(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】化粧料の製造方法、及び化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/86 20060101AFI20231031BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231031BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20231031BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
A61K8/86
A61K8/39
A61Q1/00
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2021536923
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2020027547
(87)【国際公開番号】W WO2021020135
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2019140666
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391024700
【氏名又は名称】三好化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸夫
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064935(JP,A)
【文献】特開2019-094273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0188574(US,A1)
【文献】特開2006-213730(JP,A)
【文献】特開2013-151436(JP,A)
【文献】特開2013-213041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記成分
(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤
(B)水
(C)疎水性粉体
をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料に於いて前記成分(A)、(B)、(C)を混合・分散して水性分散液を調製する工程と、
前記水性分散液を油層成分と混合して化粧料成分を調製する工程と、
を含
み、
前記水性分散液を調製する工程において、前記成分(A)と成分(C)を混合または接触させた後、成分(B)に投入して混合・分散することを特徴とする、
化粧料の製造方法。
【請求項2】
前記水性分散液と粉体とを混合して粉末成分を調製する工程を更に含み、
前記化粧料成分を調製する工程において、前記粉末成分と油層成分とを混合して化粧料成分を調製する、ことを特徴とする
請求項1に記載の化粧料の製造方法。
【請求項3】
前記成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有することを特徴とする
請求項1又は2に記載の化粧料の製造方法。
【請求項4】
前記成分(B)中に多価アルコールを50重量%以下で含有することを特徴とする
請求項1又は2に記載の化粧料の製造方法。
【請求項5】
前記成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有し、さらに多価アルコールを前記成分(B)中に50重量%以下で含有することを特徴とする
請求項1又は2に記載の化粧料の製造方法。
【請求項6】
前記成分(C)疎水性粉体が有機性粉体であることを特徴とする
請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【請求項7】
前記成分(C)疎水性粉体が有機処理された無機粉体であることを特徴とする
請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【請求項8】
前記(A)の成分が炭素数16~20の分岐型高級アルコールと10~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物であることを特徴とする
請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2019-140666号(2019年 7月31日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、水と疎水性粉体をそれぞれ1重量%以上含有する化粧料の製造において成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合する工程を含む化粧料の製造方法に関する。特に、本発明は、成分(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水、成分(C)疎水性粉体をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料の製造方法に関する。本発明の製造方法は水と疎水性粉体という相反する特性をもつ成分を化粧料に配合でき、みずみずしい使用感と疎水性粉体の優れた使用感と均一な仕上がりが得られる化粧効果、化粧持続性を有する化粧料を提供できる。
【背景技術】
【0002】
化粧料に水を配合することでみずみずしい使用感やうるおい感、水が蒸散する時のさっぱり感が得られることが期待できる。また、水は生体の必須成分であり安全性が極めて高い事より出来るだけ多く化粧料に配合したい成分でもある。一方で疎水性粉体は水をはじく粉体であり水と疎水性粉体を混合しても分散しないばかりか疎水性相互作用により疎水性粉体粒子が凝集してしまう。近年、水性化粧料に疎水性粉末を配合する種々技術が開示されている。(特許文献1~3)また、パウダーファンデーションに水を配合する技術も開示されている。(特許文献4)
【0003】
【文献】国際公開WO2016/2752号
【文献】特開2015-78243号
【文献】特開2015-203026号
【文献】特許第3993833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、みずみずしい使用感と疎水性粉体の優れた使用感と均一な仕上がりが得られる化粧効果、化粧持続性を有する化粧料を得るには未だ十分ではなく解決すべき問題点があった。
特に、発色性や透明性のある質感、紫外線遮蔽能を発揮しつつ、化粧効果として均一な仕上がりを有する化粧料を得るには解決すべき問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであって、成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合する工程を含む化粧料の製造方法を用いた化粧料はみずみずしい使用感や疎水性粉体の優れた使用感、発色性、透明性、紫外線遮蔽能等をより向上させることができることを見出した。
特に、成分(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水、成分(C)疎水性粉体をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料に於いて前記成分(A)と成分(B)を混合した後、成分(C)を混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法、または前記成分(A)と成分(C)を混合または接触させた後、成分(B)に投入して混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法のいずれかを用いた化粧料はみずみずしい使用感や疎水性粉体の優れた使用感や発色性、透明性のある質感、紫外線遮蔽能等をより向上させることができることを見出した。
【0006】
即ち、本発明の第1の視点によれば、水と疎水性粉体をそれぞれ1重量%以上含有する化粧料の製造であって、成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合する工程を含む化粧料の製造方法が提供される。
特に、成分(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水、成分(C)疎水性粉体をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料を含む化粧料において前記成分(A)と成分(B)を混合した後、成分(C)を混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法、または前記成分(A)と成分(C)を混合または接触させた後、成分(B)に投入して混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法が提供される。
【0007】
上記の第1の視点において、前記成分(B)水にポリオールを50重量%未満で含有することを特徴とすることが好ましい。
特に、前記成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有することが好ましい。また、前記成分(B)中に多価アルコールを50重量%以下で含有することを特徴とすることが好ましい。また、前記成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有し、さらに多価アルコールを前記成分(B)中に50重量%以下で含有することが好ましい。
【0008】
上記の第1の視点において、前記成分(C)の成分が有機性粉体であることが好ましい。
【0009】
上記の第1の視点において、前記成分(C)の成分が疎水性無機粉体であることが好ましい。
【0010】
上記の第1の視点において、前記成分(A)の成分が炭素数14~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物であることが好ましい。
特に、前記(A)の成分が炭素数16~20の分岐型高級アルコールと10~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物であることが好ましい。
【0011】
本発明の第2の視点によれば、上記の第1の視点の製造方法により得られる化粧料が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水と疎水性粉体をそれぞれ1質量%以上含有する化粧料の製造において成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合する。この工程を含む化粧料の製造方法を用いた化粧料はみずみずしい使用感や疎水性粉体の優れた使用感、発色性、透明性、紫外線遮蔽能等をより向上させることができる。
特に、成分(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水、成分(C)疎水性粉体をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料に於いて前記成分(A)と成分(B)を混合した後、成分(C)を混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法、または前記成分(A)と成分(C)を混合または接触させた後、成分(B)に投入して混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法のいずれかを用いた化粧料はみずみずしい使用感や疎水性粉体の優れた使用感や発色性、透明性のある質感、紫外線遮蔽能等をより向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0014】
(成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤、炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤)
本発明で使用される特定の親水性界面活性剤とは、分岐型高級アルコールに基づく疎水性部分と、ポリオキシエチレン基に基づく親水性部分とを有するノニオン界面活性剤を意味し、特に炭素数が12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン(以下POEとする)とのエーテル化合物であることが好ましい。
また、炭素数が16~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレン(以下酸化エチレンの重合体をPOEとし付加モル数が5モルの時POE(5)とする)とのエーテル化合物であることが好ましい。より好ましくは炭素数が16~20の分岐型高級アルコールと10~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である。
炭素数が14未満であると疎水化粉体の水または水相への分散性が悪くなり炭素数が20より大きいとノニオン界面活性剤の水への親和性が悪くなり疎水化粉体の水または水相への分散性も悪くなる。酸化エチレンの付加モル数が5より小さい場合と20より大きい場合も疎水化粉体の水または水相への分散性は劣る傾向にある。また、炭素鎖が飽和または不飽和の直鎖型である場合は疎水性粉体の水や水相への分散性は著しく悪くなる。本発明で言う特定の親水性ノニオン界面活性剤は疎水性粉体を水または水相に容易に、かつ均一に混合・分散することができるので化粧料の製造工程中に入れることで従来の化粧料を進化させることができる。
【0015】
本発明の親水性ノニオン界面活性剤の親水性とはHLBでは8~16の範囲のものが好ましい。本発明で言うHLBとは、下記に示す式により定義される。
HLB=(界面活性剤中の親水部(POE)の分子量/界面活性剤の分子量)×20
【0016】
本発明で言う親水性ノニオン界面活性剤は水と疎水性粉体を容易に、かつ安定して混合して混合物を得るための必須成分である。
【0017】
本発明の効果が得られる一般に入手可能な親水性ノニオン界面活性剤としては、日油社よりノニオンIS-205(POE-5イソステアリルエーテル)、ノニオンIS-210(POE-10イソステアリルエーテル)、ノニオンIS-215(POE-15イソステアリルエーテル)、ノニオンIS-220(POE-20イソステアリルエーテル)、ノニオンOD-220(POE-20オクチルドデシルエーテル)等が挙げられる。日本エマルジョン社よりEMALEX1605(POE-5ヘキシルデシルエーテル)、EMALEX1610(POE-10ヘキシルデシルエーテル)、EMALEX1615(POE-15ヘキシルデシルエーテル)EMALEX1805(POE-5イソステアリルエーテル)EMALEX1810(POE-10イソステアリルエーテル)、EMALEX1815(POE-15イソステアリルエーテル)、EMALEX OD-20(POE-20オクチルドデカノールエーテル)等が挙げられる。
【0018】
(成分(B)水)
本発明で言う水とは化粧料に使用可能なイオン交換水や蒸留水等である。本発明では水の主成分以外に少なくとも水に相溶するアルコール類の成分を含有した系を使用できる。水系溶媒とは水を主成分として少なくともアルコール類を配合したものである。アルコール類成分としては、エタノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール等が挙げられる。これら成分の1種以上を配合できる。なお、本願では水系溶媒を単に「水」と称する場合もある。
この水に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分として、すなわち水相中の成分としては紫外線吸収剤、水溶性高分子、有機増粘剤、無機増粘剤、膨潤剤、保湿剤、エモリエント剤、抗菌剤、防腐剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、皮膚収斂剤、ビタミン類、アミノ酸類等が挙げられる。これらの成分は成分(B)の水の中に10重量%以下で含有することが好ましい。混和とは水と他の成分が溶解または混ざり合うことで他の成分は常温で液体状でも固体状でもよい。可溶化とは本来、水には混和しない成分が親水性の界面活性剤が存在することで水に透明に溶解する状態をいう。
また、水相には成分(B)中に50重量%以下で含有する多価アルコールとして、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ヘキシルグリセリン、シクロヘキシルグリセリン、トリメチロールプロパン、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、ソルビトール等が挙げられる。これら成分の1種以上を配合できる。多価アルコールは好ましくは、ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリンから選択される1種以上であることが好ましい。
【0019】
水系溶媒の水とアルコールの配合比率は水/アルコール=100/0~50/50(質量%)である。アルコールの配合比率が50重量%より多いと本発明の疎水性粉体は水系溶媒への分散性が悪くなる傾向にある。
本発明では、前記成分(B)に混和または相溶するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有し、さらに多価アルコールを前記成分(B)中に50重量%以下で含有する水相も挙げられる。
成分(B)中の多価アルコールの配合比率が50重量%より多くなると本発明の疎水性粉体は水相への分散性が悪くなり疎水性粉体の特性が化粧料で発揮できない傾向にある。
【0020】
水系溶媒にはその他成分として、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子、水溶性増粘剤、水溶性膨潤剤、保湿剤、抗菌防腐剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分、皮膚収斂剤、ビタミン類、アミノ酸類等を配合できる。
【0021】
(成分(C)疎水性粉体)
本発明で使用される疎水性粉体とは疎水性を有する有機性粉体や有機表面処理剤で被覆された疎水性無機粉体である。有機性粉体としては、(メタ)アクリル酸アルキルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエチレンテレフタレートパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ポリ乳酸パウダー、ナイロン12パウダー、オクタノイルリジン、ラウロイルリジン等の有機樹脂パウダーやシリコーンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン等のシリコーンパウダー、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸パウダーが挙げられる。平均粒子径は0.1~500μmの範囲である。粒子形状は球状、半球状、薄片状、針状、不定形等いずれの形状でも構わない。
その他、カーボンブラック、疎水化処理したセルロース粉末やでんぷん粉末等も有機性粉体として挙げられる。
【0022】
本発明で言う疎水性を有する有機性粉体で一般に入手可能なものとしては、シリコーンパウダーとしては例えば、信越化学工業社よりKSP-100やKSP-101、KSP-102、KSP-105,KSP-300、KSP-411、KSP―441、KMP-590、KMP-591の商品名が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートパウダーとしては、スノーリーフPやスノーリーフPFの商品名が、ポリウレタンパウダーとしては大日精化社よりDAIMIC BEAZの商品名が、金属石鹸パウダーとしては日油社よりカルシウムステアレートSやオーラブライトNC、オーラブライトNM、ジンクステアレートSの商品名が、アミノ酸パウダーとしてラウロイルリジンがアミホープLLの商品名で、カプロイルリジンがアミホープOLの商品名が挙げられる。
また、カーボンブラックとしてはC47-2222 SunCROMA D&C Black 2の商品名が挙げられる。
【0023】
本発明で言う有機表面処理剤で被覆された疎水性無機粉体の有機表面処理剤としては、シリコーン化合物、アルキルシラン、アルキルチタネート、ポリエチレン、アシル化アミノ酸、脂肪酸、レシチン、エステル油、フラクトオリゴ糖、アクリルポリマー、ウレタンポリマーから選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
また、有機表面処理剤の選択肢には、アルキルリン酸等も含まれ得る。
【0024】
本発明で使用されるシリコーン化合物としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社:KF99PやKF9901、X-24-9171、X-24-9221等)、ジメチコノール、片末端アルコキシシリルジメチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状メチルハイドロジェンシリコーン、アクリルシリコーン、シリコーンアクリル、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、リン酸変性シリコーン等も使用できる。その他としては、信越化学工業社より市販されているものとしてはKF-9908(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン)やKF-9909(トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン)等も使用できる。
【0025】
本発明で使用されるアルキルシランとしては、アルキルアルコシキシランが挙げられる。アルキル鎖の長さとして、炭素数で1~18が挙げられ、具体的にはメチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランやオクタデシルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、アルキルシランとしては、へキシルトリエトキシシランも挙げられる。
【0026】
本発明で使用される有機チタネートとしては、Ti(OR1)4構造を基本骨格とするものでR1は互いに独立していてアルキル基または有機カルボニル基である。市販のものとしてはイソプロピルトリイソステアロイルチタネート(プレンアクトTTS;味の素ファインテクノ社)などが挙げられる。
【0027】
本発明で使用されるポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等で分子中にカルボキシル基を少なくとも1個有するポリオレフィン樹脂を挙げることができる。例えば、特開昭63-179972号公報に記載の公知の化合物で分子量500~40000で融点が40℃以上の低分子ポリエチレンや、ポリプロピレンを酸化して得られる酸化ポリエチレン、マレイン化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用される水添レシチンとしては、卵黄、大豆、コーン、菜種、ひまわり等から抽出された天然のレシチン、及び合成レシチンを水素添加したもので、ヨウ素価が15以下の水添レシチンであり、リン酸基を有するグリセライドである。塩の形態にあるものとしては、Al、Mg、Ca、Zn、Zr、Ti等の水不溶性水添レシチン金属塩等が挙げられる。
なお、水添レシチンは、本発明で使用されるレシチンの好ましい例であり得る。
【0029】
本発明で使用されるアシル化アミノ酸は、炭素数12以上18以下である飽和脂肪酸とアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、グリシン、サルコシン、プロリン、ヒドロキシプロリンより選ばれるアミノ酸のアシル化化合物または小麦やえんどう豆等の植物由来のペプチドやシルクペプチド、動物由来のペプチド等の全加水分解物であり、アミノ酸のカルボキシル基は遊離体、又はK、Na、Fe、Zn、Ca、Mg、Al、Zr、Ti等の塩になっているものでも構わない。具体的には、味の素社より市販されているアミソフトCS-11、CS-22、MS-11、HS-11P、HS-21P等、川研ファインケミカル社より市販されているソイポンSLP、ソイポンSCA、アラノンAMP、フランスSEPPIC社より市販されているSEPILIFT DPHP等、日光ケミカル社より市販されているサルコシネートMN等を挙げることができる。これらのアシル化アミノ酸は脂肪酸との組成物の形態でもよい。アシル化リポアミノ酸組成物としては、SEPPIC社より市販されているSEPIFEEL ONE(パルミトイルプロリン、パルミトイルサルコシン、パルミトイルグルタミン酸、パルミチン酸の4成分よりなる組成物)が挙げられる。
【0030】
本発明で使用される酸性エステル油としては、炭素数1~36の1種又は2種以上のアルコールと、炭素数1~36の1種又は2種以上のカルボン酸とを反応させて得ることができる、総炭素数16以上のエステル化合物を含み、酸価15以上である化合物が好適である。特開2004-51945号公報に示される公知の化合物で具体的には、日清オイリオグループ社より市販されているサラコスMIS(セバシン酸イソステアリル)、サラコスMOD(アゼライン酸オクチルドデカノール)、サラコス1A(アジピン酸オクチルドデカノール)、サラコスHD(ダイマー酸オクチルドデカノール)等が挙げられる。
【0031】
本発明で使用される脂肪酸としては、炭素数が12~22までの直鎖状又は分岐上の飽和又は不飽和脂肪酸で、例えば、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、2-エチルヘキサン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソベヘン酸等の脂肪酸、或いはそのCa、Mg、Zn、Zr、Al、Ti等の金属塩が挙げられる。
【0032】
本発明で使用されるデキストリン脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖エステルとしては、デキストリンやフラクトオリゴ糖と脂肪酸とで構成されるエステル或いはその誘導体から選択することができる。具体的には、例えば、特公平5-3844号公報や特開2002-188024号公報に記載の公知の化合物で、千葉製粉社より市販されているレオパールKL、レオパールMKL、レオパールTT、レオパールKE、レオパールTL、レオパールISK等が挙げられる。
【0033】
本発明で使用されるアクリルポリマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸からなるモノマー1種以上とアクリル酸アルキルの共重合体があり、INCI名として(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー等が挙げられる。
【0034】
本発明で使用されるポリウレタンポリマーとしては、ポリウレタン骨格の親水基部を有し、分子中に疎水性部分をもつポリマーで、INCI名で(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(アデカノールGT-700:ADEKA社)やビスステアリルPEG/PPG-8/6(SMDI/PEG-400)コポリマー(アクペック HU C2002:住友精化社)等が挙げられる。
また、本発明で使用されるアルキルリン酸としては、長鎖アルキルアルコールとリン酸のモノエステルやジエステル、トリエステルがありラウリルリン酸、セチルリン酸、C20-22リン酸が挙げられる。またはこれらのアルキルリン酸のKやNa等の塩でも構わない。
【0035】
本発明で使用される無機粉体としては、通常化粧料に用いられる無機粉体であれば特に制限されない。例えば、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、アルミナ、マイカ、タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、紺青、群青、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、炭化ケイ素、タングステン酸金属塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クレー、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化アルミニウム、シリコーンカーバイト、チタン酸コバルト、リチウムコバルトチタネート、アルミン酸コバルト、無機青色系顔料、低次酸化チタン、微粒子酸化チタン、バタフライ状硫酸バリウム、花びら状酸化亜鉛、六角板状酸化亜鉛、テトラポット状酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆シリカ、酸化チタン被覆合成マイカ、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、酸化チタン被覆ホウケイ酸(ナトリウム/カルシウム)、酸化チタン被覆ホウケイ酸(カルシウム/アルミニウム)、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、カルミン・コンジョウ被覆雲母チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、ガラスファイバー、アルミナ繊維、等が挙げられる。
【0036】
本発明で言う疎水性無機粉体を得るための製造方法は特に限定されず、有機表面処理と無機粉体を混合して作製すればよい。混合方法も乾式法や湿式法等、特に限定されず均一に処理できる混合機を採用すればよい。例えば、ヘンシルミキサー(ヘンシェルミキサー)、リボンブレンダー、ニーダー、エクストルーダー、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ビーズミル等が挙げられる。混合した後、熱風乾燥機やスプレードライヤー、フラッシュドライヤー、コニカルドライヤー等で乾燥して粉末を得ることができる。
なお、フラッシュドライヤーは、フラッシュジェットドライヤーとも称され得る。
【0037】
本発明で言う疎水性粉体とは疎水性を有する粉体である。評価方法としては200ccガラスビーカーに100ccの精製水を入れスパーテルに採った粉体0.2gを水面より2cmの高さから水面に投下した後、1秒間に2回の速度でスパーテルを使用して50回撹拌した後、30秒間静置する。水中を観察したとき粉体粒子が水層に移行せず浮遊している粉体が好ましい。
また、200ccガラスビーカーに100ccの精製水を入れスパーテルに粉体を0.2gとり水面より2cmの高さから水面に投下した後、60分間静置した後、水面上の粉体粒子が水層に移行せず浮遊している粉体も好ましい。
【0038】
本発明の化粧料の製造方法を以下に説明する。本発明は水と疎水性粉体を1質量%含有する化粧料の製造において成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合する工程を含む化粧料の製造方法である。
特に、本発明は成分(A)炭素数16~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水、成分(C)疎水性粉体をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料に於いて前記成分(A)と成分(B)を混合した後、成分(C)を混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法、または、成分(A)と成分(C)を混合または接触させた後、成分(B)に投入して混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法である。
【0039】
本発明の化粧料の製造工程において、先ず成分(A)の親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合する。成分(A)と成分(B)の比率は特に限定はなく製造する化粧料の機能や効果等により異なる。成分(A)と成分(B)を混合する方法についても特に限定はなく公知の混合機を使用できる。例えば、プロペラ攪拌機、ディスパーミキサー、ホモミキサー、高圧ホモミキサー、ニーダー、ヘシェルミキサー(ヘンシェルミキサー)、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、エクストルーダー等の混合機を使用できる。
成分(A)の水への混和性を良くするために成分(B)の水または水相を50℃以上に加温すると疎水性粉体の濡れ性が良くなり分散時間も早くなる傾向にある。
成分(A)と成分(B)を混合するときに本発明の効果を阻害しない範囲で成分(B)にその他の成分として成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を成分(B)中に10重量%以下で含有していても構わない。また、成分(B)中に多価アルコールを50重量%以下で含有していても構わない。さらに、成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分と多価アルコールを50重量%以下で同時に含有していても構わない。多価アルコールは水の表面張力を下げるので疎水性粉体の水相への親和性がよくなるが、すなわち疎水化粉体が水相に入り易くなるが多価アルコールの量が増える程疎水性粉体の水相への分散性が悪くなる傾向にある。
本発明の化粧料の製造工程において、成分(A)と成分(C)を混合または接触させる方法についても特に限定はなく公知の混合機を使用できる。例えば、プロペラ攪拌機、ニーダー、ヘンシェルミキサー、V型混合機、ロールミル、ビーズミル、エクストルーダー等の混合機を使用できる。成分(A)と成分(C)を混合または接触した後、成分(B)に投入して公知の混合機で混合・分散することができる。この時、本発明の効果を阻害しない範囲で成分(B)にその他の成分として成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を成分(B)中に10重量%以下で含有していても構わない。また、成分(B)中に多価アルコールを50重量%以下で含有していても構わない。さらに、成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分と多価アルコールを50重量%以下で同時に含有していても構わない。
前記成分(B)の水に配合し得るエチルアルコールまたは多価アルコール以外の任意成分としては、特に限定されないが、例えば、上記以外の増粘剤、保湿剤、油剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、防腐剤、キレート剤、エモリエント剤、植物抽出液、香料、色素、各種薬剤などを挙げることができる。
【0040】
次に成分(A)の親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水の混合物に成分(C)疎水性粉体を混合する。成分(A)の親水性ノニオン界面活性剤と成分(C)疎水性粉体の配合比は成分(A)/成分(C)=1/100~20/100(重量%)である。好ましくは、成分(A)/成分(C)=1/100~15/100(重量%)である。成分(A)親水性ノニオン界面活性剤が成分(A)/成分(C)=1/100(重量%)より少ないと水と混合ができず、親水性ノニオン界面活性剤が成分(A)/成分(C)=20/100(質量%)より多いと界面活性剤が過剰となり化粧料の使用感の悪化や化粧料の安定性に影響する。
成分(A)の親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水、成分(C)疎水性粉体は各々化粧料全体に対して0.1重量%以上含有することが好ましい。これら3成分の好ましい比率は、(A)の親水性ノニオン界面活性剤と(C)疎水性粉体の配合比(A)/(C)=0.1/100~90/100(重量%)である。好ましくは、(A)/(C)=1/100~50/100(重量%)である。(A)親水性ノニオン界面活性剤が(A)/(C)=1/100(重量%)より少ないと水との親和性や分散性が悪化する。親水性ノニオン界面活性剤が(A)/(C)=90/100(質量%)より多いと界面活性剤が過剰となり化粧料の使用感の悪化や化粧料の安定性に影響する。疎水性粉体及び成分(B)の配合量は化粧料の形態により異なる。
【0041】
本発明の化粧料の製造方法は水性化粧料に疎水性粉体を配合するのに好適であるが、乳化化粧料や油性化粧料、パウダー系化粧料にも適用できる。本発明で言う化粧料としては、スキンケア化粧料としてはエモリエントクリーム、コールドクリーム、美白クリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、カーマインローション、液状洗顔料、洗顔フォーム、洗顔クリーム、洗顔パウダー、メイククレンジング、ボディグロス、日焼け止め又は日焼け用クリームやローション等が、メークアップ化粧料としては、化粧下地、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、白粉、口紅、口紅オーバーコート、リップグロス、コンシーラー、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、マスカラ、水性ネイルエナメル、油性ネイルエナメル、乳化型ネイルエナメル、エナメルトップコート、エナメルベースコート等、頭髪化粧料としては、ヘアーグロス、ヘアクリーム、ヘアーシャンプー、ヘアリンス、ヘアカラー、ヘアブラッシング剤等、制汗化粧料としてはクリームやローション、パウダー、スプレータイプのデオドラント製品等、その他としてや乳液、石鹸、浴用剤、香水等を挙げることができる。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0043】
(実施例1~11、比較例1~4)
下記表1に示す組成の水相に親水性界面活性剤を添加して60℃に加温した後、ディスパーミキサーで撹拌下に疎水性粉体を徐添した後ホモミキサーで周速10~12m/sで15分間分散した。疎水性粉体の水相への分散状態を以下の基準で評価した。
(評価基準)
〇:水相に分散して均一な流動する分散液になった。
△:水相に分散したがツブ感のある流動しないペースト物になった。
×:疎水性粉体が水相にすべて分散せず粘土状物になった。
【0044】
[表1]
*1:商品名:ノニオンISK-210(日油株式会社製)
*2:商品名:EMALEX 1615(日本エマルジョン株式会社製)
*3:商品名:ノニオンIS-210(日油株式会社製)
*4:商品名:ノニオンOD-20(日油株式会社製)
*5:商品名:EMALEX 710(日本エマルジョン株式会社製)
*6:商品名:ノニオンP-210(日油株式会社製)
*7:商品名:EMALEX 610(日本エマルジョン株式会社製)
*8 商品名:ニッサンエレクトールMZ-2(日油株式会社製)
*9 商品名:KSP-100(信越化学工業株式会社製)
【0045】
(評価結果の考察)
本発明の成分(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合した工程では疎水性粉体の均一な流動する水分散液が調製できた。一方、比較例1~3では親水性ノニオン界面活性剤を使用したものは疎水性粉体がすべて水に分散できず途中で粘土状物になった。比較例4は比較例3の疎水性粉体の配合量を約27wt%減量したがツブ感のある流動しないペースト物であり均一な流動液にはならなかった。
【0046】
(実施例12 O/W型乳化ファンデーションの製造)
表2に示す組成のO/W型乳化ファンデーションを製造した。
[表2]
(製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:水層成分を良く分散混合した。
C:前記BにAを加えホモミキサーで乳化してO/W型乳化ファンデーションを得た。
【0047】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0048】
(実施例13 W/O型乳化ファンデーションの製造)
表3に示す組成のW/O型乳化ファンデーションを製造した。
[表3]
(製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:水層成分を良く分散混合した。
C:前記AにBを加えホモミキサーで乳化してW/O型乳化ファンデーションを得た。
【0049】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0050】
(実施例14 水系サンカットローションの製造)
表4に示す組成の水系サンカットローションを製造した。
[表4]
(製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:水層成分を良く分散混合した。
C:前記BにAを加えホモミキサーで乳化して水系サンカットローションを得た。
【0051】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0052】
(実施例15 O/W型日焼け止め化粧料の製造)
表5に示す組成のO/W型日焼け止め化粧料を製造した。
[表5]
(製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:水層成分を良く分散混合した。
C:前記BにAを加えホモミキサーで乳化してO/W型日焼け止め化粧料を得た。
【0053】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0054】
(実施例16 W/O型日焼け止め化粧料の製造)
表6に示す組成のW/O型日焼け止め化粧料を製造した。
[表6]
(製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:水層成分を良く分散混合した。
C:前記AにBを加えホモミキサーで乳化してW/O型日焼け止め化粧料を得た。
【0055】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0056】
(実施例17 パウダーファンデーションの製造)
表7に示す組成のパウダーファンデーションを製造した。
[表7]
(製造方法)
A:粉末成分を良く分散混合した。
B:油性成分を良く混合溶解した。
C:前記AにBを加え混合粉砕後フルイを通して金皿に成型してパウダーファンデーションを得た。
【0057】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0058】
(実施例18 油性固形ファンデーションの製造)
表8に示す組成の油性固形ファンデーションを製造した。
[表8]
(粉末成分の調製方法)
実施例1の親水化疎水性酸化チタンは、実施例1の分散液をステンレス製バットに入れ80℃にて24時間乾燥後粉砕することで調製した。実施例3の親水化疎水性黄酸化鉄、実施例4の親水化疎水性赤酸化鉄、実施例5の親水化疎水性黒酸化鉄も同様にして調製した。
(製造方法)
A:粉末成分を良く分散混合した。
B:油性成分を良く混合溶解した。
C:前記AにBを加え熱ローラー処理して金皿に流し込み冷却成型して油性固形ファンデーションを得た。
【0059】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0060】
(実施例19 水系おしろいの製造)
表9に示す組成の水系おしろいを製造した。
[表9]
*(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマーは、SEPPIC S.A社のSEPINOV P88を使用した。
(製造方法)
A:粉体成分を良く混合した。
B:水層成分を混合して溶解した。
C:前記BにAを加え良く撹拌して水系おしろいを得た。
【0061】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0062】
(実施例20 水系アイシャドウの製造)
表10に示す組成の水系アイシャドウを製造した。
[表10]
*ポリアクリレートクロスポリマー-6は、SEPPIC S.A社のSEPIMAX ZENを使用した。
(製造方法)
A:粉体成分を良く混合した。
B:水層成分を混合して溶解した。
C:前記BにAを加え良く撹拌して水系アイシャドウを得た。
【0063】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0064】
(実施例21 口紅の製造)
表11に示す組成の口紅を製造した。
[表11]
(製造方法)
A:油層成分を良く混合した。
B:粉体成分を前記A成分と混合してローラーで分散処理した。
C:BをAに加えて均一に混合した。
D:水層成分を混合して加温した。
E:DをCに加え乳化して口紅を得た。
【0065】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0066】
(実施例22 制汗剤の製造)
表12に示す組成の制汗剤を製造した。
[表12]
(製造方法)
A:粉体成分を良く混合した。
B:水層成分を混合して溶解した。
C:BにAを加えて混合して制汗剤を得た。
【0067】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感でベタツキが無く心地良さに優れていた。
【0068】
(実施例23 トリートメントの製造)
表13に示す組成のトリートメントを下記の方法により製造した。
[表13]
(製造方法)
A:油層成分を加熱混合した。
B:水層成分を分散混合した。
C:前記AにBを加え良く混合してトリートメントを得た。
【0069】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。本発明の化粧料はみずみずしい使用感で櫛通りが良く毛髪の滑らかさに優れていた。
【0070】
(実施例24~32、比較例5~11)
下記表14に示す組成の水相に親水性界面活性剤を添加して60℃に加温した後、ディスパーミキサーで撹拌下に疎水性粉体を徐添した後ホモミキサーで周速10m/sで15分間分散して分散液を得た。疎水性粉体の水相への分散状態を以下の基準で評価した。なお、実施例29と比較例10については疎水性粉体と親水性界面活性剤を混合して混合物として飛散防止化した後、水相をディスパ―ミキサー攪拌下に前記混合物を添加して以下前記同様に操作して分散液を得た。
【0071】
(評価基準)
〇:水相に分散して均一な流動する分散液になった。
△:水相に分散したがツブ感のある流動しないペースト物になった。
×:疎水性粉体が水相にすべて分散せず粘土状物になった。
【0072】
[表14]
*10:商品名:ゴーセノールEG-40(三菱ケミカルホールディンググループ株式会社製)
*11:商品名:セフティカット ID-1055(青木油脂工業株式会社製)
*12:商品名:FINEX-33W-LP2(堺化学工業株式会社製)
*13:商品名:ST-455(チタン工業株式会社製)
*14:商品名:MT-150EX(テイカ株式会社製)
*15:商品名:C47-2222 SunCROMA D&C Black 2(DIC株式会社製)
*16:商品名:エスベン WV(株式会社ホージュン製)
【0073】
(評価結果の考察)
本発明の成分(A)炭素数16~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と成分(B)水を混合した後、成分(C)疎水性粉体を混合した工程では疎水性粉体の均一な流動する水分散液が調製できた。一方、比較例5~11では親水性ノニオン界面活性剤を使用したものは疎水性粉体がすべて水に分散できず途中で粘土状物になった。実施例29は疎水性粉体に親水性界面活性剤を混合した後水相に混合物を添加する方法であるが均一な水分散液が調製できた。比較例はすべて流動しないペースト物であり均一な分散液にはならなかった。
【0074】
(実施例33 流し込み型パウダーファンデーションの製造)
表15に示す組成の流し込み型パウダーファンデーションを下記の方法により製造した。
【0075】
【0076】
(製造方法) *粉末成分と油性成分、水性成分を合計して100.0wt%とした。
A:粉末成分を良く分散混合した。
B:油性成分を良く混合溶解した。
C:前記AにBを加え良く混合した。
D:水性成分を分散媒の水に加え良く混合した後、前記Cを加えディスパーミキサーを用いてスラリーとした。
E:前記Dのスラリーを中皿に充填し、水を吸引除去した後80℃で24時間乾燥してパウダーファンデーションを得た。
【0077】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。また、耐衝撃性にも優れていた。
【0078】
(実施例34 水系液状アイライナーの製造)
表16に示す組成の水系液状アイライナーを下記の方法により製造した。
【0079】
【0080】
(製造方法)
A:水相成分をディスパーミキサーで良く混合し、水系液状アイライナーを得た。
【0081】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりに優れていた。
【0082】
(実施例35および実施例36 W/O型日焼け止め化粧料の製造)
表17に示す組成のW/O型日焼け止め化粧料を下記の方法により製造した。
【0083】
【0084】
(実施例35の製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:水層成分を良く分散混合した。
C:前記AにBを加えホモミキサーで乳化してW/O型日焼け止め化粧料を得た。
(実施例36の製造方法)
A:油層成分を良く分散混合した。
B:粉体成分を良く分散混合した。
C:水層成分を良く分散混合した後、前記成分Bをディスパーミキサー攪拌下投入し分散した。
D:前記AにCを加えホモミキサーで乳化してW/O型日焼け止め化粧料を得た。
【0085】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0086】
(実施例37および実施例38 O/W型日焼け止め化粧料の製造)
表18に示す組成のO/W型日焼け止め化粧料を下記の方法により製造した。
【0087】
【0088】
本発明の化粧料はみずみずしい使用感と滑らかな使用感があり均一な仕上がりで化粧持続性に優れていた。
【0089】
なお、本発明は以下の好ましい形態も含む。
(形態1)
水と疎水性粉体をそれぞれ1重量%以上含有する化粧料の製造であって、
(A)炭素数12~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤と(B)水を混合した後、(C)疎水性粉体を混合する工程を含む化粧料の製造方法。
(形態2)
前記(B)水にポリオールを50重量%未満で含有することを特徴とする形態1に記載の化粧料の製造方法。
(形態3)
前記(C)の成分が有機性粉体であることを特徴とする形態1又は2に記載の化粧料の製造方法。
(形態4)
前記(C)の成分が疎水性無機粉体であることを特徴とする形態1又は2に記載の化粧料の製造方法。
(形態5)
前記(A)の成分が炭素数16~20の分岐型高級アルコールとポリオキシエチレン基とのモノエーテル化合物であることを特徴とする形態1~4のいずれか1に記載の化粧料の製造方法。
(形態6)
形態1~5に記載の製造方法により得られる化粧料。
【0090】
また、本発明は以下の付記のようにも記載され得る。
(付記1)
少なくとも下記成分
(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤
(B)水
(C)疎水性粉体
をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料に於いて前記成分(A)と成分(B)を混合した後、成分(C)を混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法。
(付記2)
少なくとも下記成分
(A)炭素数14~20の分岐型高級アルコールと5~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物である親水性ノニオン界面活性剤
(B)水
(C)疎水性粉体
をそれぞれ0.1重量%以上含有する化粧料に於いて前記成分(A)と成分(C)を混合または接触させた後、成分(B)に投入して混合・分散する工程を含む化粧料の製造方法。
(付記3)
前記成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有することを特徴とする付記1又は2に記載の化粧料の製造方法。
(付記4)
前記成分(B)中に多価アルコールを50重量%以下で含有することを特徴とする付記1又は2に記載の化粧料の製造方法。
(付記5)
前記成分(B)に混和または可溶化するエチルアルコールまたは多価アルコール以外の成分を前記成分(B)中に10重量%以下で含有し、さらに多価アルコールを前記成分(B)中に50重量%以下で含有することを特徴とする付記1又は2に記載の化粧料の製造方法。
(付記6)
前記成分(C)疎水性粉体が有機性粉体であることを特徴とする付記1~5のいずれか1つに記載の化粧料の製造方法。
(付記7)
前記成分(C)疎水性粉体が有機処理された無機粉体であることを特徴とする付記1~5のいずれか1に記載の化粧料の製造方法。
(付記8)
前記(A)の成分が炭素数16~20の分岐型高級アルコールと10~20モルの酸化エチレンとのモノエーテル化合物であることを特徴とする付記1~7のいずれか1に記載の化粧料の製造方法。
(付記9)
付記1~8に記載の製造方法により得られる化粧料。