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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】駆動システム
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20231031BHJP
   B62K 19/38 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B62M6/45
B62K19/38
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2017244302
(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019108105
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2019-12-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田内 充
(72)【発明者】
【氏名】阿部 佑亮
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-112406(JP,A)
【文献】特開2015-112994(JP,A)
【文献】特開2008-44565(JP,A)
【文献】特開2015-98226(JP,A)
【文献】特表2012-517382(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050474(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/095028(WO,A1)
【文献】特開2017-36009(JP,A)
【文献】特開2016-20112(JP,A)
【文献】特開2003-104277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40-6/75
B62K19/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦によって車輪を制動するように構成される制動装置と、前記制動装置を操作するように構成される第1操作部とを含む人力駆動車両に用いられる駆動システムであって、
前記制動装置は、前記車輪のうち前輪を制動するように構成される第1制動装置と、前記車輪のうち後輪を制動するように構成される第2制動装置とを有し、
前記第1操作部は、前記第1制動装置を操作するように構成される第1制動装置操作部と、前記第2制動装置を操作するように構成される第2制動装置操作部とを有し、
前記人力駆動車両の推進をアシスト可能に構成される第1モータと、
磁力によって前記車輪を制動可能に構成される第2モータと、
前記第1モータおよび前記第2モータを制御する制御部と、
前記第2モータに前記車輪を制動させるために操作され、前記第1操作部と異なり、前記制動装置を操作するように構成されない第2操作部と、を含み、
前記制御部は、
前記制動装置が前記第1操作部によって操作されていない状態で、前記第2操作部が操作されると、前記車輪を制動させるように前記第2モータを制御し、
前記制動装置が前記第1操作部によって操作されている状態で、前記第2操作部が操作されると、前記車輪を制動させるように前記第2モータを制御し、
前記第2操作部の操作に応じて、前記車輪を制動させる制動力を変更するように前記第2モータを制御し、
前記第1モータおよび前記第2モータの一方は前記人力駆動車両のクランク軸の近傍に設けられ、前記第1モータおよび前記第2モータの他方は前記車輪に設けられる、駆動システム。
【請求項2】
前記制御部は、回生制動によって前記車輪を制動させるように前記第2モータを制御する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記車輪を制動させる制動力を複数段階に変更可能である、請求項1または2に記載の駆動システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記人力駆動車両の走行状態に応じて、前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項5】
前記制御部は、傾斜角度が所定角度よりも大きな下り坂を前記人力駆動車両が走行する場合、前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項4に記載の駆動システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記人力駆動車両の速度が所定速度よりも高い場合、前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項4または5に記載の駆動システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記人力駆動車両の加速度が所定加速度よりも高い場合、前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項4~6のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項8】
前記第1モータは、磁力によって前記車輪を制動可能に構成され、
前記制御部は、前記制動装置が前記第1操作部によって操作されていない状態で、前記車輪を制動させるように前記第1モータを制御する、請求項1に記載の駆動システム。
【請求項9】
前記制御部は、回生制動によって前記車輪を制動させるように前記第1モータおよび前記第2モータを制御する、請求項8に記載の駆動システム。
【請求項10】
前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させるために操作される第3操作部をさらに含む、請求項8または9に記載の駆動システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第3操作部の操作に応じて、前記車輪を制動させる制動力を変更するように前記第1モータおよび前記第2モータを制御する、請求項10に記載の駆動システム。
【請求項12】
前記制御部は、前記車輪を制動させる制動力を複数段階に変更可能である、請求項11に記載の駆動システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1モータによる前記車輪を制動させる制動力と、前記第2モータによる前記車輪を制動させる制動力とを異ならせるように、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する、請求項8~12のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記人力駆動車両の走行状態に応じて、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項8~13のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項15】
前記制御部は、傾斜角度が所定角度よりも大きな下り坂を前記人力駆動車両が走行する場合、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項14に記載の駆動システム。
【請求項16】
前記制御部は、前記人力駆動車両の速度が所定速度よりも高い場合、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項14または15に記載の駆動システム。
【請求項17】
前記制御部は、前記人力駆動車両の加速度が所定加速度よりも高い場合、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる、請求項14~16のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項18】
前記第2モータは、前記人力駆動車両の推進をアシスト可能に構成される、請求項1~17のいずれか一項に記載の駆動システム。
【請求項19】
前記車輪は、第1車輪および第2車輪を含み、
前記第1車輪および前記第2車輪の一方は、前輪として構成され、
前記第1車輪および前記第2車輪の他方は、後輪として構成され、
前記第1車輪および前記第2車輪の一方は、人力駆動力が入力される入力部と前記人力駆動力の伝達部によって機械的に結合され、
前記入力部は、前記クランク軸を含み、
前記伝達部は、前記クランク軸に結合され、
前記クランク軸の近傍に設けられる前記第1モータおよび前記第2モータの一方は、前記第1車輪および前記第2車輪の一方、前記入力部、および、前記伝達部の少なくとも1つにトルクを伝達可能に構成され、
前記第1モータおよび前記第2モータの他方は、前記第1車輪および前記第2車輪の他方を制動可能に構成される、請求項1~18のいずれか一項に記載の駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車両に用いられる駆動システムとして、例えば、特許文献1のものが知られている。特許文献1の駆動システムは、回生制動可能なモータを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5211181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、多様な駆動制御を実行できる駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う駆動システムは、摩擦によって車輪を制動するように構成される制動装置と、前記制動装置を操作するように構成される第1操作部とを含む人力駆動車両に用いられる駆動システムであって、前記人力駆動車両の推進をアシスト可能に構成される第1モータと、磁力によって前記車輪を制動可能に構成される第2モータと、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記制動装置が前記第1操作部によって操作されていない状態で、前記車輪を制動させるように前記第2モータを制御する。
上記第1側面に従えば、第1モータによって人力駆動車両の推進をアシストでき、かつ、第2モータによって車輪を制動できるため、多様な駆動制御を実行できる。また、制動装置が第1操作部によって操作されていない状態でも、第2モータによって車輪を制動できるため、さらに多様な駆動制御を実行できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、回生制動によって前記車輪を制動させるように前記第2モータを制御する。
上記第2側面に従えば、第2モータによって車輪を制動させる場合に、電力を発生させることができる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の駆動システムにおいて、前記第2モータに前記車輪を制動させるために操作される第2操作部をさらに含む。
上記第3側面に従えば、ライダは第2操作部によって第2モータによる車輪の制動を操作できる。
【0008】
前記第3側面に従う第4側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記第2操作部の操作に応じて、前記車輪を制動させる制動力を変更するように前記第2モータを制御する。
上記第4側面に従えば、ライダは第2操作部の操作に応じて第2モータに適切な制動力を発生させられる。
【0009】
前記第1~第4側面のいずれか1つに従う第5側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記車輪を制動させる制動力を複数段階に変更可能である。
上記第5側面に従えば、段階的に制動力を変更できる。
【0010】
前記第1~第5側面のいずれか1つに従う第6側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車両の走行状態に応じて、前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第6側面に従えば、第2モータによって人力駆動車両の走行状態に応じた制動が行える。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、傾斜角度が所定角度よりも大きな下り坂を前記人力駆動車両が走行する場合、前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第7側面に従えば、傾斜角度が所定角度よりも大きな下り坂において、第2モータによって人力駆動車両の速度を低下させたり、人力駆動車両の速度の増加を抑制したりすることができる。
【0012】
前記第6または第7側面に従う第8側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車両の速度が所定速度よりも高い場合、前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第8側面に従えば、人力駆動車両の速度が所定速度よりも高い場合に、第2モータによって人力駆動車両の速度を低下させたり、人力駆動車両の速度の増加を抑制したりすることができる。
【0013】
前記第6~第8側面のいずれか1つに従う第9側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車両の加速度が所定加速度よりも高い場合、前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第9側面に従えば、人力駆動車両の加速度が所定加速度よりも高い場合に、第2モータによって人力駆動車両の速度を低下させたり、人力駆動車両の速度の増加を抑制したりすることができる。
【0014】
前記第1側面に従う第10側面の駆動システムにおいて、前記第1モータは、磁力によって前記車輪を制動可能に構成され、前記制御部は、前記制動装置が前記第1操作部によって操作されていない状態で、前記車輪を制動させるように前記第1モータを制御する。
上記第10側面に従えば、制動装置が第1操作部によって操作されていない状態でも、第1モータによって車輪を制動できるため、さらに多様な駆動制御を実行できる。第1モータは、磁力によって車輪を制動可能に構成されているので、摩擦によって制動する場合と比較して、制動装置の消耗を抑制することができる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、回生制動によって前記車輪を制動させるように前記第1モータおよび前記第2モータを制御する。
上記第11側面に従えば、第1モータおよび第2モータによって車輪を制動させる場合に、電力を発生させることができる。
【0016】
前記第10または第11側面に従う第12側面の駆動システムにおいて、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させるために操作される第3操作部をさらに含む。
上記第12側面に従えば、ライダは第3操作部の操作に応じて第1モータおよび第2モータのそれぞれに適切な制動力を発生させられる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記第3操作部の操作に応じて、前記車輪を制動させる制動力を変更するように前記第1モータおよび前記第2モータを制御する。
上記第13側面に従えば、ライダは第3操作部の操作に応じて第1モータおよび第2モータに適切な制動力を発生させられる。
【0018】
前記第13側面に従う第14側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記車輪を制動させる制動力を複数段階に変更可能である。
上記第14側面に従えば、段階的に制動力を変更できる。
【0019】
前記第10~第14側面のいずれか1つに従う第15側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記第1モータによる前記車輪を制動させる制動力と、前記第2モータによる前記車輪を制動させる制動力とを異ならせるように、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する。
上記第15側面に従えば、第1モータによる車輪を制動させる制動力と、第2モータによる車輪を制動させる制動力とを、それぞれについて適切なものにできる。
【0020】
前記第10~第15側面のいずれか1つに従う第16側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車両の走行状態に応じて、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第16側面に従えば、第1モータおよび第2モータによって人力駆動車両の走行状態に応じた制動が行える。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、傾斜角度が所定角度よりも大きな下り坂を前記人力駆動車両が走行する場合、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第17側面に従えば、傾斜角度が所定角度よりも大きな下り坂において、第1モータおよび第2モータによって人力駆動車両の速度を低下させたり、人力駆動車両の速度の増加を抑制したりすることができる。
【0022】
前記第16または第17側面に従う第18側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車両の速度が所定速度よりも高い場合、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第18側面に従えば、人力駆動車両の速度が所定速度よりも高い場合に、第1モータおよび第2モータによって人力駆動車両の速度を低下させたり、人力駆動車両の速度の増加を抑制したりすることができる。
【0023】
前記第16~第18側面のいずれか1つに従う第19側面の駆動システムにおいて、前記制御部は、前記人力駆動車両の加速度が所定加速度よりも高い場合、前記第1モータおよび前記第2モータに前記車輪を制動させる。
上記第19側面に従えば、人力駆動車両の加速度が所定加速度よりも高い場合に、第1モータおよび第2モータによって人力駆動車両の速度を低下させたり、人力駆動車両の速度の増加を抑制したりすることができる。
【0024】
前記第1~第19側面のいずれか1つに従う第20側面の駆動システムにおいて、前記第2モータは、前記人力駆動車両の推進をアシスト可能に構成される。
上記第20側面に従えば、第2モータによって人力駆動車両の推進をアシストできるため、さらにより多様な駆動制御を実行できる。
【0025】
前記第1~第20側面のいずれか1つに従う第21側面の駆動システムにおいて、前記車輪は、第1車輪および第2車輪を含み、前記第1車輪および前記第2車輪の一方は、人力駆動力が入力される入力部と前記人力駆動力の伝達部によって機械的に結合され、前記第1モータおよび前記第2モータの一方は、前記第1車輪、前記入力部、および、前記伝達部の少なくとも1つにトルクを伝達可能に構成され、前記第1モータおよび前記第2モータの他方は、前記第2車輪を制動可能に構成される。
上記第21側面に従えば、第1モータと第2モータとが制動する車輪を異ならせることができるため、さらにより多様な駆動制御を実行できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のる駆動システムは、多様な駆動制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態の駆動システムを含む人力駆動車両の側面図。
図2図1の人力駆動車両に含まれる制動装置および第1操作部の平面図。
図3】第1実施形態の駆動システムの電気的な構成を示すブロック図。
図4図3の制御部によって実行される第1モータを制動させる第1の処理のフローチャート。
図5図3の制御部によって実行される第1モータを制動させる第2の処理のフローチャート。
図6図3の制御部によって実行される第1モータを制動させる第3の処理のフローチャート。
図7図3の制御部によって実行される第1モータを制動させる第4の処理のフローチャート。
図8】第2実施形態の駆動システムの電気的な構成を示すブロック図。
図9図8の制御部によって実行される第1モータを制動させる第1の処理のフローチャート。
図10図8の制御部によって実行される第1モータを制動させる第2の処理のフローチャート。
図11図8の制御部によって実行される第1モータを制動させる第3の処理のフローチャート。
図12図8の制御部によって実行される第1モータを制動させる第4の処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
図1図7を参照して、第1実施形態の駆動システム40について説明する。駆動システム40は、人力駆動車両10に設けられる。人力駆動車両10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車両10は、例えば、自転車を含む。人力駆動車両10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。自転車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントを含む。以下、実施の形態において、人力駆動車両10を、自転車として説明する。
【0029】
図1に示す人力駆動車両10は、制動装置12(図2参照)と、第1操作部14とを含む。人力駆動車両10は、フレーム16と、人力駆動力が入力される入力部18と、人力駆動力の伝達部20と、車輪22とをさらに含む。
【0030】
車輪22は、第1車輪24および第2車輪26を含む。第1車輪24および第2車輪26の一方は、入力部18と伝達部20によって機械的に結合される。入力部18と伝達部20によって機械的に結合される第1車輪24および第2車輪26の一方は、駆動輪として構成される。第1車輪24および第2車輪26の一方は、前輪として構成され、第1車輪24および第2車輪26の他方は、後輪として構成される。フレーム16には、フロントフォーク16Aを介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク16Aには、ハンドルバー16Bがステム16Cを介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪として説明するが、前輪が駆動輪であってもよい。
【0031】
伝達部20は、第1回転体28を含む。入力部18には、人力駆動力が入力される。入力部18は、クランクを含む。入力部18は、フレーム16に対して回転可能なクランク軸18Aと、クランク軸18Aの軸方向の両端部にそれぞれ設けられるクランクアーム18Bとを含む。各クランクアーム18Bには、ペダル30が連結される。駆動輪は、入力部18が回転することによって駆動される。駆動輪は、フレーム16に支持される。入力部18と駆動輪とは、伝達部20によって連結される。伝達部20は、クランク軸18Aに結合される第1回転体28を含む。クランク軸18Aと第1回転体28とは、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、入力部18が前転した場合に、第1回転体28を前転させ、入力部18が後転した場合に、第1回転体28を後転させないように構成される。第1回転体28は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。伝達部20は、連結部材32と、第2回転体34とをさらに含む。連結部材32は、第1回転体28の回転力を第2回転体34に伝達する。連結部材32は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0032】
第2回転体34は、駆動輪に連結される。第2回転体34は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体34と駆動輪との間には、第2ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体34が前転した場合に、駆動輪を前転させ、第2回転体34が後転した場合に、駆動輪を後転させないように構成される。
【0033】
図2に示す制動装置12は、摩擦によって車輪22を制動するように構成される。図2の制動装置12は、ディスクブレーキであるが、制動装置12は、リムブレーキ、ドラムブレーキ、および、ローラブレーキ等であってもよい。制動装置12は、電動式の制動装置であってもよい。制動装置12は、第1車輪24および第2車輪26の少なくとも一方に設けられる。
【0034】
制動装置12は、摩擦部材12Aを含む。制動装置12は、車輪22と一体回転可能に車輪22に設けられるディスクブレーキロータ12Bに摩擦部材12Aを接触させることによって車輪22を制動する。制動装置12がリムブレーキである場合には、制動装置12は、車輪22のリムに摩擦部材12Aを接触させることによって車輪22を制動する。摩擦部材12Aは、ブレーキパットまたはブレーキシューを含んで構成される。
【0035】
第1操作部14は、制動装置12を操作するように構成される。第1操作部14は、人力駆動車両10のハンドルバー16Bに取り付けられる。第1操作部14は、ベース部14Aおよびブレーキレバー14Bを含む。ブレーキレバー14Bは、ベース部14Aに対して揺動可能に、ベース部14Aに取り付けられている。ブレーキレバー14Bは、ボーデンケーブルを介して制動装置12を制御する構成であってもよく、ブレーキホースを介して油圧によって制動装置12を制御する構成であってもよい。ブレーキレバー14Bが、油圧によって制動装置12を制御する場合、ベース部14Aに油圧ピストンが設けられることが好ましい。例えば、第1操作部14がハンドルバー16Bの一端部および他端部にそれぞれ設けられている場合、2つのブレーキレバー14Bのうち一方のブレーキレバー14Bによって前輪の制動装置12が操作され、他方のブレーキレバー14Bによって後輪の制動装置12が操作される。
【0036】
図3に示す駆動システム40は、人力駆動車両10に用いられる。駆動システム40は、第1モータ42と、第2モータ44と、制御部46と、を含む。駆動システム40は、第2操作部48、バッテリ50、第1モータ42の駆動回路52、第2モータ44の駆動回路54、記憶部56、クランク回転センサ58、車速センサ60、トルクセンサ62、および、傾斜検出部64をさらに含む。
【0037】
第1モータ42および駆動回路52は、同一のハウジングに設けられることが好ましい。駆動回路52は、バッテリ50から第1モータ42に供給される電力を制御する。駆動回路52は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路52は、例えばシリアル通信によって制御部46と通信可能である。駆動回路52は、制御部46からの制御信号に応じて第1モータ42を駆動させる。駆動回路52は、制御部46に含まれていてもよい。第1モータ42は、人力駆動車両10の推進をアシスト可能に構成される。第1モータ42は、電気モータを含む。第1モータ42および駆動回路52が設けられるハウジングには、第1モータ42および駆動回路52以外の構成が設けられてもよく、例えば第1モータ42の回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。
【0038】
第2モータ44および駆動回路54は、同一のハウジングに設けられることが好ましい。駆動回路54は、バッテリ50から第2モータ44に供給される電力を制御する。駆動回路54は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路54は、例えばシリアル通信によって制御部46と通信可能である。駆動回路54は、制御部46からの制御信号に応じて第2モータ44を駆動させる。駆動回路54は、制御部46に含まれていてもよい。第2モータ44は、磁力によって車輪22を制動可能に構成される。第2モータ44は、回生制動可能に構成される。第2モータ44は、人力駆動車両10の推進をアシスト可能に構成される。第2モータ44は、電気モータを含む。第2モータ44および駆動回路54が設けられるハウジングには、第2モータ44および駆動回路54以外の構成が設けられてもよく、例えば第2モータ44の回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。一例では、第2モータ44は、回生制動によって発生した電力を、バッテリ50に供給可能に構成される。別の例では、第2モータ44は、回生制動によって発生した電力を人力駆動車両10に設けられる電機機器に供給可能に構成されてもよい。電気機器は、例えば、ランプを含む。
【0039】
第1モータ42および第2モータ44の一方は、第1車輪24、入力部18、および、伝達部20の少なくとも1つにトルクを伝達可能に構成される。第1モータ42および第2モータ44の他方は、第2車輪26を制動可能に構成される。図1に示す例では、第1モータ42は、第1車輪24、入力部18、および、伝達部20の少なくとも1つにトルクを伝達可能に構成され、第2モータ44は、第2車輪26を制動可能に構成される。一例では、第1モータ42は、クランク軸18Aの近傍に設けられ、第1モータ42の出力部は、クランク軸18Aから第1回転体28までの動力伝達経路に結合される。この場合、後輪が前転すると、第1モータ42が回転するように、人力駆動車両10は、第2モータ44の入力部から後輪までの間には、ワンウェイクラッチを設けないように構成される。第2モータ44は、人力駆動車両10の前輪に設けられる。
【0040】
第1モータ42は、クランク軸18Aの近傍に設けられ、第2モータ44は、人力駆動車両10の後輪に設けられてもよい。第1モータ42は、前輪に設けられ、第2モータ44は、クランク軸18Aの近傍に設けられてもよい。第2モータ44が、クランク軸18Aの近傍に設けられる場合、第2モータ44の入力部は、クランク軸18Aから第1回転体28までの動力伝達経路に結合される。この場合、後輪が前転すると、第2モータ44が回転するように、人力駆動車両10は、第2モータ44の入力部から後輪までの間にワンウェイクラッチを設けないように構成される。第1モータ42は、後輪に設けられ、第2モータ44は、クランク軸18Aの近傍に設けられてもよい。第1モータ42は、前輪に設けられ、第2モータ44は、後輪に設けられてもよい。第1モータ42は、後輪に設けられ、第2モータ44は、前輪に設けられてもよい。車輪22に第1モータ42または第2モータ44が設けられる場合、車輪22のハブが、いわゆるハブモータによって構成される。表1は、第1モータ42の配置場所と第2モータ44の配置場所との組合せの例を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
第2操作部48は、第2モータ44に車輪22を制動させるために操作される。第2操作部48は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。第2操作部48は、例えばPLC(power line communication)によって制御部46と通信可能である。第2操作部48は、それぞれ例えば操作部材と、操作部材の動きを検出するセンサと、センサの出力信号に応じて、制御部46と通信を行う電気回路とを含む。ユーザによって操作部材が操作されることによって、第2操作部48は、制御部46に出力信号を送信する。操作部材およびその動きを検出するセンサは、プッシュスイッチ、レバー式スイッチ、または、タッチパネルを含んで構成される。
【0043】
バッテリ50は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ50は、人力駆動車両10に設けられ、バッテリ50と有線で電気的に接続されている他の電機部品、例えば、第1モータ42、第2モータ44、および、制御部46に電力を供給可能に構成される。バッテリ50は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。バッテリ50は、例えばPLCによって制御部46と通信可能である。バッテリ50は、フレーム16に設けられる。バッテリ50は、フレーム16の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム16の内部に収容されてもよい。
【0044】
クランク回転センサ58は、入力部18の回転速度を検出する。クランク回転センサ58は、人力駆動車両10のフレーム16、第1モータ42が設けられるハウジング、または、第2モータ44が設けられるハウジングに取り付けられる。クランク回転センサ58は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸18Aまたはクランク軸18Aから第1回転体28までの間の動力伝達経路に設ける。クランク回転センサ58は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。クランク回転センサ58は、入力部18の回転速度に応じた信号を制御部46に出力する。
【0045】
クランク回転センサ58は、クランク軸18Aから第1回転体28までの人力駆動力の伝達経路において、クランク軸18Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、クランク回転センサ58は、クランク軸18Aと第1回転体28との間にワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体28に設けられてもよい。
【0046】
車速センサ60は、車輪22の回転速度を検出する。車速センサ60は、有線または無線によって制御部46と電気的に接続されている。車速センサ60は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。車速センサ60は、車輪22の回転速度に応じた信号を制御部46に出力する。制御部46は、車輪22の回転速度に基づいて人力駆動車両10の速度Vを演算する。制御部46は、速度Vが所定値以上になると、第1モータ42および第2モータ44による人力駆動車両10の推進のアシストを停止する。所定値は、例えば時速25Km、または、時速45Kmである。車速センサ60は、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含むことが好ましい。車速センサ60は、フレーム16のチェーンステイに取り付けられ、後輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォークに設けられ、前輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。
【0047】
トルクセンサ62は、クランク軸18Aから第1回転体28の間の動力伝達経路に設けられることが好ましい。第1モータ42の出力が、クランク軸18Aから第1回転体28までの動力伝達経路に結合される場合には、トルクセンサ62は、例えば、第1モータ42が設けられるハウジングに設けられる。トルクセンサ62は、入力部18に入力される人力駆動力TAを検出する。トルクセンサ62は、例えば、動力伝達経路のうちの第1ワンウェイクラッチよりも上流側に設けられる。トルクセンサ62は、歪センサまたは磁歪センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ62が歪センサを含む場合、歪センサは、動力伝達経路に含まれる回転体の外周部に設けられる。トルクセンサ62は、無線または有線の通信部を含んでいてもよい。トルクセンサ62の通信部は、制御部46と通信可能に構成される。
【0048】
傾斜検出部64は、人力駆動車両10の走行する路面の傾斜角度Dを検出する。傾斜検出部64は、一例では、傾斜センサを含む。傾斜センサの一例は、ジャイロセンサである。別の例では、傾斜検出部64は、GPS(Global positioning system)受信部を含む。制御部46は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、予め記憶部56に記録されている地図情報に含まれる路面勾配とに応じて人力駆動車両10の走行する路面の傾斜角度Dを演算する。
【0049】
制御部46は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部46は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。記憶部56には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部56は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。制御部46および記憶部56は、例えば第1モータ42が設けられるハウジング、または、第2モータ44が設けられるハウジングに設けられることが好ましい。
【0050】
制御部46は、第1モータ42および第2モータ44を制御する。制御部46は、第1モータ42および第2モータ44を、人力駆動車両10に入力される人力駆動力TAに応じて制御する。制御部46は、互いに離れた位置に配置される制御回路を含んでいてもよい。例えば制御部46の一部の制御回路は、第1モータ42および第2モータ44の一方が設けられるハウジングに設けられ、制御部46の他の一部の制御回路は第1モータ42および第2モータ44の他方が設けられるハウジングに設けられてもよく、第2操作部48に設けられてもよい。制御部46は、人力駆動力TAに対して、第1モータ42および第2モータ44の出力特性が異なる複数の制御状態を切り替え可能に構成される。
【0051】
制御部46は、制動装置12が第1操作部14によって操作されていない状態で、車輪22を制動させるように第2モータ44を制御する。制御部46は、回生制動によって車輪22を制動させるように第2モータ44を制御する。制御部46は、第2操作部48の操作に応じて、車輪22を制動させるように第2モータ44を制御するように構成される。
【0052】
制御部46は、人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させるように構成されていてもよい。人力駆動車両10の走行状態は、人力駆動車両10の傾斜角度D、人力駆動車両10の速度V、および、人力駆動車両10の加速度Gの少なくとも1つを含む。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、制御部46は、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を人力駆動車両10が走行する場合、第2モータ44に車輪22を制動させるようにしてもよい。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、制御部46は、人力駆動車両10の速度Vが所定速度VXよりも高い場合、第2モータ44に車輪22を制動させるようにしてもよい。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、制御部46は、人力駆動車両10の加速度Gが所定加速度GXよりも高い場合、第2モータ44に車輪22を制動させるようにしてもよい。制御部46は、クランク回転センサ58によって検出されるクランクの回転速度、車速センサ60によって検出される速度V、および、傾斜検出部64に含まれる加速度センサの少なくとも1つに応じて、人力駆動車両10の加速度Gを演算するようにしてもよい。
【0053】
図4を参照して、第2操作部48の操作に応じて車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS11からの処理を実行する。
【0054】
制御部46は、ステップS11において、第2操作部48が操作されたか否かを判定する。制御部46は、第2操作部48が操作されていないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、第2操作部48が操作されたと判定した場合、ステップS12に移行する。制御部46は、ステップS12において、第2モータ44に車輪22を制動させて、ステップS13に移行する。具体的には、ステップS12において、制御部46は、所定の制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動をさせる。
【0055】
制御部46は、ステップS13において、第2操作部48が操作されたか否かを判定する。制御部46は、第2操作部48が操作されていないと判定すると、ステップS12に移行して、第2モータ44による車輪22の制動を維持する。制御部46は、ステップS13において、第2操作部48が操作されたと判定すると、ステップS14に移行する。制御部46は、ステップS14において、第2モータ44による車輪22の制動を停止して、処理を終了する。ステップS13の処理は、第2操作部48への操作が行われていないかの判定に変更することもできる。この場合、例えば、ライダが第2操作部48を操作し続ける限り、第2モータ44による車輪22の制動が維持され、ライダが第2操作部48の操作を止めると、第2モータ44による車輪22の制動が停止される。
【0056】
図5を参照して、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を人力駆動車両10が走行する場合に車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS21からの処理を実行する。
【0057】
制御部46は、ステップS21において、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を走行しているか否かを判定する。制御部46は、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を走行していないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を走行していると判定するとステップS22に移行する。制御部46は、ステップS22において、第2モータ44に車輪22を制動させて処理を終了する。具体的には、制御部46は、所定の制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動させる。
【0058】
図6を参照して、人力駆動車両10の速度Vが所定速度VXよりも高い場合に車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS31からの処理を実行する。
【0059】
制御部46は、ステップS31において、速度Vが所定速度VXよりも高いか否かを判定する。制御部46は、速度Vが所定速度VXよりも高くないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、速度Vが所定速度VXよりも高いと判定するとステップS32に移行する。制御部46は、ステップS32において、第2モータ44に車輪22を制動させて処理を終了する。具体的には、制御部46は、所定の制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動させる。
【0060】
図7を参照して、人力駆動車両10の加速度Gが所定加速度GXよりも高い場合に車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図7に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS41からの処理を実行する。
【0061】
制御部46は、ステップS41において、加速度Gが所定加速度GXよりも高いか否かを判定する。制御部46は、加速度Gが所定加速度GXよりも高くないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、加速度Gが所定加速度GXよりも高いと判定するとステップS42に移行する。制御部46は、ステップS42において、第2モータ44に車輪22を制動させて処理を終了する。具体的には、制御部46は、所定の制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動させる。
【0062】
駆動システム40は、制御部46の制御状態を選択するための選択スイッチを有していてもよい。選択スイッチは、制御部46と無線または有線によって電気的に接続されるように構成される。制御部46は、図4図5図6、および、図7に示す4つの制御状態のうちいずれか1つまたは複数を、モード選択スイッチによって選択可能に構成されてもよい。制御部46は、図4図5図6、および、図7に示す4つの制御状態のうちの複数の制御状態を実行する場合、第2モータ44による制動力BXは、例えば、複数の制御状態のうちで最も大きな制動力BXを採用してもよい。制御部46は、例えば、図4および図5の制御状態を実行し、かつ、第2操作部48の操作による制動条件および傾斜角度Dによる制動条件の両方が成立し、かつ、第2操作部48が操作されることによって発生させる制動力BXよりも傾斜角度Dに応じて発生させる制動力BXが小さい場合、第2操作部48の操作のみに応じて第2モータ44に回生制動させることができる。この場合、制御部46は、傾斜角度Dに応じて発生させる制動力BXが第2操作部48を操作することによって発生させる制動力BX以上になると、傾斜角度Dのみに応じて第2モータ44に回生制動させることができる。制御部46は、図4図5図6、および、図7に示す4つの制御状態のうちの複数の制御状態を実行する場合、第2モータ44による制動力BXは、例えば、複数の制御状態のそれぞれで発生すべき制動力BXを加算した制動力BXを発生させてもよい。
【0063】
(第2実施形態)
図8図12を参照して、第2実施形態の駆動システム40について説明する。第2実施形態の駆動システム40は、第2モータ44に加えて第1モータ42にも車輪22を制動させる点以外は、第1実施形態の駆動システム40と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
第1モータ42は、磁力によって車輪22を制動可能に構成される。第1モータ42は、回生制動可能に構成される。一例では、第1モータ42は、回生制動によって発生した電力を、バッテリ50に供給可能に構成される。別の例では、第1モータ42は、回生制動によって発生した電力を人力駆動車両10に設けられる電機機器に供給可能に構成されてもよい。電気機器は、例えば、ランプを含む。第1モータ42と第2モータ44とは、回生制動によって発生した電力を、互いに異なる電気機器に供給可能に構成されていてもよい。
【0065】
駆動システム40は、第3操作部66をさらに含む。第3操作部66は、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させるために操作される。第3操作部66は、制御部46と有線または無線によって通信可能に接続されている。第3操作部66は、例えばPLCによって制御部46と通信可能である。第3操作部66は、それぞれ例えば操作部材と、操作部材の動きを検出するセンサと、センサの出力信号に応じて、制御部46と通信を行う電気回路とを含む。ユーザによって操作部材が操作されることによって、第3操作部66は、制御部46に出力信号を送信する。操作部材およびその動きを検出するセンサは、プッシュスイッチ、レバー式スイッチ、または、タッチパネルを含んで構成される。
【0066】
制御部46は、制動装置12が第1操作部14によって操作されていない状態で、車輪22を制動させるように第1モータ42を制御するように構成される。制御部46は、回生制動によって車輪22を制動させるように第1モータ42および第2モータ44を制御する。制御部46は、第3操作部66の操作に応じて、車輪22を制動させるように第1モータ42および第2モータ44を制御するように構成される。
【0067】
制御部46は、第1モータ42による車輪22を制動させる制動力CXと、第2モータ44による車輪22を制動させる制動力BXとを異ならせるように、第1モータ42および第2モータ44を制御する。例えば、第1モータ42および第2モータ44の一方がクランク軸18Aの近傍または後輪に設けられ、第1モータ42および第2モータ44の他方が前輪に設けられる場合、制御部46は、前輪の制動力が、後輪の制動力よりも大きくなるように第1モータ42および第2モータ44を制御してもよい。また、第1モータ42および第2モータ44の一方がクランク軸18Aの近傍または後輪に設けられ、第1モータ42および第2モータ44の他方が前輪に設けられる場合、制御部46は、前輪の制動力が、後輪の制動力よりも小さくなるように第1モータ42および第2モータ44を制御してもよい。第3操作部66の操作に応じて、車輪22を制動させる制動力を変更する場合、記憶部56は、第1モータ42による制動力BXと第2モータ44による制動力CXとを規定した情報を記憶することが好ましい。第1モータ42による制動力BXと第2モータ44による制動力CXとを規定した情報は、外部装置によって変更可能に構成されることが好ましい。例えば、第1モータ42による制動力BXと第2モータ44による制動力CXとの比率を、外部装置によって変更してもよい。記憶部56は、駆動システム40に外部装置を電気的に接続して、外部装置と制御部46とが通信するか、外部装置が記憶部56にアクセスすることによって、第1モータ42による制動力BXと第2モータ44による制動力CXとの比率を変更することができるように構成されることが好ましい。外部装置は、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータ等を含む。外部装置は、無線または有線を介して、制御部46および記憶部56の少なくとも一方と接続可能に構成される。駆動システム40は、制御部46および記憶部56の少なくとも一方に接続される。制御部46は、例えば、インタフェース部を含む。インタエース部は、外部装置と通信するための電気ケーブルを接続するケーブル接続部、外部装置と通信するための無線通信部の少なくとも一方を含む。
【0068】
制御部46は、人力駆動車両10の走行状態に応じて、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させるように構成されていてもよい。人力駆動車両10の走行状態は、人力駆動車両10の傾斜角度D、人力駆動車両10の速度V、および、人力駆動車両10の加速度Gの少なくとも1つを含む。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、制御部46は、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を人力駆動車両10が走行する場合、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させるようにしてもよい。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、制御部46は、人力駆動車両10の速度Vが所定速度VXよりも高い場合、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させるようにしてもよい。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、制御部46は、人力駆動車両10の加速度Gが所定加速度GXよりも高い場合、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させるようにしてもよい。
【0069】
図9を参照して、第2操作部48の操作に応じて車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図9に示すフローチャートのステップS51に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS51からの処理を実行する。
【0070】
制御部46は、ステップS51において、第3操作部66が操作されたか否かを判定する。制御部46は、第3操作部66が操作されていないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、第3操作部66が操作されたと判定した場合、ステップS52に移行する。制御部46は、ステップS52において、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させて、ステップS53に移行する。具体的には、ステップS53において、制御部46は、所定の制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動をさせる。
【0071】
制御部46は、ステップS53において、第3操作部66が操作されたか否かを判定する。制御部46は、第3操作部66が操作されていないと判定すると、ステップS52に移行して、第1モータ42および第2モータ44による車輪22の制動を維持する。制御部46は、ステップS53において、第3操作部66が操作されたと判定すると、ステップS54に移行する。制御部46は、ステップS54において、第1モータ42および第2モータ44による車輪22の制動を停止して、処理を終了する。ステップS53の処理は、第3操作部66への操作が行われていないかの判定に変更することもできる。この場合、例えば、ライダが第3操作部66を操作し続ける限り、第1モータ42および第2モータ44による車輪22の制動が維持され、ライダが第3操作部66の操作を止めると、第1モータ42および第2モータ44による車輪22の制動が停止される。
【0072】
図10を参照して、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を人力駆動車両10が走行する場合に車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図10に示すフローチャートのステップS61に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS61からの処理を実行する。
【0073】
制御部46は、ステップS61において、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を走行しているか否かを判定する。制御部46は、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を走行していないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、傾斜角度Dが所定角度DXよりも大きな下り坂を走行していると判定するとステップS62に移行する。制御部46は、ステップS62において、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させて処理を終了する。具体的には、制御部46は、所定の制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。
【0074】
図11を参照して、人力駆動車両10の速度Vが所定速度VXよりも高い場合に車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図11に示すフローチャートのステップS71に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS71からの処理を実行する。
【0075】
制御部46は、ステップS71において、速度Vが所定速度VXよりも高いか否かを判定する。制御部46は、速度Vが所定速度VXよりも高くないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、速度Vが所定速度VXよりも高いと判定するとステップS72に移行する。制御部46は、ステップS72において、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させて処理を終了する。具体的には、制御部46は、所定の制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。
【0076】
図12を参照して、人力駆動車両10の加速度Gが所定加速度GXよりも高い場合に車輪22を制動する処理について説明する。制御部46は、制御部46にバッテリ50から電力が供給されると、処理を開始して図12に示すフローチャートのステップS81に移行する。制御部46は、電力が供給されている限り、所定周期ごとにステップS81からの処理を実行する。
【0077】
制御部46は、ステップS81において、加速度Gが所定加速度GXよりも高いか否かを判定する。制御部46は、加速度Gが所定加速度GXよりも高くないと判定すると、処理を終了する。制御部46は、加速度Gが所定加速度GXよりも高いと判定するとステップS82に移行する。制御部46は、ステップS42において、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させて処理を終了する。具体的には、制御部46は、所定の制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。
【0078】
第2実施形態の駆動システム40は、制御部46の制御状態を選択するための選択スイッチを有していてもよい。選択スイッチは、制御部46と無線または有線によって電気的に接続されるように構成される。制御部46は、図9図10図11、および、図12に示す4つの制御情報のうちいずれか1つまたは複数を、モード選択スイッチによって選択可能に構成されてもよい。制御部46は、図9図10図11、および、図12に示す4つの制御状態のうちの複数の制御状態を実行する場合、第1モータ42および第2モータ44による制動力CX,BXは、例えば、複数の制御状態のうちで最も大きな制動力CX,BXを採用してもよい。制御部46は、例えば、図9および図10の制御状態を実行し、かつ、第3操作部66の操作による制動条件および傾斜角度Dによる制動条件の両方が成立し、かつ、第3操作部66が操作されることによって発生させる制動力CX,BXよりも、傾斜角度Dに応じて発生させる制動力CX,BXが小さい場合、第3操作部66の操作のみに応じて第1モータ42および第2モータ44に回生制動させることができる。この場合、制御部46は、傾斜角度Dに応じて発生する制動力が第3操作部66を操作することによって発生する制動力以上になると、傾斜角度Dのみに応じて第1モータ42および第2モータ44に回生制動させることができる。制御部46は、図9図10図11、および、図12に示す4つの制御状態のうちの複数の制御状態を実行する場合、複数の制御状態のそれぞれで発生すべき制動力CX,BXを加算した制動力CX,BXを発生させてもよい。
【0079】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う駆動システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う駆動システムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
・第1実施形態およびその変形例において、制御部46は、人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる制動力BXの大きさを変更させてもよい。制御部46は、例えば、図5に示す制御状態のステップS22の処理において、傾斜角度Dに応じた制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動させる。一例では、制御部46は、傾斜角度Dが大きくなるほど、制動力BXが大きくなるように第2モータ44に回生制動させる。制御部46は、例えば、図6に示す制御状態のステップS32の処理において、速度Vに応じた制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動させる。一例では、制御部46は、速度Vが大きくなるほど、制動力BXが大きくなるように第2モータ44に回生制動させる。制御部46は、例えば、図7に示す制御状態のステップS42の処理において、加速度Gに応じた制動力BXが発生するように第2モータ44に回生制動させる。一例では、制御部46は、加速度Gが大きくなるほど、制動力BXが大きくなるように第2モータ44に回生制動させる。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、記憶部56は、人力駆動車両10の走行状態と、第2モータ44による制動力BXと、の関係を規定した情報を記憶することが好ましい。人力駆動車両10の走行状態と、第2モータ44による制動力BXとの関係を規定した情報は、例えば、第2実施形態と同様の構成の外部装置によって変更することができることが好ましい。
【0081】
・第1実施形態およびその変形例において、制御部46は、第2操作部48の操作に応じて、車輪22を制動させる制動力BXの大きさを変更するように第2モータ44を制御してもよい。例えば、制御部46は、第2操作部48の操作回数に応じて、制動力BXを変更する構成としてもよい。この場合、第2操作部48は、制動力BXを大きくするための第1操作部分と、制動力を小さくするための第2操作部分とを含むことが好ましい。制御部46は、例えば、第2操作部48の第1操作部分の操作回数が多くなるほど、制動力BXを大きくする。制御部46は、例えば、第2操作部48の第2操作部分の操作回数が多くなるほど、制動力BXを小さくするか、または第2操作部48の第2操作部分が操作されると第2モータ44による制動を解除する。第2操作部48の操作に応じて、車輪22を制動させる制動力BXを変更する場合、記憶部56は、第2操作部48の操作回数と、第2モータ44による制動力BXと、の関係を規定した情報を変更可能に記憶することが好ましい。第2操作部48の操作回数と、第2モータ44による制動力BXとの関係を規定した情報は、第2実施形態と同様の構成の外部装置によって変更することができることが好ましい。
【0082】
・第1実施形態およびその変形例において、所定のパラメータに応じて制動力BXを変更する場合、制御部46は、車輪22を制動させる制動力BXを複数段階に変更可能に構成されてもよい。所定のパラメータは、第2操作部48の操作回数および人力駆動車両10の走行状態の少なくとも一方を含む。
【0083】
・第2実施形態およびその変形例において、制御部46は、人力駆動車両10の走行状態に応じて、第1モータ42および第2モータ44に車輪22を制動させる制動力CX,BXの大きさを変更させてもよい。制御部46は、例えば、図10に示す制御状態のステップS62の処理において、傾斜角度Dに応じた制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。一例では、制御部46は、傾斜角度Dが大きくなるほど、制動力CX,BXが大きくなるように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。制御部46は、例えば、図11に示す制御状態のステップS72の処理において、速度Vに応じた制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。一例では、制御部46は、速度Vが大きくなるほど、制動力CX,BXが大きくなるように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。制御部46は、例えば、図12に示す制御状態のステップS82の処理において、加速度Gに応じた制動力CX,BXが発生するように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。一例では、制御部46は、加速度Gが大きくなるほど、制動力CX,BXが大きくなるように第1モータ42および第2モータ44に回生制動させる。人力駆動車両10の走行状態に応じて、第2モータ44に車輪22を制動させる場合、記憶部56は、人力駆動車両10の走行状態と、第1モータ42および第2モータ44による制動力CX,BXと、の関係を規定した情報を記憶することが好ましい。人力駆動車両10の走行状態と、第1モータ42および第2モータ44による制動力CX,BXとの関係を規定した情報は、例えば、第2実施形態と同様の構成の外部装置によって変更することができることが好ましい。
【0084】
・第2実施形態およびその変形例において、制御部46は、第3操作部66の操作に応じて、車輪22を制動させる制動力CX,BXを変更するように第1モータ42および第2モータ44を制御してもよい。例えば、制御部46は、第2操作部48の操作回数に応じて、制動力CX,BXを変更する構成としてもよい。この場合、第2操作部48は、制動力CX,BXを大きくするための第1操作部分と、制動力CX,BXを小さくするための第2操作部分とを含むことが好ましい。制御部46は、例えば、第3操作部66の第1操作部分の操作回数が多くなるほど、制動力CX,BXを大きくする。制御部46は、例えば、第3操作部66の第2操作部分の操作回数が多くなるほど、制動力CX,BXを小さくするか、または第3操作部66の第2操作部分が操作されると第1モータ42および第2モータ44による制動を解除する。第3操作部66の操作に応じて、車輪22を制動させる制動力CX,BXを変更する場合、記憶部56は、第3操作部66の操作回数と、第1モータ42および第2モータ44による制動力CX,BXと、の関係を規定した情報を変更可能に記憶することが好ましい。第3操作部66の操作回数と、第1モータ42および第2モータ44による制動力CX,BXとの関係を規定した情報は、第2実施形態と同様の構成の外部装置によって変更することができることが好ましい。
【0085】
・第2実施形態およびその変形例において、所定のパラメータに応じて制動力CX,BXを変更する場合、制御部46は、車輪22を制動させる制動力CX,BXを複数段階に変更可能に構成されてもよい。所定のパラメータは、第3操作部66の操作回数および人力駆動車両10の走行状態の少なくとも一方を含む。
【0086】
・第1実施形態において、第2モータ44は、人力駆動車両10の推進をアシストせず、車輪22の制動のみを行うように構成されていてもよい。
【0087】
・第2実施形態において、第3操作部66は、第1モータ42に車輪22を制動させるために操作される第1操作部材と、第2モータ44に車輪22を制動させるために操作される第2操作部材とを含むようにしてもよい。この場合、制御部46は、第1操作部材の操作回数に応じて第1モータ42の制動力CXを変更し、制御部46は、第2操作部材の操作回数に応じて第2モータ44の制動力BXを変更する。
【0088】
・第2実施形態において、第3操作部66が操作された場合に、制御部46は、第3操作部66の操作回数に応じて、第1状態と、第2状態と、第3状態と、第1モータ42および第2モータ44の両方に車輪22を制動させいない状態と、を切り替えるように構成されてもよい。制御部46は、第1状態では、第1モータ42および第2モータ44の一方に車輪22を制動させる。制御部46は、第2状態では、第1モータ42および第2モータ44の他方に車輪22を制動させる。制御部46は、第3状態では、第1モータ42および第2モータ44の両方に車輪22を制動させる。この場合、第1状態、第2状態、および、第3状態のいずれか1つを省略することもできる。
【0089】
・第1実施形態およびその変形例において、第2モータ44は、車輪22を制動する場合に、回生を行わないようにしてもよい。この場合、駆動システム40は、第2モータ44で発電した電気を熱エネルギに変換する変換器を含むことが好ましい。第2実施形態およびその変形例において、第1モータ42および第2モータ44の少なくとも一方は、車輪22を制動する場合に、回生を行わないようにしてもよい。この場合、駆動システム40は、第1モータ42および第2モータ44で発電した電気を熱エネルギに変換する変換器を含むことが好ましい。
【0090】
・各実施形態の変形例において、第2操作部48の操作回数を第2操作部48の操作量に置き換えることができ、また、第3操作部66の操作回数を第3操作部66の操作量に置き換えることができる。この場合、第2操作部48および第3操作部66は、操作レバーと、操作レバーの移動量を検出するセンサを含むことが好ましい。
【0091】
・各実施形態の変形例において、第2操作部48および第3操作部66は、異なる大きさの制動力CX,BXを発生させるための複数の操作スイッチを含んでいてもよい。各操作スイッチは、大きさが異なる制動力CX,BXに対応する。例えば、各操作スイッチは、第1操作スイッチ、第2操作スイッチ、および、第3操作スイッチを含む。第2操作部48の第1操作スイッチが操作された場合、制御部46は、第1の制動力BX1が発生するように、第1モータ42を回生制動させる。第2操作部48の第2操作スイッチが操作されると、制御部46は、第1の制動力BX1よりも大きな第2の制動力BX2が発生するように、第1モータ42を回生制動させる。第2操作部48の第3操作スイッチが操作されると、制御部46は、第2の制動力BX2よりも大きな第3の制動力BX3が発生するように、第1モータ42を回生制動させる。第3操作部66の第1操作スイッチが操作された場合、制御部46は、第1の制動力X1が発生するように、第1モータ42および第2モータ44の少なくとも一方を回生制動させる。第3操作部66の第2操作スイッチが操作されると、制御部46は、第1の制動力X1よりも大きな第2の制動力X2が発生するように、第1モータ42および第2モータ44の少なくとも一方を回生制動させる。第3操作部66の第3操作スイッチが操作されると、制御部46は、第2の制動力X2よりも大きな第3の制動力X3が発生するように、第1モータ42および第2モータ44の少なくとも一方を回生制動させる。第1の制動力X1は、第3操作部66の第1操作スイッチが操作された場合に発生する制動力BXおよび制動力CXの和と対応する。第2の制動力X2は、第3操作部66の第2操作スイッチが操作された場合に発生する制動力BXおよび制動力CXの和と対応する。第3の制動力X3は、第3操作部66の第3操作スイッチが操作された場合に発生する制動力BXおよび制動力CXの和と対応する。制御部46は、操作スイッチが操作される毎に、制動力CX,BXが発生する状態と、制動力CX,BXが発生しない状態とを切り換えるように構成されることが好ましい。各操作スイッチは、さらに第1モータ42および第2モータ44の回生制動を停止させるためのスイッチをさらに含んでいてもよい。
【0092】
・第1実施形態およびその変形例において、図4図5図6、および、図7に示す4つの制御状態のうちいずれか1つのみを実行し、他の制御状態を省略してもよい。図5に示す制御状態を省略する場合には、傾斜検出部64も省略することができる。
【0093】
・第2実施形態およびその変形例において、図9図10図11、および、図12に示す4つの制御状態のうちいずれか1つのみを実行し、他の制御状態を省略してもよい。図10に示す制御状態を省略する場合には、傾斜検出部64も省略することができる。
【符号の説明】
【0094】
10…人力駆動車両、12…制動装置、14…第1操作部、18…入力部、20…伝達部、22…車輪、24…第1車輪、26…第2車輪、40…駆動システム、42…第1モータ、44…第2モータ、46…制御部、48…第2操作部、66…第3操作部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12