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  • 特許-軌道走行式機械のレールブレーキ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】軌道走行式機械のレールブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 9/18 20060101AFI20231031BHJP
   B66C 13/22 20060101ALI20231031BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B66C9/18
B66C13/22 S
B66C13/22 K
B60T7/12 D
B60T7/12 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019237663
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021104884
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 泰造
(72)【発明者】
【氏名】五味川 洋祐
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-043702(JP,A)
【文献】特開2012-180159(JP,A)
【文献】中国実用新案第208884356(CN,U)
【文献】特開2019-199220(JP,A)
【文献】特開2019-116339(JP,A)
【文献】特開2019-077563(JP,A)
【文献】特開2006-160456(JP,A)
【文献】特開平10-250577(JP,A)
【文献】中国実用新案第209740544(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 9/18;13/22
B60T 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの走行車輪転動面に対し該レールと直交する方向へブレーキパッドを押付・離反自在な流体圧シリンダと、通常運転時には、前記流体圧シリンダへ作動流体を導入することにより該流体圧シリンダを作動させつつ蓄圧する一方、停電時又は非常停止指令が出力された際には、蓄圧した作動流体を前記流体圧シリンダへ導いて前記ブレーキパッドをレールの走行車輪転動面に押し付ける流体圧ユニットとを備えた軌道走行式機械のレールブレーキ装置において、
前記レールを挟持するレールクランプの作動状態を検出するレールクランプ開閉検出器と、
前記軌道走行式機械の走行駆動モータに設けられた走行ブレーキの作動状態を検出する走行ブレーキ開閉検出器と、
前記軌道走行式機械の走行速度を検出する走行速度検出器と、
前記レールクランプ開閉検出器で検出されたレールクランプの作動状態と、前記走行ブレーキ開閉検出器で検出された走行ブレーキの作動状態と、前記走行速度検出器で検出された走行速度とに基づき前記流体圧ユニットに制御信号を出力する簡易制御器と
を備え
前記簡易制御器は、
前記レールクランプが閉じ、前記走行ブレーキが閉じ、且つ前記軌道走行式機械の走行が検出された際にONとなる逸走検知AND回路と、
前記レールクランプが開き、前記走行ブレーキが開き、且つ前記軌道走行式機械の走行速度が異常であると検出された際にONとなる異常走行検知AND回路と、
前記逸走検知AND回路と異常走行検知AND回路の何れか一方がONになった際、或いは、停電時又は非常停止指令が出力された際にONとなって前記流体圧シリンダを作動させる制御信号を前記流体圧ユニットに出力するOR回路と
を備えた軌道走行式機械のレールブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道走行式機械のレールブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は一般的な軌道走行式機械としてのコンテナクレーンの一例を示すものであって、1はコンテナクレーン、2はコンテナクレーン1が配備される港湾、3は港湾2における岸壁、4は岸壁3の走行路3aに図4の紙面と直交する方向へ延びるよう敷設されたレールである。
【0003】
前記コンテナクレーン1のクレーン本体5の支持脚6には、レール4に沿って転動自在な走行車輪7を有する走行装置8が取り付けられている。
【0004】
尚、前記コンテナクレーン1の機械室9には、運転操作を統括する制御装置10が設けられている。
【0005】
前記コンテナクレーン1は、荷役作業中に強風に煽られると、運転者の意に反して走行が止まらず、逸走してしまう虞がある。
【0006】
このため、前述の如き軌道走行式機械の逸走を防止する装置として、従来、例えば、特許文献1に開示されているようなレールクランプがある。該レールクランプは、左右一対のクランプレバーを備え、該クランプレバーの先端に設けられたシューによりレールの両側面を挟持するようになっている。
【0007】
近年、前記レールクランプを備えた既設の軌道走行式機械に更に、停電時や非常停止時に作動するレールブレーキを追加装備する改造が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-210623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述のように、既設の軌道走行式機械にレールブレーキを追加装備する場合、機械室9に設けられた制御装置10に対して、支持脚6の下端部に設けられるレールブレーキを接続しなければならず、制御装置10の大幅な改造や配線の引き直しが必要となっていた。
【0010】
このため、前記制御装置10の改造や配線の費用が嵩むと共に、工期が長引くという問題を有していた。
【0011】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、制御装置の改造や配線の費用を削減し得、改造工期短縮を図り得る軌道走行式機械のレールブレーキ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、レールの走行車輪転動面に対し該レールと直交する方向へブレーキパッドを押付・離反自在な流体圧シリンダと、通常運転時には、前記流体圧シリンダへ作動流体を導入することにより該流体圧シリンダを作動させつつ蓄圧する一方、停電時又は非常停止指令が出力された際には、蓄圧した作動流体を前記流体圧シリンダへ導いて前記ブレーキパッドをレールの走行車輪転動面に押し付ける流体圧ユニットとを備えた軌道走行式機械のレールブレーキ装置において、
前記レールを挟持するレールクランプの作動状態を検出するレールクランプ開閉検出器と、
前記軌道走行式機械の走行駆動モータに設けられた走行ブレーキの作動状態を検出する走行ブレーキ開閉検出器と、
前記軌道走行式機械の走行速度を検出する走行速度検出器と、
前記レールクランプ開閉検出器で検出されたレールクランプの作動状態と、前記走行ブレーキ開閉検出器で検出された走行ブレーキの作動状態と、前記走行速度検出器で検出された走行速度とに基づき前記流体圧ユニットに制御信号を出力する簡易制御器と
を備え
前記簡易制御器は、
前記レールクランプが閉じ、前記走行ブレーキが閉じ、且つ前記軌道走行式機械の走行が検出された際にONとなる逸走検知AND回路と、
前記レールクランプが開き、前記走行ブレーキが開き、且つ前記軌道走行式機械の走行速度が異常であると検出された際にONとなる異常走行検知AND回路と、
前記逸走検知AND回路と異常走行検知AND回路の何れか一方がONになった際、或いは、停電時又は非常停止指令が出力された際にONとなって前記流体圧シリンダを作動させる制御信号を前記流体圧ユニットに出力するOR回路と
を備えた軌道走行式機械のレールブレーキ装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の軌道走行式機械のレールブレーキ装置によれば、制御装置の改造や配線の費用を削減し得、改造工期短縮を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の軌道走行式機械のレールブレーキ装置の実施例を示す正面図である。
図2】本発明の軌道走行式機械のレールブレーキ装置の実施例を示す概要構成図である。
図3】本発明の軌道走行式機械のレールブレーキ装置の実施例を示す制御回路図である。
図4】軌道走行式機械としてのコンテナクレーンの一例を示す全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1図3は本発明の軌道走行式機械のレールブレーキ装置の実施例であって、図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0018】
図1に示す軌道走行式機械としてのコンテナクレーン1では、クレーン本体5の支持脚6間に、該支持脚6をつなぐようレール4に沿って延びる下部フレーム6aが設けられ、該下部フレーム6aの底面側に、複数(図1の例では二基)の走行装置8が設けられている。
【0019】
前記走行装置8は、上部イコライザビーム9aと、中間部イコライザビーム9bと、下部イコライザビーム9cと、走行車輪7とを備えている。
【0020】
前記上部イコライザビーム9aは、前記下部フレーム6aの底面側に、走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10aにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。前記中間部イコライザビーム9bは、前記上部イコライザビーム9aの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10bにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。前記下部イコライザビーム9cは、前記中間部イコライザビーム9bの走行方向両端部に走行方向と直角な水平方向へ延びるロッカーピン10cにより中間部が支持されて揺動自在に配設されている。
【0021】
前記走行車輪7は、前記下部イコライザビーム9cの走行方向両端部にレール4に沿って転動自在となるよう配設され、走行駆動モータ8aによって回転駆動されるようになっている。前記走行駆動モータ8aには走行ブレーキ8bが設けられている。
【0022】
尚、図1に示す例では、上部イコライザビーム9aと中間部イコライザビーム9bとからなるイコライザ装置9Aと、中間部イコライザビーム9bと下部イコライザビーム9cとからなるイコライザ装置9Bとが上下二段に形成されている。因みに、上段の前記イコライザ装置9Aにおける上部イコライザビーム9aは上側イコライザビームとなり、中間部イコライザビーム9bは下側イコライザビームとなる。又、下段の前記イコライザ装置9Bにおける中間部イコライザビーム9bは相対的に上側イコライザビームとなり、下部イコライザビーム9cは下側イコライザビームとなる。但し、前記軌道走行式機械としてのコンテナクレーン1の規模に応じて、前記イコライザ装置9Aを一段だけ形成して、下側イコライザビーム(この場合は中間部イコライザビーム9b)に走行車輪7を配設しても良い。又、前記イコライザ装置を上下三段以上形成して、最下段のイコライザ装置における下側イコライザビームの走行方向両端部にレール4に沿って転動自在な走行車輪7を配設しても良い。
【0023】
前記下部フレーム6aの底面側には、レールクランプ20が配置されている。該レールクランプ20は、特許文献1に開示されているものと同様、左右一対のクランプレバー21を備え、該クランプレバー21の先端に設けられたシュー(図示せず)によりレール4の両側面を挟持するようになっている。
【0024】
そして、本実施例の場合、前記コンテナクレーン1にレールブレーキ40が追加装備される。
【0025】
前記レールブレーキ40は、下部フレーム6aの底面側にテンションロッド50によって保持されるブレーキブラケット51に取り付けられ、図2に示す如く、流体圧シリンダ41と、流体圧ユニット42とを備えている。
【0026】
前記流体圧シリンダ41は、流体圧シリンダ本体41aと、流体圧ピストン41bと、流体圧ピストンロッド41cとを備えている。前記流体圧シリンダ本体41aは、前記ブレーキブラケット51の下部に、レール4と直交する水平方向へ延びる支持ピン51aを介して吊り下げられ、前記ブレーキブラケット51の下部に設けられたアウタケース52の内部に嵌挿される形で下向きに取り付けられている。前記流体圧ピストン41bは、前記流体圧シリンダ本体41aの内部に摺動自在に嵌入され、前記流体圧シリンダ本体41aの内部をキャップ側室41dとロッド側室41eとに画成している。前記流体圧ピストンロッド41cは、前記流体圧ピストン41bからロッド側室41eを貫通して下方へ延出され、前記流体圧ピストンロッド41cの下端には、ブレーキパッド41fが、前記レール4の走行車輪転動面4aに対し該レール4と直交する方向へ押付・離反自在となるよう連結されている。前記流体圧シリンダ41の流体圧シリンダ本体41aの内部(ロッド側室41e)には、上下方向へ延びる弾性部材Sとしての圧縮バネS2が流体圧ピストンロッド41cを引き込む方向へ付勢するよう装填されている。
【0027】
前記流体圧ユニット42は、通常運転時には、給排ライン42aを介して前記流体圧シリンダ41へ作動流体を導入することにより該流体圧シリンダ41を作動させつつ蓄圧する一方、停電時又は非常停止指令が出力された際には、蓄圧した作動流体を前記流体圧シリンダ41へ導いて前記ブレーキパッド41fをレール4の走行車輪転動面4aに押し付けるようになっている。
【0028】
更に、前記レールブレーキ40は、レールクランプ開閉検出器60と、走行ブレーキ開閉検出器70と、走行速度検出器80と、簡易制御器90とを備えている。
【0029】
前記レールクランプ開閉検出器60は、前記レール4を挟持するレールクランプ20の作動状態を検出するものであって、該レールクランプ20に設けられている。
【0030】
前記走行ブレーキ開閉検出器70は、前記走行ブレーキ8bの作動状態を検出するものであって、該走行ブレーキ8bに設けられている。
【0031】
前記走行速度検出器80は、前記コンテナクレーン1の走行速度を検出するものであって、前記走行駆動モータ8aに設けられている。
【0032】
前記簡易制御器90は、支持脚6の下端部における所要箇所に設置され、図2に示す如く、前記レールクランプ開閉検出器60で検出されたレールクランプ20の作動状態と、前記走行ブレーキ開閉検出器70で検出された走行ブレーキ8bの作動状態と、前記走行速度検出器80で検出された走行速度とに基づき前記流体圧ユニット42に制御信号90aを出力するようになっている。
【0033】
より詳細に説明すると、前記簡易制御器90は、図3に示す如く、逸走検知AND回路91と、異常走行検知AND回路92と、OR回路93とを備えている。
【0034】
前記逸走検知AND回路91は、前記レールクランプ20が閉じ、前記走行ブレーキ8bが閉じ、且つ前記コンテナクレーン1の走行が検出された際にONとなるようになっている。
【0035】
前記異常走行検知AND回路92は、前記レールクランプ20が開き、前記走行ブレーキ8bが開き、且つ前記コンテナクレーン1の走行速度が異常であると検出された際にONとなるようになっている。
【0036】
前記OR回路93は、前記逸走検知AND回路91と異常走行検知AND回路92の何れか一方がONになった際、或いは、停電時又は非常停止指令が出力された際にONとなって前記流体圧シリンダ41を作動させる制御信号90aを前記流体圧ユニット42に出力するようになっている。尚、前記非常停止指令は、緊急を要する意図的な電源遮断時に簡易制御器90の内部において発せられるようになっている。
【0037】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0038】
コンテナクレーン1の運転時、レール4を挟持するレールクランプ20の作動状態がレールクランプ開閉検出器60によって検出され、走行ブレーキ8bの作動状態が走行ブレーキ開閉検出器70によって検出され、コンテナクレーン1の走行速度が走行速度検出器80によって検出される。
【0039】
前記レールクランプ20が閉じ、前記走行ブレーキ8bが閉じているにもかかわらず、前記コンテナクレーン1の走行が検出された際には、本来停止しているべきコンテナクレーン1が逸走していることになるため、簡易制御器90の逸走検知AND回路91がONになる。
【0040】
前記逸走検知AND回路91がONになると、OR回路93もONになって流体圧シリンダ41を作動させる制御信号90aが流体圧ユニット42に出力され、該流体圧ユニット42から給排ライン42aを介して流体圧シリンダ41へ作動流体が導入され、該流体圧シリンダ41の流体圧ピストンロッド41cが突出する方向へ駆動され、レールブレーキ40が作動し、コンテナクレーン1の逸走が阻止される。
【0041】
又、前記レールクランプ20が開き、前記走行ブレーキ8bが開き、且つ前記コンテナクレーン1の走行速度が異常であると検出された際には、簡易制御器90の異常走行検知AND回路92がONになる。
【0042】
前記異常走行検知AND回路92がONになると、前記OR回路93もONになって流体圧シリンダ41を作動させる制御信号90aが流体圧ユニット42に出力され、該流体圧ユニット42から給排ライン42aを介して流体圧シリンダ41へ作動流体が導入され、該流体圧シリンダ41の流体圧ピストンロッド41cが突出する方向へ駆動され、レールブレーキ40が作動し、コンテナクレーン1の異常な速度での走行が回避される。
【0043】
更に又、停電時又は非常停止指令が出力された際には、前記簡易制御器90のOR回路93がONになって流体圧シリンダ41を作動させる制御信号90aが流体圧ユニット42に出力され、該流体圧ユニット42から給排ライン42aを介して流体圧シリンダ41へ作動流体が導入され、該流体圧シリンダ41の流体圧ピストンロッド41cが突出する方向へ駆動され、レールブレーキ40が作動し、コンテナクレーン1が非常停止される。
【0044】
尚、前記簡易制御器90のOR回路93がOFFになって流体圧シリンダ41を作動させる制御信号90aが流体圧ユニット42に出力されなくなると、流体圧シリンダ41のキャップ側室41dの作動流体が給排ライン42aを介して流体圧ユニット42へ排出され、該流体圧シリンダ41の圧縮バネS2の付勢力により流体圧ピストンロッド41cが引き込まれる方向へ駆動され、レールブレーキ40の作動が解除され、コンテナクレーン1は走行可能な状態となる。
【0045】
ここで、前記簡易制御器90は、支持脚6の下端部に設置することが可能となるため、前記簡易制御器90に対してレールブレーキ40の流体圧ユニット42を接続する配線は短くて済み、又、前記レールクランプ開閉検出器60と走行ブレーキ開閉検出器70と走行速度検出器80とを前記簡易制御器90に接続する配線も長いものは必要とならない。
【0046】
これにより、従来とは異なり、既設のコンテナクレーン1にレールブレーキ40を追加装備する際にも、機械室9に設けられた制御装置10に対して、支持脚6の下端部に設けられるレールブレーキ40を接続しなくて済み、制御装置10の大幅な改造や配線の引き直しが不要となる。
【0047】
このため、前記制御装置10の改造や配線の費用がほとんど掛からなくなると共に、工期が長引く心配もない。
【0048】
こうして、制御装置10の改造や配線の費用を削減し得、改造工期短縮を図り得る。
【0049】
そして、本実施例の場合、前記簡易制御器90は、前記レールクランプ20が閉じ、前記走行ブレーキ8bが閉じ、且つ前記軌道走行式機械(コンテナクレーン1)の走行が検出された際にONとなる逸走検知AND回路91と、前記レールクランプ20が開き、前記走行ブレーキ8bが開き、且つ前記軌道走行式機械(コンテナクレーン1)の走行速度が異常であると検出された際にONとなる異常走行検知AND回路92と、前記逸走検知AND回路91と異常走行検知AND回路92の何れか一方がONになった際、或いは、停電時又は非常停止指令が出力された際にONとなって前記流体圧シリンダ41を作動させる制御信号90aを前記流体圧ユニット42に出力するOR回路93とを備えている。このように構成すると、本来停止しているべき軌道走行式機械(コンテナクレーン1)の逸走を防止でき、又、軌道走行式機械(コンテナクレーン1)の異常な速度での走行を回避でき、更に又、軌道走行式機械(コンテナクレーン1)の停電時又は非常停止指令出力時の非常停止を的確に行うことができる。
【0050】
尚、本発明の軌道走行式機械のレールブレーキ装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 コンテナクレーン(軌道走行式機械)
2 港湾
3 岸壁
3a 走行路
4 レール
4a 走行車輪転動面
5 クレーン本体
6 支持脚
6a 下部フレーム
7 走行車輪
8 走行装置
8a 走行駆動モータ
8b 走行ブレーキ
9 機械室
9A イコライザ装置
9B イコライザ装置
9a 上部イコライザビーム
9b 中間部イコライザビーム
9c 下部イコライザビーム
10 制御装置
10a ロッカーピン
10b ロッカーピン
10c ロッカーピン
20 レールクランプ
21 クランプレバー
40 レールブレーキ
41 流体圧シリンダ
41a 流体圧シリンダ本体
41b 流体圧ピストン
41c 流体圧ピストンロッド
41d キャップ側室
41e ロッド側室
41f ブレーキパッド
42 流体圧ユニット
42a 給排ライン
50 テンションロッド
51 ブレーキブラケット
51a 支持ピン
52 アウタケース
60 レールクランプ開閉検出器
70 走行ブレーキ開閉検出器
80 走行速度検出器
90 簡易制御器
90a 制御信号
91 逸走検知AND回路
92 異常走行検知AND回路
93 OR回路
S 弾性部材
S2 圧縮バネ
図1
図2
図3
図4