(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】対象物情報管理装置および対象物情報管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019205208
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】修 斉
(72)【発明者】
【氏名】玉山 信宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼人
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-133037(JP,A)
【文献】特開2019-046296(JP,A)
【文献】特開2003-337610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインで計測するセンサによるセンサデータと、前記センサによる計測の対象となった対象物情報を対応付ける対象物情報管理装置であって、
前記
対象物情報管理装置は、
設備ごとに、一つのレコードに、ライン番号とロット番号とロットサイズと製造開始時刻または製造終了時刻とを格納する製造情報テーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、計測開始時刻と計測終了時刻とセンサの計測値とを格納するセンサデータテーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、ロット番号とロットサイズとブロックとするセンサデータのレコードの一番前の計測開始時刻とブロックとするセンサデータのレコードの一番後ろの計測終了時刻とを格納するブロック単位集計テーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、ロット番号と対応付けたテーブルの一番前の計測開始時刻と一番後ろの計測終了時刻とを格納するセンサと製造情報のデータ結合テーブルと、
一つのレコードに、ライン番号と工程番号とロット番号とロットサイズと計測開始時刻と計測終了時刻を格納する製造情報とセンサデータの結合テーブルとを保持し、
前記
対象物情報管理装置は、
前記ブロック単位集計テーブルを参照し、前記センサデータテーブルのレコードを集計してセンサデータブロックとして分割する分割工程と、
前記製造情報テーブルと前記ブロック単位集計テーブルとを参照して、順次、前記製造情報テーブルのレコードから一つのレコードを取り、前記センサデータテーブルから前記分割工程によるセンサデータブロックの数のセンサデータテーブルのレコードの数を取り、前記製造情報テーブルのレコードの示すロットサイズの合計と前記センサデータテーブルのレコード数の合計とが合致するように、前記製造情報テーブルのレコードと前記センサデータブロックとを対応付ける対応工程と、
前記対応工程より対応付けられた前記製造情報テーブルのレコードの示すロットサイズ分だけ、前記センサデータブロックして取られたセンサデータテーブルのレコードの数を取って、前記製造情報テーブルのレコードの示すロット番号に対応付けられた前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードを格納する格納工程と、
前記製造情報テーブルのロット番号の示すレコードの製造開始時刻、製造終了時刻と、前記センサと製造情報のデータ結合テーブルの同じロット番号のレコードの計測開始時刻、計測終了時刻が、(製造開始時刻<計測開始時刻≦計測終了時刻<製造終了時刻)の条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードが前記判定工程による条件を満たしたときに、そのレコードに基づいて、前記製造情報とセンサデータの結合テーブルのレコードを格納する格納工程とを実行することを特徴とする対象物情報管理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記センサと製造情報のデータ結合テーブルは、さらに、追番を格納し、
前記製造情報とセンサデータの結合テーブルは、さらに、追番を格納し、
前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードを格納する格納工程において、追番を付与して格納し、
前記製造情報とセンサデータの結合テーブルのレコードを格納する格納工程において、前記製造情報とセンサデータの結合テーブルの追番に、前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードの追番を格納することを特徴とする対象物情報管理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記ブロック単位集計テーブルは、過去のロット生産における時間情報のロット切替の学習データに基づく学習モデルにより推論されて作成されることを特徴とする対象物情報管理装置。
【請求項4】
ラインで計測するセンサによるセンサデータと、前記センサによる計測の対象となった対象物情報を対応付ける対象物情報管理装置であって、
前記
対象物情報管理装置は、
設備ごとに、一つのレコードに、ライン番号とロット番号とロットサイズと製造開始時刻または製造終了時刻とを格納する製造情報テーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、計測開始時刻と計測終了時刻とセンサの計測値とを格納するセンサデータテーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、ロット番号とロットサイズとブロックとするセンサデータのレコードの一番前の計測開始時刻とブロックとするセンサデータのレコードの一番後ろの計測終了時刻とを格納するブロック単位集計テーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、ロット番号と対応付けたテーブルの一番前の計測開始時刻と一番後ろの計測終了時刻とを格納するセンサと製造情報のデータ結合テーブルと、
一つのレコードに、ライン番号と工程番号とロット番号とロットサイズと計測開始時刻と計測終了時刻を格納する製造情報とセンサデータの結合テーブルとを保持し、
前記
対象物情報管理装置は、
前記ブロック単位集計テーブルを参照し、前記センサデータテーブルのレコードを集計してセンサデータブロックとして分割する分割工程と、
順次、前記製造情報テーブルと前記ブロック単位集計テーブルとを探索して、前記製造情報テーブルのレコードの示すロットサイズと、前記ブロック単位集計テーブルの示す前記
センサデータブロックとして分割された前記センサデータテーブルのレコード数が、所定の最大欠損回数に対して、(ロットサイズ-最大欠損回数≦レコード数≦ロットサイズ)の条件を満たすか否かを判定する第一判定工程と、
前記ブロック単位集計テーブルの示すレコード数が、前記第一判定工程を満たしたときには、前記対応工程より対応付けられた前記製造情報テーブルのレコードの示すロットサイズ分だけ、前記センサデータブロックして取られたセンサデータテーブルのレコードの数を取って、前記製造情報テーブルのレコードの示すロット番号に対応付けられた前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードを格納する格納工程と、
前記製造情報テーブルのロット番号の示すレコードの製造開始時刻、製造終了時刻と、前記センサと製造情報のデータ結合テーブルの同じロット番号のレコードの計測開始時刻、計測終了時刻が、(製造開始時刻<計測開始時刻≦計測終了時刻<製造終了時刻)の条件を満たすか否かを判定する第二判定工程と、
前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードが前記第二判定工程による条件を満たさないときに、前記製造情報テーブルのロット番号の示すレコードの製造開始時刻、製造終了時刻と、前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードの計測開始時刻、計測終了時刻が、(製造開始時刻<計測開始時刻≦計測終了時刻<製造終了時刻)の条件を満たすように、前記センサと製造情報のデータ結合テーブルを変更する変更工程と、
前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードが前記第二判定工程による条件を満たしたときに、そのレコードに基づいて、前記製造情報とセンサデータの結合テーブルのレコードを格納する格納工程とを実行することを特徴とする対象物情報管理装置。
【請求項5】
ラインで計測するセンサによるセンサデータと、前記センサによる計測の対象となった対象物情報を対応付ける対象物情報管理装置による対象物情報管理方法であって、
前記
対象物情報管理装置は、
設備ごとに、一つのレコードに、ライン番号とロット番号とロットサイズと製造開始時刻または製造終了時刻とを格納する製造情報テーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、計測開始時刻と計測終了時刻とセンサの計測値とを格納するセンサデータテーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、ロット番号とロットサイズとブロックとするセンサデータのレコードの一番前の計測開始時刻とブロックとするセンサデータのレコードの一番後ろの計測終了時刻とを格納するブロック単位集計テーブルと、
センサごとに、一つのレコードに、ロット番号と対応付けたテーブルの一番前の計測開始時刻と一番後ろの計測終了時刻とを格納するセンサと製造情報のデータ結合テーブルと、
一つのレコードに、ライン番号と工程番号とロット番号とロットサイズと計測開始時刻と計測終了時刻を格納する製造情報とセンサデータの結合テーブルとを保持し、
前記
対象物情報管理装置が、前記ブロック単位集計テーブルを参照し、前記センサデータテーブルのレコードを集計してセンサデータブロックとして分割する分割工程と、
前記
対象物情報管理装置が、前記製造情報テーブルと前記ブロック単位集計テーブルとを参照して、順次、前記製造情報テーブルのレコードから一つのレコードを取り、前記センサデータテーブルから前記分割工程によるセンサデータブロックの数のセンサデータテーブルのレコードの数を取り、前記製造情報テーブルのレコードの示すロットサイズの合計と前記センサデータテーブルのレコード数の合計とが合致するように、前記製造情報テーブルのレコードと前記センサデータブロックとを対応付ける対応工程と、
前記
対象物情報管理装置が、前記対応工程より対応付けられた前記製造情報テーブルのレコードの示すロットサイズ分だけ、前記センサデータブロックして取られたセンサデータテーブルのレコードの数を取って、前記製造情報テーブルのレコードの示すロット番号に対応付けられた前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードを格納する格納工程と、
前記
対象物情報管理装置が、前記製造情報テーブルのロット番号の示すレコードの製造開始時刻、製造終了時刻と、前記センサと製造情報のデータ結合テーブルの同じロット番号のレコードの計測開始時刻、計測終了時刻が、(製造開始時刻<計測開始時刻≦計測終了時刻<製造終了時刻)の条件を満たすか否かを判定する判定工程と、
前記センサと製造情報のデータ結合テーブルのレコードが前記判定工程による条件を満たしたときに、そのレコードに基づいて、前記製造情報とセンサデータの結合テーブルのレコードを格納する格納工程とを有することを特徴とする対象物情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物情報管理装置および対象物情報管理方法に係り、特に、工場の製造ラインにおいて、製造物の製造時に検出されるセンサ情報とその製造情報を紐付けて管理するのに好適な対象物情報管理装置および対象物情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工場の製造物の製造ラインに関するデータを、情報処理装置により管理し、生産性向上や品質向上のための分析データとして用いるシステムが広く知られるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、製造ラインのログ情報として、所定時間間隔で、装置内の製品の個数と、生産された個数の情報を受付け、表示装置で、製品個体毎の処理が開始された時刻と処理が終了された時刻を算出して、それらの時刻情報を表示する製造状況の管理システムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、提供設備が、運搬物の提供を検知し、運搬物に関する管理情報を受取設備に送信し、受取設備でその管理情報を保持するトレーサビリティシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-108905号公報
【文献】特開2011-39992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今では、製造ラインの現場においては、センサの種類の多様化や低価格化により、収集できるセンサデータの量が増加している。このような状況の下、製造ライン稼動時に生成されるセンサデータを製品種別ごとに分析し、生産性向上や品質向上に貢献する仕組みが求められる。
【0007】
ところで、製造ラインの最初の工程、最終工程では、製品種別/品名/製造番号などの製造情報が生成されるが、途中工程で計測されるセンサデータには、一般的には、時刻や測定値などの情報しかない。したがって、そのようなセンサデータは、製品種別/品名/製造番号などの製造情報と対応付けないと、生産性向上や品質向上のための分析データとしては利用できないことになる。
【0008】
例えば、特許文献2のトレーサビリティシステムでは、提供設備が運搬物の提供を検知し、運搬物に関する情報(例えば、運搬物の特性、量、出荷日時、運搬手段の識別情報、運搬日時など(段落[0035]))を受取り設備に送信することにより、製品等の運搬物に直接ICタグ等を付することなく、運搬物の流通履歴を管理することが可能になるとしている。
【0009】
特許文献2においては、運搬物に関する情報は、必ずしも、センサデータに関するのものではないが、これを製造ラインのセンサデータの対応付けに応用すると、管理情報の送信に関して、全設備に受信装置、発信装置を設置する必要があり、導入・運用コストが高くなるという課題が生じる。
【0010】
また、運搬物を提供するタイミングで、管理情報を送信するために、運搬物の提供と受取りの間に大きな時間隔がある場合に、複数設備のデータを正確に連結できないという課題が生じる。
【0011】
さらに、運搬物を提供し、管理情報を送信した後に、運搬物の欠損などが発生すると、それ以降の全ての製品個体と管理情報と正確に紐付けることができない事態が発生する。
【0012】
また、センサデータと製品情報を対応付けるためには、センサデータ発生時に、そのつど、なんらかの形で製品情報を入力して、センサデータにその製品情報を付加して管理装置に送信する形態が考えられるが、そのために、特別な情報処理システムが必要となり、管理情報としても容量が大きくなり、設置コストや運用コストも増大し、多種多様な汎用のセンサに対応するシステムを構築するのは難しい。
【0013】
本発明の目的は、対象物がセンサにより計測されるラインにおいて、センサデータをロット毎にグルーピングして、対象物情報に対応付けて、センサデータを分析データとして活用することのできる対象物情報管理装置および対象物情報管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の製造管理装置は、好ましくは、ラインで計測されるセンサデータと、対象物情報を対応付ける対象物情報管理装置であって、プロセッサは、ラインに設置されるセンサで計測され、時系列に計測された対象物の個数であるレコードを含むセンサデータを取得するセンサデータ取得工程と、センサデータの対象物のレコードをその集合であるブロック化するブロック化工程と、ラインを流れる対象物の情報を格納した対象物情報のロットと、ブロック化した対象物のレコードのブロックとの対応付けを行う対応付工程と、を行い、ブロック化工程では、対象物の計測した時間間隔に基づいて、対象物のレコードをブロック化し、対応付工程では、対象物情報のロットと、センサデータのブロックを、その順序を維持してロットサイズ及びブロックのレコード数が合うように対応付けし、ロット数とブロック数が異なる単数または複数のロットと単数または複数のブロックとを対応付け可能であるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、対象物がセンサにより計測されるラインにおいて、センサデータをロット毎にグルーピングして、対象物情報に対応付けて、センサデータを分析データとして活用することのできる対象物情報管理装置および対象物情報管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る製造システムの構成の全体構成図である。
【
図2】実施形態1に係る対象物情報管理装置の機能構成図である。
【
図3A】設備1の製造情報テーブルの一例を示す図である。
【
図3B】設備Nの製造情報テーブルの一例を示す図である。
【
図4A】センサ1のセンサデータテーブルの一例を示す図である。
【
図4B】センサMのセンサデータテーブルの一例を示す図である。
【
図5A】センサ1のロット切替テーブルの一例を示す図である。
【
図5B】センサMのロット切替テーブルの一例を示す図である。
【
図6A】センサ1のセンサデータブロック単位集計テーブルの一例を示す図である。
【
図6B】センサMのセンサデータブロック単位集計テーブルの一例を示す図である。
【
図7A】センサ1と製造情報のデータ結合テーブルの一例を示す図である。
【
図7B】センサMと製造情報のデータ結合テーブルの一例を示す図である。
【
図8】製造情報とセンサデータの結合テーブルの一例を示す図である。
【
図9】ロット切替学習処理を示すフローチャートである。
【
図10】センサデータブロック分割処理を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態1に係る製造情報とセンサデータブロックの結合処理を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態1に係るロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックの探索処理を示すフローチャートである。
【
図14A】S1101の処理を説明する図である(その一)。
【
図14C】S11034の処理を説明する図である。
【
図14D】S1104の処理を説明する図である(その二)。
【
図15】ロット内の追番をシーケンシャルで割当てる処理を示すフローチャートである。
【
図16】製造情報とセンサデータの再編集処理を示すフローチャートである。
【
図17】対象物情報管理装置が表示する製造工程のラインチャート画面の一例を示す図である。
【
図18】実施形態2に係る対象物情報管理装置の機能構成図である。
【
図19】実施形態2のセンサデータの欠損を考慮に入れた場合の製造情報とセンサデータの対応付けを説明する図である。
【
図20】実施形態2に係る製造情報とセンサデータブロックの結合処理を示すフローチャートである。
【
図21】実施形態2に係るロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックの探索処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る各実施形態を、
図1ないし
図21を用いて説明する。
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1を、
図1ないし
図17を用いて説明する。
【0018】
先ず、
図1および
図2を用いて実施形態1に係る製造システムの構成について説明する。
実施形態1に係る製造システムは、
図1に示されるように、製造実行システム10、対象物情報管理装置100、複数の設備30(
図1では、30-1、…、30-N)、複数のセンサ31(
図1では、31-1、…、31-M)が、それぞれイントラネットワーク20で接続された形態である。ただし、イントラネットワーク20は、インターネットのようなグローバルネットワークであってもよい。
【0019】
設備30は、工場の製造ラインに配置され、製造物の各工程での処理をおこなう装置あるいはシステムを想定している。
【0020】
センサ31は、製造ラインの角製造工程処理における製造物に関する情報を計測する測定装置であり、例えば、温度センサ、加速度センサ、距離センサなどである。
【0021】
製造実行システム10は、工場の製造ラインに関する製造物、作業者の各工程の作業などを監視し、管理するシステムである。
【0022】
製造実行システム10は、例えば、一般的なサーバ装置のような情報処理装置によって実現され、
図1に示されるように、CPU(Central Processing Unit)13、主記憶装置12、外部記憶装置I/F(InterFace)14、通信I/F11がバスにより接続された形態である。
【0023】
CPU13は、プログラムを実行し、製造実行システム10の各部を制御するプロセッサである。主記憶装置12は、ワークデータやロードされるプログラムを保持する半導体メモリである。外部記憶装置I/F(InterFace)14は、HDD(Hard Disk Drive)15やSSD(Solid State Drive)などの外部装置を接続するインターフェース部である。通信I/F11は、ネットワークを接続するインターフェース部である。本実施形態では、外部記憶装置I/F14には、HDD15が接続され、通信I/F11には、設備30、センサ31、対象物情報管理装置100と通信するためのイントラネットワーク20が接続されている。
【0024】
対象物情報管理装置100は、製造情報とセンサデータを紐付けるための情報を生成する装置である。
【0025】
対象物情報管理装置100は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータのような情報処理装置によって実現され、
図1に示されるように、CPU112、主記憶装置111、外部記憶装置I/F114、通信I/F113、入出力装置I/F116がバスにより接続された形態である。
【0026】
CPU112、主記憶装置111、外部記憶装置I/F114、通信I/F113については、製造実行システム10のCPU13、主記憶装置12、外部記憶装置I/F14、通信I/F11と同様である。入出力装置I/F116は、入出力装置を接続するインターフェース部である。本実施形態では、ポインティングデバイスとしてマウス117、コマンドやデータを入力するためのキーボード119、画面を表示するモニター118が接続されている。また、外部記憶装置I/F114には、HDD15が接続されている。
【0027】
次に、
図2を用いて対象物情報管理装置の機能構成について説明する。
対象物情報管理装置100は、機能構成として、ロット切替モデル
学習部120、センサデータブロック
分割部130、製造情報とセンサデータの結合部140、データ格納部150からなる。
【0028】
ロット切替モデル学習部120は、製造ラインにおける学習データからロット切替の判定モデルを作成する機能部であり、ロット切替算出部121、時間情報算出部122、ロット切替モデル学習部123のサブユニットからなる。
【0029】
ロット切替算出部121は、製造ラインにおけるロット切替を算出する機能部である。時間情報算出部122は、学習データから各製品個体におけるサイクルタイム(生産ラインのある工程における作業時間)やマシンタイム(機械加工時間)などの時間情報を算出する機能部である。ロット切替モデル学習部123は、ロット切替モデル判定モデルを生成する機能部である。ここで、ロット切替モデル判定モデルは、例えば、「設備iの製造ラインの工程Piで、100秒以上経過するとロット切替が発生する」のようなルールとして表現される。
【0030】
センサデータブロック分割部130は、センサデータを取り扱う推測期間において、センサデータを、センサデータブロックとしてロット単位に分割して、集計する機能部であり、時間情報算出部131、ロット切替判定部132、ブロック分割・集計部133のサブユニットからなる。
【0031】
時間情報算出部131は、推測期間における各製品個体におけるサイクルタイムやマシンタイムなどの時間情報を算出する機能部である。ロット切替判定部132は、ロット切替モデル判定モデルを適用し、推測期間におけるロット切替を算出する機能部である。ここで、「ロット切替を算出」とは、例えば、「設備iでは、100秒でロット切替が発生する」などの情報を出力することである。ブロック分割・集計部133は、算出されたロット切替に基づいて、センサデータを、センサデータブロックとしてロット単位に分割して、集計する機能部である。
【0032】
製造情報とセンサデータの結合部140は、センサデータと製造情報を紐付ける機能部であり、製造情報とセンサデータ対応付け部141、ロット内追番割当部142、包含状態確認部143、製造情報とセンサデータ対応再編集部144、データ統合部145、結合結果表示部146のサブユニットからなる。
【0033】
製造情報とセンサデータ対応付け部141は、製造情報とセンサデータを対応付ける機能部である。ロット内追番割当部142は、ロット内で追番(後述)を割当てる機能部である。包含状態確認部143は、ロット単位で製造情報の時刻とセンサデータの時刻により包含状態を確認する機能部である。製造情報とセンサデータ対応再編集部144は、製造情報とセンサデータの対応に対して付加的な情報を付して再編集する機能部である。データ統合部145は、製造情報とセンサデータを出力結果として結合する機能部である。結合結果表示部146は、製造情報とセンサデータの結合した結果を、
図1のモニター118などに出力する機能部である。
【0034】
データ格納部150は、対象物情報管理装置100で取り扱うデータを保持する機能部である。
【0035】
データ格納部150は、設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-i、センサj(j=1,…,M)のセンサデータテーブル170-j、センサj(j=1,…,M)のロット切替テーブル180-j、センサj(j=1,…,M)のセンサデータブロック単位集計テーブル190-j、センサj(j=1,…,M)と製造情報のデータ結合テーブル190-j、製造情報とセンサデータ結合テーブル210を保持する。なお、各テーブルの詳細は、後に説明する。
【0036】
次に、
図3Aないし
図8を用いて対象物情報管理装置で使用されるデータ構造について説明する。
設備1の製造情報テーブル160-1、設備Nの製造情報テーブル160-Nは、それぞれ設備1:30-1、設備N:30-Nで生成される製造物に関する情報を保持するテーブルである。
【0037】
設備1の製造情報テーブル160-1は、
図3Aに示されるように、ライン番号160-1a、ロット番号160-1b、ロットサイズ160-1c、ロット内追番160-1d、製造開始時刻160-1eの各フィールドを有し、一つのレコードが各製造ライン上の製造物に対応する。
【0038】
ライン番号160-1aには、製造物が流れている製造ラインの番号が格納される。ロット番号160-1bには、製造物の製造ロットの番号が格納される。ロットサイズ160-1cには、製造ロットに入る製造物の個数が格納される。ここで、製造ロットとは、製造時に製造物をひとまとまりにして扱う単位である。ロット内追番160-1dには、製造ロットにおける製造物に順次付与される番号が格納される。製造開始時刻160-1eには、設備1にかかわる製造ラインでその製造物が製造開始された時刻が格納される。
【0039】
設備Nの製造情報テーブル160-Nも、設備1の製造情報テーブル160-1とほぼ同様であるが、製造開始時刻160-1eの代わりに、
図3Bに示されるように、製造終了時刻160-Neとなっていることが異なっている。これは、設備Nが製造ラインの最終端に位置しており、製造物の製造終了時刻が格納されることを意味している。
【0040】
センサ1のセンサデータテーブル170-1、センサMのセンサデータテーブル170-Mは、それぞれセンサ1:31-1、センサM:31-Mで計測されたセンサデータの情報を格納するテーブルである。
【0041】
センサ1のセンサデータテーブル170-1は、
図4Aに示されるように、計測開始時刻170-1a、計測終了時刻170-1b、切削速度170-1cの各フィールドを有し、一つのレコードがセンサにおける各測定値に対応する。
【0042】
計測開始時刻170-1aには、センサ1における計測開始時刻が格納される。計測終了時刻170-1bには、センサ1における計測終了時刻が格納される。切削速度170-1cには、センサ1におけるセンサ値として、切削速度が格納される。
【0043】
センサMのセンサデータテーブル170-Mも、センサ1のセンサデータテーブル170-1とほぼ同様であるが、切削速度170-1cの代わりに、
図4Bに示されるように、回転速度170-Mcとなっていることが異なっている。これは、センサ1が製造物の切削速度での測定をするのに対し、センサMが回転刃物の回転速度を測定することを意味している。
【0044】
センサ1のロット切替テーブル180-1、センサMのロット切替テーブル180-Mは、それぞれセンサ1:31-1、センサM:31-Mのセンサデータのロットの切替わりに関する情報を格納するテーブルである。
【0045】
センサ1の
ロット切替テーブル180-1は、
図5Aに示されるように、計測開始時刻180-1a、計測終了時刻180-1b、
MT180-1c、ロット切替180-1
dの各フィールドを有し、一つのレコードがセンサにおける各測定値に対応する。
【0046】
計測開始時刻180-1a、計測終了時刻180-1bは、それぞれ
図4Aに示したセンサ1のセンサデータテーブル170-1の計測開始時刻170-1a、計測終了時刻170-1bと同様である。
MT180-1cには、(計測終了時刻180-1bの値-計測開始時刻180-1aの値)で計算されるマシンタイム(Machine Time)が格納される。ロット切替180-1
dには、そのセンサデータにおいてロットが切替わったことを示すフラグ(ロットが切替わった:1、ロットは切替わらない:0)が格納される。
【0047】
図5Bに示されるセンサMのロット切替テーブル180-Mも、センサ1のセンサデータテーブル180-1と同様である。
【0048】
センサ1のセンサデータブロック単位集計テーブル190-1、センサMのセンサデータブロック単位集計テーブル190-Mは、それぞれセンサ1:31-1、センサM:31-Mのセンサデータをブロック化したセンサデータブロックの情報を格納するテーブルである。センサデータブロックは、
図4A、
図4Bに示されるセンサデータを、時系列的、概念的にまとめたものである。
【0049】
センサ1のセンサデータブロック単位集計テーブル190-1は、
図6Aに示されるように、ロット番号190-1a、ロットサイズ190-1b、開始時刻190-1c、終了時刻190-1dの各フィールドを有し、一つのレコードが各センサデータブロックに対応する。
【0050】
ロット番号190-1aには、このセンサデータブロックに含まれるセンサデータが対象とする製造物の製造ロットのロット番号が格納される。ロットサイズ190-1bには、ロット番号190-1aに対応する製造ロットのロットサイズが格納される。開始時刻190-1cには、このセンサデータブロックに含まれるセンサデータの計測時刻の内で、一番前の計測開始時刻170-1aの値が格納される。終了時刻190-1dには、このセンサデータブロックに含まれるセンサデータの計測時刻の内で、一番後ろの計測終了時刻170-1dの値が格納される。
【0051】
図6Bに示されるセンサMのセンサデータブロック単位集計テーブル190-Mも、センサ1のセンサデータブロック単位集計テーブル190-1と同様である。
【0052】
センサ1と製造情報のデータ結合テーブル200-1、センサMと製造情報のデータ結合テーブル200-Mは、それぞれのセンサ1:31-1、センサM:31-Mのセンサデータと製造情報のデータの関係情報を示すテーブルである。
【0053】
センサ1と製造情報のデータ結合テーブル200-1は、
図7Aに示されるように、インデックス200-1a、ロット番号200-1b、追番200-1c、計測開始時刻200-1d、計測終了時刻200-1eの各フィールドを有し、一つのレコードが各センサデータブロックに対応する。計測開始時刻200-1c、計測終了時刻200-1dがセンサデータを表すキーとなっており、
図4Aのセンサ1のセンサデータテーブル170-1の計測開始時刻170-1a、計測終了時刻170-1bに対応している。
【0054】
インデックス200-1aには、このレコードに付与される識別子が格納される。ロット番号200-1bには、このレコードのセンサデータに対応する製造物の製造ロットのロット番号が格納される。追番200-1cには、ロット番号200-1bで表される製造ロットの中のシーケンシャルな追番が格納される。計測開始時刻200-1cには、センサデータの計測開始時刻が格納される。計測終了時刻200-1dには、センサデータの計測終了時刻が格納される。
【0055】
図7Bに示されるセンサMと製造情報のデータ結合テーブル200-Mも、センサ1と製造情報のデータ結合テーブル200-1と同様である。
【0056】
製造情報とセンサデータの結合テーブル210は、センサデータと製造情報の関係情報を保持するテーブルである。
【0057】
製造情報とセンサデータの結合テーブル210は、
図8に示されるように、ライン番号
210a、工程番号
210b、ロット番号
210c、ロットサイズ
210d、追番
210e、計測開始時刻
210f、計測終了時刻
210gの各フィールドを有し、一つのレコードが各センサデータブロックに対応する。計測開始時刻
210f、計測終了時刻
210gがセンサデータを表すキーとなっている。
【0058】
ライン番号210aには、製造物が流される製造ラインの番号が格納される。工程番号210bには、センサが計測された工程での工程を示す番号が格納される。ロット番号210cには、製造物に対応する製造ロットのロット番号が格納される。ロットサイズ210dには、製造物に対応する製造ロットのサイズが格納される。追番210eには、製造物に対応する製造ロットの追番が格納される。計測開始時刻210fには、センサデータの計測開始時刻が格納される。計測終了時刻210gには、センサデータの計測終了時刻が格納される。
【0059】
次に、
図9ないし
図16を用いて実施形態1に係る対象物情報管理装置が行う処理について説明する。
【0060】
先ず、
図9を用いてロット切替学習処理について説明する。
先ず、学習データから各製品個体におけるサイクルタイムやマシンタイムなどの時間情報を算出する(S101)。
次に、製造ラインにおけるロット切替を算出する(S102)。
次に、過去のある期間の時間情報に対して、ロット切替の判定モデルを生成する(S103)。
【0061】
次に、
図10を用いてセンサデータブロック分割処理について説明する。
先ず、推測期間における各製品個体におけるサイクルタイムやマシンタイムなどの時間情報を算出する(S201)。
次に、推測期間における時間情報に対して、ロット切替モデル判定モデルを適用し、ロット切替を算出する(S202)。
次に、算出されたロット切替に基づいて、センサデータを、センサデータブロックとしてロット単位に分割して、集計する(S203)。
【0062】
このS203の処理で、
図5Aのセンサ1のロット切替テーブル180-1、
図5BのセンサMのロット切替テーブル180-M、
図6Aのセンサ1のセンサデータブロック単位集計テーブル190-1、
図6BのセンサMのセンサデータブロック単位集計テーブル190-Mが設定される。
【0063】
【0064】
先ず、処理対象としている全てのロットについて処理済か否かを判定し(S301)、全てのロットについて処理したときには(S301:Yes)、S305に行き、処理していないロットがあるときには(S301:No)、S302に行く。
【0065】
処理していないロットがあるときに、センサj(j=1,…,M)のセンサデータテーブル170-jのセンサデータのレコード数の合計が設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示すロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックを探索する(S302、
図12A)。なお、この処理の詳細は、後に、
図13を用いて説明する。
【0066】
図12Aに示される例では、ロット番号A1のロットサイズ12、ロット番号B1のロットサイズ16、ロット番号B2のロットサイズ12で、合計が12+16+12=40あり、これが、サイズ8のセンサデータブロック、サイズ12のセンサデータブロック、サイズ20のセンサデータブロックのサイズ計8+12+20=40と一致することを示している。
【0067】
次に、センサデータブロックのセンサデータに対して、シーケンシャルでロット内の追番を割当て、センサj(j=1,…,M)と製造情報のデータ結合テーブル200-jのレコードを生成する(S303、
図12B)。なお、この処理の詳細は、後に、
図15を用いて説明する。
【0068】
次に、ロット単位で下記の(式1)の包含状態をチェックし(S304、
図12C)、成立しているときには(S304:Yes)、S301に行き、成立していないときには(S304:No)、S302に行く。
製造開始時刻<計測開始時刻≦計測終了時刻<製造終了時刻 …(式1)
ここで、製造開始時刻、製造終了時刻は、設備1の製造情報テーブル160-1、設備Nの製造情報テーブル160-Nが保持する情報であり、計測開始時刻、計測終了時刻は、センサj(j=1,…,M)のセンサデータテーブル170-jが保持する情報である。
【0069】
全てのロットについて処理したときは、製造情報とセンサデータの結合データを再編集し、
図8に示す製造情報とセンサデータの結合テーブル210にレコードを追加する(S305)。なお、この処理の詳細は、後に、
図16を用いて説明する。
【0070】
次に、
図13および
図14A~
図14Dを用いて実施形態1に係るロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックの探索処理について説明する。
これは、
図11のS302に該当する処理である。
【0071】
先ず、センサj(j=1,…,M)のセンサデータテーブル170-jのセンサデータのレコード数の合計が設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示すロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックがあるか否かを判定し(S1101)、そのようなセンサデータブロックがあるときには(S1101:Yes、
図14A)、処理を終了し、そのようなセンサデータブロックがないときには(S1101:No)、S1102に行く。
【0072】
センサデータのレコード数が、設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示すロットサイズにより小さいか否かを判定し(S1102)、センサデータのレコード数が、ロットサイズより小さいときには(S1102:Yes、
図14B)、S1103に行き、ロットサイズより小さくないときには(S1102:No)、S1104に行く。
【0073】
センサデータのレコード数が、ロットサイズより小さいときは、次のセンサデータブロックを追加する(S1103、
図14C)。
図14Cでは、レコードサイズ8のセンサブロックに、レコードサイズ12のセンサブロックを追加した例を示している。
【0074】
センサデータのレコード数が、ロットサイズより小さくないときは、設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示す次のロットを追加する(S1104、
図14D)。
図14Dでは、ロット番号A1のロットサイズ12のロットに、ロット番号B1のロットサイズ16のロットが追加した例を示している。
【0075】
S1103とS1104を実行して、比較されるロット数が指定された閾値より大きいか否かを判定し(S1105)、大きいときには(S1105:Yes)、S1106に行き、大きくないときには(S1105:No)、S1101に戻る。
【0076】
比較されるロット数が指定された閾値より大きくないときは、設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示す最初のロットをスキップして、ロットサイズの合計を再計算し(S1106)、S1101に戻る。
【0077】
これは、
図14Aでは、ロット数3で、ロットサイズの合計と、センサデータブロックの数が3でレコード数の合計と一致したが、所定のロット数の閾値、例えば7個のロット数のロットサイズの合計と複数のセンサデータブロックが見出せないときに、センサデータの計測などシステム上のエラーが発生したとみなして、一致しないロットの情報を破棄するものである。
【0078】
次に、
図15を用いてロット内の追番をシーケンシャルで割当てる処理について説明する。
これは、
図11のS303に該当する処理である。
【0079】
先ず、S1101で設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示すロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックのレコード数の合計Sを計算する(S1201)。
例えば、
図12Aの場合は、S=8+12+20=40なる。
【0080】
次に、S1101で対象となった複数のセンサデータブロックを構成する各センサデータのレコードに対して、1~Sのインデックスをシーケンシャルで割当てる(S1202)。
次に、S1101で対象となった複数ロットの製造情報センサデータブロックの各レコードに対して、1~Sのインデックスをシーケンシャルで割当てる(S1203)。
【0081】
最後に、S1202の1~Sのインデックスをシーケンシャルで割当てられた複数のセンサデータブロックを構成する各センサデータのレコードと、S1203の1~Sのインデックスをシーケンシャルで割当てられた複数ロットの製造情報センサデータブロックの各レコードに対して、各々割当てられたインデックスでJOIN(レコードの結合)し、センサj(j=1,…,M)と製造情報のデータ結合テーブル190-jのレコードを生成する(S1204)。
【0082】
次に、
図16を用いて製造情報とセンサデータの再編集処理について説明する。
これは、
図11のS305に該当する処理である。
先ず、製造システムのセンサ(j=1,…,M)について、全てのセンサが処理済か否かを判定し(S1301)、全てのセンサが処理済のときには(S1301:Yes)、処理を終了し、処理済でないセンサがあるときには(S1301:No)、S1302に行く。
【0083】
処理済でないセンサがあるときは、まだ処理されていないセンサから任意のセンサを選択し、当該センサのセンサj(j=1,…,M)と製造情報のデータ結合テーブル190-jから、ロット番号、追番、計測開始時刻、計測終了時刻のフィールドの値を取得し、ロット番号に対応するライン番号と、センサに対応する工程番号のフィールドの値を追加し、
図8に示した製造情報とセンサデータの結合テーブル210のレコードを追加する(S1302)。
【0084】
なお、図示しなかったが、別途、センサj(j=1,…,M)に対して、対応する工程番号を保持するテーブルが定義されているものとする。
【0085】
次に、
図17を用いて対象物情報管理装置のユーザインタフェースについて説明する。
製造工程のラインチャート画面400は、各ロットの製造工程と製造時間の対応を表示する画面であり、
図17に示されるように、ラインチャート領域401、表示ロット指定領域402からなる。
【0086】
表示ロット指定領域402では、対応するラジオボタンを選択することにより、ラインチャート領域401に表示するロット番号を指定する。
表示ロット指定領域402は、横軸に製造工程、縦軸に時刻がとられ、製造物の製造状況を表示することができる。これにより、製造の遅延や通信データが消失した状況などが明らかになる。
【0087】
以上述べてきたように、本実施形態の対象物情報管理装置によれば、特別な装置を必要とせず、製造ラインにおける製造情報とセンサデータを紐付けることができ、センサデータを生産性向上や品質向上のための分析データとして利用することができる。
【0088】
〔実施形態2〕
以下、本発明の実施形態2を、
図18ないし
図21を用いて説明する。
【0089】
本実施形態では、実施形態1の対象物情報管理装置の機能と処理を前提として、センサデータの欠損があった場合を考慮に入れて、製造情報とセンサデータの対応付けを行う対象物情報管理装置に関するものである。以下、本実施形態では、実施形態1と異なる所を中心に説明する。
【0090】
先ず、
図18を用いて実施形態2に係る対象物情報管理装置の機能構成図について説明する。
実施形態2に係る対象物情報管理装置100の機能構成は、実施形態1の対象物情報管理装置100と比較し、製造情報とセンサデータの結合部140のみが異なっており、欠損回数判定部147と欠損箇所調整部148が追加されている。
【0091】
欠損回数判定部147は、センサデータの欠損の回数を判定する機能部である。欠損箇所調整部148は、センサデータの欠損があったときに、製造情報の対応の調整を行う機能部である。
【0092】
以下、
図19を用いて本実施形態の製造情報とセンサデータの対応付けの考え方について説明する。
本実施形態は、製造情報の示す時間情報と、センサデータの示す時間情報の包含状態をチェックすることにより、欠損箇所を調整するものである。すなわち、製造工程でなんらかの不具合により、センサデータが欠損し、実施形態1の方法による製造情報とセンサデータの対応付けがうまく行えない場合に、欠損箇所でリセットして、再度、製造情報の示す時間情報と、センサデータの示す時間情報の包含状態をチェックするものである。
【0093】
ここで、
図19(a)に示されるように、ロット番号A1の製造物が20個、ロット番号B1の製造物が20個あるとする。
図19では、A1(20)のように、ロット番号(ロット数)で表記している。
【0094】
ここで、ロット番号A1の製造物の20個目に対応するセンサデータに欠損が発生したとする。
【0095】
このとき、実施形態1のように、ロット内の追番を順番でつけた場合には、
図19(b)に示されるようになる。
図19(b)では、センサデータの表記は、A個のセンサデータのi番目からj番目のデータに対して、A:[i-j]、A個のセンサデータのi番目のみのときは、A:[i]としている。すなわち、19:[1-19]と20:[1]が、ロット番号A1の製造物のセンサデータとみなされ、それ以降の20:[2-19]が、ロット番号A1の製造物のセンサデータとみなされる。
【0096】
また、時間遅延が発生しているので、ロット番号A1の製造物の製造開始時刻をS、製造終了時刻をEとし、センサデータの20個目の計測終了時刻を、TE20とすると、TE20>Eが成立することになるので、センサデータの欠損が生じたことを検知することができる。
【0097】
したがって、
図19(c)に示されるように、ロット番号A1の製造物のセンサデータは、19:[1-19]で、その後に、1個の欠損があり、ロット番号B1の製造物のセンサデータは、20:[1-20]であることが分かる。
【0098】
次に、
図20および
図21を用いて実施形態2に係る対象物情報管理装置が行う処理について説明する。
【0099】
実施形態2に係る対象物情報管理装置が行う処理は、製造情報とセンサデータブロックの結合処理と、ロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックの探索処理のみ異なっている。
【0100】
先ず、
図20を用いて実施形態2に係る製造情報とセンサデータブロックの結合処理について説明する。
先ず、処理対象としている全てのロットについて処理済か否かを判定し(S401)、全てのロットについて処理したときには(S401:Yes)、S407に行き、処理していないロットがあるときには(S401:No)、S402に行く。
【0101】
処理していないロットがあるときに、センサデータブロックを探索する(S402)。なお、この処理の詳細は、後に、
図21を用いて説明する。
【0102】
次に、センサデータブロックのセンサデータに対して、シーケンシャルでロット内の追番を割当て、センサj(j=1,…,M)と製造情報のデータ結合テーブル200-jのレコードを生成する(S403)。なお、この処理の詳細は、既に、
図15を用いて説明したところである。
【0103】
次に、ロット単位で実施形態1で述べた(式1)の包含状態をチェックし(S404)、成立しているときには(S404:Yes)、S401に行き、成立していないときには(S404:No)、S405に行く。
【0104】
(式1)の包含状態が成立していないときは、欠損箇所が最初のセンサデータブロックにあるか否かを判定し(S405)、欠損箇所が最初のセンサデータブロックにあるときには(S405:Yes、
図19(c)の状態)、S401に行き、欠損箇所が最初のセンサデータブロックにないときには(S405:No)、S406に行く。
ここで、欠損箇所とは、(式1)の条件を満たさないセンサデータの発生箇所である。
【0105】
欠損箇所が最初のセンサデータブロックにないときは、欠損箇所調整部135は、欠損箇所を一つ前のセンサデータブロックに変更し、ロット内の追番を付け直して、センサj(j=1,…,M)と製造情報のデータ結合テーブル200-jのレコードを上書きし(S406)、S401に戻る。
【0106】
全てのロットについて処理したときは、製造情報とセンサデータの結合データを再編集し、
図8に示す製造情報とセンサデータの結合テーブル210にデータを追加する(S407)。なお、この処理の詳細は、既に、
図16を用いて説明したところである。
【0107】
次に、
図21を用いて実施形態2に係るロットサイズの合計と合致するセンサデータブロックの探索処理について説明する。
これは、
図20のS402に該当する処理である。
【0108】
先ず、センサデータブロックを構成するセンサデータのレコード数が、下記の(式2)をチェックし(S2101)、成立しているときには(S2101:Yes)、処理を終了し、成立していないときには(S2101:No)、S2102に行く。
ロットサイズ-最大欠損回数≦レコード数≦ロットサイズ …(式2)
ここで、ロットサイズは、センサデータと対応付けている製造情報の示すロットサイズであり、最大欠損回数は、予め設定で入力された製造システムで最大のセンサデータの欠損があると推定される回数である。
【0109】
次に、センサデータブロックを構成するセンサデータのレコード数が、センサデータと対応付けている製造情報の示すロットサイズより小さいか否かを判定し(S2102)、小さいときには(S2102:Yes)、S2103に行き、小さくないときには(S2102:No)、S2104に行く。
【0110】
センサデータのレコード数が、ロットサイズより小さいときは、次のセンサデータブロックを追加する(S2103)。
センサデータのレコード数が、ロットサイズより小さくないときは、設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示す次のロットを追加する(S2104)。
【0111】
S2103とS2104を実行して、比較されるロット数が指定された閾値より大きいか否かを判定し(S2105)、大きいときには(S2105:Yes)、S2106に行き、大きくないときには(S2105:No)、S2101に戻る。
【0112】
比較されるロット数が指定された閾値より大きくないときは、設備i(i=1,…,N)の製造情報テーブル160-iの示す最初のロットをスキップして、ロットサイズの合計を再計算し(S2106)、S2101に戻る。
ここで、指定された閾値の意義は、
図13のS1105で説明したものと同様である。
【0113】
以上述べてきたように、本実施形態の対象物情報管理装置によれば、センサデータに欠損が生じても、その欠損分を考慮にいれて、製造ラインにおける製造情報とセンサデータを紐付けることができ、センサデータを生産性向上や品質向上のための分析データとして利用することができる。
【符号の説明】
【0114】
10…製造実行システム、20…イントラネットワーク、30…設備、31…センサ、100…対象物情報管理装置、
120…ロット切替モデル学習部、130…センサデータブロック分割部、140…製造情報とセンサデータの結合部、150…データ格納部