(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】容器位置情報管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B65G61/00 526
(21)【出願番号】P 2019143461
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】394027319
【氏名又は名称】タニ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】谷 浩和
(72)【発明者】
【氏名】谷 勝幸
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-117413(JP,A)
【文献】特開2007-042076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
B65G 1/137
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を
車両に搭載して運搬する運搬者が携帯する運搬者端末が、ネットワークを介して情報管理サーバに接続された容器位置情報管理システムであって、
前記運搬者端末は、
容器に取り付けられた電子タグに格納された容器情報を読み取り可能な容器情報読取部と、
全地球測位システムにより位置情報を取得する位置情報取得部と、
運搬者が
、車両に搭載した前記容器を
所定の位置まで搬送し、現場での設置作業を完了した後に行う前記容器情報読取部による前記容器情報の読み取りに連動して、前記位置情報取得部による
前記設置作業が行われた現場の位置情報の取得、および、前記容器情報を読み取った時の時刻情報の取得を行い、前記容器情報、位置情報および時刻情報を前記運搬者端末の端末情報と共に容器管理情報として前記情報管理サーバに送信する端末側情報処理部とを備え、
前記情報管理サーバは、
前記運搬者端末から送信された前記容器管理情報を格納する格納部と、
前記格納部に格納された前記容器管理情報を読み出して画面表示させるサーバ側情報処理部とを備え、
前記サーバ側情報処理部は、前記容器管理情報を前記容器情報毎に一覧表示する容器位置情報管理システム。
【請求項2】
前記格納部には、前記容器の
前記設置作業が行われる設置予定位置および設置予定時刻に関する予定情報が、前記容器情報に対応して予め格納されており、
前記サーバ側情報処理部は、前記容器情報毎に前記容器管理情報を前記予定情報と照合し、前記予定情報に合致しない前記容器管理情報を画面上で警告表示する請求項1に記載の容器位置情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ等の容器の位置情報を管理する容器位置情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナ荷役車輌により運搬されるコンテナの位置情報を管理するシステムとして、例えば特許文献1に開示された構成が知られている。特許文献1のコンテナ位置情報管理システムは、コンテナを特定するための特定情報媒体をコンテナに設ける一方、コンテナ荷役車輌には、特定情報媒体から情報を読み取りコンテナを特定する情報読み取り装置、および、現在の位置情報を認識する位置情報認識装置を設けている。このシステムによれば、コンテナを特定する特定情報と位置情報とを通信手段を介して基地局に送信し、当該基地局において各コンテナの位置情報を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のコンテナ位置情報管理システムは、コンテナの特定情報および位置情報の取得を、コンテナ荷役車輌が備える情報読み取り装置および位置情報認識装置によって行うように構成しているため、コンテナ荷役車輌を多数所有する場合には、それぞれに情報読み取り装置および位置情報認識装置を設ける必要があり、コスト高になるおそれがあった。
【0005】
また、コンテナの特定情報は、コンテナ荷役車輌を特定する車両番号と共に管理される一方で、コンテナを実際に運搬した運搬者は必ずしも特定されないことから、コンテナの管理を確実に行う上で更に改良の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、コンテナ等の容器の位置情報を低コストで確実に管理することができる容器位置情報管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、容器を車両に搭載して運搬する運搬者が携帯する運搬者端末が、ネットワークを介して情報管理サーバに接続された容器位置情報管理システムであって、前記運搬者端末は、容器に取り付けられた電子タグに格納された容器情報を読み取り可能な容器情報読取部と、全地球測位システムにより位置情報を取得する位置情報取得部と、運搬者が、車両に搭載した前記容器を所定の位置まで搬送し、現場での設置作業を完了した後に行う前記容器情報読取部による前記容器情報の読み取りに連動して、前記位置情報取得部による前記設置作業が行われた現場の位置情報の取得、および、前記容器情報を読み取った時の時刻情報の取得を行い、前記容器情報、位置情報および時刻情報を前記運搬者端末の端末情報と共に容器管理情報として前記情報管理サーバに送信する端末側情報処理部とを備え、前記情報管理サーバは、前記運搬者端末から送信された前記容器管理情報を格納する格納部と、前記格納部に格納された前記容器管理情報を読み出して画面表示させるサーバ側情報処理部とを備え、前記サーバ側情報処理部は、前記容器管理情報を前記容器情報毎に一覧表示する容器位置情報管理システムにより達成される。
【0008】
この容器位置情報管理システムにおいて、前記格納部には、前記容器の前記設置作業が行われる設置予定位置および設置予定時刻に関する予定情報が、前記容器情報に対応して予め格納されていることが好ましく、前記サーバ側情報処理部は、前記容器情報毎に前記容器管理情報を前記予定情報と照合し、前記予定情報に合致しない前記容器管理情報を画面上で警告表示することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器の位置情報を低コストで確実に管理することができる容器位置情報管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容器位置情報管理システムの全体構成図である。
【
図4】情報管理サーバの表示画面の一例を示す図である。
【
図5】情報管理サーバの表示画面の他の例を示す図である。
【
図6】情報管理サーバの表示画面の更に他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る容器位置情報管理システムの全体構成図である。
図1に示すように、容器位置情報管理システム1は、情報管理サーバ10および複数の運搬者端末20が、インターネット等のネットワーク2を介して接続されている。
【0012】
図2は、情報管理サーバ10のブロック図である。
図2に示すように、情報管理サーバ10は、サーバ側情報処理部11、入力部12、通信部13、出力部14および格納部15を備えている。サーバ側情報処理部11は、例えばCPUからなり、格納部15に記憶された各種プログラムを実行することにより機能する。入力部12は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等からなり、管理者が必要な情報を入力することができる。通信部13は、各運搬者端末20と通信するためのインターフェースである。出力部14は、例えばディスプレイからなり、管理者に対して情報を画面表示する。格納部15は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリからなり、サーバ側情報処理部11により実行されるオペレーティングシステムや各種プログラムの他、運搬者端末20から送信される情報を格納する。
【0013】
上記の構成を備える情報管理サーバ10は、事業所等に設置されるパーソナルコンピュータの他、携帯型のサーバ等であってもよい。
【0014】
図3は、運搬者端末20のブロック図である。
図3に示すように、運搬者端末20は、端末側情報処理部21、容器情報読取部22、通信部23、位置情報取得部24、時刻情報取得部25および記憶部26を備えている。端末側情報処理部21は、例えばCPUからなり、ウェブサーバ(図示せず)等からダウンロードして記憶部26に格納されたプログラムを実行することにより機能する。容器情報読取部22は、例えばNFC(近距離無線通信)リーダからなり、
図1に示すように、容器50に取り付けられたNFCタグからなる電子タグ51に接近することで、電子タグ51に格納されている容器情報を読み取る。通信部23は、管理サーバ10と通信するためのインターフェースである。位置情報取得部24は、
図1に示すように、GPS(全地球測位システム)を利用してGPS衛星52からのGPS信号を受信し、現在の位置情報を取得する。時刻情報取得部25は、例えば時刻を計時するタイマからなり、現在の時刻情報を取得する。記憶部26は、例えばハードディスクドライブや不揮発性メモリからなり、端末側情報処理部21により実行されるオペレーティングシステムやプログラムを格納する。なお、時刻情報取得部25は、タイマの代わりに、ネットワーク2を介して接続された時刻サーバ(図示せず)やGPS衛星52等から時刻情報を受信することも可能である。
【0015】
上記の構成を備える運搬者端末20は、スマートフォンやタブレット端末のように容器の運搬者が携帯可能なモバイル端末を好ましく例示することができ、一般的なスマートフォンやタブレット端末が内蔵する機器を利用して実現することができる。
【0016】
次に、上記の構成を備える容器位置情報管理システム1の作動を説明する。
図1に示すように、位置情報を管理する複数の容器50には、各容器50を識別するための容器情報が格納されたNFCタグ等の電子タグ51を、予め取り付けておく。容器50は、本実施形態においては、車両に搭載して運搬されるコンテナとしているが、特に限定されるものではなく、コンテナ以外に、例えば、リサイクル資源や廃棄物等を分別回収するための分別容器や、折り畳み可能なフレキシブルコンテナバッグ(フレコンバッグ)等であってもよい。
【0017】
運搬者は、容器50を所定の位置まで搬送し、現場での設置作業が完了すると、運搬者端末20の容器情報読取部22を、容器50の電子タグ51に近づける。これにより、容器情報読取部22が電子タグ51との間で通信を行い、電子タグ51に格納されている容器情報を読み取る。端末側情報処理部21は、容器情報の取得に連動して、位置情報取得部24がGPS衛星52から受信したGPS信号に基づき現在の位置情報を取得すると共に、時刻情報取得部25から現在の時刻情報を取得し、容器情報、位置情報および時刻情報を、運搬者端末20の端末情報と共に、容器管理情報として情報管理サーバ10に送信する。端末情報は、送信した運搬者端末20を識別するための情報であり、例えば、運搬者端末20に付与されている個体識別番号である。
【0018】
情報管理サーバ10は、運搬者端末20から容器管理情報を受信すると、サーバ側情報処理部11が容器管理情報を格納部15に格納する。管理者は、入力部12の操作によって、格納部15に格納されている容器管理情報を出力部14に画面表示し、管理者の希望に応じて容器管理情報に必要な情報を付加することができる。こうして、管理者により適宜編集された容器管理情報は、サーバ側情報処理部11によって、出力部14に容器情報毎に一覧表示される。
【0019】
図4は、情報管理サーバ10の出力部14に一覧表示された容器管理情報の一例を示す図である。
図4において、「容器No.」、「車両クラス」および「容量区分」は、運搬者端末20から受信した容器管理情報に基づいて表示される。「運搬者」および「設置日時」は、それぞれ運搬者端末20から受信した端末情報および時刻情報に基づいて表示される。「排出元」、「担当者」および「メモ」は、管理者が入力部12から入力した情報に基づいて表示され、例えば、容器50の修理履歴等の特記事項を「メモ」欄に表示することができる。
【0020】
一方、運搬者端末20から受信した位置情報は、
図5に示すように出力部14に表示された地図上に、容器No.と共にマーカで表示される。このように、容器50の位置情報を地図上に表示する場合には、現在の位置だけでなく、破線のマーカで示すように過去の位置も同じ地図上に表示させることができ、管理者が容器50の使用履歴を容易に把握することができる。但し、容器50の位置情報を、地図上の表示に代えて、あるいは地図上の表示と共に、
図4に示す一覧表の中に含めることも可能であり、例えば経度および緯度として表示することができる。
【0021】
サーバ側情報処理部11は、
図4および
図5に示す容器管理情報を出力部14に表示すると共に、運搬者端末20からのアクセスに応じて、運搬者端末20に画面表示させる。これにより、関係者の居場所に拘らず、容器管理情報を関係者全員で容易に共有することができる。
【0022】
本実施形態の容器位置情報管理システム1は、容器の運搬者が携帯する運搬者端末20を利用して、容器毎の容器管理情報を容易に取得して情報管理サーバ10に格納することができるので、容器が多数存在する場合でも、各容器の位置情報を低コストで確実に管理することができる。
【0023】
また、容器管理情報には、運搬者を識別可能な端末情報が含まれているため、容器に不測の事態が生じた場合でも、当該容器を運搬した運搬者に対して迅速に問い合わせ等を行うことができる。
【0024】
格納部15には、容器情報に対応させて、容器の設置予定位置および設置予定時刻に関する予定情報を予め格納してもよい。サーバ側情報処理部11は、容器情報毎に容器管理情報を予定情報と照合し、設置予定時刻を過ぎても設置予定位置に設置されていない等、予定情報に合致しない容器管理情報があれば、
図6に示す「容器2」のように、画面上で色を変える等して警告表示する。このように、正しく設置されていない容器を、運搬者と共に迅速に把握できるように構成することで、容器の管理をより的確に行うことができ、例えば不法投棄等を抑制することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 容器位置情報管理システム
10 情報管理サーバ
11 サーバ側情報処理部
15 格納部
20 運搬者端末
21 端末側情報処理部
22 容器情報読取部
24 位置情報取得部
25 時刻情報取得部