(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】梱包装置および梱包ユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20231031BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20231031BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
B65D5/50 B
B65D81/02
(21)【出願番号】P 2018097357
(22)【出願日】2018-05-21
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2018094029
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(73)【特許権者】
【識別番号】518171270
【氏名又は名称】荒江紙器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【氏名又は名称】野口 和孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187377
【氏名又は名称】芳野 理之
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊之
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 健
(72)【発明者】
【氏名】荒江 秀敏
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-120986(JP,A)
【文献】特開2011-037506(JP,A)
【文献】実開平03-008122(JP,U)
【文献】実開昭55-018428(JP,U)
【文献】特開2000-203562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/68
B65D 5/50
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被梱包機器を収納する梱包装置であって、
直方体形状の外形を有するとともに下側に向けた開口が設けられた上梱包体を備え、
前記上梱包体は、
前記被梱包機器の側面側に配置される一対の側壁部と、
前記一対の側壁部の上方側端部に第1折曲線を介して接続されるとともに内側に折り曲げられる一対の第1フラップ部と、を有し、
前記第1フラップ部には、前記第1折曲線から順に、
前記上方側端部から水平方向に向けて延びる上面部と、
前記上面部から下方に向けて延びる第1側面部と、
前記第1側面部の下端から水平方向に向けて延びる底面部と、
前記底面部の端部から上方に向けて延びるとともに前記側壁部と接触する第2側面部と、
先端部と、が設けられており、
前記第1側面部と前記底面部の第1境界線を折り曲げて前記第1側面部と前記底面部とで前記被梱包機器の側面の上端を支持する第1角部を形成し、
前記底面部と前記第2側面部の第2境界線を折り曲げて前記底面部と前記第2側面部とで前記第1角部を前記側壁部側から支持する第2角部を形成し、
前記先端部が前記上面部の内面と接触し、外力が底面部に作用した状態において、前記第2側面部が前記側壁部の内面と接触するように折り曲げられ、
前記先端部には、第1所定幅を有する第1開口部が形成されており、
前記上面部の前記第1開口部と対応する位置には、前記第1開口部に向けて折り曲げ可能であり、かつ前記第1所定幅よりも幅広の第1差込部が設けられ
、
前記被梱包機器の前面側に配置される前壁部と、
前記被梱包機器の背面側に配置される後壁部と、
前記前壁部および前記後壁部の上方側端部に第2折曲線を介して接続されるとともに前記一対の第1フラップ部の外側に配置される一対の第2フラップ部と、を有し、
前記上面部には、第2所定幅を有する第2開口部が形成されており、
前記一対の第2フラップ部の一方には、前記第2開口部に向けて折り曲げ可能であり、
かつ前記第2所定幅よりも幅広の第2差込部が設けられ、
前記第1差込部に隣接して前記第2開口部が設けられ、前記第2開口部に前記第2フラップ部の第2差込部を差し込む構成となっていることを特徴とする梱包装置。
【請求項2】
前記被梱包機器の底面を支持するとともに前記上梱包体の前記開口に嵌め合わされる側面が設けられた下梱包体と、を備え
、
前記第1側面部および前記底面部には、前記第1境界線と交差する一対の第1スリットが形成されており、
前記底面部および前記第2側面部には、前記一対の第1スリットに挟まれる領域の一部において、前記第2境界線と交差する一対の第2スリットが形成されており、
前記一対の第1スリットに挟まれる領域において、前記第1境界線を折り曲げて前記第1角部を形成し、
前記一対の第2スリットに挟まれる領域において、前記第2境界線で折り曲げて前記第2角部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の梱包装置。
【請求項3】
前記第2角部が、前記第1角部の上端よりも上方の位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の梱包装置。
【請求項4】
前記被梱包機器は、
前記背面側に配置されるとともに前記後壁部と平行な平面上に配置される第1板状部と、
前記前面側に配置されるとともに前記前壁部と平行な平面上に配置される第2板状部と、備え、
前記一対の第1スリットは、前記上梱包体が前記下梱包体に嵌め合わされた状態で、前記第1板状部および前記第2板状部を収容することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の梱包装置。
【請求項5】
前記第1板状部の前記被梱包機器の幅方向の端部における第1高さは、前記第2板状部の前記被梱包機器の幅方向の端部における第2高さよりも高く、
前記後壁部に接続される前記第2フラップ部には、前記第2差込部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の梱包装置。
【請求項6】
前記前壁部と前記後壁部と前記一対の第2フラップ部の少なくともいずれか一方とが、前記第1折曲線と同方向に延びる梱包テープにより接合されており、
前記一対の側壁部と前記第2フラップ部
と下梱包体とが、結束バンドにより結束されており、
前記結束バンドは、前記梱包テープの外側かつ前記梱包テープと交差する方向に配置されることを特徴とする請求項
2に記載の梱包装置。
【請求項7】
前記第2板状部を収容する前記第1スリットは、前記底面部に形成された一端部における第1幅よりも、前記第1側面部に形成された他端部における第2幅が狭いことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の梱包装置。
【請求項8】
被梱包機器と、
該被梱包機器を梱包する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の梱包装置と、を備えることを特徴とする梱包ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包装置および梱包ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品を梱包する梱包箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される梱包箱は、側壁の上端縁に連設された蓋フラップを巻き込んで押込部を凹ませることで緩衝枠を形成するものである。特許文献1に開示される梱包箱によれば、押込部に製品の上端角部を嵌め込むことにより、製品が梱包箱内の所定の位置に保持されて緩衝される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される梱包箱の押込部は、蓋フラップの一対の切目およびその両端を結ぶ折目に囲まれた部分を凹ませて形成されたものである。
図10に示すように、押込部の端壁側は空間となっているため、輸送中に押込部に製品の荷重がかかった場合に製品の荷重を十分に支持することができない可能性がある。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、上梱包体の側壁部に接続される第1フラップ部を被梱包体の緩衝材として機能させるとともに、被梱包機器の側面の上端を強固に支持することができる梱包装置およびそれを備えた梱包ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明によれば、被梱包機器を収納する梱包装置であって、直方体形状の外形を有するとともに下側に向けた開口が設けられた上梱包体を備え、前記上梱包体は、前記被梱包機器の側面側に配置される一対の側壁部と、前記一対の側壁部の上方側端部に第1折曲線を介して接続されるとともに内側に折り曲げられる一対の第1フラップ部と、を有し、前記第1フラップ部には、前記第1折曲線から順に、前記上方側端部から水平方向に向けて延びる上面部と、前記上面部から下方に向けて延びる第1側面部と、前記第1側面部の下端から水平方向に向けて延びる底面部と、前記底面部の端部から上方に向けて延びるとともに前記側壁部と接触する第2側面部と、先端部と、が設けられており、前記第1側面部と前記底面部の第1境界線を折り曲げて前記第1側面部と前記底面部とで前記被梱包機器の側面の上端を支持する第1角部を形成し、前記底面部と前記第2側面部の第2境界線を折り曲げて前記底面部と前記第2側面部とで前記第1角部を前記側壁部側から支持する第2角部を形成し、前記先端部が前記上面部の内面と接触し、外力が底面部に作用した状態において、前記第2側面部が前記側壁部の内面と接触するように折り曲げられ、前記先端部には、第1所定幅を有する第1開口部が形成されており、前記上面部の前記第1開口部と対応する位置には、前記第1開口部に向けて折り曲げ可能であり、かつ前記第1所定幅よりも幅広の第1差込部が設けられ、前記被梱包機器の前面側に配置される前壁部と、前記被梱包機器の背面側に配置される後壁部と、前記前壁部および前記後壁部の上方側端部に第2折曲線を介して接続されるとともに前記一対の第1フラップ部の外側に配置される一対の第2フラップ部と、を有し、前記上面部には、第2所定幅を有する第2開口部が形成されており、前記一対の第2フラップ部の一方には、前記第2開口部に向けて折り曲げ可能であり、かつ前記第2所定幅よりも幅広の第2差込部が設けられ、前記第1差込部に隣接して前記第2開口部が設けられ、前記第2開口部に前記第2フラップ部の第2差込部を差し込む構成となっていることを特徴とする梱包装置により解決される。
【0007】
本発明に係る梱包装置によれば、一対の側壁部の上方側端部に第1折曲線を介して一対の第1フラップ部が接続されており、第1フラップ部には、第1折曲線から順に、上面部と、第1側面部と、底面部と、第2側面部とが設けられている。第1側面部と底面部の第1境界線を折り曲げることにより、第1側面部と底面部とで被梱包機器の側面の上端を支持する第1角部が形成される。第1角部を形成することにより、上梱包体の側壁部に接続される第1フラップ部を被梱包体の緩衝材として機能させることができる。
【0008】
また、本発明に係る梱包装置によれば、底面部と第2 側面部の第2 境界線を折り曲げることにより、底面部と第2側面部とで第1角部を側壁部側から支持する第2角部が形成される。第2 角部を形成することにより、第1角部の側壁部側が空間となる場合に比べ、被梱包機器の側面の上端を強固に支持することができる。
本構成の梱包装置によれば、第1差込部が第1開口部よりも幅広であるため、第1差込部を第1開口部に差し込むことにより、第1フラップ部の先端部が第1フラップ部の上面部に固定された状態を保持することができる。そのため、第1フラップ部が被梱包機器の緩衝材として機能する状態が容易に維持される。
本構成の梱包装置によれば、第2差込部が第2開口部よりも幅広であるため、第2差込部を第2開口部に差し込むことにより、一対の第1フラップ部が第2フラップ部の一方に固定された状態を保持することができる。そのため、一対の第1フラップ部において、一対の第2フラップ部の他方を閉じていない状態においても、上面部および底面部を水平方向に近づけ、第1側面部および第2側面部を鉛直方向に近づけることができる。そのため、上梱包体を下梱包体に嵌め合わせて一対の第1フラップ部で被梱包機器を支持する作業が容易となる。
【0009】
本発明に係る梱包装置は、好ましくは、前記被梱包機器の底面を支持するとともに前記上梱包体の前記開口に嵌め合わされる側面が設けられた下梱包体と、を備え、前記第1側面部および前記底面部には、前記第1境界線と交差する一対の第1スリットが形成されており、前記底面部および前記第2側面部には、前記一対の第1スリットに挟まれる領域の一部において、前記第2境界線と交差する一対の第2スリットが形成されており、前記一対の第1スリットに挟まれる領域において、前記第1境界線を折り曲げて前記第1角部を形成し、前記一対の第2スリットに挟まれる領域において、前記第2境界線で折り曲げて前記第2角部を形成したことを特徴とする。
【0010】
本構成の梱包装置によれば、第1側面部および底面部には、第1側面部と底面部の第1境界線と交差する一対の第1スリットが形成されている。一対の第1スリットに挟まれる領域において、第1境界線を折り曲げることにより、第1側面部と底面部とで被梱包機器の側面の上端を支持する第1角部が形成される。また、底面部および第2側面部には、一対の第1スリットに挟まれる領域の一部において、底面部と第2側面部の第2境界線と交差する一対の第2スリットが形成されている。一対の第2スリットに挟まれる領域において、第2境界線で折り曲げることにより、底面部と第2側面部とで第1角部を側壁部側から支持する第2角部が形成される。第2角部を形成することにより、第1角部の上端が第2側面部により支持される。そのため、第1角部の側壁部側が空間となる場合に比べ、第1角部の上端を強固に支持することができる。また、一対の第1スリットに挟まれる領域のうち、一対の第2スリットに挟まれない領域においては第2角部が形成されないため、第1角部の下端が底面部により支持される。そのため、第2角部を形成する場合に比べ、第1角部の下端を強固に支持することができる。このように、被梱包機器の前後方向に第2角部が形成される領域と第2角部が形成されない領域が交互に存在することとなる。第1角部の上端と第1角部の下端の双方が交互に支持されるため、梱包装置により被梱包機器の側面の上端を確実に固定することができる。
【0014】
本発明に係る梱包装置において、好ましくは、前記被梱包機器は、前記背面側に配置されるとともに前記後壁部と平行な平面上に配置される第1板状部と、前記前面側に配置されるとともに前記前壁部と平行な平面上に配置される第2板状部と、備え、前記一対の第1スリットは、前記上梱包体が前記下梱包体に嵌め合わされた状態で、前記第1板状部および前記第2板状部を収容することを特徴とする。
【0015】
本構成の梱包装置によれば、被梱包機器の背面側に配置される第1板状部と、被梱包機器の前面側に配置される第2板状部とが、一対の第1スリットに収容される。そのため、第1板状部と第2板状部が一対の第1スリットに収容された後は、被梱包機器が梱包装置内で前後方向に移動することが規制される。
【0016】
本発明に係る梱包装置において、好ましくは、前記第1板状部の前記被梱包機器の幅方向の端部における第1高さは、前記第2板状部の前記被梱包機器の幅方向の端部における第2高さよりも高く、前記後壁部に接続される前記第2フラップ部には、前記第2差込部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
本構成の梱包装置によれば、第1高さが第2高さよりも高いため、上梱包体を被梱包機器の上方から被せて下方へ導くと、第2板状部よりも先に第1板状部が第1スリットに収容される。後壁部に接続される第2フラップ部に第2差込部が設けられているため、第1板状部が収容される第1スリットは梱包装置の側壁部に近接した状態となる。そのため、第1板状部の第1スリットへの挿入が容易であるとともに、第1板状部を第1スリットへ挿入するにつれて第2側面部が側壁部にさらに近接した状態となる。そして、第2側面部が側壁部に近接した状態で第2板状部が第1スリットに収容される。そのため、後壁部から離れた位置においても第2板状部の第1スリットへの挿入が容易であるとともに、第2板状部を第1スリットへ挿入するにつれて第2側面部が側壁部に近接した状態となる。
【0018】
本発明に係る梱包装置は、好ましくは、前記前壁部と前記後壁部と前記一対の第2フラップ部の少なくともいずれか一方とが、前記第1折曲線と同方向に延びる梱包テープにより接合されており、前記一対の側壁部と前記第2フラップ部と下梱包体とが、結束バンドにより結束されており、前記結束バンドは、前記梱包テープの外側かつ前記梱包テープと交差する方向に配置されることを特徴とする。
本構成の梱包装置によれば、梱包テープで前壁部と後壁部と第2フラップ部の少なくともいずれか一方を接合し、さらに梱包テープの外側に結束バンドが配置されるため、被梱包機器を強固に梱包することができる。
【0019】
本発明に係る梱包装置において、好ましくは、前記第2板状部を収容する前記第1スリットは、前記底面部に形成された一端部における第1幅よりも、前記第1側面部に形成された他端部における第2幅が狭いことを特徴とする。
本構成の梱包装置によれば、上梱包体を被梱包機器の上方から被せて下方へ導くと、被梱包機器の第2板状部が底面部に形成された第1スリットの一端部へ収容される。その後、上梱包体をさらに下方へ導くと、被梱包機器の第2板状部が第1側面部に形成された第1スリットの他端部へ収容される。第1スリットの一端部が他端部よりも幅広であるため、被梱包機器の第2板状部を第1スリットの一端部へ容易に挿入することができる。また、第1スリットの他端部が一端部よりも幅狭であるため、第2板状部を第1スリットの他端部へ収納することにより、被梱包機器の前後方向の位置を高精度に位置決めすることができる。
【0020】
前記課題は、本発明によれば、被梱包機器と、該被梱包機器を梱包する上記のいずれかに記載の梱包装置と、を備えることを特徴とする梱包ユニットにより解決される。
本構成の梱包ユニットによれば、上梱包体の側壁部に接続される第1フラップを被梱包体の緩衝材として機能させるとともに、被梱包機器の側面の上端を強固に支持することができる梱包装置を備えた梱包ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上梱包体の側壁部に接続される第1フラップ部を被梱包体の緩衝材として機能させるとともに、被梱包機器の側面の上端を強固に支持することができる梱包装置およびそれを備えた梱包ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る梱包ユニットの上梱包体を被せる前の状態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す梱包ユニットの上梱包体を被せた後の梱包状態を示す斜視図である。
【
図3】複数の梱包ユニットの格納状態を示す図である。
【
図5】
図2に示す上梱包体の第1内側フラップ部の部分拡大図である。
【
図6】
図2に示す上梱包体の第2内側フラップ部の部分拡大図である。
【
図7】第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図6のI-I矢視断面図である。
【
図8】第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図6のII-II矢視断面図である。
【
図9】第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図6のIII-III矢視断面図である。
【
図10】第1比較例の第2内側フラップ部を示す部分拡大図である。
【
図11】第1比較例の第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図10のIII-III矢視断面図である。
【
図12】第2比較例の第2内側フラップ部を示す部分拡大図である。
【
図13】第2比較例の第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図12のIII-III矢視断面図である。
【
図14】第3比較例の第2内側フラップ部を示す部分拡大図である。
【
図15】第1内側フラップ部および第2内側フラップ部を組み立てる前の状態を示す上梱包体の平面図である。
【
図16】第1内側フラップ部および第2内側フラップ部を組み立てた後の状態を示す上梱包体の平面図である。
【
図17】第1外側フラップ部を固定する前の状態を示す上梱包体の平面図である。
【
図18】第1外側フラップ部を固定した後の状態を示す上梱包体の平面図である。
【
図19】第1板状部を背面側スリットに挿入する前の状態を示す
図5のIV-IV矢視断面図である。
【
図20】第1板状部を背面側スリットに挿入した状態を示す
図5のIV-IV矢視断面図である。
【
図21】第2板状部を前面側スリットに挿入する前の状態を示す
図5のV-V矢視断面図である。
【
図22】第2板状部を前面側スリットに挿入した状態を示す
図5のV-V矢視断面図である。
【
図23】第2実施形態に係る梱包ユニットの第2内側フラップ部を示す部分拡大図である。
【
図24】第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図22のIII-III矢視断面図である。
【
図25】第3実施形態に係る梱包ユニットの第2内側フラップ部を示す部分拡大図である。
【
図26】第2内側フラップ部を組み立てた状態を示す
図24のIII-III矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0024】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る梱包装置300およびそれを備えた第1実施形態の梱包ユニット500について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る梱包ユニット500の上梱包体100を被せる前の状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す梱包ユニット500の上梱包体100を被せた後の梱包状態を示す斜視図である。
図3は、複数の梱包ユニット500の格納状態を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の梱包ユニット500は、梱包装置300と、梱包装置300により梱包される給湯器(被梱包機器)400と、を備える。梱包装置300により梱包される機器としては、給湯器400以外の他の機器であってもよい。
【0026】
給湯器400は、
図1に示す前後方向の長さが前後方向に直交する幅方向の長さよりも長く、高さが前後方向の長さよりも長い略直方体形状の外形を有する。給湯器400は、例えば重量が15~40Kgの剛体であり、一対の側面401と、前面402と、背面403と、上面404と、底面(図示略)と、背面403側に配置される第1板状部405と、前面402側に配置される第2板状部406と、を備える。第1板状部405は後述する上梱包体100の後壁部40と平行な平面上に配置され、第2板状部406は後述する上梱包体100の前壁部30と平行な平面上に配置される。
【0027】
一対の側面401は、
図1に示す前後方向に延びかつ鉛直方向に延びて前後方向に直交する幅方向に所定間隔を空けて配置される面である。前面402および背面403は、幅方向に延びかつ鉛直方向に延びて幅方向に間隔を空けて配置される面である。上面404および底面(図示略)は、水平方向に延びて高さ方向に間隔を空けて配置される面である。上面404の幅方向の両端は、曲面状に形成された一対のR部407により一対の側面401に接続されている。R部407は、曲面状に形成されていればよく、例えば、金属製の板を直角で曲げた場合に出来る曲率の小さいR(略直角)であっても良い。
【0028】
第1板状部405は、背面403から上方に向けて上面404よりも上方に鉛直方向に沿って突出し、幅方向に延びる金属材料(例えば、ステンレス材)により形成される板状部材である。第2板状部406は、前面402から上方に向けて上面404よりも上方に鉛直方向に沿って突出し、幅方向に延びる金属材料(例えば、鋼材)により形成される板状部材である。
【0029】
梱包装置300は、給湯器400を収容するとともに輸送等による衝撃から給湯器400を保護する緩衝機能を備える装置である。梱包装置300は、段ボール板材により作製されており、上梱包体100と、下梱包体200と、を備える。下梱包体200に給湯器400を設置した状態で上梱包体100を給湯器400の上方から被せることにより、給湯器400が梱包装置300に収納された
図2に示す梱包状態となる。
【0030】
上梱包体100は、直方体形状の外形を有するとともに下側に向けた開口100Aが設けられた部材である。
図1に示すように、給湯器400を梱包する際に、上梱包体100は、給湯器400の上方から開口100Aを下側に向けて被せられ、開口100Aに給湯器400を挿入する。上梱包体100の詳細な構造については後述する。
【0031】
下梱包体200は、給湯器400の底面を支持するとともに上梱包体100の開口100Aに嵌め合わされる側面201が設けられた部材である。下梱包体200は、
図1に示す前後方向の長さが前後方向に直交する幅方向の長さよりも長く、高さが幅方向の長さよりも低い直方体形状の外形を有する。下梱包体200の上面中央には、給湯器400の底面を収容して給湯器400の荷重を支持する凹所202が形成されている。
【0032】
図3に示すように、本実施形態の梱包ユニット500は、パレットPに複数の梱包ユニット500を載せたものを、複数段に積み上げた状態で倉庫あるいは輸送用トラック等に格納されるものである。
図3に示すように4段に積み上げた場合、1段目の梱包ユニット500には、2~4段目の梱包ユニット500の荷重がかかる。そのため、梱包ユニット500の上梱包体100は、複数段に設置される梱包ユニット500の荷重を十分に支持することができる鉛直方向の強度が要求される。
【0033】
また、
図3に破線で示すように、複数の梱包ユニット500を輸送用トラック等で輸送する場合には給湯器400の幅方向に振動して上梱包体100が変形してしまう可能性がある。そのため、梱包ユニット500の上梱包体100は、輸送時の振動に対して形状を十分に保持することができる幅方向の強度が要求される。
図3の500Aの部分は、後述する
図13の500Aの部分に対応している。
【0034】
次に、
図4から
図6を参照して、上梱包体100について詳細に説明する。
図4は、
図1に示す上梱包体100の展開図であり、組み立てた場合に外側に配置される面を示す図である。
図5は、
図2に示す上梱包体100の第1内側フラップ部50の部分拡大図である。
図6は、
図2に示す上梱包体100の第2内側フラップ部60の部分拡大図である。
【0035】
図4から
図6において、間隔の短い破線(折曲線111~115等)は上梱包体100を直方体形状に組み立てた際に山折りに折り曲げられる部分を示し、間隔の長い破線は上梱包体100を直方体形状に組み立てた際に谷折りに折り曲げられる部分を示す。
図4から
図6に示す実線は、上梱包体100の板厚方向の上方から下方に至るまで切断された切断線を示す。
【0036】
図4に示すように、上梱包体100は、1枚の段ボール板材を部分的に切断して形成された板状部材であり、組み立てられていない展開状態においては平面状に配置される。上梱包体100は、右側壁部10と、左側壁部20と、前壁部30と、後壁部40と、第1内側フラップ部50と、第2内側フラップ部60と、第1外側フラップ部70と、第2外側フラップ部80と、糊代部90と、を備える。
【0037】
右側壁部10は、上梱包体100に給湯器400が収容された状態で、給湯器400の右の側面401側に配置される。左側壁部20は、上梱包体100に給湯器400が収容された状態で、給湯器400の左の側面401側に配置される。
【0038】
前壁部30は、上梱包体100に給湯器400が収容された状態で、給湯器400の前面402側に配置される。後壁部40は、上梱包体100に給湯器400が収容された状態で、給湯器400の背面403側に配置される。
図3に示すように、右側壁部10の右側に後壁部40が配置され、後壁部40の右方に左側壁部20が配置され、左側壁部20の右方に前壁部30が配置される。右側壁部10の左方には糊代部90が連結されている。糊代部90は、表面に接着剤を塗布した状態で、左側壁部20の右側の縁部の内周面に接合される。これにより、右側壁部10と左側壁部20と前壁部30と後壁部40とが、下端に開口100Aが設けられた壁部を形成する。
【0039】
本実施形態の上梱包体100は、後述するように、右側壁部10,左側壁部20,前壁部30,後壁部40に緩衝機能を持たせたものではなく、第1内側フラップ部50と第2内側フラップ60に緩衝機能を持たせたものである。それに対し、特許文献1では、梱包箱の側壁に梱包箱の内部に収容される製品の緩衝機能を持たせており、本実施形態の上梱包体100と大きく相違している。
【0040】
第1内側フラップ部50は、右側壁部10の上方側端部11に折曲線(第1折曲線)101を介して接続されるとともに内側に山折りに折り曲げられる部材である。第1内側フラップ部50は、組み立てられた状態で給湯器400の右側のR部407(側面401の上端)を支持する緩衝機能を備える。
図4および
図5に示すように、第1内側フラップ部50には、折曲線101から順に、上面部51と、第1側面部52と、底面部53と、第2側面部54と、先端部55と、が設けられている。
【0041】
上面部51は、折曲線101で山折りに折り曲げられることにより上方側端部11から水平方向に向けて延びる平面上に配置される。第1側面部52は、折曲線102で山折りに折り曲げられることにより上面部51から下方に向けて延びる平面上に配置される。底面部53は、折曲線103で山折りに折り曲げられることにより第1側面部52の下端から水平方向に延びる平面上に配置される。第2側面部54は、折曲線104で山折りに折り曲げられることにより底面部53の端部から上方に向けて延びる平面上に配置される。先端部55は、折曲線105で山折りに折り曲げられることにより第2側面部54の上端から水平方向に向けて延びる平面上に配置される。
【0042】
図5に示すように、第1側面部52および底面部53には、第1側面部52と底面部53の境界となる折曲線(第1境界線)103と直交する方向に延びる前面側スリット(第1スリット)106および背面側スリット(第1スリット)107が形成されている。また、底面部53および第2側面部54には、前面側スリット106と背面側スリット107に挟まれる領域の一部において、底面部53と第2側面部54の境界となる折曲線(第2境界線)104と交差する一対の側面側スリット(第2スリット)108,109が形成されている。
【0043】
図5に示すように、先端部55には、給湯器400の幅方向に所定幅W1を有する第1開口部55a,55cが形成されている。第1開口部55a,55cは、折曲線55b,55dで山折りに折り曲げることにより開口を形成する部位である。給湯器400の前後方向において、上面部51の第1開口部55aと対応する位置には、給湯器400の幅方向に所定幅W11を有する第1差込部51aが形成されている。また、給湯器400の前後方向において、上面部51の第1開口部55cと対応する位置には、給湯器400の幅方向に所定幅W11を有する第1差込部51cが形成されている。
【0044】
第1差込部51aは、第1開口部55aに向けて折曲線51bで折り曲げ可能である。所定幅W11は所定幅W1よりも幅広であるため、第1差込部51aを第1開口部55aに挿入することにより、先端部55と上面部51が連結される。同様に、第1差込部51cを第1開口部55cに挿入することにより、先端部55と上面部51が連結される。
【0045】
上面部51には、給湯器400の幅方向に所定幅W2を有する第2開口部51eが形成されている。第2開口部51eは、折曲線51fで山折りに折り曲げることにより開口を形成する部位である。先端部55には、給湯器400の幅方向に所定幅W2を有する第3開口部55eが形成されている。第3開口部55eは、折曲線55fで山折りに折り曲げることにより開口を形成する部位である。
【0046】
第2内側フラップ部60は、左側壁部20の上方側端部21に折曲線(第1折曲線)111を介して接続されるとともに内側に山折りに折り曲げられる部材である。第2内側フラップ部60は、組み立てられた状態で給湯器400の左側のR部407(側面401の上端)を支持する緩衝機能を備える。
図4および
図6に示すように、第2内側フラップ部60には、折曲線111から順に、上面部61と、第1側面部62と、底面部63と、第2側面部64と、先端部65と、が設けられている。
【0047】
上面部61は、折曲線111で山折りに折り曲げられることにより上方側端部21から水平方向に向けて延びる平面上に配置される。第1側面部62は、折曲線112で山折りに折り曲げられることにより上面部61から下方に向けて延びる平面上に配置される。底面部63は、折曲線113で山折りに折り曲げられることにより第1側面部62の下端から水平方向に延びる平面上に配置される。第2側面部64は、折曲線114で山折りに折り曲げられることにより底面部63の端部から上方に向けて延びる平面上に配置される。先端部65は、折曲線115で山折りに折り曲げられることにより第2側面部64の上端から水平方向に向けて延びる平面上に配置される。
【0048】
図6に示すように、第1側面部62および底面部63には、第1側面部62と底面部63の境界となる折曲線(第1境界線)113と直交する方向に延びる前面側スリット(第1スリット)116および背面側スリット(第1スリット)117が形成されている。また、底面部63および第2側面部64には、前面側スリット116と背面側スリット117に挟まれる領域の一部において、底面部63と第2側面部64の境界となる折曲線(第2境界線)114と交差する一対の側面側スリット(第2スリット)118,119が形成されている。
【0049】
図6に示すように、先端部65には、給湯器400の幅方向に所定幅W1を有する第1開口部65a,65cが形成されている。第1開口部65a,65cは、折曲線65b,65dで山折りに折り曲げることにより開口を形成する部位である。給湯器400の前後方向において、上面部61の第1開口部65aと対応する位置には、給湯器400の幅方向に所定幅W11を有する第1差込部61aが形成されている。また、給湯器400の前後方向において、上面部61の第1開口部65cと対応する位置には、給湯器400の幅方向に所定幅W11を有する第1差込部61cが形成されている。
【0050】
第1差込部61aは、第1開口部65aに向けて折曲線61bで折り曲げ可能である。所定幅W11は所定幅W1よりも幅広であるため、第1差込部61aを第1開口部65aに挿入することにより、先端部65と上面部61が連結される。同様に、第1差込部61cは、第1開口部65cに向けて折曲線61dで折り曲げ可能である。第1差込部61cを第1開口部65cに挿入することにより、先端部65と上面部61が連結される。
【0051】
上面部61には、給湯器400の幅方向に所定幅W2を有する第2開口部61eが形成されている。第2開口部61eは、折曲線61fで山折りに折り曲げることにより開口を形成する部位である。先端部65には、給湯器400の幅方向に所定幅W2を有する第3開口部65eが形成されている。第3開口部65eは、折曲線65fで山折りに折り曲げることにより開口を形成する部位である。
【0052】
第1外側フラップ部70は、後壁部40の上方側端部41に折曲線(第2折曲線)122を介して接続されるとともに第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の外側に配置される部材である。第1外側フラップ部70は、給湯器400の前後方向の長さが右側壁部10および左側壁部20よりも短い。第1外側フラップ部70には、第2開口部51eおよび第2開口部61eに向けて折り曲げ可能であり、かつ所定幅W2よりも幅広の第2差込部71,72が設けられている
【0053】
第2外側フラップ部80は、前壁部30の上方側端部31に折曲線(第2折曲線)121を介して接続されるとともに第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の外側に配置される部材である。
【0054】
次に、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60のそれぞれを、緩衝機能を発揮するように組み立てた状態について、
図7から
図9を参照して説明する。第1内側フラップ部50と第2内側フラップ部60は、給湯器400の前面402側からみて左右対称の構造である。以下では、第2内側フラップ部60の構造について主に説明するが、第1内側フラップ部50も左右対称である点を除き同様の構造である。
【0055】
図7は、第2内側フラップ部60を組み立てた状態を示す
図6のI-I矢視断面図である。
図8は、第2内側フラップ部60を組み立てた状態を示す
図6のII-II矢視断面図である。
図9は、第2内側フラップ部60を組み立てた状態を示す
図6のIII-III矢視断面図である。
図7から
図9は、梱包装置300が給湯器400を内部に梱包した状態の梱包ユニット500を示している。
図7から
図9において、破線で示す側面401および上面404は、給湯器400の梱包装置300への梱包が完了する前の側面401および上面404の位置を示している。
【0056】
図7は、給湯器400の前後方向において、給湯器400が配置されない位置における上梱包体100の断面を示している。
図7に示すように、第2内側フラップ部60を組み立てた状態においては、折曲線111,112,113,114,115の全てが山折りに折り曲げられ、断面視が矩形上となっている。
図7に示すように、上面部61は水平方向に向けて延びる平面上に配置され、第1側面部62は上面部61から下方に向けて延びる平面上に配置され、底面部63は第1側面部62の下端から水平方向に延びる平面上に配置される。また、第2側面部64は底面部63の端部から上方に向けて延びる平面上に配置され、先端部55は第2側面部64の上端から水平方向に向けて延びる平面上に配置される。
【0057】
図8は、給湯器400の前後方向において、給湯器400が配置される位置における上梱包体100の断面を示している。
図8に示す断面の位置は、前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域のうち、一対の側面側スリット118,119により挟まれない位置である。第2内側フラップ部60は、前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域において、折曲線113を谷折りに折り曲げることにより第1角部60aを形成する。第1角部60aは、底面部63の一部および第1側面部62の一部を近接させることにより、給湯器400のR部407を支持する部位である。
【0058】
図8に示すように、折曲線114は山折りに折り曲げられているため、第2側面部64の前面が左側壁部20により支持された状態となる。また、底面部63は水平方向に延びているため、第1角部60aの下端において給湯器400の側面401から左側壁部20に向けて外力F1が加わった場合に、その外力F1を底面部63および第2側面部64により強固に支持することができる。
【0059】
図9は、給湯器400の前後方向において、給湯器400が配置される位置における上梱包体100の断面を示している。
図9に示す断面の位置は、前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域のうち、一対の側面側スリット118,119により挟まれる位置である。第2内側フラップ部60は、前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域において、折曲線113を谷折りに折り曲げることにより第1角部60aを形成する。
【0060】
図9に示すように、第2内側フラップ部60は、一対の側面側スリット118,119により挟まれる位置において、折曲線113を谷折りに折り曲げることにより第2角部60bを形成する。第2角部60bは、底面部63の一部および第2側面部64の一部を近接させることにより、第1角部60aを左側壁部20側から支持する部位である。
【0061】
図9に示すように、折曲線114は谷折りに折り曲げられているため、第1角部60aを形成する底面部63の一部と第2角部60bを形成する底面部63の他の一部が折りたたまれて近接した状態となる。また、第2側面部64の折曲線114に近接した部分は水平方向に延びている。そのため、第1角部60aの上端において給湯器400の上面404から左側壁部20に向けて外力F2が加わった場合に、その外力F2を第2角部60bにより強固に支持することができる。
【0062】
このように本実施形態の上梱包体100は、
図7に示す第1角部60aのみを形成し第2角部60bを形成していない部分では、第1角部60aの下端において給湯器400の側面401から左側壁部20に向けて加わる外力F1を底面部63および第2側面部64により強固に支持することができる。また、
図8に示す第1角部60aおよび第2角部60bを形成した部分では、第1角部60aの上端において給湯器400の上面404から左側壁部20に向けて加わる外力F2を第2角部60bにより強固に支持することができる。
【0063】
本実施形態の梱包装置300では、給湯器400の前後方向に第2角部60bが形成される領域と第2角部60bが形成されない領域が交互に存在し、第1角部60aの上端と第1角部60aの下端の双方が交互に支持される。また、
図6に示すように、側面側スリット118は、第1角部60aの上端となる位置Pt1と位置Pt2とを分断する位置までは到達していない。また、側面側スリット118は、第1角部60aの下端となる位置Pt3と位置Pt4とを分断する位置までは到達していない。側面側スリット118の前後で第2内側フラップ部60が連接されているため、側面側スリット118の前後で第1角部60aの形状が同形状に維持される。同様に、側面側スリット119についても、第1角部60aの上端となる位置を分断する位置までは到達しておらず、第1角部60aの下端となる位置を分断する位置までは到達していない。側面側スリット119の前後で第2内側フラップ部60が連接されているため、側面側スリット119の前後で第1角部60aの形状が同形状に維持される。
以上のように第1角部60aの形状が側面側スリット118,119の前後で維持されるため、梱包装置300は、幅方向の外力F1,F2に対して給湯器400のR部407を確実に固定することができる。
【0064】
図8および
図9に示すように、本実施形態の梱包装置300では、第1角部60aの下端が給湯器400の側面401に接触した状態となり、かつ側面401の鉛直方向の延長線上に折曲線113が配置された状態となる。また、折曲線112に接続された第1側面部62が鉛直方向に延びるように配置される。そのため、本実施形態の梱包装置300は、上方からの荷重を鉛直方向に延びた第1側面部62から給湯器400の上面404へ伝達し、上方からの荷重を確実に支持することができる。
【0065】
本実施形態では、
図6に示すように、
図8に示す第1角部60aのみを形成した部分を前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域の両端部に配置し、
図9に示す第1角部60aおよび第2角部60bを形成した部分を前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域の中央部に配置したが、他の態様であってもよい。例えば、
図9に示す第1角部60aおよび第2角部60bを形成した部分を前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域の両端部に配置し、
図8に示す第1角部60aのみを形成した部分を前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域の中央部に配置してもよい。その他、
図8に示す第1角部60aのみを形成した部分と
図9に示す第1角部60aおよび第2角部60bを形成した部分を交互に配置する構成であれば、他の任意の構成としてもよい。
【0066】
ここで、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の第1比較例について
図10および
図11を参照して説明する。
図10は、第1比較例の第2内側フラップ部60Aの部分拡大図である。
図11は、第1比較例の第2内側フラップ部60Aを組み立てた状態を示す
図10のIII-III矢視断面図である。第1比較例の第2内側フラップ部60Aは、
図6に示す本実施形態の第2内側フラップ部60とは異なり、一対の側面側スリット118,119が形成されていない。
【0067】
図11に示すように、第1比較例の第2内側フラップ部60Aは、折曲線114が山折りに折り曲げられているため、第1角部60aの上端が支持されていない。そのため、第1角部60aの上端において給湯器400の上面404から左側壁部20に向けて外力F2が加わった場合に、第1側面部62が鉛直方向から傾斜してしまう。そのため、第1比較例の梱包装置では、上方からの荷重が適切に給湯器400の上面404へ伝達されず、上方からの荷重を確実に支持することができずに変形してしまう。この場合、梱包装置の内部に配置される給湯器400が
図11に一点鎖線で示すように傾斜した状態となってしまう。
【0068】
図11に示す第1比較例は、特許文献1の蓋フラップにより形成される緩衝枠と同様の構造である。第1比較例では、内部に配置される給湯器400が傾斜した状態となる不具合が発生する。この不具合を解消するために、
図11に示す第1角部60aを左側壁部20側から支持する構造を採用することが考えられる。そこで、
図11に示す構造の不具合を解消するための第2比較例について次に説明する。
【0069】
次に、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の第2比較例について
図12および
図13を参照して説明する。
図12は、第2比較例の第2内側フラップ部60Bの部分拡大図である。
図13は、第2比較例の第2内側フラップ部60Bを組み立てた状態を示す
図12のIII-III矢視断面図である。第2比較例の第2内側フラップ部60Bは、
図6に示す本実施形態の第2内側フラップ部60とは異なり、一対の側面側スリット118,119が前面側スリット116,背面側スリット117と同じ位置に形成されている。
【0070】
図13に示すように、第2比較例では、第1角部60aが左側壁部20側から第2角部60bにより支持される。しかしながら、第2比較例の第2内側フラップ部60Bは、折曲線114が谷折りに折り曲げられているため、第1角部60aの下端が支持されていない。そのため、第1角部60aの下端において給湯器400の側面401から左側壁部20へ向けて外力F1が加わった場合に、第1角部60aの下端が変形してしまう。この場合、梱包装置の内部に配置される給湯器400が
図13に一点鎖線で示すように傾斜してしまう。上梱包体100の左側壁部20も同様に
図13に一点鎖線で示すように傾斜してしまう。なお、
図13の500Aの部分は、前述した
図3の500Aの部分に対応している。
【0071】
以上のように、第1比較例では、第2角部60bが存在せず、第1角部60aの上端が支持されない。そのため、第1比較例の梱包装置は、第1側面部62が鉛直方向から傾斜してしまい、上方からの荷重を確実に支持することができない。また、第2比較例では、一対の側面側スリット118,119に挟まれるすべての領域に第2角部60bが存在し、第1角部60aの下端が支持されない。そのため、第2比較例の梱包装置は、第1角部60aの下端が変形してしまい、内部に配置される給湯器400が傾斜してしまう。
【0072】
次に、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の第3比較例について、
図14を参照して説明する。
図14は、第3比較例の第2内側フラップ部60Cの部分拡大図である。
図14に示す位置Pt1,Pt2,Pt3,Pt4は、
図6に示す位置Pt1,Pt2,Pt3,Pt4と同様である。第3比較例の第2内側フラップ部60Cにおいて、側面側スリット118Aは、折曲線112まで到達し、第1角部60aの上端となる位置Pt1,Pt2を分断し、第1角部60aの下端となる位置Pt3,Pt4を分断している。
【0073】
第3比較例では、側面側スリット118Aの前後で第2内側フラップ部60Cが連接されていないため、側面側スリット118Aの前後で第1角部60aの形状を同形状に維持することができない。すなわち、側面側スリット118Aの前後で第1角部60aの形状として、
図11に示す形状と
図13に示す形状の双方が混在してしまう。このように、第3比較例のように、側面側スリット118Aを、第1角部60aの上端となる位置Pt1と位置Pt2とを分断する位置、および第1角部60aの下端となる位置Pt3と位置Pt4とを分断する位置まで到達させてしまうと、側面側スリット118Aの前後で第2内側フラップ部60が連接されない状態となり、側面側スリット118Aの前後で第1角部60aの形状を同形状に維持することができない。
以上においては、側面側スリット118Aについて説明したが、側面側スリット119Aについても同様である。
【0074】
次に、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60のそれぞれを、緩衝機能を発揮するように組み立てる手順について、
図15から
図18を参照して説明する。
図15は、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60を組み立てる前の状態を示す上梱包体100の平面図である。
図16は、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60を組み立てた後の状態を示す上梱包体100の平面図である。
図17は、第1外側フラップ部70を固定する前の状態を示す上梱包体100の平面図である。
図18は、第1外側フラップ部70を固定した後の状態を示す上梱包体100の平面図である。
【0075】
図15において、第2内側フラップ部60は、
図7から
図9と同様に、先端部65が上面部61の内面と接触した状態となっている。
図15に示す状態では、第1差込部61aが第1開口部65aに挿入されておらず、第1差込部61cが第1開口部65cに挿入されていない。そのため、先端部65と上面部61が連結されていない。同様に、第1内側フラップ部50は、先端部55が上面部51の内面と接触した状態となっている。
図15に示す状態では、第1差込部51aが第1開口部55aに挿入されておらず、第1差込部51cが第1開口部55cに挿入されていない。そのため、先端部55と上面部51が連結されていない。
【0076】
図15に示す状態から、第1差込部61aを第1開口部65aに押し込んで挿入し、第1差込部61cを第1開口部65cに押し込んで挿入すると、
図16に示す状態となる。同様に、
図15に示す状態から、第1差込部51aを第1開口部55aに押し込んで挿入し、第1差込部51cを第1開口部55cに押し込んで挿入すると、
図16に示す状態となる。
図16に示す状態では、第1差込部61aが第1開口部65aに固定され、第1差込部61cが第1開口部65cに固定され、第1差込部51aが第1開口部55aに固定され、第1差込部51cが第1開口部55cに固定される。そのため、先端部55と上面部51が連結され、先端部65と上面部61が連結される。
【0077】
次に、第1外側フラップ部70を第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の双方に固定する手順について
図17および
図18を参照して説明する。
図17は、第1外側フラップ部70を固定する前の状態を示す上梱包体100の平面図である。
図18は、第1外側フラップ部70を固定した後の状態を示す上梱包体100の平面図である。
【0078】
図17に示す状態では、第1外側フラップ部70が折曲線122で山折りに折り曲げられて第1外側フラップ部70が第1内側フラップ部50の上面部61および第2内側フラップ部60の上面部51に接触した状態となる。
図17に示す状態では、第2差込部71が第2開口部61eに挿入されておらず、第2差込部72が第2開口部51eに挿入されていない。そのため、第1外側フラップ部70は、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60のいずれにも固定されていない。
【0079】
図17に示す状態から、第2差込部71を第2開口部61eに押し込んで挿入し、第2差込部72を第2開口部51eに押し込んで挿入すると、
図18に示す状態となる。
図18に示す状態では、第2差込部71が第2開口部61eに固定され、第2差込部72が第2開口部51eに固定される。そのため、第1外側フラップ部70は、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の双方に固定される。第1外側フラップ部70が固定されると、第2側面部64が左側壁部20に近接し、第2側面部54が右側壁部10に近接した状態となる。
【0080】
本実施形態の梱包装置300を操作する作業者は、
図18に示すように、第1外側フラップ部70が第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の双方に固定された状態で、上梱包体100の開口100Aに給湯器400を挿入する。この場合、作業者は、第2外側フラップ部80を第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60に接触させずに開いた状態とする。作業者は、第2内側フラップ部60を開いた状態とすることで、給湯器400を目視しながら、上梱包体100を給湯器400に被せることができる。
【0081】
次に、上梱包体100を給湯器400に被せる際に、給湯器400の前後方向の位置決めをする構造について、
図19から
図22を参照して説明する。
図19は、第1板状部405を背面側スリット117に挿入する前の状態を示す
図6のIV-IV矢視断面図である。
図20は、第1板状部405を背面側スリット117に挿入した状態を示す
図6のIV-IV矢視断面図である。
図21は、第2板状部406を前面側スリット116に挿入する前の状態を示す
図6のV-V矢視断面図である。
図22は、第2板状部406を前面側スリット116に挿入した状態を示す
図6のV-V矢視断面図である。
【0082】
図19から
図22において、
図19および
図21は、上梱包体100の鉛直方向である軸線Z方向の位置が同一位置である状態を示す。また、
図20および
図22は、上梱包体100の下梱包体200への取り付けが完了した梱包状態を示す。
図19および
図21に示すように、第1板状部405の幅方向の端部における鉛直方向の上端位置(第1高さ)Z1は、第2板状部406の幅方向の端部における鉛直方向の上端位置(第2高さ)Z3よりも高くなっている。そのため、上梱包体100を給湯器400に被せる際に、第1板状部405が背面側スリット117に到達した後に、第2板状部406が前面側スリット116に到達する。
【0083】
図19に示すように、上梱包体100を給湯器400に被せて鉛直方向の下方へ導くと、第1板状部405が背面側スリット117に到達する。第1板状部405の左側壁部20側の端部には、所定の曲率半径を有する形状の角部405aが形成されている。第1板状部405が背面側スリット117に到達した状態で、作業者が上梱包体100を下方に押し下げると、角部405aが背面側スリット117の端部に接触し、底面部63に左側壁部20へ向かう方向の外力F3を与える。外力F3が底面部63に作用するため、上梱包体100を下方に押し下げるのに従って第2側面部64が左側壁部20へ近接し、
図20に示す状態となる。
【0084】
図19では、左側壁部20が鉛直方向に配置されるとともに上面部61が水平方向に配置され、左側壁部20と上面部61とがなす角が直角(90°)となる。これは、第2差込部71が第2開口部61eに固定されたことにより、左側壁部20に対する上面部61の角度が固定されたためである。また、
図19に示すように、外力F3が底面部63に作用しない状態では、上面部61と第1側面部62とがなす角が鈍角となる。これは、第2側面部64が左側壁部20に固定されておらず、外力F3が底面部63に作用しない状態では、第2側面部64と左側壁部20との間に隙間が形成されるためである。外力F3が作用して第2側面部64が左側壁部20に接触すると、上面部61と第1側面部62とがなす角が直角(90°)となる。
【0085】
図20に示す状態においては、上梱包体100が下梱包体200に嵌め合わされた梱包状態となる。梱包状態において、背面側スリット117は、第1板状部405を収容する。そのため、背面側スリット117により、第1板状部405は給湯器400の前後方向に位置決めされた状態となる。
【0086】
図21に示すように、第1板状部405が背面側スリット117に到達した状態では、第2板状部406が前面側スリット116に到達していない。
図21に示す状態から上梱包体100を下方に押し下げると、外力F3が底面部63に作用するため第2側面部64が左側壁部20へ近接する。第2板状部406が前面側スリット116に到達するときには、前面側スリット116の端部が
図21よりも左側壁部20に近づくため、第2板状部406の前面側スリット116への挿入が容易となる。外力F3が底面部63に作用しないと、第2内側フラップ部60は、
図21に破線で示す位置に配置されるため、第2板状部406の前面側スリット116への挿入が困難となる。
【0087】
図21に示すように、第2板状部406の左側壁部20側の端部には、所定の曲率半径を有する形状の角部406aが形成されている。第2板状部406が前面側スリット116に到達した状態で、作業者が上梱包体100を下方に押し下げると、角部406aが前面側スリット116の端部に接触し、底面部63に左側壁部20へ向かう方向の外力を与える。外力が底面部63に作用するため、上梱包体100を下方に押し下げるのに従って第2側面部64が左側壁部20へ更に近接し、
図22に示す状態となる。
【0088】
図22に示す状態においては、上梱包体100が下梱包体200に嵌め合わされた梱包状態となる。梱包状態において、前面側スリット116は、第2板状部406を収容する。そのため、前面側スリット116により、第2板状部406は給湯器400の前後方向に位置決めされた状態となる。
【0089】
図6に示すように、第2板状部406を収容する前面側スリット116は、底面部63に形成された一端部における幅(第1幅)W3よりも第1側面部62に形成された他端部における幅(第2幅)W4が狭くなっている。これは、底面部63に形成された一端部における前面側スリット116の幅を広くして第2板状部406を前面側スリット116の一端部への挿入を容易にするためである。また、第1側面部62に形成された他端部における前面側スリット116の幅を狭くして給湯器400の前後方向の位置を高精度に位置決めするためである。
【0090】
作業者は、上梱包体100が下梱包体200に嵌め合わされた梱包状態とした後に、
図2に示すように梱包テープTを上梱包体100に貼り付け、結束バンドBで結束して梱包作業を終了する。
図2に示すように、作業者は、梱包テープTを、前壁部30と後壁部40と第2外側フラップ部80に対して、折曲線102,103と同じ給湯器400の前後方向に延びるように貼り付けて接合する。
【0091】
図2に示すように、梱包ユニット500の上面においては、梱包テープTが給湯器400の前後方向に延びるのに対して、結束バンドBは前後方向に直交する給湯器400の幅方向に延びている。結束バンドBは、梱包テープTに直交する方向に延びて梱包テープTを上方から押えるため、梱包テープTが剥がれることを防止することができる。
【0092】
図2に示すように、第2外側フラップ部80は、梱包ユニット500の上面の全面を覆う大きさとなっている。梱包ユニット500の上面に隙間が形成されないため、梱包ユニット500の上方から梱包ユニット500の内部に埃が侵入することを防止できる。この点、特許文献1の
図6,
図9に示す例では、2枚の切込28を差し込むために差込孔29の幅を2枚の切込28の厚さよりも幅広にする必要がある。この場合、2枚の切込28の間に隙間が生じ、内部に埃が侵入してしまう。内部に侵入する埃の影響を防ぐには、製品自体を袋等で包み込む必要がありコストが増加してしまう。
【0093】
特許文献1の
図11に示す梱包箱では、2枚のフラップを隙間なく配置した状態で梱包テープを貼り付けることにより、内部に埃が侵入することを防止することが可能である。しかしながら、梱包を行う作業者は、2枚のフラップと、その下方に配置される他の部分とを、両手で適切に位置決めした状態で梱包テープを貼り付ける必要がある。そのため、作業者の作業性が極めて悪い。それに対して、本実施形態では、第1外側フラップ部70が第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60の双方に固定された状態であるため、作業者がこれらを位置決めする必要がない。
【0094】
作業者は、第2外側フラップ部80の先端側の2つの角部の一方のみを第1外側フラップ部70の端部に位置合わせすることにより、第2外側フラップ部80の先端側の2つの角部と第1外側フラップ部70の両端部とを位置決めすることができる。作業者は、一方の手で第2外側フラップ部80の先端側の2つの角部の一方のみを第1外側フラップ部70の端部に位置合わせし、他の手で梱包テープTを貼り付けることができる。そのため、本実施形態では、特許文献1に比べて作業者の作業性が向上する。
【0095】
作業者は、梱包テープTを貼り付けた後に、梱包テープTの外側かつ梱包テープTの貼り付け方向と直交する方向(
図2の幅方向)配置するように梱包装置300の全周を結束バンドBで結束する。結束バンドBは、右側壁部10と左側壁部20と第1外側フラップ部70と第2外側フラップ部80と下梱包体200とを結束する。
【0096】
以上説明した本実施形態の梱包装置300が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態に係る梱包装置300によれば、上梱包体100の右側壁部10および左側壁部20の上方側端部に折曲線101,111を介して第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60が接続されている。第2内側フラップ部60には、折曲線111から順に、上面部61と、第1側面部62と、底面部63と、第2側面部64とが設けられている。第1側面部62および底面部63には、第1側面部62と底面部63の間の折曲線113と交差する前面側スリット116および背面側スリット117が形成されている。
【0097】
前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域において、折曲線113を折り曲げることにより、第1側面部62と底面部63とで給湯器400のR部407を支持する第1角部60aが形成される。第1角部60aを形成することにより、上梱包体100の右側壁部10に接続される第1内側フラップ部50と上梱包体100の左側壁部20に接続される第2内側フラップ部60を被梱包体の緩衝材として機能させることができる。
【0098】
また、本実施形態に係る梱包装置300によれば、底面部63および第2側面部64には、前面側スリット116および背面側スリット117に挟まれる領域の一部において、底面部63と第2側面部64の折曲線114と交差する一対の側面側スリット118,119が形成されている。一対の側面側スリット118,119に挟まれる領域において、折曲線114で折り曲げることにより、底面部63と第2側面部64とで第1角部60aを左側壁部20側から支持する第2角部60bされる。第2角部60bすることにより、第1角部60aの左側壁部20側が空間となる場合に比べ、給湯器400のR部407を強固に支持することができる。
【0099】
また、本実施形態に係る梱包装置300によれば、第1差込部61a,61cが第1開口部65a,65cよりも幅広であるため、第1差込部61a,61cを第1開口部65a,65cに差し込むことにより、第2内側フラップ部60の先端部65が第2内側フラップ部60の上面部61に固定された状態を保持することができる。そのため、第2内側フラップ部60が給湯器400の緩衝材として機能する状態が容易に維持される。
【0100】
また、本実施形態の梱包装置300によれば、第2差込部71,72が第2開口部61e,51eよりも幅広であるため、第2差込部71,72を第2開口部61e,51eに差し込むことにより、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60が第1外側フラップ部70に固定された状態を保持することができる。そのため、第1内側フラップ部50および第2内側フラップ部60において、第2外側フラップ部80を閉じていない状態においても、上面部61および底面部63を水平方向に近づけ、第1側面部62および第2側面部64を鉛直方向に近づけることができる。そのため、上梱包体100を下梱包体200に嵌め合わせて第1内側フラップ部および第2内側フラップ部で給湯器400を支持する作業が容易となる。
【0101】
また、本実施形態の梱包装置300によれば、給湯器400の背面403側に配置される第1板状部405と給湯器400の前面402側に配置される第2板状部406とが、背面側スリット117および前面側スリット116に収容される。そのため、第1板状部405と第2板状部406が背面側スリット117および前面側スリット116に収容された後は、給湯器400が梱包装置300内で前後方向に移動することが規制される。
【0102】
本実施形態の梱包装置300によれば、第1板状部405の幅方向の端部の位置Z1が第2板状部406の幅方向の端部の位置Z3よりも高いため、上梱包体100を給湯器400の上方から被せて下方へ導くと、第2板状部406よりも先に第1板状部405が背面側スリット117に収容される。後壁部40に接続される第1外側フラップ部70に第2差込部71,72が設けられているため、第1板状部405が収容される背面側スリット117は梱包装置300の左側壁部20に近接した状態となる。
【0103】
そのため、第1板状部405の背面側スリット117への挿入が容易であるとともに、第1板状部405を背面側スリット117へ挿入するにつれて第2側面部64が左側壁部20にさらに近接した状態となる。そして、第2側面部64が左側壁部20に近接した状態で第2板状部406が前面側スリット116に収容される。そのため、後壁部40から離れた位置においても第2板状部406の前面側スリット116への挿入が容易であるとともに、第2板状部406を前面側スリット116へ挿入するにつれて第2側面部64が左側壁部20に近接した状態となる。
【0104】
また、本実施形態の梱包装置300によれば、上梱包体100を給湯器400の上方から被せて下方へ導くと、給湯器400の第2板状部406が底面部63に形成された前面側スリット116の一端部へ収容される。その後、上梱包体100をさらに下方へ導くと、給湯器400の第2板状部406が第1側面部62に形成された前面側スリット116の他端部へ収容される。前面側スリット116の一端部が他端部よりも幅広であるため、給湯器400の第2板状部406を前面側スリット116の一端部へ容易に挿入することができる。また、前面側スリット116の他端部が一端部よりも幅狭であるため、第2板状部406を前面側スリット116の他端部へ収納することにより、給湯器400の前後方向の位置を高精度に位置決めすることができる。
【0105】
また、本実施形態の梱包装置300によれば、梱包テープTで前壁部30と後壁部40と第2外側フラップ部80を接合し、さらに梱包テープTの外側に結束バンドBが配置されるため、給湯器400を強固に梱包することができる。
【0106】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る梱包ユニットについて
図22および
図23を参照して説明する。第2実施形態の梱包ユニットは、第1実施形態の梱包ユニット500の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
図22は、第2実施形態に係る梱包ユニットの第2内側フラップ部60Dを示す部分拡大図である。
図23は、第2内側フラップ部60Dを組み立てた状態を示す
図22のIII-III矢視断面図である。
【0107】
第1実施形態の梱包ユニット500は、
図8に示すように、第1角部60aの下端に加わる外力を支持するように、底面部63を水平方向に配置して第1角部60aの下端に接続するものであった。それに対して、本実施形態の梱包ユニットは、第1角部60aの下端部よりも上方の位置で第1角部60aの下端に加わる外力を支持するものである。
【0108】
図22に示すように、底面部63および第2側面部64には、前面側スリット116と背面側スリット117が、折曲線113と折曲線114の双方と交差するように形成されている。また、底面部63および第2側面部64には、前面側スリット116と背面側スリット117に挟まれる領域の一部において、折曲線114と交差する一対の側面側スリット130,131が形成されている。前面側スリット116と側面側スリット130に挟まれる領域に山折りに折り曲げられる折曲線132が形成され、背面側スリット117と側面側スリット131に挟まれる領域に山折りに折り曲げられる折曲線133が形成されている。
【0109】
底面部63が折曲線132,133で山折りに折り曲げられるため、第1角部60aの下端よりも上方の位置に底面部63の水平方向に延びる部分が配置される。そのため、底面部63は、第1角部60aの下端部よりも上方の位置で第1角部60aの下端に加わる外力を支持することができる。
【0110】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る梱包ユニットについて
図24および
図25を参照して説明する。第3実施形態の梱包ユニットは、第1実施形態の梱包ユニット500の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとする。
図24は、第3実施形態に係る梱包ユニットの第2内側フラップ部60Eを示す部分拡大図である。
図25は、第2内側フラップ部60Eを組み立てた状態を示す
図24のIII-III矢視断面図である。
【0111】
第1実施形態の梱包ユニット500は、
図9に示すように、第1角部60aの上端に加わる外力を支持するように、第2側面部64を水平方向に配置して第2角部60bの上端を第1角部60aの上端に突き当てるものであった。それに対して、本実施形態の梱包ユニットは、第1角部60aの上端部よりも上方の位置に第2角部60bの上端を配置し、第2角部60bで第1角部60aの上端に加わる外力F2を支持するものである。
【0112】
図24に示すように、底面部63および第2側面部64には、前面側スリット116と背面側スリット117が、折曲線113と折曲線114の双方と交差するように形成されている。また、底面部63および第2側面部64には、前面側スリット116と背面側スリット117に挟まれる領域の一部において、折曲線114と交差する一対の側面側スリット134,135が形成されている。
【0113】
前面側スリット116と側面側スリット134に挟まれる領域に山折りに折り曲げられる折曲線136が形成され、背面側スリット117と側面側スリット135に挟まれる領域に山折りに折り曲げられる折曲線137が形成されている。
図25に示すように、第1角部60aの上端よりも上方の位置に第2角部60bの上端が配置される。そのため、第2角部60bで第1角部60aの上端に加わる外力F2を支持することができる。
【0114】
〔他の実施形態〕
以上説明した本実施形態において、第1外側フラップ部70は、給湯器400の前後方向の長さが第2外側フラップ部80よりも短いものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、第1外側フラップ部70の給湯器400の前後方向の長さを、第2外側フラップ部80と同じかほぼ同等の長さとしてもよい。このようにすることで、段ボール板材から切断して廃棄される端材が少なくなり、資源の無駄を減らすことができる。なお、本変形例において、第1外側フラップ部70には、
図4と同じ位置に第2差込部71,72を形成するものとする。
【0115】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0116】
10・・・右側壁部、 11・・・上方側端部、 20・・・左側壁部、 30・・・前壁部、 40・・・後壁部、 50・・・第1内側フラップ部、 51・・・上面部、 52・・・第1側面部、 53・・・底面部、 54・・・第2側面部、 55・・・先端部、 60・・・第2内側フラップ部、 60a・・・第1角部、 60b・・・第2角部、 61・・・上面部、 62・・・第1側面部、 63・・・底面部、 64・・・第2側面部、 65・・・先端部、 70・・・第1外側フラップ部、 80・・・第2外側フラップ部、 90・・・糊代部、 100・・・上梱包体、 100A・・・開口、 101~105・・・折曲線、 106,116・・・前面側スリット(第1スリット)、 107,117・・・背面側スリット(第1スリット)、 108,109・・・側面側スリット(第2スリット)、 111~115・・・折曲線、 121,122・・・折曲線(第2折曲線)、 200・・・下梱包体、 201・・側面、 202・・・凹所、 300・・・梱包装置、 400・・・給湯器(被梱包機器)、 401・・・側面、 402・・・前面、 403・・・背面、 404・・・上面、 405・・・第1板状部、 406・・・第2板状部、 407・・・R部、 500・・・梱包ユニット、 B・・・結束バンド、 T・・・梱包テープ