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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】耐火パネルの連結構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20231031BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20231031BHJP
   E04B 1/68 20060101ALI20231031BHJP
   E04C 2/30 20060101ALI20231031BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20231031BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
E04B2/74 501L
E04B2/74 551E
E04B1/94 K
E04B1/94 X
E04B1/68 B
E04C2/30 D
E04B2/56 601A
E04B2/56 621L
E04B2/56 645F
E04F13/12 101G
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019110905
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020204159
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511054466
【氏名又は名称】日創プロニティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光夫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 鋼次
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実公平06-049727(JP,Y2)
【文献】特開2008-121213(JP,A)
【文献】特開2019-060211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
E04B 2/56 - 2/70
E04B 2/74
E04B 2/88 - 2/96
E04F 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に間隙を存する状態で設けられる前後一対の金属製の表面板と、該両表面板のあいだに充填される耐火断熱性のある芯材とを備えて構成される耐火パネルの左右に隣接する連結端縁部同士を突き合わせて一連状に連結するための耐火パネルの連結構造であって、
芯材は、耐火パネル同士を一連状に連結した状態で前後方向中央部位が互いに当接または略当接状態で対向する第一、第二対向面部を備え、
前後の表面板は、耐火パネルの前後表面を構成する本体面部と、該本体面部から延長され、前記隣接する耐火パネル同士を連結したときに互いに対向する第一、第二延長面部とを備え、
前記前後の第一延長面部には、外側片が本体面部から他方の耐火パネル側に向けて延出し、内側片が外側片の延出先端縁から前後方向内側に折返し形成された延出片部と、前記内側片に続く片部が前後方向外側の側片を構成する嵌合用凹溝部とが第一対向面部の前後方向外側に位置する状態で設けられ、
前記前後の第二延長面部には、前記延出片部が外嵌するべく前後方向内側に位置するよう本体面部から続く状態で形成された外嵌片部と、該外嵌片部から続くものが前後方向外側片になって前記嵌合用凹溝部に当接または略当接状態で内嵌する嵌合用凸状部とが第二対向面部の前後方向外側に設けられ、
前記第一、第二延長面部のうちの少なくとも一方の延長面部には、嵌合用凹溝部および/または嵌合用凸状部の前後方向内側側片の先端縁から前後方向内側に向けて折曲されていて、前記互いに対向する第一、第二対向面部のあいだに、前後方向中央部位までには至らない中途位置までの範囲で挟持される挟持片部が設けられ、
挟持片部は、前記第一、第二延長面部の何れか一方にのみ設けられていることを特徴とする耐火パネルの連結構造。
【請求項2】
前後方向に間隙を存する状態で設けられる前後一対の金属製の表面板と、該両表面板のあいだに充填される耐火断熱性のある芯材とを備えて構成される耐火パネルの左右に隣接する連結端縁部同士を突き合わせて一連状に連結するための耐火パネルの連結構造であって、
芯材は、耐火パネル同士を一連状に連結した状態で前後方向中央部位が互いに当接または略当接状態で対向する第一、第二対向面部を備え、
前後の表面板は、耐火パネルの前後表面を構成する本体面部と、該本体面部から延長され、前記隣接する耐火パネル同士を連結したときに互いに対向する前後の第一、第二延長面部とを備え、
前記前後の第一延長面部には、外側片が本体面部から他方の耐火パネル側に向けて延出し、内側片が外側片の延出先端縁から前後方向内側に折返し形成された延出片部と、前記内側片に続く片部が前後方向外側の側片を構成する嵌合用凹溝部とが第一対向面部の前後方向外側に位置する状態で設けられ、
前記前後の第二延長面部には、前記延出片部が外嵌するべく前後方向内側に位置するよう本体面部から続く状態で形成された外嵌片部と、該外嵌片部から続くものが前後方向外側片になって前記嵌合用凹溝部に当接または略当接状態で内嵌する嵌合用凸状部とが第二対向面部の前後方向外側に設けられ、
前記前後の第一、第二延長面部は、耐火パネル同士を左右に一連状に連結した状態で、互いに第一、第二対向面部を越えて隣接する耐火パネル側に前後対称状で延出し
前後の第一、第二延長面部の第一、第二対向面部を越えた左右方向の延出は、該第一、第二対向面部に設けた目地用凹溝部に嵌入の目地板材を越えないことを特徴とする耐火パネルの連結構造。
【請求項3】
互いに対向する第一延長面部の延出片部外側片から嵌合用凹溝部の内側片までの幅は、耐火パネルの厚さの1/4以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の耐火パネルの連結構造。
【請求項4】
前記第一、第二延長面部のうちの少なくとも一方の延長面部には、嵌合用凹溝部および/または嵌合用凸状部の前後方向内側側片の先端縁から前後方向内側に向けて折曲されていて、前記互いに対向する第一、第二対向面部のあいだに、前後方向中央部位までには至らない中途位置までの範囲で挟持される挟持片部が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の耐火パネルの連結構造。
【請求項5】
延出片部外側片から挟持片部の内側端までの幅は、耐火パネルの厚さの1/3以下に設定されていることを特徴とする請求項4記載の耐火パネルの連結構造。
【請求項6】
挟持片部は、第一延長面部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の耐火パネルの連結構造。
【請求項7】
前後の第一、第二延長面部の第一、第二対向面部を越えた左右方向の延出は、該第一、第二対向面部に設けた目地用凹溝部に嵌入の目地板材を越えないことを特徴とする請求項1、請求項1を引用する請求項3、または請求項6記載の耐火パネルの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや倉庫等の建造物に設けられる耐火区画等の区画を形成するため用いられる耐火パネルの連結構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、耐火区画、防火区画、排煙区画、避難区画等の区画を形成するため耐火パネルが採用されることがあるが、この場合に、左右に隣接する耐火パネル同士を一連状に連結して耐火用の間仕切り壁を構築することがある。この様な場合に採用される耐火パネルとして、例えば、表裏一対の金属製の表面板(表裏面板)間に耐火断熱性のある芯材を充填してパネル状に形成したものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
ところで、前記一対の表面板間に耐火断熱性の芯材を充填して形成された耐火パネルを用いて耐火性のある間仕切り壁(間仕切り)を形成する場合、耐火パネル同士の連結部位での耐火性能が問題になる。つまり、このような間仕切り壁で仕切られている一方側の空間において火災が発生した場合に、耐火パネルは、該火災発生側では、高熱により表面板と芯材との接着が剥がれると共に表面板が変形したりし、これにより耐火パネル同士の連結部に隙間が生じて該隙間から火炎や熱、煙が火災非発生側の空間に移って延焼(類焼)してしまうという惧れがある。
そこで前記特許文献1、2のように、隣接する耐火パネル同士の連結部に互いに雄雌嵌合する凸状部と凹部とを形成すると共に、これら凹凸嵌合部位に充填材を充填した構成にし、この充填材を耐火断熱性がある素材で構成して連結部を、火災時でも耐火性の維持を図るように配慮することが提唱される。
しかしながら前記特許文献1のものでは、凹凸嵌合部位に充填材が充填されているため凹凸嵌合部同士が直接嵌合していないため、どうしても強度的に弱く、火災時の高温(例えば、500度以上)を受けて凹凸嵌合部位の外面(外殻)を形成する金属製の表面板が変形(特に前後方向外方に開く状態に変形)したときに、凹凸嵌合構造の維持ができないことになって耐火断熱性が早期に損なわれてしまう惧れがあるうえ、凹凸嵌合部位の前後間に設けられる充填材のない空間を通して熱が前後に伝達されることになって、ここにおいても耐火断熱性が損なわれてしまう要因がある。これに対し特許文献2のものは、充填材が引用文献1のような隙間がない状態で設けられているが、このものにおいても火災時の高熱に曝されることで大きく熱膨張した表面板同士の雄雌嵌合状態の連結が外れて耐火パネル同士の連結部に隙間が生じてしまう惧れがある。
そこで耐火パネル同士の連結部を、隣接する芯材間に隙間を形成し、該隙間に耐火断熱材を凹溝部が前後両側に形成される状態で介装すると共に、該凹溝部の溝底において互いに積層する一対の表面板の端縁部同士を螺子固定した後、凹溝部に蓋材を嵌入することで凹溝部の蓋をする構成にし、これによって連結部の強度確保を図るようにして、耐火パネル同士の連結部が高熱に曝されたときに形状維持を可及的に図れるようにして火災発生側から火災非発生側への延焼を防止できる構成にしたものが提唱されている(例えば特許文献3(特に図7のもの)参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公平6-49727号公報
【文献】特開2011-12435号公報
【文献】特許第5721383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記特許文献3のものは、連結部において互いに積層する表面板同士を螺子固定により一体化して強度アップを図る構成にしているため、要求される耐火性能を発揮できる製品の提供が図れ、実用化されてはいるものの、このものは隣接する芯材同士の隙間に耐火断熱材を凹溝部が形成される状態で介装すると共に、該凹溝部の溝底において互いに積層する一対の表面板の端縁部同士を螺子固定した後、凹溝部に蓋材を嵌入する構成になっているため、部品点数が増加するだけでなく、建付け現場で行われる耐火パネル同士の連結作業の作業性が劣るものとなるだけでなく、コスト高になってしまう等の問題があってさらに改善することが要求され、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、前後方向に間隙を存する状態で設けられる前後一対の金属製の表面板と、該両表面板のあいだに充填される耐火断熱性のある芯材とを備えて構成される耐火パネルの左右に隣接する連結端縁部同士を突き合わせて一連状に連結するための耐火パネルの連結構造であって、芯材は、耐火パネル同士を一連状に連結した状態で前後方向中央部位が互いに当接または略当接状態で対向する第一、第二対向面部を備え、前後の表面板は、耐火パネルの前後表面を構成する本体面部と、該本体面部から延長され、前記隣接する耐火パネル同士を連結したときに互いに対向する第一、第二延長面部とを備え、前記前後の第一延長面部には、外側片が本体面部から他方の耐火パネル側に向けて延出し、内側片が外側片の延出先端縁から前後方向内側に折返し形成された延出片部と、前記内側片に続く片部が前後方向外側の側片を構成する嵌合用凹溝部とが第一対向面部の前後方向外側に位置する状態で設けられ、前記前後の第二延長面部には、前記延出片部が外嵌するべく前後方向内側に位置するよう本体面部から続く状態で形成された外嵌片部と、該外嵌片部から続くものが前後方向外側片になって前記嵌合用凹溝部に当接または略当接状態で内嵌する嵌合用凸状部とが第二対向面部の前後方向外側に設けられ、前記第一、第二延長面部のうちの少なくとも一方の延長面部には、嵌合用凹溝部および/または嵌合用凸状部の前後方向内側側片の先端縁から前後方向内側に向けて折曲されていて、前記互いに対向する第一、第二対向面部のあいだに、前後方向中央部位までには至らない中途位置までの範囲で挟持される挟持片部が設けられ、挟持片部は、前記第一、第二延長面部の何れか一方にのみ設けられていることを特徴とする耐火パネルの連結構造である。
請求項2の発明は、前後方向に間隙を存する状態で設けられる前後一対の金属製の表面板と、該両表面板のあいだに充填される耐火断熱性のある芯材とを備えて構成される耐火パネルの左右に隣接する連結端縁部同士を突き合わせて一連状に連結するための耐火パネルの連結構造であって、芯材は、耐火パネル同士を一連状に連結した状態で前後方向中央部位が互いに当接または略当接状態で対向する第一、第二対向面部を備え、前後の表面板は、耐火パネルの前後表面を構成する本体面部と、該本体面部から延長され、前記隣接する耐火パネル同士を連結したときに互いに対向する前後の第一、第二延長面部とを備え、前記前後の第一延長面部には、外側片が本体面部から他方の耐火パネル側に向けて延出し、内側片が外側片の延出先端縁から前後方向内側に折返し形成された延出片部と、前記内側片に続く片部が前後方向外側の側片を構成する嵌合用凹溝部とが第一対向面部の前後方向外側に位置する状態で設けられ、前記前後の第二延長面部には、前記延出片部が外嵌するべく前後方向内側に位置するよう本体面部から続く状態で形成された外嵌片部と、該外嵌片部から続くものが前後方向外側片になって前記嵌合用凹溝部に当接または略当接状態で内嵌する嵌合用凸状部とが第二対向面部の前後方向外側に設けられ、前記前後の第一、第二延長面部は、耐火パネル同士を左右に一連状に連結した状態で、互いに第一、第二対向面部を越えて隣接する耐火パネル側に前後対称状で延出し、前後の第一、第二延長面部の第一、第二対向面部を越えた左右方向の延出は、該第一、第二対向面部に設けた目地用凹溝部に嵌入の目地板材を越えないことを特徴とする耐火パネルの連結構造である。
請求項3の発明は、互いに対向する第一延長面部の延出片部外側片から嵌合用凹溝部の内側片までの幅は、耐火パネルの厚さの1/4以下に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の耐火パネルの連結構造である。
請求項4の発明は、前記第一、第二延長面部のうちの少なくとも一方の延長面部には、嵌合用凹溝部および/または嵌合用凸状部の前後方向内側側片の先端縁から前後方向内側に向けて折曲されていて、前記互いに対向する第一、第二対向面部のあいだに、前後方向中央部位までには至らない中途位置までの範囲で挟持される挟持片部が設けられていることを特徴とする請求項2または3記載の耐火パネルの連結構造である。
請求項5の発明は、延出片部外側片から挟持片部の内側端までの幅は、耐火パネルの厚さの1/3以下に設定されていることを特徴とする請求項4記載の耐火パネルの連結構造である。
請求項6の発明は、挟持片部は、第一延長面部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の耐火パネルの連結構造である。
請求項7の発明は、前後の第一、第二延長面部の第一、第二対向面部を越えた左右方向の延出は、該第一、第二対向面部に設けた目地用凹溝部に嵌入の目地板材を越えないことを特徴とする請求項1、請求項1を引用する請求項3、または請求項6記載の耐火パネルの連結構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2の発明とすることにより、耐火パネル同士の連結部として、芯材同士が前後方向中央部位において互いに当接または略当接する状態で対向している部位の前後方向外側において、耐火パネルの前後表面になる表面板の本体面部から延長形成された第一、第二延長面部同士が、これらに形成された延出片部と外嵌片部との嵌合、そしてその内側の嵌合用凹溝部と嵌合用凸状部との嵌合による内外二重の嵌合構造を備えた連結構造になるため、高熱によく耐えて変形しずらく、また変形したとしても両延長片部同士の積層構造を可及的に維持できるものとなり、この結果、優れた耐火断熱構造を備えた耐火パネル同士の連結構造の提供を、芯材同士の対向面部に耐火断熱材を充填する必要もなく、かつ螺子固定するような面倒な作業を不要にしてできることになる。
しかも第一、第二延長面部の互いに嵌合する嵌合用凹溝部および/または嵌合用凸状部の内側片部から、第一、第二対向面部のあいだに挟持される挟持部が前後方向中央部位には至らない状態で設けられているため、挟持片部により互いに嵌合する嵌合用の凹溝部および凸状部の形状維持と、強度アップが図れながら、耐火パネルの前後両側に設けられる表面板同士の連結が中央部位で分断されたヒートブリッジがないものとなって耐火性が損なわれることを回避できることになる。
そのうえ請求項1の発明では、挟持片部は、第一、第二延長面部の一方にのみ形成された一枚板構造になるため、前述したように嵌合用の凹溝部および凸状部の形状維持と、強度アップが図れながら、火災発生側からの熱伝導を低減できることになって耐火断熱性が損なわれることを低減できることになる。
また請求項2の発明とすることにより、前記前後の第一、第二延長面部が、耐火パネル1同士を左右に一連状に連結した状態で、互いに第一、第二対向面部を越えて隣接する耐火パネル側に前後対称状で延出していることから優れた耐火性能を発揮できることになる。しかも耐火パネルの厚さ方向中央部位には、不燃の目地板材が、前後の第一、第二延長面部よりも延出した状態で嵌入組込みされることになって、より優れた耐火性能を、強度アップが図れながら達成できることになる。
請求項3の発明とすることにより、互いに対向する第一延長面部の延出片部外側片から嵌合用凹溝部の内側片までの幅が、耐火パネルの厚さの1/4以下であることになって、芯材の第一、第二対向面部同士の対向部位が、耐火パネルの厚さ中心側においてパネル厚の1/2以上の幅で確保できることになって、互いに対向する状態で嵌合する第一延長面部がありながら、高い耐火断熱性を発揮できることになる。
請求項4の発明とすることにより、第一、第二延長面部の互いに嵌合する嵌合用凹溝部および/または嵌合用凸状部の内側片部から、第一、第二対向面部のあいだに挟持される挟持部が前後方向中央部位には至らない状態で設けられているため、挟持片部により互いに嵌合する嵌合用の凹溝部および凸状部の形状維持と、強度アップが図れながら、耐火パネルの前後両側に設けられる表面板同士の連結が中央部位で分断されたヒートブリッジがないものとなって耐火性が損なわれることを回避できることになる。
請求項5の発明とすることにより、前記形成される挟持片部までの耐火パネル表面からの幅が耐火パネルの厚さの1/3以下になる結果、芯材の互いに対向する第一、第二対向面部の幅が耐火パネルの厚さ中心側においてパネル厚の1/3以上のものとして広く確保できるため、高い耐火断熱性を発揮できることになる。
請求項6の発明とすることにより、挟持片部が、第一延長面部に設けられることにより、嵌合用凹溝部の嵌合用凹溝部の内側開口端を保護することになって、嵌合用凹溝部に嵌合用凸状部を嵌合する作業が確実にでき、作業性の改善が図れることになる。
請求項7の発明とすることにより、耐火パネルの厚さ方向中央部位には、不燃の目地板材が、前後の第一、第二延長面部よりも延出した状態で嵌入組込みされることになって、より優れた耐火性能を、強度アップが図れながら達成できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】耐火パネルを連結した間仕切り壁の正面図である。
図2】間仕切り壁の要部斜視図である。
図3】間仕切り壁の水平断面図である。
図4】耐火パネルの連結部の拡大水平断面図である。
図5】耐火パネルの連結部を分解した状態の拡大水平断面図である。
図6】耐火パネルの寸法関係を示す拡大水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は耐火パネルであって、該耐火パネル1は、鋼材、ステンレス材等の不燃の金属材で構成された前後(表裏)一対の表面板2と、該両表面板2のあいだに充填(介装)されるロックウール、セラミックウール等の耐火断熱性のある素材(本実施の形態で採用されるものは高密度タイプのものであって、圧縮性を有した毛質繊維系の素材で形成されている。)によって形成される芯材3とを備えて構成されるものであって、該耐火パネル1は、左右に隣接する一方の耐火パネル1aと他方の耐火パネル1b同士の互いに対向する左右連結端縁部を一連状に連結することで、ビルや倉庫、工場等の建造物の室内空間を耐火区画、防火区画等の区画に仕切り形成するため用いられる間仕切り壁Zを構成できるように設定されている。
そしてこのように耐火パネル1(1a、1b)を連結して構成される間仕切り壁Zは、本実施の形態では室内空間の天井面H、床面Fにそれぞれ設けたレール材4、5により上下端縁部が前後方向から挟持される状態で組み付けられるようになっている。因みに前後レール材4、5間には、ロックウール、セラミックウール等の耐火断熱性のある毛質繊維系の素材によって形成された充填材6が充填される設定になっている。またレール材4、5は、本実施の形態ではビス等の適宜選択される固定材7を介して天井面H、床面Fとの固定、耐火パネル1との固定がなされる構成になっている。
【0009】
前記芯材3の左右端縁部の前後方向(厚さ方向)内側部位には、前述したように隣接する耐火パネル1同士、つまり一方の耐火パネル1aと他方の耐火パネル1bとを一連状に連結した場合に、連結部Xでは、互いに左右方向から当接または略当接する状態で対向する第一、第二の対向面部3a、3bが設けられているが、本実施の形態では、前記第一、第二対向面部3a、3bは、互いに平面状態で直接対向するよう設定されている。つまり、第一、第二対向面部3a、3b同士は、隙間がなく互いに当接するか隙間が僅かであって略当接する状態で対向していて、第一、第二対向面部3a、3bのあいだには前記充填材6のようなものが存在しない(設けられない)設定になっている。
そしてこの第一、第二対向面部3a、3bには、耐火パネル1の前後方向中央部位に位置する状態で、表面板2の板面と平行になるよう目地用の凹溝部3cが左右方向に向けて溝深となる状態でそれぞれ形成されており、隣接する耐火パネル1a、1b同士を連結した場合に、互いに対向する前記目地用凹溝部3c内には、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム等の不燃、硬質の素材によって形成された目地板材8が架け渡し状(両目地用凹溝部3cに亘るよう)に嵌入組込みされており、該組込まれた目地板材8によって第一、第二対向面部3a、3bの対向間が前後に仕切られる構成になっている。
尚、図中、9は延出片部2eの先端部2kと外観片部2nとのあいだの表面側の隙間に充填されたシール材であるが、該シール材9は必要において設けられるものであり、その存否によって耐火性に影響を与えることはない。
【0010】
前記表面板2は、前後(表裏)それぞれのものが一枚板で形成されたものであって、耐火パネル1の前後表面(表裏面)となる本体面部2aと、該本体面部2aから左右方向外方に延長されていて、隣接する耐火パネル1(1a、1b)同士を左右に連結した場合に、該耐火パネル1同士の連結部Xにおいて互いに対向する第一、第二の延長面部2b、2mとを備えたものとして構成されており、以降、これらの構成について詳述する。
【0011】
まず、前記第一延長面部2bは、連結部Xにおいて一方の耐火パネル1a側に形成されるものであって、本体面部2aから他方の耐火パネル1b側に向けて平面状態で延出する(続く)外側片2c、および該外側片2cの延出先端2kから前後方向内側に向けて折返し形成された内側片2dを備えて形成された延出片部2eと、前記内側片2dから一方の耐火パネル1a側に向けて続く前後方向外側の溝側片2f、該溝側片2fの先端(溝奥端)から前後方向内側に向けて折曲された溝底片2g、そして該溝底片2gの先端(前後方向内端)から他方の耐火パネル1b側に向けて折曲された前後方向内側の溝側片2hにより構成される嵌合用凹溝部2iとが、前記第一対向面部3aの前後方向外側に位置する状態で、かつ嵌合用凹溝部2iの開口端(本実施の形態では内側片2hの開口端)の左右方向の位置が前記第一、第二対向面部3a、3bの略対向位置となるように設定されている。
【0012】
さらにこのものでは、前記嵌合用凹溝部2iの内側の溝側片2hの先端(嵌合用凹溝部2iの前後方向内側の開口端)から前記第一、第二対向面部3a、3bのあいだ(対向間)に嵌入することで、これら対向面部3a、3b間に挟持される挟持片部2jが形成されるが、該挟持片部2jは、前記目地用嵌合溝3cの溝側片3fには至らない幅となるよう設定されており、この結果、前記第一、第二対向面部3a、3bは、挟持片部2jがない部位においては直接対向する構成になっている。
また前記延出片部2eの内側片2dは、延出片部2eの円弧状になった先端部2kから第一、第二対向面部3a、3bの対向位置(当接位置)に至るまでのものとして構成されるが、該延出片部2eの内側片2dは、外側片2cに対して隙間Sを存した状態で、かつ一方の耐火パネル1a側(嵌合用凹溝部2i側)ほど対向間隔とが広くなるよう傾斜している。
【0013】
一方、第二延長面部2mは、連結部Xにおいて他方の耐火パネル1b側に形成されるものであって、前記延出片部2eが外嵌するべく本体面部2aから続く状態で本体面部2aよりも前後方向内側に位置するよう折曲形成された外嵌片部2nと、該外嵌片部2nから一方の耐火パネル1a側に続くものが前後方向外側の側片2oになり、該外側側片2oの先端(左右方向先端)から前後方向内側に向けて折曲される先端片2p、該先端片2pの先端(前後方向内側端)から他方の耐火パネル1側に向けて折曲される前後方向内側の側片2qにより構成されていて、前記嵌合用凹溝部2iに当接または略当接する状態で内嵌する嵌合用凸状部2rとが、前記第二対向面部3bの前後方向外側に位置する状態で設けられている。
【0014】
そしてこのものにおいて、外嵌片部2nは、本体面部2aから前後方向内側に向けて傾斜状に折曲されたものが、左右方向第二対向面部3b位置に至る前の段階で本体面部2aと平行になるよう折曲していて、嵌合用凸状部2rの外側側片2oに面一状に続くよう形成されている。
また嵌合用凸状部2rの内側側片2qは、嵌合用凸状部2rを嵌合用凹溝部2iに内嵌した場合に、その先端が嵌合用凹溝部2iの開口端位置に位置するまでのものに設定されていて、前記第一延長面部2bに設けられる挟持片部2jのない設定になっている。
【0015】
この様に、表面板2には第一、第二延長面部2b、2mが形成されているが、本実施の形態では、一方の耐火パネル1a側の芯材3は、第一対向面部3aが目地用凹溝部3cから嵌合用凹溝部2iにまで至るものとして形成され、嵌合用凹溝部2iおよび延出片部2eに対応する部位については、嵌合用凹溝部2iの溝底片2hに当接する位置までのものとして段差状に切欠かれていて本体面部2aにまで至る第一切欠き面部3dとなっている。このため本実施の形態のものでは、延出片部2eに形成される隙間Sには芯材3が嵌入しないものとなっており、これによって芯材3の加工性、組込み性等の作業性の改善が図れるようになっている。
そのうえ前後の第一、第二延長面部2b、2mは、図4から明らかなように、第一、第二対向面部3a、3bに設けた目地用凹溝部3cに嵌入する状態の不燃の目地板材8が、前後の第一、第二延長面部2b、2mよりも延出した状態で嵌入組込みされることになって、より優れた耐火性能を、強度アップが図れながら達成できることになる。
一方、他方の耐火パネル1b側の芯材3は、目地用凹溝部3cから嵌合用凸状部2rの内側側片2qに至る第二対向面部2bからそのまま前後方向外方に向けて延長して嵌合用凸状部2rの外側側片2oまで至ったものが、外嵌片部2nに略沿う状態で切欠き形成されたものが本体面部2aにまで至る第二切欠き面部3eとなっている。このため本実施の形態のものでは、嵌合用凸状部2rには芯材3の嵌入がないものとなっており、これによっても芯材3の加工性、組込み性等の作業性の改善が図れるようになっている。
【0016】
次に、第一、第二延長面部2b、2mの寸法関係について説明をする。
いま、耐火パネル1の厚さをA(パネル厚:例えば91mm)として定義したときに、目地用凹溝部3cは厚さ中心O位置に位置して設けられているが、その溝幅B(例えば12mm)はパネル厚Aに対して1/10以上1/5以下となるよう設定されており、これによって芯材3の第一、第二対向面部3a、3bは、互いに直接当接状態で対向する面部を備えたものとなっている。
また、前記耐火パネル1a、1b同士が連結した状態で、第一延長面部2bの外側片2cから嵌合用凹溝部2iの内側溝側片2hまでの幅C(例えば15.5mm)は、パネル厚Aの1/4以下に設定されており、これによって連結部Xにおいて、前後両側で第一、第二延長面部2b、2m同士が対向状態で連結した場合に、第一、第二延長面部2b、2m同士の対向部位の目地板材8を含んだ状態の幅(前後両嵌合用溝部2iの内側溝側片2h間の幅)はパネル厚Aの1/2以上の厚いものになるため、芯材3による耐火断熱性能を充分に発揮できる構成になっている。
【0017】
しかもこのものでは、嵌合用凹溝部2iの内側溝側片2hの先端(嵌合用溝部2iの開口端)から耐火パネル1の前後方向内側(厚さ中心O側)に向けて挟持片部2jが延出形成されているが、該挟持片部2jの延出幅(例えば7.5mm)Dが、第一対向面部3aの幅(挟持片部2j部位までを含む幅:例えば23.5mm)Eの1/2以下(厚さ中心Oから嵌合用凹溝部2iの内側溝側片2hまでの幅J(例えば30mm)の1/3以下)に設定されており、これによって、嵌合用凹溝部2iに嵌合用凸状部2rが嵌入する際に、嵌合用凹溝部2iの内側溝側片2hに嵌合用凸状部2rの先端片2pと内側側片2qとのコーナー部が引っ掛かったりすることを回避し、円滑な嵌入ができながら、第一、第二対向面部3a、3bの対向面部として、挟持片部2jがなく直接対向する面部(本実施の形態では目地板材8部位も含む)を厚さ中心O側に広く確保できるため、挟持片部2jを設けたものでありながら、耐火断熱性が損なわれることを効果的に抑制できることになる。
そのうえこのものでは、延出片部2eの外側片2cから挟持片部2jの内側端までの幅(例えば23.5mm)Gが、前記パネル厚Aの1/3以下に設定されているため、耐火パネル1の連結部Xにおいて金属のない部分の厚さが、耐火パネル1の前後方向中央部位においてパネル厚Aの1/3以上の厚さで確保できるものとなって、耐火断熱性が損なわれることを効果的に抑制できることになる。
【0018】
叙述の如く構成された本実施の形態において、耐火パネル1は、前後一対の金属製の表面板2と、該両表面板2のあいだに充填される耐火断熱性のある芯材3とを備えて構成され、互いに隣接する連結端縁部同士を突き合わせて一連状に連結することで耐火断熱性に優れた間仕切り壁を提供できることになるが、この場合に、前記芯材3については、耐火パネル1同士を一連状に連結した状態で前後方向中央部位が互いに当接または略当接状態で対向する第一、第二対向面部3a、3bを備え、表面板2については、耐火パネル1の前後表面を構成する本体面部2aと、該本体面部2aから延長され、前記隣接する耐火パネル1同士を連結したときに互いに対向する第一、第二延長面部2b、2mとを備えたて構成されている。
そしてこの場合に、第一延長面部2bの前後方向外側に設けられる延出片部2eは、本体面部2aから他方の耐火パネル1b側に向けて延出する外側片2cと、該外側片2cの延出先端縁2kから前後方向内側に折返し形成された内側片2dとを備えたものとして形成され、該延出片部2eに対して前後方向内側に設けられる嵌合用凹溝部2は、前記内側片2dから一方の耐火パネル1a側に向けて続く外側溝側片2f、該外側溝側片2fに続く溝底片2g、そして内側溝側片2hにより構成されているが、これら延出片部2e、嵌合用凹溝部2iは、第一対向面部3aの前後方向外側に位置する状態で設けられている。
【0019】
一方、第二延長面部2mには、前記延出片部2eが外嵌するべく本体面部2aから続く状態で形成された外嵌片部2nが前後方向外側に位置し、該外嵌片部2nから続くものが前後方向外側片2oになって前記嵌合用凹溝部2iに当接または略当接状態で内嵌する嵌合用凸状部2rが前後方向内側に位置する状態で、これらが、第二対向面部3bの前後方向外側に設けられたものとして構成されている。
この結果、耐火パネル1(1a、1b)同士の連結部Xでは、芯材3同士が前後方向中央部位において互いに当接または略当接する状態で対向している第一、第二対向面部3a、3b部位の前後方向外側において、耐火パネル1の前後表面になる表面板2の本体面部2aから延長形成された第一、第二延長面部2b、2m同士が、これらに形成された延出片部2eと外嵌片部2nとの嵌合、そしてその内側の嵌合用凹溝部2iと嵌合用凸状部2rとの嵌合による内外二重の嵌合構造を備えた連結構造になるため、耐火パネル1の表面板2の連結嵌合部位が、高熱によく耐えて変形しずらく、また変形したとしても両延長片部同士の積層構造を可及的に維持できるものとなって、優れた耐火断熱構造を備えた耐火パネル1同士の連結構造が提供できることになり、従来のように芯材3同士の対向面部間に耐火断熱材を充填する必要もなく、かつ螺子固定するような面倒な作業を不要にしてできることになる。
【0020】
しかもこの場合に、互いに対向する第一、第二延長面部2b、2mの延出片部外側片2cから嵌合用凹溝部2iの内側片2hまでの幅Cは、耐火パネル1の厚さAの1/4以下に設定されているため、耐火パネル1としては、芯材3の第一、第二対向面部3a、3b同士の目地板材8を含む対向部位間の幅が、耐火パネル1の前後方向厚さ中心O側(前後方向内側)においてパネル厚Aの1/2以上の幅として確保ができることになって、互いに対向する状態で嵌合していて高熱時の変形によく耐え得る第一、第二延長面部2b、2mが前後両側に設けられながら、高い耐火断熱性を発揮できることになる。
【0021】
またこのものでは前記第一延長面部2bが、嵌合用凹溝部2iの内側溝側片2hの先端縁(他方の耐火パネル1b側端縁)から前後方向内側に向けて折曲されていて、前記互いに対向する第一、第二対向面部3a、3bのあいだに挟持される挟持片部2jが設けられているが、該挟持片部2jは、前後方向中央部位に設けられる目地板材8にまでは至らない中途位置までの範囲で挟持されるものであるから、挟持片部2jによる嵌合用凹溝部2iおよび凸状部2rの形状維持と強度アップとを図ることができながら、耐火パネル1の前後方向両側に設けられる表面板3同士の連結が中央部位で分断されていてヒートブリッジがないものとなって耐火断熱性が損なわれることを回避できることになる。
【0022】
しかも挟持面部2jは、第一延長面部2bにおいて、嵌合用凹溝部2iの内側溝側片2hから延長される状態で該部位にのみ設けられていて、第二延長面部2mには設けられない一枚板構造になっているため、挟持面部2j部位(耐火パネル1の厚さ方向内側)への熱伝導が、嵌合用凸状部2rを嵌合する際の嵌合用凹溝部2iの形状保持が図れながら該部位が二枚板構造になった場合よりも抑制され、耐火断熱性の向上に寄与することになる。しかも挟持面部2jは、第一、第二対向面部3a、3bに単純に挟持される一枚板状の平板形状になっているため、例えば嵌合用凹溝部2iと嵌合用凸状部2rとの嵌合部位の内側に、さらに逆向きの雄雌嵌合構造を付与した構造にした場合のように、相互の嵌合構造が複雑化することになって現場での耐火パネル1同士の連結作業がしづらくなるような不具合がないうえ、火災発生の初期の段階で、熱に直接晒される外側の雄雌嵌合部位だけでなく、内側の雄雌嵌合部にまで熱が伝達されてしまうことになってその分、耐火断熱性が損なわれるようなことも回避される。
そしてこの場合に、挟持片部2jが第一延長面部2b側に設けられることにより、嵌合用凹溝部2iの第一対向面部3a側のコーナー部位の形状維持を図って嵌合用凸状部2rの嵌合用凹溝部2iへの嵌合作業の容易化および強度アップが達成できながら、延出部外側片2cから挟持片部2jの内側端までの幅Gが、耐火パネル1の厚さAの1/3以下に設定されているため、芯材3の互いに対向する第一、第二対向面部2a、2bの目地板材8を含んだ状態の幅が耐火パネル1の厚さ中心側においてパネル厚Aの1/3以上のものとして確保できることとなって高い耐火断熱性を発揮できることになる。
尚、本実施の形態では、挟持片部2jを、第一延長面部2b側にのみ設けた構成にしているが、本発明においては、第二延長面部2mの両者に設けてもよく、また第二延長面部2も側にのみ設けた構成にしてもよい。またさらに、本実施の形態では目地板材8をパネル厚Aの中心部位に設けた構成にしているが、目地板材8が設けられない構成のものとしてもよく、このようにした場合には目地用凹溝部3cがない構成となって、芯材3は、第一、第二対向面部3a、3b同士が前後両嵌合用溝2iのあいだに亘って幅広く対向したものとなり耐火断熱性が損なわれることはない。
【0023】
またこのものでは、芯材3の第一、第二対向面部3a、3bの厚さ中心O部位には、互いに対向した目地用凹溝部3cが形成され、該目地用凹溝部3cには不燃、硬質の目地板材8が嵌入組込みされているため、より優れた耐火性能を、強度アップが図れながら達成できることになる。
しかもこの場合に、挟持片部2jの前後方向の幅Dは、第一対向面部3aの幅Eの1/4以下に設定されていることから、パネル厚Aの中央部に目地板材8が組込まれたものでありながら、第一、第二対向面部3a、3bの直接対向する面部の幅を広く確保できることになって高い耐火断熱性の維持ができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、耐火区画等の区画を形成するため用いられる耐火パネルの連結構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 耐火パネル
2 表面板
2a 本体面部
2b 第一延長面部
2c 外側片
2d 内側片
2e 延出片部
2f 外側溝側片
2g 溝底片
2h 内側溝側片
2i 嵌合用凹溝部
2j 挟持片部
2m 第二延長面部
2n 外嵌片部
2o 外側側片
2q 内側側片
2r 嵌合用凸状部
3 芯材
3a、3b 第一、第二の対向面部
3c 目地用凹溝部
8 目地板材
図1
図2
図3
図4
図5
図6