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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】木製天板付きチェスト
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/04 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A47B67/04 A
A47B67/04 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022022826
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2023119780
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2023-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】593010213
【氏名又は名称】JEJアステージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】原 祐一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-173718(JP,A)
【文献】登録実用新案第3069585(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/04
B65D 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製天板部を有する本体に、引き出し体が引き出し自在に設けられている木製天板付きチェストであって、
前記本体は、上端と下端に係止凸部が設けられている側板部と、上部左右部と下部左右部に前記係止凸部を差し込み係止可能な係合凹部が設けられている基体部と、下部左右部に前記係合凹部が設けられている前記木製天板部とから成り、前記側板部の上端係止凸部を前記基体部下部の係合凹部または前記木製天板部下部の係合凹部に差し込み係止すると共に、側板部の下端係止凸部を基体部上部の係合凹部に差し込み係止することにより、上側の基体部の下部左右部と下側の基体部の上部左右部との間または木製天板部の下部左右部とその下側の基体部の上部左右部との間に側板部が配設する形態に構築されていて、この本体の上下の基体部間または木製天板部と基体部との間に前記引き出し体が引き出し自在に配設され、
前記木製天板部は、下部に取付穴が設けられ、この取付穴を介して前記係合凹部を有する連結部が下部に取付けられていて、この連結部の係合凹部に前記側板部の上端係止凸部を差し込み係止することで木製天板部が側板部に取付けられており、
前記連結部は、前記係合凹部と前記取付穴に嵌合可能な嵌合突起とを有し嵌合突起を介して前記木製天板部の下部左右部に取付けられる左右一対の側枠と、この左右の側枠の前端部間に架設状態で組付けられる前枠とで枠状体に組成されていると共に、前記前枠が、前記木製天板部の前側下部と、この木製天板部とその下側の前記基体部との間に配設される前記引き出し体の前側上部との間の隙間を塞ぐようにして設けられていることを特徴とする木製天板付きチェスト。
【請求項2】
前記木製天板部の下部左右部に円形の取付穴が設けられ、この取付穴に嵌合可能な円形の嵌合突起が前記連結部の側枠に設けられていて、この側枠の嵌合突起を前記取付穴に嵌合することで木製天板部の下部に連結部が取付けられていることを特徴とする請求項1記載の木製天板付きチェスト。
【請求項3】
前記本体は、最上段の前記木製天板部の下方に前記側板部を介して前記基体部が上下複数段に配設される形態に構築されて、前記木製天板部とその下側の基体部との間および上側の基体部と下側の基体部との間に、前記引き出し体が上下複数段前方に引き出し自在に設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の木製天板付きチェスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製天板付きチェストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、衣類や雑貨などを整理収納する木製天板付きチェストとして、特許第6858389号(特許文献1)を提案している。
【0003】
この特許文献1について説明すると、前後左右の四隅に配設された支柱を介して引出し支持枠が上下複数段設けられていると共に、最上段の引出し支持枠の上部に支柱を介して木製天板部が設けられている枠状本体と、この本体の各引出し支持枠に、本体から前方へ引出し入れ自在に支持される引き出し体とから構成されており、前記本体は、支柱下側の角形下側差し込み部を引出し支持枠上面側の角孔形上側差し込み係合部に差し込み、支柱上側の角形上側差し込み部を引出し支持枠下面側の角孔形の下側差し込み係合部に差し込むことで引出し支持枠が所定段数を有する形態に組み立てられ、さらに最上段の引出し支持枠上面側の上側差し込み係合部に支柱の下側差し込み部を差し込み、この支柱の上側差し込み部を前記木製天板部の下面側の角孔形の差し込み係合部に差し込むことで木製天板部が取付けられている。
【0004】
また、前記木製天板部と前記支柱との組付け構造は、木製天板部の下面に取付けられている連結用部材に支柱の上側差し込み部を差し込み連結することで組付けられている。
【0005】
具体的には、前記木製天板部の下面に丸孔状の係合凹部が形成されている一方、この係合凹部に同調する丸形の係止凸部が前記連結用部材の上部に設けられていて、前記係合凹部に係止凸部を圧入することで木製天板部の下面に連結用部材が取付けられており、また、この連結用部材の下部には、前記上側差し込み係合部および前記下側差し込み係合部と同構造の差し込み係合部が設けられていて、この差し込み係合部に最上段の前記支柱1の上側差し込み部が差し込まれることで木製天板部が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6858389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1は、前記木製天板部と前記支柱との間に前記連結用部材を介在させていることにより、木製天板部下面に設けられる前記係合凹部は丸孔とすることができ、木材への丸孔加工は容易であるため安価且つ容易に木製天板部を製造でき、しかも、木製天板部へ連結用部材を高精度に取付可能な構造であるため、木製天板部と支柱のガタツキが可及的に防止されるというメリットを有するものであったが、木製天板部と最上段の支柱との間に前記連結用部材が介在している構造上、最上段の引出しに対して木製天板部の取付位置が高所となってしまい、それ故木製天板部前側の下部と、最上段の引き出し体の前側(前面化粧板)上部との間に隙間が生じ、この隙間から引出し内にゴミやホコリが侵入してしまったり、引き出し体内の収納物が見えてしまって体裁不良となったりする不都合があった。
【0008】
本発明は、このような不都合を解消しようとするもので、木製天板部への加工の容易性や取付精度は維持しつつ、木製天板部前側の下部と、最上段の引き出し体の前側上部との間の隙間が塞がれる構成の木製天板付きチェストを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
木製天板部4を有する本体1に、引き出し体2が引き出し自在に設けられている木製天板付きチェストであって、
前記本体1は、上端と下端に係止凸部8が設けられている側板部5と、上部左右部と下部左右部に前記係止凸部8を差し込み係止可能な係合凹部9が設けられている基体部3と、下部左右部に前記係合凹部9が設けられている前記木製天板部4とから成り、前記側板部5の上端係止凸部8を前記基体部3下部の係合凹部9または前記木製天板部4下部の係合凹部9に差し込み係止すると共に、側板部5の下端係止凸部8を基体部3上部の係合凹部9に差し込み係止することにより、上側の基体部3の下部左右部と下側の基体部3の上部左右部との間または木製天板部4の下部左右部とその下側の基体部3の上部左右部との間に側板部5が配設する形態に構築されていて、この本体1の上下の基体部3間または木製天板部4と基体部3との間に前記引き出し体2が引き出し自在に配設され、
前記木製天板部4は、下部に取付穴13が設けられ、この取付穴13を介して前記係合凹部9を有する連結部7が下部に取付けられていて、この連結部7の係合凹部9に前記側板部5の上端係止凸部8を差し込み係止することで木製天板部4が側板部5に取付けられており、
前記連結部7は、前記係合凹部9と前記取付穴13に嵌合可能な嵌合突起14とを有し嵌合突起14を介して前記木製天板部4の下部左右部に取付けられる左右一対の側枠10と、この左右の側枠10の前端部間に架設状態で組付けられる前枠11とで枠状体に組成されていると共に、前記前枠11が、前記木製天板部4の前側下部と、この木製天板部4とその下側の前記基体部3との間に配設される前記引き出し体2の前側上部との間の隙間12を塞ぐようにして設けられていることを特徴とする木製天板付きチェストに係るものである。
【0011】
また、前記木製天板部4の下部左右部に円形の取付穴13が設けられ、この取付穴13に嵌合可能な円形の嵌合突起14が前記連結部7の側枠10に設けられていて、この側枠10の嵌合突起14を前記取付穴13に嵌合することで木製天板部4の下部に連結部7が取付けられていることを特徴とする請求項1記載の木製天板付きチェストに係るものである。
【0012】
また、前記本体1は、最上段の前記木製天板部4の下方に前記側板部5を介して前記基体部3が上下複数段に配設される形態に構築されて、前記木製天板部4とその下側の基体部3との間および上側の基体部3と下側の基体部3との間に、前記引き出し体2が上下複数段前方に引き出し自在に設けられていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の木製天板付きチェストに係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、上記特許文献1同様に木製天板部と側板部とのガタツキが可及的に防止された構成を簡易に設計実現可能であり、また、木製天板部と最上段の側板部との間に連結部を介在させている構造上、木製天板部の前側下部と、最上段の引き出し体の前側上部との間に隙間が生じてしまうが、前記連結部が、前記木製天板部の下部左右部に取付けられる左右一対の側枠と、この左右の側枠の前端部間に架設状態で組付けられる前枠とで枠状体に組成されていて、前枠が木製天板部の前側下部と、この木製天板部とその下側の引き出し体の前側上部との間の隙間を塞ぐようにして設けられているので、この隙間から引き出し体内にゴミやホコリが侵入したり、引き出し体内の収納物が見えて体裁不良となるような不都合も防止でき、しかも連結部が一対の前記側枠と前枠との組成物であるため、小型で安価な成形金型装置を用いて側枠と前枠を安価に設計実現可能であると共に、連結部は多少変形が許容されるものとなっているので、木製天板部を構成する木材が伸縮したり前記取付穴の形成位置に多少の誤差があったり側枠や前枠に部品精度の誤差や歪みがあったとしても、この連結部を変形させて木製天板部に容易に取付可能であるなど、極めて実用性・量産性に優れた木製天板付きチェストとなる。
【0014】
また、請求項2記載の発明においては、木製天板部に確実に簡易に取付穴を形成できると共に、木製天板部へ連結部を高精度に取付できる一層実用性に優れた構成の木製天板付きチェストとなる。
【0015】
また、請求項3記載の発明においては、前記作用・効果に加えて、上下複数段の引き出し体を有する収納能力の高いチェスト構造を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の木製天板付きチェストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す正面図である。
図3】本実施例を示す側面図である。
図4】本実施例を示す一部を分解した説明斜視図である。
図5】本実施例の、背板部が分離されていない基体部を示す拡大平面図である。
図6】本実施例の、背板部が分離されていない基体部を示す拡大底面図である。
図7】本実施例の木製天板部と連結部を示す説明拡大分解斜視図である。
図8】本実施例の、連結部が下部に取付けられている木製天板部を示す拡大底面図である。
図9】本実施例の梱包時態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0018】
本発明の木製天板付きチェストは、側板部5の上端係止凸部8を基体部3下部の係合凹部9または木製天板部4下部の係合凹部9に差し込み係止すると共に、側板部5の下端係止凸部8を基体部3上部の係合凹部9に差し込み係止することにより、上側の基体部3の下部左右部と下側の基体部3の上部左右部との間または木製天板部4の下部左右部とその下側の基体部3の上部左右部との間に側板部5が配設する形態の本体1が構築されていて、この本体1の上下の基体部3間または木製天板部4と基体部3との間に前記引き出し体2が引き出し自在に配設されている。
【0019】
また、本発明の前記木製天板部4は、前記係合凹部9を有する連結部7が下部に取付けられていて、この連結部7の係合凹部9に前記側板部5の上端係止凸部8を差し込み係止することで木製天板部4が側板部5に取付けられている。
【0020】
即ち、木製天板部4に直接前記係合凹部9を形成する構成でなく、連結部7を介して木製天板部4が側板部5が取付けられているので、木製天板部4には取付穴13が設けられてこの取付穴13を介して連結部7が取付けられるが、この木製天板部4に設けられる取付穴13は円形の穴を形成でき、木材への円形穴加工は容易であるため安価且つ容易に木製天板部4を製作でき、しかも、木製天板部4へ連結部7を高精度に取付可能な構造であるため、木製天板部4と側板部5とのガタツキが可及的に防止された構成を簡易に設計実現可能である。
【0021】
ところで、前記木製天板部4と最上段の前記側板部5との間に前記連結部7を介在させている本発明の木製天板付きチェストは、最上段の引き出し体2に対して木製天板部4の取付位置が高所となってしまい、それ故木製天板部4の前側下部と、最上段の引き出し体2の前側上部との間に隙間12が生じてしまう構造であるが、木製天板部4に取付けられている前記連結部7は、前記係合凹部9を有し前記木製天板部4の下部左右部に取付けられる左右一対の側枠10と、この左右の側枠10の前端部間に架設状態で組付けられる前枠11とで枠状体に組成されていると共に、前記前枠11が、前記木製天板部4の前側下部と、この木製天板部4とその下側の前記基体部3との間に配設される前記引き出し体2の前側上部との間の隙間12を塞ぐようにして設けられている。
【0022】
そのため、木製天板部4の前側下部と、最上段の引き出し体2の前側上部との間の隙間12から引き出し体2内にゴミやホコリが侵入してしまったり、引き出し体2内の収納物が見えて体裁不良となったりする不都合がない。
【0023】
また、一対の前記側枠10と、前枠11とが組成されて枠状体に構成されている連結部7は、この連結部7を一体成形する場合のような大型で高価な成形金型装置は不要で、小型で安価な成形金型装置を用いて側枠10と前枠11を安価に設計実現可能である。
【0024】
さらに本発明の連結部7は、側枠10と前枠11を組成する構造上この側枠10と前枠11の組付け部位に遊びがあって多少の変形が許容されるものとなっているので、木製天板部4を構成する木材が伸縮したり、前記取付穴13の形成位置に多少の誤差があったり、側枠10や前枠11に部品精度の誤差や歪みがあったとしても、この連結部7を変形させて木製天板部4に容易に取付可能で量産性にも優れる。
【実施例
【0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例のチェストは、木製天板部4を有する本体1に、引き出し体2が引き出し入れ自在に設けられている。
【0027】
具体的には、本実施例の本体1は、左右一対の側板部5を介して基体部3が上下複数段配設され、さらに最上段の基体部3上に前記側板部5を介して前記木製天板部4が配設される形態に構築されており、この本体1の上下の前記基体部3間の空間と、前記木製天板部4とその下側の基体部3との間の空間とが引き出し収納部として構成されて、この各引き出し収納部に前記引き出し体2が配設されている(本体1に引き出し体2が上下複数段に設けられている。)。
【0028】
また、本実施例の本体1は、上側の基体部3の下部後部と下側の基体部3の上部後部との間および木製天板部4の下部後部とその下側の基体部3の上部後部との間に、二枚横に並べて使用される背板部6を備えている。
【0029】
即ち、本体1は、上下の基体部3の間および木製天板部4とその下側の基体部3との間に、角隅部四箇所に支柱部が設けられているのではなく、支柱部の代わりに対向状態に配される左右の側板部5と、並設状態に配される複数(二枚)の背板部6とが囲み状態にして立設状態に設けられる形態に構築されており、この本体1の前側は開口していて、この前側開口部から上下の前記基体部3間の前記引き出し収納部と、前記木製天板部4とその下側の基体部3との間の前記引き出し収納部に前方へ引き出し可能に引き出し体2が配設されたチェストとなっている。そして、引き出し体2の左右両側面と後側面は左右の側板部5と複数の背板部6とによって囲まれて見えず、外観体裁が良好な形態となっている。
【0030】
尚、本実施例では、図1図3に示すような上下三段の引き出し体2を有するチェストが採用されているが、これに限らず一段構造や二段構造でも良いし、四段以上の構造が採用されていても良い。また、図面は、最下段の基体部3の下部に、後述する下側の係合凹部9を利用して四体の(後述する係止凸部8を有する)脚パーツ22が取付けられている場合を示しているが、この脚パーツ22に替えてキャスターパーツが取付けられていても良いし、これらのパーツが取付けられることなく最下段の基体部3が載置面に直に載置される構成が採用されていても良い。
【0031】
以下、前記本体1を構成する各部材について詳しく説明する。
【0032】
本実施例の前記基体部3は、合成樹脂製であって図4図6に示すような中央開口部27を有する長方形枠状体に一体成形されており、前記中央開口部27の開口方向が上下方向となる水平状態で、なお且つ長辺枠部を前後,短辺枠部を左右に配して使用される。
【0033】
また、この基体部3の上側の四隅部と下側の四隅部には、図5図6に示すように全て同一形状となる角筒状の前記係合凹部9が設けられ(一体成形され)ており、さらに、前後の長辺枠部の上面の所定の四箇所には、後述する背板部6下部の係止突起15を係止するための前記係合穴16が設けられ(一体成形され)ている(図4図5参照)。
【0034】
また、係合凹部9には、詳しく図示していないが後述する係止凸部8の爪受穴に係止する爪が設けられ(一体成形され)ている。
【0035】
本実施例では、この基体部3を複数(図面は三体)用いて前記本体1が構築されているが、この基体部3は、全て同一構造の共通パーツで構成されている。
【0036】
本実施例の木製天板部4は、図4図7に示すような平面視長方形状の木板材で構成され、長辺部を前後,短辺部を左右に配して使用される。
【0037】
また、この木製天板部4の下面の左右寄りの前後位置には、上方に向かって浅く凹設される平断面円形の取付穴13が穿設され(図7参照)、この取付穴13を利用して木製天板部4の下部に合成樹脂製の連結部7が取付けられている。
【0038】
本実施例の連結部7は、前記取付穴13に嵌合可能な短い円柱状の嵌合突起14を前後に有し、この嵌合突起14を介して前記木製天板部4の下部左右部に取付けられる左右一対の側枠10と、この左右の側枠10の前端部間に架設状態で組付けられる前枠11と、左右の側枠10の後端部間に架設状態で組付けられる後枠17で平面視ロ字状を呈する方形枠状体に組成されている。
【0039】
さらに詳しくは、左右の側枠10は、図7に示すように同一構造の共通パーツで構成されていて、前記基体部3の左右の短辺枠部の長さ寸法と同等の長さ寸法を有する角棒状体に一体成形され、なお且つこの棒状側枠10の前後端部には、上部に前記嵌合突起14が形成(一体成形)され、下部に前記基体部3の係合凹部9と同一構造の係合凹部9が設けられ(一体成形され)、側部に後述する前枠11および後枠17の差し込み凸部18が差し込み係止される角筒状の受凹部19が設けられ(一体成形され)ている。
【0040】
また、前記嵌合突起14は、詳しく図示していないが外周面に凸条が設けられ(一体成形され)ており、この嵌合突起14を前記取付穴13に嵌合した際に前記凸条が取付穴13の内周面に圧接することで嵌合突起14が取付穴13に圧入されて抜け止め状態となるように構成されている。
【0041】
前記前枠11と前記後枠17とは、同一構造の共通パーツで構成されている。具体的には、図7に示すように前記側枠10より長さのある角棒状体に一体成形され、この棒状前枠11の左右端部の側部には、角状の前記差し込み凸部18が形成(一体成形)されている。
【0042】
即ち、前枠11の左右の差し込み凸部18を左右の前記側枠10夫々の前端部の前記受凹部19に差し込みすると共に、後枠17の左右の差し込み凸部18を左右の側枠10の後端部の前記受凹部19に差し込みすることで平面視ロ字枠状の前記連結部7が組立てられており(図8参照)、この際、前枠11(後枠17)とこれに差し込み連結される左右の側枠10とがなす左右の長さ幅寸法が、前記基体部3の前後の長辺枠部の長さ寸法と同等の長さ寸法を有するように、側枠10,前枠11,後枠17の各パーツが設定構成されている(図1図2参照)。
【0043】
この連結部7を構成する側枠10,前枠11,後枠17は、いずれも棒状の小型パーツであるため、小型で安価な成形金型装置を用いて安価且つ容易に設計実現可能であり、また、側枠10と前枠11を組成する構造上この側枠10と前枠11の組付け部位には遊びがあって多少の変形が許容されるものとなっているので、木製天板部4を構成する木材が伸縮したり、前記取付穴13の形成位置に多少の誤差があったり、側枠10や前枠11に部品精度の誤差や歪みがあったとしても、この連結部7を変形させて木製天板部4に容易に取付可能で量産性に優れる。
【0044】
本実施例の側板部5は、合成樹脂製であって長方形板状体に一体成形されていて、図1図3図4に示すように、板面方向が鉛直方向となるように立てた状態で使用されると共に、長辺部を上下,短辺部を前後に配して(前後方向に長さを有する態様で立てて)使用される。
【0045】
また、この側板部5は、前後方向の長さ寸法が、前記基体部3の左右の短辺枠部の長さ寸法(前記木製天板部4に設けられている連結部7の側枠10の長さ寸法)と同等の長さ寸法を有する形状に形成(一体成形)されていると共に、上端の前後部と下端の前後部とに、前記係合凹部9に差し込み係止可能な角状の係止凸部8が設けられ(一体成形され)ている(図4参照)。
【0046】
また、詳しく図示していないが、この係止凸部8には外周面に前記爪受穴が設けられ(一体成形され)ており、係止凸部8を前記係合凹部9に差し込んだ際に係合凹部9の前記爪がこの爪受穴に係止することで係止凸部8が係合凹部9から抜け止め状態となって、側板部5が前記基体部3および前記木製天板部4に対して抜け止め状態となるように構成されている。
【0047】
この側板部5も、複数(図面は六体)を用いて前記本体1が構築されているが、この側板部5は、全て同一構造の共通パーツで構成されている。
【0048】
従って、前記側板部5の上端係止凸部8を前記基体部3下部の係合凹部9または前記木製天板部4下部の係合凹部9に差し込み係止すると共に、側板部5の下端係止凸部8を基体部3上部の係合凹部9に差し込み係止することにより、上側の基体部3の下部左右部と下側の基体部3の上部左右部との間および木製天板部4の下部左右部とその下側の基体部3の上部左右部との間に側板部5が配設する形態の本体1が構築されている。
【0049】
また、この際、木製天板部4と側板部5とは、間に連結部7を介して取付けられる構造上、最上段の引き出し体2に対して木製天板部4の取付位置が高所となってしまい、それ故木製天板部4の前側下部と、最上段の引き出し体2の前側上部との間に隙間12が生じてしまうが、本実施例では、この隙間12は連結部7の前記前枠11とこれに組付けられる左右の側枠10の前端部とによって塞がれるように構成されている。そのため、隙間12から引き出し体2内にゴミやホコリが侵入してしまったり、引き出し体2内の収納物が見えて体裁不良となったりする不都合がない。
【0050】
本実施例の背板部6は、合成樹脂製であって長方形板状体に一体成形されていて、板面方向が鉛直方向となるように立てた状態で使用されると共に、長辺部を上下,短辺部を左右に配して(左右方向に長さを有する態様で立てて)使用される(図4参照)。
【0051】
また、この背板部6は、左右方向の長さ寸法が、前記基体部3の後側の長辺枠部の長さ寸法および前記木製天板部4に設けられている連結部7の後枠17の長さ寸法の約1/2の長さ寸法を有する形状に形成(一体成形)されていて、この背板部6を二枚横に並べると、上下の基体部3の後部間、および木製天板部4の後部とその下側の基体部3の後部との間を丁度塞ぐように構成されている。
【0052】
また、この背板部6は、下端の左右部に前記係止突起15が設けられ(一体成形され)ており、なお且つ上端には、その全縁部に前記基体部3の後側長辺枠部の下端の外側面および前記連結部7の後枠17の下端の外側面に当接可能な止壁20が設けられていると共に、この止壁20より内側の左右部に基体部3の後側長辺枠部の下縁の内側面および連結部7の後枠17の下端の外側面に係止可能な爪部21が設けられている。
【0053】
この背板部6の取付方法は、前記基体部3と前記木製天板部4と前記側板部5とが組付けられた後で、背板部6下端の前記係止突起15を基体部3の上部後部の係合穴16に差し込み係止し、次いでこの係合穴16を支点に背板部6をその上部が基体部3の後側長辺枠部および連結部7の後枠17に接近するように傾動させることにより前記爪部21が基体部3の後側長辺枠部の下端および連結部7の後枠17の下端を前方へ乗り越えると、この基体部3の後側長辺枠部の下端および連結部7の後枠17の下端が爪部21と前記止壁20との間に挟まれて背板部6が立板状態で取付保持される(上側の基体部3の下部後部と下側の基体部3の上部後部との間および木製天板部4の下部後部とその下側の基体部3の上部後部との間に二枚の背板部6が横並び状態で配設される)。
【0054】
この背板部6も、複数(詳しく図示していないが六体)を用いて前記本体1が構築されているが、この背板部6は、全て同一の共通パーツで構成されている。
【0055】
本実施例の引き出し体2は、合成樹脂製であって上部開口部23を有する一体成形された箱状体24と、この箱状体24の前面部に嵌め込み装着される合成樹脂製の前面化粧板25とから構成されている(図4参照)。本実施例は、この引き出し体2を三体備えていて、前記本体1の複数(図面は三箇所)の前記引き出し収納部に夫々が引き出し自在に配設されている。
【0056】
また、この引き出し体2は、箱状体24に前面化粧板25が装着されていない状態では、上部開口部23に他の箱状体24を入れ子(ネスティング)状態で上下に積層し得るように構成されている。
【0057】
また、本実施例の前記側板部5は、前記上部開口部23を介して前記引き出し体2内に収納し得る大きさに構成されていて、この複数の側板部5を上下に積層した最上段の引き出し体2内に全て収納できるように構成されている。
【0058】
また、本実施例の複数の背板部6は、前記基体部3の中央開口部27の空きスペースを利用してこの基体部3とともに分離自在に一体成形されており、前記本体1を組付け構築する際にこの基体部3から分離することで並設状態に組付けできるように構成されている(図5図6参照)。
【0059】
具体的には、基体部3は、中央開口部27の前後二箇所の縁部に設けられたゲート部26を介してこの中央開口部27内に二枚の背板部6が各々前後架設状態となるようにして並設状態に設けられている。
【0060】
また、このゲート部26は、背板部6側程径小となる形状に成形されていて、背板部6を基体部3から分離させる際には、このゲート部26が必ず基体部3の中央開口部27側に残るように構成されている。
【0061】
即ち、基体部3に対し背板部6を回動させることでこの背板部6が二箇所のゲート部26の先端から切断分離され、このゲート部26を基体部3の中央開口部27の縁部に残したまま各背板部6を容易に取り外せるように構成されている。
【0062】
尚、基体部3の中央開口部27に一枚の大型な背板部6を成形することも可能であるが、そうした場合、大型の成形型装置内に成形材料を十分に充填するためには材料の通路(ゲート部26)を三箇所以上設ける必要があり、三箇所以上のゲート部26からの背板部6の分離作業は容易ではない。この点、二枚に分割された(小型パーツ化された)背板部6が基体部3に成形される本実施例にあっては、上述のように一枚の背板部6に対するゲート部26を二箇所に設定することが可能であり、この二箇所のゲート部26から例えば基体部3に対し背板部6を回動させるなどしてこの背板部6を容易に切断分離させることができる。
【0063】
以上のように構成された本実施例の木製天板付きチェストは、各パーツ(中央開口部27に背板部6が一体成形されている基体部3,連結部7が取付けられた木製天板部4,側板部5,箱状体24と前面化粧板25とに分離された引き出し体2および脚パーツ22)が分割された状態で梱包されて出荷される。
【0064】
図9は、各パーツが分割されている組み立て前の状態(出荷時の梱包される状態)を示している。具体的には、上下反転させた木製天板部4の上に、中央開口部27に背板部6が一体成形された三体の基体部3が積層され、この最上段の基体部3の上部に入れ子状態で上下に積層した三体の箱状体24が載置され、この最上段の箱状体24内には六体の側板部5および脚パーツ22(脚パーツ22は別梱包でも良い。)が収納されていると共に、最上段の箱状体24の上部開口部23には二体の前面化粧板25が架設状態に載置されてそのうちの一枚の前面化粧板25上にはもう一体前面化粧板25が積層されている。本実施例の木製天板付きチェストは、このようなコンパクト形態で図示省略の梱包用ボックス(段ボール箱)に収納されて出荷され、購入したユーザーにより組立てられて使用される。
【0065】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0066】
1 本体
2 引き出し体
3 基体部
4 木製天板部
5 側板部
7 連結部
8 係止凸部
9 係合凹部
10 側枠
11 前枠
12 隙間
13 取付穴
14 嵌合突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9