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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ワーク処理システム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/12 20060101AFI20231031BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20231031BHJP
   B07C 5/36 20060101ALI20231031BHJP
   B65G 47/00 20060101ALI20231031BHJP
   B65G 43/10 20060101ALI20231031BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20231031BHJP
   B07C 5/18 20060101ALI20231031BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B07C5/12
B25J13/08 A
B07C5/36
B65G47/00
B65G43/10
B65G43/08 B
B07C5/18
B65G47/90 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019237521
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104491
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-09-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年7月9日~12日に、2019国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2019)にてワーク処理システムを公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱澤 基弘
(72)【発明者】
【氏名】酒井 尚平
(72)【発明者】
【氏名】山田 勝巳
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-189380(JP,A)
【文献】特開2018-008820(JP,A)
【文献】特開昭62-037941(JP,A)
【文献】特開2017-065910(JP,A)
【文献】特開2005-249406(JP,A)
【文献】特開2017-109820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00-99/00
B65G 43/00-43/10
B25J 13/08
B65G 47/00
B65G 47/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを順次搬送する上コンベアと、
前記ワークを収容する収容容器を順次搬送する、下コンベアと、
多関節型ロボットを備え、前記上コンベアの上方に配置可能な移動体と、
前記上コンベア上の前記複数のワークに対し画像検出を行う画像検出部と、
前記画像検出部による画像検出結果に基づき、前記多関節型ロボットが前記ワークを把持して前記収容容器内に配列するように制御する制御部と、
を有し、
前記多関節型ロボットは、
多関節型ロボット本体と、
前記多関節型ロボット本体に取り付けられたハンドと、
を備えており、
前記移動体は、
天吊り状態で前記多関節型ロボット本体を支持する支持部と、
車輪と、を備える
ことを特徴とするワーク処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記画像検出結果に基づき、前記多関節型ロボットが前記ワークを把持して前記収容容器内に配列するよう、前記上コンベア、前記下コンベア、及び前記多関節型ロボット、それぞれの動作を互いに同期させて制御する
ことを特徴とする請求項1記載のワーク処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記上コンベアに備えられた上搬送部材の駆動及び停止を間欠的に繰り返すように当該上コンベアを制御し、
前記下コンベアに備えられた下搬送部材の駆動及び停止を間欠的に繰り返すように当該下コンベアを制御し、
かつ、
前記上コンベア及び前記下コンベアによる搬送が停止された状態において、前記上コンベアの前記上搬送部材上に位置する前記ワークを把持した後に、把持した前記ワークを前記下コンベアの前記下搬送部材上に配置されている前記収容容器内に配列するように、前記上コンベア、前記下コンベア、及び前記多関節型ロボットを制御する
ことを特徴とする請求項2記載のワーク処理システム。
【請求項4】
前記上コンベアは、第1上コンベア、第2上コンベアを含む複数が設けられており、
前記制御部は、
前記複数の前記上コンベアのうち前記第1上コンベアの前記上搬送部材を停止しているときに前記第2上コンベアの前記上搬送部材を駆動し、前記第2上コンベアの前記上搬送部材を停止しているときに前記第1上コンベアの前記上搬送部材を駆動するように、当該複数の上コンベアを制御し、
前記第1上コンベアの前記上搬送部材が停止しているときには当該上搬送部材上の前記ワークを把持し、前記第2上コンベアの前記上搬送部材が停止しているときには当該上搬送部材上の前記ワークを把持するように、前記第1上コンベア、前記第2上コンベア、及び前記多関節型ロボットを制御する
ことを特徴とする請求項3記載のワーク処理システム。
【請求項5】
前記複数の上コンベアのそれぞれは、
前記上搬送部材上に適宜の間隔で一列に並んだ、複数の前記ワークを搬送する
ことを特徴とする請求項4記載のワーク処理システム。
【請求項6】
前記下コンベアは、
前記下搬送部材を前記収容容器に対し係合・離脱可能とする係脱具と、
前記係脱具を、前記下コンベアの下側搬送経路に沿って進退可能に駆動する進退駆動機構と、
を有する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項記載のワーク処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記収容容器の大きさ、想定される前記ワークの大きさ、及び、前記収容容器に収容するワークの数に応じて予め設定された、前記収容容器内における前記ワークの配列レイアウトを取得するレイアウト取得部と、
前記レイアウト取得部により取得された前記配列レイアウトに応じて、前記多関節型ロボットに対する教示データを決定するデータ決定部と、
を有し、
前記教示データに基づき、前記多関節型ロボットの動作を制御する
ことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載のワーク処理システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記下搬送部材を間欠的に所定ピッチで駆動するように前記下コンベアを制御し、かつ、前記レイアウト取得部により取得された前記配列レイアウトに応じて、前記所定ピッチの値を可変に設定する
ことを特徴とする請求項7記載のワーク処理システム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記画像検出結果に基づき認識された前記ワークの外観形状と、前記取得された配列レイアウトと、に応じて、前記把持した前記ワークを回転させて姿勢を変更し、変更後の姿勢で前記収容容器内に配列するように、前記多関節型ロボットを制御する
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載のワーク処理システム。
【請求項10】
前記収容容器は、
あらかじめ固定的に定められたN個(Nは自然数)の前記ワークを収容するように構成されており、
前記制御部は、
前記上コンベアにより順次搬送される前記複数のワークそれぞれの重量検出結果を取得する重量取得部を有し、
前記重量取得部で取得した前記重量検出結果に基づき、前記収容容器に配列されるN個の前記ワークの合計重量が予め定められた重量範囲内となるように、前記多関節型ロボットの動作を調整する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載のワーク処理システム。
【請求項11】
前記上コンベアは、
前記複数のワークを上側搬送経路に沿って順次搬送し、
前記下コンベアは、
前記収容容器を、前記上側搬送経路の下方に位置し当該上側搬送経路と平行な下側搬送経路に沿って順次搬送し、
前記移動体は、
前記多関節型ロボットを、平面視において前記上側搬送経路及び前記下側搬送経路に重畳するように支持する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載のワーク処理システム。
【請求項12】
前記移動体は、
平面視において、前記支持部が、前記下側搬送経路の幅方向の中心線と重畳するように、配置されている
ことを特徴とする請求項11記載のワーク処理システム。
【請求項13】
複数のワークを順次搬送する上コンベアと、
前記ワークを収容する収容容器を順次搬送する、下コンベアと、
多関節型ロボットを備え、前記上コンベアの上方に配置可能な移動体と、
前記上コンベア上の前記複数のワークに対し画像検出を行う画像検出部と、
前記画像検出部による画像検出結果に基づき、前記多関節型ロボットが前記ワークを把持して前記収容容器内に配列するように制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記画像検出結果に基づき、前記多関節型ロボットが前記ワークを把持して前記収容容器内に配列するよう、前記上コンベア、前記下コンベア、及び前記多関節型ロボット、それぞれの動作を互いに同期させて制御し、
前記上コンベアに備えられた上搬送部材の駆動及び停止を間欠的に繰り返すように当該上コンベアを制御し、
前記下コンベアに備えられた下搬送部材の駆動及び停止を間欠的に繰り返すように当該下コンベアを制御し、
かつ、
前記上コンベア及び前記下コンベアによる搬送が停止された状態において、前記上コンベアの前記上搬送部材上に位置する前記ワークを把持した後に、把持した前記ワークを前記下コンベアの前記下搬送部材上に配置されている前記収容容器内に配列するように、前記上コンベア、前記下コンベア、及び前記多関節型ロボットを制御し、
前記上コンベアは、第1上コンベア、第2上コンベアを含む複数が設けられており、
前記制御部は、
前記複数の前記上コンベアのうち前記第1上コンベアの前記上搬送部材を停止しているときに前記第2上コンベアの前記上搬送部材を駆動し、前記第2上コンベアの前記上搬送部材を停止しているときに前記第1上コンベアの前記上搬送部材を駆動するように、当該複数の上コンベアを制御し、
前記第1上コンベアの前記上搬送部材が停止しているときには当該上搬送部材上の前記ワークを把持し、前記第2上コンベアの前記上搬送部材が停止しているときには当該上搬送部材上の前記ワークを把持するように、前記第1上コンベア、前記第2上コンベア、及び前記多関節型ロボットを制御する
ことを特徴とするワーク処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ワーク処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、等級別・階級別に選別された青果物を搬送するプールコンベアの終端部に、青果物を箱詰めする自動箱詰め装置を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-189380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の自動箱詰め装置は、コンベアの傍らに立つ作業者が手作業で箱詰めする場合に比べれば省力化が可能であるものの、大型の専用設備となるため、広い設置面積が必要となる。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、大きな設置スペースを必要としない、ワーク処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、複数のワークを順次搬送する上コンベアと、前記ワークを収容する収容容器を順次搬送する、下コンベアと、多関節型ロボットを備え、前記上コンベアの上方に配置可能な移動体と、前記上コンベア上の前記複数のワークに対し画像検出を行う画像検出部と、前記画像検出部による画像検出結果に基づき、前記多関節型ロボットが前記ワークを把持して前記収容容器内に配列するように制御する制御部と、を有するワーク処理システムが適用される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大きな設置スペースを必要としない、ワーク処理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るワーク処理システムの全体構成の一例を表す外観斜視図である。
図2】一実施形態に係るワーク処理システムの全体構成の一例を表す外観斜視図である。
図3】移動体の構成の一例を表す斜視図である。
図4】箱コンベアの詳細外観構成の一例を表す斜視図である。
図5】箱コンベアにおける係合爪の動作挙動の一例を表す模式図である。
図6】搬送コントローラ及びモーションコントローラの機能構成の一例を表すブロック図である。
図7】箱詰めレイアウトの一例及び他の例を表す説明図である。
図8】箱コンベアによる収容箱の搬送挙動の一例を表す説明図である。
図9】箱コンベアによる収容箱の搬送挙動の一例を表す説明図である。
図10】ロボット、第1ワークコンベア、第2ワークコンベア、及び箱コンベアの協働による箱詰め作業の一例を表す説明図である。
図11】ロボット、第1ワークコンベア、第2ワークコンベア、及び箱コンベアの協働による箱詰め作業の一例を表す説明図である。
図12】ロボット、第1ワークコンベア、第2ワークコンベア、及び箱コンベアの協働による箱詰め作業の一例を表す説明図である。
図13】収容箱に収容される全ワークの重量オーバーを防止する変形例を表す説明図である。
図14】異形のワークを姿勢変更させて収容箱内に配置する変形例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0010】
<システムの全体構成>
まず、図1及び図2を参照しつつ、実施形態に係るワーク処理システム1の全体構成の一例について説明する。
【0011】
ワーク処理システム1は、図1及び図2に示すように、複数のワークWをそれぞれ順次搬送する、第1ワークコンベア50(第1上コンベアの一例)及び第2ワークコンベア60(第2上コンベアの一例)と、ワークWを収容する収容箱100(収容容器の一例)を順次搬送する箱コンベア70(下コンベアの一例)と、ロボット10と、ロボット10を搭載して移動する移動体20と、カメラ3と、を有する。この例では、ワークWは、例えば野菜(トマト等)若しくは果物(リンゴ等)の青果物である。第1ワークコンベア50と第2ワークコンベア60とが、上コンベアの一例に相当している。また上コンベアとして、3つ以上のワークコンベアを設けるようにしてもよい。なお、図2においては図示の煩雑を避けるために移動体20の一部の図示を簡略化・省略して示している。
【0012】
第1ワークコンベア50は、ワークWを載置して搬送するベルト51と、このベルト51が巻回される駆動ローラ(図示省略)及び被駆動ローラ(図示省略)を備えている。ベルト51は、上記駆動ローラが、例えばサーボモータにより構成される第1コンベアモータMC1(後述の図6参照)の駆動力によって回転することにより循環駆動される。第2ワークコンベア60は、ワークWを載置して搬送するベルト61と、このベルト61が巻回される駆動ローラ(図示省略)及び被駆動ローラ(図示省略)を備えている。ベルト61は、上記駆動ローラが、例えばサーボモータにより構成される第2コンベアモータMC2(後述)の駆動力によって回転することにより循環駆動される。これらの結果、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60は、ベルト51,61上に適宜の間隔で一列に並べられた複数のワークWをそれぞれ搬送する。なお、ワークWの上記間隔は必ずしも等間隔でなくてもよいし、上記のように一列に並べるのにも限られず、適宜の複数列に並べてあってもよい。要は、ロボット10がカメラ30の検出結果に基づき吸着部90により把持可能な態様であれば足りる。図示しない選別装置(若しくは人力によって)大まかに大きさ別・重さ別等に選別され、かつ、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60に対し適宜に割り振られたワークWは、上記ベルト51及びベルト61上に載せられ、ロボット10側へと搬送される。なお、ワークWが上記青果物である場合は、上記選別装置はいわゆる選果装置等である。
【0013】
ロボット10は、例えば6つの関節部を備えた垂直多関節型の6軸ロボットであり、その先端には、エンドエフェクタとして吸着部90が取り付けられている。ロボット10は、吸着部90により、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60上のワークWを把持し箱コンベア70の収容箱100内に移送する、ワークWの移送作業を実行する(詳細は後述)。なお、ロボット10は6軸以外(例えば5軸や7軸等)のロボットとしたり、水平多関節型やパラレルリンクロボット等、ロボット10を垂直多関節型以外のロボットとしてもよい。
【0014】
カメラ3は、ロボット10が上記所定の作業をする際の、ワークWの3次元位置をリアルタイムに検出するために、移動体20に設置されている。カメラ3は、ロボット10がワーク移送作業をする際に、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60で搬送されてくる複数のワークWをそれぞれ撮像する。カメラ3は、移動体20に設置されたモーションコントローラ35(後述の図6参照)に接続されており、撮像した画像情報はモーションコントローラ35に送信される。なお、カメラ3は、ロボット10に取り付けられてもよい。また、カメラ3の設置台数は1台に限定されるものではなく、2台以上としてもよい。
【0015】
<移動体及びロボットの詳細構成>
移動体20は、図3に示すように、移動体20は、台車部22と、台車部22の下部に設けられた複数の車輪23と、台車部22の幅方向(図3中右奥・手前側方向)の一方側(図3中右奥側)に立設された複数(この例では2本)の柱部24と、柱部24の上部に略水平に延設された天井壁21と(支持部の一例)、天井壁21の長さ方向(上記幅方向と直交する方向)の一方側(図3中左側)に設けられた収納部25と、を備えている。
【0016】
収納部25には上記カメラ3が設けられている(上記図1参照。図2では煩雑化防止のため図示省略)。移動体20は、上記のようにしてロボット10によるワークWの移送を行う際には、上記収納部25、天井壁21、ロボット10が、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の上方に位置するように、配置される。なお、移動体20の適宜の箇所、例えば下方の台車部22の上には、上記モーションコントローラ35が設けられている(図示省略。後述の図6参照)。このモーションコントローラ35は、移動体20外の適宜の箇所(例えば電源盤)に設けた搬送コントローラ15(後述の図6参照)と互いに連携して、ロボット10、第1ワークコンベア50、及び第2ワークコンベア60の動作を制御する(詳細は後述)。
【0017】
ロボット10は、ベース部96と、6つの可動部を備えたアーム部97とを有しており、この例では6軸垂直多関節型の単腕ロボットとして構成されている。図示する例では、ベース部96が移動体20の天井壁21に固定された、いわゆる天吊り状態で当該ロボット10が設置されている。
【0018】
アーム部97は、ベース部96に対し鉛直方向のS軸AxS周りに旋回可能に連結されている。アーム部97は、旋回ヘッド86と、下腕部99と、上腕部81と、3つの可動部を備えた手首部82とを有する。
【0019】
旋回ヘッド86は、ベース部96に、上記S軸AxS周りに旋回可能に支持されている。旋回ヘッド86は、例えばベース部96に設けられたS軸モータ64(後述の図6参照)の駆動力が伝達されることにより、ベース部96に対しS軸AxS周りに旋回する。
【0020】
下腕部99は、旋回ヘッド86の先端部に、S軸AxSに直交するL軸AxL周りに回転可能に支持されている。下腕部99は、例えば旋回ヘッド86に設けられたL軸モータ68(後述の図6参照)の駆動により、旋回ヘッド86の先端部に対しL軸AxL周りに回転する。
【0021】
上腕部81は、下腕部99の先端部に、L軸AxLに平行なU軸AxU周りに回転可能に支持されている。上腕部81は、例えば下腕部99に設けられたU軸モータ69(後述の図6参照)の駆動により、下腕部99の先端部に対しU軸AxU周りに回転する。
【0022】
手首部82は、上腕部81の先端部に連結されている。手首部82は、第1手首可動部83と、第2手首可動部84と、第3手首可動部85とを有する。
【0023】
第1手首可動部83は、上腕部81の先端部に、U軸AxUに直交するR軸AxR周りに回転可能に支持されている。第1手首可動部83は、例えば上腕部81との間に配置されたR軸モータ67(後述の図6参照)の駆動により、上腕部81の先端部に対しR軸AxR周りに回転可能である。
【0024】
第2手首可動部84は、第1手首可動部83の先端部に、R軸AxRに直交するB軸AxB周りに回転可能に支持されている。第2手首可動部84は、第1手首可動部83に配置されたB軸モータ66(後述の図6参照)の駆動により、第1手首可動部83の先端部に対しB軸AxB周りに回転する。
【0025】
第3手首可動部85は、第2手首可動部84の先端部に、B軸AxBに直交するT軸AxT周りに回転可能に支持されている。第3手首可動部85は、上記第1手首可動部83に配置されたT軸モータ65(後述の図6参照)の駆動により、第2手首可動部84の先端部に対しT軸AxT周りに回転する。第3手首可動部85の先端には、エンドエフェクタとしての吸着部90(ハンドの一例)が取り付けられている。なお、ロボット10のうち吸着部90以外の全構成が、多関節ロボット本体に相当している。
【0026】
なお、上記で説明したロボット10の構成は一例であり、上記以外の構成であってもよい。例えば、アーム部97の各可動部の回転軸方向は、上記方向に限定されるものではなく、他の方向であってもよい。また、手首部82及びアーム部97の可動部の数は、それぞれ3つ及び6つに限定されるものではなく、他の数であってもよい。また、ロボット10は、アーム部97を1つのみ有する単腕ロボットに限定されるものではなく、アーム部97を複数有する複腕ロボットであってもよい。また、ロボット10は、垂直多関節型のロボットに限定されるものではなく、水平多関節型等の他のタイプのロボットであってもよい。
【0027】
<箱コンベアの詳細構成>
図4に示すように、箱コンベア70は、筐体72と、側面視において略コの字形状を横にした形状を備え、筐体70A内において上記収容箱100に対し下方から係合可能な複数(この例では2つ)係合爪71L,71R(下搬送部材の一例)と、筐体72において、収容箱100を筐体72の長手方向に沿って自由に移動可能に載置し支持する複数のコロ73と、それら複数のコロ73の上流側に設けられた導入ベルト78L(前述の図1参照)と、複数のコロ73の下流側に設けられた排出ベルト78Rと、を有する。
【0028】
係合爪71L,71Rのそれぞれは、収容箱100に係合した状態で上記筐体72の長手方向に沿って駆動されることにより、収容箱100を上記長手方向に沿って搬送する。すなわち、図5に示すように、係合爪71L,71Rにそれぞれ対応して、ボールねじ74L,74Rと、ボールねじ74L,74Rを駆動するモータ75L,75Rと、ボールねじ74L,74Rに係合しボールねじ74L,74Rが回転することで筐体72の上記長手方向に駆動される移動ブロック76L,76Rと、移動ブロック76L,76Rに搭載され、上下方向に伸縮可能なロッド77aを備えたシリンダ機構77L,77R(係脱具の一例)と、が設けられる。そして、シリンダ機構77L,77Rのロッド77aの上部には、上記係合爪71L,71Rが連結されている。なお、モータ75L,75Rは、例えばサーボモータにより構成される。
【0029】
これにより、例えば、前述のようにコロ73によって上記長手方向に自由移動可能に配置されている1つの収容箱100に対して、一方のボールねじ74Lに係合した移動ブロック76L上のシリンダ機構77Lのロッド77aが延ばされることで、係合爪71Lを下方から係合させることができる。そしてその係合した状態で上記ボールねじ41Lを回転駆動させることで、上記収容箱100を例えば図5中の矢印アに示す方向へと搬送することができる。またこのとき、コロ73によって上記収容箱100とは異なる位置に配置されている別の収容箱100に対しては、他方のボールねじ74Rに係合した移動ブロック76R上のシリンダ機構77Rのロッド77aが延ばされることで、係合爪71Rを下方から係合させることができる。そしてこの係合した状態で上記同様にボールねじ41Rを回転駆動させることで、当該別の収容箱100についても矢印アに示す方向へと搬送することができる。なお、上記モータ75L,75R、ボールねじ74L,74R、移動ブロック76L,76Rが、進退駆動機構の一例に相当している。
なお、導入ベルト78Lは、駆動ローラ及び被駆動ローラの周囲に巻回されており、駆動ローラの回転で循環駆動されることにより、所定の収容箱投入設備(図示せず)から導入ベルト78L上に投入された収容箱100を搬送して下流側のコロ73上へと導入する。排出ベルト78Rは、駆動ローラ及び被駆動ローラの周囲に巻回されており、駆動ローラの回転で循環駆動されることにより、上流側のコロ73から受け入れた収容箱100を収容箱回収設備(図示せず)へと排出する。
【0030】
なお、上記構成において、箱コンベア70による収容箱100の搬送経路(下側搬送経路の一例)は、図1及び図2等に示すように、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の搬送経路(上側搬送経路の一例)の下方に位置するとともに、それらワークコンベア50,60の搬送経路と平行となっている。そして、移動体20は、ロボット10を、平面視において、上記第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の搬送経路に重畳するように、支持している。特に、移動体20は、平面視において、上記天井壁21が、箱コンベア70による収容箱100の搬送経路の幅方向中心線CL(図4図1等参照)と重なるように配置されている。
【0031】
<モーションコントローラ、搬送コントローラの機能構成>
次に、図6を参照しつつ、モーションコントローラ35及び搬送コントローラ15の機能構成の一例について説明する。
【0032】
モーションコントローラ35は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)やパーソナルコンピュータ(PC)等により構成される。モーションコントローラ35は、画像取得部36と、画像解析処理部37と、座標情報取得部34と、を有する。
【0033】
画像取得部36は、カメラ3が撮像したワークWの画像を時間的に連続して取得する。すなわち、画像取得部36はカメラ3により異なるタイミングで撮像された多数の画像を取得する。
【0034】
画像解析処理部37は、画像取得部36で取得した画像に対して所定の画像解析処理を実行することで、移動体20(ロボット10)に対するワークWの相対的な3次元位置及び姿勢をリアルタイムに測定する。なお、上述したカメラ3、画像取得部36、及び画像解析処理部37が、画像検出部の一例に相当する。
【0035】
座標情報取得部34は、画像解析処理部37での測定結果に基づき、上記カメラ3で撮像したワークWの座標情報を取得する。なお、この座標情報は、互いに一体的に構成されている、上記第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、及び箱コンベア70のうち所定の部位を原点とする、予め決められた座標系における座標情報である。
【0036】
搬送コントローラ15は、箱詰めレイアウト取得部33と、教示データ決定部38(データ決定部の一例)と、モーション制御部16と、サーボアンプ17A,17B,17C,17Dとを有する。
【0037】
搬送コントローラ15の教示データ決定部38は、適宜の箇所に配置されたロボットコントローラ32に備えられた格納部39内の教示データを読み出して取得する。すなわち、格納部39には、ロボット10がワークWに対し所定の作業を行うための教示データが格納されている。すなわち、この例では、ロボット10が第1ワークコンベア50(又は第2ワークコンベア60)からワークWを把持し持ち上げて収容箱100側へと移送し、その移送したワークWを収容箱100内で所定のレイアウト(後述)に沿って配置する作業(以下適宜、単に「箱詰め作業」といいう)を行うための教示データが格納されている。この教示データは、例えば、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、及び箱コンベア70の一体物に対して移動体20が所定の相対位置関係にある状態での教示データとなっている。
【0038】
箱詰めレイアウト取得部33(レイアウト取得部の一例)には、上記のようにしてロボット10がワークWの箱詰め作業を行う前に、例えば図示しない外部装置からの適宜の操作に基づき、ワークWが収容箱100内に配置されるときのレイアウト(配列レイアウトの一例。以下適宜、「箱詰めレイアウト」という)が上記外部装置から事前に取得され、記憶されている。このときの箱詰めレイアウトの一例を図7(a)に示す。
【0039】
図7(a)は、収容箱100内に20個のワークWを配置するための箱詰めレイアウトの例である。すなわち、上記外部装置において、作業者の操作入力により、例えば、収容箱100の長手方向(言い換えれば搬送方向)の寸法a及び短手方向(言い換えれば幅方向)の寸法bと、ワークWの直径c(前述の選別の態様に応じて決定される)と、1つの収容箱100に収容したいワークWの個数が入力(自由入力又は予め用意された選択枝からの選択入力)されると、その入力結果に基づき、最適な箱詰めレイアウトが自動生成される。
【0040】
図示の例では、作業者によりワークWの個数として「20個」が入力された場合を示しており、千鳥配列により配列される20個の各ワークの配置順序も併せて設定されている(図中の各ワークWに付されている数字「1」~「20」参照)。この例では、作業者が入力した上記収容箱100の寸法a,bとワークWの直径cとに応じて、収容される各ワークWの箱詰めピッチd,e,f,g,hが上記外部装置において自動的に決定されている。このとき、箱詰めピッチfは、ロボット10により順次配置される20個のワークWのうち1,5,9,13,17番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線までの、収容箱100の幅方向中心線Ccからの距離である。箱詰めピッチgは、ロボット10により順次配置される20個のワークWのうち、4,8,12,16,20番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線までの、収容箱100の幅方向中心線Ccからの距離である。箱詰めピッチdは、ロボット10により順次配置される20個のワークWのうち3,7,11,15,19番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線までの、収容箱100の幅方向中心線Ccからの距離である。箱詰めピッチeは、ロボット10により順次配置される20個のワークWのうち、2,6,10,14,18番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線までの、収容箱100の幅方向中心線Ccからの距離である。箱詰めピッチhは、ロボット10によりワークWが千鳥配列されるとき、隣接して配置される2つのワーク列の間の、上記長手方向におけるピッチずれ分の距離である。
【0041】
また、箱詰めレイアウトの別の例を図7(b)に示す。この例は、作業者によりワークWの個数として「15個」が入力された場合を示しており、上記同様、作業者が入力した上記収容箱100の寸法a,bとワークWの直径cとに応じて、収容される各ワークWの箱詰めピッチd,e,hが上記外部装置において自動的に決定されている。箱詰めピッチdは、ロボット10により順次配置される15個のワークWのうち2,5,8,11,14番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線までの、収容箱100の幅方向中心線Ccからの距離である。箱詰めピッチeは、ロボット10により順次配置される15個のワークWのうち、3,6,9,12,15番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線までの、収容箱100の幅方向中心線Ccからの距離である。箱詰めピッチhは、上記同様、ロボット10によりワークWが千鳥配列されるとき、隣接して配置される2つのワーク列の間の、上記長手方向におけるピッチずれ分の距離である。なお、この箱詰めレイアウトにおいては、ロボット10により順次配置される15個のワークWのうち1,4,7,10,13番目に配置される、上記長手方向に沿って一列に並ぶ5個のワークWの上記幅方向の中心線は、収容箱100の幅方向中心線Ccに一致する。
【0042】
なお、上記のように、収容箱100の寸法a,b(収容容器の大きさの一例)とワークWの直径c(ワークの大きさの一例)とワークWの個数との入力に応じて箱詰めピッチd,e,h等が決定されるのに限られない。例えば、作業者による、収容箱100の寸法a,bとワークWの直径cと箱詰めピッチd,e,h等との入力に応じて、ワークWの個数が決定されるようにしてもよい。また、上記のような千鳥配列に限られず、隣接して配置される2つのワーク列の間のピッチずれのない、いわゆる格子状配列としてもよい。
【0043】
また、以上のような、作業者の操作入力に基づき箱詰めレイアウトを生成する機能を、上記外部装置ではなく、搬送コントローラ15の内部に備えていてもよい。
【0044】
なお、各収容箱100の中には、上記のようにして決定された箱詰めレイアウトに対応して各ワークWをそれぞれ収納するための複数の凹部101aを備えた、ワーク受け部材101が、少なくともロボット10による箱詰め作業が行われるより前に、配置されている。
【0045】
図6に戻り、教示データ決定部38は、格納部39から読み出した前述の教示データを、モーションコントローラ35の座標情報取得部34によって取得された上記ワークWの座標情報と、箱詰めレイアウト取得部33によって取得された上記箱詰めレイアウトと、に対応させて補正することにより、最終的な教示データを決定する。こうして補正された後の最終的な教示データは、モーション制御部16に出力される。
【0046】
モーション制御部16は、上記教示データ決定部38から入力された教示データに基づいて、ロボット10の吸着部90を当該教示データが指示する位置に移動させるために必要となるロボット10の上記S軸モータ64、L軸モータ68、U軸モータ69、R軸モータ67、B軸モータ66、T軸モータ65(以下適宜、これらを総称して単に「モータ64等」と称する)それぞれの目標回転角度等を演算し、対応するモータ位置指令を出力する。サーボアンプ17Aは、上記モーション制御部16から入力されたモータ位置指令に基づいて、モータ64等に供給する駆動電力の制御を行い、ロボット10の動作を制御する。
【0047】
またモーション制御部16は、上記サーボアンプ17Aを介した上記モータ64等の駆動により実現されるロボット10の吸着部90の動きに同期して上記箱詰めレイアウトに沿った箱詰め作業を実現するために必要となる、第1ワークコンベア50の第1コンベアモータMC1、第2ワークコンベア60の第2コンベアモータMC2、及び、箱コンベア70のモータ75L,75R、それぞれの目標回転角度等を演算し、対応するモータ位置指令を出力する。サーボアンプ17B,17C,17Dは、上記モーション制御部16から入力されたモータ位置指令に基づいて、モータMC1,MC2,75L,75Rに供給する駆動電力の制御を行い、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70の動作を制御する。
【0048】
なお、モーションコントローラ35に備えられる座標情報取得部34と、搬送コントローラ15とが、制御部の一例に相当する。また、上述した画像取得部36、画像解析処理部37、座標情報取得部34、箱詰めレイアウト取得部33、教示データ決定部38、モーション制御部16等における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、また、更に細分化された処理部により処理されてもよい。また、各コントローラ35,15の各処理部は、モータに駆動電力を給電する部分(サーボアンプ等)のみ実際の装置により実装され、その他の機能はCPUが実行するプログラムにより実装されてもよいし、その一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0049】
<箱コンベアによる収容箱の搬送例>
次に、図8及び図9を用いて、上記箱詰め作業時における箱コンベア70による収容箱100の搬送動作の一例について説明する。なお、図示の煩雑を防止するために、これら図8及び図9においては、シリンダ機構77L,77R等の図示を省略している。
【0050】
図示の例では、例えばまず、2つの係合爪71R,71Lのうち一方の係合爪71R(以下適宜、「第1係合爪71R」という)が最も上流側に位置する状態で、1番目の収容箱100(以下適宜、「第1収容箱100a」という)が、前述の収容箱投入設備から導入ベルト78Lへ投入され(図8(a))、さらに導入ベルト78Lから上記コロ73上に導入開始される(図8(b))。この時点では第1係合爪71Rの下方の上記シリンダ機構77Rのロッド77aが縮短した状態であり、第1係合爪71Rはコロ73の高さ方向位置よりも下方に位置している状態(以下適宜、「非係合状態」という)である。
【0051】
その後、第1収容箱100aが第1係合爪71Rの直上位置まで来たときに、上記ロッド77aが伸長することで、コロ73に載置されている第1収容箱100aに対し第1係合爪71Rが下方から係合する(図8(c))。この状態(以下適宜、「係合状態」という)でモータ75Rによりボールねじ74Rが駆動されることで、移動ブロック76Rが搬送方向下流側(言い換えればロボット10側。図示右側)に移動し、第1収容箱100aが下流側に搬送される。
【0052】
その後、例えば上記第1収容箱100aが、概ねその長手方向寸法a(前述の図7参照)だけ搬送されるまでの間に、次の順番の収容箱100(以下適宜、「第2収容箱100b」という)が上記同様に導入ベルト78Lからコロ73上に導入される(図8(d)、図8(e))。この時点で、上記同様、2つの係合爪71R,71Lのうち他方の係合爪71L(以下適宜、「第2係合爪71L」という)が上記最上流側に位置しており(図8(a)~(c)では図示省略)、前述と同様にロッド77aが縮短した非係合状態となっている。第1収容箱100aが下流側へと搬送されるとともに上記導入された第2収容箱100bが第2係合爪71Lの直上位置まで来ると(図8(e))、上記ロッド77aが伸長することで前述と同様に上記第2収容箱100bに対し第2係合爪71Lが下方から係合する。
【0053】
こうして第1係合爪71R及び第2係合爪71Lがともに第1収容箱100a及び第2収容箱100bへの係合状態となり、その後ボールねじ74R,74Lがともに駆動されることで移動ブロック76R,76Lがともに搬送方向下流側(図示右側)へと連動して移動し、第1収容箱100a及び第2収容箱100bがそろって下流側に搬送される(図8(f))。
【0054】
その後、先行して搬送される上記第1収容箱100aが、予め定められている上記ロボット10によるワークWの把持ポジションまで到達すると、上記第1収容箱100a及び第2収容箱100bの搬送が一旦停止され、第1収容箱100aに対する上記箱詰め作業が実行開始され、第1収容箱100a内へのワークWの配置が開始される(図8(g))。そして、前述の箱詰めレイアウトで定められる順番で複数個のワークWが順次第1収容箱100a内に配列されていき、当該箱詰めレイアウトで定められる上記箱詰めピッチhずつ、第1収容箱100a及び第2収容箱100bが下流側へ搬送されていく。なお、図7に示した千鳥配列ではなく前述の格子状配列の場合は、収容箱100は、上記図7(a)及び図7(b)に示す上記箱詰めピッチhの2倍に相当する箱詰めピッチh′(搬送方向に沿って収容箱100内で一列に配置される複数のワークWのうち隣接するワークWどうしの中心間距離)ずつ、下流側へ搬送されることとなる。すなわち、収容箱100が下流側へ間欠的に搬送される時のピッチは、箱詰めレイアウトに応じて可変に設定されている。
第1収容箱100a内がワークWで一杯になると、第1収容箱100aはコロ73から排出ベルト78R上に載せ替えられ、排出ベルト78Rによって下流側へと排出される(図8(h)、図9(a))。このとき、適宜のタイミングで、先行する第1係合爪71Rのロッド77aが縮短して第1収容箱100aに対する係合が解除され非係合状態となる。一方、後続の第2係合爪71Lによる第2収容箱100bの下流側への搬送は引き続き継続される。なお、さらに次の収容箱100(以下適宜、「第3収容箱100c」という)が上記収容箱投入設備から導入ベルト78Lへ投入され(図8(g))、さらに導入ベルト78Lから上記コロ73上に導入開始されている(図8(h))。
【0055】
上記のように第1係合爪71Rが非係合状態となった後、モータ75Rによりボールねじ74Rが上記とは逆方向に駆動されることで、移動ブロック76Rが搬送方向上流側(言い換えれば反ロボット10側。図示左側)に移動する(図9(a))。また前述のように排出ベルト78Rにより排出された第1収容箱100aには、収容箱回収設備において出荷までの後工程が行われる。その後、後続する第2収容箱100bに対し、ロボット10が順次ワークWの配列を開始する(図9(b))。
【0056】
その後、上記のように導入された第3収容箱100cに対し、この時点でその直下まで移動してきていた第1係合爪71Rの下方の上記ロッド77aが伸長することで、第1係合爪71Rが係合する(図9(c))。この係合状態で前述と同様にボールねじ74Rが駆動されて第1係合爪71Rが下流側に搬送されることで、前述のようにしてワークWが順次配列されている第2収容箱100bの後部まで第3収容箱100cが搬送される(図9(d))。
【0057】
その後、前述と同様、ワークWで一杯になった第2収容箱100bがコロ73から排出ベルト78R上に載せ替えられて下流側へと排出される(図9(e))一方、先行する第2係合爪71Lのロッド77aが縮短して第2収容箱100bが非係合状態となり、上記同様、ボールねじ74Rが逆方向に駆動され移動ブロック76Lが搬送方向上流側へ移動する。このとき、さらに次の収容箱100(以下適宜、「第4収容箱100d」という)が上記収容箱投入設備から導入ベルト78Lへ投入され、さらに導入ベルト78Lから上記コロ73上に導入開始されている(図9(d)、図9(e))。そして、後続する第3収容箱100cに対し、ロボット10が順次ワークWの配列を開始する(図9(f))。
【0058】
その後、上記同様、直下まで移動してきていた第2係合爪71Lが第4収容箱100dに対し係合し(図9(g))、ボールねじ74Lが駆動されて第4収容箱100dが下流側に搬送される。そして、前述のようにしてワークWが順次配列されている第3収容箱100cの後部まで第4収容箱100dが搬送される(図9(h))。なおこのタイミングで、さらに次の収容箱100(以下適宜、「第5収容箱100e」という)が上記同様にコロ73上に導入開始されている。
【0059】
以降、上記同様にして、第1係合爪71R及び第2係合爪71Lの駆動及び停止が間欠的に繰り返される。これにより、収容箱投入設備から導入ベルト78Lを経て順次導入される収容箱100を、第1係合爪71R及び第2係合爪71Lが交互に下流側へと搬送するとともに、その搬送と同期してロボット10によるワークWの箱詰め作業が行われる(後述の図10図12も参照)。
【0060】
<ロボット10による箱詰め作業の例>
次に、図10図12を用いて、上述の箱コンベア70による収容箱100の搬送と、これに同期した第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60によるワークWの搬送と、に同期してロボット10により行われる、箱詰め作業の一例について説明する。
【0061】
まず、前述のように、選別装置により選別された複数のワークWが、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60に対し適宜に割り振られて上記ベルト51及びベルト61上に載せられ、ロボット10側へと搬送される(図10(a))。図示の例では、例えば第1ワークコンベア50では1個のワークWが搬送され、第2ワークコンベア60では5個のワークWが(一列に並んで)搬送されてくる(図10(b))。このとき、第1ワークコンベア50で搬送される1個のワークWは、予め定められたロボット10による上記把持ポジション(後述の図10(c)に示す位置)よりも1搬送ピッチだけ手前の位置で停止する。また、第2ワークコンベア60で搬送される5個のワークWについては、最も下流側(つまり先頭)に位置する1つのワークWが、上記把持ポジション(後述の図10(c)に示す位置)よりも1搬送ピッチだけ手前の位置となったときに、停止する。このときの上記搬送ピッチの大きさは、例えば第1ワークコンベア50のベルト51及び第2ワークコンベア60のベルト61上において複数のワークWが並べられるときのワークWの配置間隔に等しくすることができる。あるいは、ベルト51,61上にワークWがほぼ隙間なく並べられるときには、上記ピッチはワークWの外径寸法にほぼ等しい距離とすることもできる。なお、図10図12においては、便宜的に、ワークWが隙間なく並べられた状態で図示を行っている。
【0062】
上記のようにベルト51,61上のワークWが一旦搬送停止された状態の後、ロボット10による把持動作に備え、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の両方が、そろって1搬送ピッチだけワークWを下流側に搬送し、停止する(図10(c))。これにより、第1ワークコンベア50では、前述の1個のワークWが上記把持ポジションで停止し、ロボット10による把持・移送待ちの状態となる。また、第2ワークコンベア60では、5個のワークWのうち最下流側の1つのワークWが、上記把持ポジションで停止し、ロボット10による把持・移送待ちの状態となる。なお、箱コンベア70では、少なくともこの時点までの間に、前述のワーク受け部材101の凹部101aが、ロボット10によるワーク移送を実行可能な位置まで到達するように、収容箱100が搬送されている。
【0063】
上記図10(c)に示す把持・移送待ちの状態の後、この例では、ロボット10が、吸着部90により、第1ワークコンベア50のベルト51上のワークWを把持し(図10(d))、ベルト51外へと持ち上げて移送(図10(e))した後、第1ワークコンベア50の下方に位置する箱コンベア70により上記のように搬送・位置決め済みの収容箱100内に、当該ワークWを配置する(図11(a))。このとき、図10図12では、図7(b)を用いて前述した、ワークWを搬送方向に沿った3列にて千鳥配列する箱詰めレイアウトにより箱詰め作業を行う場合を例にとって示している。したがって、上記1個のワークWの配置により、図7(b)に「1」で示したワークW(すなわち搬送方向に沿って最下流の1段目のワーク)の配列が完了したことになる。なお、第2ワークコンベア60における上記5個のワークWの1搬送ピッチ分の搬送(最下流側の1つのワークWを把持ポジションに位置決めするための搬送)は、前述のように第1ワークコンベア50と揃えたタイミングとせず、ロボット10が第1ワークコンベア50から収容箱100へワークWを移送している、上記タイミングで行ってもよい。
【0064】
その後、ロボット10は、次のワークWを把持するために、吸着部90を上記図11(a)に示した状態から第2ワークコンベア60側へと戻す。そしてこの例では、このように吸着部90が戻されているその間に、箱コンベア70において収容箱100が所定量だけ下流側に搬送される。このときの所定量は、上記1段目のワークとこの後に配列される搬送方向に沿って2段目のワーク(図7(b)に「2」「3」で示したワーク)との間のワーク中心間距離に相当する、上記箱詰めピッチhに等しい。
【0065】
その後、ロボット10は、前述したように吸着部90を戻して、上記把持ポジションに位置している第2ワークコンベア60のベルト61上のワークWを把持し(図11(c))、ベルト61外へと持ち上げて移送(図11(d))した後、箱コンベア70により上記のように箱詰めピッチhだけ搬送され位置決め済みの収容箱100内に、当該ワークWを配置する(図11(e))。この結果、第2ワークコンベア60上では、残りの4個のワークWのうち最下流側の1個のワークWが上記把持ポジションよりも1搬送ピッチ手前にほぼ位置決めされた状態となる。
【0066】
なお、本実施形態では、上記吸着部90による移送の最中に、第1ワークコンベア50において、選別装置により選別された追加の複数(図示の例では2個)のワークWが搬送されてくる(図11(d))。そして、上記のように第2ワークコンベア60からのワークWを収容箱100内に配置したタイミングとほぼ等しいタイミングで、上記2個のワークWのうち最下流側の1個のワークWが、(第2ワークコンベア60と揃うように)上記把持ポジションよりも1搬送ピッチ手前で停止され、位置決めされる(図11(e))。
【0067】
上記のようにベルト51,61上の最下流側のワークWの位置がそろってそれぞれ搬送停止された状態の後、ロボット10による把持動作に備え、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の両方が、そろって1搬送ピッチだけワークWを下流側に搬送し、停止する(図12(a))。これにより、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60ともに、最下流側のワークWが上記把持ポジションで停止し、ロボット10による把持・移送待ちの状態となる。
【0068】
上記図12(a)に示す把持・移送待ちの状態の後、この例では、ロボット10が、吸着部90により、引き続き第2ワークコンベア60のベルト61上のワークWを把持し(図12(b))、ベルト61外へと持ち上げて移送(図12(c))した後、第2ワークコンベア60の下方に位置する箱コンベア70の上記収容箱100内に、当該ワークWを配置する(図12(d))。これにより、図7(b)に「2」「3」で示した2つのワークW(すなわち搬送方向に沿って2段目のワーク)の配列が完了したことになる。またこの結果、第2ワークコンベア60上では、残りの3個のワークWのうち最下流側の1個のワークWが上記把持ポジションよりも1搬送ピッチ手前にほぼ位置決めされた状態となる。なお、第1ワークコンベア50における上記2個のワークWの1搬送ピッチ分の搬送(最下流側の1つのワークWを把持ポジションに位置決めするための搬送)は、前述のように第2ワークコンベア60と揃えたタイミングとせず、ロボット10が第2ワークコンベア60から収容箱100へワークWを移送している、上記タイミングで行ってもよい。
【0069】
その後、ロボット10は、さらに次のワークWを把持するために、吸着部90を上記図12(d)に示した状態から第2ワークコンベア60側へと戻す。そしてこの例では、このように吸着部90が戻されているその間に、第2ワークコンベア60が1搬送ピッチだけワークWを下流側に搬送し、停止する(図12(e))。これにより、再び、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60ともに、最下流側のワークWが上記把持ポジションで停止し、ロボット10による把持・移送待ちの状態となる。またこのタイミングで、前述と同様、箱コンベア70において収容箱100がさらに上記箱詰めピッチhだけ下流側に搬送され、図7(b)に「4」で示した1つのワークW(すなわち搬送方向に沿って3段目のワーク)の配列に備える。
【0070】
以降は、上記同様にして、第1ワークコンベア50のベルト51及び第2ワークコンベア60のベルト61の駆動及び停止が間欠的に繰り返される。これにより、ベルト51又はベルト61上のワークWが上記把持ポジションへ順次搬送され、ロボット10の吸着部90によりその把持ポジションに位置決めされたワークWが順次移送されて、適宜に上記箱詰めピッチhだけ間欠的に搬送され位置決めされた収容箱100内に、配列されていく。1つの収容箱100内がワークWにより一杯となったら、前述したように当該収容箱100は排出ベルト78Rを介し収容箱回収設備へと取り出され、後続する次の収容箱100に対し同様にワークWが順次配列される。
【0071】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のワーク処理システムでは、複数のワークWが、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60により順次搬送される。搬送されてきたそれら複数のワークWは、カメラ3での検出結果に基づくモーションコントローラ35及び搬送コントローラ15の制御によりロボット10で把持されて、箱コンベア70により搬送される収容箱100内へと移され、収容箱100内において適宜に配列される。ワークWが配列された収容箱100は、箱コンベア70によって、出荷までの後工程を行う収容箱回収設備へと搬送される。
【0072】
このとき、ロボット10は、移動体20によって第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の上方に配置されている。すなわち、ロボット10が、上記の第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60と箱コンベア70とに対し上下に重なるように配置されている(図1図2参照)。このように、ロボット10、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60、箱コンベア70が上下方向に重なるように配置されていることにより、大幅な省スペース化を図ることができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、ロボット10を移動体20ごと容易に移動させることができる。これにより、例えばワークWの処理を行う時期(ワークWが青果物等である場合における収穫時期等)にはロボット10を上記第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の上方に位置させて稼働させる一方、それ以外の時期にはロボット10の場所を移動させ、別の用途に使用することができる。この結果、ロボット10に対して汎用性を持たせることができ、コストを低減できる。
【0074】
また、本実施形態では特に、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70の動作とロボット10の動作とが互いに同期制御される。これにより、搬送されてくるワークWを収容箱100に配列するときのロボット10のハンドリング移動距離を最小として処理を高速化し、処理能力の向上(サイクルタイムの短縮)を図ることができる。また、例えば第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70を、サーボモータである第1コンベアモータMC1、第2コンベアモータMC2、モータ75L,75Rを用いた駆動制御とすることで、高精度な加速度制御等が可能となり、ワークWの多品種・形状ばらつき等に対応可能となり、ワークWの転動防止を図ることができる。この結果、上記サイクルタイムの短縮による把持時間の縮小と相まって、処理時におけるワークWの損傷を低減することもできる。
【0075】
また、本実施形態では特に、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70、ロボット10それぞれの動作が同期して制御される。詳細には、第1ワークコンベア50のベルト51、第2ワークコンベア60のベルト61、箱コンベア70の係合爪71L,71Rがともに駆動及び停止を間欠的に繰り返す。そしてその際、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70が搬送を停止したときにロボット10がベルト51,61上のワークWを把持し、把持したワークWを係合爪71L,71R上の収容箱100内に配列する。このような同期動作とすることで、ワークWの処理速度を向上し、単位時間当たりの処理個数の増大を図ることができる。
【0076】
このとき、本実施形態では、前述の上コンベアとして、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の複数(この例では2個)が設けられる。そして、前述のようにして第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60が前述のように駆動及び停止を間欠的に繰り返すとき、特に、第1ワークコンベア50のベルト51及び第2ワークコンベア60のベルト61を交互に駆動することも可能である。そしてこれに対応して、ロボット10は、第1ワークコンベア50のベルト51が駆動されているとき(言い替えれば第2ワークコンベア60のベルト61が停止しているとき)には当該停止した第2ワークコンベア60のベルト61上のワークWを把持して移送し、第2ワークコンベア60のベルト61が駆動されているとき(言い替えれば第1ワークコンベア50のベルト51が停止しているとき)には、当該停止した第1ワークコンベア50のベルト51上のワークWを把持して移送することも可能である(図10(e)及び図12(c)を用いて行った前述の説明を参照)。このように、交互に停止する第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の動作に合わせて、ロボット10が交互に第1ワークコンベア50のベルト51及び第2ワークコンベア60のベルト61からワークWを移送する制御とすることにより、ロボット10による移送動作をなるべく短い経路で円滑に行うことができ、確実に処理速度の向上及び処理個数の増大を図ることができる。
【0077】
また、本実施形態では特に、予めベルト51,61上に複数のワークWが一列に並べられ、並んだ各ワークWに対してロボット10が順次移送を行う。これにより、ロボット10による処理の円滑化を図ることができ、さらに確実な処理速度の向上及び処理個数の増大を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態では特に、箱コンベア70は、係合爪71L,71Rを収容箱100に対し係合・離脱可能とするシリンダ機構77L,77Rと、そのシリンダ機構77L,77Rを、箱コンベア70の搬送経路に沿って進退可能に駆動する、モータ75L,75R、ボールねじ74L,74R、移動ブロック76L,76Rと、を有する。そして、収容箱100の搬送時には、シリンダ機構77L,77Rが係合爪71L,71Rを収容箱100に係合させ(図8(c)、図8(e)、図9(c)、図9(g)等参照)、その係合爪71L,71Rをモータ75L,75Rの駆動力で進行方向に駆動することで、係合爪71L,71Rと一体になった収容箱100を搬送経路に沿って下流側へと搬送することができる。その後、例えば収容箱100が所定の位置まで搬送されたら、シリンダ機構77L,77Rが係合爪71L,71Rを収容箱100から離脱させる。これにより、モータ75L,75Rの駆動力でシリンダ機構77L,77Rを退行方向に駆動することで、収容箱100から離れて単独となった係合爪71L,71Rを上流側の元の位置まで戻し、次の収容箱100への係合準備状態とすることができる(図9(b)、図9(f)参照)。本実施形態では、以上のようにして係合爪71L,71Rを円滑かつ確実に進退させることにより、箱コンベア70により収容箱100を円滑に搬送することができる。
【0079】
また、本実施形態では特に、前述のようにしてロボット10がワークWを収容箱100内に配列するときの箱詰めレイアウトが箱詰めレイアウト取得部33によって取得されると、教示データ決定部38によって当該箱詰めレイアウトに応じてロボット10への教示データが決定される。モーション制御部16は、その教示データに基づいて、ロボット10の動作を制御する。これにより、本実施形態によれば、例えば、収容箱100の大きさ、ワークWの大きさ、収容するワークWの数、等に応じ箱詰めレイアウトをあらかじめ決めておけば、それ以降のロボット10への特別な教示を行わなくても、当該箱詰めレイアウトに沿って円滑に収容箱100内にワークWを順次配列することができる。
【0080】
また、本実施形態では特に、箱コンベア70の係合爪71L,71Rが所定ピッチにて間欠駆動される。そのときの上記所定ピッチ(前述の箱詰めピッチh又は箱詰めピッチh′。図7(a)及び図7(b)参照)は、前述のようにして取得された箱詰めレイアウトに応じて可変に設定される。すなわち、例えば箱詰めレイアウトが格子状配列のときのピッチh′を、千鳥配列のときのピッチhの約2倍にする等、箱詰めレイアウトの態様に応じて、ロボット10によるワークWの収容箱100への移送動作が最短経路で行われるように箱コンベア70による収容箱100の搬送動作が最適化される。
【0081】
また、前述のように作業者の手作業でワークWを詰める場合には、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70の側方に作業者の身体分のスペースが必要となる。あるいは、その作業者に代えてロボットを設置し、そのロボットに箱詰め作業を行わせることも考えられるが、この場合も、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70の側方に、ロボットの大きさに相当する比較的大きな設置スペースが必要となる。これに対して、本実施形態では特に、ロボット10が全体として移動体20の天井壁21に天吊り状態で支持されることで、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、箱コンベア70とロボット10とが上下に重なる構造を確実に実現することができる。この結果、上記作業者身体分のスペースすらも必要としないので、前述の省スペース化の効果を確実に得ることができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、箱コンベア70は、その搬送経路が第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の搬送経路の下方でかつ平行となるように(言い換えれば第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60と上下に重なるように)、配置される。また、ロボット10は、平面視において第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60の搬送経路及び箱コンベア70の搬送経路に重畳するように移動体20によって支持されている。これにより、ロボット10と、第1ワークコンベア50、第2ワークコンベア60、及び箱コンベア70とが上下に重なる構造を確実に実現し、前述の省スペース化の効果を確実に得ることができる。
【0083】
また、本実施形態では特に、箱コンベア70の搬送経路の中心線CLと平面視で重畳するように、ロボット10を支持する天井壁21が位置する(図2等参照)。この結果、ロボット10は、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60と上下に重なるように配置される箱コンベア70の幅方向中心の直上に位置することとなる。これにより、さらに確実な省スペース化を図ることができる。
【0084】
<変形例>
なお、開示の実施形態は、上記の例に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0085】
<重量オーバーを防止する例>
すなわち、ロボット10が箱詰め作業するとき、収容箱100内の全ワークWの合計重量が予め定めた範囲内になるように、ロボット10の動作が調整される場合である。この場合、収容箱100は、あらかじめ固定的に定められたN個(Nは自然数)のワークWを収容するように、事前に設定(決定)されている。そして、第1ワークコンベア50又は第2ワークコンベア60若しくは前述の選別装置に設けた適宜の重量測定装置により、第1ワークコンベア50及び第2ワークコンベア60により運ばれてくる各ワークWの重量が検出される。その検出結果は、例えばモーションコントローラ35内に設けた重量取得部(図示省略)によって取得される。そして、その重量取得部で取得した各ワークWの重量検出結果に基づき、収容箱100に配列される上記N個のワークWの合計重量が、予め定められた重量範囲内となるように、ロボット10の動作が制御される。
【0086】
例えば図13に示す例では、上記N=15、すなわち収容箱100内に15個のワークWが収納される箱詰めレイアウトで、かつ、その15個のワークWの合計重量が3000グラム以内で商品設定されている場合の例である。例えば、前述と同様にして1番目のワークW(図中「1」で示す。以下同様)、2番目のワークW、3番目のワークW、・・の順序で14番目のワークWまで収容箱100内に配列したとき、図13(a)に示す例では、上記重量取得部で取得された、ここまでの全14個のワークWの合計重量が、2800グラムとなっている。このとき、次の15番目のワークWの重量がたまたま210グラムであったとすると、そのままそのワークWを収容箱100内に配置すると、全15個のワークWの合計重量が3010グラムとなり、上記「3000グラム」の重量範囲をオーバーしてしまうことになる。
【0087】
このような場合に、次の順番の16番目のワークWの重量が例えば200グラムであったとすると、当該ワークWを(上記15番目のワークWに代えて)先に収容箱100に配置すれば15個のワークWの合計重量が3000グラムとなる。したがって、ロボット10は、図13(b)に示すように、上記15番目のワークWはベルト51又は61上に残したまま、16番目のワークWをベルト51又は61から移送し、収容箱100に配置することで、上記重量オーバーを回避する。
【0088】
このように、本変形例においては、ロボット10は、収容箱100に配列されるN個のワークWの合計重量が予め定められた重量範囲内となるように、動作が調整される。これにより、1つの収容箱100内のワークWの総重量が予め定めた上限値をオーバーすることによる、ワーク販売時の経済的損失を防止することができる。
【0089】
<ワークを回転させて姿勢変更し配置する例>
すなわち、ワークWにおいて各個体ごとに外観形状に差異が存在する場合、例えば平面視でみて均一な円形ではなく、略楕円形、略紡錘形等の異形のものが存在する場合があり得る。このような異形のワークWをロボット10で移送して収容箱100内に配列する場合、そのまま配置したのでは収容箱100内で隣接する別のワークWに接触・干渉し、傷を与えたり、当該異形のワークWを収容容器内に配置できない可能性があり得る。そこで、本変形例では、ロボット10が箱詰め作業するとき、上記のような(異形の)特定のワークWについては、把持した後に回転させて姿勢を変更した後に、収容箱100内に配置する。
【0090】
すなわちこの場合、上記モーションコントローラ35の画像取得部36がカメラ3から取得した画像に基づき、画像解析処理部37がワークWの外観形状を認識する。そして、搬送コントローラ15の教示データ決定部38が、その認識された外観形状と、箱詰めレイアウト取得部33によって取得された箱詰めレイアウトとに応じて教示データを決定する。これにより、ロボット10は、当該ワークWについては吸着部90により把持した後に回転させて姿勢を変更し、他のワークWとは異なる向きとして収容箱100内に配置するように、動作が制御される。
【0091】
例えば図14に示す例では、上述と同様、収容箱100内に15個のワークWが収納される箱詰めレイアウトの場合の例である。図14(a)に示すように、この例では、前述と同様にして1番目のワークW(図中「1」で示す。以下同様)、2番目のワークW、・・の順序で3番目のワークWまで収容箱100内に配列した後、4番目のワークWが、平面視でみて図示左右方向を長軸とする楕円形形状となっている。この4番目のワークWを(姿勢変更することなく)そのまま配置したのでは、既に配置されている1番目のワークW、及び、この後に配置される7番目のワークWとの距離が非常に近くなり、それらのうちいずれかに接触・干渉する可能性がある。
【0092】
そこでこの場合には、図14(b)に示すように、ロボット10は、当該4番目のワークWを把持した後、収容箱100内に配置するまでの間のどこかのタイミングで、図示する平面視において約45°程度右側に回転させるような、姿勢変更を行う。そして、当該ワークWは、その姿勢変更後の状態で、収容箱100内に配置される(図14(c))。
【0093】
以上のように、本変形例においては、カメラ3を用いた画像検出結果に基づき認識されるワークWの外観形状と、前述のようにして取得された箱詰めレイアウトと、に応じた制御により、ロボット10は、把持したワークWを適宜に回転して姿勢変更し、収容箱100内に配置することができる。これにより、上記のように異形のワークWがあった場合でも、配列する際に前述のような隣接する他のワークWへの接触・干渉が起こらないような向きで、収容箱100内に配置することができる。
【0094】
<その他>
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0095】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0096】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0097】
1 ワーク処理システム
3 カメラ(画像検出部の一例)
10 ロボット
15 搬送コントローラ(制御部の一例)
20 移動体
21 天井壁(支持部の一例)
33 箱詰めレイアウト取得部(レイアウト取得部の一例)
34 座標情報取得部(制御部の一例)
35 モーションコントローラ
36 画像取得部(画像検出部の一例)
37 画像解析処理部(画像検出部の一例)
38 教示データ決定部
50 第1ワークコンベア(第1上コンベア、上コンベアの一例)
60 第2ワークコンベア(第2上コンベア、上コンベアの一例)
70 箱コンベア(下コンベアの一例)
71L,R 係合爪(下搬送部材の一例)
74L,R ボールねじ(進退駆動機構の一例)
75L,R モータ(進退駆動機構の一例)
76L,R 移動ブロック(進退駆動機構の一例)
77L,R シリンダ機構(係脱具の一例)
90 吸着部
100 収容箱(収容容器の一例)
a 収容箱の寸法(収容容器の大きさの一例)
b 収容箱の寸法(収容容器の大きさの一例)
c ワークの直径(ワークの大きさの一例)
CL 収容箱の搬送経路の幅方向中心線
W ワーク
図1
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