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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ボックスカルバート
(51)【国際特許分類】
   E03F 3/04 20060101AFI20231031BHJP
   B28B 21/56 20060101ALI20231031BHJP
   E02D 29/045 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
E03F3/04 A
B28B21/56
E02D29/045 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019204843
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021075943
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591067897
【氏名又は名称】千葉窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 正邦
(72)【発明者】
【氏名】荒木 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和志
(72)【発明者】
【氏名】新宮 康之
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】小野 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】前田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 裕大
(72)【発明者】
【氏名】小松▲崎▼ 国夫
(72)【発明者】
【氏名】小川 徹
(72)【発明者】
【氏名】野手 誠
(72)【発明者】
【氏名】江口 知也
(72)【発明者】
【氏名】迫田 邦章
(72)【発明者】
【氏名】松田 誠一
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-163760(JP,A)
【文献】特開2009-243139(JP,A)
【文献】特開平05-098805(JP,A)
【文献】特開2000-120152(JP,A)
【文献】登録実用新案第3131259(JP,U)
【文献】特開2000-273938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 1/00 -11/00
B28B 21/56
E02D 29/045-37/00
E02D 29/00
E04C 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレキャストコンクリート製のボックスカルバートであって、
コーナー部がアーチ形状に形成された略矩形断面のコンクリートからなる躯体と、躯体の内部の外側と内側においてそれぞれ断面視で周方向に配置される主筋と、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるとともに複数の主筋を取り囲んで配置される帯筋とを備え
コーナー部の内側に配置される主筋の引張り応力が降伏応力に達したときの主筋を拘束する帯筋の引張り応力は降伏応力以下であり、
コーナー部の内側のかぶりコンクリートを押し剥がす向きに作用する圧力に対して、かぶりコンクリートの剥落を防止するものであることを特徴とするボックスカルバート。
【請求項2】
プレキャストコンクリート製のボックスカルバートであって、
コーナー部がアーチ形状に形成された略矩形断面のコンクリートからなる躯体と、躯体の内部の外側と内側においてそれぞれ断面視で周方向に配置される主筋と、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるとともに複数の主筋を取り囲んで配置される帯筋とを備え、
内側に配置される主筋が横断方向に連続した第一の配筋セットと頂版および底版にのみ配筋された第二の配筋セットを交互に配置することにより構成されたことを特徴とするボックスカルバート。
【請求項3】
略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置されるとともに厚さが異なる上部材と下部材とからなり、コーナー部の内側の曲率半径よりも外側の曲率半径が大きく、それぞれの曲率円の中心は異なる位置であることを特徴とする請求項1または2に記載のボックスカルバート。
【請求項4】
帯筋は、一部の主筋を重複して取り囲む環状の第1帯筋と第2帯筋とからなることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のボックスカルバート。
【請求項5】
略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置される上部材と下部材とからなり、下側のアーチ形状のコーナー部とこれに連なる下部材との間の外面に、埋戻し材をアーチ形状のコーナー部の下に充填することを容易にするための突起が設けられていることを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載のボックスカルバート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート製のボックスカルバートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地下を通る水路や道路等を構築する際に、断面が中空の筒状体からなるボックスカルバートが広く使用されている(例えば、特許文献1、2を参照)。ボックスカルバートの構築は現場打ちで行われることが多いが、工程短縮等が必要な場合、プレキャスト製品を長手方向に連結させながら地中に埋設することで水路や道路等の地下構造物が構築されることがある。図8は、従来のボックスカルバートの断面形状と配筋の一例である。この図に示すように、現場打ち、プレキャストにかかわらず大半の従来のボックスカルバートは、エッジ形状の隅角部1にハンチ2を有する矩形の断面で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-163760号公報
【文献】特開2001-173368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の通り、従来のプレキャスト製品のボックスカルバートは、現場打ちに比べ、工場製作であるため型枠形状の自由度が高いにもかかわらず、現場打ちの形状に倣っているため、ハンチ2に沿う鉄筋3や隅角部補強筋4等の交差配筋を有している。このため、製作時における隅角部の配筋作業に多大な手間を要している上、鉄筋量、鉄筋配置の合理化をすることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、配筋作業の手間を軽減し、鉄筋量、鉄筋配置の合理化をすることができるプレキャストコンクリート製のボックスカルバートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るボックスカルバートは、プレキャストコンクリート製のボックスカルバートであって、コーナー部がアーチ形状に形成された略矩形断面のコンクリートからなる躯体と、躯体の内部の外側と内側においてそれぞれ断面視で周方向に配置される主筋と、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるとともに複数の主筋を取り囲んで配置される帯筋とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る他のボックスカルバートは、上述した発明において、略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置されるとともに厚さが異なる上部材と下部材とからなり、コーナー部の内側の曲率半径よりも外側の曲率半径が大きく、それぞれの曲率円の中心は異なる位置であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他のボックスカルバートは、上述した発明において、コーナー部の内側に配置される主筋の引張り応力が降伏応力に達したときの主筋を拘束する帯筋の引張り応力は降伏応力以下であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る他のボックスカルバートは、上述した発明において、帯筋は、一部の主筋を重複して取り囲む環状の第1帯筋と第2帯筋とからなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他のボックスカルバートは、上述した発明において、内側に配置される主筋が横断方向に連続した第一の配筋セットと頂版および底版にのみ配筋された第二の配筋セットを交互に配置することにより構成されたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他のボックスカルバートは、上述した発明において、略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置される上部材と下部材とからなり、下側のアーチ形状のコーナー部とこれに連なる下部材との間の外面に、埋戻し材をアーチ形状のコーナー部の下に充填することを容易にするための突起が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るボックスカルバートによれば、プレキャストコンクリート製のボックスカルバートであって、コーナー部がアーチ形状に形成された略矩形断面のコンクリートからなる躯体と、躯体の内部の外側と内側においてそれぞれ断面視で周方向に配置される主筋と、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるとともに複数の主筋を取り囲んで配置される帯筋とを備えるので、従来の矩形断面のボックスカルバートに存在していた隅角部補強筋等の交差配筋を不要とすることができる。このため、製作時における配筋作業の手間を軽減することができるという効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係るボックスカルバートによれば、コーナー部をアーチ形状にすることにより、隅角部に発生する最大曲げモーメントを矩形形状よりも小さくできるため、鉄筋量を削減することができ、鉄筋量、鉄筋配置の合理化を行うことができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置されるとともに厚さが異なる上部材と下部材とからなり、コーナー部の内側の曲率半径よりも外側の曲率半径が大きく、それぞれの曲率円の中心は異なる位置であるので、上部材、下部材と側部材の部材厚を変更した不等厚形状のボックスカルバートを提供することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、コーナー部の内側に配置される主筋の引張り応力が降伏応力に達したときの主筋を拘束する帯筋の引張り応力は降伏応力以下であるので、L2地震時など大変形が生じる場合にコーナー部が開く方向に力が作用したときにコーナー部の内側のコンクリートが押し剥がされるような作用(腹圧力)に対し、内側のかぶりコンクリートの剥落を防止することができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、帯筋は、一部の主筋を重複して取り囲む環状の第1帯筋と第2帯筋とからなるので、製作時における配筋作業の効率を向上することができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、内側に配置される主筋が横断方向に連続した第一の配筋セットと頂版および底版にのみ配筋された第二の配筋セットを交互に配置することにより構成されるので、側壁の鉄筋が頂版および底版と連続性を保たなければならないボックスカルバートの設計指針を満足しながら、側壁の鉄筋本数を低減し、鉄筋量を削減することができる。
【0018】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置される上部材と下部材とからなり、下側のアーチ形状のコーナー部とこれに連なる下部材との間の外面に、埋戻し材をアーチ形状のコーナー部の下に充填することを容易にするための突起が設けられているので、下側のコーナー部における埋戻し材の充填性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係るボックスカルバートの実施の形態を示す断面斜視図である。
図2図2は、本実施の形態の配筋状況を示す断面斜視図である。
図3図3は、本実施の形態のコーナー部の作用説明図である。
図4図4は、本実施の形態のコーナー部の部分拡大図である。
図5図5は、概略モーメント図であり、(1)は本発明の実施例、(2)は比較例である。
図6図6は、本実施の形態の他の配筋例を示す正面図である。
図7図7は、本実施の形態の他の配筋例を示す斜視図である。
図8図8は、従来のボックスカルバートの一例を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るボックスカルバートの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係るボックスカルバート10は、プレキャストコンクリート製であって、コーナー部12がアーチ形状に形成された略矩形断面のコンクリートからなる躯体14と、軸方向鉄筋16(主筋)と、帯鉄筋18(帯筋)とを備える。コーナー部12がアーチ形状であるとは、コーナー部12の躯体14の輪郭ラインが、ボックスカルバート10の横断面視で所定の曲率を有する丸みを帯びた形状(R形状)であるという意味である。
【0022】
躯体14は、上下に対向配置されるとともに厚さが異なる頂版20(上部材)と底版22(下部材)と、左右に対向配置される側壁24、24(側部材)とからなる。本実施の形態では、躯体14の内空断面の高さ6000mm程度、幅5700mm程度を想定し、頂版20の厚さ850mm程度、底版22の厚さ900mm程度、左右側壁24の厚さ650mm程度の不等厚形状を想定しているが、本発明はこれに限るものではない。すなわち他の寸法の組み合わせの不等厚形状でもよいし、各部材厚が同じ等厚形状でもよい。
【0023】
コーナー部12の躯体ラインの曲率半径は、内面側(内空側)の曲率半径よりも外面側の曲率半径が大きく、内面側の曲率円R1と外面側の曲率円R2の中心は異なる位置である。こうすることで、頂版20、底版22と側壁24の部材厚が異なる不等厚形状のボックスカルバート10を実現することができる。なお、本実施の形態では、コーナー部12の内面側の躯体ラインの曲率半径1000mmを想定しているが、本発明はこれに限るものではない。
【0024】
軸方向鉄筋16は、躯体14の内部の外側と内側においてそれぞれ断面視で周方向に配置される。帯鉄筋18は、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるとともに複数の軸方向鉄筋16を取り囲んで配置されるフープ筋である。図2は、配筋状況を示した断面斜視図である。この図に示すように、軸方向鉄筋16は、縦断方向(ボックスカルバート10の延在方向)に所定の間隔をあけて複数配置される。帯鉄筋18は、縦断方向に若干ずれて連なりに配置された環状の第1帯筋18Aと第2帯筋18Bを有する。第1帯筋18Aと第2帯筋18Bは、その間にある複数の軸方向鉄筋16を重複して取り囲む。このように中間帯鉄筋を使用せず、2連の帯鉄筋18を採用することで、製作時における配筋作業の効率が向上する。これにより短期間で製作することが可能となる。
【0025】
本実施の形態では、コーナー部12において、内側の軸方向鉄筋16の引張り応力が降伏応力に達したときそれを拘束する帯鉄筋18が降伏応力以下となるように設定している。こうすることで、図3に示すように、L2地震時など大変形が生じる場合にコーナー部12が開く方向に外力(軸力N、モーメントM)が作用したときに、コーナー部12の内側のコンクリートが押し剥がされるような作用(腹圧力P)に対し、内側のかぶりコンクリートCの剥落を防止することができる。
【0026】
なお、図1に示すように、下側のアーチ形状のコーナー部12とこれに連なる底版22との間の下面(外面)には、若干量(例えば高さ50mm程度)の突起26が設けられている。図4の部分拡大図に示すように、この突起26は、地面GL上に設置される底版22のコーナー部12下側の埋戻し充填部28に、埋戻し材を充填することを容易にするためのものである。突起26を設けることで、下側のコーナー部12における埋戻し材の充填性を確保することができる。
【0027】
本実施の形態によれば、従来の矩形断面のボックスカルバートに存在していた隅角部補強筋がないため、鉄筋を交差させることがない。交差鉄筋がなく鉄筋同士が干渉する問題がなくなるので、製作時における配筋作業の手間を軽減することができる。また、隅角部の照査を省略することができる。さらに、コーナー部12がR形状となるため、内空側から見たボックスカルバート10内の美観が向上する。
【0028】
また、コーナー部12の外面側と内面側の曲率円R1、R2の中心位置をずらすことで、頂版20・底版22と側壁24の部材厚を変更した不等厚形状のボックスカルバート10を実現することができる。また、不等厚形状であってもコーナー部12における軸方向鉄筋16の曲げ形状を、曲げ加工が容易な単心円の形状に設定することができる。
【0029】
図5(1)は本発明の実施例のモーメント図、(2)は比較例(図8に示される矩形断面のボックスカルバート)のモーメント図である。この図に示すように、隅角部での最大モーメントを比較すると本実施例の方が小さく、同一照査位置における発生断面力が比較例よりも低減されることが窺える。したがって、本実施の形態によれば、従来の矩形断面のボックスカルバートと比べて隅角部の発生断面力を低減することができる。このため、例えば単位体積当たりの鉄筋量を10%程度低減することが可能である。
【0030】
また、本実施の形態によれば、従来の矩形断面のボックスカルバートに比べて変形性能を有する形状を採ることにより、矩形断面に比べて地震時の地盤応答変位に対する耐力が大きい。せん断補強鉄筋が全ての位置で部材軸直交方向に配置されるため、曲線区間となるコーナー部12においても、従来通りせん断力に対する照査を行う設計ができる。
【0031】
なお、上記の実施の形態において、軸方向鉄筋16の配筋方法を縦断方向に変更してもよい。例えば、図6(1)に示すような配筋セットAと、(2)に示すような配筋セットBを、図7に示すように縦断方向に交互に配筋してもよい。配筋セットAは横断方向(周方向)に連続した軸方向鉄筋16からなる。配筋セットBは構造計算上必要となる頂版20および底版22にのみ軸方向鉄筋16を配置している。このようにすれば、横断方向に連続した鉄筋配置を可能にしつつ、側壁24の内側の軸方向鉄筋16の本数を低減し、鉄筋量を削減することができる。
【0032】
以上説明したように、本発明に係るボックスカルバートによれば、プレキャストコンクリート製のボックスカルバートであって、コーナー部がアーチ形状に形成された略矩形断面のコンクリートからなる躯体と、躯体の内部の外側と内側においてそれぞれ断面視で周方向に配置される主筋と、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されるとともに複数の主筋を取り囲んで配置される帯筋とを備えるので、従来の矩形断面のボックスカルバートに存在していた隅角部補強筋等の交差配筋を不要とすることができる。このため、製作時における配筋作業の手間を軽減することができる。
【0033】
また、本発明に係るボックスカルバートによれば、コーナー部をアーチ形状にすることにより、隅角部に発生する最大曲げモーメントを矩形形状よりも小さくできるため、鉄筋量を削減することができ、鉄筋量、鉄筋配置の合理化を行うことができる。
【0034】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置されるとともに厚さが異なる上部材と下部材とからなり、コーナー部の内側の曲率半径よりも外側の曲率半径が大きく、それぞれの曲率円の中心は異なる位置であるので、上部材、下部材と側部材の部材厚を変更した不等厚形状のボックスカルバートを提供することができる。
【0035】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、コーナー部の内側に配置される主筋の引張り応力が降伏応力に達したときの主筋を拘束する帯筋の引張り応力は降伏応力以下であるので、L2地震時など大変形が生じる場合にコーナー部が開く方向に力が作用したときにコーナー部の内側のコンクリートが押し剥がされるような作用(腹圧力)に対し、内側のかぶりコンクリートの剥落を防止することができる。
【0036】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、帯筋は、一部の主筋を重複して取り囲む環状の第1帯筋と第2帯筋とからなるので、製作時における配筋作業の効率を向上することができる。
【0037】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、内側に配置される主筋が横断方向に連続した第一の配筋セットと頂版および底版にのみ配筋された第二の配筋セットを交互に配置することにより構成されるので、側壁の鉄筋が頂版および底版と連続性を保たなければならないボックスカルバートの設計指針を満足しながら、側壁の鉄筋本数を低減し、鉄筋量を削減することができる。
【0038】
また、本発明に係る他のボックスカルバートによれば、略矩形断面の躯体は、左右に対向配置される側部材と、上下に対向配置される上部材と下部材とからなり、下側のアーチ形状のコーナー部とこれに連なる下部材との間の外面に、埋戻し材をアーチ形状のコーナー部の下に充填することを容易にするための突起が設けられているので、下側のコーナー部における埋戻し材の充填性を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係るボックスカルバートは、地下を通る水路や道路等の地下構造物に有用であり、特に、ボックスカルバート製作時における配筋作業の手間を軽減するのに適している。
【符号の説明】
【0040】
10 ボックスカルバート
12 コーナー部
14 躯体
16 軸方向鉄筋(主筋)
18 帯鉄筋(帯筋)
18A 第1帯筋
18B 第2帯筋
20 頂版(上部材)
22 底版(下部材)
24 側壁(側部材)
26 突起
28 埋戻し充填部
GL 地面
R1,R2 曲率円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8