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特許7376140二次電池ユニット及びジャンプスターター並びに二次電池装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】二次電池ユニット及びジャンプスターター並びに二次電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20231031BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231031BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20231031BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/204 401E
H01M50/50 201A
H01M50/284
H01M50/296
H01M50/289
H01M50/249
H01M50/211
H01M50/264
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021171283
(22)【出願日】2021-10-20
(65)【公開番号】P2022107503
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2021001761
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520494437
【氏名又は名称】株式会社ティーアールシィー高田
(74)【代理人】
【識別番号】100120075
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 浩明
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 修平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 順也
(72)【発明者】
【氏名】杉田 渉
(72)【発明者】
【氏名】大庭 利久
(72)【発明者】
【氏名】野沢 尚久
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-155962(JP,A)
【文献】特表2011-502337(JP,A)
【文献】特表2018-534892(JP,A)
【文献】特開2019-149357(JP,A)
【文献】特開2012-212591(JP,A)
【文献】特開2017-157424(JP,A)
【文献】特開2017-084463(JP,A)
【文献】国際公開第2007/072660(WO,A1)
【文献】特開2013-191538(JP,A)
【文献】特開2009-224271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電部がフィルムで覆われた充放電可能な電池を保持する二次電池ユニットであって、
少なくとも第1枠体と第2枠体とを有し、前記第1枠体と前記第2枠体との間に前記電池のフィルムの周縁部を挟んで前記電池を保持する電池保持体と、
前記第1枠体の前記電池のフィルムに当接する第1面に、前記フィルム側に突出して設けられた凸部と、
前記第2枠体の前記電池のフィルムに当接する第2面に、前記凸部が前記フィルムを介して挿入される凹部と、
前記フィルムを挟む力を調整する調整部材と、を備え、
前記電池保持体は、前記第1枠体と前記第2枠体からはみ出した前記電池のフィルムの周縁部を、前記凸部と前記凹部とで挟むことで、前記第1枠体へ折れ曲がった前記周縁部を前記第1枠体の外に露出させたまま保持する
二次電池ユニット。
【請求項2】
前記第1枠体へ折れ曲がった前記周縁部の先端部を前記第1枠体の外に露出させたまま収容する溝部を前記第1枠体の外縁に備える
請求項1の二次電池ユニット。
【請求項3】
前記電池は、前記フィルムの周縁部から延出する一対の電極タブを備え、
前記第1枠体の外側面には、前記第1枠体からはみ出す前記電極タブの一方又は他方が折り曲げられて配置される電極配置部が設けられ、
前記第1枠体の凸部と前記第2枠体の凹部は、前記電池のフィルムに電極タブがない前記周縁部を挟む位置にある
請求項1又は請求項2に記載の二次電池ユニット。
【請求項4】
前記第1枠体には前記第2枠体の反対側に、前記電池とは別の電池と第3枠体とが積層され、
前記第1枠体と前記第2枠体との間に挟まれる前記電池を第1電池とし、前記第1枠体と前記第3枠体との間に挟まれる前記別の電池を第2電池とすると、
前記第1電池及び前記第2電池は、前記フィルムの周縁部から延出する一対の電極タブを備え、
前記第1枠体からはみ出す前記第1電池の電極タブの一方又は他方は、折り曲げられて前記電極配置部に配置され、
前記第1枠体からはみ出す前記第2電池の電極タブの一方又は他方は、折り曲げられて前記第1電池の電極タブに重なるように前記電極配置部に配置され、
前記第1電池の電極タブと前記第2電池の電極タブの重なり部は、導電板が押し当てられ、前記導電板と共に前記電極配置部に締結部材で接合される
請求項3に記載の二次電池ユニット。
【請求項5】
本体の内部に設けられる請求項1から請求項4の何れかに記載の二次電池ユニットと、
前記本体の内部から外部に引き回され、前記二次電池ユニットからの電力を出力する正極ケーブル及び負極ケーブルと、を備え、
前記正極ケーブルは、前記本体の内部から外部へ延出する第1ケーブル出口部で固定され、
前記負極ケーブルは、前記本体の内部から外部へ延出する第2ケーブル出口部で固定される
ジャンプスターター。
【請求項6】
前記二次電池ユニットは、前記電池の正極に接続される正極端子と前記電池の負極に接続される負極端子を設けた回路基板を備え、
前記第1ケーブル出口部と前記第2ケーブル出口部は、前記二次電池ユニットを挟んで前記本体の両側部にそれぞれ設けられ、
前記正極ケーブルは、基端が前記正極端子に電気的に接続され、前記二次電池ユニットの外側を回り込むように引き回されて前記第1ケーブル出口部から前記本体の外部に延出して、先端が正極クリップに接続され、
前記負極ケーブルは、基端が前記負極端子に電気的に接続され、前記正極ケーブルとは反対回りで前記二次電池ユニットの外側を回り込むように引き回されて前記第2ケーブル出口部から前記本体の外部に延出して、先端が負極クリップに接続される
請求項5に記載のジャンプスターター。
【請求項7】
前記第1ケーブル出口部には、第1防水機構が設けられ、
前記第1防水機構は、
複数の第1部屋を形成する複数の第1リブと、
前記複数の第1リブと前記正極ケーブルとの間に設けられて、前記複数の第1部屋を閉じると共に前記正極ケーブルを固定するゴム部材と、を備え、
前記第2ケーブル出口部には、第2防水機構が設けられ、
複数の第2部屋を形成する複数の第2リブと、
前記複数の第2リブと前記負極ケーブルとの間に設けられて、前記複数の第2部屋を閉じると共に前記負極ケーブルを固定するゴム部材と、を備える
請求項5又は請求項6に記載のジャンプスターター。
【請求項8】
請求項1から請求項4の何れかに記載の二次電池ユニットを複数収容する本体ケースと、
前記二次電池ユニットのそれぞれに設けられる緩衝部材と、
前記二次電池ユニットのそれぞれに設けられる取っ手と、を備え、
前記本体ケースは、側板と、前記側板の底面の開口を閉じる底板と、前記側板の上面の開口を閉じる蓋部とを備え、
前記緩衝部材は、前記取っ手の上面に設けられる上面緩衝部材を含む
二次電池装置。
【請求項9】
前記上面緩衝部材の高さは、前記側板の上面よりも高く、
前記側板に前記蓋部が装着されると前記上面緩衝部材がつぶれることで、前記二次電池ユニットは前記本体ケースに固定される
請求項8に記載の二次電池装置。
【請求項10】
前記本体ケースは、前記複数の二次電池ユニットを収容する電池収容空間と、前記電池収容空間の両側の重り収容空間とを隔てる隔壁を備え、
前記重り収容空間のそれぞれに前記複数の二次電池ユニットよりも高さの低い重り部材を収容し、
前記底板は、前記重り部材と同様の材質である
請求項8又は請求項9に記載の二次電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電部をフィルムで覆う二次電池を備える二次電池ユニット及びその二次電池ユニットを備えるジャンプスターターに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の二次電池ユニットは、リチウムイオン電池などの平坦な二次電池を枠体で保持してなる。このような二次電池としては、例えば特許文献1に記載のように厚みのある発電部をラミネートフィルムで包み込むパウチ型の二次電池がある。パウチ型の二次電池は、特許文献1の図2に示すように電池の発電部の周りのラミネートフィルムで接合される周縁部全体を2個の枠体で覆うように挟み込むことで、電池の周縁部が枠体からはみ出さないように保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-139199公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、2個の枠体の平らな表面で二次電池の周縁部を挟み込むので、二次電池が枠体に対してずれやすくなってしまう。特に多数の二次電池を積層して組立てる場合には、それぞれの二次電池がずれてしまうと、二次電池の位置決めにも手間がかかる。しかも二次電池は充放電により熱膨張するため、使用中にずれる可能性もあり、振動や衝撃によってもずれる可能性がある。二次電池が枠体に対してずれてしまうと、そのずれ量によっては、枠体の内側に収容される二次電池の発電部が枠体にこすれてラミネートフィルムが破損し液漏れの可能性もある。
【0005】
ところで、リチウムイオン電池のような二次電池は、充放電などで発熱やガス発生が起こって内部圧力が上昇し熱膨張することがある。二次電池内の圧力上昇は電池の破損を引き起こすので、パウチ型のようなフィルムで覆われた二次電池では、フィルムの周縁部から圧力を逃がせるようになっている。ところが、もし電池の周縁部が枠体からはみ出さないように2個の枠体で電池の周縁部全体を覆ってしまうと、ガスや圧力の逃げ場がなくなり電池が破損してしまうおそれがある。このような事情を考慮して、本発明は、枠体による二次電池の保持力を高めることで、枠体に対する二次電池の位置ずれを効果的に抑制でき、さらに熱膨張による電池の破損を防ぐことができる二次電池ユニット及びジャンプスターター並びに二次電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の二次電池ユニットは、発電部がフィルムで覆われた充放電可能な電池を保持する二次電池ユニットであって、少なくとも第1枠体と第2枠体とを有し、第1枠体と第2枠体との間に電池のフィルムの周縁部を挟んで電池を保持する電池保持体と、第1枠体の電池のフィルムに当接する第1面に、フィルム側に突出して設けられた凸部と、第2枠体の電池のフィルムに当接する第2面に、凸部がフィルムを介して挿入される凹部と、を備え、電池保持体は、第1枠体と第2枠体からはみ出した電池のフィルムの周縁部を凸部と凹部とで挟むことで、第1枠体へ折れ曲がった周縁部を第1枠体の外に露出させたまま保持する。
【0007】
本発明の態様によれば、第1枠体の凸部と第2枠体の凹部との間で電池のフィルムの周縁部が保持され、電池は第1枠体と第2枠体との間にしっかりと固定される。これにより、電池の保持力が高まり、第1枠体と第2枠体に対する電池の位置ずれを効果的に抑制できる。したがって、電池の位置決めの手間を軽減でき、電池のフィルムの破損も抑制できる。しかも、第1枠体と第2枠体からはみ出した電池のフィルムの周縁部を凸部と凹部とで挟むことで、第1枠体へ折れ曲がった電池のフィルムの周縁部を第1枠体の外に露出させたまま保持することができる。このように、本態様によれば、電池のフィルムの周縁部を枠体の外に露出させずに枠体で覆うのではなく、むしろ積極的に枠体の外の露出させることで、電池が熱膨張した場合でも電池の周縁部が外に露出しているからガスや圧力の逃げ場ができるので、熱膨張による電池の破損を効果的に抑制でき、安全性を向上できる。
【0008】
本発明の二次電池ユニットの好適な態様において、第1枠体へ折れ曲がった周縁部の先端部を第1枠体の外に露出させたまま収容する溝部を第1枠体の外縁に備える。本態様によれば、第1枠体の外縁に溝部を備えることで、第1枠体へ折れ曲がった電池のフィルムにおける周縁部の先端部が溝部に誘導されやすく、折り曲げられやすくなる。しかも電池のフィルムにおける周縁部の先端部が第1枠体の溝部に収容されることで、その先端部に配線などがひっかかることを抑制することもできる。
【0009】
本発明の二次電池ユニットの好適な態様において、電池は、フィルムの周縁部から延出する一対の電極タブを備え、第1枠体の外側面には、第1枠体からはみ出す電極タブの一方又は他方が折り曲げられて配置される電極配置部が設けられ、第1枠体の凸部と第2枠体の凹部は、電池のフィルムに電極タブがない周縁部を挟む位置にある。本態様によれば、第1枠体の凸部と第2枠体の凹部は、電池のフィルムに電極タブがない周縁部を挟む位置にあるから、電極タブの位置ずれや変形をさせることなく、電池の保持力を高めることができる。
【0010】
本発明の二次電池ユニットの好適な態様において、第1枠体には第2枠体の反対側に、電池とは別の電池と第3枠体とが積層され、第1枠体と第2枠体との間に挟まれる電池を第1電池とし、第1枠体と第3枠体との間に挟まれる別の電池を第2電池とすると、第1電池及び第2電池は、フィルムの周縁部から延出する一対の電極タブを備え、第1枠体からはみ出す第1電池の電極タブの一方又は他方は、折り曲げられて電極配置部に配置され、第1枠体からはみ出す第2電池の電極タブの一方又は他方は、折り曲げられて第1電池の電極タブに重なるように電極配置部に配置され、第1電池の電極タブと第2電池の電極タブの重なり部は、導電板が押し当てられ、導電板と共に電極配置部に締結部材で接合される。本態様によれば、電極タブが重なるように電極配置部に配置され、電極タブの重なり部は導電板が押し当てられ、導電板と共に電極配置部に締結部材で接合されるから、導電板を介さないで締結部材で締め付ける場合に比較して、電極タブの接触面積を増やすことができるので電圧低下を防ぐことができる。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のジャンプスターターは、本体の内部に設けられる請求項1から請求項4の何れかに記載の二次電池ユニットと、本体の内部から外部に引き回され、二次電池ユニットからの電力を出力する正極ケーブル及び負極ケーブルと、を備え、正極ケーブルは、本体の内部から外部へ延出する第1ケーブル出口部で固定され、負極ケーブルは、本体の内部から外部へ延出する第2ケーブル出口部で固定される。本発明の態様によれば、正極ケーブルと負極ケーブルはそれぞれ、本体の内部から外部へ延出する第1ケーブル出口部と第2ケーブル出口部で固定されるから、正極ケーブル及び負極ケーブルが外から引っ張られたとしても引き出され難くすることができる。
【0012】
本発明のジャンプスターターの好適な態様において、二次電池ユニットは、電池の正極に接続される正極端子と電池の負極に接続される負極端子を設けた回路基板を備え、第1ケーブル出口部と第2ケーブル出口部は、二次電池ユニットを挟んで本体の両側部にそれぞれ設けられ、正極ケーブルは、基端が正極端子に電気的に接続され、二次電池ユニットの外側を回り込むように引き回されて第1ケーブル出口部から本体の外部に延出して、先端が正極クリップに接続され、負極ケーブルは、基端が負極端子に電気的に接続され、正極ケーブルとは反対回りで二次電池ユニットの外側を回り込むように引き回されて第2ケーブル出口部から本体の外部に延出して、先端が負極クリップに接続される。本態様によれば、第1ケーブル出口部と第2ケーブル出口部は、二次電池ユニットを挟んで本体の両側部にそれぞれ設けられ、本体の内部において、正極ケーブルは二次電池ユニットの外側を回り込むように引き回され、負極ケーブルは正極ケーブルとは反対回りで引き回されるので、正極ケーブルと負極ケーブルが外から引っ張られても二次電池ユニットから外れ難くすることができる。
【0013】
本発明のジャンプスターターの好適な態様において、第1ケーブル出口部には、第1防水機構が設けられ、第1防水機構は、複数の第1部屋を形成する複数の第1リブと、複数の第1リブと正極ケーブルとの間に設けられて、複数の第1部屋を閉じると共に正極ケーブルを固定するゴム部材と、を備え、第2ケーブル出口部には、第2防水機構が設けられ、複数の第2部屋を形成する複数の第2リブと、複数の第2リブと負極ケーブルとの間に設けられて、複数の第2部屋を閉じると共に負極ケーブルを固定するゴム部材と、を備える。本態様によれば、第1ケーブル出口部及び第2ケーブル出口部の防水効果が高まり、水分などの液体が本体内に入り込み難くなる。もし第1ケーブル出口部又は第2ケーブル出口部に水分などの液体が入り込んだとしても先ずは複数の第1部屋又は第2部屋に入り込むので二次電池ユニットまで入り込むことを抑制できる。これにより、水分などによる二次電池ユニットの電池がショートすることを抑制できる。また、正極ケーブルは第1ゴム部材でしっかり固定され、負極ケーブルは第2ゴム部材でしっかりと固定される。これにより、もし正極ケーブルと負極ケーブルが外から引っ張られたとしても容易に引き出され難くなる。したがって、正極ケーブルと負極ケーブルが二次電池ユニットから外れることを抑制できる。これにより、ジャンプスターターに内蔵される二次電池ユニットの安全性を高めることができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の二次電池装置は、請求項1から請求項4の何れかに記載の二次電池ユニットを複数収容する本体ケースと、二次電池ユニットのそれぞれに設けられる緩衝部材と、二次電池ユニットのそれぞれに設けられる取っ手と、を備え、本体ケースは、側板と、側板の底面の開口を閉じる底板と、側板の上面の開口を閉じる蓋部とを備え、緩衝部材は、取っ手の上面に設けられる上面緩衝部材を含む。本発明の態様によれば、各二次電池ユニットに緩衝部材を別々に設けることで、各二次電池ユニットに共通の緩衝部材を設ける場合に比較して、二次電池ユニットのそれぞれをしっかりと固定できる。しかも、各二次電池ユニットで最も上部にある取っ手の上面に上面緩衝部材を設けることで、上面緩衝部材の大きさ(特に高さ)を抑えることができる。
【0015】
本発明の二次電池装置の好適な態様において、上面緩衝部材の高さは、側板の上面よりも高く、側板に蓋部が装着されると上面緩衝部材がつぶれることで、二次電池ユニットは本体ケースに固定される。本態様によれば、蓋部を装着することで上面緩衝部材がつぶれるので、各二次電池ユニットは底板と蓋部との間でほぼ均等に固定できる。しかも、上面緩衝部材がつぶれることで一定の圧力がかかった状態で各二次電池ユニットが固定されるので、振動や衝撃があっても各二次電池ユニットのそれぞれが本体ケース内で動かないようにしっかり固定できる。
【0016】
本発明の二次電池装置の好適な態様において、本体ケースは、複数の二次電池ユニットを収容する電池収容空間と、電池収容空間の両側の重り収容空間とを隔てる隔壁を備え、重り収容空間のそれぞれに複数の二次電池ユニットよりも高さの低い重り部材を収容し、底板は、重り部材と同様の材質である。本態様によれば、隔壁により本体ケースの内部空間を電池収容空間と重り収容空間に隔てることができるので、電池収容空間への防水効果を高めることができる。しかも池収容空間の両側に二次電池ユニット1よりも高さの低い重り部材を設けるとともに、底板も底板312も重り部材と同様の材質であるから重りとして機能させることができる。これにより、二次電池装置全体の重心を下げることができると共に重量バランスも向上させることができるので、より安定して車両に固定できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、枠体による二次電池の保持力を高めることで二次電池のずれを効果的に抑制できるので、二次電池の位置決めの手間を軽減することができ、電池のフィルムの破損も抑制できる。しかも発明によれば、電池の周縁部を外に露出させたまま保持できるので、熱膨張による電池の破損を防ぐことができ、安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る二次電池ユニットの外観斜視図である。
図2図1の二次電池ユニットの分解斜視図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図3に示す枠体の1つを拡大した断面図である。
図5図1のB-B断面図である。
図6図5において枠体と電池を増やした場合の断面図である。
図7】電池の構成例を示す外観斜視図である。
図8】電池の構成例を示す平面図である。
図9】枠体をZ2方向から見た図である。
図10】枠体をZ1方向から見た図である。
図11】電池と枠体を積層固定する前の工程を示す作用説明図である。
図12】電池と枠体を積層固定した後の工程を示す作用説明図である。
図13】第2実施形態に係る二次電池ユニットを備えるジャンプスターターの外観正面図である。
図14図13のケーブルを省略した外観正面図である。
図15図14のジャンプスターターの分解斜視図である。
図16図15のケーブルの配置を説明するための図である。
図17】第3実施形態に係る二次電池ユニットを備える二次電池装置の外観斜視図である。
図18図17の二次電池装置の分解斜視図であって蓋部を開けた状態を示す図である。
図19】第3実施形態に係る二次電池ユニットを示す斜視図である。
図20図18のC-C断面図であって蓋部を装着する前の状態を示す図である。
図21図18のC-C断面図であって蓋部を装着した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る二次電池ユニット1について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る二次電池ユニット1の構成を示す外観斜視図である。図2は、図1の二次電池ユニット1の分解斜視図である。図3図1のA-A断面図であり、図4図3に示す1つの枠体20の拡大断面図である。図5図1のB-B断面図であり、図6図5において電池10と枠体20を増やした場合の断面図である。各図におけるX1-X2方向、Y1-Y2方向、及びZ1-Z2方向の各方向は残り2方向に対して直交する。以下の説明ではX1-X2方向は横方向、Y1-Y2方向は縦方向、Z1-Z2方向は積層方向とも称する。
【0020】
図1及び図2に示すように二次電池ユニット1は、一方向(Z1-Z2方向)に積層される複数の扁平型の電池10を保持する電池保持体2を備える。電池保持体2は、各電池10の間にそれぞれ配置され各電池10を挟んで保持する複数の枠体20を備える。図3及び図5に示すように各電池10は、発電部11がフィルム12で覆われた充放電可能なリチウムイオン電池である。図2に示すように電池10の横方向には一対の電極タブ(正極タブ16a、負極タブ16b)が設けられる。なお、電池10の詳細な構成は後述する。
【0021】
図1乃至図3に示すように複数の電池10と複数の枠体20とは、電池10の積層方向であるZ1-Z2方向に交互に積層される。図1では同様の構成の2枚の電池10(10A、10B)と同様の構成の3枚の枠体20(枠体20A、枠体20B、枠体20C)を積層した例を挙げている。図1の二次電池ユニット1は、電池10Bの正極タブ16aが正極となるとともに、電池10Aの負極タブ16bが負極となって、各電池10A、10Bの電力を取り出せる。電池10と枠体20の枚数はこれに限られるものではない。例えば図6に示すように電池10と枠体20を積層方向に増やすこともできる。
【0022】
図6は、5個の枠体20(20A、20B、20C、20D、20E)と4個の電池10(10A、10B、10C、10D)を交互に積層して構成される。4個の電池10はそれぞれ直列に接続されている。図6の二次電池ユニット1は、電池10Dの正極タブ16aが正極となるとともに、電池10Aの負極タブ16bが負極となって、各電池10A~10Dの電力を取り出せる。
【0023】
図1及び図2に示すように各枠体20の外側面には、複数の連結部22a~22fが間隔を空けて設けられている。図2に示すように連結部22a~22fの貫通穴222にそれぞれボルト4を通してナット5に螺合することで、図1に示すように各枠体20が各電池10のフィルム12の周縁部122を挟んだ状態で接合できる。
【0024】
各枠体20の横方向の側面のそれぞれには、電池10の電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)を折り曲げて配置する電極配置部23a、23bを備える。図2及び図5に示すように枠体20Bの電極配置部23a又は電極配置部23bに電池10Bの正極タブ16aと電池10Aの負極タブ16bを重ねて配置することで電池10Aと電池10Bとは直列に接続される。正極タブ16aと負極タブ16bとの重なり部分には導電性の金属からなる導電板40で押し当てられボルト42で接合される。ボルト42に螺合するナット43は枠体20に装着できるようになっている(後述の図9及び図10参照)。ボルト42とナット43は電極タブ(正極タブ16a、負極タブ16b)を接合する締結部材を構成する。締結部材としてはこれに限られず、ネジなどでもよい。
【0025】
なお、電池10Aを正極タブ16aと負極タブ16bの位置が逆になるようにひっくり返して積層し、枠体20Bの電極配置部23aに電池10Bの正極タブ16aに電池10Aの正極タブ16aを重ねれば並列接続になる。このように電池10の向きを変えることによって直列にも並列にも接続できる。
【0026】
各枠体20の積層方向の第1面212とその反対側の第2面214は、隣り合う電池10のフィルム12の周縁部122との当接面になる。図2及び図4に示すように第1面212のY1側とY2側にはそれぞれ第1面212からZ2方向に突出する凸部24a、24bが形成される。第2面214のY1側とY2側にはそれぞれ凸部24a、24bの反対側に第2面214からZ2方向に凹む凹部25a、25bが形成される。これによれば、例えば図2に示すように2個の枠体20Aと枠体20Bとの間に電池10Aのフィルム12を挟んで重ねることで、電池10Aのフィルム12の周縁部122が一方の枠体20Bの凸部24a、24bと他方の枠体20Aの凹部25a、25bとに挟まれた状態で保持される。これにより、電池の保持力を高めることができ、枠体20に対する電池10のずれを抑制できる。
【0027】
しかも、一方の枠体20Bの凸部24a、24bがそれぞれ電池10Aのフィルム12の周縁部122を他方の枠体20Aの凹部25a、25bに押し込むので、図1及び図2に示すように枠体20A及び枠体20Bから縦方向Y1側とY2側にはみ出る電池10Aのフィルム12における周縁部122の先端部123をそれぞれZ1方向に(枠体20Bの側面に沿うように)折り曲げることができる。これによれば、枠体20Bからフィルム12の先端部123がはみ出すほど枠体20Bを小さくしても、その先端部123が折り曲げられて(倒れて)いるので配線などにひっかかって配線を傷つけることを抑制できる。
【0028】
また、ボルト4とナット5によって枠体20Aと枠体20Bの締め付けを強めるほど、電池10Aのフィルム12を挟む力を強めることができる。このように、本実施形態のボルト4とナット5は、フィルム12を挟む力を調整する調整部材を構成する。調整部材でフィルム12を挟む力を強めるほど、一方の枠体20Bの凸部24a、24bがフィルム12の周縁部122を他方の枠体20Aの凹部25a、25bに押し込む量も増えるので、電池10の保持力をより強化でき、フィルム12の先端部123をより大きく折り曲げることができる。
【0029】
さらに、各枠体20A、20B、20Cには、上述したようにY1側、Y2側においてZ1方向へ折れ曲がった電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123が入り込む溝部26a、26bが形成されている。折れ曲がった先端部123はそれぞれ、溝部26a、26bに入り込んで収容される。これにより、折れ曲がった先端部123が他の配線などに引っかかり難くすることができる。
【0030】
具体的には、図1及び図2に示すように枠体20Aと電池10Aと枠体20Bに着目すれば、枠体20Aが第2枠体に相当し、枠体20Bが第1枠体に相当する。そうすると、電池保持体2は、枠体20A(第2枠体)と枠体20B(第1枠体)との間にフィルム12の周縁部122を挟んで電池10Aを保持する。枠体20B(第1枠体)において電池10Aのフィルム12に当接する第1面212に、そのフィルム12側に突出して凸部24a、24bが設けられる。枠体20A(第2枠体)において電池10Aのフィルム12に当接する第2面214に、枠体20B(第1枠体)の凸部24a、24bがそれぞれフィルム12を介して挿入される凹部25a、25bが設けられる。
【0031】
電池保持体2は、後述する図11に示すように枠体20A(第2枠体)と枠体20B(第1枠体)からY1側にはみ出した電池10Aのフィルム12の周縁部122のY1側の辺を凸部24aと凹部25aとで挟むことで、後述する図12に示すように枠体20B(第1枠体)へ折れ曲がった周縁部122を枠体20B(第1枠体)の外に露出させたまま保持できる。また電池保持体2は、後述する図11に示すように枠体20A(第2枠体)と枠体20B(第1枠体)からY2側にはみ出した電池10Aのフィルム12の周縁部122のY2側の辺を凸部24bと凹部25bとで挟むことで、後述する図12に示すように枠体20B(第1枠体)へ折れ曲がった周縁部122を枠体20B(第1枠体)の外に露出させたまま保持できる。
【0032】
また、枠体20Bと電池10Bと枠体20Cに着目すれば、枠体20Bが第2枠体に相当し、枠体20Cが第1枠体に相当する。そうすると、電池保持体2は、枠体20B(第2枠体)と枠体20C(第1枠体)との間にフィルム12の周縁部122を挟んで電池10Bを保持する。枠体20C(第1枠体)において電池10Bのフィルム12に当接する第1面212に、そのフィルム12側に突出して凸部24a、24bが設けられる。枠体20B(第2枠体)において電池10Bのフィルム12に当接する第2面214に、枠体20C(第1枠体)の凸部24a、24bがそれぞれフィルム12を介して挿入される凹部25a、25bが設けられる。
【0033】
電池保持体2は、後述する図11に示すように枠体20B(第2枠体)と枠体20C(第1枠体)からY1側にはみ出した電池10Bのフィルム12の周縁部122のY1側の辺を凸部24aと凹部25aとで挟むことで、後述する図12に示すように枠体20C(第1枠体)へ折れ曲がった周縁部122を枠体20C(第1枠体)の外に露出させたまま保持できる。また電池保持体2は、後述する図11に示すように枠体20B(第2枠体)と枠体20C(第1枠体)からY2側にはみ出した電池10Bのフィルム12の周縁部122のY2側の辺を凸部24bと凹部25bとで挟むことで、後述する図12に示すように枠体20C(第1枠体)へ折れ曲がった周縁部122を枠体20C(第1枠体)の外に露出させたまま保持できる。このように、多数積層される枠体20のうち任意の隣設する枠体20が第1枠体、第2枠体に相当し、第1枠体と第2枠体との間に挟まれる電池10が第1電池に相当する。
【0034】
次に電池10について図7及び図8を参照しながら詳細に説明する。なお、電池10Aと電池10Bは同様の構成なので、電池10で代表して説明する。図7及び図8は、電池の構成例を示す図である。図7は電池10の外観斜視図であり、図8は電池10を積層方向(Z1方向)から見た平面図である。図8では枠体20と重ねた状態を分かりやすくするため枠体20を点線で重ねている。なお、図7及び図8の電池10は枠体20で保持される前の電池10である。
【0035】
図7に示すように電池10は、発電部11(図3参照)及び電解液などを封止する可撓性のフィルム12(例えばラミネートフィルム)と、一対の電極タブ(正極タブ16a、負極タブ16b)とを備える。発電部11は、正極板と負極板とがセパレータを挟んで交互に積層された積層電極である。この積層電極は、正極側集電体と負極側集電体とを備え、正極タブ16aが正極側集電体に接合され、負極タブ16bが負極側集電体に接合されている。なお、発電部11は積層電極でなくてもよく、単層の電極であってもよい。
【0036】
フィルム12は、例えば一対の矩形状のラミネートフィルムの間に発電部11を配置し、フィルム12の周縁部122を熱溶着により接合することで、発電部11と電解液を封止する。フィルム12は、熱溶着により接合された薄肉の周縁部122と、この周縁部122により囲繞されて発電部11及び電解液が密封状態で収容される厚肉の収容部124とを備える。
【0037】
周縁部122の横方向(X1-X2方向)の両側の辺からそれぞれ正極タブ16a、負極タブ16bが延出している。図7では周縁部122のX1側の辺からX1方向に正極タブ16aが延出しており、周縁部122のX2側の辺からX2方向に負極タブ16bが延出している。図7に示すように正極タブ16aは負極タブ16bよりも縦方向(Y1-Y2方向)に長くなるように形成してもよい。これにより、正極タブ16aと負極タブ16bを見分けやすくなる。正極タブ16a及び負極タブ16bは、Al,Cu,Ni,Feなどの金属箔によって形成される。フィルム12は、例えば樹脂層と金属層を含む積層構造で構成される。
【0038】
図7及び図8の電池10は枠体20で保持される前の電池10なので、フィルム12の周縁部122も折り曲げられておらず、正極タブ16a及び負極タブ16bも折り曲げられていない。この状態で電池10は枠体20に重ねると、図8に示すように電池10の肉厚の収容部124は、枠体20の開口部203の内部に収まるように重なる。他方、電池10の薄肉の周縁部122は、一部を除いて枠体20の第1面212又は第2面214に重なる。
【0039】
図8に示すように横方向(X1-X2方向)における枠体20の長さは周縁部122の長さとほぼ同じである。これによれば、X1方向とX2方向では枠体20をはみ出さずに正極タブ16a及び負極タブ16bだけ枠体20をはみ出すようになる。こうすることで、正極タブ16a又は負極タブ16bを折り曲げて電極配置部23a又は電極配置部23bに配置できるようになる。
【0040】
他方、縦方向(Y1-Y2方向)における枠体20の長さはフィルム12の周縁部122よりも短いので、フィルム12の周縁部122は、Y1方向とY2方向では枠体20をはみ出す。これによれば、縦方向における枠体20の長さを周縁部122が含まれるほど長くした場合に比較して縦方向に小型化できる。
【0041】
ところが、フィルム12の周縁部122が枠体20をはみ出してしまうと、周縁部122の先端部123で他の配線やケーブルなどが傷つきやすくなってしまう。特にフィルム12の周縁部122は薄いラミネートフィルムが熱溶着されているのでその先端部123は他の部分よりも鋭利で硬めであり、配線やケーブルなどが傷つきやすい。
【0042】
また、仮に枠体20のフィルム12の当接面(第1面212又は第2面214)に凸部24a、24bがなく例えば平らな平面である場合には、電池10が枠体20に対してずれやすくなってしまう。ラミネートフィルムは表面が滑りやすいので作業中に枠体20で挟んで抑えていてもずれやすい。特に多数の電池10を積層して組立てる場合には、それぞれの電池10がずれてしまうと、電池10の位置決めや電極タブ(正極タブ16a、負極タブ16b)の接合にも手間がかかる。しかも電池は充放電により熱膨張するため、使用中にずれる可能性もある。電池10が枠体20に対してずれてしまうと、そのずれ量によっては、枠体20の開口部203に収容される電池10の肉厚の収容部124(発電部11)が枠体20の内側面204の縁部などにこすれてフィルム12が破損し液漏れの可能性もある。
【0043】
ところで、リチウムイオン電池のような二次電池は、充放電などで発熱やガス発生が起こって内部圧力が上昇し熱膨張することがある。二次電池内の圧力上昇は電池の破損を引き起こすので、パウチ型のようなフィルムで覆われた二次電池では、フィルムの周縁部から圧力を逃がせるようになっている。ところが、もし電池の周縁部が枠体からはみ出さないように2個の枠体で電池の周縁部全体を覆ってしまうと、ガスや圧力の逃げ場がなくなり電池が破損してしまうおそれがある。
【0044】
そこで、本実施形態では、上述したように各枠体20に凸部24a、24bと凹部25a、25bをそれぞれ設け、隣設する2個の枠体20で電池10のフィルム12の周縁部122を凸部24a、24bと凹部25a、25bで挟んで保持することにより、枠体20による電池10の保持力を高めることができる。これにより、枠体20に対する電池10のずれを効果的に抑制できる。
【0045】
しかも、凸部24a、24bが電池10の周縁部122を介して凹部25a、25bに挿入されるので、電池10のフィルム12の周縁部122が凹部25a、25bに押し込まれる。これにより、枠体20から外にはみ出した電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123を枠体20の外に露出させたまま折り曲げることができる。これによれば、枠体20からはみ出した電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123が他の配線などを傷つけることを抑制できる。
【0046】
さらに、このような構成によれば、電池10のフィルム12の周縁部122を枠体20の外に露出させずに枠体20で覆うのではなく、むしろ積極的に枠体20の外の露出させることで、電池10が熱膨張した場合でも電池10の周縁部122が外に露出しているからガスや圧力の逃げ場ができるので、熱膨張による電池10の破損を効果的に抑制でき、安全性を向上できる。
【0047】
以下、このような枠体20の構成を図9及び図10を参照しながら詳細に説明する。図1に示す枠体20A、20B、20Cは同じ構成なので、枠体20を代表して説明する。図9は、枠体20をZ2方向から見た図である。図10は、枠体20を図9とは反対側のZ1方向から見た図である。
【0048】
図9及び図10に示す枠体20は矩形の環状である。本実施形態では矩形の電池10を保持するので、枠体20の形状もそれに合わせて矩形の環状であるがこれに限られない。電池10の形状に合わせた形状にしてもよく、例えば電池10の形状が円形や楕円形であればそれに合わせて枠体20も円形や楕円形の環状に構成してもよい。
【0049】
枠体20の開口部203は、その内側に電池10の収容部124が収まるように構成されている。枠体20の外側面202には6個の連結部22a~22fが設けられている。連結部22a、22b、22cは、外側面202のX1側の辺にX1方向に突出して設けられ、連結部22d、22e、22fは、外側面202のX2側の辺にX2方向に突出して設けられている。
【0050】
図9及び図10に示すように各連結部22a~22fには、ボルト4を通す貫通穴222が形成されている。Z2側がZ2方向に突出する突出部223が形成され、その反対側のZ1側がZ1方向に凹む係合部224が形成される。枠体20の係合部224は隣設する枠体20の突出部223と係合するようになっている。複数の枠体20を重ねるときに各係合部224にそれぞれ対向する各突出部223を係合することで、枠体20同士の位置決めが容易となる。
【0051】
貫通穴222は、係合部224から突出部223まで貫通するように設けられている。そのため、位置決めされた状態で貫通穴222にボルト4を通してナット5に螺合することで複数の枠体20を正確に位置決めされた状態で固定できる。これにより、係合部224と突出部223を設けない場合に比較して組立作業効率を格段に向上できる。
【0052】
枠体20の外側面202のX1側の辺には、連結部22aと連結部22bとの間に電極配置部23aが設けられている。枠体20の外側面202のX2側の辺には、連結部22dと連結部22eとの間に電極配置部23bが設けられている。電極配置部23a、23bには、電池10の電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)を折り曲げて配置する。これにより、隣り合う電池10の電極タブを重ねて配置できるので、電極タブを折り曲げずに接合する場合に比較してよりコンパクトに接合できる。
【0053】
さらに、電池10のX1-X2方向の向きを逆にすれば、正極タブ16aと負極タブ16bのいずれも重ねることができるので、直列接続も並列接続も可能となる。具体的には隣り合う電池10のX1-X2方向の向きを同じにして正極タブ16a同士を重ねれば直列に接続できる(図5及び図6参照)。他方、隣り合う電池10のX1-X2方向の向きを逆にして正極タブ16aと負極タブ16bとを重ねれば並列に接続できる。
【0054】
具体的には例えば図2に示す枠体20Bを第1枠体、枠体20Aを第2枠体、枠体20Cを第3枠体とする。そして枠体20B(第1枠体)と枠体20A(第2枠体)との間に挟まれる電池10Aを第1電池とし、枠体20B(第1枠体)と枠体20C(第3枠体)との間に挟まれる別の電池10Bを第2電池とする。
【0055】
このとき、枠体20B(第1枠体)には枠体20A(第2枠体)の反対側に、電池10A(第1電池)とは別の電池10B(第2電池)と枠体20C(第3枠体)とが積層される。電池10A(第1電池)から延出された電極タブ(正極タブ16a)は、枠体20B(第1枠体)側に折り曲げられて枠体20B(第1枠体)の電極配置部23aに配置される。電池10B(第2電池)から延出される電極タブ(負極タブ16b)は、枠体20B(第1枠体)側に折り曲げられて、電池10A(第1電池)の電極タブ(正極タブ16a)に重なるように電極配置部23aに配置される。電池10A(第1電池)の電極タブ(正極タブ16a)と電池10B(第2電池)の電極タブ(負極タブ16b)の重なり部は、電極配置部23aに導電板40で押し当てられボルト42などの締結部材で接合される。電極配置部23bにも同様に、電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)を接合できる。
【0056】
図9及び図10に示すように、枠体20の電極配置部23a、23bには、図1などに示すボルト42に螺合するナット43を装着する装着穴44が設けられている。図9はナット43が装着されていない状態を例示し、図10はナット43が装着された状態を例示する。図10に示すように装着穴44は、枠体20のZ1側の第2面214に形成されており、枠体20のZ1側からナット43を装着する。電極配置部23a、23bには枠体20の側面からナット43まで貫通する貫通穴41が形成されている。ボルト42を貫通穴41に通してナット43に螺合することで電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)を接合する(図12参照)。なお、図9に示すように枠体20のZ2側の第1面212にはナット43が装着されているかどうかを確認する確認穴45を形成してもよい。
【0057】
図9に示すように枠体20のZ2側の第1面212には凸部24a、24bが形成される。他方、図10に示すように枠体20のZ1側の第2面214には凹部25(25a、25b)が形成される。凸部24a、24bと凹部25a、25bはそれぞれX1-X2方向に延びるように形成される。図9及び図10では、凸部24a、24bは第1面212のX1側の端部からX2側まで連続して延出し、凹部25a、25bは第2面214のX1側の端部からX2側まで連続して延出する場合を例示したが、これに限られず、X1側の端部からX2側まで複数の凸部24a、24bを設けても。その場合には、複数の凸部24a、24bに対向する位置に複数の凹部25a、25bを凸部24a、24bと同じ数だけ設けるようにする。
【0058】
このような枠体20の構成によれば、隣り合う枠体20の凸部24a、24bと凹部25a、25bで電池10のフィルム12の周縁部122を挟むことができる。これにより、電池10の保持力を高めることができるので、枠体20に対する電池10のずれを抑制できる。さらに電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123が折れ曲がるように変形できるので、他の配線などを傷つけることを抑制できる。
【0059】
さらに、図9に示すように枠体20のY1側の外縁には、枠体20側へ折れ曲がった電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123が入り込む溝部26aが形成されている。また、枠体20のY2側の外縁には、枠体20側に折れ曲がった電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123が入り込む溝部26bが形成されている。
【0060】
具体的には、溝部26aは枠体20の外縁(外側面)のうちY1側の外縁に形成され、溝部26bは枠体20の外縁(外側面)のうちY2側の外縁に形成される。溝部26aは枠体20の外縁(外側面)のY1側の辺(凸部24aのY1側の外側面を含む)をZ1方向に一定の奥行で切り欠いて形成され、溝部26bは枠体20の外縁(外側面)のY2側の辺(凸部24bのY2側の外側面を含む)をZ1方向に一定の奥行で切り欠いて形成される。
【0061】
溝部26aと溝部26bの奥行は、枠体20側に折れ曲がった電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123が入り込む程度の長さである。溝部26aと溝部26bはそれぞれ、X1-X2方向に連続して形成される。これによれば、枠体20側に折れ曲がった電池10のフィルム12における周縁部122の先端部123は、その幅方向(X1-X2方向)の全体が溝部26a又溝部26bに収容される。これにより、折れ曲がった先端部123が他の配線などに引っかかり難くすることができる。
【0062】
なお、凸部24a、24bと凹部25a、25bはそれぞれ、電極配置部23a、23bのないY1側の辺とY2側の辺に配置される。すなわち、凸部24a、24bと凹部25a、25bは、電池10の電極タブ電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)がない周縁部122を挟む位置にある。もし仮に電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)がある周縁部122を挟む位置に凸部24a、24bと凹部25a、25bを設けてしまうと、電極タブまで変形したりずれたりする可能性がある。本実施形態では、凸部24a、24bと凹部25a、25bを電極タブ(正極タブ16a又は負極タブ16b)がない周縁部122を挟む位置に設けることで、電極タブの位置ずれや変形をさせることなく、電池10の保持力を高めることができる。
【0063】
次に、本実施形態の二次電池ユニット1の組立工程について図11及び図12を参照しながら説明する。図11は、電池10と枠体20を積層固定する前の工程を示す作用説明図である。電池10と枠体20を積層固定した後の工程を示す作用説明図である。先ず図11に示すように複数の枠体20(20A、20B、20C)と複数の電池10(10A、10B)とを交互に積層する。このとき未だ電池10は周縁部122及び電極タブが折り曲がっていない状態(図7参照)である。
【0064】
図12に示すように電池10と枠体20とが積層された状態で、ボルト4とナット5で締め付けて枠体20同士を固定する。すると、図12のP部拡大図に示すように隣り合う枠体20の凸部24a、24bと凹部25a、25bとの間で電池10の周縁部122が保持され、電池10は枠体20に対してしっかりと固定される。これにより電池10の保持力が高まり、枠体20に対する電池10の位置ずれを効果的に抑制できる。したがって、電池10の位置決めの手間を軽減でき、電池10のフィルム12の破損も抑制できる。
【0065】
しかも図12に示すようにボルト4とナット5で締め付けることで、P部拡大図に示すように凸部24aにより周縁部122が凹部25bに押し込まれるので、電池10の周縁部122の先端部123を折り曲げることができる。これによれば、枠体20からはみ出した先端部123が折れ曲がって(倒れて)いるので他の配線などを傷つけることを抑制できる。さらに折れ曲がった先端部123は、溝部26aに入り込んで収容される。これにより、折れ曲がった先端部123が他の配線などに引っかかり難くすることができる。
【0066】
また、図12に示すように電池10と枠体20とが積層固定された状態で、正極タブ16a又は負極タブ16bを折り曲げて電極配置部23a又は電極配置部23bに配置することで重なった正極タブ16a又は負極タブ16bに導電板40を押し付けてボルト42で接合する。これにより、導電板40を介さないでボルト42で締め付ける場合に比較して、正極タブ16a又は負極タブ16bの接触面積を増やすことができるので電圧低下を防ぐことができる。
【0067】
このような第1実施形態の二次電池ユニット1による作用効果を、枠体20B(第1枠体)と枠体20A(第2枠体)とこれらに保持される電池10Aに着目して説明する。第1実施形態の二次電池ユニット1によれば、図12に示すように枠体20B(第1枠体)の凸部24aと枠体20A(第2枠体)の凹部25aとの間で電池10Aのフィルム12の周縁部122が保持され、電池10Aは枠体20B(第1枠体)と枠体20A(第2枠体)との間にしっかりと固定される。これにより、電池10Aの保持力が高まり、枠体20B(第1枠体)と枠体20A(第2枠体)に対する電池10Aの位置ずれを効果的に抑制できる。したがって、電池10Aの位置決めの手間を軽減でき、電池10Aのフィルム12の破損も抑制できる。
【0068】
しかも、図11に示すように枠体20A(第2枠体)と枠体20B(第1枠体)からはみ出した電池10Aのフィルム12の周縁部122を、枠体20B(第1枠体)の凸部24aと枠体20A(第2枠体)の凹部25aとで挟むことで、図12に示すように枠体20B(第1枠体)へ折れ曲がった電池10のフィルム12の周縁部122を枠体20B(第1枠体)の外に露出させたまま保持することができる。このように、電池10のフィルム12の周縁部122を枠体20の外に露出させずに枠体20で覆うのではなく、むしろ積極的に枠体20の外の露出させることで、電池10が熱膨張した場合でも電池10の周縁部122が外に露出しているからガスや圧力の逃げ場ができるので、熱膨張による電池の破損を効果的に防ぐことができ、安全性を向上できる。
【0069】
また、第1実施形態の二次電池ユニット1によれば、図12に示すように枠体20B(第1枠体)へ折れ曲がった電池10Aのフィルム12における周縁部122の先端部123を枠体20B(第1枠体)の外に露出させたまま収容する溝部26aを枠体20B(第1枠体)の外縁に備える。このように、枠体20B(第1枠体)の外縁に溝部26aを備えることで、第1枠体へ折れ曲がった電池10Aのフィルム12における周縁部122の先端部123が溝部26aに誘導されやすく、折り曲げられやすくなる。しかも電池10Aのフィルム12における周縁部122の先端部123が枠体20B(第1枠体)の溝部26aに収容されることで、その先端部123に配線などがひっかかることを抑制することもできる。
【0070】
なお、以上の第1実施形態の二次電池ユニット1による作用効果は、枠体20A(第2枠体)と枠体20B(第1枠体)とこれらに保持される電池10Aに着目して説明したが、積層される他の枠体20と電池10についても上記と同様の作用効果を得られる。例えば多数積層される枠体20のうち任意の隣設する枠体20が第1枠体、第2枠体に相当し、第1枠体と第2枠体との間に挟まれる電池10が第1電池に相当する。また、第1枠体とは反対側で第2枠体に隣設する枠体20が第3枠体に相当し、第2枠体と第3枠体との間に挟まれる電池10が第2電池に相当する。また上記では枠体20のY1側の凸部24aと凹部25aと溝部26aについての作用効果を説明したが、枠体20のY2側の凸部24bと凹部25bと溝部26bについても同様の作用効果を得られる。
【0071】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。以下に例示する各形態において実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。第2実施形態では、本発明に係る二次電池ユニット1を備えるジャンプスターターを例示する。
【0072】
図13は、第2実施形態に係る二次電池ユニット1を備えるジャンプスターター100の外観正面図である。図14は、図13のケーブル(正極ケーブル105a、負極ケーブル105b)を省略した外観正面図である。図15は、図14のジャンプスターター100の分解斜視図である。図16は、図15のケーブル(正極ケーブル105a、負極ケーブル105b)の配置を説明するための図である。図16のQ1は第1ケーブル出口部136aを示し、Q2は第2ケーブル出口部136bを示している。各図におけるX1-X2方向、Y1-Y2方向、及びZ1-Z2方向の各方向は残り2方向に対して直交する。
【0073】
図13乃至図15に示すように、ジャンプスターター100は、充放電可能な複数の電池10を備える二次電池ユニット1を内蔵する本体110を備え、本体110の内部から外部に引き回された一対のケーブル(正極ケーブル105a、負極ケーブル105b)で複数の電池10を備えた二次電池ユニット1からの電力を出力する。
【0074】
図15に示すように、本体110は、前面部140Aと背面部140Bを図示しないボルトやネジなどで接合して構成される。前面部140Aと背面部140Bによって形成される内部空間に二次電池ユニット1が配置される。本体110の内部空間には、二次電池ユニット1と背面部140Bとの間に正極ケーブル105a、負極ケーブル105bの一部が固定される。
【0075】
図15に示すように第2実施形態の二次電池ユニット1は図6と同様であり、5個の枠体20(20A、20B、20C、20D、20E)と4個の電池10(10A、10B、10C、10D)を交互に積層して構成される。4個の電池10はそれぞれ直列に接続されている。図15の二次電池ユニット1は、Z1側に放熱板50と回路基板60がこの順に積層されボルトやネジなどで固定される。なお、回路基板60には、図示は省略しているが電子回路や端子などが設けられている。
【0076】
図16に示すように回路基板60には正極端子Taと負極端子Tbが設けられている。正極端子Taは、図6に示す電池10Dの正極タブ16aに電気的に接続されている。正極端子Taは、図6に示す電池10Aの負極タブ16bに電気的に接続されている。正極端子Taは正極ケーブル105aの基端に設けられた接続端子106aに電気的に接続され、負極端子Tbは負極ケーブル105bの基端に設けられた接続端子106bに電気的に接続される。
【0077】
図13に示すように正極ケーブル105aの先端には正極クリップ104aが連結されており、負極ケーブル105bの先端には負極クリップ104bが連結されている。このように、二次電池ユニット1の正極は正極ケーブル105aに電気的に接続され、二次電池ユニット1の負極は負極ケーブル105bに電気的に接続される。したがって、正極ケーブル105aの正極クリップ104aと、負極ケーブル105bの負極クリップ104bから二次電池ユニット1からの電力を取り出すことができる。
【0078】
図13に示すように正極ケーブル105a及び正極クリップ104aは本体110の右側(X1側)の正極ケーブル収容部130aに巻回して収容され、負極ケーブル105bとは本体110の左側(X2側)の負極ケーブル収容部130bに装着される。正極ケーブル収容部130aと負極ケーブル収容部130bとはそれぞれ同様の構成である。
【0079】
図14に示すように正極ケーブル収容部130aは本体110の一方の側面(X1側)の上下(Y1側とY2側)にそれぞれ設けられた一対の上側フック部132a、下側フック部133aと、上側フック部132aの下方に連設し側面から突出した第1突起部134aを備える。負極ケーブル収容部130bは本体110の他方の側面(X2側)の上下(Y1側とY2側)にそれぞれ設けられた一対の上側フック部132b、下側フック部133bと、上側フック部132bの下方に連設し側面から突出した第2突起部134bを備える。
【0080】
図13に示すように本体110の上部(Y1側)には取っ手116が設けられ、正面には蓋部112で覆われた操作面114を備える。操作面114には図示しない操作ボタンやランプなどが設けられる。蓋部112は操作面114を開閉自在に本体110の正面に装着されている。蓋部112はX1-X2方向に延びた軸113で枢支され、軸113を中心に回動することで操作面114を開閉できるようになっている。使用時には蓋部112を開くことで操作面のボタンなどを操作できるようになり、蓋部112を閉じることで操作面114を保護できる。なお、蓋部112は例えば透明な合成樹脂で構成してもよい。これにより、蓋部112を閉じた状態でも操作面のボタンやランプなどが透けて見えるようになる。
【0081】
本体110の正面には、ランプ115を設けるようにしてもよい。ランプ115を正面に設けることで、本体110の側面に設ける場合に比較して、ランプ115を照らすと操作面114も明るくなるので、暗闇でも操作面114を操作しやすくなり利便性を高めることができる。
【0082】
本体110の一方の側面(X1側)には上側フック部132aと下側フック部133aの間に第1ケーブル出口部136aを備え、また本体110の他方の側面(X2側)には上側フック部132bと下側フック部133bの間に第2ケーブル出口部136bを備える。第1ケーブル出口部136aと第2ケーブル出口部136bは、二次電池ユニット1を挟んで本体110の両側部(両側の側部)にそれぞれ設けられている。第1ケーブル出口部136aと第2ケーブル出口部136bからはそれぞれ正極ケーブル105a、負極ケーブル105bが引き出される。正極ケーブル105aは、第1ケーブル出口部136aで固定され、負極ケーブル105bは、第2ケーブル出口部136bで固定される。このように正極ケーブル105a及び負極ケーブル105bはそれぞれ、本体110の内部から外部へ延出するケーブル出口部(第1ケーブル出口部136aと第2ケーブル出口部136b)で固定されるから、正極ケーブル105a及び負極ケーブル105bが外から引っ張られたとしても引き出され難くすることができる。
【0083】
また上述したように、図16に示すように正極ケーブル105aは、基端が正極端子Taに電気的に接続され、二次電池ユニット1の外側を回り込むように引き回されて第1ケーブル出口部136aから本体110の外部に延出して、先端が正極クリップ104aに接続され、負極ケーブル105bは、基端が負極端子Tbに電気的に接続され、先端が正極ケーブル105aとは反対回りで二次電池ユニット1の外側を回り込むように引き回されて第2ケーブル出口部136bから本体110の外部に延出して、先願が負極クリップ104bに接続される。これによれば、本体110の内部では、正極ケーブル105aは二次電池ユニット1の外側を回り込むように引き回され、負極ケーブル105bは正極ケーブル105aとは反対回りで引き回されるので、正極ケーブル105aと負極ケーブル105bが外から引っ張られても二次電池ユニット1から外れ難くすることができる。
【0084】
ここで、ケーブル出口部の防水機構について図16を参照しながら説明する。第1ケーブル出口部136aには、第1防水機構140aが設けられ、第2ケーブル出口部136bには第2防水機構140bが設けられている。図16において、Q1部は第1防水機構140aを示し、Q2部は第2防水機構140bを示す。図16では背面部140Bの第1防水機構140aと第2防水機構140bの構成を例示するが、前面部140Aにも同様の構成の第1防水機構140aと第2防水機構140bが対向して設けられている。第1防水機構140aと第2防水機構140bとは同様の構成である。図16では、第1ゴム部材144aと第2ゴム部材144bの奥の構成が見えやすいように、第1ゴム部材144aと第2ゴム部材144bを点線で示す。
【0085】
図16のQ1部に示すように第1防水機構140aは、複数の第1リブ141aで区画され前面部140A側に開口する複数の第1部屋142aと、これらの第1部屋142aの開口を閉塞するように配置されただ第1ゴム部材144aとを備える。図16のQ2部に示すように第2防水機構140bは、複数の第2リブ141bで区画され前面部140A側に開口する複数の第2部屋142bと、これらの第2部屋142bの開口を閉塞するように配置された第2ゴム部材144bとを備える。前面部140Aにも同様の構成の第1防水機構140aと第2防水機構140bが設けられており、正極ケーブル105aは前面部140Aの第1ゴム部材144aと背面部140Bの第1ゴム部材144aの間に挟まれて配置され、負極ケーブル105bは前面部140Aの第2ゴム部材144bと背面部140Bの第2ゴム部材144bの間に挟まれて配置される。
【0086】
このような構成によれば、前面部140Aと背面部140Bが接合されると、正極ケーブル105aは前面部140Aの第1ゴム部材144aと背面部140Bの第1ゴム部材144aに挟まれて押圧された状態で第1ケーブル出口部136aに固定され、負極ケーブル105bは前面部140Aの第2ゴム部材144bと背面部140Bの第2ゴム部材144bに挟まれて押圧された状態で第2ケーブル出口部136bに固定される。これにより、第1ケーブル出口部136a及び第2ケーブル出口部136bの防水効果が高まり、水分などの液体が本体110内に入り込み難くなる。もし第1ケーブル出口部136a又は第2ケーブル出口部136bに水分などの液体が入り込んだとしても先ずは複数の第1部屋142a又は第2部屋142bに入り込むので二次電池ユニット1まで入り込むことを抑制できる。これにより、水分などによる二次電池ユニット1の電池10がショートすることを抑制できる。
【0087】
また、正極ケーブル105aは前面部140Aと背面部140Bの第1ゴム部材144aに挟まれてしっかりと固定され、負極ケーブル105bは前面部140Aと背面部140Bの第2ゴム部材144bに挟まれてしっかりと固定される。これにより、もし正極ケーブル105aと負極ケーブル105bが外から引っ張られたとしても容易に引き出され難くなる。したがって、正極ケーブル105aと負極ケーブル105bが二次電池ユニット1から外れることを抑制できる。これにより、ジャンプスターター100に内蔵される二次電池ユニット1の安全性を高めることができる。なお、正極ケーブル105a、負極ケーブル105bの固定方法は上述したものに限られるものではなく、本体110内のリブやワイヤーを取り付けることでより強固に固定するようにしてもよい。
【0088】
このような第2実施形態のジャンプスターター100によれば、第1実施形態と同様の二次電池ユニット1を内蔵するので、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。例えばジャンプスターター100に振動や衝撃があったとしても、二次電池ユニット1の電池10は枠体20の凸部24a、24bと凹部25a、25bで電池10のフィルム12がしっかり固定されている。したがって、枠体20に対して電池10が位置ずれしにいため、フィルム12の損傷や液漏れを抑制できる。
【0089】
上がってしまった自動車などのバッテリーにジャンプスターター100を接続してエンジンを始動する場合には、正極クリップ104a及び負極クリップ104bをそれぞれ本体110から引き出して、図示しないバッテリーのプラス端子とマイナス端子にそれぞれ接続する。蓋部112を開いて操作面114の電源ボタン(図示省略)などを操作してバッテリーに二次電池ユニット1からの電力を供給する。
【0090】
使用後は、本体110のX1側の第1突起部134aを正極クリップ104aで挟み、上側フック部132aと下側フック部133aに正極ケーブル105aを巻回することで正極クリップ104aと正極ケーブル105aを本体110の右側(X1側)にコンパクトに収容できる。また本体110のX2側の第2突起部134bを負極クリップ104bで挟み、上側フック部132bと下側フック部133bに負極ケーブル105bを巻回することで負極クリップ104bと負極ケーブル105bを本体110の左側(X2側)にコンパクトに収容できる。
【0091】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態では、1つの二次電池ユニット1を備えた場合を例示するが、第3実施形態では、複数の二次電池ユニット1を備えた二次電池装置を例示する。図17は、第3実施形態に係る二次電池装置300の外観斜視図である。図17では二次電池装置300の内部の概略構成を点線で示している。第3実施形態の二次電池ユニット1では、電池10と枠体20が上下に配置されるので、以下の図17乃至図21においてはZ1-Z2方向(積層方向)を上下方向にし、Y1-Y2方向(縦方向)を奥行方向にして説明する。
【0092】
図17に示すように二次電池装置300は、複数の二次電池ユニット1(図17では6個を例示)と複数の重り部材330(図17では2個)を収容する本体ケース310を備える。本体ケース310はほぼ矩形の箱状であり、底板312と側板314と蓋部320とを備える。側板314は、前板と後板と右側板と左側板を一体にして構成される。側板314の下面の開口は底板312で閉じられ、上面の開口は蓋部320で閉じられる。側板314は底板312を囲むように底板312の側面に取り付けられる。なお、底板312と側板314の構成はこれに限られない。例えば側板314は、前板と後板と右側板と左側板を別体にして取り付けて構成してもよい。
【0093】
重り部材330は鉄材などの金属で構成される。左右の重り部材330の高さを調整することで、左右の重量バランスを調整できる。底板312も重り部材330と同様の材質にして重りとして機能させてもよい。この場合、底板312の厚みを変えることによって、全体の重力バランスを変えずに重さを調整できる。
【0094】
底板312には、6個の二次電池ユニット1が並べて配置される。図17では、二次電池ユニット1を横方向(X1―X2方向)に3個ずつを、縦方向(Y1-Y2方向)に2列に並べた場合を例示する。各二次電池ユニット1は図示しない配線などで電気的に接続されている。各二次電池ユニット1同士の接続の仕方によって、直列や並列だけでなく、直列と並列とを組み合わせて接続することも可能である。二次電池ユニット1の個数や並べ方は図示するものに限られない。底板312には、6個の二次電池ユニット1の横方向の両側(X1方向とX2方向)にそれぞれ、重り部材330が1つずつ配置される。
【0095】
蓋部320は、上板322と上板322の外周縁部から垂下する袴部324を備える。蓋部320は側板314に、上板322と袴部324とで側板314の上部を覆うように取り付けられる。側板314の上部の外周側面は袴部324と重なるので、本体ケース310の強度を高めることができる。なお、蓋部320の構成はこれに限られず、例えば袴部324を設けずに上板322だけで構成するようにしてもい。
【0096】
なお、図1に示すように蓋部320には、袴部324に運搬用のフックを刺し込むためのフック穴328を設けてもよい。本実施形態の蓋部320には、Y1側に2個とY2側に2個の合計4個のフック穴328が設けられている。図21のように側板314にも4個のフック穴318が設けられている。図21のように蓋部320が装着されたときに、蓋部320の4個のフック穴328と側板314の4個のフック穴318とがそれぞれ重なるように対向して設けられている。これにより、蓋部320が装着された状態では側板314のフック穴318と蓋部320のフック穴328とは連通するので、フックを差し込み易くなる。
【0097】
次に、二次電池装置300の内部構成について図18を参照しながらより具体的に説明する。図18は、図17の二次電池装置300の分解斜視図であって蓋部320を開けた状態を示す図である。図18では、本体ケース310を透明化して内部を見やすくしている。図18に示すように、6個の二次電池ユニット1と2個の重り部材330との間にはそれぞれ、隔壁315が設けられる。この2個の隔壁315により本体ケース310の内部空間が電池収容空間310Aとその両側の重り収容空間310Bに隔てられる。蓋部320には、上板322の下方には、電池収容空間310Aを封止する封止枠体325が取り付けられている。封止枠体325はゴム部材などで構成される。
【0098】
隔壁315の上部にはL字に折れ曲がった係止部316が取り付けられ、係止部316には、蓋部320を固定するネジ326を螺合するネジ穴Pが設けられている。これにより、側板314の上面開口を蓋部320で閉じてネジ326で固定することができる。蓋部320を隔壁315の係止部316にネジ326で固定することで、封止枠体325は電池収容空間310Aを形成する2個の隔壁315と側板314の一部の上面に押し当てられて電池収容空間310Aが封止される。これにより、防水効果が高まり、水分などの液体が電池収容空間310Aに入り込むことを抑制できる。この場合、電池収容空間310Aの圧力上昇を防ぐため、隔壁315に安全弁317を設けてもよい。なお、隔壁315には配線を電池収容空間310Aの外側に引き出すための配線通し穴319が設けられてる。配線通し穴319にも防水機能を持たせるようにしてもよい。
【0099】
本体ケース310の電池収容空間310Aには、6個の二次電池ユニット1が収容される。各二次電池ユニット1の側面にはすべての方向に、側面緩衝部材341が上方と下方に1つずつ取り付けられている。各二次電池ユニット1の底面には、底面緩衝部材342が設けられている。各二次電池ユニット1の上面には、上面緩衝部材343が設けられている。これにより、側面緩衝部材341によって各二次電池ユニット1の側部が固定され、底面緩衝部材342によって各二次電池ユニット1の底部が底板312に固定され、上面緩衝部材343によって各二次電池ユニット1の上部が蓋部320に固定される。
【0100】
各二次電池ユニット1の上部には、回路基板344や取っ手345(把手)が設けられている。回路基板344は放熱板(図示省略)を介してネジなど(図示省略)で固定される。回路基板344には、図示は省略しているが、複数の電子部品や端子などが実装されている。その他、図示は省略しているが、各二次電池ユニット1には複数の接続配線や接続端子などが設けられる。図18では、各二次電池ユニット1に2個ずつ取っ手345が設けられ、その一方の取っ手345の上に上面緩衝部材343が設けられている。図示は省略しているが、他方の取っ手345には、接続端子(コネクタ)などを設けるようにしてもよい。
【0101】
ここで、このような二次電池ユニット1について、図19を参照しながら具体的に説明する。図19は、図18に示す1つの二次電池ユニット1の構成を示す斜視図である。図18の6個の二次電池ユニット1は、配置の向きが異なっているものの、ほぼ同様の構成であるため、ここでは1つの二次電池ユニット1を代表して説明する。なお、図19では、回路基板344などを省略している。
【0102】
図19に示すように第3実施形態の二次電池ユニット1は、図19の上下方向を積層方向(Z1-Z2方向)として、第2実施形態よりも多数の電池10を積層する場合を例示する。30個の電池10と31個の枠体20を交互に積層する場合を例示する。ただし、電池10と枠体20の積層数はこれに限られない。第3実施形態では、このような二次電池ユニット1と同様の構成のもの6個を電気的に接続することで、大容量の二次電池装置300を構成している。
【0103】
図19の二次電池ユニット1の単体の電池10同士の接続は、直列でも並列でもよく、また直列と並列の組合せでもあってもよい。直列と並列の組合せる場合には、図19に示すように、電極タブ(正極タブ16a、負極タブ16b)の導電板40として、1個の枠体20に取り付ける大きさのものだけでなく、複数個の枠体20に渡る大きさのものを使用してもよい。例えば図19において導電板40Aは1個の枠体20に取り付ける大きさのものであり、導電板40Bは3個の枠体20に渡る大きさのものである。導電板40Bによれば、一つ置きに積層する電池10の電極タブ同士を接続することができ、隣設する電池10の電極タブ同士を接続することもできる。このような導電板40Aと導電板40Bを組合せることで、電極タブの接続方法のバリエーションを広げることができる。
【0104】
具体的には例えば導電板40Aによれば、1個の枠体20にはその上下に隣設する電池10の正極タブ16aと負極タブ16bを直列に接続したり、正極タブ16a同士又は負極タブ16b同士を並列に接続したりすることもできる。また導電板40Bによれば、積層された3個の枠体20に注目したときに、1個目の枠体20にはその上下に隣設する電池10の正極タブ16a同士を並列に接続し、3個目の枠体20にはその上下に隣設する電池10の負極タブ16b同士を並列に接続して、この正極タブ16a同士と負極タブ16b同士とを導電板40Bで直列に接続することもできる。これによれば、1つの二次電池ユニット1で直列2系統を並列に接続する配線も可能になる。
【0105】
図19に示すように、二次電池ユニット1の上部には複数の取っ手345(把手)が設けられている。第3実施形態では、各二次電池ユニット1に2個の取っ手345を縦方向(Y1-Y2方向)に並べて設ける場合を例示している。なお、取っ手345の数は図示するものに限られない。図19では、二次電池ユニット1の枠体20を接合するためのボルト4を延長して取っ手345を取り付けている。これによれば、二次電池ユニット1の上面に取っ手を取り付けるよりも、安定して二次電池ユニット1を持ち上げ易くなる。
【0106】
取っ手345の上面には、上述した上面緩衝部材343が設けられている。図19では、一方の取っ手345(Y1側)の上面に上面緩衝部材343を設ける場合を例示する。なお、上面緩衝部材343は、複数の取っ手345のそれぞれに設けるようにしてもよい。このように、各二次電池ユニット1に緩衝部材(側面緩衝部材341、底面緩衝部材342、上面緩衝部材343)を別々に設けることで、各二次電池ユニット1に共通の緩衝部材を設ける場合に比較して、二次電池ユニット1のそれぞれをしっかりと固定できる。しかも各二次電池ユニットで最も上部にある取っ手345の上面に上面緩衝部材343を設けることで、上面緩衝部材343の大きさ(特に高さ方向の大きさ)を抑えることができる。
【0107】
図18では、図19の二次電池ユニット1を横方向(X1―X2方向)に3個ずつ、2列に並べた場合を例示する。Y1側の3個の二次電池ユニット1は、Y1側に上面緩衝部材343が配置されるように並べ、Y2側の3個の二次電池ユニット1は、Y2側に上面緩衝部材343が配置されるように並べる。すなわち、Y1側の3個の二次電池ユニット1とY2側の3個の二次電池ユニット1は、横方向(X1―X2方向)と積層方向(Z1-Z2方向)を含む平面に対して面対象に配置される。これにより、6個の上面緩衝部材343は、側板314のY1側とY2側との両側に、X1―X2方向沿って3個ずつ並ぶので、電池収容空間310Aにほぼ均等に配置される。蓋部320を装着することで、6個の上面緩衝部材343が高さ方向(Z1-Z2方向)につぶれて、各二次電池ユニット1は、底板312と蓋部320との間でほぼ均等に固定できる。
【0108】
ここで、各二次電池ユニット1を本体ケース310に固定する場合の作用効果について図20及び図21を参照しながら説明する。図20は、図18のC-C断面図であって蓋部320を装着する前の状態を示す図である。図21は、図18のC-C断面図であって蓋部320を装着した後の状態を示す図である。図20に示すように、本体ケース310の電池収容空間310Aに6個の二次電池ユニット1を収容すると、側面緩衝部材341によって各二次電池ユニット1の側面が固定される。
【0109】
図20に示すように、蓋部320を装着する前における6個の上面緩衝部材343の高さ(Z1-Z2方向の寸法)は、側板314の上面よりも高くなる寸法であることが好ましい。図20では、上面緩衝部材343が側板314の上面よりも上方に高さhだけはみ出すようになっている。このように構成することで、図21に示すように蓋部320を装着してネジ326で固定すると、6個の上面緩衝部材343の高さhの部分がつぶれる。そのため、各上面緩衝部材343によって一定の圧力がかかった状態で6個の二次電池ユニット1はそれぞれZ1-Z2方向に固定される。これにより、振動や衝撃があっても各二次電池ユニット1のそれぞれが本体ケース310内で動かないようにしっかり固定できる。
【0110】
このような第3実施形態に係る二次電池装置300によれば、多数の電池10と枠体20を積層した二次電池ユニット1を複数配列して電気的に接続することで、大電流や大容量の二次電池を構成できる。これにより、二次電池装置300を電気自動車、ハイブリッド自動車の走行モータの電源として利用できる。
【0111】
また複数の二次電池ユニット1に緩衝部材(側面緩衝部材341、底面緩衝部材342、上面緩衝部材343)を設けることで、振動や衝撃に強い二次電池を構成できる。特に二次電池ユニット1の上面緩衝部材343がつぶれた状態で蓋部320が装着されることで、一定の圧力をもってそれぞれの二次電池ユニット1を別々に固定できる。しかも、第1実施形態の二次電池ユニット1と同様の枠体20の積層構造による作用により多数の単体の電池10それぞれのずれも抑制できるので、非常に振動に強い二次電池を構成できる。したがって、特に乗用車に比べて振動が激しいフォークリフトやショベルローダ等の産業車両の駆動用モータの電源にも利用でき、振動による電池の破損などを効果的に抑制できる。
【0112】
また電池収容空間310Aの両側に二次電池ユニット1よりも高さの低い重り部材330を設けるとともに、底板312も重り部材330と同様の材質であるから重りと機能させることができる。これにより、二次電池装置全体の重心を下げることができると共に重量バランスも向上させることができるので、より安定して車両に固定できる。
【0113】
<変形例>
本発明は、上述した各実施形態に限定されず、例えば以降に説明する各種の応用・変形が可能である。また、これらの変形の態様および上述した各実施形態は、任意に選択された一または複数を適宜組み合わせることも可能である。また当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0114】
例えば上記実施形態では、複数の枠体20をボルト4とナット5で固定する場合を例示したが、これに限られず、ネジなど他の締結部材で固定するようにしてもよく、接着剤で固定するようにしてもよい。また上記実施形態では、電極タブ(正極タブ16a、負極タブ16b)をボルト42とナット43で接合する場合を例示したが、これに限られず、溶接などで接合してもよい。溶接としては、超音波溶接、レーザー溶接などさまざまな溶接が可能である。
【符号の説明】
【0115】
1…二次電池ユニット、2…電池保持体、4…ボルト、5…ナット、10(10A~10D)…電池、11…発電部、12…フィルム、122…周縁部、123…先端部、124…収容部、16a…正極タブ、16b…負極タブ、20(20A~20C)…枠体、202…外側面、203…開口部、204…内側面、212…第1面、214…第2面、22a~22f…連結部、222…貫通穴、223…突出部、224…係合部、23a、23b…電極配置部、24a、24b…凸部、25a、25b…凹部、26a、26b…溝部、40(40A、40B)…導電板、41…貫通穴、42…ボルト、43…ナット、44…装着穴、45…確認穴、50…放熱板、60…回路基板、100…ジャンプスターター、104a…正極クリップ、104b…負極クリップ、105a…正極ケーブル、105b…負極ケーブル、106a…接続端子、106b…接続端子、110…本体、112…蓋部、113…軸、114…操作面、115…ランプ、116…取っ手、130a…正極ケーブル収容部、130b…負極ケーブル収容部、132a…上側フック部、133a…下側フック部、132b…上側フック部、132b…下側フック部、134a…第1突起部、134b…第2突起部、136a…第1ケーブル出口部、136b…第2ケーブル出口部、140A…前面部、140B…背面部、140a…第1防水機構、140b…第2防水機構、141a…第1リブ、141b…第2リブ、142a…第1部屋、142b…第2部屋、144a…第1ゴム部材、144b…第2ゴム部材、300…二次電池装置、310…本体ケース、310A…電池収容空間、310B…収容空間、312…底板、314…側板、315…隔壁、316…係止部、317…安全弁、318…フック穴、319…配線通し穴、320…蓋部、322…上板、324…袴部、325…封止枠体、326…ネジ、328…フック穴、330…重り部材、341…側面緩衝部材、342…底面緩衝部材、343…上面緩衝部材、344…回路基板、345…取っ手、A…第2枠体、P…ネジ穴、Ta…正極端子、Tb…負極端子。
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