(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ラックマウントの機器搭載機構及び機器搭載方法
(51)【国際特許分類】
H05K 7/18 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H05K7/18 L
(21)【出願番号】P 2022132228
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】堀井 祐二
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7014455(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックマウントを構成する複数の支柱内の内部空間へ機器を装填するラックマウントの機器搭載機構であって、
互いに平行に設けられた一対の支柱と、
これらの支柱を含む平面と交差する方向へ移動可能に一対の前記支柱にそれぞれ支持されたマウンタと、
該マウンタの一方に一端が、該マウンタの他方に他端が、それぞれ、前記支柱と略平行な軸を中心に回動自在に連結されて略水平に支持されるマウントバーと、
を備え、
前記マウントバーは、前記支柱に囲まれた空間内で機器の上面を支持するものであって、前記一端、他端の少なくとも一方は、前記軸と軸とを結ぶ方向へ移動可能に前記軸に連結された、
ラックマウントの機器搭載機構。
【請求項2】
前記マウンタは、複数の前記支柱のうち隣り合う一対が含まれる一の面と交差する方向へ向いて支持された互いに平行な一対のマウントレールのそれぞれに沿って移動自在に支持され、
前記マウンタに設けられた前記軸によって前記マウントバーが支持された、
請求項1に記載のラックマウントの機器搭載機構。
【請求項3】
前記マウントバーの一端、他端のいずれか一方に前記軸を回動自在かつ前記マウントバーの長手方向に移動自在に支持する長穴を備える、
請求項1に記載のラックマウントの機器搭載機構。
【請求項4】
前記マウントバーの一端と他端との間に、前記機器の上部に設けられたブラケットが引っ掛けられて、該機器が支持される、
請求項1に記載のラックマウントの機器搭載機構。
【請求項5】
前記マウントバーの下方の前記機器の移動領域に、前記機器の下部に設けられた被案内部材と接触することによって前記機器の向きを所定の方向へ規制するガイド部材を備える、
請求項1に記載のラックマウントの機器搭載機構。
【請求項6】
ラックマウントを構成する複数の支柱内の領域へ機器を装填するラックマウントの機器搭載方法であって、
前記支柱により囲まれた領域の奥行き方向へ移動自在なマウンタにより、前記領域の幅と略等しい長さを有するマウントバーの一端、他端を回動自在に支持する工程と、
該マウントバーを前記領域内で前記奥行き方向に対して斜めに向ける工程と、
斜めに向けられた前記マウントバーに該マウントバーに沿って前記機器を取り付ける工程と、
前記マウントバーの一端、他端を軸を中心として回転させることにより、前記機器の傾きを小さくしながら前記奥行き方向へ移動させる工程と、
を有するラックマウントの機器搭載方法。
【請求項7】
複数の前記支柱の内、前記奥行き方向へ沿って配置された一対の支柱に沿って移動自在に前記マウンタが支持され、
前記マウンタに支持された軸によって前記マウントバーの一端、他端が回転自在に支持された、
請求項6に記載のラックマウントの機器搭載方法。
【請求項8】
前記マウントバーに前記機器を取り付ける工程より以前に、前記機器の前記マウントバーの長さ方向への取り付け位置を決定する工程を有する、
請求項6に記載のラックマウントの機器搭載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱間の間口開口よりも大きな幅を有する機器を、ラックマウント内部に設けられたベースに搭載することができるラックマウントの機器搭載機構及び機器搭載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願に関連するラックマウントとして、EIA(Electronic Industries Association)規格で定義される19インチラックが使用されている。
このようなラックマウントに関連する技術として、特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
図13~
図16を参照して、特許文献1に記載されたラックマウントの構成の概要を説明する。
【0004】
ここで使用されるラックマウント100は、複数の支柱1と、支柱1の内部空間に立設されたベース3と、支柱1に水平に設置される棚板10とを有するEIA規格の19インチラックである。
機器Mは、
図13(B)に示すように、支柱1間の間口開口2(間口寸法を符号D1で示す)よりも大きな幅(幅寸法を符号D2で示す)を有する。
なお、
図13~
図16を参照した以下の説明において、マウントラック100の幅方向をx軸、奥行方向をy軸、垂直方向をz軸方向で示す。
【0005】
機器搭載機構102は、
図13に示すように、機器Mを保持するホルダ21と、後部に位置する支柱1内に垂直となるように配置されたベース3及びホルダ21を連結するように設けられて該ホルダ21を水平面内で回転自在に支持するリンク機構22とを具備する。
このホルダ21の上部には、
図13(A)~
図16(A)に示すように、機器Mを長さ方向に沿って保持するスライド溝部21Aが設けられている。
【0006】
リンク機構22は、ホルダ21を矢印A1-A2方向となる水平面内で回転自在に支持するものであって、互いに長さが異なる第1可動リンクLA及び第2可動リンクLBを有する。
【0007】
第1可動リンクLA及び第2可動リンクLBの基端部は、ベース3にて横方向(マウントラック100のx軸方向)に間隔をおいて位置する固定部30,31に軸支された2つのベース側垂直軸a1,b1を中心として、それぞれ回転自在に設けられている。
第1可動リンクLA及び第2可動リンクLBの先端部は、ホルダ21上に間隔をおいて位置する2つのホルダ側垂直軸a2,b2を中心として、それぞれ回転自在に設けられている。
【0008】
なお、これら第1可動リンクLAは第2可動リンクLBよりも長さ寸法が大きく形成されている。
また、第1可動リンクLAの先端部はホルダ側垂直軸a2を介してホルダ11の中間部に回転自在に接続され、また、第2可動リンクLBの先端部はホルダ側垂直軸b2を介してホルダ11の一端部(図中右端部)に回転自在に接続されている。
また、ベース側垂直軸a1,b1及びホルダ側垂直軸a2,b2は、図示しないピンを介してベース3及びホルダ21に対して可動リンクLA,LBを回転自在に支持する。
【0009】
また、ベース3側の表面にはコネクタ27Aが設置され、可動リンクLA,LBが設けられていないホルダ21の他端部(図中左端部)には、コネクタ27Aに結合されるコネクタ27Bが設置されている。
ホルダ21側のコネクタ27Bは、機器Mがホルダ21に取り付けられた場合に該機器Mに電気的に接続される。
これらコネクタ27A,27Bは、ホルダ21が矢印A2方向に回転してベース3に接触することによって互いに嵌合して電気的に導通され、また、ホルダ21が矢印A1方向に回転してベース3から離れた場合に互いに離脱される。
【0010】
以上のように構成された機器搭載機構102では、リンク機構22として、互いに長さが異なる第1可動リンクLA及び第2可動リンクLBを設置するとともに、これら第1可動リンクLA及び第2可動リンクLBの基端部及び先端部を、ベース側垂直軸a1,b1とホルダ側垂直軸a2,b2とを介して矢印A1-A2方向となる水平面内でそれぞれ回転自在に連結したので、リンク機構22により
図13、
図14に示すように、矢印A1方向に向けて、ベース3表面に対して水平状態から傾斜/垂直状態となるように水平面内にてホルダ21を回転及び水平移動する動作を行わせることができる。
そして、
図14に示すように、ホルダ21がベース3表面に対して傾斜/垂直状態となった場合に、該ホルダ21のスライド溝部21Aに対して機器Mを(矢印C方向に)スライドさせることで脱着自在となる。
【0011】
さらに、
図14、
図15に示すように、矢印A2で示す方向に、垂直状態から平行状態となるように水平面内でホルダ21を回転及び水平移動する動作を行わせることができる。
さらに、上記機器搭載機構102では、リンク機構22により垂直状態から平行状態となるように水平面内でホルダ21を回転(矢印A2方向への回転)及び水平移動(矢印X1方向への水平移動)する動作を行わせた後、最終動作として
図15、
図16に示すように、ベース3に対するホルダ21の近接/離間する動作を行わせることができる。
このとき、ホルダ21は、2本の第1可動リンクLA及び第2可動リンクLBの各回転により、矢印Y2で示す後方側への水平移動も可能であるので、
図15、
図16に示すように、ベース3との平行状態を保持したまま該ベース3に対するホルダ21の近接/離間する動作を行わせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載された機器搭載機構にあっては、リンク機構22を構成する第1リンクL1、第2リンクL2等の部材が固定部30、31によって片持ち状態に支持されて張り出す構造であるため、機器Mを水平に維持しながら移動させるには、リンク機構22の第1リンクLA、第2リンクLB等の部材、あるいは固定部30、31の肉厚を厚くしてリンク機構22全体の剛性を高くすることが必要となり、機器搭載機構の薄型化が困難になる。その結果、機器搭載機構が大型化して、ラックマウントの内側の格納に利用可能な有効スペースが小さくなるという課題がある。
【0014】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構成により、機器を支持しながらラックマウントに着脱することができる機器搭載機構及び機器搭載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明は以下の構成を採用している。
本発明にかかる機器搭載機構は、ラックマウントを構成する複数の支柱内の内部空間へ機器を装填する機器搭載機構であって、互いに平行に設けられた一対の支柱と、これらの支柱を含む平面と交差する方向へ移動可能に一対の前記支柱にそれぞれ支持されたマウンタと、該マウンタの一方に一端が、該マウンタの他方に他端が、それぞれ、前記支柱と略平行な軸を中心に回動自在に連結されて略水平に支持されるマウントバーとを備え、前記マウントバーは、前記支柱に囲まれた空間内で機器の上面を支持するものであって、前記一端、他端の少なくとも一方は、前記軸と軸とを結ぶ方向へ移動可能に前記軸に連結されたことを特徴とする。
【0016】
本発明にかかる機器搭載方法は、ラックマウントを構成する複数の支柱内の領域へ機器を装填するラックマウントの機器搭載方法であって、前記支柱により囲まれた領域の奥行き方向へ移動自在なマウンタにより、前記領域の幅と略等しい長さを有するマウントバーの一端、他端を回動自在に支持する工程と、該マウントバーを前記領域内で前記奥行き方向に対して斜めに向ける工程と、斜めに向けられた前記マウントバーに該マウントバーの向く方向に沿って前記機器を取り付ける工程と、前記マウントバーの一端、他端を軸を中心として回転させることにより、傾きを小さくしながら前記奥行き方向へ移動させる工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の支柱に囲まれた領域内で、両端が回動可能に支持されたマウントバーを回動させながら前記領域の奥へ移動させることができ、前記マウントバーが両端支持であることから、機器搭載装置の軽量、小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の最小構成に係るラックマウントにおける機器搭載機構を示す平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るラックマウントの機器搭載機構の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2におけるマウントバー部の斜視図である。
【
図5】
図3のV-V線に沿う拡大した矢視図である。
【
図6】一実施形態の機器搭載機構の動作の前半の遷移を示す上面図である。
【
図7】
図6に示す動作を斜め上方視した斜視図である。
【
図8】一実施形態の機器搭載機構の動作の後半の遷移を示す上面図である。
【
図10】
図8に示す遷移動作におけるブラケットとガイドとの相対位置の説明図である。
【
図11】ラックマウントへの機器搭載の比較例1の正面図である。
【
図12】ラックマウントへの機器搭載の比較例2の正面図である。
【
図13】ラックマウントの機器搭載機構の一従来例における機器セット前の段階の説明図である。
【
図14】
図13の機器搭載機構の機器セット後の段階の説明図である。
【
図15】
図13の機器搭載機構の機器セット後に斜めに押し込んだ段階の説明図である。
【
図16】
図13の機器搭載機構の機器取り付けの最終の段階の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の最小構成に係る機器搭載機構について
図1を参照して説明する。
ラックマウントを構成する複数の支柱1内の内部空間へ機器を装填する機器搭載機構102Aは、互いに平行に設けられた一対の支柱1と、これらの支柱1を含む平面と交差する方向へ移動可能に一対の前記支柱1にそれぞれ支持されたマウンタ11と、該マウンタ11の一方に一端が、該マウンタ11の他方に他端が、それぞれ、前記支柱と略平行な軸12を中心に回動自在に連結されて略水平に支持されるマウントバー13とを備え、前記マウントバー13は、前記支柱1に囲まれた空間内で機器の上面を支持するものであって、前記一端、他端の少なくとも一方は、前記軸12と軸12とを結ぶ方向へ移動可能に前記軸12に連結されたことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、前記マウントバー13が軸12を中心として
図1の矢印a方向またはb方向へ回転することができるとともに、軸12との連結個所が長手方向へ移動することができる。したがって、前記支柱1を結ぶ線分に対して前記マウントバー13を斜めにした状態で前記支柱1の間を矢印cあるいは反対のd方向へ通過することができる。また前記軸12を中心として前記マウントバー13を回動させることにより、支柱1の内側の空間(
図1の支柱1、1を結ぶ線分より上側の領域)で、支柱1、1を結ぶ線分に対して前記マウントバー13を平行に配置することにより、該マウントバー13に支持された機器を平行な向きで支持することができる。
【0021】
本発明の一実施形態に係る機器搭載機構について
図2~
図10を参照して説明する。なお
図2~
図10において
図1と共通の構成は、同一符号を付し、説明を簡略化する。
図2は機器搭載機構が適用されるラックマウントの外観を示すものである。
図示例では、垂直に配置された4本の支柱1の内側が機器搭載領域となっている。
中空の棒状をなすガイドレール110は、前記支柱1の上部に互いに平行に設けられていて前後の支柱1を連結し、また、平板状のベースマウント111は、前記支柱1の基端部に各々連結されている。ガイド部材112は、前記ベースマウント111の上面の所定位置で上方へ突出していて、前記ガイドレール110を用いた機器搭載の操作に際して機器の挿入方向を案内する。なお該ガイド部材112による案内機能については、一実施形態の作用とともに後述する。平板状のベース113は、前記ガイド部材112より後方(ラックの奥)の位置に、前記ベースマウント111に支持されて垂直に設けられている。
【0022】
図3はマウントバー120を示すものである。このマウントバー120は、前記ガイドレール110に支持されたマウンタ121によってラックマウントの前後方向(奥行き方向)へ移動自在に支持される。
前記マウンタ121は、水平な軸Cを中心として回転自在なローラ122を一側部および他の側部に複数ずつ備え、
図5に示すように、該ローラ122がガイドレール110の底部のリブ110aに沿って回転することにより、前記ガイドレール110に沿ってラックマウントの奥行き方向あるいは反対方向へ移動することができる。
【0023】
支持部材123は、前記マウンタ121の下部に配置され、それぞれ、軸124を縦向きに支持している。
前記ガイドレール110にそれぞれ設けられた一対の前記マウンタ121の一方の支持部材123に設けられた前記軸124は、前記マウントバー120の一端(
図3の左側)を回転自在に支持し、また、前記マウンタ121の他方の支持部材123に設けられた前記軸124は、前記マウントバー120の他端(
図3の右側)を回転自在に支持する。また前記マウントバー120の他端側における前記軸124との連結個所は、該マウントバー120の長手方向に延びる長穴125を備えていて、この長穴125に沿って、前記軸124が移動可能に支持されている。
以上の構成により支持されたマウントバー120は、マウンタ121が互いに平行に移動可能であることから、一端および他端が前記ガイドレール110に沿って移動自在に支持されるとともに、それぞれ軸124を中心として回転自在に支持される。またマウントバー120の他端は、さらに、軸124が長穴125内で移動可能なことから、マウントバー120の長手方向に沿って回転中心が移動可能に支持されている。
【0024】
図4を参照して、前記マウントバー120に支持される被支持物としての機器130の構成を説明する。
該機器130は、基板131の上面(表面)に電子部品132を実装した構成を有する。前記基板131の上側の縁には、前記マウントバー120への取り付けのためのブラケット133、134を備える。また前記基板131の下側の縁には、前記ブラケット133、134と対称な配置となるようにブラケット135、136を備える。なお下側のブラケット135、136は、前記機器130を天地逆に取り付ける際に前記マウントバー120との相対位置が上側のブラケット135、136と同様の位置関係となるように前記基板131の端部からの距離が設定されている。
また下側のブラケット135、136は、前述のように天地逆に配置する場合の取り付けに使用されるのみならず、前記ベースマウント111の上面の前記ガイド部材112との接触によって前記基板131の前記ベース113との平行度を規制する被案内部材として使用される。なお下側のブラケット135、あるいは136が被案内部材として如何に機能するかについては、一実施形態の作用についての
図6~
図10(特に
図10)を参照した説明において詳述する。
なお、前記基板131の下面(裏面)には、前記ベース113が備えるコネクタ114(
図6、8参照)に接続されるコネクタ137が設けられている。
なお前記ブラケット133~136は、前記マウントバー120へ着脱可能に取り付けられることから、前記基板131の上縁(および下縁)との間に前記マウントバー120を挟むことができるように、例えば、弾性変形可能な材料により構成され、あるいはボルト締めのためのねじ孔を備える。
【0025】
上記の構成を有する一実施形態の機器搭載機構の作用を機器取り付けの各工程とともに説明する。
図6(A)
図7(A)に示すように、一方のガイドレール110と他方のガイドレール110とにおけるマウンタ121の位置(図の奥行き方向への位置)をずらすことによって、これらマウンタ121に支持されたマントバ-120を斜めに配置する。
この操作に際し、図中右側のマウンタ121に支持された軸124は、長穴125内で移動することができるので、前記マウントバー120を所定の角度で斜めに配置することができる。
【0026】
手前側の支柱1と支柱1との間の間隔を通過し得る程度に前記機器130を斜めに向け、前記支柱1と支柱1との間を通過させ、前記マウントバー120に前記ブラケット133、134を引っ掛けることにより、前記機器130を前記マウントバー120に取り付ける。
複数の前記支柱1に囲まれた領域へ前記機器130を持ち込んで前記マウントバー120へ取り付ける操作は、作業者が前記機器130を手で保持しながら行われるが、前記支柱1囲まれた領域の奥へさほど大きく侵入することなく、前記マウントバー120へ前記ブラケット133、134を引っ掛けて固定する操作によって容易に完了することができる。
【0027】
前記機器130を前記マウントバー120へ取り付けた状態で、前記マウントバー120の一端(左側)を他端(右側)より大きく奥へ押し込みながら、
図6(B)
図7(B)に示すように、前記機器130を前記ベース113に接近させて行く。この操作に際し、前記マウントバー120の一端(図中左端)は、軸124を中心に回動し、前記マウントバー120の他端(図中右端)は、軸124を中心として回転しながら長穴125内を移動する。
【0028】
前記マウントバー120に支持された前記機器130が
図6(B)
図7(B)に示す位置に到達した後、前記コネクタ114とコネクタ137とを嵌合させることができる向き(コネクタ114、137に内蔵された端子導体が互いに正対する向き)となる迄、前記機器130の傾きを調整しながら、該機器130をベース113に対して位置合わせしながら奥行き方向へ移動させる。
【0029】
前記機器130の位置合わせ、および取り付けの最終段階における機器搭載機構の動作を
図8~
図10を参照して説明する。
図8~
図9における符号(A)で示す位置にあっては、前記機器130が前記ベース113に対して斜め向き(ベース113に対して図中左側の一端が右側の他端より離れた向き)にあって、前記コネクタ114、137が正対してしない。すなわち、嵌合可能な向きとなっていない。
このような角度では、
図10(A)に示すように、前記ベースマウント111上のガイド部材112が前記機器130の下部のブラケット135と接触する(
図8~
図10の左右方向の位置が重なる)ため、前記機器130およびこれを支持するマウントバー120を
図8~
図10の(A)の状態より奥へ(コネクタ114が接近する方向へ)移動させることができない。
【0030】
前記ガイドレール110を左側の軸124を中心にさらに回転させて、前記ベースマウント111に対してより平行に近い角度にすると、
図8~
図10の(B)に示すように、前記ベースマウント111上のガイド部材112が前記機器130の下部のブラケット135と接触する(
図8~
図10の左右方向の位置が重なる)長さが(A)の状態より小さくなる。しなしながら、依然としてブラケット135がガイド部材112と接触しているため、前記機器130およびこれを支持するマウントバー120を
図8~
図10の(B)の状態より奥へ(コネクタ114が接近する方向へ)移動させることができない。
【0031】
前記ガイドレール110を左側の軸124を中心にさらに回転させて、
図8~
図10の(C)の角度とすると、前記ベースマウント111に対して平行になる。より具体的には、前記ベースマウント111上のガイド部材112が前記機器130の下部のブラケット135と接触しない(
図8~
図10の左右方向の位置が重ならない)状態となるため、前記機器130およびこれを支持するマウントバー120を
図8~
図10の(B)から(C)の状態(コネクタ114が接近する方向へ)移動させることができる。
すなわち、前記機器130をラックマウント内でベースマウント111と略平行な位置に配置し、この状態で前記ガイドレール110に沿ってマウンタ121をスライドさせながら、マウントバー120を奥行き方向へ平行移動させ、該マウントバー120に一体に支持された前記機器130をベースマウント111に接近させ、前記コネクタ137をコネクタ114に挿入する。このようなコネクタ114、137の接続により、前記機器130のラックマウント内への装着が完了し、該機器130がラックマウント側へ(該ラックマウントに搭載された他の機器等へ)電気的に接続される。
【0032】
図8~
図10に示す前記ガイド部材112と被案内部材としての前記ブラケット136との接触による前記機器130の取り付けの際の案内のための前記ガイド部材112とブラケット135との位置関係を説明する。
前記ガイド部材112は、前記ベースマウント111の上に配置されていることから、その位置(ベースマウント111の右側の一側部からの距離)は、
図9(C)に示すようにL1に設定され、一方、被案内部材としての前記ブラケット135の位置は、前記機器130を構成する基板131の一側部からの距離がL2となるように設定されている。
なお、
図9に示す態様において、前記ブラケット135は、ブラケット136とともに前記基板131の下に配置されていることから、前記マウントバー120への固定のための部材として機能しておらず、前記ブラケット133、134が前記マウントバー120への固定のための機能を果たしている。また、前記ブラケット133と134との距離、および前記ブラケット135と136との距離は、前記マウントバー120への取り付けの安定性を考慮して、また、前記ブラケット135が被案内部材として機能するに際し、ブラケット136がガイド部材112と干渉しない(前記マウントバー120の移動に伴う前記ブラケット136の移動軌跡がガイド部材112と重ならない)位置に配置されている。
【0033】
また、前記ブラケット134と135との位置は、前記機器130を反転させて取り付ける場合を考慮して、前記ブラケット135と136と同様の距離に配置されている。
図9(B)から(C)に示すコネクタ114、137の嵌合の際、前記支柱1の右側面と前記ブラケット135の左側面との距離L1’(対称配置された上側のブラケット134の左側面と支柱1の右側面との距離L1と等しい)は、支柱1の右側面とガイド部材112の右側面との距離L4と等しいか僅かに小さく設定することにより、
図8~
図10の(A)(B)(C)に示すような機器130を傾けながら支柱1、1の間を通過させ、通過後に傾きを小さくしながら取り付ける手順が可能となる。また、前記ブラケット133の右側面とブラケット134の左側面との間隔(前記ブラケット135の左側面とブラケット136の右側面との間隔)L2は、前述の
図10(A)(B)(C)の遷移に際してブラケット136がガイド部材112と干渉しない(前記マウントバー120の移動に伴う前記ブラケット136の移動軌跡がガイド部材112と重ならない)位置に設定されている。
なお前記距離L1、L1’は、前記ブラケット133~136のマウントバー120への取り付け位置(ブラケット133~136がマウントバー120の長手方向のどの位置に引っかかり、あるいは挟み込むか)により特定されるが、これら前記マウントバー120へのベースマウント111の取り付け位置をマウントバー120の長手方向へスライドさせることによって調整することもできる。すなわち、前記基板131における各ブラケット133~136の取り付け位置の誤差や使用条件に応じて、前記距離L1等を変更することができる。
なお、前記機器130をマウントバー120に取り付ける一連の操作の準備作業として、
図10(C)で示す位置に、ブラケット135が配置されるように、前記機器130の前記マウントバー120の長さ方向への取り付け位置を決定し、ブラケット135の左側面に隣接する位置にガイド部材112を固定することにより、
図10(A)~(C)の移動による所定位置への取り付けが可能となる。
また前記機器130のブラケット133と134、およびブラケット135と136は、機器130を上下反転した場合に、下側のブラケット133または135を被案内部材として利用して、
図8~
図10に示す態様と同様に前記機器130を所定位置に搭載することができる。
【0034】
以上説明したように、前記マウントバー120をベースマウント111に対して斜めにして、ラックマウントの開口より幅の広い機器130を取り付け、ベースマウント111と平行になるように旋回させながら奥行き方向へ移動させることにより、前記機器130をラックマウントに搭載し、コネクタ114と137とを接続することができる。
【0035】
これに対して、
図11に示す比較例1のように、機器130Aの幅W1が、右側の支柱1と左側の支柱1との内面間の距離である開口の間口D1より十分に小さい場合は、機器130Aを傾けることなくラックマウントの奥へ持ち込むことができる。したがって、一実施形態にかかる機器搭載機構は必ずしも必要ではないが、ラックマウントを構成する複数の支柱1で囲まれた領域に搭載される機器130Aが小さいため、ラックマウントの内側のスペースを有効に利用することができない。
また
図12に示す比較例2のように、機器130Bの幅W2が、右側の支柱1と左側の支柱1との内面間の距離である開口の間口D1より僅かに大きい場合は、すなわち、図中破線で示すように機器130Bの右側面が右側の支柱1の左側面より外側に位置する場合には、例えば、一従来例で説明したリンクを備える機器搭載機構によって機器130Bを斜めに傾けながらラックマウントの奥へ持ち込むことができるが、本願が解決すべき課題である機器搭載機構に求められる強度を得ようとすると、例えば、特許文献1にかかる機器搭載機構のような片持ちで支持する構造では、機器搭載機構を構成する部材、あるいはその支持部材等が一実施形態の態様より大型化することが避けられない。
【0036】
このように、一実施形態にあっては、前記軸124を中心として前記マウントバー120を回動させる操作によって、前記マウントバー120に支持された前記機器130を斜め向きに支柱1の間を通過させた後、前記コネクタ114、137の嵌合が可能な略平行な向きへ向けながら、所定の位置に搬入、取り付けすることができ、前記マウントバー120は、軸124を中心として一端、他端で支持された構造であるから、比較的軽量な部材により機器搭載機構を構成することができる。
【0037】
前記マウントバー120の両端を奥行き方向へ移動可能に支持する構成として、前記ガイドレール110によるマウンタ121の支持に代わる機構を採用しても良い。
また、マウントバー120の長さ、形状、機器130を構成する各部の形状等は上記一実施形態に限定されるものではない。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの一実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、サーバ等の電子機器を搭載するサーバラックへの機器の搭載に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 支柱
11マウンタ
12 軸
13 マウントバー
102A 機器搭載機構
110 ガイドレール
110a リブ
111 ベースマウント
112 ガイド部材
113 ベース
114 コネクタ
120 マウントバー
121 マウンタ
122 ローラ
123 支持部材
124 軸
125 長穴
130 機器
131 基板
132電子部品
133~136 ブラケット
137 コネクタ
【要約】
【課題】簡易な構成により、ベース表面に対して垂直な状態から平行な状態となるように水平面内での回転及び水平移動動作及びベース表面に対する近接/離間動作を行わせる。
【解決手段】ラックマウントを構成する複数の支柱1内の内部空間へ機器を装填する機器搭載機構102Aであって、互いに平行に設けられた一対の支柱1と、これらの支柱1を含む平面と交差する方向へ移動可能に一対の前記支柱1にそれぞれ支持されたマウンタ11と、該マウンタ11の一方に一端が、該マウンタ11の他方に他端が、それぞれ、前記支柱と略平行な軸12を中心に回動自在に連結されて略水平に支持されるマウントバー13とを備え、前記マウントバー13は、前記支柱1に囲まれた空間内で機器の上面を支持するものであって、前記一端、他端の少なくとも一方は、前記軸12と軸12とを結ぶ方向へ移動可能に前記軸12に連結されたことを特徴とする。
【選択図】
図1