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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】排水検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20231031BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N21/27 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019180175
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056122
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】391031155
【氏名又は名称】株式会社日本フォトサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
(72)【発明者】
【氏名】山越 裕司
(72)【発明者】
【氏名】石井 新
(72)【発明者】
【氏名】馬場 正彦
(72)【発明者】
【氏名】西ヶ谷 明弘
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-263723(JP,A)
【文献】特開2016-180609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0120760(US,A1)
【文献】特開2009-125649(JP,A)
【文献】特開2010-145252(JP,A)
【文献】岡崎 良生ほか,小規模な乳製品工場の排水 : -酪農学園大学乳製品実習室を事例として-,酪農学園大学紀要 自然科学編,2002年,第26巻,第2号,PP.149-153
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
C02F 1/00
C02F 1/66-C02F 1/68
G01N 33/00-G01N 33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の製造ラインを使用して製造すべき飲料の種類を切り替えることにより、特定の複数種類の飲料を選択的に製造する飲料工場において、該飲料に由来する排水を検査するための排水検査装置であって、前記特定の複数種類の飲料にはノルマルヘキサンを含む飲料が含まれており、
前記排水の試料を導入する検査流路と、
前記検査流路内の試料に少なくとも2つの異なる波長の光線を照射し、該試料の透過率又は吸光度を前記少なくとも2つの異なる波長毎に測定する光測定器と、
前記光測定器による各波長の測定結果の組み合わせに基づき、前記排水の種別を判定する判定回路であって、波長ごとの所定の閾値と当該波長の前記測定結果との比較に基づき、各波長に対応付けられた所定の排水種別を判定する第1判定処理と、特定の2つの波長の前記測定結果の比に基づき、前記所定の排水種別とは異なる特定の排水種別を判定する第2判定処理と、前記1及び第2判定処理のいずれによっても判定し得なかった前記排水の種別をノルマルヘキサンを含む排水種別とみなして判定する第3判定処理を行う前記判定回路、
を備える排水検査装置。
【請求項2】
前記光測定器は、略190nm乃至略1100nmの範囲から選ばれた波長を測定対象とする、請求項1の排水検査装置。
【請求項3】
前記光測定器は、略310nm、略365nm、略405nmの波長を測定対象とする、請求項2の排水検査装置。
【請求項4】
前記検査路は透光素材からなる、請求項1乃至3のいずれかの排水検査装置。
【請求項5】
前記光測定器は、前記各波長に対応して設けられた、複数の異なる光測定ユニットからなる、請求項1乃至4のいずれかの排水検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の排水種別を光学的に判別する排水検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料工場では複数の種類の飲料を製造しており、たとえば、コーヒー飲料、ミルク入り飲料、スポーツ飲料、その他飲料などがある。共通のプラント(製造ライン)において製造すべき飲料の種別を切り替えることが行われる。その際、ライン洗浄などを行うので排水が発生し、該排水は該ラインで直前まで製造していた飲料に由来する汚れを有する。このような排水は、所定の排水基準を考慮して必要に応じた処理を行った後、河川などの公共用水域に放流される。この排水基準には生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、ノルマルヘキサン抽出物質含有量(動植物油脂類含有量)などの項目があるが、色度の項目はない。排水処理の一つとして生物処理が行われる。生物処理設備では担体に担持された好気性微生物が有機物を分解している。
【0003】
ところで、ミルク入り飲料にはノルマルヘキサンが含まれている。生物処理設備にノルマルヘキサンが流れると好気性微生物が担持された担体を覆うようにノルマルヘキサンがかぶさり、好気性微生物に酸素が届かなくなる。その結果、好気性微生物が死滅して微生物処理が不十分になったり、設備内で嫌気性微生物が繁殖することで、処理済み排水が硫化水素の臭いを発したりする問題が生じる。したがって、少なくとも生物処理設備の前段階でノルマルヘキサン除去処理を行うことが望まれる。しかし、全ての排水に対してノルマルヘキサン処理を行うことは無駄であり非効率であることから避けたいところであるから、排水がミルク入り飲料等、ノルマルヘキサンを含む飲料であることを自動的に判別することが望ましい。
【0004】
また、コーヒー飲料由来の排水ではBOD、CODなどは排水基準を満たしていても、脱色ができていないので、そのまま放流するには周辺住民からの印象が悪い。したがって、コーヒー飲料等、高色度飲料(着色飲料)に由来する排水に対しては、排水基準に色度項目がなくても、適切な脱色処理を行うことが好ましい。しかし、高色度飲料(着色飲料)に由来していない排水に対しても脱色処理を行うことは無駄であるから、排水がコーヒー飲料等、高色度飲料(着色飲料)であることを自動的に判別することが望ましい。以上に鑑みて、共通の排水経路に排出される排水が、複数の排水種別のいずれに該当するかを自動的に判別することが望まれる。
【0005】
排水検査に関する従来技術としては、例えば、下記特許文献1~7に示すようなものがある。特許文献1は、被測定液に光を照射し、透過光及び散乱光の少なくとも一方を受光し、工場排水等の濁度を測定する光学式水質測定装置を開示している。特許文献2は、工場排水等の醗酵により発生するメタン生成菌の数又は活性を光学的に計測する微生物活性計測装置を開示している。特許文献3は、工場排水中の糖分を、2つの異なる波長の透過光量の相違に基づき測定することを開示している。特許文献4は、偏光解消法を用いて濁度を計測する濁度計を開示している。特許文献5は、可視光を含む光を分光せずに試料の流れるフローセルに投射し、透過率又は吸光度にもとづいて試料の着色度を測定することを開示している。特許文献6は、有機汚濁物質の濃度検出を特定波長の透過光量にもとづき行うことを開示している。特許文献7は、蛍光光の分光分析により有害物質の種類を判定することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭59-34135号
【文献】特開平01-250044号
【文献】特開平04-328453号
【文献】特開平05-72129号
【文献】特開平07-43302号
【文献】特開2000-266677号
【文献】特開2018-194296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
試料の特定の波長に対する透光率若しくは吸光度を単純に閾値と比較するだけでは、ミルク入り飲料のようなノルマルヘキサンを含む排水を容易には判別することが困難である。他方、化学的成分分析は簡便な手法とは言えない。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡素な構成により、複数の排水種別を光学的に判別する排水検査装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る排水検査装置は、共通の製造ラインを使用して製造すべき飲料の種類を切り替えることにより、特定の複数種類の飲料を選択的に製造する飲料工場において、該飲料に由来する排水を検査するための排水検査装置であって、前記特定の複数種類の飲料にはノルマルヘキサンを含む飲料が含まれており、前記排水の試料を導入する検査流路と、前記検査流路内の試料に少なくとも2つの異なる波長の光線を照射し、該試料の透過率又は吸光度を前記少なくとも2つの異なる波長毎に測定する光測定器と、前記光測定器による各波長の測定結果の組み合わせに基づき、前記排水の種別を判定する判定回路であって、波長ごとの所定の閾値と当該波長の前記測定結果との比較に基づき、各波長に対応付けられた所定の排水種別を判定する第1判定処理と、特定の2つの波長の前記測定結果の比に基づき、前記所定の排水種別とは異なる特定の排水種別を判定する第2判定処理と、前記1及び第2判定処理のいずれによっても判定し得なかった前記排水の種別をノルマルヘキサンを含む排水種別とみなして判定する第3判定処理を行う前記判定回路、を備える。本発明によれば、各波長の光学的測定結果の組み合わせに基づき排水の種別を判定するので、簡素な構成によって、複数の排水種別を光学的に判別することができ、特に、ノルマルヘキサンを含む排水種別を簡便に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る排水検査装置の概略図。
図2】複数の排水種別に関して、310nm、365nm、405nmの3種の波長を用いて検査した場合の各波長の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図3】310nm波長の測定結果と405nm波長の測定結果の比を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1において、本発明の一実施例に係る排水検査装置は、検査すべき排水の試料を導入する検査流路10と、検査流路10内の試料に少なくとも2つの異なる波長の光線を照射し、該試料の透過率又は吸光度を前記少なくとも2つの異なる波長毎に測定する光測定器20と、光測定器20による各波長の測定結果の組み合わせに基づき、前記排水の種別を判定する判定回路30を備える。
【0012】
検査流路10は、ガラス管、石英管、あるいはフッ素樹脂管など、光透過性の材質で形成されてなり、管のように断面が円形のものに限らず、断面が四角形等であってもよい。検査流路10の両端には入口11aと出口11bが設けられ、検査すべき排水の試料を入口11aから検査流路10内に導入し、出口11bから排出する。
【0013】
光測定器20は、検査流路10内の試料に少なくとも2つの異なる波長の光線を照射し、該試料の透過率又は吸光度を各波長毎に測定するように構成されていればよい。光測定器20が測定対象とする波長は、検査対象の排水の性格に応じて、略190nm乃至略1100nmの範囲(略近紫外線から近赤外線にわたる領域)から選ばれた適宜の波長であってよい。図示例において、光測定器20は、4つの光測定ユニット21、22、23、24を含んでおり、各光測定ユニット21、22、23、24は、測定すべき複数の異なる波長に対応して設けられる。
【0014】
各光測定ユニット21~24は、1対の発光源21a、22a、23a、24a及び受光部(光センサ)21b、22b、23b、24bからなる。対をなす発光源21a、22a、23a、24aの発光面と受光部21b、22b、23b、24bの受光面は、検査流路10をその間に挟んで、対向している。したがって、各発光源21a、22a、23a、24aから発された光は、検査流路10内の試料を透過して、それに対応する受光部21b、22b、23b、24bによって受光される。各光測定ユニット21~24の各発光源21a~24aは、当該光測定ユニットが測定すべき所定の波長を含む光線を発光しうるものであり、例えばLED(発光ダイオード)あるいはその他の発光ランプ又は素子によって構成される。また、各光測定ユニット21~24の各受光部21b~24bは、当該光測定ユニットが測定すべき所定の波長の光を感知し得るように構成される(例えば、適宜の光学フィルタを含んでいてよい)。こうして、各光測定ユニット21~24は、発光源21a~24aと受光部21b~24bの組み合わせにより、当該光測定ユニットが測定すべき所定の波長の光線を選択的に測定しうるように構成される。各受光部21b~24bが受光するのは検査流路10内の試料を透過した光線であるから、各光測定ユニット21~24の受光部21b~24bは、検査流路10内の試料の透過率又は吸光度(以下、単に「吸光度」という)に応じた測定結果を生成する。
【0015】
なお、対応する発光源21a~24aと受光部21b~24bの間の光軸方向における検査流路10内の液厚(円管の場合は内径)は、透過光の測定に適した寸法であればよく、例えば、0.1cm乃至10cm程度の範囲内であればよい。また、各光測定ユニット21~24における発光源21a~24aと受光部21b~24bとの間の距離、各発光源21a~24aと検査流路10との間の距離、検査流路10と各受光部21b~24bとの間の距離は、各発光源21a~24aの光出力及び/又は各受光部21b~24bの感度などに依存して、適宜に規定され得る。また、発光源21a~24aと受光部21b~24bとの間の距離を相対的に短く設定してコンパクトな構成としたい場合は、発光源21a~24aからの発光量を少なくするか、あるいは受光部21b~24bの最前面に減光用フィルムを設けるなどの工夫を施してよい。
【0016】
各光測定ユニット21~24の受光部21b~24bで生成した所定波長毎の測定結果のデータは、判定回路30に供給される。判定回路30は、供給された所定波長毎の測定結果の組み合わせに基づき、試料として検査流路10に現在導入されている排水の種別を判定する。
【0017】
この実施例に係る排水検査装置は、一例として、複数種類の飲料を処理する飲料工場において、飲料排水の種別を判別するために使用され得る。当該飲料工場において、たとえばコーヒー飲料、ミルク入り飲料、スポーツ飲料、その他飲料など複数種類の飲料を処理することが可能である場合、共通のプラント(製造ライン)において製造すべき飲料の種別を切り替えることが行われる。その際、ライン洗浄などを行うので排水が発生し、該排水は該ラインで直前まで製造していた飲料に由来する汚れを有する。この実施例に係る排水検査装置によれば、その都度の排水がどのような種類の飲料に由来する排水であるかを、簡便に自動的に判別することができる。
【0018】
飲料工場における飲料排水の処理は、たとえば排水原水を生物処理、凝集沈殿、生物処理、活性炭処理の順で処理することで行われる。この実施例に係る排水検査装置のための排水試料はこの排水処理工程のどの過程から採水してもよい。以下述べる実験例では、検査流路10内の液厚(円管の場合は内径)を略1cmに構成し、検査流路10に導入する排水試料として排水原水を用い、310nm、365nm、405nmの3種の波長を用いて当該試料の各波長の吸光度を測定した。また、この実験例においては、コーヒー飲料2種類、スポーツ飲料1種類、ミルク入り飲料3種類、緑茶飲料3種類の合計9種類の飲料にそれぞれ由来する異なる種別の排水を、試料として、それぞれ測定した。なお、310nm、365nm、405nmの3種の波長についての測定のためには、図1に示した4つの光測定ユニット21~24のうち3つを用いればよい。
【0019】
図2(a)は、上記条件に従う実験例における310nmの波長についての測定結果(例えば光測定ユニット21の測定結果)を示し、横軸は上記9種類の各飲料に由来する排水試料を示し、縦軸は各排水試料について測定された吸光度を示す。なお、縦軸の吸光度の数値「3」は、測定可能な吸光度の上限値を示す。図中、「コーヒーB」は糖分無しのコーヒー飲料、「コーヒー糖」は糖分有りコーヒー飲料、「緑茶B」、「緑茶E」、「緑茶C」は3種の緑茶飲料、「スポーツD」はスポーツ飲料、「ミルクティ」、「カフェオレ」、「ココア」は3種のミルク入り飲料、を示す。なお、コーヒー飲料は高色度飲料であり、スポーツ飲料は低色度飲料である。また、緑茶飲料は中間色度飲料である。
【0020】
図2(a)を参照すると、「コーヒーB」及び「コーヒー糖」のみが吸光度の上限値に達しており、このことから、比較的単純な閾値比較に基づき、310nmの波長によってコーヒー飲料に由来する排水種別を判別できることが判る。また、「スポーツD」のみがその他よりも低い吸光度を示しており、このことから、比較的単純な閾値比較に基づき、310nmの波長によってスポーツ飲料に由来する排水種別を判別できることが判る。
【0021】
図2(b)は、上記条件に従う実験例における365nmの波長についての測定結果(例えば光測定ユニット22の測定結果)を示す。図2(b)を参照すると、「コーヒーB」及び「コーヒー糖」のみ、その吸光度が他よりもかなり高い(2.5以上)ので、比較的単純な閾値比較に基づき、365nmの波長によってもコーヒー飲料に由来する排水種別を判別できることが判る。また、「スポーツD」のみがその他よりも低い吸光度を示しているので、比較的単純な閾値比較に基づき、365nmの波長によってもスポーツ飲料に由来する排水種別を判別できることが判る。
【0022】
図2(c)は、上記条件に従う実験例における405nmの波長についての測定結果(例えば光測定ユニット23の測定結果)を示す。図2(c)を参照すると、「コーヒー糖」のみ、その吸光度が他よりもかなり高い(2.0以上)ことが判る。したがって、比較的単純な閾値比較に基づき、405nmの波長によって「コーヒー糖」飲料に由来する排水種別を判別できることが判る。
【0023】
以上のように、コーヒー飲料(高色度飲料)に由来する排水種別及びスポーツ飲料(低色度飲料)に由来する排水種別は、特定波長の測定結果を比較的単純な閾値と比較することに基づき判別し得ることが判る。しかし、ミルク入り飲料のようなノルマルヘキサンを含む排水は単純な閾値比較によっては判別し得ない。すなわち、濁度(吸色度)測定だけでは、緑茶飲料のような中間色度飲料排水とミルク入り飲料のようなノルマルヘキサンを含む飲料排水の区別を行うことができない。
【0024】
この実施例に係る排水検査装置は、判定回路30において、各波長の測定結果の組み合わせに基づき、単純な閾値比較によっては判別困難であった特定の排水種別を判別できるようにしている。そのための一手法として、判定回路30は、少なくとも2つの異なる波長の測定結果を演算することに基づき、特定の排水の種別を判定するようにしている。更に具体的には、判定回路30は、特定の2つの異なる波長の測定結果の比に基づき、特定の排水の種別を判定するようにしている。
【0025】
図3は、特定の2つの異なる波長の測定結果の比を求めるべく、判定回路30で行われた演算結果を示すグラフであり、具体的には、図2(a)及び(c)に示された310nm波長の測定結果と405nm波長の測定結果の比(310nm/405nm)を示すグラフである。図3において、縦軸は求められた比の値を示す。図3を参照すると、緑茶飲料のみ、その比が他よりもかなり高い(3.0以上)ことが判る。したがって、310nm波長の測定結果と405nm波長の測定結果の比(310nm/405nm)に基づき、緑茶飲料に由来する排水種別を判別できることが判る。
【0026】
以上のように、判定回路30は、[判定1]310nm又は365nmの波長による測定結果に基づいてコーヒー飲料(高色度飲料)に由来する排水種別及びスポーツ飲料(低色度飲料)に由来する排水種別を判別することができ、[判定2]405nmの波長による測定結果に基づいて糖分を含むコーヒー飲料に由来する排水種別を判別することができ、[判定3]310nm波長の測定結果と405nm波長の測定結果の比(310nm/405nm)に基づき、緑茶飲料に由来する排水種別を判別できる。この実験例において、上記判定1乃至3のいずれにも該当しないものは、「ミルクティ」、「カフェオレ」、「ココア」のミルク入り飲料である。したがって、判定回路30は、更に、[判定4]検査流路10に導入された排水試料が上記判定1乃至3のいずれにも該当しない場合は、ミルク入り飲料に由来する排水種別(つまり、ノルマルヘキサンを含む排水)であると判別することができる。このように、判定回路30は、各波長の測定結果の組み合わせに基づき4種類の上記判定1乃至4を行うことができ、もって、単純な閾値比較によっては判別困難であった特定の排水種別(すなわち、ノルマルヘキサンを含む排水)を判別することができる。
【0027】
このように、本実施例によれば、ノルマルヘキサンを含む排水を簡易な構成で検査/判別することができるので、この検査/判別に基づき、ノルマルヘキサンを含む排水のみに対してノルマルヘキサン処理を効率的に行うことができる。
【0028】
上記実施例において例示した排水種別は一例にすぎず、これに限らず、どのような排水種別を検査/判別するためにおいても本発明をできる。また、上記実施例においては、光測定器20は、異なる蜂用に対応する複数の光測定ユニット21~24で構成されているが、これに限らない。また、判定回路30は、上記判定1乃至4を実行するためのソフトウェア・プログラムと該プログラムを実行するプロセッサとによって構成し得るし、それに限らず、上記判定1乃至4を行う実行するように構成された専用回路によっても構成し得る。
【符号の説明】
【0029】
10 検査流路
11a 試料の入口
11b 試料の出口
20 光測定器
21、22、23、24 光測定ユニット
21a、22a、23a、24a 発光源
21b、22b、23b、24b 受光部
30 判定回路
図1
図2
図3