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特許7376365改良された接着性を有するフッ素化ポリマーをベースとするインク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】改良された接着性を有するフッ素化ポリマーをベースとするインク
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/16 20060101AFI20231031BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20231031BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20231031BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
C08L27/16
C08L33/14
H01L23/30 R
H01L23/30 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019569240
(86)(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 FR2018051395
(87)【国際公開番号】W WO2018229435
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】1755434
(32)【優先日】2017-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドラモット,マリー-フランス
(72)【発明者】
【氏名】ドルニエ,ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】イダルゴ,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】スレスタン,ティボー
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0065866(US,A1)
【文献】国際公開第2016/113492(WO,A1)
【文献】特表2008-528727(JP,A)
【文献】特表2011-527374(JP,A)
【文献】特表2017-525835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/16
C08L 33/14
H01L 23/00- 23/56
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-フッ化ビニリデンに由来する単位を含むPFポリマーと、
-(メタ)アクリルモノマーに由来する単位と、イミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス-ウレイル及びウレイド-ピリミジル基の中から選択される少なくとも1つの会合基を含む単位とを含むPAポリマーと
を溶媒中の溶液で含む組成物であって、
前記PFポリマーが、70~99.9重量%の割合で存在し、前記PAポリマーが0.1~30重量%の割合で存在(ただし、当該割合は、前記PFポリマーと前記PAポリマーとの合計に対する割合である)、
前記PFポリマーが、
フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレンに由来する単位の合計に対して15~55モル%のトリフルオロエチレンを含む、又は
フッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレンに由来する単位の合計に対して2~50モル%のヘキサフルオロプロペンを含む、
組成物。
【請求項2】
前記PFポリマーが、追加のモノマーに由来する単位をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PAポリマーが、
第1のモノマーに由来するA単位、
第2のモノマーに由来し、会合基を含むB単位、
任意選択で、少なくとも第3のモノマーに由来するC単位
を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記PAポリマーが、モル比率50~99%のA単位、同1~20%のB単位、及び同0~49%のC単位を含む、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロペンタノン、テトラヒドロフラン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びプロピレングリコールメチルエーテル、ジメチルカーボネート、トリエチルホスフェート、及びそれらの混合物の中から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記PFポリマーを溶解し、前記PAポリマーを溶解し、それらを前記溶媒中で混合することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物の調製方法。
【請求項7】
前記PAポリマーが前記溶媒の第1の部分に溶解され、前記PFポリマーが前記溶媒の第2の部分に溶解され、次いで該溶媒の第1の部分と該溶媒の第2の部分とが混合される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載の組成物を基板上に堆積させ、該組成物から前記溶媒を蒸発させることを含む、ポリマーフィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法に従って製造されたポリマーフィルムでコーティングされた基板を含む電子デバイス。
【請求項10】
前記ポリマーフィルムが電気活性ポリマーフィルムであるか、又は前記ポリマーフィルムが保護フィルムである、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
オプトエレクトロニクスデバイスであり、及び/又は、トランジスタ、チップ、バッテリ、光電池、発光ダイオード、センサ、アクチュエータ、変圧器、触覚デバイス、微小電気機械システム及び検出器の中から選択される、請求項又は10に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<発明の分野>
本発明は、基板への接着性が改善されたフッ素化ポリマーベースのインク、並びに電子デバイスの製造におけるこのインクの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
<技術的背景>
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなフッ素化ポリマー及びそれに由来するコポリマーは、特にそれらが基板上にフィルムの形態で堆積される多くの用途を有する。
【0003】
したがって、フッ化ビニリデン(VDF)及びトリフルオロエチレン(TrFE)をベースとし、場合によってクロロトリフルオロエチレン(CTFE)又は1,1-クロロフルオロエチレン(CFE)などの第3のモノマーを含有する電気活性コポリマーを製造することが知られている又は。VDF及びヘキサフルオロプロペン(HFP)をベースとする他のコポリマーは2016年8月29日に出願された特許出願FR16/58014号に記載されているように、電子デバイス用の保護層を形成するのに有用である。
【0004】
フィルムの形態でのこのようなフッ素化ポリマーの堆積は、良好な溶媒中のフッ素化ポリマー、及び任意選択で添加剤の溶液からなる「インク」と呼ばれる配合物から実施することができる。
【0005】
多くの用途において、これらのインクから得られる薄膜は、有機又は無機デバイスの構造を構成する様々な基板又は層に対して良好な接着特性を有することが必要とされる。しかしながら、フッ素化ポリマーはその低い表面張力のために、しばしば不十分な接着特性を有し、時には非接着特性さえ有する。
【0006】
国際公開第2009/141559号は、少なくとも1つのハロゲン化ビニルポリマー(好ましくはポリ塩化ビニル)と、コポリマーをハロゲン化ビニルポリマーと相溶性にする第1のモノマーと、少なくとも1つの会合基を有する第2のモノマーとに由来する単位を含有する少なくとも1つのコポリマーを含む組成物を教示する。この文献は、延伸フィルムから玩具又は靴まで、膠及び接着剤を介する多数の用途における前記組成物の使用を開示している。
【0007】
国際公開第2009/141560号は、前の文献に近い内容を有する。それは2つの格子を混合することによってポリマー樹脂を調製する方法を教示し、2つの格子の一方は少なくとも1つのハロゲン化ビニルポリマーから形成され、他方はコポリマーをハロゲン化ビニルポリマーと相溶性にする第1のモノマーと、少なくとも1つの会合基を有する第2のモノマーとに由来する単位を含有するコポリマーから形成される。
【0008】
これらの文献は、インクの形で堆積されたフッ素化ポリマーフィルムの接着の問題に取り組んでいない。
【0009】
インクの形で堆積されたフッ素化ポリマーフィルムの接着特性を、単純な堆積方法を使用することによって、及びこれらのフィルムの特性を可能な限り少なく変更することによって向上させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】仏国特許出願第1658014号
【文献】国際公開第2009/141559号
【文献】国際公開第2009/141560号
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明は第一に、-フッ化ビニリデンに由来する単位を含むPFポリマーと、-(メタ)アクリルモノマーに由来する単位と、イミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス-ウレイル及びウレイド-ピリミジル基から選択される少なくとも1つの会合基を含む単位とを含むPAポリマーとを、溶媒中の溶液で含む組成物に関する。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特定の実施形態において、PFポリマーはまた、式CX=CXの少なくとも1つの他のモノマーに由来する単位を含み、ここで、各々のX、X、X及びX基は、独立して、H、Cl、F、Br、I及び部分的に又は完全にハロゲン化されていてもよい、1~3個の炭素原子を含むアルキル基の中から選択され、又は、好ましくはPFポリマーはトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,1-クロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-3,3-トリフルオロプロペン及び2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの中から選択される少なくとも1つのモノマーに由来する単位を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
特定の実施形態では、PFポリマーはトリフルオロエチレンに由来する単位を含み、トリフルオロエチレンに由来する単位の割合は、好ましくはフッ化ビニリデン及びトリフルオロエチレンに由来する単位の合計に対して15~55モル%である。
【0014】
特定の実施形態では、PFポリマーは追加のモノマーに由来する単位をさらに含み、前記追加のモノマーは好ましくはクロロトリフルオロエチレン又は1,1-クロロフルオロエチレンであり、追加のモノマーに由来する単位の割合は、PFポリマーの単位の合計に対して、好ましくは1~20モル%、より好ましくは2~15モル%である。
【0015】
特定の実施形態では、PFポリマーはPFポリマーの単位の合計に対して、好ましくは2~50モル%、より好ましくは5~40モル%の割合で、ヘキサフルオロプロペンに由来する単位を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、PAポリマーは、
-好ましくはメチルメタクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びアクリロニトリルの中から選択される、第1のモノマーに由来するA単位、
-好ましくは第2のモノマーに由来し、好ましくはイミダゾリドニル基である会合基を含むB単位であって、第2のモノマーは、好ましくはエチルイミダゾリドンメタクリレート及びエチルイミダゾリドンメタクリルアミドの中からさらに選択される、B単位、
-任意選択で、(メタ)アクリル酸、そのエステル、そのアミド又はその塩、イタコン酸、そのエステル、そのアミド又はその塩、並びにスチレン及び4-スチレンスルホネートなどのその誘導体から好ましくは選択される第3のモノマーに由来するC単位
を含み、第3のモノマーは好ましくはエチルアクリレートである。
【0017】
いくつかの実施形態では、PAポリマーは、モル比率50~99%のA単位、1~20%のB単位、及び0~49%のC単位を含む。
【0018】
特定の実施形態では、PFポリマーは、70~99.9重量%の割合、好ましくは80~99重量%の割合で存在し、PAポリマーは0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%の割合で存在し、その割合はPFポリマー及びPAポリマーの合計に対して与えられる。
【0019】
いくつかの実施形態では、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド並びにケトン、特にアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロペンタノン、フラン、特にテトラヒドロフラン;エステル、特に酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びプロピレングリコールメチルエーテル、カーボネート、特にジメチルカーボネート、ホスフェート、特にトリエチルホスフェート、並びにそれらの混合物から選択される。
【0020】
本発明はまた、PFポリマーを溶解し、PAポリマーを溶解し、これらを溶媒中で混合することを含む、上記の組成物を調製するための方法に関する。
【0021】
特定の実施形態において、PAポリマーは溶媒の第1の部分に溶解され、PFポリマーは溶媒の第2の部分に溶解され、次いで、溶媒の第1の部分及び溶媒の第2の部分が混合され、溶媒の第1の部分及び溶媒の第2の部分は好ましくは異なる組成物である。
【0022】
本発明はまた、基板上に上記組成物を堆積させること、及び組成物から溶媒を蒸発させることを含む、ポリマーフィルムを製造するための方法に関する。
【0023】
本発明はまた、上記の方法に従って製造されたポリマーフィルムでコーティングされた基板を含む電子デバイスに関する。
【0024】
いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは電気活性ポリマーフィルムであるか、又はポリマーフィルムは保護フィルムである。
【0025】
いくつかの実施形態では、電子デバイスはオプトエレクトロニクスデバイスであり、及び/又は特に電界効果を有するトランジスタ、チップ、バッテリ、光電池、発光ダイオード、特に有機発光ダイオード、センサ、アクチュエータ、変圧器、触覚デバイス、電気機械マイクロシステム及び検出器の中から選択される。
【0026】
本発明は、従来技術の要件を満たすことを可能にする。より詳細には、本発明は溶媒中の溶液でフッ素化ポリマーを含むインク組成物を提供し、従来技術と比較して改善された基板に対する接着性を有し、フィルムの特性をほとんど又は全く変化させない、基板上のフッ素化ポリマーフィルム(すなわち層)の簡単な方法での製造を可能にする。
【0027】
これは、フッ素化ポリマーを、会合基を有する(メタ)アクリルタイプの追加のポリマーと組み合わせることによって達成される。本発明者らは実際に、フッ素化ポリマーをベースとするインクの調製に使用される多くの溶媒が、このようなポリマーの溶解も可能にすることを見出した。したがって、2つのポリマーは、押出又は射出などの乾式混合技術に頼ることなく、簡単な方法で混合することができる。
【0028】
したがって、分子レベルでポリマーの完全な混合物又は混合物のバッチを得ることが可能であり、ここで、これは、好ましくは低温で、多量のエネルギーを消費することなく(すなわち、適度な撹拌下で)、混合物あたり数ミリリットルの低容量から数トンの大量生産容量の任意の規模の生産にアクセス可能であり得る装置において、この混合物を得ることが可能である。
【0029】
これらの2つのタイプのポリマーの組み合わせは、非常に低い濃度の追加のポリマーでさえ、特にガラス及び金属のような異なる基板に対して優れた接着特性を有するフッ素化ポリマーフィルムを得ることを可能にすることも見出された。
【0030】
さらに、追加のポリマーの存在は好ましくは少量で、例えば、場合に応じて、電気活性特性であろうと、平坦化特性であろうと、不動態化特性であろうと、フッ素化ポリマーフィルムの特性に実質的に影響を及ぼさないことが見出された。
【0031】
本発明の別の利点は、いくつかの実施形態において、得られたフッ素化ポリマー層がいくつかの接着促進剤の場合のように、本質的に変色及び特に黄変を受けないことである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<本発明の実施形態の説明>
本発明は、以下の説明において、非限定的な方法でより詳細に説明される。
【0033】
本発明による組成物は溶媒中の溶液でPFポリマー及びPAポリマーを含む。
【0034】
<PFポリマー>
PFポリマーはフッ化ビニリデン(VDF)モノマーに由来する(すなわち、重合によって得られる)構造単位(又は単位、又は繰り返し単位、又はパターン)を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、PFポリマーはPVDFホモポリマーである。
【0036】
しかしながら、PFポリマーはコポリマー(広義には)であること、すなわち、PFポリマーがVDF以外の少なくとも1つの他のXモノマーに由来する単位を含むことが好ましい。
【0037】
場合に応じて、単一のXモノマー、又はいくつかの異なるXモノマーを使用することができる。
【0038】
特定の実施形態ではXモノマーは式CX=CXのものであってもよく、式中、各々のX、X、X及びX基は、独立して、H、Cl、F、Br、I及び部分的に又は完全にハロゲン化されていてもよいC1~C3アルキル基(好ましくはC1~C2)から選択され、又は、このXモノマーはVDFとは異なる(すなわち、X及びXがHを表す場合、X又はXの少なくとも1つはFを表さず、X及びXがFを表す場合、X又はXの少なくとも1つはHを表さない)。
【0039】
いくつかの実施形態では、各々のX、X、X及びX基は、独立して、H、F、Cl、I又はBr原子、又はF、Cl、I及びBrから選択される1つ以上の置換基を含んでいてもよいメチル基を表す。
【0040】
いくつかの実施形態では、各々のX、X、X及びX基は、独立して、H、F、Cl、I又はBr原子を表す。
【0041】
いくつかの実施形態ではX、X、X及びXの一つのみがCl又はI又はBr原子を表し、X、X、X及びXの他の基は、独立して、H若しくはF原子又は1つ以上のフッ素置換基を含んでいてもよいC1~C3アルキル基を表し又は;好ましくはH若しくはF原子又は1つ以上のフッ素置換基を含んでいてもよいC1~C2アルキル基又は;及びより好ましくはH若しくはF原子又は1つ以上のフッ素置換基を含んでいてもよいメチル基又はを表す。
【0042】
Xモノマーの例としては、フッ化ビニル(VF)、トリフルオロエチレン(TrFE)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、トリフルオロプロペン、特に3,3,3-トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、特に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス又は好ましくはトランス形態)、ヘキサフルオロイソブチレン、ペルフルオロブチルエチレン、ペンタフルオロプロペン、特に1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン又は1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、特に一般式R-O-CF=CF(Rはアルキル基であり、好ましくはC1-C4基(好ましい例はペルフルオロプロピルビニルエーテル又はPPVE及びペルフルオロメチルビニルエーテル又はPMVE)である。)が挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、Xモノマーは塩素原子又は臭素原子を含む。Xモノマーは、特に、ブロモトリフルオロエチレン、クロロフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びクロロトリフルオロプロペンの中から選択され得る。クロロフルオロエチレンとは、1-クロロ-1-フルオロエチレン又は1-クロロ-2-フルオロエチレンのいずれかを指す。1-クロロ-1-フルオロエチレン異性体(CFE)が好ましい。クロロトリフルオロプロペンは、好ましくは1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(cis又はtrans形態、好ましくはtrans)又は2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンである。
【0044】
特定の好ましい実施形態において、PFポリマーは、VDF及びHFPに由来する単位を含むか、又はVDF及びHFPに由来する単位からなるP(VDF-HFP)ポリマーである。
【0045】
このようなPFポリマーは、電子デバイスの平坦化又はパッシベーション層の製造に特に有用である。
【0046】
このようなPFポリマーはまた、電気活性層の製造に有用であり得る。
【0047】
HFPに由来する繰り返し単位のモル比は、好ましくは2~50%、特定5~40%である。
【0048】
P(VDF-HFP)コポリマーは特に、文献WO01/32726号及びUS6,586,547号に記載されているようなものであってもよく、これらを明確に参照する。
【0049】
いくつかの好ましい実施形態では、PFポリマーは、VDF及びCFE、又はCTFE、又はTFE、又はTrFE、又はTFEに由来する単位を含む。VDFとは異なるモノマーに由来する繰り返し単位のモル比は、好ましくは30%未満、より好ましくは20%未満である。
【0050】
このようなPFポリマーは、電気活性層の製造に特に有用である。
【0051】
いくつかの好ましい実施形態では、PFポリマーはVDF及びTrFEに由来する単位を含むか、又はVDF及びTrFEに由来する単位からなるP(VDF-TrFE)ポリマーである。
【0052】
このようなPFポリマーは、電気活性層の製造に特に有用である。
【0053】
特定の好ましい実施形態では、PFポリマーはVDF、TrFE、及びVDF及びTrFEとは異なる上記定義の別のXモノマーに由来する単位を含むか、又はVDF、TrFE、及びVDF及びTrFEとは異なる上記定義の別のXモノマーに由来する単位からなるP(VDF-TrFE-X)ポリマーである。好ましくはこの場合、他のXモノマーはTFE、HFP、トリフルオロプロペン、特に3,3,3-トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、特に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン又は1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(シス又は好ましくはトランスの形態)、ブロモトリフルオロエチレン、クロロフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン及びクロロトリフルオロプロペンの中から選択される。CTFE又はCFEが特に好ましい。
【0054】
このようなPFポリマーは、電気活性層の製造に特に有用である。
【0055】
VDF及びTrFEに由来する単位が存在する場合、TrFEに由来する単位の割合は、好ましくはVDF及びTrFEに由来する単位の合計に対して5~95モル%、特に:5~10モル%;又は10~15モル%;又は15~20モル%;又は20~25モル%;又は25~30モル%;又は30~35モル%;又は35~40モル%;又は40~45モル%;又は45~50モル%;又は50~55モル%;又は55~60モル%;又は60~65モル%;又は65~70モル%;又は70~75モル%;又は75~80モル%;又は80~85モル%;又は85~90モル%;又は90~95モル%である。15~55モル%の範囲が特に好ましい。
【0056】
VDF及びTrFEに加えて別のXモノマーに由来するユニットが存在する場合(Xモノマーは特にCTFE又はCFEである)、PFポリマー中のこの他のXモノマーに由来する単位の割合(単位の合計に対する)は例えば、0.5~1モル%;又は1~2モル%;又は2~3モル%;又は3~4モル%;又は4~5モル%;又は5~6モル%;又は6~7モル%;又は7~8モル%;又は8~9モル%;又は9~10モル%;又は10~12モル%;又は12~15モル%;又は15~20モル%;又は20~25モル%;又は25~30モル%;又は30~40モル%;又は40~50モル%で変動し得る。1~20モル%、好ましくは2~15モル%の範囲が特に好適である。
【0057】
フッ素化ポリマー中の単位のモル組成は、赤外分光法又はラマン分光法などの様々な手段によって決定することができる。X線蛍光分光法のような、炭素、フッ素及び塩素又は臭素又はヨウ素元素における元素分析のための従来の方法はあいまいさなしにポリマーの質量組成を計算することを可能にし、ポリマーの質量組成からモル組成が推定される。
【0058】
マルチコアNMR技術、特にプロトン(1H)及びフッ素(19F)技術はまた、適切な重水素化溶媒中のポリマーの溶液を分析することによって実施され得る。NMRスペクトルは、多核プローブを備えたFT-NMR分光計で記録する。次いで、異なるモノマーによって与えられる特定のシグナルが、一方又は他方の核に従って生成されるスペクトルにおいて同定される。したがって、例えば、TrFEに由来する単位はプロトンのNMRにおいて、CFH基に特徴的な特定のシグナルを与える(例えば、溶媒がピリジンである場合、約5~7ppmで)。これは、VDFのCH基についても同じである(例えば、溶剤がピリジンである場合、2~4ppmの間の質量)。2つのシグナルの相対積分は、2つのモノマーに由来する単位の相対存在量、すなわちモル比VDF/TrFEを与える。
【0059】
同様に、CF基は例えば、フッ素のNMRにおいて特徴的で良好に単離されたシグナルを与える。プロトンNMR及びフッ素NMRによって得られる異なるシグナルの相対積分の組み合わせは、その分解能が異なるモノマーに由来する単位のモル濃度を得ることにつながる方程式の系をもたらす。
【0060】
最後に、例えば、塩素又は臭素又はヨウ素のようなヘテロ原子のための元素分析及びNMR分析を組み合わせることが可能である。したがって、例えば、P(VDF-TrFE-CTFE)ターポリマー中のCTFEに由来する単位の含有量は、元素分析による塩素含有量の測定によって決定することができる。
【0061】
したがって、当業者はフッ素化ポリマーの組成を、あいまいさなしに、必要な精度で決定することを可能にする、一連の方法又は方法の組み合わせを有する。
【0062】
PFポリマーの粘度は230℃及び100秒-1せん断速度(ASTM D4440に従い、2つの平行トレイを備えたPHYSICA MCR301装置を使用)で測定を行うことにより、0.1~100kPo(キロポアズ)であることが好ましい。
【0063】
PFポリマーは、好ましくはランダムかつ線状である。
【0064】
PFポリマーは、均一であっても不均一であってもよい。均一なポリマーは均一な鎖構造を有し、異なるモノマーに由来する単位の統計的分布は、鎖間で実質的に変化しない。不均一ポリマーでは鎖は多峰性又は広がり型の、異なるモノマーに由来する単位で分布を有する。したがって、不均一ポリマーは、所与の単位により豊富な鎖と、この単位により乏しい鎖とを含む。不均一ポリマーの例は、国際公開第2007/080338号に開示されている。
【0065】
PFポリマーは、乳化重合、懸濁重合及び溶液重合などの任意の既知の方法を用いて製造することができる。
【0066】
フルオロポリマーが、VDF及び/又はTrFE、並びに上記のような別のXモノマーに由来する単位を含む場合、文献WO2010/116105号に記載された方法を使用することが好ましい。この方法は、高分子量及び適切な構造化のポリマーを得ることを可能にする。
【0067】
要するに、好ましい方法は以下の工程、すなわち、
-VDF及び/又はTrFEのみを含有する初期混合物(他のXモノマーを含まない)を、水を収容する撹拌されたオートクレーブ中に仕込む工程、
-重合温度に近い所定の温度にオートクレーブを加熱する工程、
-好ましくは少なくとも80バールであるオートクレーブ中の圧力に達し、VDF及び/又はTrFEのモノマーの水中懸濁液を形成するために、水と混合されたラジカル重合開始剤をオートクレーブ中に注入する工程、及び又は
-VDF及び/又はTrFE及びXの第2の混合物をオートクレーブ中に注入する工程、
-重合反応が開始するとすぐに、圧力を実質的に一定のレベル、好ましくは少なくとも80バールに維持するために、前記第2の混合物をオートクレーブ反応器中に連続的に注入する工程を含む。
【0068】
ラジカル重合開始剤は、特にペルオキシジカーボネートタイプの有機過酸化物であることができる。それは、一般に、全モノマー仕込み物量のキログラム当たり0.1~10グラムの量で使用される。好ましくは、使用量は0.5~5g/kgである。
【0069】
初期混合物は、有利には所望の最終ポリマーの割合に等しい割合でVDF及び/又はTrFEのみを含む。
【0070】
有利には、第2の混合物は、最初の混合物及び第2の混合物を含むオートクレーブに導入される全モノマー組成が所望の最終ポリマーの組成に等しいか、又はほぼ等しくなるように調整される組成を有する。
【0071】
初期混合物に対する第2の混合物の重量比は、好ましくは0.5~2、より好ましくは0.8~1.6である。
【0072】
初期混合物及び第2の混合物を用いるこの方法の実施はこの方法を、反応の開始段階(これは、しばしば予測不可能である)とは無関係にする。このようにして得られたポリマーは、外皮又は表皮のない粉末の形態である。
【0073】
オートクレーブ反応器内の圧力は好ましくは80~110バールであり、温度は、好ましくは40℃~60℃のレベルに維持される。
【0074】
第2の混合物は、オートクレーブに連続的に注入されてもよい。第2の混合物は、オートクレーブ中に注入される前に、例えば、一般にオートクレーブ中の圧力よりも高い圧力で、コンプレッサー又は2つの連続するコンプレッサーを使用することによって、圧縮され得る。
【0075】
合成後、ポリマーを洗浄し、乾燥させることができる。
【0076】
PFポリマーの重量Mwによる平均モル質量は、好ましくは少なくとも100000g.mol-1、好ましくは少なくとも200000g.mol-1、より好ましくは少なくとも300000g.mol-1、又は少なくとも400000g.mol-1である。平均モル質量は、反応器中の温度のような特定の方法パラメーターを改変することによって、又は移動剤を添加することによって調節することができる。
【0077】
分子量分布は溶離剤としてジメチルホルムアミド(DMF)を用いたSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)により、増加する気孔率の3つのカラムのセットを用いて評価することができる。固定相はスチレン-DVBゲルである。検出方法は屈折率の測定に基づいており、較正は、ポリスチレン標準を用いて行われる。試料をDMFに0.5g/Lで溶解し、0.45μmナイロンフィルターを通して濾過する。
【0078】
<PAポリマー>
PAポリマーはアクリルポリマーであり、すなわち、少なくとも(メタ)アクリルモノマーに由来する単位を含む。さらに、PAポリマーは、イミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビス-ウレイル及びウレイド-ピリミジル基の中から選択される少なくとも1つの会合基を含む単位を含む。この会合基を含む単位は、好ましくはそれ自体が(メタ)アクリルモノマーに由来する。
【0079】
好ましくは、PAポリマーは、少なくとも50モル%、より好ましくは少なくとも60モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも80モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%、又は少なくとも98モル%の(メタ)アクリルモノマーを含む。いくつかの実施形態では、PAポリマーの全体が(メタ)アクリルモノマーに由来する単位から構成される。
【0080】
(メタ)アクリルモノマーとは、アクリル酸又はメタクリル酸及びそれらの誘導体を意味し、特に、アルキルアクリレート及びメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート及びメタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸に由来するアミド、アクリロニトリル、グリシジルアクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0081】
いくつかの実施形態では、PAポリマーは、
-第1のモノマーに由来するA単位、
-第2のモノマーに由来し、会合基を有するB単位、
-任意選択で、少なくとも1つの第3のモノマーに由来するC単位を含む。
【0082】
第1のモノマーは、(メタ)アクリルモノマーである。第1のモノマーは、好ましくはメチルメタクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びアクリロニトリルの中から選択される。
【0083】
特に好ましい方法では、第1のモノマーはメチルメタクリレートである。
【0084】
第1のモノマーに由来するA単位は、好ましくは50~99%、より好ましくは60~97%、より好ましくは70~95%、より好ましくは80~90%のモル比でPAポリマー中に存在する。
【0085】
B単位は、少なくとも1つの会合基を有する。「会合基」とは、水素結合によって、又はパイスタッキングによって、又はイオン結合によって、又はファンデルワールス結合によって、又はハロゲン結合によって、及び有利には1~6個の水素結合によって互いに会合することができる基を意味する。本発明に従って使用される会合基は、より具体的にはイミダゾリドニル、トリアゾリル、トリアジニル、ビスレイル、ウレイド-ピリミジル基、及びそれらの組み合わせの中から選択される。イミダゾリドニル基が好ましい。
【0086】
好ましくは、第2のモノマーは(メタ)アクリルモノマーである。したがって、第2のモノマーは、より好ましくはエチルイミダゾリドンメタクリレート及びエチルイミダゾリドンメタクリルアミドの中から選択される。
【0087】
B単位は、好ましくはPAポリマー中に1~20%、より好ましくは2~15%、より好ましくは3~12%、より好ましくは5~10%のモル比で存在する。
【0088】
第3のモノマーは、好ましくは上記で定義した(メタ)アクリルモノマー、又はイタコン酸、そのエステル、アミド若しくは塩の1つ、又はスチレン若しくはその誘導体の1つ、例えば4-スチレンスルホネート、又はそれらの組み合わせでさえある(C単位がいくつかのモノマーから形成される場合)。より好ましくは、第3のモノマーは、例えばエチルアクリレートなどの(メタ)アクリルモノマーである。
【0089】
C単位は、好ましくは0~49%、より好ましくは1~30%、より好ましくは2~20%、より好ましくは5~10%のモル比でPAポリマー中に存在する。
【0090】
特定の実施形態では、PAポリマーは、モル比で、
-50~99%、より好ましくは60~97%、より好ましくは70~95%、より好ましくは80~90%のメチルメタクリレート由来の単位、
-1~20%、より好ましくは2~15%、より好ましくは3~12%、より好ましくは5~10%のエチルイミダゾリドンメタクリレート由来の単位、及び
-0~49%、より好ましくは1~30%、より好ましくは2~20%、より好ましくは5~10%のエチルアクリレート由来の単位を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、会合基はPAポリマーの重合中に導入されてもよい。したがって、PAポリマーは、第1のモノマーと、会合基を有する第2のモノマー、及び任意選択で1つ又は複数の第3のCモノマーとの共重合によって得ることができる。
【0092】
このようなPAポリマーは、クロロホルム又はテトラヒドロフランなどの溶媒中の溶液中、又は特に懸濁液中又は水性エマルジョン中などの分散媒体中のラジカル重合の既知の方法に従って調製することができる。
【0093】
好ましい実施形態では、PAポリマーは懸濁液中又は水性エマルジョン中でのラジカル重合によって得ることができる。溶液又は水性懸濁液中での重合の場合、重合は、モノマーの混合物に可溶性であるラジカル重合開始剤を使用して開始され得る。例えば、熱分解、酸化-還元反応、電磁放射線、特に紫外線によって引き起こされる分解などの異なるラジカル生成メカニズムを実施することができる。
【0094】
さらなる詳細については、WO2009/141559号、特に、
-モノマーの総重量に対して特に0.05~10重量%の含有率で使用することができる可能な開始剤の例、
-任意選択である連鎖移動剤の例(一般にモノマーの総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.5~2重量%の含有率で使用される)、
-酸化防止剤、殺生物剤及び/又は重合開始剤の活性化剤及びをはじめとする他の可能な添加剤の例(一般にモノマーの総重量に対して0.01%及び5重量%の含有率で使用される)、
-懸濁重合の場合の懸濁化剤の例(一般にモノマーを含有する分散相の総重量に対して0.05~10重量%、好ましくは0.1~5重量%の含有率で使用される)、
-懸濁化剤と組み合わせて仕様することができる塩又はpH調節剤(一般に、連続水相の全重量に対して0.05~5重量%の含有率で使用される)、
-水性エマルジョン中での重合に有用な界面活性剤又は安定剤の例(一般に、モノマーの全重量に対して0.1~10重量%の含有率で使用される)、
-重合中に使用され得る温度、圧力及び濃度の条件を参照されたい。。
【0095】
他の実施形態では、PAポリマーは、会合基を、一方では会合基を、他方ではアミノ、メルカプタン、エポキシイソシアネート、無水物、アルコール基、好ましくはアミンの中から選択される反応性基を担持する1つ以上の変性剤(前記反応性基は前記反応性官能基と共有結合を形成することができる)の反応によって、酸、無水物、アルコール、メルカプタン、アミン、エポキシ又はイソシアネート官能基、好ましくは無水物などの少なくとも1つの反応性官能基を含むB単位と同様に、A単位及び任意選択的にC単位を含む既に構成されているポリマー上にグラフトすることによって得ることができる。
【0096】
さらなる詳細については、とりわけ反応の条件、特に触媒及び添加剤の使用、異なる種の含有量、並びに改質剤の例に関して文献WO2009/141559号を再び参照されたい。
【0097】
PAポリマーは、PFポリマーと相溶性であるように選択される。これは、この2つのポリマーが少なくともPFポリマーのアモルファス相とPAポリマーのアモルファス相とが単一相のみを形成するような粘性度を示すという点で、均質な混合物を形成することを意味する。混和性は走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)又は原子間力顕微鏡(AFM)のような異なる分析方法によって確認され得、これらは不混和性の徴候である、1ミクロンより大きいサイズの特徴的領域の形態の混合物の不均一性を確認することを可能にする。不混和性はまた、2つのポリマーの混合物のガラス転移温度(Tg)測定によって確認されてもよく、その場合、混和性は、混合物について単一のTgの存在をもたらす。ポリマー及びポリマーブレンドのTgを測定する方法には、示差走査熱量測定(DSC)、体積測定又は動的機械分析(DMA)が含まれる。
【0098】
メチルメタクリレートをベースとするPAポリマーの使用は、PAポリマーがPFポリマーと相溶性であるために特に好ましい。
【0099】
PAポリマーは、好ましくは5,000g/mol~500,000g/mol、より好ましくは15,000g/mol~100,000g/mol、特に好ましくは25,000g/mol~50,000g/molの数平均分子量を有する。
【0100】
<溶媒及び添加剤>
本発明によれば、PAポリマー及びPFポリマーは溶媒に溶解される。「溶液」とは、分子レベルでの溶媒中のポリマーの均一な分散を意味する。溶液という用語は本明細書では液体ビヒクル中のポリマー粒子の懸濁液とは対照的に、及びエマルジョン又はポリマーラテックスとは対照的に使用される。
【0101】
溶媒並びにPAポリマー及びPFポリマー(及び、任意選択で、添加剤などの追加の化合物)を含む組成物は、インクとも呼ばれる。
【0102】
好ましくは、溶媒は、ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;ジメチルスルホキシド;ケトン、特にアセトン、メチルエチルケトン(又はブタン-2-オン)、メチルイソブチルケトン及びシクロペンタノン;フラン、特にテトラヒドロフラン;エステル、特に酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート;カーボネート、特にジメチルカーボネート;ホスフェート、特にトリエチルホスフェートの中から選択される。これらの化合物の混合物も使用することができる。
【0103】
組成物中のPAポリマー及びPFポリマーの合計に対するPFポリマーの質量比は特に、50~60%、又は60~70%、又は70~75%、又は75~80%、又は80~85%、又は85~90%、又は90~95%、又は95~98%、又は98~99%、又は99~99.9%であり得る。逆に、組成物中のPA及びPFポリマーの合計に対するPAポリマーの質量割合は、特に:0.1~1%、又は1~2%、又は2~5%、又は5~10%、又は10~15%、又は15~20%、又は20~25%、又は25~30%、又は30~40%、又は40~50%であり得る。
【0104】
組成物は、全組成物に対して、好ましくは0.1~60重量%、好ましくは0.5~30重量%、より好ましくは1~20重量%、より好ましくは3~15重量%のPAポリマー及びPFポリマーを(一緒に)含有する。
【0105】
インクは、任意選択で、特に表面張力調整剤、レオロジー調整剤、老化調整剤、接着性調整剤、顔料又は染料、充填剤(ナノ充填剤を含む)の中から選択される1つ又は複数の添加剤を含むことができる。好ましい添加剤は特に、インクの表面張力の共溶媒改質剤である。特に、それらは、使用される溶媒と混和性である有機化合物であり得る。例としては、ヘプタン及びシクロヘキサン、デカン又はドデカンなどの直鎖又は環状アルカンのファミリーの化合物、及びトルエン又はエチルベンゼンなどの芳香族化合物が挙げられる。
【0106】
インク組成物はまた、ポリマーの合成に使用される1つ以上の添加剤を含有することができる。
【0107】
組成物の堆積後にポリマーを架橋することが望まれる特定の実施形態において、インクは、ラジカル開始剤、反応性二重結合の観点からの二官能性分子又は多官能性分子のようなコエージェント(co-agent)、ジアミンのような塩基性架橋剤及びそれらの組み合わせの中から好ましく選択される少なくとも1つの架橋助剤添加剤を含む。
【0108】
特に、例えば2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸塩、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、それらの誘導体及びそれらの混合物の中から選択することができる光開始剤を使用することができる。
【0109】
特に、反応性二重結合に関して、二官能性又は多官能性(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーの中から選択される架橋剤を使用することが可能である。これらの二官能性又は多官能性(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーは、ジオール、トリオール又はポリオール、ポリエステル、エーテル、ポリエーテル、ポリウレタン、エポキシ、シアヌレート又はイソシアヌレートなどの、厳密なアルカン化学以外の官能基に由来する化学構造を有することができる。例えば、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールアルコキシル化ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアルコキシル化ジ(メタ)アクリレート、ドデシルジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、直鎖アルカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエトキシル化ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールエトキシル化テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンアルコキシル化トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシル化トリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシル化トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0110】
他の(好ましい)実施形態では、光開始剤又は架橋剤などの架橋助剤は、インク中に存在しない。
【0111】
添加剤の総含有率は、PAポリマー及び総PFポリマー及び添加剤に対して、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満である。
【0112】
インクは、好ましくは0.1~60重量%、好ましくは0.5~30重量%、より好ましくは1~20重量%、より好ましくは3~15重量%の不揮発性固形分を有する。
【0113】
<組成物の調製>
本発明によるインク組成物はPAポリマーを溶解し、PFポリマーを溶解し、次いでそれらを混合することによって調製することができる。PAポリマー及びPFポリマーの溶解は以下に記載されるように、同時であってもなくてもよい。
【0114】
この調製中に適用される温度は、好ましくは0~60℃、より好ましくは10~50℃、より好ましくは15~40℃、理想的には20~30℃である。いくつかの実施形態では、調製は室温で行われる。有利には、調製が適度な撹拌下で行われる。
【0115】
いくつかの実施形態ではPAポリマーが一方の側で溶媒に溶解され、PFポリマーは他方の側で同じ溶媒に溶解され、次いで、2つの溶液が混合される。使用される溶媒は、単一の化合物によって、又は互いに混和性である化合物の混合物によって形成することができる。
【0116】
他の実施形態では、PAポリマー及びPFポリマーの一方が溶媒に溶解され、次いでPAポリマー又はPFポリマーの他方がこの溶液に添加され、次いで溶解される。使用される溶媒は、単一の化合物によって、又は互いに混和性の化合物の混合物によって形成することができる。
【0117】
さらに他の実施形態では、インク組成物の溶媒が異なる組成の、互いに混和性の第1の溶媒と第2の溶媒との混合物である。PAポリマーを第1の溶媒に溶解して第1の溶液を形成し、PFポリマーを第2の溶媒に溶解して第2の溶液を形成し、次いで第1の溶液と第2の溶液とを混合して本発明のインク組成物を形成する。第1の溶媒及び第2の溶媒は、それぞれ、単一の化合物又は互いに混和性である化合物の混合物によって形成されてもよい。例えば、第1の溶媒及び第2の溶媒はそれぞれ、同じ化合物の混合物によって形成されてもよいが、第1の溶媒と第2の溶媒との間で異なる割合で形成されてもよい。
【0118】
本発明のインク組成物を形成するために添加剤を添加する必要がある場合、添加剤は、PAポリマー及びPFポリマーの溶解の前、溶解中、又は溶解後に添加することができる。
【0119】
溶媒化合物同士の混和性、又は溶媒同士の混和性は、使用される調製温度(及び好ましくは室温)で、混合後に透明で均一な溶液を得ることによって確認される。
【0120】
<組成物の使用>
インクが堆積される基板は特に、ガラス、ケイ素、石英、又はポリマー材料(特に、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエチレンナフタレート)、又は金属の表面、又はいくつかの異なる材料から構成される混合表面であることができる。
【0121】
インクの用途は、別個の手段又は連続的な手段による塗りを含んでもよい。堆積は、特に遠心分離によるコーティング(「スピンコーティング」)、噴霧又は霧化(「スプレーコーティング」)、特にバー又はフィルムプラー(puller)によるコーティング(「バーコーティング」)、スリットヘッドによるコーティング、浸漬(「ディップコーティング」)、ローラー印刷(「ロールツーロール印刷」)、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷、リソグラフィ印刷又はジェット印刷インクによって行うことができる。
【0122】
堆積後、溶媒を蒸発させる。次いで、ポリマー層は、ポリマー分子の相互拡散によって固化して連続フィルムを形成する。蒸発は、室温で、及び/又は好ましくは30~200℃、より好ましくは50~180℃、より好ましくは80~160℃の温度で加熱することによって行うことができる。層は、蒸発を容易にするために換気されてもよい。蒸発の持続時間は例えば、1分~24時間、好ましくは5分~5時間、より好ましくは10分~2時間であり得る。
【0123】
アニーリング工程は、例えばポリマーの結晶化を可能にするために、溶媒の蒸発後に実施されてもよい。アニーリングは特に、堆積層を50~200℃、好ましくは80~180℃、より好ましくは100~160℃、特に120~150℃の温度に曝すことによって実施することができる。
【0124】
このようにして形成されたフッ素化ポリマー/会合単位担持ポリマー層は、特に50nm~100μm、好ましくは200nm~50μm、より好ましくは500nm~20μmの厚さを有することができる。
【0125】
本発明の変形例によれば、架橋工程は、X線放射線、ガンマ線放射線、UV放射線などの放射線に層を曝すことによって、又はアニーリング工程が十分でない場合には熱活性化によって実施することができる。好ましくは、UV放射線が使用される。好ましくは、放射線の全部又は一部は、150~410nm、好ましくは315~410nmのスペクトル範囲の波長を有する。好ましくは、放射線は365nm及び/又は385nm及び/又は405nmの波長を含む。より好ましいのは、適用される放射線量が20J/cm未満、又はさらに10J/cm未満であることである。
【0126】
本発明によるフィルムは、電子デバイスにおける電気活性層及び/又は誘電体層として、特にPFポリマーが上記のようなP(VDF-TrFE)又はP(VDF-TrFE-CFE)又はP(VDF-TrFE-CTFE)コポリマーである場合に使用することができる。したがって、本発明によるフィルムは有利には25℃及び1kHzで8より大きい、好ましくは10より大きい、より詳細には12より大きい誘電体誘電率を有する。有利には、フィルムはまた、30mC/mより大きい、好ましくは50mC/mより大きい飽和分極を有する。
【0127】
誘電体誘電率の測定は、誘電率に比例する容量を測定することができるLCRメータSefelec LCR 819によって実施することができる。
【0128】
飽和分極は、フィルムの1mmの面積に対して、増大する振幅及び50mHzの周波数の交流電界を電極によって印加することによって得られる。試料を通過する電流は、精密電流計を介して印加される電界の関数として測定される。電流測定は、飽和分極へのアクセスを提供する。
【0129】
1つ以上の追加の層、例えば、ポリマー、半導体材料、又は金属の1つ以上の層を、それ自体既知の方法で、本発明のフィルムを備えた基板上に堆積させることができる。
【0130】
電子デバイスとは、電子回路において1つ又は複数の機能を実行することができる、単一の電子部品又は1組の電子部品のいずれかを意味する。
【0131】
特定の変形例によれば、電子デバイスは、より具体的には電磁放射線を放出、検出、又は制御することができるオプトエレクトロニクスデバイスである。
【0132】
本発明に関連する電子デバイス、又は場合によってはオプトエレクトロニクスデバイスの例は、トランジスタ(特に電界効果を有する)、チップ、バッテリ、光電池、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、センサ、アクチュエータ、変圧器、触覚デバイス、電気機械マイクロシステム、及び検出器である。
【0133】
電子デバイス及びオプトエレクトロニクスデバイスは、多くの電子装置、機器又はサブアセンブリにおいて、並びにテレビ、携帯電話、剛性又は可撓性スクリーン、薄膜光起電モジュール、照明源、エネルギーセンサ及び変換器などの多くの対象及び用途において使用され、統合される。
【0134】
あるいは、この層が電子デバイスのための保護コーティング(又はカプセル化)として、特にPFポリマーが上記のようなコポリマーP(VDF-HFP)である場合に使用され得る。このような保護コーティングは、単独で、又は他の保護フィルムと組み合わせて使用することができる。
【0135】
この場合、電子デバイスは特に、基板と、その上に支持された電子素子とを含むことができ、電子素子は、導電性材料、半導体材料、及びその他の層を含むことができる。電子素子は基板の片側にあることが好ましいが、いくつかの実施形態では基板の両側にあってもよい。層は、電子素子の全部又は一部、及び基板の全部又は一部を覆うことができる。好ましくは、層は基板の少なくとも一部及び電子素子の少なくとも一部を覆い、平坦化機能を実行する。層は基板の2つの面のうちの1つのみ(好ましくは電子素子を含む面)を全体的に又は部分的に、又は代替的に、基板の2つの面を全体的に又は部分的に覆ってもよい。
【0136】
層が電子デバイスのための保護コーティングとして使用される場合、電子デバイスは、上記と同じタイプであってもよい。
【実施例
【0137】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明する。
【0138】
[実施例1(発明)]
反応器内容物を加熱することを可能にし、任意選択的に反応器内容物を冷却する伝熱流体がその中を循環するジャケットを備え、水冷冷媒を用いて蒸気凝縮システム(還流)及び窒素散布システムも備える撹拌ガラス反応器に、80.51gのメチルエチルケトン(MEK)、核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定された80±2%のVDF由来の単位及び20±2%のTrFE由来の単位の相対モル組成の13.32gの電気活性フッ素化コポリマー、及び核磁気共鳴(NMR)分光法によって測定された85±2%のメチルメタクリレート由来の単位、7.5±1%のエチルアクリレート由来の単位、及び7.5±1%のメタクリレートエチルイミダゾリドン由来の単位(MEIO)の相対モル組成の、会合基を担持する0.35gのメタクリルコポリマーを導入する。この溶液の調製は最初に粉末の形態で添加された2つのポリマーが完全に溶解するまで、全還流下で35℃で穏やかに撹拌し、窒素スパージングしながら続ける。
【0139】
ポリマーフィルムを、上記溶液からガラス板の棒でコーティングすることによって調製する。ガラスプレートは溶媒の少なくとも部分的な蒸発を可能にするために、30分間、室温で、換気されたグリッド中に置かれる。次いで、それを、予め140℃に加熱した換気オーブンに20分間入れて、溶媒の完全な蒸発を可能にする。
【0140】
[例2(比較)]
例2では、実施例1と同じ方法で、ただしメタクリルコポリマーを省いて、インクを製造し、ポリマー層を堆積させる。
【0141】
[実施例3-特性決定]
厚さ約20μmの実施例1及び例2によるポリマー層を、以下のように試験する。
【0142】
ガラスプレート上の層の接着特性は、ASTM D3359テープ試験に従って、ERICHSEN Model 259グリッドコームを用いて評価する。
【0143】
この試験における表記は、以下の意味を有する。
- 注記0:破片のない完全に滑らかな切断エッジ。コーティングの損失はない。
- 注1:交点でのわずかな剥離、全グリッド面積にわたって5%を有意に超えないコーティング損失。
- 注2:コーティング損失は5%より有意に大きいが、総面積の15%より有意に大きくない、切断エッジに沿った、及び/又は交点での剥離。
- 注3:コーティング損失は15%を有意に超えるが、総面積の35%を有意に超えない、切断エッジ及び/又は正方形に沿った剥離。
- 注4:コーティング損失は35%を有意に超えるが、総面積の65%を有意に超えない、切断エッジ及び/又は正方形に沿った剥離。
- 注5:コーティングの損失が総面積の65%よりも有意に大きい剥離。
【0144】
膜の電気活動を、保磁力(E)、残留分極(P)、及び飽和分極(Psat)の値へのアクセスを与える膜の分極によって評価した。膜の1mmの領域に電極を通して、増大する振幅及び50mHzの周波数の交流電界を加える。試料を通過する電流を、精密電流計を介して印加される電界の関数として測定する。
【0145】
Berlincourtピエゾメーターを用いて圧電係数d33を測定することにより、添加剤の添加が圧電特性に及ぼす影響を調べることができる。
【0146】
結果を以下の表にまとめる。
【0147】
【表1】
【0148】
電気活性優先度のわずかな減少(7%未満)があるが、ガラスプレート上の接着性の非常に大幅な増加がある(「テープ試験」ではスコア2は5よりもはるかに良好である)。