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▶ ベイル インティメイツ エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ブラジャー及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/14 20060101AFI20231031BHJP
   A41C 5/00 20060101ALI20231031BHJP
   A41C 3/10 20060101ALI20231031BHJP
   A41D 13/12 20060101ALI20231031BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A41C3/14 A
A41C5/00 C
A41C3/10 A
A41D13/12 181
A61B5/00 B
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2020511872
(86)(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2018031428
(87)【国際公開番号】W WO2018204927
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】62/502,511
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2017/032026
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519389904
【氏名又は名称】ベイル インティメイツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】VEIL INTIMATES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラングマー,ナンシー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マースデン,メーガン エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,ベンジャミン エリオット
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3107970(JP,U)
【文献】特開2015-086503(JP,A)
【文献】登録実用新案第3094176(JP,U)
【文献】特開2007-039865(JP,A)
【文献】特表2015-509028(JP,A)
【文献】実公昭39-008239(JP,Y1)
【文献】米国特許第03446213(US,A)
【文献】特開2005-089879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C1/00-5/00
A41H3/00
A41D13/12
A61B5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服用の支持装置において、
(a)外周部と、
(b)前記外周部内に斜めに配置された複数の交差部材と、
(c)前記複数の交差部材によって少なくとも部分的に画定された複数のボイドと、
を備えたポリマーベースの格子状の支持部材を備えており、
前記外周部の下側部分は、前記複数の交差部材のうちの幾つかの端部と一体化された剛性ポリマー下側縁部によって、少なくとも部分的に画定されており、
少なくとも前記剛性ポリマー下側縁部は、前記衣服の着用者に支持を提供するように構成されている、支持装置。
【請求項2】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材の前記外周部は、眼状、アンカー状、又は十字状に形成されている、請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は非対称である、請求項1に記載の支持装置。
【請求項4】
前記剛性ポリマー下側縁部は、前記着用者の乳房下部の筋目に位置するように構成されている、請求項1に記載の支持装置。
【請求項5】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は、均一の厚さを有する、請求項1に記載の支持装置。
【請求項6】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は、変化する厚さを有する、請求項1に記載の支持装置。
【請求項7】
前記変化する厚さは、変化する厚さの1又は複数の別個のセクションを含む、請求項6に記載の支持装置。
【請求項8】
前記変化する厚さは、単調な厚さ勾配である、請求項6に記載の支持装置。
【請求項9】
前記変化する厚さは、非単調な厚さ勾配である、請求項6に記載の支持装置。
【請求項10】
前記変化する厚さは、連続的な厚さ勾配を含む、請求項6に記載の支持装置。
【請求項11】
前記連続的な厚さ勾配は、線形の厚さ勾配を含む、請求項10に記載の支持装置。
【請求項12】
前記連続的な厚さ勾配は、非線形の厚さ勾配を含む、請求項10に記載の支持装置。
【請求項13】
前記変化する厚さは、不連続な厚さ勾配を含む、請求項6に記載の支持装置。
【請求項14】
前記変化する厚さは最小厚さ(Lt)及び最大厚さ(Mt)を含んでおり、Lt対Mtの比は0.90以下である、請求項6に記載の支持装置。
【請求項15】
Lt対Mtの比は0.75以下である、請求項14に記載の支持装置。
【請求項16】
Lt対Mtの比は0.50以下である、請求項14に記載の支持装置。
【請求項17】
前記外周部は、少なくとも1つの弓状縁部を含む、請求項6に記載の支持装置。
【請求項18】
前記外周部は、少なくとも1つの非弓状縁部を含む、請求項6に記載の支持装置。
【請求項19】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は、平らである、請求項6に記載の支持装置。
【請求項20】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は、非平坦である、請求項6に記載の支持装置。
【請求項21】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は、少なくとも500°Fのガラス転移温度を有する、請求項6に記載の支持装置。
【請求項22】
前記複数のボイドのうちの少なくとも幾つかは、平行四辺形のパターンを画定する、請求項6に記載の支持装置。
【請求項23】
前記複数のボイドのうちの少なくとも幾つかは、楕円形のパターンを画定する、請求項6に記載の支持装置。
【請求項24】
前記複数のボイドのうちの少なくとも幾つかは、三角形のパターンを画定する、請求項6に記載の支持装置。
【請求項25】
請求項1に記載の支持装置を組み込んだブラジャー。
【請求項26】
前記ブラジャーは、前記ポリマーベースの格子状の支持部材に隣接する第1のカップカバーを備える、請求項25に記載のブラジャー。
【請求項27】
前記第1のカップカバーは、前記着用者の皮膚と直接接触するのに適している材料を含む、請求項26に記載のブラジャー。
【請求項28】
前記第1のカップカバーは合成材料を含む、請求項27に記載のブラジャー。
【請求項29】
前記第1のカップカバーは天然材料を含む、請求項27に記載のブラジャー。
【請求項30】
前記ポリマーベースの格子状の支持部材は、前記第1のカップカバーと第2のカップカバーとの間に配置されている、請求項26に記載のブラジャー。
【請求項31】
前記第1のカップカバーは第1の材料を含んでおり、前記第2のカップカバーは第2の材料を含んでおり、前記第1の材料は前記第2の材料と異なる、請求項30に記載のブラジャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年5月10日に出願された「Formed Brassiere and Associated Method of Manufacture」と題する、国際特許出願PCT/US17/32026号の一部継続出願である。国際特許出願PCT/US17/32026号は2017年5月5日に出願された「Formed Brassiere and Associated Method of Manufacture」と題する、米国暫定特許出願62/502,511号の優先権を主張する。優先権は上記で特定された特許出願のそれぞれに対して主張され、上記で特定された特許出願のそれぞれは全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
アンダーワイヤーを有するブラジャーが先行技術で説明される。このアンダーワイヤーは一般的に快適でなく、伸ばされて、使用者の体に対してならされる。摩耗点があるので、それによってアンダーワイヤーはどちらかの端で通し口から出てしまい、実際にブラジャーの寿命を短縮してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ブラジャー及び他の衣服、並びにそれらに関連する製造方法に関する。1つのアプローチにおいて、ブラジャー又は他の衣服は、第1カップカバーと第2カップカバーの間に設けられた格子状の(graticulate)支持部材を有する。一実施形態において、ブラジャー又は他の衣服のカップは、第1カップカバーと、格子状の支持部材と、第2カップカバーとを互いに溶着するために押して加熱することで形成可能であってよく、使用者の身体構造に特に適したボリューメトリックなドーム形成(volumetric doming)をもたらす。熱及び力の印加は、本明細書にてフォージング(forging)と称することもある。他の実施形態においては、格子状の支持部材は、(例えば、アディティブマニュファクチャリングによって)最初から適切なサイズ及び/又は形状に製造され、ブラジャー又は他の衣服の中で使用される。これらの実施形態において、格子状の支持部材は、(例えば、内側カップ又は外側カップに物理的に接続されることなく)単に衣服の中に挿入されてよい。
【0004】
特定の使用者のためのカップのカスタマイズ製造が同様に考えられ、それによって使用者の身体構造のスキャン又は他の画像取込が、変換可能なデジタルイメージを描画して、具体的なサイズの格子状の支持部材の3次元画像化と生産パラメータを提供してよい。
この具体的なサイズの格子状の支持部材は、例えば、最初から適切なサイズ及び/又は形状(例えば、ドーム型形状)に製造されてよく、或いは、サイズ決めされたカップカバーの間に配置されて、力及び熱の印加により、特定の使用者にとって快適であると判断された特定の容量にボリューメトリックにドーム形成されてよい。さらに、ブラジャーの各カップは、カスタマイズされたブラジャーを生産するために、個別にサイズ決めされ、作られてよい。各カップは独自のカスタマイズされた格子状の支持部材を有してよい。ドーム形状だけではなく、格子状の支持部材は、曲がった面や他の適切な形態の部材で作られてよい。
【0005】
1つの態様において、ブラジャー及びそれに関連する製造方法は、アンダーワイヤー又はこのようなアンダーワイヤーが入れられる関連する通し口を必要とせずに、使用者の1つ以上の乳房を支持したり、持ち上げたりすることができる衣服を可能にする。ブラジャー及び関連する製造方法はさらに、固有の使用者の特定の身体構造に一致しているカスタマイズされたカップを可能にし、要求に応じて生産可能なカスタマイズされた衣服を可能にし得る。
【0006】
例えば、現時点におけるブラジャー及び関連する製造方法は、弓状の第1縁部と弓状の第2縁部とを有しており、アディティブプリントされた(アディティブマニュファクチャリングされた)ポリマーベースの格子状の支持部材を含んでよい。第1縁部は、近位の頂点で第2縁部から分岐し、1つの辺に沿って格子状の母材領域の境界を示し、遠位の頂点で第2縁部に合流する。このように第1縁部と第2縁部とにより境界を示される格子状の母材は、斜めに配置された複数の交差部材を備える。複数の交差部材は、格子状の支持部材における複数のボイドを画定してよい。一実施形態において、格子状の支持部材は概ね均一の厚さを有する。他の実施形態において、格子状の支持部材は、選択的に調整された1又は複数の厚さ勾配を有する。
【0007】
例えば、格子状の支持部材は、第1縁部の中央にある最大厚と、第2縁部にある最小厚とを含んでよい。厚さ勾配が用いられてよく、厚さ勾配は、第1縁部の最大厚から、近位の頂点及び遠位の頂点の各々と第2縁部の最小厚とに向けて設けられてよい。それ故に、格子状の母材は、前述の厚さ勾配に比例して設けられた剛性勾配を含んでよい。一実施形態において、格子状の支持部材は概ね均一の厚さを有する。他の実施形態において、格子状の支持部材は、選択的に調整させた1又は複数の厚さの勾配を有する。
【0008】
格子状の支持部材は、第1カップカバー(例えば外側カップカバー)と第2カップカバー(例えば、内側カップカバー)との間に埋め込まれてよい。ブラジャーのカップは、第1カップカバーと第2カップカバーの各々によって少なくとも部分的に画定されてよく、第1カップカバーと第2カップカバーとの間には1又は複数の格子状の支持部材が配置される。一実施形態において、格子状の支持部材は、(例えば、アディティブマニュファクチャリングにより)最初から適切なサイズ及び/又は形状に製造されてよい。これらの実施形態において、格子状の支持部材は、(例えば、内側カップ及び/又は外側カップに物理的に接続することなく)単に衣服の中に挿入されてよい。これらの実施形態において、格子状の支持部材は非平面状の基材として(例えば、ドーム型形状として)作られてよい。一実施形態において、格子状の支持部材は、最初からドーム状に形作られた格子状の支持部材として形成される。格子状の支持部材はカップに簡単に挿入されて、その結果、(例えば、着用者の乳房を収容するために)ブラジャーにドーム型形状をもたらしてよい。他の実施形態において、熱及び力の印加が用いられて、格子状の支持部材を伸ばしてドーム形成をもたらし、格子状の支持部材と第1カップカバー及び第2カップカバーのそれぞれとを1つの容積カップに形成する。格子状の支持部材は、第1カップカバーと第2カップカバーとの間に設けられる。
【0009】
カスタマイズされた容積カップもまた考えられ、カップのパラメータは、以下で詳細に説明されるように、取り込まれた使用者の身体構造の画像から変換可能である。特定の使用者の画像取込は、使用者のデジタルプロファイルの生成を可能にする。その結果、アディティブプリント(マニュファクチャリング)を適用して、個人の身体構造のばらつきに対応して適切にサイズ決めされた格子状の支持部材を作ることができる。具体的なサイズの格子状の支持部材は、取り込まれた画像から製造可能であってよく、このような格子状の支持部材は、第1(外側)カップカバーと第2(内側)カップカバーとの間に埋め込まれる。第1カップカバーと第2カップカバーの1つ又は両方はまた、ブラジャー又は他の衣服用に特定の容積カップを形成するように、着用者の身体構造に基づいて具体的にサイズ決めされてよい。このようなカスタマイズされたサイズ決めは、身体構造上の多様性又は不規則性を有する使用者に有用であり得る。このような多様性又は不規則性は、例えば、腫瘍摘出手術、乳房切除手術、豊胸手術、又はその他の再建手術、増加的手術、又は縮小的手術等のポストオペレーティブな手術に起因し得る。フォージングが使用される実施形態において、カップを形成する際に使用されるマンドレル及び対応する型の少なくとも一部も同様に、要求に応じて製造されて、カスタマイズされた格子状の支持部材の形成が具体的に影響を受ける。このように、特定の形をしたカップは、任意の特定の使用者の身体構造に対して作製され、形成され、及びサイズ決めされて、要求に応じて製造可能であり得る。
【0010】
格子状の支持部材は、個人の1つ以上の乳房を支持する及び/又は持ち上げることを容易にする任意の適切な形状であってよい。一実施形態において、格子状の支持部材はアンカーのような形状である。他の実施形態において、格子状の支持部材は鉤のような形状である。他の実施形態において、格子状の支持部材は眼形である。他の実施形態においては、格子状の支持部材は十字形である。形状が同じである又は形状が異なる複数の様々な格子状の支持部材が、衣服の単一のカップで使用されてよい。
【0011】
格子状の支持部材はポリマーベースであってよく、とりわけアディティブマニュファクチャリング、サブトラクティブマニュファクチャリング、及び/又は射出成形等の任意の適切な方法により製造されてよい。一実施形態において、格子状の支持部材はアディティブマニュファクチャリングにより製造される。他の実施形態において、格子状の支持部材はサブトラクティブマニュファクチャリングにより製造される。他の実施形態において、格子状の支持部材は射出成形により製造される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、格子状の支持部材の実施形態の上面図である。
【0013】
図2図2は、格子状の支持部材の実施形態の等角図である。
【0014】
図3図3は、押し付けられようとしている形成ブラジャーの実施形態の側面図であって、第1カップカバーの上に設けられた格子状の支持部材を示している。
【0015】
図4A図4Aは、ドーム状に形成されたカップの側面図であり、それによりカップ内部の格子状の支持部材がカップの形状を維持して、関連する第1カップカバーと第2カップカバーの各々が密着する。
【0016】
図4B図4Bは、内部に格子状の支持部材を含むドーム状に形成されたカップの側面図である。
【0017】
図5図5は、格子状の支持部材の第1縁部から格子状の支持部材の第2縁部までの厚さ勾配の例のグラフ表示である。
【0018】
図6図6は、格子状の支持部材の第1縁部から格子状の支持部材の第2縁部までの剛性勾配の例のグラフ表示である。
【0019】
図7図7は、第1縁部と第2縁部の間に設けられた可変厚さの格子状の母材を有する格子状の支持部材の上面図である。
【0020】
図8図8は、特定の使用者による着用のためにカスタマイズされた形成ブラジャーを作製するための1又は複数の形成カップの製造方法の例のフローチャートである。
【0021】
図9図9は、特定の使用者による着用のためにカスタマイズされた形成ブラジャーを作製するための1又は複数の形成カップの製造方法の例のフローチャートである。
【0022】
図10図10は、形成ブラジャーの実施形態であって、1又は複数のカップがその中に格子状の支持部材を含んでいる。
【0023】
図11A図11Aは、眼形の格子状の支持部材の実施形態の上面図である。
【0024】
図11B図11Bは、図11Aの格子状の支持部材の等角図である。
【0025】
図12図12は、十字形の格子状の支持部材の実施形態の上面図である。
【0026】
図13図13は、一対の自然の乳房対一対の増大された乳房の正面図である。
【0027】
図14図14は、一対の自然の乳房対増大された乳房の側面図であり、それぞれの種類のカップ(100)を示す。
【0028】
図15図15は、格子状の支持部材の実施形態の斜視図であって、格子状の支持部材の厚さは中心の位置から放射状に減少している。
【0029】
図16A図16Aは、内部格子状の支持母材部を有する格子状の支持部材の一実施形態の上面図であり、格子状の支持部材の外周部と内部格子状の支持体母材部との間に複数のアームが延びている。
図16B図16Bは、内側の格子状の支持母材部を有する格子状の支持部材の一実施形態の上面図であり、格子状の支持部材の外縁と内側の格子状の支持母材部との間に複数のアームが延びている。
図16B図16Bは、内側の格子状の支持母材部を有する格子状の支持部材の一実施形態の上面図であり、格子状の支持部材の外縁と内側の格子状の支持母材部との間に複数のアームが延びている。
図16C図16Cは、内側の格子状の支持母材部を有する格子状の支持部材の一実施形態の上面図であり、格子状の支持部材の外縁と内側の格子状の支持母材部との間に複数のアームが延びている。
【0030】
図17図17は、内側の格子状の支持母材部を有する格子状の支持部材の他の実施形態の上面図であり、格子状の支持母材部は概ね蜂の巣の形をしている。
【0031】
図18図18は、内側の格子状の支持母材部を有する格子状の支持部材の他の実施形態の上面図であり、格子状の支持母材部は楕円形をしている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本ブラジャー及び関連の製造方法は、乳房を支持するために着用可能な、必要に応じてアンダーワイヤー又はアンダーワイヤーの通し口の必要性がない、女性又は男性用の下着を想定している。さらに、本ブラジャー及び関連の製造方法は、特定の着用者の乳房に快適なカスタマイズされたカップを可能にする。特定の着用者には、豊胸手術、腫瘍摘出手術、乳房切除手術、再建手術、又は、乳房の容積が変わる可能性があるその他の乳房になされる作用を受けた着用者を含む。そのような作用には、例えば妊娠及び/又は授乳に起因する自然変化も含まれる、
【0033】
形成ブラジャーの実施形態は、図1図2図3及び図10に記載されており、熱及び/又は力が形成カップを生産するために使用されている。図1図2図3及び図10に示されるように、形成ブラジャー(10)は概して、第1カップカバー(50)と第2カップカバー(52)の間に設けられた格子状の支持部材(20)を含む。カップ(100)の形成に先立って、格子状の支持部材(20)は、図1に示されるように概ね平らであってよい。カップ(100)の形成後は、格子状の支持部材(20)はドーム状となってよい。格子状の支持部材(20)は第1縁部(22)と第2縁部(24)とを含む。図1及び図2に示されるように、格子状の母材(30)は、支持部材(20)の第1縁部(22)と第2縁部(24)との間に設けられる。格子状の支持部材(20)はさらに、第1縁部(22)にて中央で実現された第1(例えば、最大)厚(40)と、第2縁部(24)にて実現された第2(例えば、最小)厚(42)とを含んでよい。このように、格子状の支持部材(20)は、格子状の母材(30)にわたった勾配を有する断面を一般に含んでもよく、最大厚(40)から最小厚(42)へ向けて先細りになってよい。
【0034】
図3図4A図4B、及び図10を参照すると、示された実施形態では、格子状の支持部材(20)は、第1カップカバー(50)と第2カップカバー(52)の間に設けられる。格子状の支持部材(20)の第1縁部(22)は、乳房下部の筋目に近接して乳房の下に横たわり、着用者にサポートを提供し、アンダーワイヤー及び/又は関連する通し口の必要性を無くす。格子状の母材(30)は、特定の着用者の身体構造に適合するように、適切な形状に形成されてよい。例えば、最小厚(42)を有する第2縁部(24)は、着用者の胸筋に近接して形成カップ(100)(例えば、乳房カップ)の内側で徐々に小さくなってよい。このように、格子状の支持部材(20)は、カップ(100)の中央に設けられてもよく、カップ(100)の形状を少なくとも部分的に画定し、着用者のための適切なサポートを促進してよい。
【0035】
上述のように、この形成ブラジャー(10)、又は他の衣服は、格子状の支持部材(20)をアディティブプリント(マニュファクチャリング)することで作られてよい。例えば、格子状の支持部材(20)は、第1縁部(22)及び第2縁部(24)が示す境界の間においてポリマーベースでプリントして形成可能であってよい。格子状の支持部材(20)は、格子状の支持部材(20)が特定の人に合うようにプリント可能な場合に、例えば特定使用者の画像取込により個々の着用者に合うように、特定の着用者の身体構造に適合するようにプリントされてよい。
【0036】
格子状の支持部材(20)は平らな基材としてプリントされてよい。プリントされた基材(20)は最大厚(40)及び最小厚(42)を含んでよい。プリントされた基材(20)は、第1(外側)カップカバー(50)及び第2(内側)カップカバー(52)の間に嵌められてよく、その後、材料がカップ(100)を形成するために加熱され、溶着されてよい。この点において、カップ(100)を所望のカップ形状に形成可能とするために、材料は(例えば、格子状の支持部材(20)の融解点又はガラス転移温度未満で)加熱されてよい。それによって、カップ(100)のドーム形成は、(例えば、格子状の支持部材(20)が第1(外側)カップカバー(50)及び第2(内側)カップカバー(52)の間に挿入され、所望のカップ形状を形成するために熱が加えられると)カップ形成の際にもたらされる。他の実施形態において、格子状の支持部材は非平坦な基材として作られてよく、以下で詳細に説明されるように、格子状の支持部材を形成する(例えば、フォージングする)必要をなくしてよい。
【0037】
第2カップカバー(52)は、ブラジャー(10)が着用される際に着用者の乳房に接触するように配置されるので、柔らかい材質(例えば、発泡体)とされる。第2カップカバー(52)は、格子状の支持部材(20)に重なって、外部に位置付けられたまま、着用者の乳房を覆ってよい。このように、第1カップカバー(50)及び第2カップカバー(52)の両方は、(格子状の支持部材(20)に対する相対位置に起因してサイズにわずかな相違があるにもかかわらず)同様なドーム形成及び容積形状を有する一方で、第2カップカバー(52)は、着用者の乳房を収容し、それに接触するために支持部材(20)に対して凹状であってよく、第1カップカバー(50)は、着用者の乳房の外側に重なり、それを覆うために凸状であってよい。
【0038】
次に図1及び図2を参照すると、示された格子状の支持部材(20)は概して、弓状の第1縁部(22)と反対側の弓状の第2縁部(24)とを含む。弓状の第1縁部(22)及び第2縁部(24)のそれぞれは、近位の頂点(26)から分岐し、格子状の母材(30)の境界に及んで、遠位の頂点(28)で合流する。格子状の母材(30)は交差部材(32)の斜めの配列で、第1縁部及び第2縁部(22)、(24)の間に設けられる。交差部材(32)は概ね、複数のボイド(37)を画定する。
【0039】
図1及び図2で示された実施形態では、第2縁部(24)の勾配は近位の頂点(26)から正であり、その後、反転したポケット(34)に向かって負に変わって、再度正になってS字部(36)を経て上昇し、第1縁部(22)から最も遠く離れた頂端弧状部(38)で頂点に達する。第2縁部(22)は格子状の支持部材(20)の中央軸を介して鏡映対称を維持し、頂端弧状部(38)と遠位の頂点(28)との間に同様の輪郭を示す。
【0040】
図1及び図2に示されるように、最大厚(40)は、第1縁部(22)にて中央で実現されてもよく、最小厚(42)は第2縁部(24)で実現されてよい。格子状の支持部材(20)の断面はそのため、最大厚(40)から最小厚(42)まで、第1縁部(22)から第2縁部(24)へ向けて、及び近位の頂点と遠位の頂点(26)、(28)のそれぞれへ向けて先細りになってよい。この点において、(例えば、図6で示されるように)剛性の低下が最大厚(40)と最小厚(42)の間に起こってよい。第1縁部(22)は、中央点で第2縁部(24)に対し、最大限の剛性となってよく、そこでは第2縁部(24)は最小限の剛性となってよい。格子状の支持部材(20)の変形は、このように制御された力と熱とを加えることによってたらされてよい。力は、最大厚(40)と最小厚(42)の間の格子状の母材(30)を介して分配される。
【0041】
他の実施形態において、格子状の支持部材(20)は、最初から非平坦な基材として作られてよい。一実施形態において、非平坦な格子状の支持部材は、ネットシェイプ製品、又はニアネットシェイプ製品として作られ、その最終製品の形は(例えば、アディティブマニュファクチャリング、射出形成により)その製造中に得られる。このような格子状の支持部材は例えば、衣服の交換可能な構成要素(例えば、ブラジャーカップ)として使用されてもよい。このような用途において、格子状の支持部材は、(例えば、ブラジャーで使用される際に、着用者の乳房を収容するため)衣服について最初から適切なサイズ及び形状で作られてよく、それによって、ドーム形状を付与するための力及び/又は熱の印加の必要性を取り除いてよい。このように、一実施形態において、カップは、非平坦な格子状の支持部材と、内側カップ及び外側カップの少なくとも1つとを使用して、非平坦な格子状の支持部材の変形なしで作られる。
【0042】
図5及び図6は、実施形態に関する厚さプロファイル(図5)と、対応する剛性プロファイル(図6)のグラフ表示を示す。最大厚(40)は、図5に示されるように、第1縁部(22)にある中間点からの距離に比例して、勾配(勾配A、B、又はCが厚さ曲線の例として示される)に従って徐々に小さくなる。同様に、図6に示されるように、剛性は、第1縁部(22)にある中間点からの距離に比例して、勾配(勾配A、B、又はCが剛性曲線の例として示される)に従って徐々に小さくなる。
【0043】
図7は、厚さが異なる別個の部分を有する支持部材(20)の一実施形態を示す。最大厚(40)は、第1縁部(22)に沿って位置しており、最大厚さ(43a)を有する。勾配は、最大厚セクション(43a)から最小厚セクション(43f)まで徐々に小さくなる。第1セクション(43a)は最大の厚さを有し、第6セクション(43f)は最小の厚さを有する。第2セクション(43b)、第3セクション(43c)、第4セクション(43d)及び第5セクション(43e)はそれぞれ、互いに、また、第1セクション(43a)及び第6セクション(43f)とは異なる厚さを有してよい。各中間セクション(43b、43c、43d)の厚さは、単調減少であってよい。
【0044】
図示されているように、新規な支持部材(20)は、最大厚さ(例えば、第1縁部(22)に沿って)、及び最小厚さ(例えば、第2縁部(24)に沿って)を含んでよい。これらの実施形態において、厚さ勾配が、支持部材(20)の最大厚さと最小厚さの間に存在してよい。1つのアプローチにおいて、勾配は最大厚さと最小厚さとの間に、1又は複数の厚さが異なるセクションを有してよい。さらに、勾配は、単調勾配(すなわち、最大厚さから最小厚さまで忠実に減少するもの)であってよく、又は非単調な勾配であってよい。さらに、勾配は均一(例えば、線形)であってよく、又は不均一な勾配であってよい。一実施形態において、最大厚さと最小厚さの間の勾配は連続的な勾配である。他の実施形態において、最大厚さと最小厚さの間の勾配は、ディスクリートな勾配であり、最大厚さと最小厚さの間に厚さが異なる1又は複数のセクションを含む。一実施形態において、勾配は線形且つ単調であってよい。他の実施形態において、勾配は非線形且つ単調であってよい。他の実施形態において、勾配は非線形且つ非単調であってよい。上述したように、厚さ勾配は、剛性勾配を有する支持部材(20)を生じてよく、そこで剛性勾配は一般に、厚さ勾配に比例する。
【0045】
一実施形態では、図15を参照すると、格子状の支持部材(200)は格子状の母材部(220)の中央域の近位に最大厚さ(M)を有してよい。(以下の図16A乃至図16Cは、示された実施形態に関連付けられている追加の構造を説明する。)一実施形態において、厚さ勾配が用いられて、格子状の支持部材(200)の厚さは、中央最大値(M)からの距離が増加するにつれて減少する。一実施形態において、厚さ減少は連続的且つ/又は均一である。他の実施形態において、厚さ減少は、非連続的且つ/又は不均一である(例えば、ディスクリートな減少;段階的な減少)。一実施形態において、厚さ減少は線形である。他の実施形態において、厚さ減少は非線形である(例えば、多項式的な減少;指数関数的な減少;対数的な減少)。一実施形態において、格子状の支持部材(200)の別の部位は、最小厚さ(L)(図示せず)を有する。一実施形態において、最小厚さは、外周部(210)に関連付けられてよい。一実施形態において、Mに対するLの比率は0.90以下、又は0.75以下、又は0.60以下、又は0.50以下、又は0.40以下、又は0.35以下、又は0.30以下、又は0.25以下、或いはそれ以下である。他の実施形態において(図示せず)、最小厚さ位置(L)と最大厚さ位置(M)とは入れ替わってよく、最大厚さ(M)が格子状の支持部材の外周部(210)に関連付けられて、最小厚さ(L)が格子状の母材部(220)に関連付けられる。本明細書に説明されている何れの厚さのアプローチも、本明細書に説明され、又は示されるどの格子状の支持部材とも一緒に使用することができる。
【0046】
一実施形態において、引き続き図15を参照すると、放射状の厚さ勾配が使用されてよく、最大厚さ(M)位置からの距離が増加するにつれて格子状の支持部材(200)の厚さが概ね均一に、且つ任意の方向に減少する。放射状の厚さ勾配は、例えば、使用者の体重の適切な配分(例えば、ブラジャーの中の乳房の重量の配分)を促進するのに有用であり得る。
【0047】
形成工程がなされる場合、図3を参照すると、第1カップカバー(50)は、格子状の支持部材(20)の下に横たわるように配置され、第2カップカバー(52)は、格子状の支持部材(20)の上に重なるように配置されてよい。適切に置かれると、カップ(100)は、熱及び力の印加により形成可能となって、カップ(100)を所望の形状に成形し、格子状の支持部材(20)と、第1(外側)カップカバー及び第2(内側)カップカバー(50)、(52)とを単一のカップ(100)に融着されてよい。格子状の支持部材は、第1カップカバー及び第2カップカバーの一方又は両方に融着されてよい。このように、カップ(100)は所望の形状に形成可能とされて、着用のためにブラジャー(10)が実現される。
【0048】
形成工程が使用される場合、図3図4A、及び図4Bを参照すると、力と、格子状の支持部材(20)の融点(結晶性及び半結晶性ポリマー)又はガラス転移温度(アモルファスポリマー)未満で印加された熱との作用により、カップ(100)のドーム形成を行うために、マンドレル(62)が使用されてよい。マンドレル(62)は、型(60)の中へと格子状の支持部材のドーム形成を生じさせるために力を印加して、それによってカップ(100)のドーム型形成がなされる。故に、格子状の支持部材(20)は、第1(外側)カップカバー(50)及び第2(内側)カップカバー(52)を互いに融着してよく、マンドレル(62)をある温度で型(60)にある押し込むことにより作られる特定の形状を維持してよい。
【0049】
次に図8を参照すると、包まれたカスタマイズ済みの支持部材を有するブラジャー又は他の衣服を作る方法(500)の一実施形態が示される。上述の通り、特定の使用者による着用のために、固有の身体構造に対応するように考え出された1又は複数の特定のカップの形成は、特定の使用者の身体構造の画像取込を利用することにより製造可能としてよい。例えば、使用者は彼等の身体構造の1又は複数の部位を、例えば1つのデジタル(又は、アナログ)カメラ、又は多数のデジタル(又は、アナログ)カメラを利用することにより、スキャンしてよい(510)。スキャンは、使用者の身体構造の3Dイメージを取り込む(520)ために使用されてよい。3Dイメージは使用者の身体構造上の特徴を判断するために使用されてよく、そこで使用者特有の身体構造上の特徴に対応するために、カスタマイズされた支持部材がプリント(アディティブマニュファクチャリング)されてよい(530)。例えば、身体構造上の特徴は使用者の乳房の重量配分であってよい。使用者の乳房の重量配分は例えば、カスタマイズされた勾配をもって支持部材(20)を製造することにより対応されてよく、支持部材(20)の領域は、乳房のより高い重量配分の領域に対応するために厚さを増加してよい。一実施形態において、カップは第1カップカバーと第2カップカバーとを作製(540)し、第1カップカバーと第2カップカバーとの間にカスタマイズされた支持部材を融着(550)し、その後、1又は複数のカップをフォージングする(560)ことにより形成されてよい。カップにブラジャー又は他の衣服の構成要素(例えば、ストラップ、ウイング、バンド、及びブリッジ)に取り付け、着用者のためのブラジャー又は他の衣服を仕上げてよい。
【0050】
次に図9を参照すると、包まれたカスタマイズ済み支持部材(20)を有するブラジャー又は他の衣服を生産する方法(600)の一実施形態が示される。上述の通り、特定の使用者による着用のために、固有の身体構造に対応するように考え出された特定のカップの製造は、特定の使用者の身体構造の画像取込を利用することにより製造可能であってよい。例えば、使用者は、彼らの身体構造を、例えば1つのデジタル(又は、アナログ)カメラ、又は多数のデジタル(又は、アナログ)カメラを利用することにより、スキャンしてよい(510)。スキャンは、使用者の身体構造の1つ以上の部位の3Dイメージを取り込む(520)ために使用されてよい。使用者のデジタルプロファイルはその後、レンダリングされてよい(625)。デジタルプロファイルはとりわけ、変容した乳房、手術により除去された乳房の一部、及び手術により除去された完全に除去された乳房の3D測定のデータを備えてよい。例えば、乳房のデジタルプロファイルは、乳房切除手術の手順により除去された乳房、又は腫瘍摘出手術により除去された部位のものであってよい。以下により詳細に記載されるように、デジタルプロファイルは、1又は複数の修復体積ピース(例えば、人工装具)を生産(627)するために使用されてよく、その修復体積ピースは乳房手術により作られた負の体積を充填するために製造されてよい。1又は複数の修復体積ピースは、以下により詳細に記載されるように、適切な材料を使用してアディティブマニュファクチャリングされてよい。1又は複数の修復体積ピースはとりわけ、別々に製造され、後で乳房カップの中に縫いつけられてよく、第1カップカバーと第2カップカバーの間に封入されてよく、又は第1カップカバーと第2カップカバーとの間に封入される支持部材にプリントされてよい。支持部材はデジタルプロファイルを利用してプリントされてよい(630)。以下で詳細に記載されるように、1又は複数の修復体積ピースは支持部材の中に組み込まれてもよく、そこで支持部材は体積ピース用の基材としての機能を果たす。第1カップカバーと第2カップカバーとが作製されてよい(640)。フォージング工程が使用される場合、カスタマイズされた支持部材及び又は修復体積ピースは、任意のカスタマイズされたマンドレルと対応する型とを利用してよい。以下により詳細に記載されるように、カスタマイズされたマンドレルと対応する型とは、マンドレルと型とをプリント(アディティブマニュファクチャリング)(680)することにより作られてよい。一実施形態において、1又は複数のカップは、格子状の支持部材をブラジャーの中に挿入することにより形成される。フォージング工程が使用される際、1又は複数のカップは、支持部材、任意的に1又は複数の修復体積ピースを第1カップカバーと第2カップカバーとの間に融着し(650)、その後、1又は複数のカップを作製するためにフォージングする(660)ことにより形成されてよい。1又は複数のカップは、ブラジャー又は他の衣服の構成要素(例えば、ストラップ、ウイング、バンド、及びブリッジ)に取り付け、着用者のためにブラジャー又は他の衣服を仕上げてよい。フォージング工程(660)は任意選択的に、カスタマイズされたマンドレル及び対応する型の利用を含んでよい。
【0051】
図8及び図9をさらに参照すると、特定の使用者による着用のために考えられ、形作られ、そのため、固有の身体構造に対応する特定のカップの形成は、特定の使用者の身体構造の画像取込を意図している。特定の使用者の身体構造の画像取込は、デジタルプロファイルとして使用者の身体構造の3次元モデリングを可能にし、それによってカスタマイズされた格子状の支持部材のアディティブプリントが容易になる。その結果、適切にサイズ決めされた格子状の支持部材が、適切なポリマーベースの材質からアディティブプリントによりプリント可能となる。格子状の支持部材と同じように、第1(外側)カップカバー及び/又は第2(内側)カップカバーとが作られてよい(例えば、発泡体のブランク材から打ち抜きされる;アディティブマニュファクチャリングされる)。フォージングが使用される際、1又は複数のカップはその後、カップ内部の格子状の支持部材を第1(外側)カップカバー及び第2(内側)カップカバーとの間にボリューメトリックにドーム状に形成し、融着するように形成可能である。1又は複数のカップは、ストラップとブランク材に取り付けてもよく、ブラジャー又は他の衣服はこのように特定の使用者のために要求に応じて実現可能である。
【0052】
フォージングが使用される場合、マンドレル自体は、アディティブマニュファクチャリングされてよく、又は別の方法でカスタマイズされ、作られてよい。一実施形態において、外側カバー等の少なくとも一部のマンドレルは、例えば腫瘍摘出手術や部分的な乳房切除等の手術後の処理手順から生じる可能性がある不規則な形状の乳房を収容するため、例えば特定の使用者の身体構造を代理するように要求に応じて製造可能であってよい。同様に、外側カバー等の少なくとも一部の型もまた、例えば特定の使用者の身体構造を代理するように要求に応じて製造可能であってよい。
【0053】
次に図10を参照すると、ブラジャー(10)又は他の衣服は、カップ(100)に追加の構成要素を取り付けることを含んでよい。例えば、図10に示されるように、ブラジャー(10)は、1又は複数のストラップと、1又は複数のウイングと、1又は複数のブリッジとをさらに備えてよい。ブリッジ(又は他のコネクタ)は、第1カップ(100)を隣接する第2カップ(100)に接続するために使用されてよい。ジッパー及び/又はベルクロ(登録商標)も加えて、或いは、ジッパー及び/又はベルクロが代わりに、カップを接続するために使用されてよい。さらに、図10で図示を省略された構成要素として、バンド(例えば、手術後の着用向けの圧縮バンド)を含んでよい。理解されるように、ブラジャー又は他の衣服(10)は内側カップカバーと外側カップカバーとの間に設けられたポリマーベースの格子状の支持部材を備える単一のカップ(100)を備えてよい。内側カップカバー及び外側カップカバーは、格子状の支持部材用ポケットの輪郭を示してよい。他の実施形態において、内側カップカバー及び外側カップカバーの少なくとも1つは、最終的なカップ形状を形成するため、格子状の支持部材と一緒にフォージングされる。ブラジャー又は他の衣服(10)は、第2内側カップカバーと第2外側カップカバーとを有する第2カップ(100)をさらに備えてよい。実施形態によっては、第2カップ(100)は、第2内側カップと第2外側カップとの間に設けられた第2ポリマーベースの格子状の支持部材を備える。上記のように、第2格子状の支持部材用にポケットが使用されることが可能であり、或いは、第2格子状の支持部材は内側カップ及び/又は外側カップと一緒にフォージングされてよい。他の実施形態においては、第2カップにはいかなる格子状の支持部材も存在しない。下記でさらに詳細に記載されるように、ブラジャー(10)又は他の衣服は、第1カップデザインと第2カップデザインの様々な組合せを含んでよく、ここで第1カップ又は第2カップの少なくとも1つは、包まれた支持部材を備える。
【0054】
上記実施形態は概してアンダーワイヤーのないブラジャーに関しているが、本明細書に説明されている新規な支持部材(20)はまた、(例えば、以下でさらに詳細に記載されるように、追加のサポート及び又はしなやかさの向上のため)ワイヤー付きブラジャー及び又は他のワイヤー付き衣類と併せて用いられてよい。
【0055】
上記実施形態は一般に単一の支持部材(20)を乳房カップ(100)の中に包むことに関しているが、個々の乳房の支持を実現すると同様に、とりわけしなやかさを向上するために、乳房カップ(100)の中に少なくとも2つの支持部材(20)が包まれていことが認められるであろう。
【0056】
<衣類の種類>
上述の通り、新規な支持部材(20)はブラジャーや他の適用可能な衣服と共に使用されてよい。例えば、新規な支持部材(20)はとりわけ、肌に直接触れる衣類、イブニングウェア、水着、活動的な衣服(例えば、スポーツウェア及びアスリージャー(athleisure)ウェア)、手術後の衣類、妊婦用衣服、花嫁衣裳や防御服において使用されてよい。支持部材(20)は例えば、とりわけ肌に直接触れる衣類、イブニングウェアや花嫁衣裳において、美的な衣類(例えば、機能的な性質より美的な性質をより多く有するもの)向けに使用されてよい。別の方法として、支持部材は例えば、とりわけ活動的な衣服や水着において、機能的な衣類(例えば、美的な性質より機能的な性質をより多く有するもの)向けに使用されてよい。肌に直接触れる衣類の非限定的な例として、ランジェリー、ネグリジェ、ブラジャーや矯正下着が挙げられる。イブニングウェアの非限定的な例として、ストラップレスブラジャー、バルコネットブラジャー、プランジブラジャー、ブラレット、ボディースーツ及びランジェリーが挙げられる。水着の非限定的な例として、ビキニトップ、ウエットスーツ、ドライスーツ、ワンピース水着、水着ドレスやタンキニトップが挙げられる。活動的な衣服の非限定的な例としては、トレーニング用ブラジャー、スポーツブラジャーやトレーニング用トップ(例えば、タンクトップ、Tシャツ、長袖シャツ)が挙げられる。手術後の衣類の非限定的な例として、インプラントスタビライザーバンドを有するブラジャーや(例えば、回復を増進するための)圧縮ブラジャーが挙げられる。移行用衣類は、乳房手術(例えば、増強手術、腫瘍摘出手術、乳房切除手術や両乳房切除手術)後から再建に遷移可能な着用者による使用を対象としたブラジャーを含む。移行用衣類の1つの非限定的な例は、圧縮ブラジャーである。妊婦用衣服の非限定的な例は、授乳用ブラジャーや妊婦用ブラジャーが挙げられる。花嫁衣裳の非限定的な例として、ビスチェ、花嫁用ボディースーツ、ドレスやコルセットが挙げられる。防御服の非限定的な例は、ボディアーマー(例えば、防弾用衣類)を含む。
【0057】
<しなやかさの向上>
着用者の乳房へのサポートを提供するだけではなく、新規な支持部材(20)は衣服のしなやかさの向上を促進してよい。図3に示されるように、支持部材(20)は、第1カップカバー(50)及び第2カップカバー(52)の間に配置される。理解されるように、乳房の乳輪及び/又は乳頭は一般に、支持部材の中央に向かって位置させられている。このように、支持部材(20)は乳房の乳輪及び/又は乳頭領域を覆ってよく、その結果、衣服が着用されている間、これらの領域の不必要な強調を覆い隠してよい。言い換えると、組み込まれた支持部材(20)は乳輪及び/又は乳頭によりもたらされる力を、支持部材(20)が備えられた領域にわたって分配してよく、その結果として、乳輪及び/又は乳頭の不必要な強調を覆い隠すことにつながる。
【0058】
<支持部材の製造>
上述の通り、新規な支持部材(20)は、他の方法もある中でとりわけ、アディティブマニュファクチャリングにより製造されてよい。本明細書で使用されているように、「アディティブマニュファクチャリング」は「Standard Terminology for Additively Manufacturing Technologies」と題するASTM F2792-12aで定義されるように、「サブトラクティブマニュファクチャリング法とは対照的に、材料を結合して3Dモデルデータから物体を、通常は層を重ねて製造する方法」を意味する。一実施形態において、アディティブマニュファクチャリング工程は「Continuous Liquid Interphase Printing」と題する、米国特許第9,360,757号に記載される方法のような、連続液体インターフェーズプリント(“CLIP”)を利用することを含む。米国特許第9,360,757号は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
通常、新規な支持部材(20)は、ポリマーベースの材料を使用して製造される。ポリマーベースの材料は、熱可塑性物質、エラストマー、又は熱可塑性エラストマーであってよい。ポリマーベースの材料はまた、エラストマー材料及び熱可塑性材料の組み合わせであってよく、その組み合わせは熱可塑性エラストマーと考慮されてよい。熱可塑性エラストマーは例えば、熱可塑性物質とエラストマーの物理的な混和により、又は熱可塑性材料とエラストマー材料の間で化学結合が生じることにより、及びその組合せによって形成されてよい。熱可塑性物質の非限定的な例としては、ポリプロピレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルイミド、ナイロン、ポリカーボネイト、ポリアクリロニトリル及びそれらの組合せが挙げられる。エラストマーの非限定的な例としては、ポリイソプレン、ポリブタジエン、クロロプレン、ブチルゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フルオロエラストマー(例えば、バイトン)及びそれらの組合せが挙げられる。熱可塑性エラストマーは、上述の通り、上記熱可塑性物質の何れか少なくとも1つと、上記エラストマーの何れか少なくとも1つとの間の物理的な混和又は化学結合形成により、形成されてよい。
【0060】
新規な支持部材(20)を製造するための適切な材料は、特定の特性又は性質を有してよい。例えば、材料は乳房を支持するために形成可能であり、柔軟性があるけれども、十分な強度があるポリマー又はポリマーの混合体を含んでよい。さらに、材料は、さまざまな温度にうまく対応するポリマー又はポリマーの混合体を含んでよい。例えば、カップ(100)の形成は、フォージングステップの間、400°Fより高い温度に材料をさらすことを含んでよい。適切な材料はそのため、少なくとも400°F(204°C)及びフォージングの温度より高い溶融温度(例えば、半結晶性又は結晶性ポリマーについて)、又はガラス転移温度(例えば、アモルファスポリマーについて)を有してよい。支持部材材料は、商業用又は住宅用の衣類洗浄及び乾燥作業に適合できるものであってよい。商業用又は住宅用の衣類洗浄及び乾燥作業は、昇温の状態、水にさらされた状態、せっけんにさらされた状態、及び漂白剤にさらされた状態を含んでもよく、支持部材材料はそれらの状態に耐性があってよい。さらに、商業用又は住宅用の衣類乾燥機が達する温度は、200°F(93°C)以下でないので、材料は200°F(93°C)に至るまで、その形状記憶特性を保持してよい。
【0061】
一実施形態において、新規な支持部材(20)は、少なくとも500°F(260°C)の溶融温度又はガラス転移温度を持ったポリマー又はポリマーの混合体を含む。他の実施形態において、新規な支持部材(20)は少なくとも600°F(316°C)の溶融温度又はガラス転移温度を持ったポリマー又はポリマーの混合体を含む。他の実施形態において、新規な支持部材(20)は、少なくとも700°F(371°C)の溶融温度又はガラス転移温度を持ったポリマー又はポリマーの混合体を含む。
【0062】
一実施形態において、新規な支持部材(20)は熱可塑性物質から製造される。他の実施形態において、新規な支持部材(20)はエラストマーから製造される。他の実施形態において、新規な支持部材(20)は熱可塑性エラストマーから製造される。一実施形態において、新規な支持部材(20)はナイロン6を含む熱可塑性エラストマーから製造される。他の実施形態において、新規な支持部材(20)はポリウレタンを含む熱可塑性エラストマーから製造される。他の実施形態において、新規な支持部材(20)はナイロン6を含む熱可塑性物質から製造される。他の実施形態において、新規な支持部材(20)はポリウレタンを含む熱可塑性物質から製造される。
【0063】
アディティブマニュファクチャリングにより新規な支持部材(20)を作ることに加えて、新規な支持部材(20)は、サブトラクティブマニュファクチャリングにより製造されてよい。例えば、新規な支持部材(20)の生産に適したサブトラクティブマニュファクチャリング法はCNC(コンピュータ数値制御)加工であってよい。CNC加工は、製品を作り上げる加工工具を制御するためのコンピュータの利用を含む。CNC加工機は、加工前材料にとりわけ、切削、彫刻、フライス加工、穴開け、レーザー切断等の数々の作業を遂行してもよく、その結果、部分を除去して製品を形成する。CNC加工は、3Dモデルデータの利用を含んでよく、それによって製造者に、ブラジャー及び衣服用のカスタマイズ可能な支持部材(20)の生産において柔軟性を持たせてよい。他の例として、例えば射出形成がカスタマイズを必要としない新規な支持部材(20)(例えば、大量に作られるブラジャー又は衣服用の支持部材)の生産に適切な場合、射出形成(例えば、急速射出形成)が新規な支持部材(20)を生産するために使用されてよい。
【0064】
上述の通り、新規な支持部材(20)は、図1に見られるように、複数のボイド(37)を画定する、交差部材(32)の斜めの配列を備える格子状の母材(30)を含んでよい。交差部材(32)は様々な形状のボイド(37)を作り出してよい。示されるように、交差部材は正方形又は長方形のパターンを作る。他の実施形態において、少なくともいくつかの交差部材は直交していなくてよく、平行四辺形又は菱形のパターンを作ってよい。実際には、任意の適切な交差部材の配列が使用されてよい。一実施形態において、図1に示されるように、交差部材は概ね直線状である。しかし、交差部材は非直線状であってよく、1又は複数の湾曲/弓状部を有してよい。それらによって画定されるボイドはこのように、長方形、菱形、卵形、円形、楕円形、三角形、蜂の巣状の眼形、又は他の形状を含む、任意の適切な形状であってよい。さらに、1又は複数の交差部材は均一の厚さであってよく、或いは変化する厚さであってよい。同じく、1又は複数の交差部材は均一の幅であってよく、或いは様々な幅であってよい(例えば、図17参照)。同様に、1又は複数の交差部材は均一の長さであってよく、或いは様々な長さであってよい。
【0065】
支持部材は、任意の適切な形状であってよい。一実施形態において、支持部材(20)は、滑らかな内面及び外面を有する乳房カップ(100)を容易にしてよい(例えば支持部材は折れなくて、図1及び図2に示されるように、支持部材はアンカーのような形状を有している)。支持部材の形状の他の例は、図11A及び図11Bに示されるように、眼状であってよい。支持部材の形状のさらに他の例は、図12に見られるように中心から非直線状に広がる、等しい長さのアームを有する対称的な十字形に類似してよい。他の実施形態において、支持部材は鉤形である。
【0066】
他の実施形態において、及び次に図16A乃至図16Cを参照すると、格子状の支持部材(200)は、外周部(210)と、格子状の母材部(220)と、外周部(210)から格子状の母材部(220)まで延びている1又は複数の支持アーム(230)とを備える。1又は複数の支持アーム(230)は、外周部(210)と格子状の母材部(220)との間に設けられたギャップ(234)を画定する。当該実施形態は例えば、許容される支持部材を作るために製造容易性及び/又は材料削減が要求される場合に有益となり得る。
【0067】
示された実施形態において、外周部(210)は、上部(250)と、左下部(252)と、右下部(254)と、左側部(256)と、右側部(258)とを有する。左下部及び右下部(252、254)は、外周部(210)の中のノッチの形をした下側ギャップ(280)で分離される。任意の下側ギャップ(280)は、第1下縁部(282)と第2下縁部(284)とにより、部分的に画定される。第1下縁部及び第2下縁部(282、284)は頂点(286)で集合する。第1下縁部及び第2下縁部(282、284)は、部分的に外周部(210)を画定する。任意の下側ギャップ(280)は例えば、格子状の支持部材(200)の屈曲を容易にしてよい。他の実施形態においては、ギャップはなく、つながった下部が使用される(例えば、図11A参照)。
【0068】
外周部(210)の上部(250)は、弓状外縁部(251)を含んでよい。示された実施形態において、上部(250)は左側部(256)と右側部(258)とに接続される。上部(250)は、第1遷移点(270)で左側部(256)に遷移し、上部(250)は、第2遷移点(272)で右側部(258)に遷移する。左側部(256)は平面(257)を含んでよい。同様に、右側部(258)は平面(259)を含んでよい。平面の使用は例えば、CLIPバージョンのアディティブマニュファクチャリングによる格子状の支持部材(200)の製造を容易にし得る。左側部(256)は、第3遷移点(274)で左下部(252)に遷移してよい。右側部(258)は、第4遷移点(276)で右下部に遷移してよい。下左部(252)は弓状外縁部(253)を含んでよい。同様に、下右部(253)は弓状外縁部(255)を含んでよい。
【0069】
示された実施形態において、格子状の支持部材(200)は格子状の母材部(220)を備える。格子状の母材部(220)は、外周部(210)の上部(250)と下部(252、254)との間に設けられる。格子状の母材部(220)は一般に、第1縦辺部(リブ)(226)と対向する第2縦辺部(リブ)(228)とを備える。第1縦辺部(226)は外周部(210)の内側に配置されて、概ね、外周部(210)の上部(250)から左下部(252)まで延びる。示された実施形態において、第1縦辺部(226)は、概ねくぼんだ形状(例えば、三日月形状)を有する。第2縦辺部(228)もまた、外周部(210)の内側に配置され、概ね外周部(210)の上部(250)から右下部(254)まで延びる。示された実施形態において、第2縦辺部(226)は、概ねくぼんだ形状を有する。示された実施形態において、格子状の母材部(220)は、その縦軸については対称であるが、その横軸については非対称である。示された実施形態において、格子状の母材(220)の上側部は第1の幅(W1)を有し、中央部は第2の幅(W2)を有し、及び下側部は第3の幅(W3)を有する。ここで、W2<W1<W3である。格子状の母材部(220)はこのように、デカンターのような形状、及び/又は砂時計のような形状を有してよい。このような形状は、例えば格子状の支持部材(200)がブラジャーの中で使用される際、有益となり得る。
【0070】
1又は複数の支持アーム(230)は、第1縦辺部(226)から左下部(252)まで延びてよい。1又は複数の支持アーム(230)は、第1縦辺部(226)から左側部(256)まで延びてよい。1又は複数の支持アーム(230)は、第2縦辺部(228)から右下部(254)まで延びてよい。1又は複数の支持アーム(230)は、第2縦辺部(228)から右側部(258)まで延びてよい。
【0071】
格子状の母材部(220)は一般に、複数のボイド(224)を画定する複数の交差部材(222)を備える。交差部材は、本明細書に説明されている交差部材の何れであってよく、例えば、直線状又は非直線状であってよく、また、それ故に、長方形、正方形、卵形又は円形のボイド(224)を画定してよい。これは例えば、図17及び図18に示される。図17において、格子状の支持部材(200’)は概ね蜂の巣構造の複数の交差部材を含み、複数の概ね六角形状のボイド、又は部分的に六角形状のボイドを画定する。図18において、格子状の支持部材(200’’)は概ね正弦波のような構造の複数の交差部材を含み、複数の概ね楕円形のボイド又は部分的に楕円形のボイドを画定する。
【0072】
前述の通り、交差部材はまた、様々な長さ、幅及び/又は厚さを有してよい。この一実施形態が図17に示されるが、そこでは格子状の支持部材(200’)の底部の近位に配置された交差部材は、格子状の支持部材(200’’)の頂部の近位に配置された交差部材より大きな幅を有する。このように、少なくともいくつかの交差部材は、第1の境界を有する第1幾何学的形状を画定してよく、対して他の交差部材は第2の境界を有する第2幾何学的形状を画定してよい。一実施形態において、第1幾何学的形状は第2幾何学的形状と同一である。他の実施形態において、第1幾何学的形状は第2幾何学的形状と異なる。一実施形態において、第1の境界は第1の厚さを有し、第2の境界は第2の厚さを有する。一実施形態において、第1の厚さは第2の厚さと異なる。一実施形態において、第1の厚さは均一である。一実施形態において、第1の厚さは不均一である。一実施形態において、第2の厚さは均一である。一実施形態において、第2の厚さは不均一である。
【0073】
図15に戻って参照すると、格子状の支持部材(200)の様々な部位は変化する厚さを有してよい。示された実施形態において、格子状の母材(220)は変化する厚さを有し、支持部材(230)は変化する厚さを有し、対して外周部(210)は概ね均一の厚さを有する。一実施形態において、外周部(210)は変化する厚さを有する。一実施形態において、格子状の母材部(220)は均一の厚さを有する一方で、支持部材(230)及び/又は外周部(210)は変化する厚さを有する。他の実施形態において、支持部材(230)は均一の厚さを有する一方で、格子状の母材部(220)及び/又は外周は変化する厚さを有する。他の実施形態において、外周部(210)は概ね均一の厚さを有する一方で、支持部材(230)及び/又は格子状の母材部(220)は変化する厚さを有する。
【0074】
一実施形態において、格子状の母材部(220)の平均厚さは、(a)支持部材(230)の平均厚さ、(b)外周部(210)の平均厚さ、又は(c)支持部材(230)及び外周部(210)の両方の平均厚さより大きい。これらの実施形態のいくつかにおいて、支持部材(230)の平均厚さは、外周部(210)の平均厚さより大きい。これらの実施形態の他のいくつかにおいて、支持部材(230)の平均厚さは、外周部(210)の平均厚さより小さい。これらの実施形態のさらに他のいくつかにおいて、支持部材(230)の平均厚さは外周部(210)の平均厚さと同じである。
【0075】
他の実施形態において、外周部(210)の平均厚さは、(a)支持部材(230)の平均厚さ、(b)格子状の母材部(220)の平均厚さ、又は(c)支持部材(230)及び格子状の母材部(220)の両方の平均厚さより大きい。これらの実施形態のいくつかにおいて、支持部材(230)の平均厚さは、格子状の母材部(220)の平均厚さより大きい。これらの実施形態のいくつかにおいて、支持部材(230)の平均厚さは、格子状の母材部(220)の平均厚さより小さい。これらの実施形態のいくつかにおいて、支持部材(230)の平均厚さは格子状の母材部(220)の平均厚さと同じである。
【0076】
他の実施形態において、支持部材(230)の平均厚さは、(a)外周部(210)の平均厚さ、(b)格子状の母材部(220)の平均厚さ、又は(c)外周部(210)及び格子状の母材部(220)の両方の平均厚さより大きい。これらの実施形態のいくつかにおいて、外周部(210)の平均厚さは、の母材部(220)の平均厚さより大きい。これらの実施形態の他のいくつかにおいて、外周部(210)の平均厚さは、格子状の母材部(220)の平均厚さより小さい。これらの実施形態の他のいくつかにおいて、外周部(210)の平均厚さは、格子状の母材部(220)の平均厚さと同じである。
【0077】
図16A乃至図16Cを再度参照すると、少なくともいくつかの交差部材(222)は概して、第1縦辺部及び第2縦辺部(226、228)に接続して、その間に設けられる。示された実施形態において、少なくともいくつかの交差部材(222)は、第1縦辺部及び第2縦辺部(226、228)の弓状面(227、229)に接続する。示す実施形態において、少なくともいくつかの交差部材(222)は、弓状内縁部(296)等の外周部(210)の上部(250)に接続する。示した実施形態において、少なくともいくつかの交差部材(222)は、弓状内縁部(292、294)等にて外周部(210)の下部(252、254)に接続する。
【0078】
格子状の支持部材(200)は、随意選択的な位置決めアーム(240)を備えてよい。示された実施形態において、随意選択的な位置決めアーム(240)は外周部(210)から延び、格子状の母材部(220)から離れて延びる。示された実施形態において、位置決めアーム(240)は部分的に、外周部(210)に関連付けられたギャップ(280)(ノッチ)内に配置される。他の実施形態において、位置決めアーム(240)は完全に、外周部(210)に関連付けられたギャップ(280)(ノッチ)内に配置されてよい。他の実施形態において、例えば随意選択的なギャップ(280)が存在しない場合には、位置決めアーム(240)は外周部(210)の外縁部から延びてよい。
【0079】
位置決めアーム(240)は例えば、衣服内への格子状の支持部材(200)の配置(例えば、衣服のポケット内への位置決め)を容易にするために使用されてよい。衣服内に配置されると、位置決めアーム(240)は、例えば、位置決めアーム(240)に関連付けられている接合部(例えば、頂点(286)に配置される、又はその近位にある接合部)を疲労させることにより、及び/又は位置決めアーム(240)を切り離すことにより(例えば、切断することにより)、格子状の支持部材(200)から除去されてよい。他の実施形態において、位置決めアーム(240)は内側カップ及び外側カップ(図示せず)の少なくとも1つの間に格子状の支持部材(200)を配置するために使用される。フォージング工程が使用される場合、型又はマンドレルは、フォージング工程の間又はそれに伴って位置決めアーム(240)を切断してよい。
【0080】
図16A乃至図16Cに示された実施形態では、第1側部及び第2側部(256、258)が含まれている。他の実施形態において、これらの側部の1つ又は両方は省略されてよい。このように、実施形態によっては、格子状の支持部材(200)は概ね眼形の外周部(210)を有してよい(例えば、図17を参照)。
【0081】
<乳房カップの製造>
上述したように、第1カップカバー(50)は、支持部材(20)の下に横たわるように配置されてよく、第2カップカバー(52)は支持部材(20)の上に重なるように配置されてよい。フォージングの実施形態において、適切に配置されると、カップ(100)は、熱及び力の印加によりモールドされることで、カップ(100)が形成されてよい。カップ(100)の形成はさらに、形成に先立って第1カップと第2カップの間に接着剤を塗布することを含んでよい。一実施形態において、接着剤はコーンスターチ系の接着剤である。一実施形態において、接着剤は天然のコーンスターチ系の接着剤である。他の実施形態において、格子状の支持部材はブラジャーのポケットの中に挿入されてよい。ポケットは、第1カップカバー(50)と第2カップカバー(52)とにより、少なくとも部分的に画定されてよい。
【0082】
第1カップカバー(50)と第2カップカバー(52)とは、着用者の乳房に直接接触することに適している材料から製造されてよい。ポケットの一部として使用される場合、従来の布地が、第1カップカバー(50)及び/又は第2カップカバー(52)に使用されてよい。フォージングステップが使用される場合、カップカバーの材料は例えば、合成及び天然材料等の発泡体を含んでよい。合成材料は、ポリウレタン、ポリエステル、ライクラ(通常、スパンデックスと呼ばれるポリウレタン及びポリエステル共ポリマー)等のポリマーベースの材料を含んでよい。天然材料は、完全天然コーンスターチ発泡体、完全天然コーンスターチと砂糖の混合物、又は麻、及びそれらの組合せを含んでよい。一実施形態において、第1カップカバー(50)及び/又は第2カップカバー(52)は、ポリウレタン発泡体から作られる。他の実施形態において、第1カップカバー(50)及び又は第2カップカバー(52)は、完全天然コーンスターチ発泡体から作られる。他の実施形態において、第1カップカバー(50)及び/又は第2カップカバー(52)は、完全天然コーンスターチと砂糖の混合物から作られる。他の実施形態において、第1カップカバー(50)及び/又は第2カップカバー(52)はポリエステルから作られる。さらに他の実施形態において、第1カップカバー(50)及び/又は第2カップカバー(52)はポリエステル及びポリウレタンの混合物から作られる。
【0083】
別の態様において、第1カップカバー及び第2カップカバーの一方は、アディティブマニュファクチャリングにより作られる。例えば、格子状の支持部材の製造中に、第1カップカバー及び/又は第2カップカバーもまたアディティブマニュファクチャリングされてよく、このように一体の格子状の支持部材及びカップカバー構造を製造してよい。他の実施形態において、第1カップカバー及び/又は第2カップカバーは、格子状の支持部材とは別個にアディティブマニュファクチャリングされてよい。カップカバーは第1の特性を有する第1ポリマー材料を備えてもよく、格子状の支持部材は第2ポリマー材料を備えてよい。第2ポリマー材料は第2ポリマー材料とは異なっており、そのため第2の特性を有する。異なるポリマー及び特性を使用することにより、特性の組合せの向上が促進されてよい。例えば、快適さ、通気性及びサポートの少なくとも二つの組合せが向上してよい(例えば、第1ポリマーは、第2ポリマーよりも快適/柔軟であり、及び/又はより通気性があるが、第2ポリマーは第1ポリマーよりも堅い場合。)
【0084】
<バイオメトリックス>
新規な支持部材(20)の製造の特性及び方法は、新規な支持部材(20)が基材としての機能を果たすことを可能にしてよい。例えば、新規な支持部材(20)は1又は複数のバイオメトリックスセンサ用の基材としての機能を果たしてよい。バイオメトリックスセンサは例えば、アディティブマニュファクチャリングにより新規な支持部材(20)に組み込まれてよい。一実施形態では、バイオメトリックスセンサを支持部材(20)の中に組み込む方法は、(a)支持部材(20)の少なくともいくつかの部位が製造された後でバイオメトリックスセンサを母材の中に配置する工程と、(b)支持部材(20)の1又は複数の部位を製造する工程(例えば、支持部材の残りを製造する工程)とを含んでおり、それによってバイオメトリックスセンサを埋め込んで、バイオメトリックスセンサの両側が支持部材(20)に囲まれる。他の実施形態において、バイオメトリックスセンサを支持部材(20)の中に組み込む方法は、支持部材(20)を1又は複数のバイオメトリックスセンサの上にアディティブマニュファクチャリングする工程を含み、それにより、バイオメトリックスセンサを部分的に囲む。他の方法は例えば、バイオメトリックスセンサを支持部材(20)に縫い付ける工程(例えば、編み合わせる)を含んでよい。一実施形態において、バイオメトリックスセンサを支持部材(20)の中に組み込む方法は、バイオメトリックスセンサを縫い付ける工程を含む。縫い付ける工程は、(a)糸通し孔を有するように1又は複数のバイオメトリックスセンサを修正する工程と、(b)針及び糸で糸通し孔に糸を通す工程を含んでおり、それによって、1又は複数のバイオメトリックスセンサを支持部材(20)に取り付ける。1又は複数のバイオメトリックスセンサを組み込む方法は、1又は複数のバイオメトリックスセンサが内側カップカバー(52)に隣接して、又は外側カップカバー(50)に隣接して、及びそれらの組合せで配置されるように適用されてよい。
【0085】
上述の通り、新規な支持部材(20)は、1又は複数のバイオメトリックスセンサをその中に組み込んでよい。このような組み込まれたバイオメトリックスセンサを有する新規な支持部材(20)は、バイオメトリックスデータの生成のために使用されてよい。例えば、1又は複数の組み込まれたバイオメトリックスセンサはバイタルサインをモニタリングすることによりバイオメトリックスデータを生成してよい。モニタリングされてよいバイタルサインのいくつかの非限定的な例としては、体温、脈拍(心拍数)、呼吸数(呼吸率)及び又は血圧が挙げられる。
【0086】
1又は複数の組み込まれたバイオメトリックスセンサを有する支持部材(20)は、電気生理学的信号によりバイオメトリックスデータを生成してよい。モニタリングされてよい電気生理学的信号のいくつかの非限定的な例としては、心電信号(心臓の電気的活動)と筋電信号(筋組織の電気活動)とが挙げられる。
【0087】
1つのアプローチにおいて、このような組み込まれたバイオメトリックスセンサを有する新規な支持部材(20)は、健康状態に関するデータを生成してよい。モニタリングされてよい健康状態の例として、糖尿病が挙げられる(例えば、血糖値;インスリン値を測定することによる)。モニタリングされてよい健康状態の他の例としては、パルスオキシメトリー(血液中の酸素飽和度の測定)により測定されてよい睡眠時無呼吸がある。さらに他の例において、着用者は子宮筋の収縮を検知することにより妊娠の状態をモニタリングしてよい。さらに他の例において、着用者は、乳房に含まれた母乳の状態をモニタリングしてよい(例えば、乳幼児に授乳する適切な時間を判断するため、又は授乳の間にどれだけの母乳が消費されたかを判断するときに)。さらに他の例において、着用者は、水分含有量及び温度の両方をモニタリングすること等により、凍傷罹患の状態をモニタリングしてよい。さらに他の例において、着用者は、基礎体温(例えば、休息時の体温)をモニタリングすることにより、月経周期の状態をモニタリングしてよい。その際、排卵期及び月経期間が検知される。
【0088】
1つのアプローチにおいて、このような組み込まれたバイオメトリックスセンサを有する新規な支持部材(20)は、感染症又は病気に関するデータを生成してよい。モニタリングされてよい病気の非限定的な例としては、がんが挙げられ(例えば、腫瘍成長をモニタリングする)、これは、血流を測定すること(例えば、熱伝導率測定による)、がんバイオマーカーを解明すること(例えば、アルファフェトプロテイン(AFP)を測定する)、及び/又は、熱分布を測定することによる(例えば、赤外線放射によって)。モニタリングされてよい感染症の例としては、ウイルス感染及び/又は細菌感染が挙げられる(例えば、体温による発熱のモニタリング;パルスオキシメトリーによる白血球数のモニタリング)。
【0089】
他のアプローチにおいて、このような組み込まれたバイオメトリックスセンサを有する新規な支持部材(20)は、環境データの生成において使用されてよい。モニタリングされてよい環境データの若干の非限定的な例として、汚染データ(例えば、大気中に見られるオゾン、一酸化炭素、NO合成物及びSO化合物等の汚染化合物濃度)、又は危険な職場環境で見られる可能性がある有害ガスデータ(例えば、硫化水素、一酸化炭素、炭化水素ガス、SO及びNOの濃度)が挙げられる。モニタリングされてよい環境データの他の非限定的な例としては、アレルギー持ちの着用者に有用な花粉量が挙げられる。
【0090】
新規な支持部材(20)は、少なくとも2つの組み込まれたバイオメトリックスセンサを有してよい。例えば、バイオメトリックスデータの少なくとも2つの異なるカテゴリ(例えば、バイタルサイン、電気生理学的信号、健康状態、感染症、病気、又は環境データ)と、1つのカテゴリ内のバリエーション(例えば、バイタルサインである体温及び脈拍の両方を測定すること)とが、1のカップ(100)又は複数のカップ(100)において測定されてよい。例えば、ブラジャー(10)又は他の衣服の単一カップ(100)に、バイオメトリックスセンサが追加の構成要素(例えば、伝送装置;バッテリ)に隣接して配置されるように、少なくとも2つのバイオメトリックスセンサを配置することが望ましいこともあり得る。さらに、バイオメトリックスデータの少なくとも2つのカテゴリが、とりわけ、例えば健康状態及び環境データが、別々のカップ(100)において測定されてよい。さらに、少なくとも2つの組み込まれたバイオメトリックスセンサは、単一のカップの中に配置されてよく、それが単一のバリエーションのデータを生成してよい。例えば、着用者は、数々のバイオメトリックスセンサを支持部材(20)の中に組み込むことにより、乳がんの発生をモニタリングしてよい。さらに、少なくとも2つの組み込まれたバイオメトリックスセンサは別々のカップに配置されてよく、それが単一のバリエーションのデータを生成してよい。第1カップに配置された1又は複数のバイオメトリックスセンサは、(例えば、配線、バッテリ、伝送装置等の構成要素により)第2カップに配置された1又は複数のバイオメトリックスセンサに相互接続されてよい。バイオメトリックスセンサの配列例は、(例えば、熱伝導率測定により)血流を測定する3次元データを生成することで、乳がんの存在及び診断された乳がん(例えば、血流の変化が原因)のおおよその位置を診断してよい。例えば、以前、がん治療(例えば、放射線、腫瘍摘出手術、乳房切除手術)を受けた人において、1又は複数のバイオメトリックスセンサが、潜在的ながんの再発に関連するバイオメトリックスを検知するために、本明細書で説明されている衣服の1又は複数のカップにおいて使用されることもあり得る。腫瘍摘出手術又は乳房切除手術の場合、1又は複数のバイオメトリックスセンサが、1又は複数の修復ピースと組み合わせて、そして、本明細書で説明されている衣服と組み合わせて、潜在的ながんの再発に関連するバイオメトリックスを検知するために使用されることもあり得る。
【0091】
理解されるように、上述の1又は複数のバイオメトリックスセンサはまた、乳房カップ(100)に、例えば、内側カップカバー(52)に組み込まれてよい。1又は複数のバイオメトリックスセンサを内側カップカバー(52)に組み込むことで、皮膚接触(例えば、着用者の乳房とバイオメトリックスセンサによる)を可能にでき、それによって特定のバイオメトリックスデータの収集(例えば、電気生理学的信号)が可能になる。さらに、バイオメトリックスセンサとの皮膚接触は、より高い正確性及び精密さで、特定のバイオメトリックスデータの収集を可能にできる。着用者の乳房との皮膚接触は、1又は複数のバイオメトリックスセンサを支持部材(20)の中に組み込むことにより実現されてよい。例えば、外側カップカバー(50)と内側カップカバー(52)とによって囲まれた支持部材(20)を有するカップ(100)は、内側カップカバー(52)の少なくともいくらかの部位(例えば、バイオメトリックスセンサのサイズ及び位置に合った部位)を除去されてもよく、1又は複数のバイオメトリックスセンサを着用者の皮膚に触れさせてよい。
【0092】
組み込まれたバイオメトリックスセンサを有する様々な組み合わせのカップが作られてよい。1又は複数のバイオメトリックスセンサは1又は複数のカップ(100)に配置されてよい。1又は複数のバイオメトリックスセンサは様々な方法により組み込まれてよい。様々な方法として、バイオメトリックスセンサを支持部材(20)の中にアディティブマニュファクチャリングすること(例えば、バイオメトリックスセンサを埋め込むこと)、又はバイオメトリックスセンサを支持部材(20)に縫い付けること(例えば、編み合わせること)、及びそれらの組合せが上げられる。1又は複数のバイオメトリックスセンサは、上述の通り1又は複数のカテゴリ(他に多数の組合せがある中で、例えば、健康状態及び環境データ)のデータ、及び1又は複数のバリエーション(例えば、バイタルサインのカテゴリの体温のバリエーション)のデータ、並びにそれらの組合せを生成してよい。1又は複数のバイオメトリックスセンサは、上述以外の1又は複数の目的のデータを生成するために使用されてよい。例えば、パルスオキシメトリーは睡眠時無呼吸をモニタリングする又は感染症を検知することだけにとどまらず有効であってよく、睡眠時無呼吸及び感染症の両方をモニタリングするために使用されてよい。1又は複数のバイオメトリックスセンサは、相互接続されてよく、1又は複数のカップの中で相互接続されてもよく、それらの組合せでもよい。1又は複数のバイオメトリックスセンサは、内側カップカバー(52)に隣接して配置されてもよく、外側カップカバー(50)に隣接して配置されてもよく、それらの組合せでもよい。
【0093】
1又は複数のバイオメトリックスセンサを組み込む支持部材(20)は、連続的及び/又は離散的データを受信装置に送信するための伝送装置及び伝送方法と共に利用されてよい。データは、着用者の受信装置又は第三者(例えば、着用者の健康状態をモニタリングする医者)の受信装置、それらの組合せにより受信されてよい。受信装置は、データを分析、保管、及び整理するアプリケーションを利用してよい。受信装置の非限定的な例としては、とりわけスマートフォン及びコンピュータを含んでよい。伝送方法は、無線又は有線であってよく、それらの組合せでもよい。無線の伝送方法は、ブルートゥース(登録商標)、セルラー、又は無線通信規格(例えば、電気電子技術者協会(IEEE)により定義された802.11規格)を含んでよく、それらの組合せを含んでよい。有線の伝送方法は、ツイストペア線、同軸ケーブル、又は光学繊維ケーブルや、それらの組合せを利用することを含んでよい。
【0094】
<術後回復ブラジャー>
上述の通り、新規な乳房カップ(100)は、手術(例えば、豊胸手術、腫瘍摘出手術、乳房切除手術、又は両乳房切除手術)を受けた着用者に有用であってよい。手術を受けた後、着用者は、回復期を経験することがある。回復期ブラジャー又は他の衣服(10)は、カップ(100)又は他の構成要素に回復期材料を備えてよい。回復期材料は、(例えば、圧縮により)乳房を支持すること、及び/又は、乳房の治癒を促すために感染症に対する感受性を低下させることの助けとなってよい。回復期ブラジャー又は他の衣服には、アンダーワイヤーがなくてよい。回復期材料は、ナイロン、ライクラ(スパンデックス)、及びそれらの組合せを含んでよい。回復期ブラジャー又は他の衣服はまた、F5認証された圧縮衣服であってよい。
【0095】
<術後の個人のための3D画像化>
上述の通り、新規な乳房カップ(100)は、手術(例えば、豊胸手術、腫瘍摘出手術、乳房切除手術、又は両乳房切除手術)を受けた着用者に有用であり得る。部分的(例えば、腫瘍摘出手術)な又は全体的な(例えば、乳房切除手術)乳房摘出手術からの回復後、着用者は乳房の新しい外見が原因で心理的反応を経験することがある。ブラジャー又は他の衣服は手術前の乳房の外見を復元する可能性があり、それにより心理的影響を減少し得る。上述の通り、特定の使用者による着用のために考え出された乳房カップ(100)の形成は、着用者の固有の身体構造に対応するように形作られてよい。着用者の固有の身体構造は、乳房手術に先立って3D画像取込により記録されてよい。例えば、乳房手術を受けようとしている個人のために、医療目的で、手術に先立って3D画像取込をしてもらってよい。着用者の乳房手術で生じた負の体積の身体構造が、手術に先立って収集された3D画像データと手術の後で収集された3D画像データとを使用してレンダリングされてよい。例えば、手術後の3D画像データと手術前の3D画像データとの間の差を計算することにより、デジタルプロファイルが生成されてよい。さらに、乳房のデジタルプロファイルは、手術前に収集された3D画像化データがない場合には、変更されていない乳房の鏡像を使用して作製されてよい。負の体積は、デジタル処理でレンダリングされ、デジタルプロファイルを作製してよい。1又は複数の修復体積ピースを作製するため、デジタルプロファイルはアディティブマニュファクチャリングを使用して作られてよい。修復体積ピースは、支持部材(20)を有する乳房カップ(100)に組み込まれて乳房の手術前の外見を復元し、新しい外見の心理的影響を軽減し得る。
【0096】
修復体積ピースは、乳房カップ(100)に組み込まれてよい。1つのアプローチにおいて、修復体積ピースは、第2カップカバー(52)(乳房と接する内側カップカバー)に縫い合わせられてよい(例えば、編み合わされてよい)。他のアプローチにおいて、修復体積ピースはカスタマイズされた第1カップカバー(50)とカスタマイズされた第2カップカバー(52)との間に包まれてよい。カスタマイズされた第1カップカバー(50)とカスタマイズされた第2カップカバー(52)との間に修復体積ピースを包むことは、カップ(100)をフォージングするためにカスタマイズされたマンドレル(62)及びカスタマイズされた型(60)を利用することを、随意選択的に含めてよい。他のアプローチにおいて、新規な支持部材(20)は1又は複数の修復体積ピースをプリントするため、上述のように第1カップカバー(50)と第2カップカバー(52)とに囲まれた1又は複数の修復体積ピースの基材としての機能を果たしてよい。例えば、格子状の母材(30)のボイド(37)は、修復体積ピースをアディティブマニュファクチャリングするために適切な構造であってよい。1又は複数の修復体積ピースは、カップ(100)内の、内側カップカバー(52)又は外側カップカバー(50)に隣接して包まれてよく、それらの組合せでもよい。他の実施形態において、任意の一方のカップ(100)は、1又は複数の修復体積ピースを使って、支持部材(20)がない状態で製造されてよい。例えば、乳房切除手術を受けた女性は、一方のカップ(100)が除去された乳房の寸法の修復体積ピースを備えており、別のカップ(100)を備える設計のブラジャー(10)を着用してよい。
【0097】
修復体積ピースは、着用者のために快適さ及び外見を高め得る材料から製造されてよい。例えば、修復体積ピースは、密度が異なっており、潜在的にその他の物理的特性を有する1つの材料、又は多数の材料からアディティブマニュファクチャリングされてよい。多数の材料からの修復体積ピースの製造は、製造されたブラジャー又は他の衣服のカスタマイズを可能にしてもよく、それにより手術前の乳房の重量と感触とを再現する。修復体積ピースの製造に使用され得る材料は、熱可塑性物質、エラストマー、熱可塑性エラストマー、及びそれらの組合せを含んでよい。材料はまた、とりわけ、発泡体又はゲルの形態であってよい。一実施形態において、1又は複数の材料はポリウレタンを備える熱可塑性エラストマーである。他の実施形態において、1又は複数の材料はナイロン6を備える熱可塑性エラストマーである。他の実施形態において、1又は複数の材料は熱可塑性エラストマーである。他の実施形態において、1又は複数の材料はシリコーンゲルを備えるエラストマーである。他の実施形態において、1又は複数の材料はヒドロゲルを備えるゲルである。
【0098】
乳房カップ(100)は、1又は複数の修復体積ピースを組み込んでいる支持部材(20)と併せて作られてよい。実施形態によっては、1又は複数の修復体積ピースの形状は、例えば乳房切除手術又は両乳房切除手術を受けた着用者の場合、乳房全体に類似していてよい。これらの実施形態において、内側カップカバー(52)はボリューメトリックにドーム形成されないが、乳房が乳房切除手術により除去されている着用者の胸部に心地良く寄り掛かるために、カップ(100)は概ね平らになる方法で作られてよい。
【0099】
カスタマイズされた乳房カップ(100)はまた、全体的にアディティブマニュファクチャリングされてよい。例えば、第1カップカバー(50)及び第2カップカバー(52)、並びに支持部材(20)は、ボリューメトリックなドーム形成された乳房カップの最終形状でアディティブマニュファクチャリングされてよい。ボリューメトリックにドーム形成された第1カップカバー(50)、第2カップカバー(52)、及び支持部材(20)が現実化されてよい、又は乳房カップ(100)全体が1つの連続体としてアディティブマニュファクチャリングされてよい。乳房カップ(100)のアディティブマニュファクチャリングにより、カスタマイズされた乳房カップ(100)を生産するためにカスタマイズされたマンドレル(62)又は型(60)の必要性がなくなる。
【0100】
<豊胸手術のために変更されたカップ形状>
従来のブラジャー又は衣服の中の乳房カップ(100)は、乳房の最底部を支持することにより(例えば、アンダーワイヤーで)、乳房の重量を支持するよう設計されてよい。豊胸手術等の手術を受けた(例えば、乳房インプラントを受けた)着用者は、図13及び図14に見られるように、天然の乳房よりも球状の乳房を有する可能性がある。増大した乳房の中の球状のインプラントをアンダーワイヤーで支持することで、インプラントが動いて手術後の回復の速度を落とすことにつながることがある。適切にサイズ決めされた及び/又は形作られた支持部材(20)、並びに/或いは、適切にサイズ決めされた及び/又は形作られた内側及び/又は外側カップ(50、52)を備える乳房カップ(100)は、インプラントの動きを防ぎ、回復の速度を上げることができる。
【0101】
<カスタマイズされた型及びマンドレル>
上述の通り、特定の使用者による着用のために考え出されており、中に新規な支持部材(20)を組み込まれた特定の乳房カップ(100)(例えば、カスタマイズされた乳房カップ)の形成が、本開示で考察されている。カスタマイズされた乳房カップ(100)の形成は、適切なドーム形成をフォージングする前に、カスタマイズされた型(60)及び又はカスタマイズされたマンドレル(62)を作製する工程を随意選択的に含んでよい(図9参照)。マンドレル(62)の少なくとも一部は、フォージングする際、特定の着用者の身体構造を表すようにカスタマイズされてよい。カスタマイズされたマンドレル(62)は、カスタマイズされていないマンドレル(62)を備えてよく、カスタマイズされた部位をいくつかの取付け手段により取り付けてよい。カスタマイズされたマンドレル(62)又はマンドレル(62)のカスタマイズされた部位は、アディティブマニュファクチャリングにより作られてよい。アディティブマニュファクチャリングでは、3D画像化データが、上述のように修復体積ピースと同様の方法で製造において利用される。同様に、カスタマイズされた型(60)又はカスタマイズされた型(60)の少なくともいくつかの部位は、カスタマイズされたマンドレル(62)と同一の方法で作られてよい。
【0102】
理解されるように、各着用者は固有の乳房寸法を有してよく、それは従来のブラジャー及び他の衣服では表されないことがある。カスタマイズされた型(60)及び対応するマンドレル(62)は、個々の着用者それぞれのために製造できるが、それは現実的ではないことがある。しかし、例えば、12個の異なる乳房形状及び対応するカップ(100)サイズを表す型(60)及びマンドレル(62)の限られたセットは、乳房カップ(100)をカスタマイズするための実用的アプローチとなる可能性がある。
【0103】
<ブラカップの組合せ>
ブラジャー及び他の衣服は、上記の実施形態の様々な組合せを使用して作られてよい。例えば、任意の1つのカップ(100)は、1又は複数の格子状の支持部材(20)を含んでもよく、又は1又は複数の修復体積ピースを含んでよい。さらに、任意の1つのカップ(100)は従来のカップデザインであってよい。一実施形態において、ブラジャー又は他の衣服は、1又は複数の包まれた格子状の支持部材(20)を備える第1カップと、従来の乳房カップデザインである第2カップとを備える。他の実施形態において、ブラジャー又は他の衣服は、1又は複数の包まれた格子状の支持部材(20)を備える第1カップと、1又は複数の修復体積ピースを備える第2カップとを備える。他の実施形態において、ブラジャー又は他の衣服は第1カップと第2カップとを備えており、それぞれが1又は複数の包まれた格子状の支持部材(20)を備える。
【0104】
<他の用途>
上述のように、本開示のブラジャー及び衣服は概して、乳房、例えば男性又は女性の乳房を支持するためであってよい。一実施形態において、ブラジャー又は衣服は1つ以上の男性の乳房を覆うためにある。他の実施形態において、ブラジャー又は衣服は1つ以上の女性の乳房を覆うためにある。支持部材を有するカップは、ペニス及び睾丸を覆う、支持する、及び又は保護するため等、他の身体構造上の部材のために設計されてよい。ペニス及び/又は睾丸の身体構造上の特徴のために設計された男性のカップは、ペニス及び/又は睾丸を覆うために適切に生産された第1カップカバーと、第2カップカバーと、支持部材とを備えてよい。例えば、男性のカップは、運動競技用衣服の中で利用されてもよく、その意図する目的はスポーツ活動中(例えば、フットボール、野球、サッカー、スキー、ホッケー、サイクリング、ランニング、その他のスポーツ運動イベント)、着用者のペニス及び/又は睾丸を支持し、保護することであってよい。他の目的は、男性の肌着用であってよく、その中で男性のカップは下着内のペニス及び/又は睾丸の視覚的美観を高めるために使用されてよい。一実施形態において、第1カップカバーと、第2カップカバーと、支持部材とを備える男性カップは、運動競技用衣類で使用される。他の実施形態において、第1カップカバーと、第2カップカバーと、支持部材とを備える男性のカップは、下着内のペニス及び/又は睾丸の視覚的美観を高めるために使用される。男性のカップは、上述のバイオメトリックスセンサの何れかを含んでよい。一実施形態において、男性の衣服はがん(例えば、睾丸がん)を検知するためのセンサを備える。
【0105】
本開示の様々な実施形態が詳細に説明されたが、当業者がそれらの実施形態の変形及び適合が思い付くであろうことは明らかである。しかしながら、このような変形及び適合が本開示の要旨及び範囲内にあることは明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18