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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】直動伸縮機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/02 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
B25J18/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019183641
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021058954
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】弁理士法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今坂 幸介
(72)【発明者】
【氏名】松本 邦保
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 航
(72)【発明者】
【氏名】大西 杜諒
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-148186(JP,A)
【文献】特開2019-132279(JP,A)
【文献】国際公開第2008/001435(WO,A1)
【文献】特開2015-213974(JP,A)
【文献】特許第5435679(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロックが連結方向に沿って連結されてなるブロック列と、
前記ブロック列を収容する筐体部と、
前記ブロック列を前記連結方向に沿って送出し、引き込む機構と、
前記筐体部に対して前記ブロック列が出入りする前記筐体部上の出入位置に対する、前記筐体部から送り出された前記ブロック列の先端位置の前記ブロック列の連結方向に直交する2方向に関する相対的な位置を固定する固定機構とを具備し、
前記筐体部に対して前記ブロック列が出入りする前記筐体部上の出入位置を前記2方向に関して規制する規制構造をさらに備え、
前記規制構造は、前記ブロック列が通過する四角筒形状のホルダであり、前記ホルダを通過する前記ブロック列が前記ホルダの内壁に当接するように前記ホルダの内形状及び内寸は前記ブロックの外形及び外寸に整合する、直動伸縮機構。
【請求項2】
前記固定機構は多段入れ子構造に組まれた複数の筒状体により構成され、
前記複数の筒状体のうち最後尾の筒状体は前記筐体部に固定され、
前記ブロック列の先端は前記複数の筒状体のうち先頭の筒状体に接続される、請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項3】
前記ブロック列は前記筒状体に挿入される、請求項2記載の直動伸縮機構。
【請求項4】
前記ブロック列は前記筒状体の中心線に対してオフセットされる、請求項3記載の直動伸縮機構。
【請求項5】
前記固定機構として、前記筐体部に後端が固定された、縦続される複数の直動案内機構により構成され、
前記ブロック列の先端が前記複数の直動案内機構のうち先頭の直動案内機構に接続される、請求項1記載の直動伸縮機構。
【請求項6】
前記ブロックは、隣り合うブロックの前後端面どうしの当接により前記ブロック列が直線状に並んだ状態で順方向の回動が制限され、逆方向の回動は許容されるように連結される、請求項1乃至5のいずれか一項記載の直動伸縮機構。
【請求項7】
前記連結方向に関する荷重は、前記ブロック列が受け止め、
前記連結方向に直交する2方向に関する荷重は、多段入れ子構造に組まれた複数の筒状体又は縦続される複数の直動案内機構が受け止める、請求項1乃至6のいずれか一項記載の直動伸縮機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直動伸縮機構に関する。
【背景技術】
【0002】
直動伸縮機構は、肘関節を不要にすることができることから、安全性が高く、協働ロボットへの適用が期待されている。直動伸縮機構として、複数のブロックが連結されてなるブロック列を送り出し、引き戻す構造が検討されている(特許文献1、2、3参考)。
【0003】
直動伸縮機構をロボットに実装するには、直交3軸の全方向に関して高い剛性を確保し、その上下左右の撓みの他、捻れや前後方向のがたを極力抑えながら、アーム先端の実際の位置と制御上の位置とのずれを最小化することが要求される。またロボットアームはその使途に応じて床面上に垂直に設置するだけでなく、壁面に水平に取り付け、また天井から吊り下げられ、そのような様々な設置姿勢のいずれであっても正常動作することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5435679号公報
【文献】特開2015-213974号公報
【文献】特開昭62-148186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直交3軸の全方向に関して高い剛性を確保して位置精度を向上させるとともに設置姿勢に制約のない直動伸縮機構が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る直動伸縮機構は、複数のブロックが連結方向に沿って連結されてなるブロック列と、ブロック列を収容する筐体部と、ブロック列を連結方向に沿って送出し、引き込む機構と、筐体部に対してブロック列が出入りする筐体部上の出入位置をブロック列の連結方向に直交する2方向に関して規制する規制構造と、出入位置に対する、筐体部から送り出されたブロック列の先端の2方向に関する相対的な位置を固定する固定機構とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本態様によれば、直交3軸の全方向に関して高い剛性を確保して位置精度を向上させるとともに設置姿勢に制約のない直動伸縮機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は一実施形態に係る収縮時の直動伸縮機構の斜視図である。
図2図2は伸長時の直動伸縮機構の斜視図である。
図3図3は収縮時の直動伸縮機構の内部構造をアーム部を除外した状態で示す側面図である。
図4図4は収縮時の直動伸縮機構の内部構造を示す側面図である。
図5図5は伸長時の直動伸縮機構の内部構造を示す側面図である。
図6図6図4のブロックの前方斜視図である。
図7図7図4のブロックの後方斜視図である。
図8図8図4のブロックの側面図である。
図9図4の直動伸縮機構のブロック列の出入位置を規制する四角筒ホルダを示す斜視図である。
図10図10図9の部分拡大図である。
図11図11図10の正面図である。
図12図12は筐体開口を四角筒ホルダとともに示す斜視図である。
図13図13は収縮時のブロック列の出入位置と先端位置との位置関係を示す側面図である。
図14図14は収縮時のブロック列の出入位置と先端位置との位置関係を示す平面図である。
図15図15は伸長時のブロック列の出入位置と先端位置との位置関係を示す側面図である。
図16図16は伸長時のブロック列の出入位置と先端位置との位置関係を示す平面図である。
図17図17は円筒中心線とブロック列の移動軸との位置関係を示す正面図である。
図18図18はテレスコピック構造が、縦続される複数の直動案内機構に代替えされた直動伸縮機構を示す平面図である。
図19図19図18の伸長された直動伸縮機構を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る直動伸縮機構を説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。本実施形態に係る直動伸縮機構は、それ単独で使用することができるし、ロボットアーム機構の直動伸縮関節としても使用することができるものである。
【0010】
図1図2に示すように、直動伸縮機構1は伸縮自在なアーム部20とアーム部20を支持する筐体部10とを有する。典型的には、アーム部20は、テレスコピック構造(多段入れ子構造)に強固に組まれた複数、ここでは4つの筒体21,22,23,24からなる。筒体21,22,23,24としては典型的には円筒形状であるが、角筒形状であってもよい。筐体部10は中空の典型的には四角柱形状を有する。なお、筐体部10は四角柱形状に限定されることは無く、円柱形状等の他の形状であっても良い。
【0011】
複数の円筒体21,22,23,24のうち最後尾の円筒体24はそのフランジにおいて、円筒中心線C1と筐体部10の中心線との角度が所定角に維持されるように筐体部10の上部に固定される。以下、直交3軸のうち、筐体部10の中心線に平行な軸をZ軸、円筒中心線C1に平行な軸をX軸、X軸とZ軸とに垂直な軸をY軸として適宜使用する。
【0012】
図3に示すように、最後尾の円筒体24が固定された筐体部10の上部の側壁には、開口13(以下、筐体開口13と称す)があけられている。筐体開口13は、筐体部10の内部が円筒体21,22,23,24の中空内部と連通する。筐体開口13は後述のブロック列30が筐体部10から出入りするための出入り口となる。
【0013】
図4図5に示すように、筐体部10の内部から円筒体21,22,23,24の中空内部にわたって連通する内部空間には、ブロック列30が挿入されている。ブロック列30は複数のブロック40が列状に連結されてなる。先頭のブロック40は先頭の円筒体21に接続されている。詳細は後述するが、筐体部10に対してブロック列30が出入りする筐体部10上の出入位置が、ブロック列30の連結方向(C2)に直交する2方向(YZ)に関して規制され、それとともにこの出入位置に対して、筐体部10から送り出されたブロック列30の先位置が当該2方向(YZ)に関して多段入れ子構造により相対的に固定されるので、ブロック列30は直線的に移動することができる。
【0014】
図6図7に示すように、ブロック40はブロック本体41を有する。ブロック本体41は、例えば直方体形状を有する。ブロック本体41の前端の下部には前方に突出する2つの軸受け42,43が幅方向に離間して設けられる。ブロック本体41の後端の下部には、ブロック本体41と一体的に形成された軸受け44,46が幅方向に離間して等間隔に設けられる。隣り合う2つのブロック40のうち一方のブロック40の前端の軸受け42,43が他方のブロック40の後端の軸受け44,46の間に嵌め込まれ、連続する孔に図示しない回動軸が挿入される。それによりブロック40は回動可能に列状に連結される。なおブロック40は回動軸に直交する方向(連結方向)に沿って列状に連結される。
【0015】
図8に示すように、軸受け42、43,44,46がブロック本体41の底部側に設けられ、ブロック本体41が直方体形状を有するため、直線状に並んだ状態で、隣接する2つのブロック40は互いの端面どうしが当接し、それ以上の上方への回動が規制されるが、下方への回動は許容される。なお、説明の便宜上、ブロック40の基準となる基準線BLを規定する。基準線BLはブロック本体41の長さ方向(前後方向)に平行であって、ブロック本体41の幅及び高さの中心を通る。なお、直線的に並んだブロック40の基準線BLによりブロック列30の移動軸C2が既定される。
【0016】
図4図5に戻る。ブロック列30の先頭のブロック40は、複数の円筒体21,22,23,24のうち先頭の円筒体21に接続される。アーム部20が収縮した状態において、ブロック列30は、そのほとんどが筐体部10の内部に収容されている。この筐体部10の内部には、ブロック列30の送り出し動作及び引き戻し動作を実現する駆動機構が設けられる。駆動機構としてはラックアンドピニオン機構、ボールネジ機構など任意の機構が採用される。
【0017】
直動伸縮機構1の基本的な伸縮動作は以下の通りである。
筐体部10に収容されていたブロック列30が駆動機構により筐体開口13を通じてアーム部20の内部に送り出され、先頭のブロック40は前方に移動される。先頭のブロック40は先頭の円筒体21に接続されているため先頭のブロック40の前方への移動に伴って、筐体部10に固定された最後尾の円筒体24から他の円筒体21,22,23が次々に引き出され、その結果、アーム部20は円筒中心線C1に沿って前方に伸長される。
【0018】
駆動機構によって、アーム部20の内部に送り出されていたブロック列30が筐体開口13を通じて筐体部10の内部に引き戻され、先頭のブロック40は後方に移動される。先頭のブロック40の後方への移動に伴って、先頭の円筒体21から順に後方の円筒体に収容され、その結果、アーム部20は円筒中心線C1に沿って後方に収縮される。
【0019】
上記の直動伸縮機構1の伸縮動作において、ブロック列30の上下左右のガタツキはアーム部20の先端の位置精度を低下させる。アーム部20の先端の位置精度を確保するためには、ブロック列30が円筒中心線C1に対して平行に、且つ直線的に移動することが要求される。
【0020】
直動伸縮機構1は、筐体開口13を通じて筐体部10の内部からアーム部20の内部に送り出されたブロック列30を円筒中心線C1に平行な移動軸C2に沿って直線的に移動させるために、筐体部10に対してブロック列30が出入りする筐体部10上の出入位置Peを規制する規制構造50を備える。この出入位置Peは、筐体開口13を通過するブロック40の基準線BLが筐体開口面に交差する位置として定義される。この出入位置Peは、直線的に並んだブロック40の基準線BL、つまり移動軸C2に直交する2方向(YZ)に関して規制構造50により規制される。出入位置PeのYZ位置は固定される。
規制構造50の典型例としてブロック40が周囲4面に関して若干の隙間が有る状態で通過できるようにブロック40の形状及び外寸に整合する四角筒形状を有するホルダ50(以下、四角筒ホルダ50という)が適用される。図9図10に示すように、四角筒ホルダ50はそのフランジにおいて筐体部10の筐体開口13の周縁に固定される。図11図12に示すように、四角筒ホルダ50は、その内面でブロック40の外面を上下左右から支持するために、内寸がブロック40の外寸と等価またはブロック40の外寸よりも若干広く構成される。
【0021】
上記のように構成された四角筒ホルダ50によれば、筐体開口13を通過するブロック40は、四角筒ホルダ50によって、円筒中心線C1(X軸)に直交する2方向(Y軸方向及びZ軸方向)に関する位置が規制され、常に同じ位置を通過して筐体開口13を送り出され、引き戻される。このとき、四角筒ホルダ50を通過するブロック40の基準線BLは常に移動軸C2に重なるため、ブロック40の出入位置Peは移動軸C2が筐体開口面を交差する位置に常に重なる。つまり、四角筒ホルダ50によって筐体部10を出入りするブロック40の出入位置Peを円筒中心線C1(X軸)に直交する2方向(Y軸方向及びZ軸方向)に関して規制することができる。
【0022】
直動伸縮機構1は、出入位置Peに対して、筐体部10から送り出されたブロック列30の先端位置Pcは、円筒中心線C1に直交する2方向(YZ)に関して固定機構により相対的に固定される。固定機構は、多段入れ子構造に組まれた複数の円筒体21,22,23,24(アーム部20)により構成される。既に説明したように、ブロック列30の先頭のブロック40は複数の円筒体21,22,23,24の先頭の円筒体21に接続される。その接続位置は、ブロック列30の先端位置Pc(つまり、先頭のブロック40の先端位置Pc)が移動軸C2上に重なるように位置決めされ、その接続方向は、ブロック40の基準線BLが移動軸C2に平行になるように方向付けされている。なお、ブロック列30の先端位置Pcは、先頭のブロック40のブロック本体41の前端面とブロック40の基準線BLとが交差する位置として定義する。
【0023】
複数の円筒体21,22,23,24は多段入れ子構造に強固に組まれているため、円筒中心線C1に対して直交する2方向(YZ)に関して、アーム部20は高い剛性を有する。ブロック列30の送り出し/引き戻し動作に伴って、ブロック列30の先端位置Pcは、アーム部20によって、円筒中心線C1に対して直交する2方向(Y軸方向及びZ軸方向)に関して規制される。図13図14に示すように、収縮時のブロック列30の出入位置Peの座標を(X1,Y1,Z1)、先端位置Pcの座標を(X2,Y2,Z2)と仮定すると、X1は固定されているが、アームの伸縮によりX2は変化する。つまりX1とX2は相対的に変化する。一方、Y1に対するY2の相対的な位置関係は変化しない。典型的にはY2はY1に対して常に一致する。同様にZ1に対するZ2の相対的な位置関係は変化しない。典型的にはZ2はZ1に対して常に一致する。
【0024】
図15図16に示すように、収縮時の状態からアーム部20がΔL伸長したときのブロック列30の出入位置Peと先端位置Pcとの座標はそれぞれ以下のように表すことができる。すなわち、ブロック列30の出入位置Peはアーム部20の伸縮動作に影響されず、常に同じ位置(X1,Y1,Z1)である。一方、ブロック列30は移動軸C2に沿って前方に直線的に移動されるため、ブロック列30の先端位置Pcの座標は(X2+ΔL,Y2,Z2)と表すことができる。Y軸方向とZ軸方向とに関して、ブロック列30の先端位置Pcは出入位置Peに対して相対的に固定されているため、先端位置PcのY座標とZ座標とは伸縮によって変化しない。
【0025】
このように、筐体部10に対してブロック列30の先端位置PcをY軸方向及びZ軸方向に規制するアーム部20と筐体部10上のブロック列30の出入位置PeをY軸方向及びZ軸方向に規制する四角筒ホルダ50とが固定されているため、筐体部10上のブロック列30の出入位置Peに対して、ブロック列30の先端位置Pcは、当該2方向に関して相対的に位置が固定される。換言すると、アーム部20の内部に送り出されたブロック列30の先端位置と後端位置とが当該2方向に関して相対的に固定されているので、ブロック列30は移動軸C2に沿って常に直線的に伸長し、また常に直線的に収縮する。それにより、アーム部20の先端位置精度を確保し得る。もちろん、規制構造と固定機構によってブロック列30の出入位置Peと先端位置Pcとが固定されているため、その間においてブロック列30は上下左右に撓みにくく、直動伸縮機構1を使用する向きは制限されない。つまり、直動伸縮機構1は適用先に応じて床面上に垂直に設置するだけでなく、壁面に水平に取り付け、また天井から吊り下げられ、そのような様々な設置姿勢のいずれであっても正常に動作することができる。
【0026】
さらに、本実施形態に係る直動伸縮機構1によれば、円筒中心線C1に平行な方向に関する外力、荷重は、直線的に並んで前後端面どうしが当接する剛体としてのブロック40が強固に受け止めることができる。また、円筒中心線C1に直交する2方向に関する荷重は、多段入れ子構造に組まれた複数の円筒体21,22,23,24が受け止める。それにより、直交3軸の全方向に関する荷重に対して、多段入れ子構造に組まれた円筒体21,22,23,24とブロック列30とが分散して負担する。それによりアーム部20として高い剛性を確保することができ、さらにその上下左右の撓みの他、捻れや前後方向のがたを極力抑えることができる。
【0027】
なお、図17に示すように、ブロック列30が直線的に移動する移動軸C2は、円筒中心線C1に対してオフセットされる。つまり四角筒ホルダ50は、それを通過するブロック列30の基準線BL(移動軸C2)が円筒体21,22,23,24の円筒中心線C1に対して一致せず、オフセットするように筐体部10に対して取り付けられている。それにより円筒体21,22,23,24の円筒中心線C1を中心とした回転(軸回転)が、ブロック列30により効果的に抑えられる。また、移動軸C2を円筒中心線C1に対して重力方向の下方にオフセットさせることで、円筒体21,22,23,24に対して定常的にかかる下方への荷重を円筒体21,22,23,24だけではなく、ブロック列30にも分散して負担させることができ、アーム部20としての総合的な剛性をさらに向上し得る。さらに移動軸C2が円筒中心線C1に重なるようにブロック列30が配置された場合に比べて、円筒体21,22,23,24の内部空間を有効的に活用することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、剛性の確保などの観点から固定機構(アーム部20)として入れ子構造に組まれた複数の円筒体21,22,23,24を採用したが、固定機構は三角筒体、四角筒体などの多角筒体や楕円筒体などの円筒体を入れ子構造に組んだものであってもよい。
【0029】
また、出入位置Peに対する、筐体部から送り出されたブロック列の先端の連結方向に直交する2方向に関する相対的な位置を固定できるのであれば、固定機構は、多段入れ子構造に強固に組まれた複数の円筒体21,22,23,24に限定されない。固定機構は、縦続される複数の直動案内機構により構成されてもよい。図18図19に示すように、例えば、複数の直動案内機構61,62,63のうち最後尾の直動案内機構63のレールを支持するベースが筐体部10に水平に固定され、先頭の直動案内機構61のスライダがL字形の接続具64を介してブロック列30の先頭のブロック40に接続される。複数の直動案内機構61,62,63はそのスライド方向(X軸方向)に直交する2方向(Y軸方向とZ軸方向)に関して高い剛性を有する。そのため、複数の直動案内機構61,62,63は、Y軸方向とZ軸方向とに関してブロック列30の先端位置をブロック列30の出入位置に対して相対的に固定することができる。つまり、固定機構として直動案内機構を採用した直動伸縮機構であっても、固定機構としてテレスコピック構造を採用した直動伸縮機構1と同様の効果を奏する。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1…直動伸縮機構、10…筐体部、13…筐体開口、20…アーム部、21,22,23,24…円筒体、30…ブロック列、40…ブロック、50…四角筒ホルダ、C1…円筒中心線、C2…移動軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
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