定に維持するのに役立つと考えられる。レンズ80がレンズの周囲だけで支持されている場合、梁/突起74がない状態で2つが互いに固定されたとき、中心領域と最上端の整合層との距離が変化するおそれがある。許容範囲がとても厳密な高周波アレイでは、梁/突起74を設けることは、能動素子の全領域にわたってレンズ-トランスデューサ間の均一な距離を確保するのに役立つ可能性がある。最上端の整合層が、充填されたカーフカットを含まない場合、突起74は、整合層のどこにでも形成することができ、下の整合層の充填されたカーフカットの間でなくてもよい。
【0030】
一実施形態では、最上端の整合層M3に使用されるのと同じ材料が、レンズ80をスタックに接着するために使用される。凹部72は浅く、かつレンズ80を整合層に固定するために最上端の整合層M3に使用されるのと同じ材料が接着剤として使用されるので、接着ラインでの音響的不連続は最小となる。
【0031】
レンズをスタックに固定後、17mmの曲率半径又はトランスデューサの所望の焦点距離に応じた他の半径がレンズ材料に加工され、その後レンズの整合層が付着される。2つの整合層(M4、M5)は、レンズの前面に付着される。一実施形態では、レンズ上の整合層M4、M5は、レンズ材料に加工された半径と同じ曲率半径を有するマンドレル上に付着された、ドープされた又は粉末を添加されたエポキシ材料で作られている。マンドレルは、マンドレルが整合層内に所望の曲率を形成するように、所望の整合層の適切な厚さだけレンズ層から離間される。
【0032】
トランスデューサがフェーズドアレイとして良好に動作するためには、レンズの前面の各素子によって生成されるエネルギーのビームパターンは、横方向成分が、隣り合った素子からのビームの横方向成分と結合して効果的にビームを操作できるように、十分に広くなければいけない。一実施形態では、ビームパターンは、法線から+/-45度で、-6dBを超える信号パワーを有する。
【0033】
低周波トランスデューサに対しては、そのようなトランスデューサを製造できるレンズ材料が入手可能ある。しかしながら、高周波では、このような材料の物理的性質は、トランスデューサ設計では受容できない。たとえば、音響インピーダンスが水に近いので、低周波トランスデューサのレンズ材料としてシリコーン材料が多くの場合使用される。しかしながら、シリコーンにおける超音波の吸収は、周波数とともに指数関数的に増加し、15MHz以上では、材料の吸収が大きすぎて効果的なレンズとして使用することはできない。このような吸収を克服するために、高周波超音波レンズには、多くの場合、ポリメチルペンテン(TPXの商標名で販売されている)及び架橋ポリスチレン(Rexoliteの商標名で販売されている)などのより硬い材料が使用される。非フェーズドアレイでは許容できるが、このような材料は、スネルの法則のためフェーズドアレイでの使用は難しい。
【0034】
スネルの法則によると、速い材料から遅い材料に通過するエネルギーは、境界面の法線方向に曲がる傾向がある。ビームエネルギーの一部が法線から離れた角度で広がることが望まれるとき、これは、フェーズドアレイにとってはまさに間違った方向である。スネルの法則による影響を補償するために、エネルギーは全てのエネルギーが内部で反射されるレンズ材料の臨界角に迅速に近づくより大きな入射角で供給されなくてはいけない。超音波トランスデューサでは、1つのトランスデューサ素子からの内部反射エネルギーにより、隣接する素子でスプリアス信号が発生することがある。さらに、このような内部反射に伴う位相収差は、複数の隣接するトランスデューサ素子からの信号を用いてビームフォーミングを行うことをほぼ不可能にする。
【0035】
開示された技術のいくつかの実施形態によるフェーズドアレイトランスデューサの設計は、レンズの斜め又は横方向と比較して前方方向に異方性の音速を有するように構成されたレンズを含む。一実施形態では、レンズは、レンズのカーフカットを充たす材料の音速よりはるかに速い音速を有する材料から製造される。
図6Aに示すように、レンズ80は、ポリベンズイミダゾール(商品名Celazole(登録商標)の商標名で販売されている)のシートを含む。レンズ80(及び使用される場合には外側の整合層)は、レーザでパターニングされ、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカット又は個々のトランスデューサ素子及びサブ・ダイス・カーフカットを画定するカーフカットに、整列する複数のカーフカット96を形成する。Celazoleは、音速が高く、細かいピッチ(たとえば、40um以下で、20MHz以上のフェーズドアレイ)でカーフカットするときに使用されるレーザの熱に溶けることなく耐え得るので、高周波レンズ材料として有用である。さらに、Celazoleは、トランスデューサスタックの最上端の整合層のエポキシに直接接着することができるので、接着剤のシアノアクリレート(CA)層が不要である。
【0036】
一実施形態では、レンズ80のカーフカット96並びに最も外側の整合層M4及びM5は、粉末充填エポキシ又はRTV60シリコーンなどの、レンズ材料の音速よりはるかに遅い音速を有する材料で充填される。
【0037】
いくつかの実施形態では、レンズ80はまた、レンズ材料のインピーダンスを水に整合させる1又は複数の整合層M4及びM5をその前面に含む。M4及びM5は、レンズの曲率と一致し整列する曲率を有するように形成される。いくつかの実施形態では、外側の整合層M4、M5は、レンズ材料80に形成されたカーフカット96が連続するようにレーザを用いてダイシングされ、レンズ材料のカーフカットに充填する材料と同じ材料で充填される。他の実施形態では、レンズ80の前側の整合層は、M4及びM5の1つ又は両方のカーフカットを省略してもよい。
【0038】
この構成では、レンズ80のカーフカット96間のレンズ材料は、レンズ内で横方向に広がるエネルギーを少なくして、超音波トランスデューサ素子からのエネルギーを真っ直ぐな方向に伝える複数のミニ導波路を形成する。一実施形態では、トランスデューサスタックの軸方向にレンズを通過する音速は、レンズを横方向に又はレンズの前面に平行な方向に通過する音速よりも大きい。
【0039】
トランスデューサがフェーズドアレイとして使用されない場合、レンズ(及び使用される場合は整合層)は、カーフカットされる必要はない。
【0040】
いくつかの実施形態では、追加のカーフカットは、個々のトランスデューサ素子を画定するものとともに、PZT層にレーザ加工されてもよい。
図7は、複数の考えられるサブ・ダイシング・パターン・パターンを示す。パターン150は、トランスデューサ素子が、単一のサブ・ダイス・カーフカットによって、その中心で長手下方向に分割される従来のサブダイスパターンである。このサブ・ダイス・カーフカットは、トランスデューサ素子と同じ長さである。当業者に理解されるように、トランスデューサ素子の幅/高さの比は、PZTの横方向振動モードを最小にするために、「黄金比」の約0.6以下であるべきである。開示された技術のいくつかの実施形態では、エキシマUVレーザは、約6um幅のカーフラインをカットすることが可能である。40マイクロメートルの素子ピッチ及び70~80マイクロメートルのPZT厚さでは、中心サブ・ダイス・カーフカットを使用しなくても、この比を満たすことができる。
【0041】
他のサブダイスパターンは、特定のトランスデューサ用途に有用であり得る。パターン154は、トランスデューサ素子を画定するカーフカットに対して鋭角(たとえば、約55度)でカットされる、複数の平行なサブ・ダイス・カーフカットを含む。示されている実施形態では、平行なサブ・ダイス・カーフカットは、40マイクロメートル幅のトランスデューサ素子に、28マイクロメートル間隔で離間されているが、他の間隔も使用できる。
【0042】
第3のサブダイスパターン158は、トランスデューサ素子を画定するカーフカットの方向に対して角度(たとえば、55度及び125度)でカットされた異なる角度の平行カットのセットを交互にすることによって形成される。その結果、トランスデューサ素子を画定するカーフカットに整列した底辺と、トランスデューサ素子の幅である高さとをそれぞれが有する、交互に配向された三角形のPZTピラーのセットが得られる。示されている実施形態では、このようなそれぞれの三角形は、40マイクロメートルピッチの素子を有するトランスデューサに対して、長さ56マイクロメートルの底辺と40マイクロメートルの高さ(カーフ幅未満)を有する。
【0043】
第4のパターン162は、トランスデューサ素子を画定するカーフカットと直角なサブ・ダイス・カーフカットを用いて製造される。このパターンでは、複数の長方形のPZTピラーが、たとえば、28マイクロメートルの高さとトランスデューサ素子の幅(たとえば、示されている本実施形態では、40マイクロメートル)と等しい幅で形成される。
【0044】
第5のパターン166は、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットに対して鋭角(たとえば、45度)で指向された複数の平行なカットのカーフカットによって形成され、かつ個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットと直角なカーフカットを用いて間隔が置かれる、サブ・ダイス・カーフカットで製造される。このパターンは、トランスデューサ素子内にそれらの斜辺が互いに向かい合った複数の交互の直角三角形を形成する。示されている実施形態では、直角三角形の脚は、40マイクロメートルの長さである。
【0045】
カーフカットの第6のパターン170は、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットに対して60度と120度のカーフカットを形成することにより、トランスデューサ素子内に、交互に配向される複数の正三角形を形成する。
【0046】
図8は、整合層(M1-M5)及びPZT層のサブ・ダイス・カーフカットに対応するレンズに形成され得る考えられる複数のサブ・ダイス・カーフカットを示す。
【0047】
パターン180は、一対のサブダイス素子を画定する単一のカーフカットを用いたパターン150に対応する。パターン182は、直角三角形のパターン166に対応する。パターン184は、交互に配置された三角形のパターン158に対応し、一方、パターン186は、交互に配置された正三角形のパターン170に対応する。
【0048】
上述のように、場合によっては、整合層は、PZT層のサブ・ダイス・カーフカットと一致するカーフカットを含む。他の実施形態では、整合層は、PZT層の全てのサブ・ダイス・カーフカットより少ないサブ・ダイス・カーフカットを含み、個々のトランスデューサ素子を画定するカーフカットに一致するカーフカットだけを含んでもよい。上述のように、トランスデューサスタックにレンズ80接着した状態で、トランスデューサスタックの後側又は近位側は製造されてもよい。まず、PZT層とフレームが、トランスデューサの所望の動作周波数に依存して所望の厚さにラッピングされる。次に、
図9に最もよく示されるように、導電性支持フレーム160が、導電性エポキシ接着剤を用いて、トランスデューサスタック150の後側又は近位側に固定される。フレーム160は、好ましくは、導電性であり、モリブデンなどのPZTと同様のCTEを有する金属で作製される。示されている例では、トランスデューサスタック150は、4.5mmの高さ寸法及び7.6mmの横寸法又は幅寸法を有する。支持フレームは、開放領域162を有し、その開放領域を介して個々の露出したPZTトランスデューサ素子の後面にアクセス可能である。支持フレーム160は、トランスデューサ素子と電気信号をやり取りする配線(図示しない)を有する1又は複数のフレキシブル回路170を支持する。一実施形態では、第1のフレキシブル回路は、偶数の番号が付けられたトランスデューサ素子の全てに接続される配線を有し、フレーム160の反対側の第2のフレキシブル回路(図示しない)は、奇数の番号が付けられたトランスデューサ素子の全てに接続される配線をする。いくつかの実施形態では、単一のフレキシブル回路は、偶数と奇数の両方のトランスデューサ素子のための配線を含む。
【0049】
フレックス回路170の接地面(図示しない)は、トランスデューサの裏面の導電性支持フレーム160に、導電性エポキシなどを用いて電気的に接続される。すなわち、支持フレーム160は、トランスデューサスタックの前側の共通接地電極60とフレックス回路の接地面との導電路の一部として機能する。PZTシート周辺のフレームが導電性(たとえば、グラファイト又はモリブデン)である場合、フレーム自体が導電路の一部となる。フレームが、非導電性(たとえば、アルミナ)である場合、導電路は、フレームとトランスデューサスタックの前側の共通接地電極との間に含まれる。
図10は、導電性エポキシを充填し、フレーム前側とフレーム後側との導電体を形成し、それにより導電性支持フレーム160に接続することができるその長さ方向に沿った一対の切欠き200を有するフレーム10の実施形態を示す。導電路を提供するための他の機構としては、フレームを貫通するビア、又はPZT素子の前側の共通接地電極と導電性支持フレーム160若しくはフレックス回路の接地電極とを接続する導電性ホイル、ワイヤなど、が挙げられる。
【0050】
導電性支持フレーム160が一旦、トランスデューサスタックに固定されると、次に、フレックス回路の配線の露出部分と対応する個々のトランスデューサ素子との間に電気経路が作られる。
【0051】
一実施形態では、導電路は、トランスデューサ素子の近位側に形成され、フレックス回路170の配線が、トランスデューサ素子に電気的に接続されることを可能にする。いくつかの実施形態では、通路は、フレーム160の開放側を粒子充填エポキシで充填し、トランスデューサ素子からフレックス回路の対応する配線までのエポキシに、レーザを用いてチャネルを生成し、チャネルを金又はクロムを加えた金でメッキ後、不要な領域の金を除去し、メッキされた金属経路をレーザを用いて洗浄することによって生成される。開示された技術のいくつかの実施形態による、トランスデューサ素子とフレックス回路の配線との間に導電路を生成するために使用される好適なパターニング処理の説明は、共同所有された米国特許出願公開第2017/0144192号明細書及び米国特許第8,316,518号明細書に記載されており、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0052】
一旦、トランスデューサ素子とフレックス回路の配線との間が接続されると、バッキング層(図示しない)が、トランスデューサ素子の後ろのアセンブリに固定される。
図11及び
図12は、PZT層を有するトランスデューサスタック、PZT層を取り囲むフレーム及び複数の整合層を介してスタックに結合されたレンズを示すトランスデューサアセンブリの断面図である。
【0053】
開示された実施形態は、高周波フェーズドアレイトランスデューサに好適な素子間隔を示しているが、圧電シート、周囲のフレーム、整合層及びレンズを含むトランスデューサの構造は、非フェーズドアレイトランスデューサ又は低周波トランスデューサに使用できることが理解されよう。さらに、より低い周波数で使用される場合、TPX又はRexoliteなどの他のレンズ材料を使用することができる。そのようなレンズ材料は、トランスデューサがフェーズドアレイとして設計されていない場合、カーフカットされない場合がある。
【0054】
前述から、本発明の特定の実施形態について例示の目的で説明したが、発明の範囲から逸脱することなく様々な変形形態が可能であることが理解されよう。たとえば、開示されたトランスデューサの設計は、より低い周波数(たとえば、2~15MHz)で動作するようにスケーリングすることができる。さらに、開示された技術の態様は、さらに従来の超音波トランスデューサの設計で使用することができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲以外では限定されない。