(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ハイブリッドヒータ
(51)【国際特許分類】
F24C 7/04 20210101AFI20231031BHJP
F24C 7/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
F24C7/04 C
F24C7/06 C
(21)【出願番号】P 2023122120
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595130034
【氏名又は名称】株式会社山善
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】川邊 一馬
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-183151(JP,U)
【文献】米国特許第05761377(US,A)
【文献】米国特許第02410211(US,A)
【文献】実開昭60-176058(JP,U)
【文献】中国実用新案第201589411(CN,U)
【文献】中国実用新案第2849572(CN,Y)
【文献】中国実用新案第201662139(CN,U)
【文献】実開昭57-038105(JP,U)
【文献】特開昭58-085022(JP,A)
【文献】特開2006-010156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/04
F24C 7/06
F24H 3/04
F24D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電によって発熱するヒータ部材が封入され所定の方向に延設される管状ヒータと、
前記管状ヒータから所定の距離隔てて後方に位置する反射板と、
前記反射板に対して後方から空気を供給する送風機と、
前記管状ヒータ、前記反射板及び前記送風機を収容する本体部と、を備えたハイブリッドヒータであって、
前記反射板が前記管状ヒータを後方から覆うよう、後方に湾曲する部位を含み、
前記反射板
における前記湾曲する部位において前記管状ヒータの延設方向に交差する方向に穿設せしめたスリット状開口を備え、
前記スリット状開口が前記管状ヒータの延設方向に沿って複数並設され
、
前記スリット状開口は、当該スリット状開口から噴出された空気が前記管状ヒータに向けて流れるよう形成される、
ハイブリッドヒータ。
【請求項2】
前記管状ヒータの延設方向から見たときの前記反射板の断面が略半円形状に形成される、
請求項1に記載のハイブリッドヒータ。
【請求項3】
前記管状ヒータの延設方向が略鉛直方向であり、
前記管状ヒータは幅方向左右に並設される側方ヒータ
を含み、
前記側方ヒータ後方に位置する前記反射板
における前記湾曲する部位は、それぞれ
の前記側方ヒータに対応して配置され、それぞれの前記湾曲する部位は、前記本体部の幅方向中心側に位置する中心側反射板部と、前記本体部の幅方向外側に位置する端部側反射板部とによって構成され、
前記スリット状開口は前記端部側反射板部に穿設される、
請求項1又は2に記載のハイブリッドヒータ。
【請求項4】
前記管状ヒータの延設方向が略水平方向であり、
前記管状ヒータは前記本体部の高さ方向の中心よりも上方及び下方に並設された上方ヒータと下方ヒータと
を含み、
前記上方ヒータ及び前記下方ヒータ後方に位置する前記反射板
における前記湾曲する部位は、それぞれの前記
上方ヒータ及び前記下方ヒータに対応して配置され、それぞれの前記湾曲する部位は、前記本体部の上下方向中心側に位置する中心側反射板部と、前記本体部の上下方向端部側に位置する端部側反射板部とによって構成され、
前記スリット状開口は前記端部側反射板部に形成される、
請求項1又は2に記載のハイブリッドヒータ。
【請求項5】
前記送風機が、前記管状ヒータの延設方向と略同一の方向に回転軸を備えるクロスフローファンによって構成される、
請求項1に記載のハイブリッドヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射による加熱と対流による加熱を併用して暖房を行うハイブリッドヒータに関するものであり、特に、暖房効率を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気加熱式の暖房機としては、石英ガラスなどで形成された管状部材内にヒータ要素が配設された管状ヒータと、管状ヒータの後方に配設された反射板を用いた輻射式のものが一般的である。
【0003】
このような暖房機の場合、電源を入れるとヒータ要素が通電によって発熱し、石英ガラスなどで形成された管状部材から輻射熱が空間に向けて放射されるとともに、管状ヒータの後方に配設された反射板から前方に向けて反射された輻射熱が伝熱されるようになっている。このような形式の暖房機は構造が簡単であるため、古くから広く一般に流通されている。
【0004】
しかしながら、輻射熱のみ伝熱する暖房機の場合、管状ヒータないしは反射板が見えている箇所にしか熱を伝えることができず、暖房にムラが生じ、広い空間などに効率よく熱を伝えることができない。
【0005】
そこで、輻射による加熱と対流による加熱を併用して暖房を行うハイブリッドヒータが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された技術によると、ファンによって作り出した空気の流れが反射板から熱を受けつつ、加熱された空気を前方に供給できるため、管状ヒータと反射板による輻射熱に加え、加熱された空気による対流加熱を利用することができ、より広い空間においても効果的に暖房を行うことができる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、反射板から熱を受けるものであるため、供給される空気の温度が上昇しにくい。というのも、反射板は管状ヒータの後方において管状ヒータから所定の距離隔てて配置されているため、反射板自体が加熱されるものではないからである。また、反射板は管状ヒータからの輻射熱を反射するために設けられたものであるため、熱の反射率が高く吸収率が低い材料によって構成される。そのため、反射板自体の温度は上がりにくく、反射板から熱を受ける構造の引用文献1に開示された発明においては、暖房機から放出される空気の温度は必ずしも高いとは言えない。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、空気の加熱効率を高め、広範囲にわたって効果的に暖房を行うことが可能なハイブリッドヒータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係るハイブリッドヒータは、通電によって発熱するヒータ部材が封入され所定の方向に延設される管状ヒータと、管状ヒータから所定の距離隔てて後方に位置する反射板と、反射板に対して後方から空気を供給する送風機と、管状ヒータ、反射板及び送風機を収容する本体部と、を備えたハイブリッドヒータである。反射板において管状ヒータの延設方向に交差する方向に穿設せしめたスリット状開口を備え、スリット状開口が管状ヒータの延設方向に沿って複数並設される。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、反射板に設けられたそれぞれのスリット状開口は、管状ヒータの延設方向に交差する方向に穿設されているため、送風機から供給されスリット状開口から噴出した空気は管状ヒータの周囲を流れる。そして、空気が管状ヒータの周囲を流れる際に管状ヒータから直接的に熱を受けるとともにヒータ本体内部に滞留した熱をも含めて、温風となって本体の前方に供給されるため、反射板から間接的に熱を受ける従来の方式と比して、効率的に空気を加熱することができる。また、スリット状開口は管状ヒータの延設方向に沿って複数並設されているため、本体の前方から供給される空気の温度が場所によって不均一になることなく、広範囲にわたって均一な温度の温風を供給することができる。
【0013】
第2の特徴に係るハイブリッドヒータは、第1の特徴に係る発明であって、反射板が管状ヒータを後方から覆うよう、後方に湾曲して形成される。
【0014】
第2の特徴に係る発明によれば、反射板が管状ヒータを後方から覆うよう、後方に湾曲して形成されるため、湾曲して形成された反射板に設けられたスリット状開口から噴出された空気は、管状ヒータに向けて流れる。そのため、スリット状開口から噴出された空気は確実に管状ヒータの周囲を流れ、管状ヒータから放出される熱を効率的に吸熱することができる。
【0015】
第3の特徴に係るハイブリッドヒータは、第2の特徴に係る発明であって、管状ヒータの延設方向から見たときの反射板の断面が略半円形状に形成される。
【0016】
第3の特徴に係る発明によれば、管状ヒータの延設方向から見たときの反射板の断面が略半円形状に形成されるため、スリット状開口から噴出された空気は管状ヒータに集まるように流れ、管状ヒータから放出される熱をより効果的に吸熱することができる。
【0017】
第4の特徴に係るハイブリッドヒータは、第2又は第3の特徴に係る発明であって、管状ヒータの延設方向が略鉛直方向であり、管状ヒータは幅方向左右に並設される側方ヒータによって構成され、側方ヒータ後方に位置する反射板は、それぞれ、本体部の幅方向中心側に位置する中心側反射板部と、本体部の幅方向外側に位置する端部側反射板部とによって構成され、スリット状開口は端部側反射板部に穿設される。
【0018】
第4の特徴に係る発明によれば、端部側反射板部は本体の中心側を向くよう配設されているため、送風機から供給される空気は、端部側反射板部に形成されたスリット状開口から本体部の幅方向中心側に向けて噴出することになる。そのため、噴出された空気がそのままの温度で本体から供給されることを防止し、管状ヒータで確実に加熱され温風となって本体前面から供給され、室内の空気を温めることができる。しかも、管状ヒータの延設方向が略鉛直方向であるため、ハイブリッドヒータ全体をスリムに構成することができ狭いスペースにも配置可能であり、かつ、管状ヒータの暖房範囲が狭いというデメリットを解消して効率的に暖房可能となる。
【0019】
第5の特徴に係るハイブリッドヒータは、第2又は第3の特徴に係る発明であって、管状ヒータの延設方向が略水平方向であり、管状ヒータは本体部の高さ方向の中心よりも上方及び下方に並設された上方ヒータと下方ヒータとからなり、上方ヒータ及び下方ヒータ後方に位置する反射板は、それぞれ、本体部の上下方向中心側に位置する中心側反射板部と、本体部の上下方向端部側に位置する端部側反射板部とによって構成され、スリット状開口は端部側反射板部に形成される。
【0020】
第5の特徴に係る発明によれば、端部側反射板部は本体の上下方向中心側を向いているため、送風機から供給される空気は、端部側反射板部に形成されたスリット状開口から本体部の上下方向中心側に向けて噴出することになる。そのため、噴出された空気がそのままの温度で本体から供給されることを防止し、管状ヒータで確実に加熱され温風となって本体前面から供給され、室内の空気を温めることができる。しかも、管状ヒータの配設方向が略水平方向であるため、幅広いスペースを暖房することができる。
【0021】
第6の特徴に係るハイブリッドヒータは、第1の特徴に係る発明であって、送風機が、管状ヒータの延設方向と略同一の方向に回転軸を備えるクロスフローファンによって構成される。
【0022】
第6の特徴に係る発明によれば、管状ヒータの延設方向に沿って複数穿設されたスリット状開口に対し、送風機から流れる空気が均一に流れるため、吹出される温風の温度の場所による不均一性が解消され、広い空間であっても室内の空気を均一に温めることができる。しかも、管状ヒータの延設方向とクロスフローファンの回転軸の軸方向が略同一に設定されているため、装置全体を当該軸方向に長い形状に形成することができ、当該軸方向と直交する方向の寸法を短くすることができることから、結果として装置全体をコンパクトに構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、空気の加熱効率を高め、広範囲にわたって効果的に暖房を行うことが可能なハイブリッドヒータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の、前面保護カバー21を外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の、前面保護カバー21を外した状態を示す正面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の背面側を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の背面側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0026】
図1を用いて、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の全体構成を説明する。
図1は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の全体構成を示す斜視図であり、
図2は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の、前面保護カバー21を外した状態を示す斜視図であり、
図3は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の、前面保護カバー21を外した状態を示す正面図であり、
図4は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の背面側を示す斜視図であり、
図5は、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1の背面側から見た分解斜視図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係るハイブリッドヒータ1は、適宜の設置場所に対して載置される土台となる台座部10と、台座部10に対して起立した状態で水平方向に回動可能に接続される本体部20と、を備える。
【0028】
図1及び
図5に示すように、本体部20は、前面保護カバー21と背面カバー22とを備え、管状ヒータ30、反射板40及び送風機50を収容する。
【0029】
前面保護カバー21は、管状ヒータ30の前方に配置される金属製の網状部材であり、使用者が管状ヒータ30に直接触れることを防止する。
【0030】
図5に示すように、背面カバー22は、反射板40、送風機50及び区画壁60を後方から覆う部材である。背面カバー22は送風機50の形状に応じた略半円筒状の膨出部22aを備えており、膨出部22aが送風機50を後方から覆うことにより、送風機50が内部に配置される送風機室が形成される。膨出部22aにはスリット状の吸引口22bが鉛直方向に沿って複数形成されており、送風機50の動作によって空気が吸引口22bを通り送風機室内に供給される。
【0031】
図2及び
図3に示すように、管状ヒータ30は、所定の方向に延設された石英ガラスなどの管状部材の中に、通電によって発熱するヒータ部材が封入された加熱部材であり、本実施形態においては、管状ヒータ30は鉛直方向に延設され、本体部20の幅方向略中央に配設される中央ヒータ31、及び、本体部20の幅方向側方に並設された二本の側方ヒータ32、32によって構成される。
【0032】
反射板40は、管状ヒータ30から後方に放射された熱を前方に反射するための部材であり、反射率の高いアルミニウムやステンレス等の金属の板状部材によって構成される。反射板40は管状ヒータ30から放射された熱を前方に反射すべく、管状ヒータ30から後方に所定の距離を隔てた状態で、管状ヒータ30を後方から覆うように平面視が略半円形状となるよう後方に湾曲して形成される。反射板40には、管状ヒータ30の延設方向に交差する略水平方向に穿設されたスリット状開口40s、40s、40s、・・・が、管状ヒータ30の延設方向である略鉛直方向に沿って複数並設されている。
【0033】
なお、本実施形態に係る反射板40、40は、それぞれの側方ヒータ32、32の後方に対応して配置される。それぞれの側方ヒータ32、32に対応して配置される反射板40、40は、それぞれの側方ヒータ32を後方から覆うように、後方に向けて凸となるよう屈曲して形成され、本体部20の幅方向中心側に位置する中心側反射板部41と本体部20の幅方向外側に位置する端部側反射板部42とによって構成される。そして、スリット状開口40sは、本体部20の幅方向外側に位置する端部側反射板部42に穿設される。このとき、反射板40は後方に向けて凸となるよう屈曲しているため、端部側反射板部42は本体20の幅方向中心側を向く。そのため、スリット状開口40sも本体20の幅方向中心側を向くよう配設される。
【0034】
図5に示すように、送風機50は、本体部20の背面側から空気を吸引して空気室とスリット状開口40sを介して反射板40の前方に送風するものであり、本実施形態においては鉛直方向に図示しない回転軸を備えるクロスフローファンによって構成される。
【0035】
図5に示すように、区画壁60は、反射板40の後方から反射板40に接続され、反射板40と協働して送風機50から供給される空気の流路となる空気室を反射板40の後方に形成する部材である。区画壁60は、反射板40と協働して反射板40の後方に空気室を形成可能なように、反射板40と同様に後方に湾曲する形状を呈するものである。区画壁60には、送風機50から供給される空気を空気室内に供給可能なように、図示しないスリット状の開口が形成される。
【0036】
以上のように構成されたハイブリッドヒータ1によると、土台部10に設けられた図示しない操作部による操作により、電源が入ると管状ヒータ30が備える図示しないヒータ部材に通電され、ヒータ部材が発熱し、その輻射熱が管状ヒータ30及び管状ヒータ30の後方に所定の距離隔てて設けられた反射板40から放射される。
【0037】
また、運転モードが、管状ヒータ30による加熱だけでなく、送風機50を用いた対流による加熱を併せて行うモードである場合、送風機50が作動して以下のような空気の流れを生成する。
【0038】
送風機50の作動に伴い、まず、背面カバー22の膨出部22aに穿設された吸引口22bから送風機室内に空気が流入する。送風機室内に流入した空気は、区画壁60に設けられたスリット状の開口から、区画壁60と反射板40によって反射板40の後方に画定される空気室内に流入する。そして、空気室内に流入した空気は、反射板40に穿設されたスリット状開口40s、40s、・・・から管状ヒータ30に向けて送風される。
【0039】
反射板40に設けられたそれぞれのスリット状開口40sは、管状ヒータ30の延設方向に交差する方向に穿設されているため、送風機50から供給されスリット状開口40sから噴出した空気はある程度の幅を持って拡散して管状ヒータ30の周囲を流れる。そして、空気が管状ヒータ30の周囲を流れる際に管状ヒータ30から直接的に熱を受け、温風となって本体20の前方に供給されるため、反射板40から間接的に熱を受ける従来の方式と比して、効率的に空気を加熱することができる。
【0040】
また、スリット状開口40sは管状ヒータ30の延設方向に沿って複数穿設されているため、各スリット状開口40sから噴出された空気が管状ヒータ21に到達するため、本体20の前方から供給される空気の温度が場所によって不均一になることなく、均一な温度の温風を供給することができる。このように、本実施形態に係るハイブリッドヒータによると、空気の加熱効率を高めることができ、広範囲にわたって効果的に暖房を行うことができる。
【0041】
また、反射板40が管状ヒータ30を後方から覆うよう、後方に湾曲して形成されるため、湾曲して形成された反射板40に設けられたスリット状開口40sから噴出された空気は、管状ヒータ30に向けて流れる。そのため、スリット状開口40sから噴出された空気は確実に管状ヒータ30の周囲を流れ、管状ヒータ30から放出される熱を効率的に吸熱することができる。
【0042】
あるいは、反射板40が管状ヒータ30を後方から覆うよう、管状ヒータ30の延設方向から見たときの反射板40の断面が略半円形状に形成されるため、スリット状開口40sから噴出された空気は管状ヒータ30に集まるように流れ、管状ヒータ30から放出される熱をより効果的に吸熱することができる。
【0043】
また、管状ヒータ30の延設方向が略鉛直方向であり、管状ヒータ30は幅方向左右に並設される側方ヒータ32によって構成され、側方ヒータ32後方に位置する反射板40は、それぞれ、本体部20の幅方向中心側に位置する中心側反射板部41と、本体部20の幅方向外側に位置する端部側反射板部42とによって構成され、スリット状開口40sは端部側反射板部42に穿設される。このとき、端部側反射板部42は本体20の中心側を向いているため、送風機50から供給される空気は、端部側反射板部42に形成されたスリット状開口40sから本体部20の幅方向中心側に向けて噴出することになる。そのため、噴出された空気がそのままの温度で本体20から供給されることを防止し、管状ヒータ30で確実に加熱され温風となって本体20前面から供給され、室内の空気を温めることができる。しかも、管状ヒータ30の延設方向が略鉛直方向であるため、ハイブリッドヒータ1全体をスリムに構成することができ狭いスペースにも配置可能であり、かつ、管状ヒータ30の暖房範囲が狭いというデメリットを解消して効率的に暖房可能となる。
【0044】
また、送風機50が、管状ヒータ30の延設方向と略同一の方向に回転軸を備えるクロスフローファンによって構成されるため、管状ヒータ30の延設方向に沿って複数穿設されたスリット状開口40sのそれぞれから、送風機50から流れる空気が均一に噴出し、吹出される温風の温度の場所による不均一性がなくなり、広い空間であっても室内の空気を均一に温めることができる。
【0045】
<変形例>
上記においては、管状ヒータ30の延設方向が鉛直方向である実施形態について説明したが、変形例として、管状ヒータ30が水平方向に延設されていてもよい。その場合、図示は省略するが、
図3に示す本体20を90度回転させたようになる。
【0046】
つまり、変形例に係るハイブリッドヒータにおいては、本体部は横長の形状となり、管状ヒータは略水平方向に延設され、管状ヒータは本体部の上下方向略中央に配設される中央ヒータ、及び、本体部の高さ方向の中心よりも上方及び下方に並設された上方ヒータ及び下方ヒータによって構成される。
【0047】
そして反射板は、それぞれ上方ヒータ及び下方ヒータの後方に対応して配置される。上方ヒータ及び下方ヒータに対応して配置される反射板は、それぞれの管状ヒータを後方から覆うように、後方に向けて凸となるよう屈曲して形成され、本体部の上下方向中心側に位置する中心側反射板部と、本体部の上下方向端部側に位置する端部側反射板部とによって構成される。つまり、上方ヒータに対応する反射板の端部側反射板部は上方ヒータの上方に配置され、下方ヒータに対応する反射板の端部側反射板部は下方ヒータの下方に配置される。
【0048】
そして、スリット状開口は、本体部の上下方向端部側に位置する端部側反射板部に穿設される。このとき、それぞれのスリット状開口は鉛直方向に穿設されるとともに、複数のスリット状開口が水平方向に並設される。このとき、反射板は後方に向けて凸となるよう屈曲しているため、端部側反射板部は本体の上下方向中心側を向く。そのため、スリット状開口も本体の上下方向中心側を向くよう配設される。
【0049】
このようにすることで、端部側反射板部は本体の上下方向中心側を向いているため、送風機から供給される空気は、端部側反射板部に形成されたスリット状開口から本体部の上下方向中心側に向けて噴出することになる。そのため、噴出された空気がそのままの温度で本体から供給されることを防止し、管状ヒータで確実に加熱され、製品内部に滞留した熱も含め、温風となって本体前面から供給され、室内の空気を温めることができる。しかも、管状ヒータの配設方向が略水平方向であるため、幅広いスペースを暖房することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0051】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
この発明のハイブリッドヒータは、種々のヒータ部材で製造された電気ヒータを使用した暖房機に適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ハイブリッドヒータ
10 台座部
20 本体部
21 前面保護カバー
22 背面カバー
22a 膨出部
22b 吸引口
30 管状ヒータ
31 中央ヒータ
32 側方ヒータ
40 反射板
41 中心側反射板部
42 端部側反射板部
40s スリット状開口
50 送風機
60 区画壁
【要約】
【課題】空気の加熱効率を高め、広範囲にわたって効果的に暖房を行うことが可能なハイブリッドヒータを提供する。
【解決手段】本発明のハイブリッドヒータ1は、通電によって発熱するヒータ部材が封入され所定の方向に延設される管状ヒータ30と、管状ヒータ30から所定の距離隔てて後方に位置する反射板40と、反射板40に対して後方から空気を供給する送風機50と、管状ヒータ30、反射板40及び送風機50を収容する本体部20と、を備える。反射板40において管状ヒータ30の延設方向に交差する方向に穿設せしめたスリット状開口40sを備え、スリット状開口40sが管状ヒータ30の延設方向に沿って複数並設される。
【選択図】
図2