(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】溶解保持炉、溶解保持炉の封鎖壁
(51)【国際特許分類】
F27B 3/10 20060101AFI20231031BHJP
F27B 3/04 20060101ALI20231031BHJP
F27D 27/00 20100101ALI20231031BHJP
【FI】
F27B3/10
F27B3/04
F27D27/00
(21)【出願番号】P 2019213142
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000141808
【氏名又は名称】株式会社宮本工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110002712
【氏名又は名称】弁理士法人みなみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 千佳司
(72)【発明者】
【氏名】水上 正人
(72)【発明者】
【氏名】山下 篤
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-096403(JP,A)
【文献】特開2010-281474(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108332569(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 1/00- 3/28
F27D 17/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯を保持する保持室と、処理材を溶解させる第1の溶解室と、第1の溶解室から保持室に溶湯を送り出す
と共に第1の溶解室と保持室に通じる往路と、保持室から第1の溶解室に溶湯を引き入れる
と共に保持室と第1の溶解室とに通じる復路と、第1の溶解室の内部に溶湯とは隔離して設置されると共に溶湯を撹拌して第1の溶解室と保持室
と往路と復路で溶湯を循環させる非接触型スターラとを備え、
第1の溶解室は、環状の外周壁と、外周壁の内部に配置される環状の内周壁であってその内部に非接触型スターラが配置される内周壁と、往路と復路から溶湯が出入りする状態を保持しながら内周壁と外周壁の間をその周方向の一部において封鎖すると共に着脱可能に設置された封鎖壁とを備えることを特徴とする溶解保持炉。
【請求項2】
往路と復路のうち一方と保持室との間において処理材を溶解させる第2の溶解室を備え、
第2の溶解室は
、往路と復路のうち前記一方と保持室に通じると共に、平面視した面積を第1の溶解室よりも広くしてあり、
非接触型スターラは、溶湯を撹拌して第1の溶解室と保持室と第2の溶解室と往路と復路で溶湯を循環させることを特徴とする請求項1に記載の溶解保持炉。
【請求項3】
溶湯を保持する保持室、外周壁と内周壁との間に溶湯を収容して処理材を溶解する第1の溶解室、第1の溶解室から保持室に溶湯を送り出す
と共に第1の溶解室と保持室に通じる往路、保持室から第1の溶解室に溶湯を引き入れる
と共に保持室と第1の溶解室とに通じる復路、内周壁の内部に設置されると共に溶湯を撹拌して第1の溶解炉と保持室
と往路と復路で溶湯を循環させる非接触型スターラを備える溶解保持炉に用いられるものであって、
外周壁と内周壁との間に着脱可能に設置され、且つ外周壁と内周壁の間をその周方向の一部において封鎖しながら溶湯が往路と復路から出入りする状態を保持することを特徴とする溶解保持炉の封鎖壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にアルミニウム合金に代表される非鉄金属の処理材(切削屑、飲料缶、破砕材や長尺材等)を溶解して保持する溶解保持炉、および溶解保持炉の一部を封鎖する封鎖壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の溶解保持炉として、溶湯を貯留する(保持する)貯留室と、渦流によって処理材を溶解する渦室(溶解室)とを備えるものが知られている(特許文献1,2)。渦室は、環状の外周壁と、外周壁の中心部に設置された環状の内周壁とを備える。そして内周壁の内部には非接触型スターラが設置され、非接触型スターラが渦室の内部の溶湯に渦流を発生させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-12950号公報
【文献】特開2011-12951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
渦室(溶解室)は、その内部に筒状の空間部が形成され、当該空間部に溶湯が収容される。この溶解室は、収容される溶湯の渦流によって、処理材を積極的に溶解させる役割と溶湯を循環させる役割、つまり二つの役割を果たすものである。
ところで溶解室に、二つの役割のうち溶湯を循環させる役割を主として果たさせようとした場合、溶解室で渦流を発生させて処理材を積極的に溶解させなくても良い。また溶解室(渦室)以外の第2の溶解室が溶湯の循環経路に配置された溶解保持炉の場合には、第2の溶解室でも処理材を積極的に溶解させることができるので、溶解室(渦室)内での溶湯の渦流が必要ではない場合も想定される。
そして溶解室が果たす役割を選択できる構成であれば、溶解保持炉の用途が拡張し、例えば非接触型スターラの運転の仕方を適切なものとすることができるし、溶湯の貯留室(保持室)の温度制御を適切なものとすることができる。
【0005】
本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は、溶解保持炉の溶解室が果たす役割を選択できる構成にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の溶解保持炉は、溶湯を保持する保持室と、処理材を溶解させる第1の溶解室と、第1の溶解室から保持室に溶湯を送り出すと共に第1の溶解室と保持室に通じる往路と、保持室から第1の溶解室に溶湯を引き入れると共に保持室と第1の溶解室とに通じる復路と、第1の溶解室の内部に溶湯とは隔離して設置されると共に溶湯を撹拌して第1の溶解室と保持室と往路と復路で溶湯を循環させる非接触型スターラとを備えることを前提とする。そのうえで第1の溶解室は、環状の外周壁と、外周壁の内部に配置される環状の内周壁であってその内部に非接触型スターラが配置される内周壁と、往路と復路から溶湯が出入りする状態を保持しながら内周壁と外周壁の間をその周方向の一部において封鎖すると共に着脱可能に設置された封鎖壁とを備えるものとする。
【0007】
溶解保持炉は、第1の溶解室とは別の溶解室を備えるか否かを問わない。そして別の溶解室を備える場合の一例は以下の通りである。
本発明の溶解保持炉は、保持室・第1の溶解炉・往路・復路の他に、往路と復路のうち一方と保持室との間において処理材を溶解させる第2の溶解室を備える。そして第2の溶解室は、往路と復路のうち前記一方と保持室に通じると共に、平面視した面積を第1の溶解室よりも広くしてあるものとする。そして、非接触型スターラは、溶湯を撹拌して第1の溶解室と保持室と第2の溶解室と往路と復路で溶湯を循環させる。
【0008】
本発明は上記した溶解保持炉だけでなく、着脱可能な封鎖壁をも対象とする。
すなわち、本発明の封鎖壁が用いられる溶解保持炉は、溶湯を保持する保持室、外周壁と内周壁との間に溶湯を収容して処理材を溶解する第1の溶解室、第1の溶解室から保持室に溶湯を送り出すと共に第1の溶解室と保持室に通じる往路、保持室から第1の溶解室に溶湯を引き入れると共に保持室と第1の溶解室とに通じる復路、内周壁の内部に設置されると共に溶湯を撹拌して第1の溶解炉と保持室と往路と復路で溶湯を循環させる非接触型スターラを備える。そのうえで本発明の封鎖壁は、外周壁と内周壁との間に着脱可能に設置され、且つ外周壁と内周壁の間をその周方向の一部において封鎖しながら溶湯が往路と復路から出入りする状態を保持するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の溶解保持炉、封鎖壁によれば、封鎖壁が第1の溶解室から取り外された場合には、第1の溶解室で溶湯を撹拌して渦流を発生させることによって、処理材の溶解と溶湯の循環という二つの役割を第1の溶解室に果たさせることができ、封鎖壁が第1の溶解室に取り付けられた場合には、第1の溶解室で渦流を発生できないので、溶湯の循環という役割を主として第1の溶解室に果たさせることができる。
【0010】
また本発明の溶解保持炉は、平面視した面積を第1の溶解室よりも広くした第2の溶解室を備えるものであれば、封鎖壁が第1の溶解室から取り外された場合には、第1の溶解室と第2の溶解室とで、各々の面積に応じた処理材を溶解させられるし、封鎖壁が第1の溶解室に取り付けられた場合には、第2の溶解室で処理材を溶解させられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態の溶解保持炉を示す水平方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一実施形態の溶解保持炉は、例えばアルミニウム合金の溶湯が収容される構造物として、
図1~4に示すように、処理材を溶解させる第1の溶解室1と、処理材を溶解させる第2の溶解室2と、溶湯を保持する保持室3と、第1の溶解室1から保持室3に向かう途中の第2の溶解室2へ溶湯を送り出す往路4と、第2の溶解室2から保持室3へ溶湯を送り出す中継路5と、保持室3から第1の溶解室1に溶湯を引き入れる復路6とを備える。ちなみにこれら構造物は、耐火物(耐火キャスタブル等)であり、その底面は床7によって形成される。なお
図2~4では溶湯は符号Lで示されている。
【0013】
また第一実施形態の溶解保持炉は、
図1においては平面視して矩形状の区画に設置される。便宜上、この矩形の区画を設置区画と称する。矩形状の設置区画は、設置区画よりも小さな矩形状の4つの区画(以下、「小区画」と称する。)により構成されている。この4つの小区画は、設置区画の矩形状の4つの角部に対応する位置に隣り合わせに配置されている。そして4つの小区画のうち隣り合う2つの小区画には保持室3が形成される。この保持室3用の2つの小区画は全体として矩形状であり、その矩形状の面積は残りの2つの小区画の合計面積よりも大きく形成されている。また隣り合う残りの2つの小区画のうち一方の小区画には第1の溶解室1が形成され、他方の小区画には第2の溶解室2が形成される。なお第1の溶解室1用の小区画は、第2の溶解室2用の小区画よりも小さく形成されている。
【0014】
保持室3は、床7の一部分の他に、床7の当該一部分の外周に沿って直立する側壁8と、側壁8で囲まれた空間の上方を覆う天井9とから構成される。また図示しないが、保持室3には溶湯に熱を供給するための熱源を設置してある。ちなみに本実施形態では天井9にバーナを設置してあるものとする。
【0015】
側壁8は、平面視して矩形状であって、その一側面の上部を開閉可能としたものである。より詳しくは、側壁8は、平面視して矩形の側壁本体8aであってその一側面の上部に開口部8bが形成された側壁本体8aと、開口部8bを開閉可能な扉8cとから構成される。
図1では側壁本体8aは、その上部において平面視してコ字状に形成されている。
【0016】
第1の溶解室1は、床7の一部分の他に、床7の当該一部分の外周に沿って直立する外周壁11と、外周壁11の内部に着脱可能に設置される断熱ケース12とを備える。
外周壁11は環状であり、その内面は平面視して円形となっている。また外周壁11のうち保持室3側は、保持室3の側壁8と一体に形成される。
断熱ケース12は、環状の内周壁13と、内周壁13の下端の開口端を塞ぐ底14とを備える。内周壁13が外周壁11の中心部に配置されることから、内周壁13と外周壁11とは同心状となる。また本実施形態では内周壁13の環状とは円形状である。
【0017】
また第1の溶解室1は、床7・外周壁11・断熱ケース12の他に、往路4と復路6から溶湯が出入りする状態を保持しながら内周壁13と外周壁11の間をその周方向の一部において封鎖する(仕切る)封鎖壁16とを備える。なお内周壁13と外周壁11との間の空間部は、封鎖壁16の設置の有無に関係なく溶湯が常時収容される部分と、封鎖壁16を設置する部分とに分かれる。そして溶湯が常時収容される部分を含む形で溶湯の循環路が形成される。また循環路に対して内側に封鎖壁16を設置する部分が配置される。
【0018】
封鎖壁16は、平面視して円弧の帯状の耐火物である。封鎖壁16の帯状の幅は、外周壁11と内周壁13との間隔よりも僅かに短い幅としてある。封鎖壁16の帯状の周方向の長さは、往路4と復路6との間隔に一致する長さとしてある。
封鎖壁16と断熱ケース12は、床7の上に単に置くことにより、着脱可能に設置される。ちなみに設置する(取り付ける)場合及び撤去する(取り外す)場合には封鎖壁16を吊り下げて運搬する。
【0019】
また封鎖壁16と断熱ケース12は、前述したように耐火物(耐火キャスタブル等)であり、充分に重く、断熱ケース12(内周壁13)と外周壁11との間に収容される溶湯によって動くことは無い。また第1の溶解室1は、封鎖壁16を取り外した状態では、外周壁11と内周壁13との間に円筒状の空間部が形成され、この円筒状の空間部に収容された溶湯に向かって、その上側から処理材が投入される。
【0020】
第2の溶解室2は、床7の一部分の他に、床7の当該一部分の外周に沿って直立する壁17を備える。壁17のうち保持室3側は、保持室3の側壁8と一体に形成される。また壁17のうち第1の溶解室1側は、外周壁11と一体に形成され、壁17の他の部分(第1の溶解室1側以外の部分)よりも薄く形成されている。
また本実施形態では壁17(第2の溶解室2)の内周面は平面視して矩形状になっている。そして矩形状の四辺のうち対向する二辺は、外周壁11の内径と同じ程度の長さとし、四辺のうち残りの二辺は、当該内径よりも長くしてある。したがって平面視した面積に関して第2の溶解室2は第1の溶解室1よりも広くなっている。よって第2の溶解室2には第1の溶解室1に投入する処理材よりも大きな処理材を投入するのに適している。例えば第1の溶解室1には切削粉を投入し、第2の溶解室2にはスクラップ材を投入する。第2の溶解室2は、直方体状の空間部が形成され、その空間部に収容された溶湯に向かって、その上側から処理材が投入される。
【0021】
中継路5は、第2の溶解室2と保持室3とを繋ぐ通路によって形成される。
また往路4と復路6は、第1の溶解室1と保持室3とを直通する通路と、第1の溶解室1と第2の溶解室2とを直通する通路とによって形成される。本実施形態では、第1の溶解室1、第2の溶解室2、保持室3、第1の溶解室1の順に溶湯が流れるものとする。したがって第1の溶解室1と第2の溶解室2とを直通する通路は往路4になり、第1の溶解室1と保持室3とを直通する通路は復路6になる。なお中継路5・往路4・復路6は、床7の上において各種の壁(側壁8・外周壁11・壁17)を貫通する形で形成される。
【0022】
また本発明の第一実施形態の溶解保持炉は、上記した構造物の他に、保持室3内を加熱する熱源としてのバーナ(図示略)と、第1の溶解室1内の溶湯を撹拌して溶湯を第1の溶解室1・第2の溶解室2・保持室3で循環させる撹拌装置21とを備える。
【0023】
撹拌装置21は、内周壁13(断熱ケース12)の内部に配置されることから溶湯とは隔離した状態となる非接触型スターラ22と、非接触型スターラ22を回転させる回転機構23と、回転機構23を支持する図示しないフレームとを備える。
【0024】
回転機構23は、非接触型スターラ22から上方に延びる回転軸25と、モータ26と、モータ26の回転を回転軸25の上部に伝達する伝達機構27としてのギアボックスとを備える。平面視した場合に回転軸25は内周壁13の中心位置において回転する。
【0025】
非接触型スターラ22は、内周壁13の外周にまで作用する磁力の発生源であり、例えば永久磁石を用いる。ちなみに図示しないが、非接触型スターラ22の一例は、プレートと、プレート上に円周方向に並べられた複数の永久磁石とを備える構成である。
永久磁石は、N極とS極とが半径方向の内周側と外周側を向く形で設置される。円周方向に隣り合う永久磁石の外周側の磁極は、N極とS極とが交互に表れる形となっている。また非接触型スターラ22(永久磁石)によって内周壁13の外側には磁界が発生する。非接触型スターラ22が回転軸25を中心にして回転すると、内周壁13の外周において磁界が移動し(移動磁界が発生し)、その移動磁界によって内周壁13の外周の溶湯に回転力が与えられる。
【0026】
本発明の第一実施形態の溶解保持炉は、封鎖壁16が第1の溶解室1から取り外された場合には、第1の溶解室1には溶湯が内周壁13の外周全周に亘って収容され、撹拌装置21を運転して非接触型スターラ22を回転させることによって、内周壁13の外周全周に位置する溶湯に非接触型スターラ22の移動磁界が作用し、第1の溶解室1で溶湯を撹拌して渦流を発生させることができる。そして渦流によって、処理材の溶解と溶湯の循環という二つの役割を第1の溶解室1に果たさせることができる。
また封鎖壁16が第1の溶解室1の所定位置に取り付けられた場合には、第1の溶解室1には溶湯が往路4と復路6に通じる形で内周壁13の外周の一部分にのみ収容される。そして撹拌装置21を運転して非接触型スターラ22を回転させることによって、内周壁13の外周の一部にのみ位置する溶湯に非接触型スターラ22の移動磁界が作用し、復路6から往路4へ向かって溶湯が送り出され、封鎖壁16によって第1の溶解室1で渦流を発生できないので、溶湯の循環という役割を主として第1の溶解室1に果たさせることができる。
【0027】
また第一実施形態の溶解保持炉は、平面視した面積を第1の溶解室1よりも広くした第2の溶解室2を備えるので、封鎖壁16が第1の溶解室1から取り外された場合には、第1の溶解室1と第2の溶解室2とで、各々の面積に応じた処理材を溶解させられるし、封鎖壁16が第1の溶解室1に取り付けられた場合には、第2の溶解室2で処理材を溶解させられる。
【0028】
また第一実施形態の溶解保持炉は、撹拌装置21を運転して非接触型スターラ22を回転させると、封鎖壁16が第1の溶解室1に取り付けられた場合には、封鎖壁16が第1の溶解室1から取り外された場合と比べて、往路4に送り出される溶湯の流速が変化する(速くなる)。したがって非接触型スターラ22の回転速度を適切に制御することにより、第2の溶解室2で処理材を溶解させ易いようにできる。また封鎖壁16が第1の溶解室1に取り付けられた場合には、封鎖壁16が第1の溶解室1に取り付けられた場合と比べると、溶湯の撹拌力が向上して、保持室3内の溶湯の成分が均一化するし、保持室3内の溶湯の温度差が小さくなり、その結果、保持室3の溶湯の温度制御が行い易くなる。つまり保持室3による溶湯の保持機能が強化されることから、熱源としてのバーナの燃焼を適切なものとすることができる。なお第一の溶解保持炉の運転を長期間停止させる場合には、封鎖壁16を取り外せば、第1の溶解室1を容易に清掃できる。
【0029】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、内周壁13は上記実施形態では断熱ケース12の一部を構成し、床7に対して内周壁13を含む断熱ケース12が着脱可能なものであったが、本発明ではこれに限らず、床7に対して固定されたもの(着脱不能なもの)であっても良い。
また非接触型スターラ22は、上記実施形態では永久磁石を用いたものであったが、本発明ではこれに限らず、電磁石を用いた非接触型スターラを配置しても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 第1の溶解室
2 第2の溶解室
3 保持室
4 往路
5 中継路
6 復路
7 床
8 側壁
8a 側壁本体
8b 開口部
8c 扉
9 天井
11 外周壁
12 断熱ケース
13 内周壁
14 底
16 封鎖壁
17 壁
21 撹拌装置
22 非接触型スターラ
23 回転機構
25 回転軸
26 モータ
27 伝達機構