(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20231031BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20231031BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F27/32 130
H01F17/04 F
H01F17/04 A
(21)【出願番号】P 2022116475
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2019132824の分割
【原出願日】2018-05-09
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2017-0139111
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0000826
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン スン
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-211571(JP,A)
【文献】特開2016-225465(JP,A)
【文献】特開平9-153406(JP,A)
【文献】特開2016-103591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 27/32
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、前記支持部材により支持され、第1開口部を含む絶縁体と、前記第1開口部の内部に配置されるコイルパターンを含むコイルと、前記コイルパターンと前記支持部材との間に配置され、第2開口部を含む薄膜導体層と、を含む本体と、
前記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含むインダクタであって、
前記薄膜導体層の両端部が、前記支持部材と前記絶縁体との間に配置され、前記絶縁体により覆われ、
互いに隣接する第1及び第2絶縁体において、前記コイルパターンの平均厚さに対する、前記第1絶縁体の一側面に前記コイルパターンが延びる厚さH1と、前記第1絶縁体の前記一側面と向い合う第2絶縁体の一側面に前記コイルパターンが延びる厚さH2との偏差の比が15%以下であり、
前記薄膜導体層の両端部のうち前記第2絶縁体によって覆われた一端部から前記第1絶縁体の一側面までの距離は前記コイルパターンの線幅よりも大きく、
前記コイルパターンの表面に絶縁層がさらに配置され、
前記絶縁層は、前記絶縁体の最内側側面の一部及び最外側側面の一部の少なくとも一方にまで延び、
前記インダクタは、前記支持部材、前記絶縁体、前記コイル、及び前記薄膜導体層を封止する磁性材料を含む、
インダクタ。
【請求項2】
前記薄膜導体層の上面のうち前記絶縁体によって覆われていない部分は前記コイルパターンによって覆われる、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記第1開口部の下部全体が前記薄膜導体層によって充填される、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記薄膜導体層の両端部のそれぞれが前記絶縁体によって覆われた長さは互いに同一である、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記絶縁体は、前記支持部材に近くなるほどさらに厚い線幅を有する、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項6】
前記薄膜導体層は複数層の積層構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項7】
前記複数層のそれぞれの線幅が同一である、請求項6に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに関するものであって、具体的に、高容量及び小型化に有利な薄膜型パワーインダクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展に伴い、装置の小型化及び薄膜化が加速化するとともに、小型の薄型素子に対する市場の要求も増加している。
【0003】
下記特許文献1では、かかる技術傾向に適するように、ビアホールを有する基板と、上記基板の両面に配置され、上記基板のビアホールを介して電気的に連結されるコイルと、を含むパワーインダクタを提供することで、均一で且つ高アスペクト比を有するコイルを含むインダクタを提供するための努力がなされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第1999-0066108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によるインダクタが解決しようとする様々な課題の一つは、複数のコイルパターンの線幅を微細化することで、高アスペクト比のコイルパターンを含むインダクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例によるインダクタは、支持部材と、上記支持部材により支持され、第1開口部を含む絶縁体と、上記第1開口部の内部に配置されるコイルパターンを含むコイルと、上記コイルパターンと上記支持部材との間に配置され、第2開口部を含む薄膜導体層と、を含む本体と、上記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含む。上記薄膜導体層の両端部のうち一端部は上記支持部材と上記絶縁体との間に配置され、互いに隣接する第1及び第2絶縁体において、上記コイルパターンの平均厚さに対する、上記第1絶縁体の一側面に上記コイルパターンが延びる厚さH1と、上記第1絶縁体の上記一側面と向い合う第2絶縁体の一側面に上記コイルパターンが延びる厚さH2との偏差の比が15%以下である。
【0007】
本発明の他の例によるインダクタは、支持部材と、上記支持部材により支持され、第1開口部を含む絶縁体と、上記第1開口部の内部に配置されるコイルパターンを含むコイルと、上記コイルパターンと上記支持部材との間に配置され、第2開口部を含む薄膜導体層と、を含む本体と、上記本体の外部面上に配置される外部電極と、を含む。上記薄膜導体層の両端部は、上記絶縁体により覆われ、上記支持部材と上記絶縁体との間に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の様々な効果の一効果は、小型化されたインダクタにおいて、コイルパターンのアスペクト比を増加させ、Rdc特性及びインダクタンス特性などの電気的特性を改善することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態によるインダクタの概略的な斜視図である。
【
図2】
図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
【
図3】第1実施形態によるインダクタの第1変形例によるインダクタの断面図である。
【
図4】第1実施形態によるインダクタの第2変形例によるインダクタの断面図である。
【
図5】第1実施形態によるインダクタの第3変形例によるインダクタの断面図である。
【
図6】第1実施形態によるインダクタの第4変形例によるインダクタの断面図である。
【
図7】本発明の第2実施形態によるインダクタの概略的な斜視図である。
【
図8】
図7のII-II'線に沿って切断した断面図である。
【
図9】第2実施形態によるインダクタの第1変形例によるインダクタの断面図である。
【
図10】第2実施形態によるインダクタの第2変形例によるインダクタの断面図である。
【
図11】第2実施形態によるインダクタの第3変形例によるインダクタの断面図である。
【
図12】第2実施形態によるインダクタの第4変形例によるインダクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがある。
【0011】
なお、本発明を明確に説明すべく、図面において説明と関係ない部分は省略し、様々な層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては同一の参照符号を用いて説明する。
【0012】
さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に異なる趣旨の説明がされていない限り、他の構成要素を除外する趣旨ではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0013】
以下では、本発明の一例によるインダクタについて説明するが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0014】
第1実施形態
図1は本発明の一例によるインダクタの概略的な斜視図であり、
図2は
図1のI-I'線に沿って切断した断面図である。
【0015】
図1及び
図2を参照すると、インダクタ100は、本体1と、上記本体の外部面上に配置される外部電極2と、を含む。
【0016】
上記外部電極2は第1及び第2外部電極21、22に区別されることができるが、上記第1外部電極が入力端子である場合、上記第2外部電極が出力端子で構成される。
図1には、上記第1及び第2外部電極がアルファベットのC字状に示されているが、これに限定されるものではなく、当業者が適切な断面の形状、例えば、アルファベットのL字状に変更してもよく、本体の一面のみに配置されるように、アルファベットのI字状に変更してもよい。上記第1及び第2外部電極は伝導性物質を含む必要があるが、Cuプレめっき層を含んでもよく、Ag-エポキシの複合層を含んでもよい。
【0017】
上記本体1はインダクタの外観を成すものであって、長さ(L)方向において向い合う第1端面及び第2端面、幅(W)方向において向い合う第1側面及び第2側面、厚さ(T)方向において向い合う上面及び下面を含むことで、実質的に六面体形状に構成される。
【0018】
上記本体1は磁性材料11を含み、上記磁性材料は、磁気特性を有する材料であれば十分であるが、例えば、フェライトまたは金属磁性粒子が樹脂に充填されたものであることができる。上記金属磁性粒子は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びニッケル(Ni)のうち1つ以上を含むことができる。
【0019】
上記本体内の磁性材料は、コイル12によって発生する磁束が流れる通路として機能するため、コイルは、引き出し部を除き上記磁性材料によって完全に封止されることが好ましい。
【0020】
上記コイル12は、全体的にスパイラル状に巻き取られる。上記コイルは、第1外部電極21と連結される第1引き出し部121と、第2外部電極22と連結される第2引き出し部122と、を含む。また、上記コイルは、上記第1引き出し部と第2引き出し部との間でスパイラル状に巻き取られるコイルの本体としての複数のコイルパターン12a、12bを含む。
【0021】
上記複数のコイルパターン12a、12bは支持部材13により支持される。上記支持部材13は中央部に貫通孔Hを含み、上記貫通孔の内部には磁性材料が充填されるため、コイルから発生する磁束が強化されることができる。上記支持部材は、絶縁特性を有し、且つ上記コイルパターンなどを適切に支持することができる強度を有する材料を含む。上記支持部材の形状は、特に限定されるものではないが、加工性の便宜のために所定の厚さを有する板状に構成されることが好ましい。ロープロファイル化(Low Profile)のインダクタが求められていることを考慮すると、その厚さは略60μmを超えないことが好ましい。上記支持部材としては、例えば、プリント基板、ABFフィルム、またはPF-EL基材が適用可能であるが、これに限定されるものではない。上記支持部材は、上記貫通孔の周りで支持部材の上面により支持されるコイルパターンと、支持部材の下面により支持されるコイルパターンとを互いに連結するためのビアを形成するためのビアホールをさらに含むことが好ましい。上記ビアホールは複数で構成されることができ、その形状は、支持部材の中央から遠くなるほど直径が大きくなるテーパ状であればよいが、ビアホールの数または具体的な形状は、当業者が必要に応じて適宜選択することができることは言うまでもない。
【0022】
上記支持部材の少なくとも一面、すなわち、上記支持部材の上面131及び下面132のうち少なくとも一面は絶縁体14により支持される。上記絶縁体14は所定の第1開口部14hを含む。上記第1開口部により、上記絶縁体は、全体的にコイルの断面の形状と類似のスパイラル状に構成される。上記絶縁体14は、コイルのめっき成長のためのめっきガイドラインの機能を果たすとともに、互いに隣接するコイルパターン間を絶縁させる機能を果たす。上記絶縁体14はコイルのアスペクト比(Aspect Ratio)を安定して増加させるための構成であるため、要求されるコイルの厚さを考慮して、上記コイルの厚さに比べて大きい厚さを有するように構成することが好ましい。上記絶縁体の厚さが上記コイルの厚さに比べて大きい場合、選択的に、上記絶縁体及びコイルの厚さを互いに同一のレベルに変更する工程を追加することができる。例えば、コイルの形成を完了した後、上記絶縁体がコイルの上面から突出した部分の少なくとも一部を機械的研磨や化学的研磨により除去する。
【0023】
上記絶縁体14はパーマネント型の感光性絶縁材料を含むことが好ましい。例えば、ビスフェノール系エポキシ樹脂を主成分として含む感光性材料を含むことができる。この際、ビスフェノール系エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテルビスフェノールAポリマー樹脂などであってもよいが、これに限定されるものではなく、パーマネント型の通常のレジスト材料であれば何れも適用可能である。
【0024】
次に、上記支持部材の上面131及び下面132のうち少なくとも一面上には薄膜導体層15が形成される。上記薄膜導体層は、全体的にコイルの断面の形状に対応する形状に構成されることが好ましい。これは、上記薄膜導体層が、上記コイルのめっき成長時にシードパターンとして機能するためである。上記薄膜導体層15は全体的にスパイラル状を有することができる。この際、本体のL-Tの断面を基準として、上記薄膜導体層は、L方向に沿って互いに離隔した第1薄膜導体層151と第2薄膜導体層152を含む。上記第1及び第2薄膜導体層は、上記薄膜導体層の巻取方向に沿って互いに電気的に連結されることは言うまでもない。このように、上記薄膜導体層は、断面を基準としてL方向に沿って互いに離隔した上記第1及び第2薄膜導体層151、152を含むため、上記第1薄膜導体層と第2薄膜導体層との間には所定の第2開口部15hが含まれる。
【0025】
図1及び
図2を参照して、支持部材により支持される絶縁体14と薄膜導体層15の位置関係を説明すると、上記薄膜導体層の1つである第1薄膜導体層151の両端部151a、151bのうち一端部151aは、厚さ方向を基準として上記絶縁体と支持部材との間に介在される。これは、薄膜導体層が形成された後に上記絶縁体を形成するためである。上記薄膜導体層の一端部151aは上記絶縁体によって覆われる構造である。上記一端部151aからの上記薄膜導体層の一端部151の線幅は当業者が適宜選択することができるが、上記一端部151aを含む第1薄膜導体層151と、隣接する他の薄膜導体層、例えば、第2薄膜導体層152との間のショートを防止するために、上記絶縁体の下面の線幅の半分より短い程度でのみ上記絶縁体によって覆われることが好ましい。
【0026】
一方、絶縁体14の開口部14hは薄膜導体層及びコイルパターンの組み合わせにより充填されるが、上記薄膜導体層15は、上記開口部14hの中央に位置するのではなく、一方向に偏って配置される。それにもかかわらず、上記開口部14hを充填するコイルパターンの上面は実質的に対称となるように配置される。
【0027】
上記薄膜導体層15は、単一層であってもよく、複数層が積層された積層構造を有してもよい。
【0028】
上記薄膜導体層15が、複数層が積層された積層構造を有する場合、例えば、支持部材の一面の全体に銅張積層板を含ませ、この銅張積層板の全体に化学めっきによりCu層を形成し、電気方式によりさらにCu層を形成することができるが、これに限定されるものではない。ここで、当業者が、必要に応じて上記積層構造内の一部の金属層を省略してもよいことは言うまでもない。
【0029】
一方、上記薄膜導体層が単一層である場合、具体的な方式は制限されないが、一例として、スパッタリングを用いて支持部材の一面の全体に金属層をコーティングし、レーザーを用いてパターニングしてもよく、電解または無電解化学めっきを用いて支持部材の一面の全体に伝導性物質をコーティングした後、テンティング法などを用いてパターニングしてもよい。上記薄膜導体層が単一層である場合、使用可能な具体的な材料は限定されないが、化学的方法により薄膜導体層を形成する場合には、銅、ニッケル、スズ、金などの金属層であることが好ましく、スパッタリング方法により薄膜導体層を形成する場合には、コーティングされた銅層、又はチタン、モリブデンを含むようにすることができる。また、ペースト方式を用いて印刷により形成してもよいが、この場合、銅や銀などの金属層であることが好ましい。
【0030】
上記薄膜導体層が上記開口部14hの中央ではなく一方向に偏って配置され、上記薄膜導体層の一端部151aが上記絶縁体の下に埋め込まれるインダクタは、絶縁体をパターニングする際における工程自由度を著しく増加させることができる。上記絶縁体の開口部の線幅を狭くする場合、換言すれば、コイルパターンの線幅を狭くする場合、上記絶縁体の開口部内に上記薄膜導体層の全体が配列されることができるようにアライメントを維持することは困難である。しかし、上記薄膜導体層の一端部を上記絶縁体と上記支持部材との間に介在させる場合、上記薄膜導体層の上記一端部を除いた残りの部分のみを上記開口部内に配列させると、アライメントを維持することができる。したがって、狭いコイルパターンの線幅でも工程自由度が維持されることができる。
【0031】
また、上記開口部内を充填するコイルパターンの上面が、左右に隣接する絶縁体の側面と接する高さH1、H2の偏差は、コイルパターンの上面の平均高さに対して15%以下であることが好ましい。上記コイルパターン12aは、本体の中心側に近い第1絶縁体141と本体の外側に近い第2絶縁体142との間の開口部14h内を充填するが、この際、上記コイルパターンの上面の平均高さに対する、上記コイルパターンの上面が上記第1絶縁体の側面と接する高さH1と、上記第2絶縁体の側面と接する高さH2との偏差(すなわち、H1-H2)の比Rは、15%以内の範囲であることが好ましい。上記Rの範囲が15%を超える場合には、コイルパターンの上面の傾きが激しくなって絶縁体の上面を乗り越えるようになるため、コイルパターン間にショートが発生する可能性が高く、耐圧特性が低下するなど、電気的特性が劣化するおそれがある。
【0032】
下記表1は、コイルパターンの上面の平均高さに対する、上記コイルパターンの上面が第1絶縁体の側面と接する高さH1と、上記第2絶縁体の側面と接する高さH2との偏差(H1-H2)の比によるショート不良発生率を示すものである。比較例の場合、数字の右上側に星印をつけた。
【0033】
【0034】
上記表1の実施例1から実施例13のインダクタは、ショート不良発生率が実質的に無意味な程度であって、このようなコイルパターンをめっきする方式は下記で説明される一方式に制限されない。しかし、薄膜導体層が開口部の中央ではなく一方向に偏った形状であるため、めっき成長の特性上、薄膜導体層のある側にのみ初期めっきが過度に成長し、結果として、コイルパターンの上面が傾くという問題があるため、これを解決することができる方式を用いる必要があることは言うまでもない。上記の問題を解決することができる一方式の例としては、めっき液に加えられる硫酸及び銅において、硫酸に比べて銅の濃度を高め、フィルめっき機能を有する溶液を加える方法が挙げられる。上記の方式では、溶液の添加剤中の促進剤成分が不均一に吸着されることで成長速度を減少させることができるため、厚さばらつきを低減することができる。または、パルス/リバース整流器を用いて電流を印加する方式を用いると、高電流の部分の成長は抑えられ、低電流の部分の成長は相対的に増加するようになって、全体的なコイルパターンの形状を平らにすることができるという効果を奏する。
【0035】
また、
図2を参照すると、上記コイルパターンの上面上には絶縁層16がさらに配置される。上記絶縁層16は、コイルパターンと磁性材料との間の絶縁のためのものであるため、絶縁特性を有する材料を含む。上記絶縁層16は、互いに隣接するコイルパターン間の絶縁のための絶縁体とは異なる材料を含むことができる。上記絶縁層は、上記コイルパターンの上面、上記絶縁体の側面、及び上面の全体をコーティングするように配置される。その具体的なコーティング方式は制限されないが、薄く且つ均一な絶縁層を得るために、パリレンを含む絶縁樹脂を化学気相蒸着方式によりコーティングすることができる。
【0036】
次に、
図3は
図1及び
図2に示された第1実施形態によるインダクタ100の第1変形例によるインダクタ110を示す断面図である。説明の便宜のために、
図1及び
図2を参照して説明した上記インダクタと異なる構成要素を中心に説明し、同一の構成要素には同一の図面符号を用いる。
【0037】
図3に示されたインダクタ110を参照すると、最内側コイルパターン1112aの内側面は、絶縁体と接することなく、直ちに絶縁層1116と接する。上記最内側コイルパターンの内側面を支持する絶縁体が除去され、絶縁体が除去された位置に絶縁層が形成される。上記絶縁層の厚さは略10~20μmである。これは、互いに隣接するコイルパターンを絶縁するための絶縁体の厚さに比べて相対的に薄い厚さである。その結果、コイルのコア中心として、磁性材料が充填され得る空間が大きく確保され、インダクタの透磁率を増加させることができる。上記最内側コイルパターンの内側面と接する絶縁体を選択的に除去し、上記絶縁層1116を配置する方式は制限されないが、例えば、上記絶縁体をレーザーを用いて除去し、上記絶縁層1116を、絶縁材料を含む絶縁樹脂の化学気相蒸着(CVD)方式によりコイルパターンの上面だけでなく絶縁体の上面までも連続して配置することができる。
【0038】
図4は
図1及び
図2に示された第1実施形態によるインダクタ100の第2変形例によるインダクタ120を示す断面図である。説明の便宜のために、
図1及び
図2を参照して説明した上記インダクタと異なる構成要素を中心に説明し、同一の構成要素には同一の図面符号を用いる。
【0039】
図4のインダクタ120は、絶縁層1216が支持部材と当接する程度に支持部材に向かって延びず、コイルパターンの上面及び絶縁体の上面にラミネートされる場合である。上記絶縁層1216は、フィルム状の絶縁樹脂を上記コイルパターンの上面及び絶縁体の上面にラミネートすることで、コイルパターンと磁性材料との間を絶縁させる。上記絶縁層の両端部はそれぞれ、最内側に配置される絶縁体の最内側及び最外側に配置される絶縁体の最外側と同一線上に位置するように形成されることが好ましいが、コイルパターンと磁性材料との間の絶縁機能が劣化しない限り、上記絶縁層の両端部の少なくとも一部がコイルパターンの上面と近い方向に短く形成されることも可能である。
【0040】
図5は
図1及び
図2に示された第1実施形態によるインダクタ100の第3変形例によるインダクタ130を示す断面図である。説明の便宜のために、
図1及び
図2を参照して説明した上記インダクタと異なる構成要素を中心に説明し、同一の構成要素には同一の図面符号を用いる。
【0041】
図5のインダクタ130は、
図4のインダクタ120と同様に、絶縁層がコイルパターンの上面上にラミネートされた形態で構成されるが、絶縁層1316の両端部1316a、1316bの少なくとも一端部が、コアの中心や本体の外部面に向かってさらに突出している。
図5のインダクタ130は、上記両端部316a、316bが両方とも最内側の絶縁体の内側面及び最外側の絶縁体の外側面から突出していると示されているが、両端部のうち1つの端部のみが突出してもよいことは言うまでもない。
【0042】
上記絶縁層の両端部のうち少なくとも1つの端部を突出させることで、絶縁特性を強化することができる。インダクタの使用や生産過程で、絶縁層と絶縁体との間、若しくは絶縁層とコイルパターンとの間のデラミネーションによって絶縁不良が発生することを防止するために、上記絶縁層1316を突出させることで絶縁層の固定力を増加させる。
【0043】
次に、
図6は
図1及び
図2に示された第1実施形態によるインダクタ100の第4変形例によるインダクタ140を示す断面図である。説明の便宜のために、
図1及び
図2を参照して説明した上記インダクタと異なる構成要素を中心に説明し、同一の構成要素には同一の図面符号を用いる。
【0044】
図6のインダクタ140を参照すると、絶縁体1414は、支持部材に近くなるほど線幅が増加する形状を有する。絶縁体1414の線幅が薄くなると、小型化されたインダクタ内でコイルパターンの巻取り回数を相対的に増加させることができる利点がある。ところが、絶縁体の線幅が薄いほど、絶縁体の下面の少なくとも一部に薄膜導体層が配置されるように制御することが工程上困難であり得る。そのため、上記インダクタ140は、薄膜導体層の端部の少なくとも一部を覆う必要がある絶縁体の下面の線幅を上面の線幅に比べて大きくすることで、上記絶縁体の下面と支持部材との間に薄膜導体層が介在されるようにするとともに、絶縁体の線幅を非常に薄い程度に制御することができる。
【0045】
上記インダクタによる場合、微細線幅のコイルパターンを実現する際に、互いに隣接したコイルパターン間の絶縁のための絶縁体と、上記コイルパターンのシードパターンである薄膜導体層との間のアライメントの自由度を高めるとともに、制限されたチップサイズ内で実現可能なコイルパターンの線幅をより狭くしてインダクタンスを著しく改善することができる。
【0046】
第2実施形態
次に、
図7は本発明の第2実施形態によるインダクタ200の概略的な斜視図であり、
図8は
図7のII-II'線に沿って切断した断面図である。説明の便宜のために、第1実施形態によるインダクタ及びその変形例によるインダクタで説明された記述内容と重複される説明は省略する。
【0047】
図7及び
図8を参照すると、インダクタ200は、本体210と、上記本体の外部面上に配置される外部電極220と、を含む。上記外部電極は、上記本体の第1端面上の第1外部電極221と、第2端面上の第2外部電極222と、を含む。
【0048】
上記本体210は、その内部に、磁性材料211と、上記磁性材料により封止されるコイル212と、上記コイルを支持する支持部材213と、上記コイル内のコイルパターンを絶縁させる絶縁体214と、絶縁層216と、を含む。上記コイルパターンの下面には、めっき成長のベースとなる薄膜導体層215が配置される。
【0049】
上記薄膜導体層215の両端部215a、215bは両方とも上記絶縁体により覆われる。上記薄膜導体層215の開口部215hの内部の全体は絶縁体214によって充填される。
【0050】
上記絶縁体により覆われた上記両端部の長さL1、L2は互いに同一であって、対称を成すことが好ましいが、これに限定されず、互いに隣接した薄膜導体層間にショートが発生しない条件であれば、上記長さL1、L2が互いに異なってもよい。
【0051】
上記絶縁体214は、互いに隣接し、W-Tの断面において互いに向い合う第1絶縁体214aと第2絶縁体214bを含み、上記第1絶縁体と上記第2絶縁体との間の開口部214hの下部は薄膜導体層によって充填され、その上はコイルパターンによって充填される。この際、上記第1絶縁体214aの側面及び上記支持部材の上面213とにより形成される角部E1は、薄膜導体層とその上に形成されたコイルパターンによって実質的に完全に充填され、上記第2絶縁体214bの側面と上記支持部材の上面213とにより形成される角部E2は、薄膜導体層及びその上に形成されたコイルパターンによって実質的に完全に充填される。ここで、該角部が実質的に完全に充填されるとは、有意なボイド(void)が形成されないことを意味する。上記ボイドは一種のめっき不良であって、上記ボイドにより、所望のコイルパターンの断面形状を実現することが困難となり、直流抵抗特性の損失などの電気的特性が劣化して、絶縁体の倒れや絶縁体の剥離(Delamination)が発生する可能性が増加する。しかし、インダクタ200の場合、上記角部E1、E2にボイドが形成されないため、上記のようなめっき不良の問題が発生しない。
【0052】
図7及び
図8を参照すると、薄膜導体層の開口部215hは絶縁体214のみによって充填される。具体的に、開口パターンを有する薄膜導体層を形成し、上記絶縁体の形成のために、絶縁特性を有する絶縁シートを単一層以上にラミネートした後、上記絶縁体の開口部214hの幅W1が上記薄膜導体層の線幅W2より小さく、上記薄膜導体層の両端部が両方とも上記絶縁体によって覆われるように、上記絶縁体をパターニングする。この場合、パターニング方式は制限されず、絶縁体の形成のための絶縁シートの物性を考慮して、露光及び現像、またはレーザー工程を適用することができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
また、上記絶縁体214の上面及びコイル212の上面は絶縁層216によって囲まれるが、この際、絶縁層は
図1及び
図2に示されたインダクタ100で説明したものと重複される記述内容を含むため、別の説明は省略する。
【0054】
次に、
図9は本発明の第2実施形態によるインダクタの第1変形例によるインダクタ210の断面図である。
図9に示されたインダクタは、
図7及び
図8に開示されたインダクタと比較して、絶縁体のうち最内側コイルパターンの内側面と接する絶縁体を除去し、最内側コイルパターンの内側面と絶縁層が直ちに接触するようにした点で異なる。第2実施形態によるインダクタの第1変形例は、第1実施形態によるインダクタの第1変形例と同一の構成要素の変形を含むため、それについての具体的な説明は省略する。
【0055】
同様に、
図10のインダクタ220は
図4のインダクタ120と同一の構成要素の変形を含み、
図11のインダクタ230は
図5のインダクタ130と同一の構成要素の変形を含み、
図12のインダクタ240は
図6のインダクタ140と同一の構成要素の変形を含む。したがって、
図10から
図12のインダクタ220、230、240についての具体的な内容説明はここで省略する。
【0056】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【0057】
一方、本発明で用いられた一例という表現は、互いに同一の実施例を意味せず、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されるものである。しかし、上記提示された一例は、他の例の特徴と結合して実施される場合を排除しない。例えば、特定の一例で説明された事項が他の例で説明されていなくても、他の例でその事項と反対の説明がされているかその事項と矛盾する説明がされていない限り、他の例に関連する説明であると解釈することもできる。
【0058】
また、本発明で用いられた用語は、一例を説明するために説明されたものであるだけで、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は文脈上明確に異なる意味でない限り、複数を含む。
【符号の説明】
【0059】
100、200 インダクタ
2 外部電極
1 本体
11 磁性材料
12 コイル
13 支持部材