(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電子エアロゾル供給システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231031BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20231031BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020522816
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 GB2018053052
(87)【国際公開番号】W WO2019081906
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2020-06-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-14
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ラッカー, サイモン
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】間中 耕治
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-529898(JP,A)
【文献】国際公開第2017/093452(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/167932(WO,A1)
【文献】特表2016-521552(JP,A)
【文献】特開平8-79342(JP,A)
【文献】特開2006-156322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングを備える、電子エアロゾル供給システムのためのデバイスであって、前記ハウジングが、シャーシセクションとハッチセクションとから形成され、前記ハッチセクションが前記シャーシセクションに接続され、
前記ハッチセクションが、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが協働して、エアロゾル形成コンポーネントが配置されるための閉じた空間を画定する第1の位置と、
前記ハッチセクション及び前記シャーシセクション間の接続を維持しながら前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが前記空間へのアクセスを可能とするように互いに
部分的に離間される第2の位置との間で移動可能であり、前記ハッチセクションが、前記ハッチセクションの前記第1の位置から前記第2の位置への移動を促進する表面特徴を備え、
前記ハッチセクションを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させることが、前記ハッチセクションが前記シャーシ
セクションに対する枢動、回転、摺動、旋回のうちの2つ以上を生じることを含む、デバイス。
【請求項2】
前記ハッチセクションが、出口を含むマウスピースを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ハッチセクションが、前記エアロゾル形成コンポーネントを受け入れるためのスリーブを含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記ハッチセクションを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させることが、前記ハッチセクションが前記シャーシ
セクションに対する摺動及び枢動を生じることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ハッチセクションを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させることが、前記ハッチセクションが前記シャーシ
セクションに対する摺動を生じ、次いで枢動を生じることを含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記ハッチセクションが前記第1の位置にあるときに前記空間内へ空気を移送するための1つ又は複数の入口を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
少なくとも1つの入口が、前記ハッチセクションに設けられている、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
少なくとも1つの入口が、前記シャーシセクションに設けられている、請求項6又は7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングが、電源、作動手段、及び前記デバイスを動作させるための電子機器を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記作動手段が、ボタン、タッチセンサ、空気流センサ、圧力センサのうちの1つ又は複数から選択される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記表面特徴が、前記ハッチセクションの外表面の凹部によって形成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングが、前記閉じた空間の観察を可能にする透明部を備える、請求項1~8及び11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
ハウジングを備える、電子エアロゾル供給システムのためのデバイスであって、前記ハウジングが、シャーシセクションとハッチセクションとから形成され、前記ハッチセクションが前記シャーシセクションに接続され、
前記ハッチセクションが、前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが協働して、エアロゾル形成コンポーネントが配置されるための閉じた空間を画定する第1の位置と、
前記ハッチセクション及び前記シャーシセクション間の接続を維持しながら前記シャーシセクション及び前記ハッチセクションが前記空間へのアクセスを可能とするように互いに
部分的に離間される第2の位置との間で移動可能であり、前記ハッチセクションが、前記ハッチセクションの前記第1の位置から前記第2の位置への移動を促進する表面特徴を備え、
前記表面特徴が、前記ハッチセクションの外表面の凹部によって形成されており、
前記ハウジングが、前記閉じた空間の観察を可能にする透明部を備え、
前記透明部が前記凹部内に配置されている、デバイス。
【請求項14】
請求項1に記載されるデバイスと、
電源と、
作動手段と、
デバイスを動作させるための電子機器と、
エアロゾル形成コンポーネントと、
を備える、エアロゾル送達システム。
【請求項15】
前記デバイスが、請求項2~8及び11~13のいずれか一項に従って特徴付けられるものである、請求項14に記載のエアロゾル送達システム。
【請求項16】
電子エアロゾル供給システムのためのデバイスを製造するための方法であって、前記デバイスがハウジングを備え、前記ハウジングが、シャーシセクションとハッチセクションとから形成され、前記ハッチセクションが、前記シャーシセクションに接続され、
前記ハッチセクションが、前記シャーシセクション及びハッチセクションが協働して、エアロゾル形成コンポーネントが配置されるための閉じた空間を画定する第1の位置と、
前記ハッチセクション及び前記シャーシセクション間の接続を維持しながら前記シャーシセクション及びハッチセクションが前記空間へのアクセスを可能とするように互いに
部分的に離間される第2の位置との間で移動可能であり、前記ハッチセクションが、前記ハッチセクションの前記第1の位置から前記第2の位置への移動を促進する表面特徴を備え、前記ハッチセクションを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させることが、前記ハッチセクションが前記シャーシ
セクションに対する枢動、回転、摺動、旋回のうちの2つ以上を生じることを含み、
当該方法が、
前記シャーシセクションを形成するステップと、
前記ハッチセクションを形成するステップと、
前記シャーシセクションを前記ハッチセクションに接続するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニコチン送達システム(例えば、電子タバコ及び同様のもの)などの電子エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは、一般的には、電源及びデバイスを動作させるための恐らくは電子機器を含むデバイスセクションと、例えば加熱気化を通じてエアロゾルが生成される、典型的にはニコチンを含む配合物を含有する、液体などの原料物質のリザーバを備え得るエアロゾル供給コンポーネント(構成要素)とを含む。エアロゾル供給システムのためのエアロゾル供給コンポーネントは、したがって、例えばウィッキングないしは毛管作用を通じて、リザーバから原料物質を受けるように配置された加熱要素を有するヒータを備え得る。
【0003】
使用者がこのシステムを吸う間、電力が、デバイスセクションからエアロゾル供給コンポーネント内の加熱要素へ供給されて、加熱要素近くの原料物質を揮発させて使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。そのようなシステムには、通常、システムのマウスピース(吸い口)側の端部から離れたところに配置された1つ又は複数の空気入口穴が設けられている。使用者が、システムのマウスピース側の端部に接続されるマウスピースを吸うと、空気が、入口穴を通って、及びエアロゾル供給コンポーネントを通過して/通って、吸い込まれる。エアロゾル供給コンポーネントとマウスピース内の開口部との間を接続する流路が存在し、エアロゾル供給コンポーネントを通過して吸い込まれる空気が、流路に沿ってマウスピース開口部へ進み続け、エアロゾルの一部を、それを有するエアロゾル供給コンポーネントから移送するようになっている。エアロゾル移送空気は、使用者による吸引のために、マウスピース開口部を通ってエアロゾル供給システムを流出する。
【0004】
電子タバコは、使用中に原料物質を揮発させるためにヒータを作動させるための機構を含む。1つの手法は、使用者がヒータを作動させるために押すボタンなどの手動の作動機構を設けることである。そのようなデバイスにおいて、ヒータは、使用者がボタンを押している間は作動され得(即ち、電力が供給される)、使用者がボタンを解放すると、停止され得る。別の手法は、使用者がマウスピースでの吸入によってシステムを通じて空気を吸い込むときを検出するように配置される圧力センサなどの自動の作動機構を設けることである。そのようなシステムにおいて、ヒータは、使用者がデバイスを通じて吸引していることが検出されるときに作動され得、使用者がデバイスを通じて吸引することを止めたことが検出されるときに停止され得る。
【0005】
典型的には、3種類の電子エアロゾル供給システムが、今日まで提供されてきた。第一に、エアロゾル供給コンポーネントと、電源を含むデバイスセクションとが分離不可能であり、同じハウジング内に含まれるデバイスが知られている。第二に、エアロゾル供給コンポーネントと、電源を含むデバイスセクションとが分離可能であるデバイスが知られている。そのようなデバイスは、デバイスセクションの再使用を促進する(例えば、電源の再充電により)。第三に、エアロゾル供給コンポーネントと、電源を含むデバイスセクションとが分離可能であり、エアロゾル供給コンポーネント自体が、複数のコンポーネント部品にさらに分離され得るデバイスが知られている。例えば、いくつかのデバイスにおいては、エアロゾル供給コンポーネントのヒータを、エアロゾル供給コンポーネントから取り外して交換することが可能である。
【0006】
典型的には、これらのデバイスの各々は、実質的に縦長の形式で構成される。即ち、様々なコンポーネント部品、例えば、エアロゾル供給コンポーネント及びデバイスは、端と端を合わせた連続的な形式で一般に取り付けられる。今日まで、これは、そのようなシステムの一部の使用者に受け入れられてきたが、それは、これらが紙巻タバコなどの従来型の可燃製品に類似しているためである。
【0007】
そのようなデバイスに関連する1つの懸念は、エアロゾル供給コンポーネントと電源セクションとの安全な取り付けが必要とされることである。今日まで、これは、典型的には、ねじ式、又はバヨネット嵌め式や押し込み嵌め式などの他の接続手段によって達成されてきた。
【0008】
そのようなデバイスに関連するさらなる懸念は、エアロゾル供給コンポーネントが比較的露出した外形となっていることである。それが一般的にはデバイスセクションから延びることから、デバイスの外形全体に延びると見られ得、このことは一部の消費者には望ましくない場合がある。
【0009】
これらの問題のいくつかを解決する助けとなることを求める様々な手法について以下説明する。
【発明の概要】
【0010】
本書に説明されるいくつかの実施形態に従って、電子エアロゾル供給システムのためのデバイスが提供される。このデバイスは、ハウジングを備え、該ハウジングは、シャーシセクション及びハッチセクションから形成され、ハッチセクションは、シャーシセクションに接続され、シャーシセクション及びハッチセクションは協働してエアロゾル形成コンポーネントがエアロゾル生成のために配置される閉じた空間を画定する第1の位置と、シャーシセクション及びハッチセクションが空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で移動可能となっている。
【0011】
本書に説明されるいくつかの実施形態に従ってエアロゾル送達システムも提供される。このシステムは、
電子エアロゾル供給システムのためのデバイスであって、該デバイスが、ハウジングを備え、該ハウジングが、シャーシセクション及びハッチセクションから形成され、ハッチセクションが、シャーシセクションに接続され、シャーシセクション及びハッチセクションが協働してエアロゾル形成コンポーネントがエアロゾル生成のために配置される閉じた空間を画定する第1の位置と、シャーシセクション及びハッチセクションが空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で移動可能である、デバイスと、
電源と、
作動手段と、
デバイスを動作させるための電子機器と、
エアロゾル形成コンポーネントと
を備える。
【0012】
本書に説明されるいくつかの実施形態に従って、電子エアロゾル供給システムのためのデバイスを製造するためのプロセスも提供される。デバイスは、ハウジングを備え、該ハウジングは、シャーシセクション及びハッチセクションから形成され、ハッチセクションは、シャーシセクションに接続され、シャーシセクション及びハッチセクションは協働してエアロゾル形成コンポーネントがエアロゾル生成のために配置される閉じた空間を画定する第1の位置と、シャーシセクション及びハッチセクションが空間へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で移動可能である。
本方法は、
シャーシセクションを形成するステップと、
ハッチセクションを形成するステップと、
シャーシセクションをハッチセクションに接続するステップと
を含む。
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して単に例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】先行技術のいくつかの例による、eシガレットなどの電子エアロゾル供給システムの概略図である。
【
図2】本開示の1つの実施形態によるデバイスの図である。
【
図3】ハッチセクションが第1の位置にあり、エアロゾル形成コンポーネントがハウジング内に存在するときの
図2のデバイスの断面図である。
【
図4】本開示の別の実施形態による代替的なデバイスの図である。
【
図5a】
図2の実施形態による、カバーセクションを第1の位置から第2の位置へ遷移させるための好適な機構の1つの例を示す図である。
【
図5b】
図2の実施形態による、カバーセクションを第1の位置から第2の位置へ遷移させるための好適な機構の1つの例を示す図である。
【
図5c】
図2の実施形態による、カバーセクションを第1の位置から第2の位置へ遷移させるための好適な機構の1つの例を示す図である。
【
図6】
図5a~
図5cに示される内部機構の一部分の斜視図である。
【
図7】
図2の実施形態のデバイスの特定のコンポーネントを示す分解図である。
【
図8】ハッチセクションの斜視図であり、
図5a~
図5cに示される内部機構の一部分を示す図である。
【
図9a】ハッチセクションのスリーブの長手方向軸線を通る一連の断面の1つを示す図である。
【
図9b】ハッチセクションのスリーブの長手方向軸線を通る一連の断面の1つを示す図である。
【
図9c】ハッチセクションのスリーブの長手方向軸線を通る一連の断面の1つを示す図である。
【
図10】ハッチセクションのスリーブの長手方向軸線と平行の断面を示す斜視図である。
【
図11a】
図2のデバイスのハウジング内の内部空間を示す斜視図である。
【
図11b】
図2のデバイスのハウジング内の内部空間の底部の拡大図である。
【
図12】エアロゾル形成コンポーネントが
図2のデバイスのハッチセクションのスリーブ内へ挿入されている概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特定の例及び実施形態の態様及び特徴が、本書において論じ/説明されている。特定の例及び実施形態のいくつかの態様及び特徴は、従来通りに実施され得、これらは、簡潔性のために詳細には論じ/説明されてはない。したがって、詳細に説明されていない本書に論じられる装置及び方法の態様及び特徴は、そのような態様及び特徴を実施するための任意の従来の技術に従って実施され得るということを理解されたい。
【0016】
上に説明されるように、本開示は、eシガレットなどのエアロゾル供給システムに関する。以下の説明全体を通して、用語「eシガレット」が時として使用されるが、この用語は、エアロゾル(蒸気)供給システムと同じ意味で使用され得る。さらには、エアロゾル供給システムは、液体原料物質、固体原料物質、及び/又は半固体原料物質、例えばゲルから、エアロゾルを生成することを目的とするシステムを含み得る。本開示の特定の実施形態は、いくつかの例となるeシガレット構成と関連して(例えば、特定の全体的な外観及び基本となる蒸気生成技術に関して)本書において説明される。しかしながら、同じ原理が、異なる全体的な構成(例えば、異なる全体的な外観、構造、及び/又は蒸気生成技術)を有するエアロゾル送達システムに等しく適用され得ることを理解されたい。
【0017】
図1は、先行技術のエアロゾル/蒸気供給システムの概略図である(縮尺通りではない)。先行技術のeシガレット10は、破線LAによって示される長手方向軸線に沿って延び、2つの主なコンポーネント、具体的には、本体20(デバイスセクション)及びカトマイザ30(エアロゾル供給コンポーネント)を備える、実質的に円筒の形状を有する。カトマイザは、エアロゾルが生成されることになる液体配合物を含む原料液体のリザーバを内包する内部チャンバと、加熱要素と、原料液体を加熱要素の近くまで移送するための液体移送要素(この例では、ウィッキング要素)とを含む。本開示の実施形態によるエアロゾル供給コンポーネントのいくつかの例となる実装形態において、加熱要素は、それ自体が液体移送機能を提供し得る。例えば、加熱要素及び液体移送機能をもたらす要素は、時として、エアロゾル生成器/エアロゾル形成部材/気化器/噴霧器/蒸留器と称され得る。カトマイザ30は、開口部を有するマウスピース35をさらに含み得、使用者は、このマウスピース35を通して、エアロゾル生成器からエアロゾルを吸引し得る。原料液体は、例えば、グリセロール、水、及び/又はプロピレングリコールを含む溶媒に溶けた0~5%ニコチンを含む、eシガレットに使用される従来の種類のものであり得る。原料液体は、香料も含み得る。原料液体用のリザーバは、原料液体がエアロゾル生成器/気化器に送達されるのに必要とされる時間に至るまで原料液体を保持するためのハウジング内に多孔質マトリックス又は任意の他の構造体を含み得る。いくつかの例では、リザーバは、自由液体を含有するチャンバを画定するハウジングを備え得る(即ち、多孔質マトリックスは存在しなくてもよい)。
【0018】
以下にさらに論じられるように、本体20は、eシガレット10のための電力を提供するための再充電可能な電池又はバッテリー、及びeシガレットを全体的に制御するための制御回路を含む回路基板を含む。使用時、即ち、加熱要素が、バッテリーから電力を受けるとき、制御回路によって制御されると、加熱要素は、加熱要素の近くにある原料液体を揮発させてエアロゾルを生成する。エアロゾルは、マウスピース内の開口部を通じて使用者によって吸引される。使用者による吸引の間、エアロゾルは、エアロゾル源からマウスピース開口部へと、それらの間を接続する空気通路に沿って移送される。
【0019】
先行技術の例において、本体20及びカトマイザ30は、
図1に示されるように、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって互いから取り外し可能であるが、デバイス10が使用中のときは、本体20とカトマイザ30との機械的及び電気的な接続性をもたらすために、
図1では25A及び25Bとして概略的に示される接続具によって結合される。カトマイザに接続するために使用される本体20の電気コネクタは、本体がカトマイザ30から取り外されるときに充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能する。充電デバイスの他端は、eシガレットの本体20内の電池/バッテリーを充電又は再充電するために、外部電源、例えば、USBソケットに差し込まれ得る。他の実装形態において、ケーブルが、本体の電気コネクタと外部電源との直接接続のために提供され得、及び/又は、デバイスには、別個の充電ポート、例えば、USBフォーマットのうちの1つに準拠するポートが設けられる。
【0020】
eシガレット10には、空気入口のための1つ又は複数の穴(
図1には示されない)が設けられている。これらの穴は、eシガレット10を通ってマウスピース35まで延びる空気通路(空気流路)に接続する。空気通路は、エアロゾル源周辺の領域、及びエアロゾル源からマウスピースの開口部までを接続する空気チャネルを備える部分を含む。
【0021】
使用者がマウスピース35を吸うとき、空気は、好適にはeシガレットの外側に配置さされる1つ又は複数の空気入口穴を通ってこの空気通路内へ吸い込まれる。この空気流(又は関連付けられた圧力の変化)は、電子タバコ10内の空気流を検出して、対応する空気流検出信号を制御回路へ出力するための空気流センサ215、この場合は、圧力センサによって検出される。空気流センサ560は、それが電子タバコ内にどのように配置されるかに関しては従来の技術に従って、電子タバコを通る空気の流れがあるとき(例えば、使用者がマウスピースを吸うとき又は吹くとき)を示す空気流検出信号を生成するように動作し得る。
【0022】
使用者が使用時にマウスピースを吸う(吸入する/パフする)とき、空気流は、電子タバコを通じて空気通路(空気流路)を通過し、エアロゾル源周辺の領域にある蒸気と組み合わさって/結合して、エアロゾルを生成する。結果として生じる空気流及び蒸気の組合せは、エアロゾル源から使用者による吸引のためのマウスピースまでを接続する空気流路に沿って進み続ける。カトマイザ30は、原料液体の供給が尽きたときに本体20から取り外されて廃棄され得る(及び、所望の場合は別のカトマイザと交換され得る)。代替的には、カトマイザは詰め替え式とすることができる。
【0023】
本開示のいくつかの例となる実施形態によると、エアロゾル供給システムの動作は、例えば、後に吸引される通過空気流内にエアロゾルを取り込むように原料物質を揮発させるためのヒータの作動など、例示的な先行技術デバイスについて上に説明されるものに従って幅広く機能し得るが、本開示のいくつかの例となる実施形態のエアロゾル供給システムの構成は先行技術デバイスとは相違する。
【0024】
この点に関して、電子エアロゾル供給システムのためのデバイスが提供されるものであるが、本デバイスは、ハウジングを備え、該ハウジングは、シャーシセクション及びハッチセクションから形成され、ハッチセクションはシャーシセクションに接続され、第1の位置(シャーシセクション及びハッチセクションが協働して、エアロゾル形成コンポーネントがエアロゾル生成のために配置されるべき閉じた空間を画定する位置)と、第2の位置(シャーシセクション及びハッチセクションが空間へのアクセスをもたらすように互いに離間される位置)との間で移動可能となっている。
図2は、本開示の1つの実施形態による例示的なデバイス100の図である。本体の様々なコンポーネント及び詳細事項、例えば、配線及びより複雑な形状などは、明白であるという理由から、
図2では省略されていることに留意されたい。これらの一部は、
図3に示される。デバイス100は、シャーシセクション210及びハッチセクション220により形成されるハウジング200を備える。シャーシセクション210は、単一の材料部片の形態をとり得るか、又は適切な継目部(図示せず)に沿って結合される2つの別個の材料部片210a、210bから形成され得る。シャーシセクション210及びハッチセクション220は、ハッチセクション220が、シャーシセクション210及びハッチセクション220が協働してエアロゾル形成コンポーネント(図示せず)がエアロゾル生成のために配置されるべき閉じた空間250を画定する第1の位置と、シャーシセクション210及びハッチセクション220が空間250へのアクセスを可能とするように互いに離間される第2の位置との間で、シャーシセクション210に対して移動可能であるように接続される。
図2は、空間250がアクセス可能である状態の第2の位置にあるシャーシセクション210及びハッチセクション220を示す。
図2においても見られるように、いくつかの実施形態において、ハッチセクション220は、スリーブ230を備え得、このスリーブ230は、スリーブが空間250に向かって突出するようにハッチセクション220の内壁に取り付けられる。スリーブ230は、エアロゾル形成コンポーネントを収容することができる実質的に縦長の凹部を画定する(図示せず)。より詳細には、エアロゾル形成コンポーネントは、スリーブ230内へ挿入され得る。スリーブ230は、以下にさらに詳細に説明されるが、
図2の実施形態の内容においては、ハッチセクション220が、第1の位置へ移動され、その結果として、シャーシセクション210と協働して、閉じた空間250が形成されるとき、スリーブ230(及び、存在する場合はエアロゾル形成コンポーネント)が空間250を占有することになることは明白であろう。したがって、本書に説明されるような第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるハッチセクションを提供することによって、エアロゾル形成コンポーネントを収容するための空間をもたらすことが可能となる(そうしない場合にはデバイスの全体的な外形を延ばすことになるが、そのようにはならない)。これは、多数の理由から有利であり得る。第一に、先行技術の従来の縦長のデバイスと比較してより小型のデバイスが提供される。第二に、エアロゾル形成コンポーネントが、閉じた空間内に全体的に配置され、外部物体からの衝撃に対するある程度の保護を与え得ることから、先行技術のデバイスよりも一層保護される。これは、エアロゾル形成コンポーネントが損傷を受けた場合に漏出し得る原料液体の存在を踏まえると、特に重要である。
【0025】
図2に示されるデバイス100のハッチセクション220はまた、出口を画定するマウスピース260を備え得る。加えて、デバイス100は、一般的には、空間250内への空気の吸気を促進する入口240を含む。入口240、空間250、及び出口260は協働して、空気がデバイスの外側から、空間250を通って流れて、マウスピースの出口から出るための流体接続された通路を形成する。エアロゾル形成コンポーネントが空間250内に存在するとき、空気流は、エアロゾル形成コンポーネントを流通し(又は通過し)、以て空気流路内のエアロゾルの取り込みを促進する。
【0026】
本書に概して説明されるように、本開示のいくつかの例となる実施形態によるデバイスは、いくつかの追加の特徴を含み得る。一実施形態において、ハッチセクションは、外向きの面と内向きの面とを備える細長いコンポーネントである。一実施形態において、ハッチセクションは、内向きの面の部分としてスリーブを含み、このスリーブは、エアロゾル形成コンポーネントを受容するためのものである。一実施形態において、スリーブは実質的に管状の外形を有する。
【0027】
本書に説明されるように、ハッチセクションは、シャーシセクションに移動可能に接続される。一実施形態において、ハッチセクションを第1の位置から第2の位置へ移動させることは、ハッチセクションがシャーシハウジングに対する枢動(pivoting)、回転(rotating)、摺動(sliding)、旋回(swivelling)のうちの少なくとも1つを経ることを含む。任意選択的であるが、ハッチセクションを第1の位置から第2の位置へ移動させることは、ハッチセクションがシャーシハウジングに対する枢動、摺動、旋回のうちの2つ以上を経ることも含む。任意選択的であるが、ハッチセクションを第1の位置から第2の位置へ移動させることは、ハッチセクションがシャーシハウジングに対する摺動及び枢動を経ること、またいくつかの実施形態においては、シャーシハウジングに対する摺動及び次いで枢動を経ることを含む。
【0028】
本デバイスのハウジングは、概して、ハッチセクションが第1の位置にあるときに空間内へ空気を移送するための1つ又は複数の入口を備える。少なくとも1つの入口の位置は、特に制限されない。例えば、一実施形態において、少なくとも1つの入口は、ハッチセクションに存在する。追加的に及び/又は代替的に、少なくとも1つの入口は、シャーシセクションに存在する。1つ又は複数の入口がエアロゾル形成コンポーネントの空気入口と整列されることが望ましい場合がある。
【0029】
先行技術のデバイスに関して上に説明されたように、本開示のいくつかの例となる実施形態のデバイス100は、任意の好適な手段によって作動され得る。そのような好適な作動手段は、ボタン作動、又はセンサ(タッチセンサ、空気流センサ、圧力センサ、サーミスタなど)による作動を含む。作動とは、蒸気が原料物質から作られるように、エアロゾル形成コンポーネントのエアロゾル生成器が活性化され得ることを意味する。この点に関して、作動は、デバイス100が、本質的に休止又はオフ状態から、1回又はそれ以上の機能がデバイスにおいて実施され得る状態、及び/又はデバイスが作動に好適であり得るモードに入れられ得る状態にされるという駆動とは異なるものとみなすことができる。
【0030】
この点に関して、ハウジング200は、一般的には、エアロゾル形成コンポーネントのエアロゾル生成器に電力を供給する電力供給源/電源(
図2には示されない)を備える。エアロゾル形成コンポーネントと電源との接続は、有線又はワイヤレスであり得ることに留意されたい。例えば、接続が有線接続である場合、ハウジング200内の、例えば、シャーシセクション210における、接点450は、ハッチセクション220が第1の位置にあり、しがたってエアロゾル形成コンポーネントが空間250内に存在するときに、エアロゾル形成コンポーネントの対応する電極と接触し得る。そのような接点の設定については、以下でさらに説明する。代替的に、電源とエアロゾル形成コンポーネントとの接続は、ハウジング200内に存在し電源に接続される駆動コイル(図示せず)が、磁場が生じるように活性化され得るという意味で、ワイヤレスであることが可能である。この際、エアロゾル形成コンポーネントは、サセプタを備え得、このサセプタに磁場が侵入し、その結果として、渦電流がサセプタ内に誘起され、サセプタが加熱される。
【0031】
図2のデバイス100の任意的な態様において、第1の位置から第2の位置へのハッチセクション220の移動を促進する表面特徴270が提供され得る。表面特徴270は、以下により詳細に説明される。
図2に示されるデバイス100の状況において、表面特徴270は、ハッチセクション220の外表面に形成される凹部である。しかしながら、表面特徴は、凹部でなくてもよく、突出部が挿入され得るか、又は増大された表面粗さの領域であり得ることを理解されたい。表面特徴270の状況では、使用者の指(親指など)との改善された連動のための領域が提供され、したがって、親指は、例えば、凹部に存在し、ハッチセクション220を第2の位置へより容易に移動させることができるため、ハッチセクション220の移動が向上される。凹部のある表面特徴270は、この場合、ハッチセクション220の透明部280も画定し得る。そのような透明部は、使用者がエアロゾル形成コンポーネントを可視化することを可能にし、このことは、使用者が、エアロゾル形成コンポーネントに表示される情報(香料、ブランド、購入日情報など)、及び/又はエアロゾル形成コンポーネント内に存在する原料物質の量を見ることを可能にするという点において有利であり得る。そのような透明部は一般的に、先行技術のデバイスでは必要とされず、それは、エアロゾル形成コンポーネントが一般的に、縦長タイプの構成において完全に露出されるためである。透明部は、凹部に配置することができる。
【0032】
図3は、ハッチセクション220が第1の位置にあり、エアロゾル形成コンポーネント700がスリーブ230内に保持される
図2のデバイス100の断面図を提供する。ここでは、閉じた空間250は、ハウジング内に形成され、スリーブ230内のエアロゾル形成コンポーネントによって占有されるということを理解されたい。
図3は、本書に説明される様々な実施形態のいくつかの態様をさらに説明するために使用される。
【0033】
図4は、本開示の代替の実施形態を示す。
図4は、デバイス100bを示す。デバイス100に類似して、デバイス100bは、シャーシセクション211及びハッチセクション221から形成されるハウジングを備える。ハッチセクション221は、シャーシセクション211に接続され、エアロゾル形成コンポーネントがエアロゾル生成のために配置されるよう閉じた空間251が形成される第1の位置と、シャーシセクション211及びハッチセクション221が空間251へのアクセスを可能とするよう互いに離間される第2の位置との間で移動可能である。
図4では、ハッチセクション221は、空間251へのアクセスを可能とする第2の位置に示される。
図4の実施形態によると、空間251は、実質的に縦長の外形を有するスリーブを画定し得る。スリーブの内表面は、エアロゾル形成コンポーネント700を受け入れるように成形され得る。
図4の実施形態において、ハッチセクションは、第1の位置と第2の位置との間で枢動可能であるということを理解されたい。しかしながら、第1の位置と第2の位置との間の上記移動は、摺動、旋回などによっても達成され得る。ハッチセクション221は、マウスピース部261も備え得る。デバイス100と類似の様式において、マウスピース部261は、空間251及び空気入口(図示せず)と流体的な接続を形成し、それによって、エアロゾル形成コンポーネントが空間251内に存在し、作動されるときに、エアロゾルが取り込まれ得るように、空気がデバイス100bを通って流れることを可能にする出口を画定し得る。
【0034】
これより
図2の実施形態に戻ると、
図7は、デバイス100の分解図を示す。
図7から明らかであるように、シャーシセクション210a及び210bは、電源290(有線又はワイヤレス手段により再充電可能であり得るバッテリーなど)、デバイスの機能性をもたらす様々な制御回路を備える印刷回路板(PCB)291、ハッチセクションのスリーブ230によりエアロゾル形成コンポーネントを受け入れるための空間、並びにシャーシセクション210及びハッチセクション220を接続し、第1の位置から第2の位置への移動を促進する機構600を取り囲むように、互いに接続され得る。
図7から明らかであるように、機構600は、シャーシセクション及びハッチセクションを接続するように機能し、それぞれの第1の位置から第2の位置へのそれらの移動を促進する1つ又は複数の部分を備え得る。この点に関して、機構600は、シャーシセクション210上の形成物、ハッチセクション220上の形成物、及び独立した(即ち、別個に形成された)コンポーネントからなり得る。この例では、制御回路550は、特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラなどの、デバイス100を制御するためのチップの形態にある。制御回路を備える回路基板291は、電源と空間250との間に配置され得る。制御回路は、単一の要素、又はいくつかの別個の要素として提供され得る。制御回路は、マウスピース260を吸うことを検出するために圧力センサに接続され得、上で述べられたように、デバイス内に空気流があるときに検出し、対応する空気流検出信号を生成するというこの態様は、従来通りとすることができる。
【0035】
1つの実施形態において、機構600は、だぼ(ピン)601及びキャリッジばね602、並びにシャーシセクション210及びハッチセクション220の上のそれぞれの形成物を備え得る。1つの実施形態において、だぼ601は、キャリッジばね602をハッチセクション220及びシャーシセクション210の両方に接続し得、それによって、第1の位置から第2の位置へのハッチセクション220の移動を促進することができる。キャリッジばね602は、ハッチセクション220を第2の位置へと押動するように、ハッチセクション220に押し付けられ得る。ハッチセクションは、L字形状の凹部/溝604の長手方向の突出部内に解放可能に配置される突起603により、第1の位置に保持され得る。突起603が、L字形状の凹部/溝604の横方向の突出部に移動されると、キャリッジばね602は、ハッチセクション220をシャーシセクション210から離れる方へ、したがって離間された位置(第2の位置)へ押動することができる。
【0036】
さらなる実施形態において、シャーシセクション210とハッチセクション220との接続及び移動を促進するための例示的な機構が、
図5a~
図5cに示される。機構650は、
図5a~
図5cに示される。機構650は、第1の突起651及び第2の突起652を備え、両方がハッチセクション220に配置される。突起651は、シャーシセクション210内に形成される垂直スロット661内に存在する(それは、スロット661が、2つのシャーシセクションコンポーネント210a及び210bそれぞれの対向する部分によって形成されるということであり得る)。スロット661は、スロット内での突起651の長手方向の移動を可能にするように寸法決めされ配向される。突起652は、シャーシセクション210内に形成される全体的にL字形状のスロット662内に存在する(ここでも、それは、スロット662が、2つのシャーシセクションコンポーネント210a及び210bそれぞれの対向する部分によって形成されるということであり得る)。機構650はまた、枢軸P1の周りに固定される付勢カム670を備える。付勢カム670は、付勢ばね(図示せず)によってハッチセクション220の方へ付勢される。付勢カムは、保持肩部671を含む。保持肩部671は、ハッチセクション220の固定用突出部653と相互作用する。機構650のコンポーネントは協働して、シャーシセクション210とハッチセクション220との接続及び移動を促進するための簡便且つ頑丈な機構を提供する。機構650の動作について、以下に詳細に説明する。
【0037】
ハッチセクション220が第1の位置にあるとき(
図5aに示されるように)、突起651及び652は、それぞれのスロット661及び662の最遠位部に配置される。さらには、この位置では、固定用突出部653は、保持肩部671に係合する。固定用突出部653の上面及び保持肩部671の下面のそれぞれの配向に起因して、付勢カム670をハッチセクションの方へ押動することが、固定用突出部653に対する近位に作用する力を提供する。さらには、スロット552の傾斜663が、全体的に、ハッチセクション220(及びしたがって、固定用突出部653)を付勢カム670の方へ押動し、その結果として、固定用突出部653の先端は、保持肩部の下となる。そのような構成体は、一般的に、固定用突出部653が保持肩部671の上に乗り、その後保持肩部671の下に保持されると、ハッチセクション220を第1の位置に保持し、ハッチセクションが第1の位置に認知可能な係合状態となっていることを使用者にもたらす。
【0038】
使用者がハッチセクション220を第2の位置の方へ移動させたいとき、ハッチセクション220は、全体的に、上方に(
図5aの矢印によって示されるように、マウスピースに対して近位に)移動される。表面特徴270は、そのような移動を容易にし得る。そのような移動は、突起652が、傾斜663を(突起652が付勢カム670及び付勢ばねによって傾斜663の方へ付勢されているため)、次いでスロット663の長手方向の突出部に沿って、上がることを結果としてもたらす。同様に、突起651は、スロット661に沿って近位に進む。さらに、固定用突出部653は、保持肩部671の上に乗る。ハッチセクション220の連続的な移動により、突起652は、スロット662の長手方向部分及び横方向部分の交差部に配置されるようになる。同時に、突起651は、スロット661の最近位部分に達する。その結果、突起652がL字形状のスロット662の横方向部分において横方向に自由に移動することができるため、ハッチセクション220は、もはや第1の位置に保持されないことになる。
図5cに示されるように、付勢カム670及び付勢ばね(付勢カムに対して作用する)の影響下で、ハッチセクション220は、第2の位置へとシャーシセクション210から離れる方へ押動される。この点に関して、スロット661の最近位位置にある突起651の場所に起因して、ハッチセクションは、第2の位置へと移動されるときに第2の枢軸点P2の周りを枢動する。使用者がハッチセクション220を第1の位置へ戻すことを望むとき、上の一連のステップは、逆順に実施される。
【0039】
図6は、機構650の部分がより明瞭に見えるようにシャーシハウジング210の切断図を提供する。見て分かるように、付勢カム670は、枢軸P1を形成するロッド672に装着される。付勢ばね(図示せず)によってハッチセクション220の方へ押動されるとき、付勢カム670は、突起652がスロット662の横方向の突出部にあることを前提に、ハッチセクション220を第2の位置へと駆動することができる。
【0040】
図8は、デバイス100から取り外されるときのハッチセクション220の斜視図を示す。見て分かるように、この実施形態では、ハッチセクションは、突起651及び652が装着されるスリーブ235、並びに固定用突出部653を備える。
図8はまた、入口240の代替の位置を例示している。このように、デバイスの入口は、空気がエアロゾル形成コンポーネントを収容するための空間250に入ることができることを前提に、任意のコンポーネント内に形成され得る。
図8はまた、保持部300を示し、この保持部300は、この実施形態では、好適なエアロゾル形成コンポーネントのスリーブ235内への挿入時に外方に強いられる可撓性舌片301である。舌片301を形成するために使用される材料が実質的に剛性を有していることに起因して、舌片301は、全体的に外方への偏向に抵抗し、そのようなものとして、エアロゾル形成コンポーネントに対するある程度の把持を提供する機能を果たす。次いで、これは、スリーブ235からのエアロゾル形成コンポーネントの取り外しに抗するのを助ける力を提供する。
【0041】
上で説明したように、一般的には、いくつかの実施形態においてはエアロゾル形成コンポーネントを受け入れるのに好適なスリーブ235を備えるハッチセクション220が提供される。本デバイスが使用される態様に起因して、エアロゾル形成コンポーネントは、スリーブ開口部236が下を向いているときにスリーブ235内へうまく挿入され得る。その結果、いくつかの実装形態においては、ハッチセクション220が第1の位置に戻される前にエアロゾル形成コンポーネントがスリーブ235から抜け出るリスクが潜在的にある。したがって、ハッチセクション235には、一般的には、スリーブ内への挿入後にエアロゾル形成コンポーネントの取り外しに抗するように構成される保持部が設けられるとよい。この保持部は、様々な形態をとり得る。例えば、1つの実施形態において、保持部は、
図8に示されるものなど、可撓性舌片から形成される。他の好適な保持部は、エアロゾル形成コンポーネントにおける対応する凹部303と係合するラッチ302(
図3の実施形態に示される);エアロゾル形成コンポーネントの外表面と係合し、その取り外しに抗する、スリーブ235の内壁における1つ又は複数のリブ;スリーブ235からの取り外しに抗するために、ヒータなどのエアロゾル形成コンポーネントの好適な金属コンポーネントと相互作用するハッチセクション220/スリーブ235の関連部に配置される磁石を含み得る。好ましい実施形態において、ハッチセクションは、スリーブの開口部に可撓性舌片を備えるスリーブを含む。
【0042】
これより
図9a~
図9cに移ると、
図8の線A-A、B-B、C-Cに沿った様々な断面が示される。断面C-Cは、概して、スリーブ開口部236でのものである。1つの実施形態において、スリーブ開口部236は、実質的に円形の断面を有する。しかしながら、スリーブ開口部は、別の断面をとり得る可能性がある。
図9a~
図9cに示されるように、スリーブ235は、その長さに沿って変化する断面外形を有し得る。例えば、線C-Cでの断面は実質的に円形であると見られるが、その断面はスリーブ235の長さに沿って次第に楕円になる。特に、線B-Bでの断面は、実質的に、線C-Cでの断面よりも楕円である。さらに、線A-Aでの断面は、実質的に、線B-Bでの断面よりも楕円である。このように、スリーブ235の断面は、その長さに沿った第1の地点とその長さに沿った第2の地点との間で変化する。この特定の実施形態において、スリーブ235の断面は、対応するエアロゾル形成コンポーネントの変化する長手方向の断面外形に一致するように次第に変化する。1つの実施形態において、スリーブの断面は、第1の位置における概して円形の形状から、第2の位置における概して楕円の形状へと次第に変化し、第2の位置は、スリーブ内へのエアロゾル形成コンポーネントの挿入の方向に対して下流である。1つの実施形態において、シャーシセクション210はまた、エアロゾル形成コンポーネントの遠位部分の外表面にある長手方向のスロット470に対応する、
図11bに示されるような、1つ又は複数の隆起部又は突起460(又は他の好適な表面特徴)を含み得る。そのような突起/長手方向のスロットの組合せは、エアロゾル形成コンポーネントを最終的な回転方向の向きに係止することを助けることができる。
【0043】
その結果、エアロゾル形成コンポーネントを受け入れるためのスリーブを備えるハッチセクションが提供され、このスリーブは、長手方向軸線を画定し、エアロゾル形成コンポーネントが挿入されるときそれに対して様々な回転方向の付勢力を及ぼす、長手方向軸線に沿って互いに離間される第1のセクション及び第2のセクションを備える。これの利点は、エアロゾル形成コンポーネントが、少なくとも1つの非円形横断面を有するならば、エアロゾル形成コンポーネントが、任意の回転方向の向きでスリーブ235内へ挿入され得るが、所望の最終的な回転方向の向きへ次第に配向され得ることである。これは、例えば、エアロゾル形成コンポーネントの最終的な回転方向の向きが、全体としてのシステムの正しい動作に影響を有する場合に重要であり得る。例えば、それは、エアロゾル形成コンポーネントが、電極を備え、この電極は、これらがハウジング200の内側の対応する電極と係合するために特定の回転方向の向きで位置決めされる必要があるということであり得る。代替的に、それは、エアロゾル形成コンポーネントのヒータが、誘導加熱のための磁界との正しい整列を確実にするように特定の回転方向の向きに配向されることが必要とされるということであり得る。エアロゾル形成コンポーネントを所望の回転方向の向きへと自動的に整列させることができるスリーブを利用することにより、スリーブ開口部内へ最初に挿入されるときにエアロゾル形成コンポーネントが置かれていた回転方向の向きにかかわらず、より滑らかなユーザエクスペリエンスが提供される。この点に関して、スリーブの長さに沿って様々な回転方向の付勢力を付与する能力は、スリーブの特定の断面に制限されない。例えば、磁石をスリーブに沿ったある地点に設けてもよく、該磁石は、エアロゾル形成コンポーネントにおける対応する好適な金属特徴と相互作用する。磁石及びエアロゾル形成コンポーネントにおける対応する好適な金属特徴の相対位置に起因して、エアロゾル形成コンポーネントは、スリーブ開口部内へ挿入されるときにエアロゾル形成コンポーネントが置かれていた回転方向の向きに対して異なる回転方向の向きへ駆動され得る。
【0044】
次に
図10を参照すると、ハッチセクション220の長手方向軸線に沿ったハッチセクション220の断面が示される。スリーブ235の最近位端部に向かって、シールリングなどのシール400が提供され得る。シール400は、スリーブ235内へ挿入されるときに、スリーブ235の内表面236とエアロゾル形成コンポーネントの外表面との間を封止するように機能する。このシールは、使用者がマウスピース260を吸うとき、空気流が、エアロゾル形成コンポーネントの外部周囲に沿うのではなく、エアロゾル形成コンポーネントを通って吸い込まれることを確実にすることを助ける働きをする。
【0045】
1つの実施形態において、エアロゾル形成コンポーネントは、エアロゾル形成コンポーネントがスリーブ内に存在し、ハッチセクションが第1の位置にあるとき、シールと接触するように押動される。1つの実施形態において、これは、ハウジングの内壁に配置される1つ又は複数の付勢突出部によって達成され得る。
図11aの実施形態において、付勢突出部450は、エアロゾル形成コンポーネントの最遠位端部に接触し、それがシール400とさらに接触するように促す働きをするばね付勢式の電極(「ポゴピン」)である。1つ又は複数の付勢突出部は、ばね付きの電極である必要はないが、代替的に、エアロゾル形成コンポーネントにシール400へのさらなる接触を促す働きをする、ハウジング100の内壁における隆起部又は他の表面特徴であり得ることを理解されたい。そのような付勢突出部は、ハウジングが作製されなければならない製造公差を減少させる働きをし得るため、そのような付勢突出部を有することが望ましい場合がある。
【0046】
本開示の実施形態の重大な態様ではないが、空間250、251内に配置するための好適なエアロゾル形成コンポーネントについて、以下に概略的に説明する。
図12に示されるものなど、エアロゾル形成コンポーネント700は、エアロゾル形成コンポーネント700の概して長手方向軸線に沿って延びる空気通路に配置されるエアロゾル生成器(図示せず)を含む。エアロゾル生成器は、原料液体を、加熱のために、エアロゾル形成コンポーネント内の原料液体のリザーバから加熱要素の近くまで移送するように配置されるウィッキング要素(液体移送要素)と隣り合う抵抗型の加熱要素を備え得る。この例では原料液体のリザーバは、空気通路と隣り合い、例えば、原料液体に浸される綿又は発泡体を提供することによって実装され得る。ウィッキング要素の端部は、液体がウィッキング要素に沿って、加熱要素の範囲と隣り合う場所まで吸い込まれるように、リザーバ内の原料液体と接触している。ウィッキング要素及び加熱要素の一般的構成は、従来の技術に従い得る。例えば、いくつかの実装形態において、ウィッキング要素及び加熱要素は、別個の要素、例えば、円筒状ウィックの周りに巻かれる/円筒状ウィックを全体的に被覆する、金属加熱ワイヤを備え得、ウィックは、例えば、ガラス繊維の束、スレッド又は糸からなる。他の実装形態において、ウィッキング要素及び加熱要素の機能は、単一の要素によってもたらされ得る。即ち、加熱要素自体が、吸い上げ機能を提供し得る。このように、様々な例となる実装形態において、加熱要素/ウィッキング要素は、Bekaertからの多孔質の焼結金属繊維媒体(ベキポア(Bekipor)(登録商標)ST)などの金属複合材料構造、例えば三菱マテリアルから市販されている種類の、金属発泡体構造;Boppからなどの、多層焼結金属ワイヤメッシュ、若しくは折り畳まれた単層金属ワイヤメッシュ;金属編組;又は金属ワイヤと絡み合わされたガラス繊維若しくは炭素繊維組織、のうちの1つ又は複数を備え得る。「金属」は、バッテリーと接続して/組み合わせて使用されるように適切な電気抵抗率を有する任意の金属材料であり得る。加熱要素の結果としての電気抵抗率は、典型的には、0.5~5Ωの範囲にある。0.5Ωを下回る値が使用され得るが、おそらくはバッテリーに過度の負担を加え得る。「金属」は、例えば、NiCr合金(例えば、NiCr8020)又はFeCrAl合金(例えば、「カンタル」)又はステンレス鋼(例えば、AISI304又はAISI316)であってもよい。デバイスの作動時、電力は、電極450を介して電源290からエアロゾル形成部材700へ送達され得る。
【0047】
上記の手法は、カートリッジを備えるエアロゾル形成コンポーネントを、カートリッジと共に使用するためのコントロールユニットを備えるデバイス内へ装填する文脈において主に説明されているが、同じ手法が、電子タバコを保管ケース内へ装填するために使用され得、例えば、保管ケースは、電子タバコが本書で論じられる方式のいずれかで保管ケース内へ装填されたときに電子タバコ内のバッテリーを再充電するための電源を備える、ということを理解されたい。即ち、本書で論じられるエアロゾル形成コンポーネント/部は、場合によっては、電子タバコなどの任意のエアロゾル形成器であり得、本書で論じられるデバイスコンポーネント/部は、電子タバコがデバイス内へ装填されるときに電子タバコを再充電するための電源を伴う保管ケース/パックを備え得る。
【0048】
様々な問題に対処するため及び当該技術分野を発展させるために、本開示は、特許請求される発明が実践され得る様々な実施形態を例証として示す。本開示の利点及び特徴は、実施形態の代表的なサンプルのものにすぎず、包括的及び/又は排他的ではない。それらは、理解を助けるため、及び特許請求される発明を教示するためだけに提示される。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求項によって規定されるような本開示に対する制限、又は特許請求項の等価物に対する制限であると見られるべきではないこと、また、他の実施形態が利用され得、修正が特許請求項の範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。様々な実施形態は、本書に詳細に説明されるもの以外に、開示される要素、コンポーネント、特徴、部分、ステップ、手段などの様々な組合せを、好適に、備えてもよく、それらからなってもよく、又はそれらから本質的になってもよく、したがって、従属請求項の特徴は、特許請求項に明示的に明記されるもの以外の組合せで、独立請求項の特徴と組み合わされ得ることを理解されたい。本開示は、現在は特許請求されないが、将来特許請求され得る他の発明を含み得る。