(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20231031BHJP
G01S 19/14 20100101ALI20231031BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B60R11/02 A
G01S19/14
B62D49/00 D
(21)【出願番号】P 2019195909
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇介
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110116(WO,A1)
【文献】特開2019-108109(JP,A)
【文献】特開昭63-002754(JP,A)
【文献】特開2019-097504(JP,A)
【文献】登録実用新案第3170480(JP,U)
【文献】特開2016-002874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
G01S 19/14
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の後部側に逆U字状の安全フレームが設けられた走行機体と、
測位衛星から前記走行機体の位置情報を取得する受信ユニットと、
前記受信ユニットを前記安全フレーム側に取付支持する支持機構と、
前記走行機体の操向操作を行う操舵ユニットと、
前記走行機体が予め取得又は演算された作業経路に沿って自動走行するように前記操舵ユニットを制御する自動操舵制御が実行可能に構成された制御部とを備え、
前記安全フレームは、上下方向に延設された左右一対の立上部と、一対の前記立上部の上端の間を架渡すように左右方向に延設される連結部とによって下方側が開放された逆U字状に一体成形され、
前記支持機構は、前記安全フレーム
の前記連結部に取付けられる取付部と、該取付部から後方上側に向けて延設されることにより、前記受信ユニットを前記安全フレーム上部の上方且つ後方側に支持する延設部とを有
し、
前記延設部は、後方に向かって延設された後に上方に向かって延設される側面視でL字状の延設フレームを有する
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記支持機構は、前記受信ユニットの位置調整を行うための長孔である調整孔が穿設された
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記取付部は、前記安全フレームを挟むコ字状に形成され、該取付部と前記安全フレームとの間に形成される隙間に詰め材を挟むことができるように構成された
請求項1又は2の何れかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席後方の安全フレームに位置情報取得装置を設けた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体と、測位衛星から前記走行機体の位置情報を取得する受信ユニットと、前記受信ユニットを走行機体側に取付支持する支持機構と、該走行機体の操向操作を行う操舵ユニットと、前記走行機体が予め取得又は演算された作業経路に沿って自動走行するように前記操舵ユニットを制御する自動操舵制御が実行可能に構成された制御部とを備え、支持機構は、前記受信ユニットが測位衛星からの位置情報を取得し易くなるように、前記走行機体の操縦部が構成されるキャビン上に配置した特許文献1に記載の作業車両が従来公知である。
【0003】
しかし、上記文献の作業車両では、前記走行機体の操縦部として設けたキャビンに代えて、オペレータが着座する座席の後部側に逆U字状の安全フレームを設けた場合、該安全フレームに取付可能なルーフの有無やフレームの形状によっては、前記受信ユニットを適切な位置に取付固定することができない場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、測位衛星から前記走行機体の位置情報を取得する受信ユニットを備えた作業車両において、前記走行機体の座席の後部側に前記安全フレームを設けた場合に、該安全フレームの形状や大きさ、ルーフの有無を問わず、スムーズに前記受信ユニットを測位衛星からの位置情報を取得し易い位置に支持することができる作業車両を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、第1に、座席の後部側に逆U字状の安全フレームが設けられた走行機体と、測位衛星から前記走行機体の位置情報を取得する受信ユニットと、前記受信ユニットを前記安全フレーム側に取付支持する支持機構と、前記走行機体の操向操作を行う操舵ユニットと、前記走行機体が予め取得又は演算された作業経路に沿って自動走行するように前記操舵ユニットを制御する自動操舵制御が実行可能に構成された制御部とを備え、前記安全フレームは、上下方向に延設された左右一対の立上部と、一対の前記立上部の上端の間を架渡すように左右方向に延設される連結部とによって下方側が開放された逆U字状に一体成形され、前記支持機構は、前記安全フレームの前記連結部に取付けられる取付部と、該取付部から後方上側に向けて延設されることにより、前記受信ユニットを前記安全フレーム上部の上方且つ後方側に支持する延設部とを有し、前記延設部は、後方に向かって延設された後に上方に向かって延設される側面視でL字状の延設フレームを有することを特徴としている。
【0007】
第2に、前記支持機構は、前記受信ユニットの位置調整を行うための長孔である調整孔が穿設されたことを特徴としている。
【0008】
第3に、前記取付部は、前記安全フレームを挟むコ字状に形成され、該取付部と前記安全フレームとの間に形成される隙間に詰め材を挟むことができるように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
前記支持機構によれば、測位衛星からの位置情報を取得する前記受信ユニットを、前記安全フレーム上部側の上方且つ後方に配置・支持したことにより、前記受信ユニットを測位衛星からの位置情報を取得し易い高い位置に配置できるとともに、前記安全フレームにルーフを取付けるためのスペースも確保することもできるため、様々な仕様の作業車両に前記受信ユニットを設置可能となり、汎用性が向上する。
【0010】
また、前記支持機構は、前記受信ユニットの位置調整を行うための長孔である調整孔が穿設されたものによれば、前記安全フレームの形状や、該安全フレーム側に取付けられるルーフの位置に応じて、前記アンテナが支持される位置を調整することができるため、汎用性が向上する。
【0011】
なお、前記取付部は、前記安全フレームを挟むコ字状に形成され、該取付部と前記安全フレームとの間に形成される隙間に詰め材を挟むことができるように構成されたものによれば、前記受信ユニットをより簡易な構成で前記安全フレーム側により容易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の作業車両を適用したトラクタの全体側面図である。
【
図4】安全フレームの回動姿勢を示した要部側面図である。
【
図5】支持機構を介して安全フレーム側に取付けられたRTK-GNSS受信装置を示した要部斜視図である。
【
図6】(A)及び(B)は、支持機構及びRTK-GNSS受信装置を示した正面斜視図及び後面斜視図である。
【
図7】(A)及び(B)は、支持機構の分解斜視図である。
【
図8】(A)乃至(D)は、支持機構の斜視図、平面図、正面図、側面図である。
【
図9】別実施例1の支持機構を示した要部斜視図である。
【
図10】別実施例2の支持機構を示した要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の作業車両を適用したトラクタの全体側面図であり、
図2は、トラクタの後部斜視図であり、
図3は、ルーフを示した要部底面斜視図であり、
図4は、安全フレームの回動姿勢を示した要部側面図である。本トラクタは、左右一対の前輪1,1及び後輪2,2によって支持される機体フレーム3と、該機体フレーム3の前側に設置されたエンジン(図示しない)の上方側をカバーするボンネット4と、該ボンネット4の後方に配置された操縦部6とを備えることにより走行機体7が構成されている。該走行機体7の後方には、昇降リンク8を介してロータリ耕運機等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結することができる。
【0014】
前記操縦部6は、オペレータが着座する座席9と、該座席9の前方側に配置されたステアリングハンドル11と、該ステアリングハンドル11の左右一方(図示する例では左)側に配置された前後進切換レバー12と、床面となるフロアステップ13と、該フロアステップ13側に配置されてオペレータによって踏込み操作される複数のペダル操作具14とが設けられている。
【0015】
上記ステアリングハンドル11に連結されたステアリング軸側には、該ステアリング軸の軸回転を制御することにより前記ステアリングハンドル11の操向操作を制御するように構成された操舵ユニット16が着脱可能に設けられている(
図1及び
図2参照)。
【0016】
上記座席9の後部側には、前記座席9の上方を左右方向に跨るように逆U字状に形成された安全フレーム17が設けられている。具体的に説明すると、該安全フレーム17は、上下方向に延設された左右一対の立上部17a,17aと、一対の立上部17a上端の間を架渡すように左右方向に延設される連結部17bとによって下方側が開放された逆U字状に一体成形されており、一対の該立上部17a,17aの下端(基端)側が、前記座席9後方の左右外側に一対設けられた設置部18,18に着脱可能に取付固定されている。
【0017】
該設置部18は、後方及び上下方向が開放されたコ字状に屈曲形成された板状部材であって、左右方向に穿設された連結孔を介して、前記安全フレーム17(立上部17a)の基端側を前後揺動可能に連結することができるように構成されている。
【0018】
また、該設置部18には、前記連結孔の後方に扇状に並べて穿設された複数の調整孔18aが穿設されており、前後揺動可能に連結された前記安全フレーム17を所定の姿勢で固定することができる。具体的には、前記安全フレーム17は、該安全フレーム17を側面視で起立させることにより走行機体7が横転した際に座席9上方のスペースを確保して作業者を保護する作用姿勢と、該安全フレーム17を後方回動することにより全高を低くした回動姿勢(退避姿勢)とに切換えることができるように構成されている(
図1及び
図4参照)。
【0019】
上記安全フレーム17(の連結部17b側)には、詳しくは後述する支持機構19を介して、前記走行機体7の位置情報を取得するRTK-GNSS受信装置(位置情報取得装置、GPS装置)20が取付けられている(
図1及び
図2参照)。該RTK-GNSS受信装置については後述する。
【0020】
また、上記安全フレーム17は、前記座席9の左右外側の後側で左右一対配置される前記立上部17aの上下方向中途部に、方向指示器として機能する左右一対の報知ランプ21,21が取付けられている。さらに、該安全フレーム17は、前記連結部17b(又は立上部17a)側に、前記安全フレーム17の上部から前方に向かって延設されることにより前記座席の上方側を覆う板状のルーフ22が着脱可能に構成されている。
【0021】
該ルーフ22は、前後方向に長い長方形状の板状部材であって、その基端側が前記安全フレーム17の連結部17b側に着脱可能に取付けられることにより、前記操縦部6(座席9に着座したオペレータ)の上方側をカバーすることができるように構成されている。言い換えると、該ルーフ22により、前記座席9の後方から前記ステアリングハンドル11の前方に亘る範囲に屋根を設けることができる(
図1乃至4参照)。
【0022】
また、該ルーフ22は、周縁側が下方に向かって屈曲された縁部22aが形成されており、該縁部22aの後部側に、前記安全フレーム17の上部側を収めることにより、側面視で前記ルーフ22の後端側が前記安全フレーム17の後方側にも突出するように構成されている(
図1等参照)。また、該ルーフ22の縁部22a内(ルーフの下面)側に収まるように、前記ルーフを補強する枠状のフレーム機構23が設けられている(
図3参照)。
【0023】
該フレーム機構23は、前後方向の中途部(図示する例では前後方向後ろ寄り)に左右方向に架け渡される補強フレーム24が設けられており、該補強フレーム24を支点として、前記ルーフ22を下方傾斜するように回動作動させた回動姿勢(退避姿勢)に切換えることができるように構成されている。
【0024】
該構成によれば、前記安全フレーム17を後方揺動した前記回動姿勢(退避姿勢)に切換えた場合に、前記ルーフ22も前記フレーム機構23を介して回動姿勢(退避姿勢)に切換えることによって、前記ルーフ22の角度を略水平な状態に保つことができる(
図4参照)。このため、前記安全フレーム17を回動姿勢に切換えたことにより安全フレームの高さを低くしたにも関わらず、ルーフ22の先端側が上方に向いて全高が高くなってしまう事態を回避できる。
【0025】
ちなみに、前記支持機構19は、前記安全フレーム17側に着脱可能に取付けられるルーフ22に干渉しないように、前記RTK-GNSS受信装置20を前記安全フレーム17の後方上方側に支持することができるように構成されている。該支持機構19の具体的な構成については後述する。
【0026】
前記RTK-GNSS受信装置20は、左右方向に延設された支持フレーム26と、該支持フレーム26の左右中央側に設けられたGNSSユニット(制御部)27と、該GNSSユニット27上に設けられた無線アンテナ28と、前記支持フレーム26の左右両端側に一対配置されたGNSSアンテナ29,29とを備え、該支持フレーム26側が前記支持機構19を介して、前記安全フレーム17側に取付固定されている。該構成のRTK-GNSS受信装置20により、測位衛星から該RTK-GNSS受信装置20が取付けられた走行機体7の位置情報を高精度に取得することができる。
【0027】
上記無線アンテナ28は、前記GNSSユニット27の上面側に取付固定されることにより、前記安全フレーム17の上端より高い位置に配置され、該無線アンテナ28によって、圃場面から所定距離離れた場所に設置されたRTK(リアルタイムキネマティック)固定局(図示しない)が取得した座標データ(位置情報、GPSデータ)と、該RTK固定局と前記走行機体7(RTK-GNSS受信装置20)の間の距離データとを動的に取得できるように構成されている。
【0028】
上記GNSSアンテナ29,29は、前記走行機体7側の位置情報を測位衛星から取得するものであり、円柱(ボタン)状に形成された左右の各GNSSアンテナ29,29の下部側は、ドーナツ状に形成された板状の遮蔽部材31,31に嵌合された状態で、前記支持フレーム26側に取付固定されている。
【0029】
ちなみに、左右一方側のGNSSアンテナ29は、前記走行機体7の位置情報の基準となるための受信アンテナであり、左右他方側のGNSSアンテナ29は、前記走行機体7の方位情報を得るための受信アンテナである。これにより、左右一対のGNSSアンテナ29,29を所定距離以上離間させて配置したことにより、測位精度をより向上させることができる。
【0030】
上記構成により、前記RTK-GNSS(汎地球測位航法衛星システム)受信装置20は、測位衛星から取得される前記走行機体7の位置情報を、RTK固定基地局から取得される位置情報と組み合わせることによってセンチメートル単位で高精度な走行機体7の位置情報を取得することができるように構成されている。
【0031】
また、該RTK-GNSS受信装置20は、前記GNSSユニット27内に制御部を有し、該制御部は、該RTK-GNSS受信装置20によって取得された前記走行機体7の位置情報に基づいて前記操舵ユニット16を制御することによって、前記走行機体7の直進走行を補助するように前記ステアリングハンドル11の操向操作を制御する直進アシスト制御が実行可能に構成されている。
【0032】
次に、
図5乃至7に基づき、前記支持機構の構成について説明する。
図5は、支持機構を介して安全フレーム側に取付けられたRTK-GNSS受信装置を示した要部斜視図であり、
図6(A)及び(B)は、支持機構及びRTK-GNSS受信装置を示した正面斜視図及び後面斜視図であり、
図7(A)及び(B)は、支持機構の分解斜視図であり、
図8(A)乃至(D)は、支持機構の斜視図、平面図、正面図、側面図である。
【0033】
前記支持機構19は、前記安全フレーム17側に着脱可能に取付固定される取付部36と、該取付部36側から後方上側に向かって延設される延設部37と、該延設部37と取付部36との間を連結する調整部38とを有し、前記RTK-GNSS受信装置20を前記安全フレーム17側に支持するとともに、該RTK-GNSS受信装置20を該安全フレーム17の後方且つ上方に配置することができるように構成されている。
【0034】
また、前記支持機構19は、該調整部38によって、該延設部37が取付部36に対して上下動可能に連結されることにより、前記延設部37の上端(後端)部側に取付けられる前記RTK-GNSS受信装置20の設置(上下)位置を調整することができるように構成されている。以下、説明する。
【0035】
前記取付部36は、後方が開放されたコ字状に形成されており、前記安全フレーム17の連結部17bを前方側から差込むことによって、該連結部17bを挟持するようにして前記安全フレーム17側に取付けられるように構成されている。
【0036】
また、該取付部36は、その上下面に取付孔36aが穿設されて、前記安全フレーム17の連結部17bの左右中央側にも前記取付部36を取付固定するための上下方向の固定孔(図示しない)が穿設されている。該構成により、前記取付部36は、前記安全フレーム17の連結部17b側に取付固定する際の取付位置への位置決め作業と、該連結部17bへの取付作業とをスムーズに行うことができる。
【0037】
また、該取付部36は、その後部側に、上下方向の規制ボルト39が左右方向に並べて複数(図示する例では4カ所)設けられることにより、該取付部36の開放端側を閉じることができるように構成されている。これにより、前記安全フレーム17の連結部17bが差込まれた(挟持・収容した)状態を保持して、前記取付部36から該安全フレーム17が抜けることを規制することができる(
図5乃至8等参照)。
【0038】
さらに、該取付部36は、該取付部36(の内側)と、前記安全フレーム17の連結部17bとの間に形成される隙間にシート状のシム(詰め物)41を差込むことにより、前記取付部36(RTK-GNSS受信装置20)を前記安全フレーム17側にガタつきなく取付固定することができるように構成されている。
【0039】
該構成によれば、例えば、前記取付部36を前記安全フレーム17の連結部17bの厚さが異なる機種に取付けることにより、前記取付部36と連結部17bとの間に形成される隙間の厚さが変わる場合であっても、隙間の厚さに応じて、該隙間に差込むシム41の枚数を調整(図示する例では2枚)することにより、前記取付部36をガタつくことなく強固に安全フレーム17側へと取付固定することができる。これにより、前記支持機構19の汎用性がより向上する。
【0040】
また、上記シム41は、前記取付部36(の内側)に設置されるにあたり、その前端側が取付部36内側の前端まで延設されるとともに、その後端側が前記規制ボルト39の後方まで延設されるように形成されている。また、該シム41の後端側は、前記規制ボルト39(又は該規制ボルト39に外装される筒状のカラー)の形状に沿って前方に向かって円弧状に切欠かれた凹部(図示しない)を形成しても良い。該構成によれば、前記シム41が前記取付部36側に位置決めされてズレにくくなるため、該取付部36の前記安全フレーム17側への取付作業をよりスムーズに行うことができる。
【0041】
ちなみに、前記取付部36は、側面視で上面よりも下面側が長くなるように後方に突出形成されることにより、該突出部から前記シム41を該取付部36内側にスライドさせるようにして設置することができるため、前記シム41の取付部36側への設置作業がより容易になる(
図8等参照)。
【0042】
前記延設部37は、側面視では後方且つ上方に向かってL字状に屈曲成形される左右一対の板状部材からなる延設フレーム42と、一対の延設フレーム42,42間を架渡すように固定されることにより補強する枠状部材である補強フレーム43とから構成されており、正面視ではその左右幅が前記取付部36よりも幅広に形成されるとともに、該取付部36が延設部37の左右中心側に配置されるように構成されている。
【0043】
図示する例では、該延設部37(延設フレーム42)は、前記取付部36下側に設けられた前記調整部38から後方に向けて延設される第1延設部42aと、該第1延設部42aの後端から後方上方に向かって斜めに延設される第2延設部42bと、該第2延設部42bの上端側から上方に向かって延設される第3延設部42cとを有し、該第3延設部42cの上端側に、前記RTK-GNSS受信装置20が取付固定されている。
【0044】
なお、該RTK-GNSS受信装置20の前記支持フレーム26側には、該支持フレーム26が嵌合される嵌合溝が凹設された左右一対の支持部材45,45が設けられており、該支持部材45が前記延設部37(第3延設部42c)の端部側に着脱可能にボルト固定されるように構成されている。
【0045】
該構成によれば、上述の支持機構19は、前記安全フレーム17の後方且つ上方に前記RTK-GNSS受信装置20を支持できる他、前記延設部37が、側面視で前記安全フレームの連結部17bの真下側から後方に大きく迂回した後、該連結部17bの後方上方側に向けて延設されることにより、前記安全フレーム17の上方側を開放するとともに、前記延設部37と前記安全フレームの連結部17b後方側との間と所定のスペースを設けることができるため、前記支持機構19が前記安全フレーム17に着脱可能に取付けられる前記ルーフ22に干渉することを防止することができる(
図1及び
図5等参照)。
【0046】
前記調整部38は、前後方向に延設された三角形状の板状部材であって、前記取付部36の下面側に溶着等によって左右方向に並べて複数(図示する例では3つ)取付固定される固定板46と、円弧状に凹設された各固定板46の後端側に嵌合するよう支持された状態で溶着等によって取付固定された左右方向の固定筒47と、該固定筒47の両端側に取付けられた左右一対の連結板48,48と、一対の連結板48,48の間に配置されて前記取付部36の下方(固定板の前方)を覆うカバー体(化粧板)49とを備え、左右一対の該連結板48,48が、左右一対の前記延設フレーム42の前端(第1延設部42aの前部)側に着脱可能にボルト固定されるように構成されている。
【0047】
このとき、該連結板48側には、その後部側に前記延設フレーム42の前部側を揺動可能に連結する支点孔48aと、該支点孔48aを軸に上下動する前記延設部37を所定の姿勢で固定する複数の調整孔48bと、前記延設部37が上下揺動範囲を規制する規制ピンを挿通するための規制孔48cが穿設されている。
【0048】
これに対し、前記第1延設部42a(延設フレーム42前部)には、前記連結板48側の支点孔48a側に連結されて該延設部37の支点軸となる支点用固定ボルト51が挿通される支点孔と、該連結板48側の調整孔48bに挿通される調整用固定ボルト52が挿通される複数(図示する例では2カ所)の調整孔と、該支点孔と調整孔との間に形成されて前記規制ピンが挿通される円弧状の規制孔53とが穿設されている。
【0049】
上述の構成によれば、前記支持機構19は、前記延設部37を前記安全フレーム側に固定された前記取付部36に対して、前記規制ピンが規制孔53上を動く範囲内で上下揺動可能に連結され、所定の揺動位置で固定することができる。これにより、前記安全フレーム17の位置や、前記ルーフ22の位置、大きさ等に応じて、RTK-GNSS受信装置20の位置を調整しながら取付けることができるため、より汎用性が向上する。
【0050】
次に、
図9に基づいて、別実施例1の前記支持機構の構成について、上述の例と異なる点について説明する。
図9は、別実施例1の支持機構を示した要部斜視図である。
【0051】
前記延設部37は、側面視では後方且つ上方に向かってL字状に屈曲成形される左右一対の板状部材からなる延設フレーム42により構成され、その上端側が前記安全フレーム17の連結部17b上面の略真後ろ側に位置するよう形成しても良い(
図9参照)。
【0052】
該構成によれば、前記安全フレーム17側に前記ルーフ22を取付けない場合においては、前記支持機構19によって、前記RTK-GNSS受信装置20を安全フレーム17の連結部17bの後部近傍に配置することができるため、前記RTK-GNSS受信装置20を含めた作業車両の全高を必要以上に高くせず、より低重心に構成することができる。
【0053】
次に、
図10に基づいて、別実施例2の前記支持機構の構成について、上述の例と異なる点について説明する。
図10は、別実施例2の支持機構を示した要部斜視図である。
【0054】
前記支持機構19は、前記安全フレーム17の立上部17a側に取付固定される左右一対の取付部56と、該取付部56側から後方上側に向かって延設された棒状の延設部57と、該延設部57を補強する補強部材58とを有し、前記RTK-GNSS受信装置20を前記安全フレーム17側に支持するとともに、該RTK-GNSS受信装置20を該安全フレーム17の後方且つ上方に配置することができるように構成されている。
【0055】
上記取付部56は、後方が開放されたコ字状に屈曲形成された板状部材であって、前記安全フレーム17の立上部17aを嵌合(挟持・収容)するようにして、該安全フレーム17側に着脱可能に構成されている。また、該取付部56の左右外側には、方向指示器として機能する報知ランプ21も取付けることができるように構成されている。
【0056】
上記延設部57は、前記取付部の左右内側に溶着等によって取付けられたクランク状に屈曲形成された棒状(パイプ状)部材であって、その上端側に、前記支持部材45を介して前記RTK-GNSS受信装置20が取付けられるように構成されている。
【0057】
図示する例では、該延設部57は、前記取付部56に沿って上下方向に延設された第1延設部と、該第1延設部の上端から前記安全フレームの連結部17後方上側に向けて後方斜め上方に延設した第2延設部と、該第2延設部の上端(後端)から傾斜を急にして上方に延設した第3延設部とが形成されるように屈曲形成されている。
【0058】
該構成によれば、前記安全フレーム17の連結部17bを開放した状態で前記RTK-GNSS受信装置20を支持することができるとともに、前記安全フレーム17の立上部17a側に取付けられる前記取付部56の上下位置を調整することによって、前記支持機構を介して取付られる前記RTK-GNSS受信装置20の高さ位置を容易に調整することができる。
【0059】
これにより、前記安全フレーム17側に前記RTK-GNSS受信装置20を支持した状態で、前記安全フレーム17の連結部17b回りのスペースをより大きく空けることができるため、様々な仕様・大きさのルーフ22を取付けることができるようになる。
【符号の説明】
【0060】
7 走行機体
9 座席
16 操舵ユニット
17 安全フレーム
17a 立上部
17b 連結部
19 支持機構
20 RTK-GNSS受信装置(受信ユニット)
36 取付部
37 延設部
41 シム(詰め材)
42 延設フレーム
50 制御部
53 規制孔(調整孔)