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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】包装体開封システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20231031BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
A61J3/00 310Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019223879
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021090661
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003311
【氏名又は名称】中外製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】東 裕晃
(72)【発明者】
【氏名】今井 友太
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 安澄
(72)【発明者】
【氏名】保坂 英明
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第04419475(DE,A1)
【文献】特開2018-177324(JP,A)
【文献】実公昭56-016618(JP,Y1)
【文献】特開2019-001519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0106234(US,A1)
【文献】実開昭60-068015(JP,U)
【文献】実開昭50-065848(JP,U)
【文献】実開昭53-090568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬品容器を収容するタブのフランジ状の開口縁部にシート状のリッドの外周縁部が接着されている包装体を開封する包装体開封システムであって、
前記リッドが切断されて開封される開封位置において前記リッドを切断可能なカッターブレードと、
プログラムにしたがって制御されるとともに、前記リッドに前記カッターブレードを刺し、その刺さった状態のカッターブレードを前記タブの開口の輪郭の少なくとも一部に沿った切断軌跡で移動させるカッターブレード移動装置と、
前記切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分を保持するリッド保持装置と、
前記タブから切り離された前記リッドの部分が前記開封位置から搬送されるように前記リッド保持装置を移動させるヘッド移動装置と、を有し、
前記リッド保持装置は、前記カッターブレードによる前記リッドの切断中に、前記カッターブレードによる前記リッドの切断を妨げない態様で前記切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分を保持し、
前記カッターブレードによる前記リッドの切断中に前記カッターブレードによる前記リッドの切断を妨げない態様で前記切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分が保持されて行われる前記カッターブレードによる前記リッドの切断は、鉛直方向に沿って視て前記タブの開口の輪郭全体に沿った環状の切断軌跡において前記ヘッド移動装置に重ならない部分において行われる、包装体開封システム。
【請求項2】
前記カッターブレード移動装置が、前記カッターブレードをエンドエフェクタとして備える多関節ロボットである、請求項1に記載の包装体開封システム。
【請求項3】
前記カッターブレード移動装置が、前記環状の切断軌跡で前記カッターブレードを移動させ、
前記カッターブレードは、鉛直方向に沿って視て前記ヘッド移動装置が前記環状の切断軌跡に重ならない状態において前記環状の切断軌跡の一部分で前記リッドを切断した後に、前記カッターブレードによる前記リッドの切断を妨げない態様で前記リッド保持装置によって保持された前記リッドの部分において前記環状の切断軌跡の残りの部分で前記リッドを切断し、
前記環状の切断軌跡の一部分は、鉛直方向に沿って視て前記カッターブレードによる前記リッドの切断中に前記環状の切断軌跡において前記ヘッド移動装置に重なる部分を含む、請求項1または2に記載の包装体開封システム。
【請求項4】
前記リッドの廃棄装置をさらに有し、
前記リッド保持装置は、保持するリッドの部分が前記タブから切り離されると、前記リッドの部分を前記廃棄装置に向かって搬送する、請求項3に記載の包装体開封システム。
【請求項5】
前記開口を画定する前記タブの側壁部の形状を取得し、前記側壁部の形状に基づいて前記開口の形状を算出するタブ開口形状算出部と、
前記タブ開口形状算出部によって算出された前記開口の形状に基づいて、前記切断軌跡を算出する切断軌跡算出部と、をさらに有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装体開封システム。
【請求項6】
前記開封位置に前記包装体を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって前記開封位置に向かって移動中の前記包装体が通過する測定位置を挟んで配置され、前記包装体の前記測定位置の通過が完了するまで、前記側壁部までの距離を連続的にそれぞれ測定する第1および第2の測距センサと、をさらに有し、
前記タブ開口形状算出部が、前記第1および第2の測距センサそれぞれによって測定された距離の変化に基づいて前記側壁部の形状を算出する、請求項5に記載の包装体開封システム。
【請求項7】
前記搬送装置が、ベルトコンベアであって、
前記開封位置で前記ベルトコンベア上の前記包装体のタブをクランプして固定するクランプ装置をさらに有する、請求項6に記載の包装体開封システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体を開封する包装体開封システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シリンジ、バイアルなどの複数の薬品容器をネストによって一定の間隔をあけた状態で密閉収容する包装体が使用されている。このような包装体は、複数の薬品容器とネストとを収容したタブのフランジ状の開口縁部に、シート状のリッドの外周縁部を接着剤によって接着することによって構成されている。
【0003】
また、このようにタブとリッドとから構成される包装体を開封する装置が、特許文献1に開示されている。この装置は、リッドの端をクランプで把持した状態でタブが移動することにより、リッドをタブから引き剥がすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2019-521813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置の場合、クランプがリッドの端を把持し損ねる可能性がある。また、タブとリッドを接着する接着剤がリッドをタブから引き剥がしたときにリッドまたはタブから脱落し、接着剤のコンタミネーションを発生させる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、タブの開口縁部にリッドの外周縁部が接着されている包装体を、接着剤のコンタミネーションの発生を抑制しつつ開封することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
複数の薬品容器を収容するタブのフランジ状の開口縁部にシート状のリッドの外周縁部が接着されている包装体を開封する包装体開封システムであって、
前記リッドが切断されて開封される開封位置において前記リッドを切断可能なカッターブレードと、
プログラムにしたがって制御されるとともに、前記リッドに前記カッターブレードを刺し、その刺さった状態のカッターブレードを前記タブの開口の輪郭の少なくとも一部に沿った切断軌跡で移動させるカッターブレード移動装置と、
前記切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分を保持するリッド保持装置と、
前記タブから切り離された前記リッドの部分が前記開封位置から搬送されるように前記リッド保持装置を移動させるヘッド移動装置と、を有し、
前記リッド保持装置は、前記カッターブレードによる前記リッドの切断中に、前記カッターブレードによる前記リッドの切断を妨げない態様で前記切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分を保持し、
前記カッターブレードによる前記リッドの切断中に前記カッターブレードによる前記リッドの切断を妨げない態様で前記切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分が保持されて行われる前記カッターブレードによる前記リッドの切断は、鉛直方向に沿って視て前記タブの開口の輪郭全体に沿った環状の切断軌跡において前記ヘッド移動装置に重ならない部分において行われる、包装体開封システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タブの開口縁部にリッドの外周縁部が接着されている包装体を、接着剤のコンタミネーションの発生を抑制しつつ開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る包装体開封システムよって開封される一例の包装体の斜視図
図2】包装体の分解斜視図
図3】包装体開封システムの概略的な上面図
図4】包装体開封システムの構成を示すブロック図
図5A】測定位置を通過中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な上面図
図5B】測定位置を通過中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な側面図
図6A】クランプ装置によってクランプされた状態の包装体を示す包装体開封システムの概略的な上面図
図6B】クランプ装置によってクランプされた状態の包装体を示す包装体開封システムの概略的な側面図
図7A】カッターブレードによって開封中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な上面図
図7B】カッターブレードによって開封中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な側面図
図8】タブから切り離されたリッドの部分を保持するリッド回収装置を示す包装体開封システムの概略的な側面図
図9】タブから切り離されたリッドの部分が廃棄位置に搬送された状態の包装体開封システムの概略的な上面図
図10】吸着テーブルの側面図
図11】第1および第2の測距センサによって測定された距離に基づくタブの開口形状の算出方法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様の包装体開封システムは、複数の薬品容器を収容するタブのフランジ状の開口縁部にシート状のリッドの外周縁部が接着されている包装体を開封する包装体開封システムであって、前記リッドを切断可能なカッターブレードと、前記リッドに前記カッターブレードを刺し、その刺さった状態のカッターブレードを前記タブの開口の輪郭の少なくとも一部に沿った切断軌跡で移動させるカッターブレード移動装置と、を有する。
【0011】
このような態様によれば、タブの開口縁部にリッドの外周縁部が接着されている包装体を、接着剤のコンタミネーションの発生を抑制しつつ開封することができる。
【0012】
例えば、前記カッターブレード移動装置が、前記カッターブレードをエンドエフェクタとして備える多関節ロボットであってもよい。
【0013】
例えば、前記カッターブレード移動装置が、前記タブの開口の輪郭全体に沿った環状の切断軌跡で前記カッターブレードを移動させる場合、包装体開封システムは、前記カッターブレードによる前記リッドの切断中に、前記環状の切断軌跡に囲まれた前記リッドの部分を保持するリッド保持装置をさらに有してもよい。
【0014】
例えば、包装体開封システムが前記リッドの廃棄装置をさらに有してもよく、その場合、前記リッド保持装置は、保持するリッドの部分が前記タブから切り離されると、前記リッドの部分を前記廃棄装置に向かって搬送してもよい。
【0015】
例えば、包装体開封システムが、前記開口を画定する前記タブの側壁部の形状を取得し、前記側壁部の形状に基づいて前記開口の形状を算出するタブ開口形状算出部と、前記タブ開口形状算出部によって算出された前記開口の形状に基づいて、前記切断軌跡を算出する切断軌跡算出部と、をさらに有してもよい。
【0016】
例えば、包装体開封システムが、前記カッターブレードによって前記リッドが切断されて開封される開封位置に前記包装体を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって前記開封位置に向かって移動中の前記包装体が通過する測定位置を挟んで配置され、前記包装体の前記測定位置の通過が完了するまで、前記側壁部までの距離を連続的にそれぞれ測定する第1および第2の測距センサと、をさらに有してもよい。この場合、前記タブ開口形状算出部が、前記第1および第2の測距センサそれぞれによって測定された距離の変化に基づいて前記側壁部の形状を算出してもよい。
【0017】
例えば、前記搬送装置が、ベルトコンベアであってもよく、この場合、包装体開封システムが、前記開封位置で前記ベルトコンベア上の前記包装体のタブをクランプして固定するクランプ装置をさらに有してもよい。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る包装体開封システムによって開封される一例の包装体の斜視図である。図2は、その包装体の分解斜視図である。なお、図中において、s-t-u直交座標系は、発明の理解を容易にするためのものであって、発明の実施の形態を限定するものではない。s軸方向は包装体の幅方向を示し、t軸方向は包装体の長さ方向を示し、u軸方向は高さ方向を示している。
【0020】
まず、図1および図2を用いて、本発明の一実施の形態に係る包装体開封システムが開封する一例の包装体について説明する。
【0021】
図1および図2に示すように、包装体100は、薬品などが充填される複数の薬品容器102、例えばシリンジやバイアルなどの薬品容器102を、薬品の充填が開始されるまで密閉保存するための密閉容器である。
【0022】
具体的には、包装体100は、複数の薬品容器102を収容し、その薬品容器102を取り出すための開口104aを備えるタブ104と、タブ104の開口104aに蓋をするリッド106とから構成されている。また、包装体100は、複数の薬品容器102を一定の間隔をあけて保持する板状のネスト108を有する。
【0023】
タブ104は、例えば樹脂材料から作製され、フランジ状の開口縁部104bを備える。また、タブ104は、ネスト108の外周縁部が載置される肩部104cを備える。肩部104cは、開口104aを画定して開口縁部104bから延在する第1の側壁部104dと、底部104eから延在する第2の側壁部104fとの間に形成されている。なお、本実施の形態の場合、包装体100の高さ方向(u軸方向)視で、開口104a、開口縁部104b、第1の側壁部104d、および第2の側壁部104fは、角が丸められた矩形状である。
【0024】
リッド106は、例えば樹脂材料から作製されたシート状の蓋体である。具体的には、リッド106の外周縁部がタブ104の開口縁部104bに接着剤を介して接着されることにより、リッド106はタブ104の開口104aに蓋をする。
【0025】
リッド106は、剥離可能にタブ104の開口縁部104bに接着されている。リッド106をタブ104から引き剥がすことにより、包装体100は開封される。しかしながら、本発明の実施の形態に係る包装体開封システムは、リッド106を引き剥がすことなく、包装体100を開封するように構成されている。
【0026】
具体的には、本実施の形態に係る包装体開封システムは、図1に示すように、リッド106に刺さった状態のカッターブレードCBをタブ104の開口104aの輪郭全体に沿った環状の切断軌跡CRで移動させることにより、包装体100を切断して開封するように構成されている。
【0027】
また、本実施の形態に係る包装体開封システムは、サイズが異なる包装体100や、設計上同じサイズにも関わらず、製造上でのばらつき要因等により、個体間で寸法差を有することとなった包装体100を、開封できるように構成されている。
【0028】
以下、このような本実施の形態に係る包装体開封システムの詳細について説明する。
【0029】
図3は、包装体開封システムの概略的な上面図である。また、図4は、包装体開封システムの構成を示すブロック図である。なお、図中において、X-Y-Z直交座標系は、発明の理解を容易にするためのものであって、発明の実施の形態を限定するものではない。X軸方向およびY軸方向は水平方向を示し、Z軸方向は鉛直方向を示している。
【0030】
図3および図4に示すように、本実施の形態に係る包装体開封システム10は、まず、包装体100を、カッターブレードCBによってリッド106が切断開封される位置(開封位置)OPに搬送する搬送装置20を有する。
【0031】
本実施の形態の場合、搬送装置20はベルトコンベアである。具体的には、搬送装置20は、2本の無端状の搬送ベルト22、24と、2本の搬送ベルト22、24を同期駆動させるサーボモータ26とを有する。2本の搬送ベルト22、24は、間隔をあけて並列配置されている。この2本の搬送ベルト22、24に包装体100が載置され、その状態でサーボモータ26がこれらの搬送ベルト22、24を駆動することにより、包装体100が開封位置OPに向かって搬送される。
【0032】
本実施の形態の場合、サイズが異なる、もしくは、設計上のサイズは同じであっても個体間で寸法差を有する包装体100に対応するために、包装体開封システム10は、包装体100のタブ104の開口形状を算出するように構成されている。その開口形状を算出するために、包装体開封システム10は、第1の測距センサ30と、第2の測距センサ32とを有する。
【0033】
具体的には、開封位置OPに対して包装体100の搬送方向(X軸方向)の上流側に測定位置MPが設定されている。その測定位置MP上の包装体100を挟むように、第1および第2の測距センサ30、32は配置されている。
【0034】
図5Aは、測定位置を通過中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な上面図である。また、図5Bは、測定位置を通過中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な側面図である。なお、図5Bにおいて、包装体100の中身の図示は省略されている。
【0035】
図5Aおよび図5Bに示すように、第1および第2の測距センサ30、32は、搬送装置20によって開封位置OPに向かって移動中、すなわち測定位置MPを通過中の包装体100に向かってレーザ光LLを照射する。また、第1および第2の測距センサ30、32は、包装体100で反射されたレーザ光LLの反射光を受光する。レーザ光LLの照射開始から反射光の受光までの時間に基づいて、第1および第2の測距センサ30、32は、包装体100までの距離を算出する。本実施の形態の場合、第1および第2の測距センサ30、32は、タブ104の開口104aを画定する第1の側壁部104dの外側表面に向かってレーザ光LLを照射する。それにより、第1および第2の測距センサ30、32は、包装体100の測定位置MPの通過が完了するまで、包装体100までの距離を連続的に測定し続ける。
【0036】
なお、第1および第2の測距センサ30、32によって測定された距離に基づく包装体100のタブ104の開口形状の算出については後述する。
【0037】
本実施の形態の場合、搬送装置20によって搬送されて開封位置OPに到達した包装体100を固定するために、包装体開封システム10は、包装体100のタブ104をクランプするクランプ装置40を有する。
【0038】
図6Aは、クランプ装置によってクランプされた状態の包装体を示す包装体開封システムの概略的な上面図である。また、図6Bは、クランプ装置によってクランプされた状態の包装体を示す包装体開封システムの概略的な側面図である。なお、図6Bにおいて、包装体100の中身の図示は省略されている。
【0039】
図6Aおよび図6Bに示すように、クランプ装置40は、開封位置OPに、搬送装置20の搬送方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に対向するように配置された固定クランプバー42と、可動クランプバー44とを有する。
【0040】
可動クランプバー44は、固定クランプバー42に対して接近するまたは離間する。これにより、開封位置OPの包装体100は、固定クランプバー42に押し当てられ、固定クランプバー42と可動クランプバー44とにその幅方向(s軸方向)に挟持される。その結果、包装体100は、その幅方向について、すなわち搬送装置20の搬送方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)について位置決めされる。また、このような固定クランプバー42および可動クランプバー44によれば、サイズが異なる、もしくは、設計上のサイズは同じであっても個体間で寸法差を有する包装体100もクランプすることが可能である。
【0041】
なお、本実施の形態の場合、固定クランプバー42と可動クランプバー44は、タブ104の第1の側壁部104dを挟持する。これに代わってまたは加えて、第2の側壁部104fが挟持されてもよい。
【0042】
また、クランプ装置40が包装体100を開封位置OPで位置決めするために、その開封位置OPに到達した包装体100を検出するための第3の測距センサ46を包装体開封システム10は有する。
【0043】
第3の測距センサ46は、上述した第1および第2の測距センサ30、32と同様に、包装体100(そのタブ104)までの距離を測定する。具体的には、第3の測距センサ46は、開封位置OPに位置する包装体100のタブ104の先端面(搬送装置20の搬送方向(X軸方向)についての先端面)にレーザ光LLが当たるように配置されている。したがって、第3の測距センサ46が所定の距離(開封位置OPに包装体100が位置するときの距離)を測定することにより、開封位置OP上への包装体100の到着を検出することができる。第3の測距センサ46が所定の距離を測定すると、搬送装置20(そのサーボモータ26)が停止する。これにより、包装体100が、その長さ方向(t軸方向)について、すなわち搬送装置20の搬送方向(X軸方向)について位置決めされた状態で停止する。その結果、クランプ装置40が包装体100のタブ104をクランプすることができる。
【0044】
クランプ装置40によって開封位置OPに固定された包装体100は、図1に示すように、そのリッド106がカッターブレードCBによって切断されることによって開封される。
【0045】
図7Aは、カッターブレードによって開封中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な上面図である。また、図7Bは、カッターブレードによって開封中の包装体を示す包装体開封システムの概略的な側面図である。なお、図7Bにおいて、包装体100の中身の図示は省略されている。
【0046】
図1に示すように、カッターブレードCBを切断軌跡CRで移動させることにより、包装体100は開封される。その切断軌跡CRでカッターブレードCBを移動させるために、包装体開封システム10は、カッターブレード移動装置50を有する。
【0047】
本実施の形態の場合、カッターブレード移動装置50は、エンドエフェクタとしてリッド106を切断可能なカッターブレードCBを備える多関節ロボットである。カッターブレード移動装置50は、カッターブレードCBの空間位置(X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の位置)を変更することができるとともに、カッターブレードCBの姿勢も変更することができる。
【0048】
カッターブレード移動装置50がカッターブレードCBをリッド106に刺し、その刺した状態のカッターブレードCBを切断軌跡CRで移動させることにより、その切断軌跡CRに囲まれたリッド106の部分106aがタブ104から切り離される。その結果、包装体100が開封される。
【0049】
なお、カッターブレードCBによってリッド106の切断中、そのリッド106は、リッド回収装置60のリッド保持ヘッド(リッド保持装置)62によって保持される。
【0050】
また、本実施の形態の場合、包装体開封システム10は、カッターブレードCBの切断によってタブ104から切り離されたリッド106の部分106aを廃棄位置DPに搬送するリッド回収装置60を有する。
【0051】
図8は、タブから切り離されたリッドの部分を保持するリッド回収装置を示す包装体開封システムの概略的な側面図である。また、図9は、タブから切り離されたリッドの部分が廃棄位置に搬送された状態の包装体開封システムの概略的な上面図である。
【0052】
図8に示すように、リッド回収装置60は、リッド106を保持するリッド保持ヘッド62と、そのリッド保持ヘッド62を開封位置OPと廃棄位置DPとの間で移動させるヘッド移動装置64とを有する。本実施の形態の場合、リッド保持ヘッド62は、リッド106を吸引保持するための複数の吸引ノズル66を備える。また、ヘッド移動装置64は、例えば、リッド保持ヘッド62を旋回させるとともに昇降させるロータリーシリンダである。
【0053】
図7Aおよび図7Bに示すように、カッターブレードCBによるリッド106の切断中、リッド回収装置60のリッド保持ヘッド62は、切断軌跡CRに囲まれたリッド106の部分106aを、カッターブレードCBによるリッド106の切断を妨げない態様で保持する。これにより、切断が完了するまで、リッド106は一定の姿勢で維持される。その結果、カッターブレードCBは、切断軌跡CRで移動することができ、包装体100を正常に開封することができる。
【0054】
図8に示すように、カッターブレードCBの切断によってタブ104から切り離されたリッド106の部分106aは、図9に示すように、リッド回収装置60によって廃棄位置DPに搬送される。その廃棄位置DPには、リッド106の部分106aが吸着する吸着テーブル70が配置されている。
【0055】
図10は、吸着テーブル70の側面図である。
【0056】
図10に示すように、吸着テーブル70は、リッド回収装置60のリッド保持ヘッド62が保持するリッド106の部分106aが載置される載置面70aを備える。また、吸着テーブル70は、その載置面70a上のリッド106の部分106aを吸引保持する複数の吸引ノズル72を備える。さらに、吸着テーブル70は、傾くことにより、載置面70a上のリッド106の部分106aを廃棄装置74に投入するように構成されている。具体的には、吸着テーブル70が傾くことによってリッド106の部分106aを一対の搬送ローラ76の間に挿入し、その後に搬送ローラ76が回転することによってリッド106の部分106aは廃棄装置74内に引き込まれる。その結果、タブ104から切り離されたリッド106の部分106aは、廃棄装置74内に投入、廃棄される。
【0057】
なお、吸着テーブル70や廃棄装置74を使用することに代わり、リッド回収装置60が、タブ104から切り離されたリッド106の部分106aをダストボックス(図示せず)に廃棄してもよい。
【0058】
ここまでは、包装体開封システム10の構成について説明してきた。ここからは、図4を参照しながら包装体開封システム10の制御系について説明する。
【0059】
図4に示すように、包装体開封システム10は制御装置80を有する。その制御装置80は、搬送装置20を制御する搬送制御部82と、第1および第2の測距センサ30、32の測定結果に基づいてタブ104の開口104aの開口形状を算出するタブ開口形状算出部84と、算出された開口形状に基づいて切断軌跡CRを算出する切断軌跡算出部86と、クランプ装置40を制御するクランプ制御部88と、カッターブレード移動装置50を制御するリッド切断制御部90と、リッド回収装置60を制御するリッド回収制御部92と、メモリやハードディスクなどの記憶部94とを備える。
【0060】
制御装置80は、例えば、CPUとメモリやハードディスクなどの記憶装置とから構成されている。記憶装置(記憶部94)に記憶されているプログラムにしたがって動作することにより、CPUは、搬送制御部82、タブ開口形状算出部84、切断軌跡算出部86、クランプ制御部88、リッド切断制御部90、およびリッド回収制御部92として機能する。
【0061】
制御装置80の搬送制御部82は、搬送装置20、本実施の形態の場合にはサーボモータ26を制御することにより、包装体10の搬送を制御する。
【0062】
制御装置80のタブ開口形状算出部84は、第1および第2の測距センサ30、32によって測定された距離の変化に基づいて、タブ104の第1の側壁部104dの形状を取得(算出)する。その取得した第1の側壁部104dの形状に基づいてタブ104の開口104aの形状(輪郭)を算出する。このタブ開口形状算出部84の詳細について説明する。
【0063】
図11は、第1および第2の測距センサによって測定された距離に基づくタブの開口形状の算出方法を説明するための図である。
【0064】
上述したようにまた図5Aおよび図5Bに示すように、第1および第2の測距センサ30、32は、包装体100の測定位置MPの通過が完了するまで、包装体100(その第1の側壁部104dまでの距離を連続的に測定し続ける。例えば、第1および第2の測距センサ30、32は、所定の時間間隔Δtで包装体100までの距離を連続的に測定する。
【0065】
図11に示すように、包装体100が搬送装置20によって搬送方向(X軸方向)に搬送されているために、第1の測距センサ30によって測定される包装体(第1の側壁部104d)までの距離は変化する。すなわち、第1の測距センサ30は、複数の距離LA(1)~LA(n)(nは整数)を測定する。同様に、第2の測距センサ32も、複数の距離LB(1)~LB(n)を測定する。なお、カッコ内の数字は、測定された順番を示す。
【0066】
タブ開口形状算出部84は、複数の距離LA(1)~LA(n)、LB(1)~LB(n)により、それぞれの距離が測定された包装体100(第1の側壁部104d)上の複数の測定点PA(1)~PA(n)、PB(1)~PB(n)の位置を算出する。具体的には、包装体100の搬送方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)についての位置を算出する。
【0067】
また、タブ開口形状算出部84は、複数の測定点PA(1)~PA(n)、PB(1)~PB(n)それぞれの包装体100の搬送方向(X軸方向)の位置については、これらの測定点のピッチ間隔Δpに基づいて算出する。そのピッチ間隔Δpは、包装体100の搬送速度Vと時間間隔Δtとの積によって算出することができる。また、搬送速度Vは、搬送装置20のサーボモータ26の回転速度から求めることができる。
【0068】
次に、タブ開口形状算出部84は、包装体100の第1の側壁部104d上の複数の測定点PA(1)~PA(n)、PB(1)~PB(n)それぞれの水平面(X-Y平面)上の位置から、第1の側壁部104dの形状、すなわち水平面上の輪郭形状を算出する。
【0069】
そして、第1の側壁部104dがタブ104の開口104aを画定しているので、タブ開口形状算出部84は、第1の側壁部104dの形状に基づいてタブ104の開口104aの形状を算出する。例えば、第1の側壁部104dの厚さや抜き勾配を考慮して第1の側壁部104dの形状を補正することにより、タブ104の開口104aの形状が算出される。なお、第1の側壁部104dの厚さや抜き勾配についての情報は、予め記憶部94に記憶されている。
【0070】
図4に戻り、制御装置80の切断軌跡算出部86は、タブ開口形状算出部84によって算出されたタブ104の開口104aの形状に基づいて、カッターブレードCBの切断軌跡CRを算出する。
【0071】
具体的には、本実施の形態の場合、切断軌跡算出部86は、タブ104の開口104aを画定する第1の側壁部104dに接触せずにカッターブレードCBが開口104aの輪郭全体に沿って移動するための環状の切断軌跡CRを算出する。例えば、切断軌跡CRは、第1の側壁部104dの抜き勾配を考慮して算出される。また、切断軌跡CRは、カッターブレードCBの切断によって形成されたリッド106の開口がネスト108が通過できる大きさになるように算出される。そのために、開口104aの輪郭に対して例えば1mmの距離をあけた状態でカッターブレードCBが輪郭に沿って移動する切断軌跡CRが算出される。
【0072】
制御装置80のクランプ制御部88は、クランプ装置40の可動クランプバー44を制御することにより、図6Aおよび図6Bに示すように、開封位置OPに到達した包装体100をクランプする。
【0073】
制御装置80のリッド切断制御部90は、カッターブレード移動装置50を制御することにより、図7Aおよび図7Bに示すように、切断軌跡算出部86によって算出された切断軌跡CRでカッターブレードCBを移動させる。これにより、リッド106を切断して包装体100を開封する。
【0074】
制御装置80のリッド回収制御部92は、リッド回収装置60を制御することにより、カッターブレードCBの切断によってタブ104から切り離されたリッド106の部分106aを開封位置OPから廃棄位置DPに搬送する。
【0075】
以上のような本実施の形態によれば、タブ104の開口縁部104bにリッド106の外周縁部が接着されている包装体100を、接着剤のコンタミネーションの発生を抑制しつつ開封することができる。
【0076】
また、本実施の形態によれば、タブ104の開口104aを画定する第1の側壁部104dの形状に基づいてカッターブレードCBの切断軌跡CRが算出されるため、サイズが異なる、もしくは、設計上のサイズは同じであっても個体間で寸法差を有する包装体100を開封することができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、タブ104の開口縁部104bとリッド106の外周縁部との間の接着が維持されたまま、すなわちリッド106をタブ104から引き剥がすことなく、包装体100を開封することができる。そのため、タブ104やリッド106からの接着剤の脱落が抑制され、接着剤のコンタミネーションの発生が抑制される。
【0078】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限らない。
【0079】
例えば、上述の実施の形態の場合、カッターブレードCBの切断軌跡CRを算出するために、タブ104の開口104aの形状が算出される。そのタブ104の開口104aの形状を算出するために、図11に示すように、タブ104の開口104aを画定する第1の側壁部104dの形状が算出される。そして、その第1の側壁部104dの形状を算出するために、第1および第2の測距センサ30、32によって第1の側壁部104dまでの距離が連続的に測定される。しかしながら、本発明の実施の形態は、タブ104の開口104aを画定する第1の側壁部104dの形状を取得する手段を、第1および第2の測距センサ30、32に限らない。例えば、包装体100を下方からカメラによって撮影し、その撮影画像に写る第1の側壁部104dの像に基づいて、第1の側壁部104dの形状を取得してもよい。
【0080】
また、上述の実施の形態の場合、カッターブレードCBを移動させるカッターブレード移動装置50は多関節ロボットである。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。すなわち、カッターブレードCBを水平方向および鉛直方向に移動させることおよび鉛直方向に延在する回転中心線を中心にして回転させることが可能な装置であればよい。
【0081】
さらに、上述の実施の形態の場合、図1に示すように、カッターブレードCBの切断軌跡CRは、タブ104の開口104aの輪郭全体に沿った環状である。しかしながら、本発明の実施の形態はこれに限らない。例えば、切断軌跡CRは、タブ104の開口104aの輪郭の一部に沿った「コ」字状であってもよい。
【0082】
また、上述の実施の形態の場合、搬送装置20としてベルトコンベアである場合を例示したが、これに限るものではなく、包装体100の送り量を計測できる態様の直動装置であればよい。
【0083】
すなわち、本発明の一実施の形態に係る包装体開封システムは、広義には、複数の薬品容器を収容するタブのフランジ状の開口縁部にシート状のリッドの外周縁部が接着されている包装体を開封する包装体開封システムであって、前記リッドを切断可能なカッターブレードと、前記リッドに前記カッターブレードを刺し、その刺さった状態のカッターブレードを前記タブの開口の輪郭の少なくとも一部に沿った切断軌跡で移動させるカッターブレード移動装置と、を有する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、タブのフランジ状の開口縁部にシート状のリッドの外周縁部が接着されている包装体を開封する包装体の開封において適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 包装体開封システム
50 カッターブレード移動装置
100 包装体
104 タブ
106 リッド
CB カッターブレード
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11