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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 53/00 20060101AFI20231031BHJP
   B65C 3/16 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65B53/00 B
B65B53/00 C
B65C3/16
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018206244
(22)【出願日】2018-11-01
(65)【公開番号】P2020070088
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】吉村 正登
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 栄哲
(72)【発明者】
【氏名】東野 次郎
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-156930(JP,A)
【文献】特開2006-076661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0318638(US,A1)
【文献】特開2005-313171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B53/00-55/24
B65C 1/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の端部と第二の端部を有し画像が印刷された長尺な一枚の平面状の熱収縮性フィルムがロール状に巻かれて形成されたロールから前記熱収縮性フィルムを引き出して供給する供給手段と、
平らな上面及び丸みが付けられた二つの側面を有し、前記供給手段によって供給された前記熱収縮性フィルムが巻き付けられる芯材と、
前記供給手段によって供給された前記熱収縮性フィルムを前記芯材の外周面に巻き付けながら前記熱収縮性フィルムの供給方向に垂直な幅方向の前記第一の端部と前記第二の端部を前記芯材の前記平らな上面の上で重ね合わせてチューブ状に丸めるガイド手段と、
前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部の上に前記熱収縮性フィルムの前記第二の端部を重ね合わせることによって前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部と前記第二の端部を互いに接着して筒状の熱収縮性チューブを形成するために前記芯材の前記平らな上面の上で前記熱収縮性フィルムの前記幅方向の前記第一の端部にホットメルト接着剤を塗布するホットメルト接着剤塗布装置と、
前記画像が印刷された筒状の熱収縮性ラベルを形成するために前記熱収縮性チューブを切断する切断機構と、
前記熱収縮性ラベルを容器に被せる嵌合機構と、
前記熱収縮性ラベルを前記容器に密着させるために前記熱収縮性ラベルを加熱する加熱装置と、
を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記供給手段は、前記ロールから前記熱収縮性フィルムを略水平状態で引き出して供給することを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記ホットメルト接着剤塗布装置は、
前記ホットメルト接着剤を供給するホットメルト接着剤供給装置と、
前記ホットメルト接着剤を前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部へ吐出する吐出装置と、
前記ホットメルト接着剤供給装置から前記吐出装置へ前記ホットメルト接着剤を移送する移送装置と、
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記移送装置は、前記ホットメルト接着剤供給装置から前記吐出装置へ前記ホットメルト接着剤を圧送するポンプを含むことを特徴とする請求項3に記載の包装装置。
【請求項5】
前記移送装置は、前記ホットメルト接着剤供給装置と前記吐出装置とを接続するホースを含み、
前記移送装置は、前記ホースを介して前記ホットメルト接着剤供給装置から前記吐出装置へ前記ホットメルト接着剤を移送することを特徴とする請求項3又は4に記載の包装装置。
【請求項6】
前記ホットメルト接着剤塗布装置は、前記包装装置が配置された床面の上を移動できるように移動手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項7】
前記熱収縮性フィルムに印刷された前記画像に形成されたマークの位置を検出するマークセンサを更に備え、
前記切断機構は、検出された前記マークの前記位置に基づく切断位置で前記熱収縮性チューブを切断することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項8】
前記芯材は、前記幅方向において分割された複数の部分を有し、前記幅方向における前記芯材の幅を変更できるように前記幅方向における前記複数の部分の距離を調整可能である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項9】
前記芯材は、前記丸みが付けられた二つの側面のうちの第一側面を有する第一端部分と、前記平らな上面を有する中央部分と、前記丸みが付けられた二つの側面のうちの第二側面を有する第二端部分と、を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項10】
前記芯材は、前記丸みが付けられた二つの側面のうちの第一側面と前記平らな上面を有する第一端部分と、前記丸みが付けられた二つの側面のうちの第二側面を有する第二端部分と、を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項11】
前記供給手段によって供給される前記熱収縮性フィルムの搬送速度に従って前記ホットメルト接着剤塗布装置によって塗布される前記ホットメルト接着剤の量を制御する制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項12】
前記ホットメルト接着剤は、前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部に塗布される第一の時点から前記切断機構によって前記熱収縮性チューブが切断される第二の時点までの間に硬化する速乾性を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項13】
前記ロールの前記熱収縮性フィルムには接着剤が塗布されていないことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項14】
前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部と前記第二の端部を互いに接着するために前記芯材の前記平らな上面の上で前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部の上に前記熱収縮性フィルムの前記第二の端部を押し付けるニップロールを更に備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性フィルムから形成された筒状の熱収縮性ラベルを容器に密着させる包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品内容などを表示する画像が形成されたシュリンクラベルを容器に接着する方法がある。シュリンクラベルは、長尺のシュリンクフィルムにラベル画像を印刷し、切断することにより形成される。長尺のシュリンクフィルムは、扁平な状態でロール状に巻き取られた状態で保管される。シュリンクラベルを容器に貼り付けるときに、ロールからシュリンクフィルムを繰り出しながら裁断してシュリンクラベルが形成される。しかし、シュリンクフィルムは、扁平な状態で折り畳まれているので両端部に折り癖が残る。この折り癖の発生を防止するために、特許文献1は、シュリンクフィルムをロールから繰り出しながら芯材の外周面に巻き付け、シュリンクフィルムの両端部を接着剤で接着して筒状のシュリンクチューブを形成し、カッターで所定の長さに切断してシュリンクラベルを形成し、シュリンクラベルを容器に被せ、加熱することによりシュリンクラベルを容器に貼り付けている。特許文献1は、シュリンクラベルが容器からずれることを防止するために感熱接着剤をシュリンクラベルの内面全体又は少なくとも一端側に塗布している。また、シュリンクフィルムの両端部を接着剤で接着するために、シュリンクフィルムの一端部に接着剤用ポンプの塗布ノズルから接着剤を塗布している。
【0003】
特許文献2は、シュリンクフィルムをロールから送り出しながらチューブ状に丸め、シュリンクフィルムの両端を融着してシュリンクチューブを形成し、シュリンクチューブを送りローラと圧着ローラで挟んで切断機構へ送り、切断機構によってシュリンクチューブを切断してシュリンクラベルを形成し、シュリンクラベルを嵌合機構によって開口して容器に被せ、加熱炉によってシュリンクラベルを容器に密着させている。特許文献2は、シュリンクフィルムの重ね合わせ部をヒートローラ又はスチールベルトとヒーターブロックによって加熱及び加圧して融着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-156930号公報
【文献】特開平3-212328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、シュリンクラベルが容器からずれることを防止するために感熱接着剤をシュリンクラベルの内面全体又は少なくとも一端側に塗布すると、シュリンクラベルを容器に被せるときに意図せずに自然接着してしまい生産に支障を生じるおそれがある。また、シュリンクラベルの内面全体に感熱接着剤が塗布されている場合、シュリンクラベルが加熱装置によって加熱され活性化されて容器に密着する工程を制御できず所定位置での接着精度が低くなるという欠点がある。
【0006】
また、シュリンクフィルムの重ね合わせ部をヒートローラ又はスチールベルトとヒーターブロックによって加熱及び加圧して融着する場合、加熱及び加圧によってシュリンクフィルムが変形することがある。そこで、加熱及び加圧による融着に耐え得る厚さのシュリンクフィルムを使用する必要があるため、投入可能なシュリンクフィルムの種類が制限されるという問題がある。さらに、使用可能なシュリンクフィルムが所定の厚さ以上のものに限定されてしまうことから、シュリンクフィルムの薄型化による生産性向上を図ることができないという問題がある。
【0007】
また、シュリンクフィルムの両端部を接着剤で接着する際に端部から接着剤がはみ出すことを防止するために、シュリンクフィルムの端部から離れた内側の面に接着剤が塗布される。そのため、シュリンクフィルムの両端部の接着部と端部との間に余白部分が生じる。この余白部分は、シュリンクした際に熱によりふやけてラベルの形状が歪んでしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、熱収縮性フィルムの幅方向の一端部にホットメルト接着剤を塗布することができる包装装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決する為に、本発明の一実施形態による包装装置は、
第一の端部と第二の端部を有し画像が印刷された長尺な一枚の平面状の熱収縮性フィルムがロール状に巻かれて形成されたロールから前記熱収縮性フィルムを引き出して供給する供給手段と、
平らな上面及び丸みが付けられた二つの側面を有し、前記供給手段によって供給された前記熱収縮性フィルムが巻き付けられる芯材と、
前記供給手段によって供給された前記熱収縮性フィルムを前記芯材の外周面に巻き付けながら前記熱収縮性フィルムの供給方向に垂直な幅方向の前記第一の端部と前記第二の端部を前記芯材の前記平らな上面の上で重ね合わせてチューブ状に丸めるガイド手段と、
前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部の上に前記熱収縮性フィルムの前記第二の端部を重ね合わせることによって前記熱収縮性フィルムの前記第一の端部と前記第二の端部を互いに接着して筒状の熱収縮性チューブを形成するために前記芯材の前記平らな上面の上で前記熱収縮性フィルムの前記幅方向の前記第一の端部にホットメルト接着剤を塗布するホットメルト接着剤塗布装置と、
前記画像が印刷された筒状の熱収縮性ラベルを形成するために前記熱収縮性チューブを切断する切断機構と、
前記熱収縮性ラベルを容器に被せる嵌合機構と、
前記熱収縮性ラベルを前記容器に密着させるために前記熱収縮性ラベルを加熱する加熱装置と、
を備えることを特徴とする。

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱収縮性フィルムの幅方向の第一の端部にホットメルト接着剤を塗布することができる。ホットメルト接着剤が熱収縮性フィルムの第一の端部により正確に塗布されるので、ラベルが容器にゆがんで密着することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】幅広のシュリンクフィルムのラベル面印刷工程、スリット工程及びロール形成工程の説明図。
図2】所定幅に切断されたシュリンクフィルムをそれぞれ巻き取った複数のロールを示す図。
図3】シュリンクラベルで容器を包装する包装装置を示す図。
図4】芯材を示す図。
図5】二分割された芯材を示す図。
図6】非分割型の一体の芯材を示す図。
図7】シュリンクラベルを容器に被せる工程及び熱収縮工程の説明図。
図8】シュリンクフィルムの接続の説明図。
図9】所定幅のシュリンクフィルムのロールからシュリンクチューブのロールを形成する参考例の説明図。
図10】参考例のシュリンクチューブのロールの説明図。
図11】参考例のシュリンクチューブ23の切断工程の説明図。
図12】参考例のシュリンクラベルを容器に被せる工程及び熱収縮工程の説明図。
図13】参考例のシュリンクチューブの接続の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を、実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
(ロール形成)
図1を参照して、幅広のシュリンクフィルム1にラベル画像2を印刷するラベル面印刷工程と幅広のシュリンクフィルム1に長いまっすぐな切り目(以下、スリットという)3を入れるスリット工程とロール形成工程を説明する。図1は、幅広のシュリンクフィルム1のラベル面印刷工程、スリット工程及びロール形成工程の説明図である。シュリンクフィルム1は、例えば、熱処理によって長手方向の変化が少なく幅方向に収縮する性質を有する熱収縮性フィルムであるとよい。本実施例において、シュリンクフィルム1は、40μm(マイクロメートル)の厚さを有する。しかし、シュリンクフィルム1の厚さは、40μmに限定されるものではなく用途に応じて35μm、45μmなどの適宜の値に設定される。
【0014】
幅広のシュリンクフィルム1は、矢印R1で示す方向に回転するロール4から繰り出される。幅広のシュリンクフィルム1は、搬送方向(供給方向)TDに搬送される。版胴5は、幅広のシュリンクフィルム1の表面にラベル画像2を印刷する(ラベル印刷工程)。ラベル画像2は、例えば、多色のグラビア印刷によって行われる。複数のスリッター(スリット刃)6は、搬送方向TDにおいて版胴5の下流に配置されている。複数のスリッター6は、搬送方向TDに搬送されている幅広のシュリンクフィルム1に複数のスリット3を入れ(スリット工程)、幅広のシュリンクフィルム1を複数の所定幅のシュリンクフィルム7に切断する。所定の幅は、例えば、ペットボトル1本用の幅である。複数の所定幅のシュリンクフィルム7は、それぞれ矢印R2で示す方向に回転するロール8に巻き取られる(ロール形成工程)。図2は、所定幅に切断されたシュリンクフィルム7をそれぞれ巻き取った複数のロール8を示す図である。ラベル印刷工程、スリット工程及びロール形成工程はシュリンクフィルム製造会社の工場内で行われ、ロール8はシュリンクフィルム製造会社から食品会社、飲料会社などの工場へ出荷される。なお、ラベル印刷工程、スリット工程及びロール形成工程は、安全上及び衛生上実施可能な設備等の環境を整備の上で、食品会社、飲料会社などの工場で行われてもよい。
【0015】
(筒状のシュリンクラベル形成)
食品会社、飲料会社などの工場では、可動式のホットメルト接着剤塗布装置50を工場内に配置したインラインで所定幅のシュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)7の連続チュービングが行われる。可動式のホットメルト接着剤塗布装置50は、工場内の既存のシュリンクフィルム7の連続チュービングラインに容易に配置することができる。図3を参照して、所定幅のシュリンクフィルム7にホットメルト接着剤を連続的に塗布してシュリンクフィルム7を筒状に丸めてシュリンクチューブ(熱収縮性チューブ)13を形成する胴貼り(チュービング)工程と、筒状のシュリンクチューブ13を切断してシュリンクラベル(熱収縮性ラベル)15を形成する切断工程を説明する。図3は、シュリンクラベル17で容器60を包装する包装装置80を示す図である。供給手段としてのモータ81は、長尺状のシュリンクフィルム7がロール状に巻かれたロール8を矢印R3で示す方向に回転し、ロール8から平面状の所定幅のシュリンクフィルム7を連続的に引き出して供給する。シュリンクフィルム7の内面には接着剤が塗布されていない。シュリンクフィルム7は、包装装置80が配置された床面83に対して略平行な姿勢である水平姿勢を維持した状態(略水平状態)でロール8から引き出され、供給される。平面状のシュリンクフィルム7の幅方向における一端部7aと他端部7bは、複数のガイドロール9及び一対のガイドバー10によって芯材11の外周面上に巻きつけられる。シュリンクフィルム7の一端部7aと他端部7bは、芯材11の外周面上で重ね合わされる。複数のガイドロール9及び一対のガイドバー10は、モータ81によって送り出されたシュリンクフィルム7を芯材11の外周面に巻き付けながらシュリンクフィルム7の長手方向両縁部を重ね合わせてチューブ状に丸めるガイド手段として機能する。
【0016】
シュリンクフィルム7の一端部7aの重なり代の上に、接着装置としてのホットメルト接着剤塗布装置50のコーティングヘッド51からホットメルト接着剤52が塗布される。シュリンクフィルム7がホットメルト接着剤52の熱で変形しないように、コーティングヘッド51は、ホットメルト接着剤52をシュリンクフィルム7の一端部7a上に薄く均一に塗布することができる。また、コーティングヘッド51は、シュリンクフィルム7の一端部7aに接触して所定幅のスリットからホットメルト接着剤52を吐出するので、接着部とシュリンクフィルム7の縁部との間に余白部分が生じないようにホットメルト接着剤52を一端部7aに塗布することができる。ホットメルト接着剤52が塗布された一端部7aの上に他端部7bが重ね合わされ、重ね合わせ部分(貼り合せ部分)をニップロール12で押し付ける。平面状のシュリンクフィルム7の両端部7a、7bを芯材11上で接着することにより、筒状のシュリンクチューブ13を形成する(胴貼り工程)。この方法で製造されたシュリンクチューブ13は、後工程で対象物の容器60に被せやすくするため、その後搬送ローラで挟んでつぶされたりロールに巻き取られたりすること無く自然なチューブを形成する。
【0017】
ラベル画像2には、マーク14が形成されている。マークセンサ15は、マーク14を検出して切断箇所を決定する。切断機構としてのカッター16は、切断箇所に基づいて、筒状のシュリンクチューブ13を輪切りの要領で切断し、シュリンクラベル17を形成する(切断工程)。ホットメルト接着剤52は、シュリンクチューブ13がカッター16で切断される前に、ニップロール12で押し付けられた後すぐに硬化する速乾性の接着剤であるとよい。
【0018】
(芯材)
以下、平面状のシュリンクフィルム7を筒状のシュリンクチューブ13にするために用いられる芯材11を説明する。図4は、芯材11を示す図である。芯材11は、搬送方向TDに垂直な幅方向WDに沿って取った断面が長円形状に形成されている。芯材11の上面は、平らに形成され、幅方向WDにおける両端部に丸みが付けられている。芯材11は、幅方向WDに三つに分割され、搬送方向TDに延在する第一端部分111、中央部分112及び第二端部分113からなる。第一端部分111の第一側面111a及び第二端部分113の第二側面113aは、芯材11の外周面にシュリンクフィルム7を巻きつけやすいように丸みが付けられている。中央部分112の上面112aは、平らに形成されている。コーティングヘッド51からシュリンクフィルム7の一端部7a上へホットメルト接着剤52を塗布しやすいように、シュリンクフィルム7の一端部7aは、中央部分112の平らな上面112aの上に載せられる。また、ホットメルト接着剤52が塗布されて重ね合わされた一端部7aと他端部7bの重ね合わせ部分は、中央部分112の平らな上面112aの上でニップロール12によって押し付けられる。
【0019】
芯材11は、シュリンクラベル17の直径に従って幅方向WDの幅を調整可能である。図4(a)は、最も小さな直径のシュリンクラベル17を製造するために第一端部分111、中央部分112及び第二端部分113が互いに接触した状態を示す図である。図4(b)は、大きな直径のシュリンクラベル17を製造するために第一端部分111、中央部分112及び第二端部分113が互いに離れた状態を示す図である。第一端部分111と第二端部分113の幅方向WDの距離をシュリンクラベル17の直径に従って調整することによって、種々の直径のシュリンクラベル17を製造することができる。このように、芯材11は、シュリンクラベル17の直径に従って幅が可変であるように構成されている。
【0020】
なお、芯材11は、三分割された構成に限らず、二分割された構成であってもよい。図5は、二分割された芯材21を示す図である。芯材21は、幅方向WDに二つに分割され、搬送方向TDに延在する第一端部分121及び第二端部分122からなる。第一端部分121の第一側面121a及び第二端部分122の第二側面122aは、芯材21の外周面にシュリンクフィルム7を巻きつけやすいように丸みが付けられている。第一端部分121は、第二端部分122より幅方向WDに大きな幅を有する。第一端部分121は、シュリンクフィルム7の一端部7aと他端部7bの重ね合わせ部分が載せられる平らな上面121bが形成されている。図5(a)は、第一端部分121と第二端部分122が互いに接触した状態を示す図である。図5(b)は、シュリンクラベル17の直径に従って第一端部分121と第二端部分122の幅方向WDの距離を調整するために第一端部分121と第二端部分122が互いに離れた状態を示す図である。
【0021】
また、芯材11は、幅方向WDにおいて分割された複数の部分により構成されるものに限らず、非分割型の一体の構成であってもよい。図6は、非分割型の一体の芯材31を示す図である。芯材31は、平らな上面31aと、丸みが付けられた側面31b及び31cが形成されている。なお、芯材31の幅方向WDに沿って取った断面形状は、長円に限らず、上面が平らで側面に丸みが付けられていればどのような形状であってもよい。
【0022】
(速度追従制御)
以下、シュリンクフィルム7の搬送速度に従って吐出装置(ディスペンサ)としてのコーティングヘッド51から吐出されるホットメルト接着剤52の吐出量を調整する速度追従制御を説明する。図3に示すように、ホットメルト接着剤塗布装置50は、固形のホットメルト接着剤を溶融するメルター(ホットメルト接着剤供給装置)54、溶融したホットメルト接着剤を吐出するコーティングヘッド51、メルター54とコーティングヘッド51を接続し、メルター54からコーティングヘッド51へ溶融したホットメルト接着剤を移送する移送装置としてのホットメルトホース56、メルター54を移動可能に支持するコロや車輪などの移動手段としてのキャスター(移動用部品)58を有する。メルター54は、包装装置80が配置された床面83の上をキャスター58によって移動可能である。メルター54は、ホットメルト接着剤塗布装置50を制御する制御手段としてのCPU55と、メルター54からコーティングヘッド51へホットメルト接着剤を圧送するギアポンプ57を有する。CPU55は、ギアポンプ57の回転速度を制御することによってギアポンプ57から吐出されるホットメルト接着剤の吐出量を調整する。ギアポンプ57から吐出されたホットメルト接着剤は、ホットメルトホース56を通りコーティングヘッド51からシュリンクフィルム7へ吐出される。コーティングヘッド51は、可撓性のホットメルトホース56を介してメルター54に接続されているので、コーティングヘッド51の位置を容易に調整することができる。
【0023】
ロール8の回転軸には、ロータリーエンコーダ53が設けられている。ロータリーエンコーダ53の検出信号は、ホットメルト接着剤塗布装置50のメルター54に設けられたCPU55へ入力される。CPU55は、ロータリーエンコーダ53の検出信号に基づいてロール8の回転角および角速度を算出する。シュリンクフィルム7の搬送長さは、ロール8の回転角にロール8の外径を乗ずることによって得られる。しかし、ロール8の外径は、シュリンクフィルム7の搬送長さが長くなればなるほど低減するので、ロール8から引き出されたシュリンクフィルム7の搬送長さからロール8の外径を算出する。ロール8の角速度にロール8の外径を乗ずることによってロール8の周速度すなわちシュリンクフィルム7の搬送速度を算出する。なお、ロール8から引き出されるシュリンクフィルム7のラベル画像2に設けられた速度検出マークを検出することによってシュリンクフィルム7の搬送速度を検出してもよい。
【0024】
CPU55は、シュリンクフィルム7の搬送速度に基づいてギアポンプ57の回転速度を制御することによってギアポンプ57から吐出されるホットメルト接着剤の吐出量を調整する。このように搬送速度に従ってホットメルト接着剤の吐出量を調整することができるので、シュリンクフィルム7の搬送速度が変化してもホットメルト接着剤を一定量でシュリンクフィルム7の一端部7aに塗布することができる。
【0025】
(熱収縮工程)
図7は、シュリンクラベル17を容器60に被せる工程及び熱収縮工程の説明図である。図7(a)及び図7(b)に示すように、筒状のシュリンクラベル17を嵌合機構82(図3)によって容器60に被せる。容器60は、例えば、ペットボトル、瓶、缶、テーパー状の容器などである。シュリンクラベル17を被せられた容器60をスチームトンネルなどの加熱装置70(図3)に通し、熱によってシュリンクラベル17を収縮させて容器60にぴったり密着させる。
【0026】
(接続工程)
図8は、シュリンクフィルム7の接続の説明図である。シュリンクフィルム7がロール8から搬送方向TDに搬送され、シュリンクフィルム7の後端7tが引き出されると、次のロール8の先端7lに後端7tが接着される。これによって、ロール8がなくなっても容器60にシュリンクラベル17を取り付ける装置を停止させたり速度を低下させたりする必要がないので、生産性を向上させることができる。
【0027】
本実施の形態によれば、シュリンクフィルム7がホットメルト接着剤52の熱で変形しないようにホットメルト接着剤52をシュリンクフィルム7に薄く塗布することができる。よって、シュリンクフィルム7が薄い場合であっても本実施形態を適用することができる。
【0028】
(参考例)
本実施形態においては、一枚の平面状(平板状)のシュリンクフィルム7を巻き取ったロール8から形成される筒状のシュリンクチューブ13を巻き取らずに切断して、筒状のシュリンクラベル17を形成し、そのまま容器60に被せて加熱によって収縮させて容器60にシュリンクラベル17をぴったりと取り付けている。しかし、シュリンクフィルム7を筒状のシュリンクチューブ23にした後、すぐに切断せずに巻き取ってロール18を形成し、シュリンクチューブ23のロール18をシュリンクフィルム製造会社から食品会社、飲料会社などの工場へ出荷することがある。以下、シュリンクチューブ23のロール18からシュリンクラベルを形成し、容器60へ取り付ける参考例を説明する。
【0029】
(参考例のシュリンクチューブのロール形成)
図9は、所定幅のシュリンクフィルム7のロール8からシュリンクチューブ13のロール18を形成する参考例の説明図である。ロール8は、矢印R3で示す方向に回転され、ロール8から平面状の所定幅のシュリンクフィルム7が連続的に搬送方向TDに繰り出される。平面状のシュリンクフィルム7の幅方向における一端部7aと他端部7bは、断面円形の芯材41の外周面上に巻きつけられる。シュリンクフィルム7の一端部7a上に、コーティングヘッド71から常温接着剤又は二液性接着剤72が塗布される。常温接着剤又は二液性接着剤72が塗布された一端部7aの上に他端部7bが重ね合わされて両端部7a、7bを芯材41上で接着することにより、筒状のシュリンクチューブ23を形成する。シュリンクチューブ23は、矢印R4で示す方向に巻き取られてロール18にされる。シュリンクチューブ23のロール18は、シュリンクフィルム製造会社から食品会社、飲料会社などの工場へ出荷される。
【0030】
図10は、参考例のシュリンクチューブ23のロール18の説明図である。図10(a)は、幅方向WDに沿って取ったシュリンクチューブ23の断面図である。シュリンクチューブ23は、平らにつぶされている。シュリンクチューブ23の幅方向WDの両端部23a、23bには、折り目が形成される。本実施例において、シュリンクフィルム7の厚さは、40μmである。シュリンクチューブ23の両端部23a、23bの厚さは、80μmである。接着剤で接着された重ね合わせ部分23cの厚さは、120μmである。図10(a)に示すように、平らにつぶされたシュリンクチューブ23の中央部分は、幅方向WDの両側部分のより厚くなる。図10(b)は、シュリンクチューブ23を巻き取ったロール18の側面図である。図10(c)は、図10(b)の線XC-XCに沿って取ったロール18の縦断面図である。シュリンクチューブ23の重ね合わせ部分23cが厚いので、シュリンクチューブ23のロール18は、中央部分に節状の突起18aが形成される。
【0031】
(参考例のシュリンクラベル形成)
食品会社、飲料会社などの工場では、ロール18から繰り出されるシュリンクチューブ23を切断して、シュリンクラベル24を形成する。図11は、参考例のシュリンクチューブ23の切断工程の説明図である。ロール18は、矢印R5で示す方向に回転され、ロール18から平らにつぶされたシュリンクチューブ23が連続的に繰り出される。カッター16は、マークセンサ15がマーク14を検出して決定した切断箇所に基づいて、シュリンクチューブ23を切断し、シュリンクラベル24を形成する。
【0032】
(参考例の熱収縮工程)
図12は、参考例のシュリンクラベル24を容器60に被せる工程及び熱収縮工程の説明図である。参考例のシュリンクラベル24は、長時間ロール状に巻かれていたため平らにつぶれている。シュリンクラベル24を容器60に被せるために、図12(a)に示すように、平らにつぶれたシュリンクラベル24を物理的、強制的に広げて円筒状にする。図12(b)及び図12(c)に示すように、筒状のシュリンクラベル24を容器60に被せる。シュリンクラベル24を被せられた容器60を加熱装置に通して、熱によってシュリンクラベル24を収縮させ容器60にぴったり取り付ける。
【0033】
(参考例の接続工程)
図13は、参考例のシュリンクチューブ23の接続の説明図である。シュリンクチューブ23がロール18から搬送方向TDに搬送され、シュリンクチューブ23の後端23tが引き出されると、次のロール18の先端23lに後端23tが接着される。これによって、ロール18がなくなっても容器60にシュリンクラベル24を取り付ける装置を停止させたり速度を低下させたりする必要がないので、生産性を向上させることができる。
【0034】
(本実施形態と参考例との対比)
本実施形態によれば、参考例のシュリンクチューブ23を巻き取ってロール18にするロール形成工程を省略することができる。本実施形態は、これによって、生産性の向上とコストの低減を図っている。参考例のように、厚さ40μmのシュリンクフィルム7から形成された筒状のシュリンクチューブ23をロール18に巻き取った場合、シュリンクチューブ23の重ね合わせ部分23cは、120μm(=40μm+40μm+40μm)の厚みになる。これに対して、本実施形態によれば、ロール8にされるシュリンクフィルム7は、均一な厚さ40μmの平面状であり、参考例のように厚みのある重ね合わせ部分23cがない。
【0035】
参考例のようにシュリンクチューブ23を巻き取ってロール18を形成すると、図10(c)に示すように節状の突起(厚み)18aが形成される。これに対して、本実施形態によれば、シュリンクチューブ13を巻き取ってロールを形成する必要がない。参考例では、シュリンクチューブ23を巻き取ったロール18を工場へ出荷する。参考例のロール18は突起18aがあるためロール18の直径が大きくなり、長いシュリンクチューブ23を巻くことができない。これに対して、本実施形態によれば、シュリンクフィルム7のロール8そのものを出荷する。本実施例では、ロール8に突起ができることがないので、参考例のロール18のシュリンクチューブ23より長いシュリンクフィルム7を巻き取ったロール8を出荷することができる。
【0036】
参考例のようにシュリンクチューブ23を巻き取ってロール18を形成すると、図10(a)に示すようにシュリンクチューブ23が封筒のように両端部23a、23bに強い折り目が形成される。これに対して、本実施形態によれば、シュリンクチューブ13を巻き取ってロールを形成する必要がないので、シュリンクチューブ13に折り目が形成されることはない。参考例のシュリンクチューブ23は長時間ロール18に巻かれているので、所定の長さのシュリンクラベル24に切断された後、容器60に被せる前にシュリンクラベル24を図12(a)に示すように物理的、強制的に広げる必要がある。これに対して、本実施形態によれば、シュリンクチューブ13を切断してシュリンクラベル17にした後、シュリンクラベル17を容器60に被せるので、シュリンクラベル17に折り目が付くことがない。従って、シュリンクラベル17を物理的、強制的に広げる必要がない。
【0037】
参考例においては、図13に示すように筒状のシュリンクチューブ23同士をつなぎ合わせるので、シュリンクチューブ23同士のつなぎの貼り合せ部が厚くなる。筒状のシュリンクチューブ23の重ね合わせ部分23cが厚いからである。そのため、多数の筒状のシュリンクチューブ23をつなぎ合せて長いシュリンクチューブにすることが難しい。筒状のシュリンクチューブ23同士のつなぎの貼り合せ部が厚くなるので、つなぎ合わせた筒状のシュリンクチューブ23をロール18にすると、ロール形状が歪んでしまうことがある。一つのロール18のシュリンクチューブ23の長さを長くすることが難しいのでシュリンクチューブ23の長さを短くしているため、次のロール18との交換接続頻度(回数)が多くなってしまう。接続頻度の増大は、生産性を低減させる。これに対して、本実施例によれば、平面状のシュリンクフィルム7のロール8を使用することができるので、シュリンクフィルム7の長さを長くすることができ、ロール8の交換接続頻度を少なくすることができる。これによって、生産性を増大することができる。
【0038】
参考例においては、図13に示すように筒状のシュリンクチューブ23同士をつなぎ合わせるのでつなぎ合わせ部分が変形しやすい。そのため、筒状のシュリンクチューブ23同士をつなぎ合わせる時にシュリンクチューブ23の搬送速度を低下させる必要があり、生産性が低下する。これに対して、本実施例によれば、平面状のシュリンクフィルム7同士をつなぎ合わせるのでつなぎ合わせ部分が変形しにくい。したがって、平面状のシュリンクフィルム7同士をつなぎ合わせるときにシュリンクフィルム7の搬送速度を低下させる必要がなく生産性を向上することができる。
【0039】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0040】
7・・・シュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)
8・・・ロール
9・・・ガイドロール(ガイド手段)
10・・・ガイドバー(ガイド手段)
11・・・芯材
13・・・シュリンクチューブ(熱収縮性チューブ)
15・・・シュリンクラベル(熱収縮性ラベル)
16・・・カッター(切断機構)
50・・・ホットメルト接着剤塗布装置
52・・・ホットメルト接着剤
60・・・容器
70・・・加熱装置
80・・・包装装置
81・・・モータ(供給手段)
82・・・嵌合機構
TD・・・搬送方向(供給方法)
WD・・・幅方向
図1
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