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特許7376275電文振分装置、方法、プログラム、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】電文振分装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20231031BHJP
【FI】
G06N20/00 130
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019146405
(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公開番号】P2021026671
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】多川 勇介
(72)【発明者】
【氏名】辻本 皓亮
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 由衣
(72)【発明者】
【氏名】芳田 恭彰
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-101351(JP,A)
【文献】特開2019-057311(JP,A)
【文献】特開2019-074907(JP,A)
【文献】特開2015-045953(JP,A)
【文献】柴田 秀哉 ほか,多クラス分類による電子メール誤送信検出手法,第3回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム 論文集 [online],日本,電子情報通信学会 データ工学専門委員会,2011年02月28日,[検索日 2023.05.18], インターネット:<URL: https://db-event.jpn.org/deim2011/proceedings/pdf/b5-4.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-20/00
G06F 18/00-18/40
G06Q 10/00-99/00
H04L 51/00-51/58
H04L 67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関で用いられる電文が入力されると前記電文の配信先が出力される学習済みモデルと、
前記金融機関で用いられる電文を取得する電文取得部と、
前記取得した電文を、前記取得した電文の種類に応じた前記学習済みモデルに入力して、前記取得した電文の配信先を出力させる推論部と
を備え、前記学習済みモデルは、前記電文の種類ごとに定められた所定のフィールドに記述されているテキストを教師データとして用いて機械学習されている、電文振分装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、前記電文の内容に応じた前記電文の種類ごとに生成され、請求項1に記載の電文振分装置。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、前記電文の記述形式に応じた機械学習の手法により生成される、請求項1または2に記載の電文振分装置。
【請求項4】
入力データが電文であり出力データが前記電文の配信先である教師データを用いて機械学習することによって、電文が入力されると前記電文の配信先が出力される前記学習済みモデルを生成する機械学習部、をさらに備えた請求項1から3のいずれか一項に記載の電文振分装置。
【請求項5】
前記機械学習部は、前記取得した電文と、推論した前記配信先または推論した前記配信先から転送された正しい配信先と、を教師データとする、請求項4に記載の電文振分装置。
【請求項6】
電文の配信先を配信ルールに従って判定する事前判定部、をさらに備え、
前記推論部は、前記事前判定部によって配信先が判定されなかった電文の配信先を推論する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電文振分装置。
【請求項7】
推論した前記配信先に紐付けられた配信先装置に前記取得した電文を送信する配信部、
をさらに備えた請求項1から6のいずれか一項に記載の電文振分装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する方法であって、
金融機関で用いられる電文を取得するステップと、
前記金融機関で用いられる電文が入力されると前記電文の配信先が出力される学習済みモデルであって前記取得した電文の種類に応じた学習済みモデルに、前記取得した電文を入力して、前記取得した電文の配信先を出力させるステップと
を含み、前記学習済みモデルは、前記電文の種類ごとに定められた所定のフィールドに記述されているテキストを教師データとして用いて機械学習されている、方法。
【請求項9】
コンピュータを、
金融機関で用いられる電文を取得する電文取得部、
前記金融機関で用いられる電文が入力されると前記電文の配信先が出力される学習済みモデルであって前記取得した電文の種類に応じた学習済みモデルに、前記取得した電文を入力して、前記取得した電文の配信先を出力させる推論部
として機能させ、前記学習済みモデルは、前記電文の種類ごとに定められた所定のフィールドに記述されているテキストを教師データとして用いて機械学習されている、プログラム。
【請求項10】
電文振分装置と配信先装置とを含み、
金融機関で用いられる電文が入力されると前記電文の配信先が出力される学習済みモデルと、
前記金融機関で用いられる電文を取得する電文取得部と、
前記取得した電文を、前記取得した電文の種類に応じた前記学習済みモデルに入力して、前記取得した電文の配信先を出力させる推論部と、
推論した前記配信先に紐付けられた前記配信先装置に前記取得した電文を送信する配信部と
を備え、前記学習済みモデルは、前記電文の種類ごとに定められた所定のフィールドに記述されているテキストを教師データとして用いて機械学習されている、電文振分システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電文を振り分けるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ間で種々の電文が送受信されている(特許文献1等)。例えば、銀行等の金融機関では、コンピュータが、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の電文、日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)の電文等を取得し、事前に登録された配信ルール(つまり、どのようなパターンの電文であればどこへ配信するのかのルール)に従って、それらの電文を金融機関内の各部署等へ振り分けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-250669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、事前に登録された配信ルールでは振り分けることができない電文(つまり、いずれの配信ルールにも該当しない新たなパターンの電文)が生じるたびに、新たな配信ルールを登録しなければならなかった。さらに、新たな配信ルールが登録されるまでは、人が、手動で電文を適切な部署等へ転送しなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明は、電文の振り分けを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電文が入力されると前記電文の配信先が出力される学習済みモデルと、電文を取得する電文取得部と、前記取得した電文を前記学習済みモデルに入力して、前記取得した電文の配信先を出力させる推論部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電文の振り分けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る電文振分システムの全体の構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電文振分装置の機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電文の種類を説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態に係る配信ルールの例である。
図5】本発明の一実施形態に係る所定の形式の電文のモデル生成について説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る所定の形式の電文のモデル生成について説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係るフリーフォーマットの電文のモデル生成について説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態に係る電文振分処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係る機械学習処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係る電文振分装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
なお、本明細書では、SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)の電文、日銀ネット(日本銀行金融ネットワークシステム)の電文の振り分けについて説明するが、本発明は、これらの電文に限らず、任意の電文の振り分けに適用することができる。
【0011】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る電文振分システム100の全体の構成図である。電文振分システム100は、電文振分装置101および複数の配信先装置102を含む。以下、それぞれについて説明する。
【0012】
なお、外部システム104は、電文振分装置101に電文を提供する任意のシステムである。外部システム104と電文振分装置101とは、任意のネットワーク103を介して通信可能に接続されている。
【0013】
電文振分装置101は、外部システム104から取得した電文を、適切な配信先(例えば、その電文を取り扱う業務を行なう部門(金融機関内の各部署等))へ振り分けるための装置である。電文振分装置101は、1または複数のコンピュータからなる。後段で、図2を参照しながら、電文振分装置101について詳細に説明する。
【0014】
配信先装置102は、電文振分装置101が振り分けた電文を取り扱うための装置(例えば、その電文を取り扱う業務を行なうためのシステム(金融機関内の各種システム等))である。配信先装置102は、1または複数のコンピュータからなる。配信先装置102と電文振分装置101とは、任意のネットワーク103を介して通信可能に接続されている。
【0015】
<機能ブロック>
図2は、本発明の一実施形態に係る電文振分装置101の機能ブロック図である。電文振分装置101は、電文取得部201、判定部202(推論部210、事前判定部220)、配信部203、学習済みモデル格納部211、教師データ格納部212、機械学習部213、配信ルール格納部221を含むことができる。電文振分装置101は、プログラムを実行することで、電文取得部201、判定部202(推論部210、事前判定部220)、配信部203、機械学習部213として機能することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0016】
電文取得部201は、外部システム104から、任意の電文を取得する。電文取得部201は、電文の種類を特定するための識別子を外部システム104から取得することによって、あるいは、取得した電文を解析することによって、取得した電文の種類を特定することができる。電文取得部201は、外部システム104から取得したデータを、判定部202が参照できるように任意のメモリに記憶する。
【0017】
ここで、電文について説明する。電文は、例えば、SWIFTの電文、日銀ネットの電文等である。電文は、電文の内容に応じた様々な種類の電文に分類される。例えば、SWIFTの電文には、電文の内容に応じた様々な種類の電文がある。また、日銀ネットの電文には、電文の内容に応じた様々な種類の電文がある。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係る電文の種類を説明するための図である。図3に示されるように、電文は、電文の内容に応じて分類される。図3の例では、電文は、種類1~種類8(具体的には、SWIFTの決済電文であるMT103、日銀ネットの決済電文であるCT、SWIFTのメッセージ電文(フリーフォーマットのフィールドが大部分を占める電文)であるMT199、MT299、MT799、MT999、MT191、MT730)といった複数の種類の電文に分類されている。
【0019】
なお、図3では、SWIFTの決済電文であるMT103、日銀ネットの決済電文であるCT、SWIFTのメッセージ電文(フリーフォーマットのフィールドが大部分を占める電文)であるMT199、MT299、MT799、MT999、MT191、MT730を一例として説明したが、本発明は、これらの電文に限らず、任意の種類の電文に適用することができる。また。図3では、8種類の電文を一例として説明したが、本発明は、この個数に限らず、電文は任意の個数の種類の電文に分類されうる。
【0020】
図2に戻る。判定部202は、電文取得部201が取得した電文の配信先を判定する。具体的には、推論部210は、機械学習により生成された学習済みモデルに基づいて電文の配信先を判定する。また、事前判定部220は、事前に登録された配信ルールに基づいて電文の配信先を判定する。以下、<<学習済みモデルに基づく判定>>および<<配信ルールに基づく判定>>について説明する。
【0021】
なお、推論部210は、事前判定部220によって配信先を判定できなかった電文(つまり、いずれの配信ルールにも該当しない新たなパターンの電文)の配信先を判定する構成とすることもできる。<<学習済みモデルに基づく判定>>と<<配信ルールに基づく判定>>とを組み合わせることによって、配信ルールに基づき判定できる電文については確実に配信先を判定し、かつ、配信ルールに基づき判定できなかった電文については学習済みモデルを用いて配信先を推論し、人手を介さず正しい配信先へ配信される電文数を増加させることができる。
【0022】
<<学習済みモデルに基づく判定>>
推論部210は、学習済みモデル格納部211に格納されている学習済みモデルを用いて、電文の配信先を推論する。具体的には、推論部210は、電文取得部201が取得した電文を学習済みモデルに入力することによって出力される配信先を、その電文の配信先として判定することができる。推論部210は、判定した配信先を、配信部203が参照できるように任意のメモリに記憶する。
【0023】
推論部210は、電文の種類に応じた学習済みモデルを用いて、電文の配信先を推論することができる。具体的には、推論部210は、電文取得部201が取得した電文を、その電文の種類に応じた学習済みモデルに入力することができる。また、推論部210は、電文を学習済みモデルに入力することによって出力される配信先を、その電文の配信先として判定することができる。
【0024】
学習済みモデル格納部211は、機械学習により生成された学習済みモデルを格納している。学習済みモデル格納部211内の学習済みモデルは、電文が入力されるとその電文の配信先が出力される分類モデルである。学習済みモデル格納部211内の学習済みモデルは、電文の種類ごとに生成された分類モデル(例えば、MT103用の分類モデル、CT用の分類モデル、MT199用の分類モデル、MT299用の分類モデル、MT799用の分類モデル、MT999用の分類モデル、MT191用の分類モデル、MT730用の分類モデル)であってもよい。
【0025】
<<配信ルールに基づく判定>>
事前判定部220は、配信ルール格納部221に格納されている配信ルールに従って、電文の配信先を判定する。具体的には、事前判定部220は、電文の種類に応じた配信ルールを参照して、電文の配信先を判定することができる。事前判定部220は、判定した配信先を、配信部203が参照できるように任意のメモリに記憶する。
【0026】
配信ルール格納部221は、事前に登録された配信ルールを格納している。配信ルール格納部221内の配信ルールは、電文の種類ごとに1または複数の配信ルール(例えば、MT103用の1または複数の配信ルール、CT用の1または複数の配信ルール、MT199用の1または複数の配信ルール、MT299用の1または複数の配信ルール、MT799用の1または複数の配信ルール、MT999用の1または複数の配信ルール、MT191用の1または複数の配信ルール、MT730用の1または複数の配信ルール)が登録されている。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態に係る配信ルールの例である。図4に示されるように、電文内の所定のフィールドに所定の文字または数字が含まれていると、所定の配信先に配信されるよう配信ルールが登録されている。
【0028】
図2に戻る。配信部203は、電文取得部201が取得した電文を、判定部202が判定した配信先に配信する。具体的には、配信部203は、電文取得部201が取得した電文を、判定部202が判定した配信先に紐付けられた配信先装置102(例えば、その電文を取り扱う業務を行なうためのシステム(金融機関内の各種システム等))に送信する。
【0029】
機械学習部213は、入力データが電文であり出力データが電文の配信先である教師データを用いて機械学習することによって、電文が入力されるとその電文の配信先が出力される分類モデルを生成する。機械学習部213は、生成した学習済みモデルを学習済みモデル格納部211に格納する。
【0030】
教師データ格納部212は、機械学習部213が用いる教師データを格納している。教師データ格納部212内の教師データは、入力データが電文であり出力データが電文の配信先である教師データである。
【0031】
例えば、過去に金融機関等が取得した電文、および、それらの電文の配信先を教師データとすることができる。また、例えば、電文取得部201が取得した電文と、その電文の正しい配信先(例えば、誤った配信先に配信された場合には転送された正しい配信先)を教師データとすることができる。
【0032】
なお、本発明の一実施形態では、教師データ格納部212に格納されている電文の生データから、配信先の判定に用いる特徴量を抽出する。そのため、電文のフォーマットが変更されたとしても(例えば、外部システム等の外的要因によるフォーマットの変更があったとしても)、特徴量が変わりさえしなければ、生成済みの学習済みモデルを使用し続けることができる。
【0033】
以下、機械学習の方法についてより詳細に説明する。<<所定の形式の電文>>の場合と<<フリーフォーマットの電文>>の場合とに分けて説明する。
【0034】
<<所定の形式の電文>>
図5および図6を参照しながら、所定の形式の電文の場合について説明する。所定の形式の電文とは、電文内の各フィールドの記述形式が規定されている電文である。例えば、所定の形式の電文は、MT103、CT等である。
【0035】
機械学習部213は、電文の生データから、電文内でその電文の特徴を表わしているフィールド(以下、特徴量と呼ぶ)を抽出し、ベクトル表を参照して、特徴量をベクトル化する。
【0036】
まず、ベクトル表の生成について説明する。ベクトル表は、電文内の単語と、その単語をベクトルで表現した単語ベクトルとの対応関係を示す。
・機械学習部213は、電文の生データ(図5の501)を教師データ格納部212から取得する。
・機械学習部213は、電文の生データから所定の特徴量(図5の502)を抽出する。上述のとおり、特徴量とは、電文内でその電文の特徴を表わしているフィールドである。所定の特徴量は、金融機関の担当者等によって指定されている。
・機械学習部213は、抽出した特徴量を構造化(図5の503)する。
・機械学習部213は、抽出した特徴量を用いて機械学習することによって、ベクトル表を生成する。
【0037】
次に、所定の形式の電文の配信先を判定するための分類モデルの生成について説明する。
・機械学習部213は、電文の生データ(図6の601)を教師データ格納部212から取得する。
・機械学習部213は、電文の生データから所定の特徴量(図6の602)を抽出する。上述のとおり、特徴量とは、電文内でその電文の特徴を表わしているフィールドである。所定の特徴量は、金融機関の担当者等によって指定されている。
・機械学習部213は、抽出した特徴量を構造化(図6の603)する。
・機械学習部213は、ベクトル表を参照して、抽出した特徴量(つまり、所定のフィールドに記述されているテキスト等)をベクトルへ変換(図6の604)する。
・機械学習部213は、ベクトル化した特徴量を用いて機械学習することによって分類モデルを生成する。
【0038】
<<フリーフォーマットの電文>>
図7を参照しながら、フリーフォーマットの電文の場合について説明する。フリーフォーマットの電文とは、記述形式が規定されていないフィールド(フリーフォーマットのフィールド)を含む電文である。例えば、フリーフォーマットの電文は、MT199、MT299、MT799、MT999、MT191、MT730等である。
【0039】
フリーフォーマットの電文の配信先を判定するための分類モデルの生成について説明する。
・機械学習部213は、電文の生データ(図7の701)を教師データ格納部212から取得する。
・機械学習部213は、電文の生データから所定の特徴量(図7の702)を抽出する。上述のとおり、特徴量とは、電文内でその電文の特徴を表わしているフィールドである。所定の特徴量は、金融機関の担当者等によって指定されている。所定の特徴量のうちの少なくとも1つの特徴量は、フリーフォーマットのフィールドである。
・機械学習部213は、抽出した特徴量を構造化(図7の703)する。
・機械学習部213は、抽出した特徴量(つまり、所定のフィールドに記述されているテキスト等)を数値へ変換(図7の704)する。
・機械学習部213は、数値化した特徴量を用いて機械学習することによって分類モデルを生成する。
【0040】
このように、本発明の一実施形態では、電文の記述形式(例えば、<<所定の形式の電文>><<フリーフォーマットの電文>>)に応じた機械学習の手法により分類モデルが生成される。
【0041】
<処理方法>
図8は、本発明の一実施形態に係る電文振分処理を示すフローチャートである。
【0042】
ステップ11(S11)において、電文取得部201は、外部システム104から、任意の電文を取得する。なお、電文取得部201は、電文の種類を特定するための識別子を外部システム104から取得することによって、あるいは、取得した電文を解析することによって、取得した電文の種類を特定することができる。
【0043】
ステップ12(S12)において、事前判定部220は、S11で取得された電文の種類に応じた配信ルールを参照して、電文の配信先を判定することができる。
【0044】
ステップ13(S13)において、事前判定部220は、S12で配信先を判定できた場合にはステップ15へ進み配信部203に電文を配信させ、S12で配信先を判定できなかった場合にはステップ16へ進み推論部210に電文の配信先を推論させる。
【0045】
なお、S12およびS13を省略して、S11で取得されたすべての電文がステップ14で学習済みモデルに基づいて配信先を判定されるようにしてもよい。
【0046】
ステップ14(S14)において、推論部210は、学習済みモデル格納部211に格納されている学習済みモデルを用いて、電文の配信先を推論する。具体的には、推論部210は、S11で取得された電文を学習済みモデルに入力することによって出力される配信先を、その電文の配信先として判定することができる。
【0047】
なお、推論部210は、S11で取得された電文を、その電文の種類に応じた学習済みモデル(つまり、S11で特定された種類に応じた学習済みモデル)に入力することができる。また、推論部210は、電文を学習済みモデルに入力することによって出力される配信先を、その電文の配信先として判定することができる。
【0048】
ステップ15(S15)において、配信部203は、S11で取得された電文を、S14(またはS12)で判定された配信先に紐付けられた配信先装置102に送信する。その後、配信先装置102(金融機関内の各種システム等)は、振り分けられた電文を取り扱う業務(決済処理等)を行なうことができる。
【0049】
図9は、本発明の一実施形態に係る機械学習処理を示すフローチャートである。
【0050】
ステップ21(S21)において、機械学習部213は、電文の生データから所定の特徴量(例えば、電文内の所定のフィールド)を抽出する。
【0051】
ステップ22(S22)において、機械学習部213は、S21で抽出した特徴量を構造化する。
【0052】
ステップ23(S23)において、機械学習部213は、S21で抽出した特徴量をベクトルへ変換(所定の形式の電文の場合)、または、数値へ変換(フリーフォーマットの電文の場合)する。
【0053】
ステップ24(S24)において、機械学習部213は、S23で変換されたベクトルまたは数値を用いて機械学習する。
【0054】
ステップ25(S25)において、機械学習部213は、S23で機械学習することによって学習済みモデルを生成する。
【0055】
<ハードウェア構成>
図10は、本発明の一実施形態に係る電文振分装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。電文振分装置101は、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3を有する。CPU1、ROM2、RAM3は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0056】
また、電文振分装置101は、補助記憶装置4、表示装置5、操作装置6、I/F(Interface)装置7、ドライブ装置8を有する。なお、電文振分装置101の各ハードウェアは、バス9を介して相互に接続されている。
【0057】
CPU1は、補助記憶装置4にインストールされている各種プログラムを実行する演算デバイスである。
【0058】
ROM2は、不揮発性メモリである。ROM2は、補助記憶装置4にインストールされている各種プログラムをCPU1が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM2はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0059】
RAM3は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM3は、補助記憶装置4にインストールされている各種プログラムがCPU1によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0060】
補助記憶装置4は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0061】
表示装置5は、電文振分装置101の内部状態等を表示する表示デバイスである。
【0062】
操作装置6は、電文振分装置101の管理者が電文振分装置101に対して各種指示を入力する入力デバイスである。
【0063】
I/F装置7は、ネットワーク103に接続し、配信先装置102および外部システム104と通信を行うための通信デバイスである。
【0064】
ドライブ装置8は記憶媒体10をセットするためのデバイスである。ここでいう記憶媒体10には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記憶媒体10には、EPROM (Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0065】
なお、補助記憶装置4にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記憶媒体10がドライブ装置8にセットされ、該記憶媒体10に記録された各種プログラムがドライブ装置8により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置4にインストールされる各種プログラムは、I/F装置7を介して、ネットワーク103とは異なる他のネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0066】
<効果>
このように、本発明の一実施形態では、外部システムから取得した電文を学習済みモデルに入力することによって出力される配信先を、その電文の配信先として判定することができる。そのため、電文を振り分けるための配信ルールを登録したり、新たな配信ルールが登録されるまで人が手動で電文を適切な部署等へ転送したりする必要がない。
【0067】
また、本発明の一実施形態では、電文の内容に応じた電文の種類ごとに生成された学習済みモデルを用いて、電文の配信先を推論することができる。また、学習済みモデルは、電文の記述形式(例えば、<<所定の形式の電文>><<フリーフォーマットの電文>>)に応じた機械学習の手法により生成される。そのため、より正確な配信先を推定することができる。
【0068】
また、本発明の一実施形態では、電文の生データから特徴量を抽出して機械学習に用いている。そのため、電文のフォーマットが変更されたとしても(例えば、外部システム等の外的要因によるフォーマットの変更があったとしても)、生成済みの学習済みモデルを使用し続けることができる。
【0069】
さらに、本発明の一実施形態では、配信ルールに基づき配信先が判定されなかった電文の配信先を推論するようにすることによって、人手を介さず正しい配信先へ配信される電文数を増加させることができる。
【0070】
また、本発明の一実施形態では、配信ルールもしくは学習済みモデルが誤った判定をした場合に、転送された正しい配信先の情報を蓄積し学習することによって、再学習を行った学習済モデルで正しく判定を行うことができる。
【0071】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 電文振分システム
101 電文振分装置
102 配信先装置
103 ネットワーク
104 外部システム
201 電文取得部
202 判定部
203 配信部
210 推論部
211 学習済みモデル格納部
212 教師データ格納部
213 機械学習部
220 事前判定部
221 配信ルール格納部
図1
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