(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】燃料噴射弁の製造方法
(51)【国際特許分類】
F02M 51/06 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
F02M51/06 U
F02M51/06 J
F02M51/06 A
(21)【出願番号】P 2020000663
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 守康
(72)【発明者】
【氏名】藤野 友基
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189002(JP,A)
【文献】特開2003-113753(JP,A)
【文献】特開平11-324851(JP,A)
【文献】特開2017-025925(JP,A)
【文献】特開2013-072298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M39/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射弁の製造方法であって、
長手方向(Z)を有し、燃料を噴射するための噴孔(31)が前記長手方向における一端に設けられ、前記一端側から順に、第1内側面(122)と、前記第1内側面の内径よりも大きな内径を有する第2内側面(123)と、前記第1内側面と前記第2内側面との間を接続する段差面(125)とを有する筒状のハウジング(20)内に、前記噴孔を開閉する際に前記第1内側面と前記第2内側面とに前記長手方向に沿って摺動する可動コア(50)を前記一端からの距離が予め定められた距離になるように取り付けることによって、燃料が封入されるダンパ室(26)を前記長手方向における前記段差面と前記可動コアとの間に形成する組立工程と、
前記ハウジングのうちの前記噴孔と前記段差面との間の部分が前記長手方向に沿って伸長するように前記ハウジングを塑性変形させることによって、前記ダンパ室の容積を調節する調節工程と、
を有
し、
前記組立工程では、
前記可動コアの移動に伴って前記ハウジング内を前記長手方向に沿って移動することによって前記噴孔を開閉するニードル(40)と、前記可動コアを挟んで前記噴孔とは反対側の前記ハウジング内に固定される固定コア(60)とを前記ハウジング内に取り付け、
前記可動コアを移動させる磁界を発生させるコイル(90)を前記ハウジング外に取り付け、
前記調節工程に先立って、前記コイルの発生させる磁界によって、前記固定コアよりも前記一端側の前記ハウジング内において前記可動コアを前記長手方向に沿って移動させて、前記燃料噴射弁の動的特性を取得する動作テスト工程をさらに有し、
前記調節工程では、前記動作テスト工程にて取得された前記動的特性が、前記動的特性の目標として予め定められた目標特性に近付くように、前記ダンパ室の容積を調節する、燃料噴射弁の製造方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の燃料噴射弁の製造方法であって、
前記調節工程では、ローラー(200)を用いて前記ハウジングを圧延することによって、前記ダンパ室の容積を調節する、燃料噴射弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料噴射弁の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングと可動コアとに囲まれたダンパ室を有する燃料噴射弁が記載されている。この燃料噴射弁では、可動コアの移動に伴うダンパ室内の燃料の圧力変化を用いて可動コアを減速させることによって、開弁時の可動コアと固定コアとの衝突による衝撃や閉弁時のニードルと弁座との衝突による衝撃を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した燃料噴射弁のように、ハウジングと可動コアとの間にダンパ室を設ける場合、ハウジングや可動コアを加工する際の加工誤差や、これらを組み立てる際の組立誤差が積み重なって、ダンパ室の容積に個体ごとのばらつきが生じる可能性がある。そのため、ダンパ室による衝撃低減効果に個体ごとのばらつきが生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本開示の一形態によれば、燃料噴射弁100の製造方法が提供される。この燃料噴射弁の製造方法は、長手方向(Z)を有し、燃料を噴射するための噴孔(31)が前記長手方向における一端に設けられ、前記一端側から順に、第1内側面(122)と、前記第1内側面の内径よりも大きな内径を有する第2内側面(123)と、前記第1内側面と前記第2内側面との間を接続する段差面(125)とを有する筒状のハウジング(20)内に、前記噴孔を開閉する際に前記第1内側面と前記第2内側面とに前記長手方向に沿って摺動する可動コア(50)を前記一端からの距離が予め定められた距離になるように取り付けることによって、燃料が封入されるダンパ室(26)を前記長手方向における前記段差面と前記可動コアとの間に形成する組立工程と、前記ハウジングのうちの前記噴孔と前記段差面との間の部分が前記長手方向に沿って伸長するように前記ハウジングを塑性変形させることによって、前記ダンパ室の容積を調節する調節工程と、を有する。前記組立工程では、前記可動コアの移動に伴って前記ハウジング内を前記長手方向に沿って移動することによって前記噴孔を開閉するニードル(40)と、前記可動コアを挟んで前記噴孔とは反対側の前記ハウジング内に固定される固定コア(60)とを前記ハウジング内に取り付け、前記可動コアを移動させる磁界を発生させるコイル(90)を前記ハウジング外に取り付ける。前記調節工程に先立って、前記コイルの発生させる磁界によって、前記固定コアよりも前記一端側の前記ハウジング内において前記可動コアを前記長手方向に沿って移動させて、前記燃料噴射弁の動的特性を取得する動作テスト工程をさらに有し、前記調節工程では、前記動作テスト工程にて取得された前記動的特性が、前記動的特性の目標として予め定められた目標特性に近付くように、前記ダンパ室の容積を調節する。
【0007】
この形態の燃料噴射弁の製造方法によれば、調節工程においてハウジングを塑性変形させて段差面の位置を変更することによってダンパ室の容積を個体ごとに調節できるので、ダンパ室の容積に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。そのため、ダンパ室による衝撃低減効果に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第1実施形態の燃料噴射弁の製造方法を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態の調整工程の様子を示す第1の説明図。
【
図5】第1実施形態の調整工程の様子を示す第2の説明図。
【
図6】第1実施形態の第2組立工程の様子を示す説明図。
【
図7】第2実施形態の燃料噴射弁の製造方法を示すフローチャート。
【
図8】第2実施形態の第1組立工程の様子を示す説明図。
【
図9】燃料噴射弁の動的特性を示すタイムチャート。
【
図10】第2実施形態の調整工程の様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
図1に示すように、第1実施形態における製造方法によって製造される燃料噴射弁100は、ハウジング20と、ニードル40と、可動コア50と、固定コア60と、コイル70と、第1付勢部材81と、第2付勢部材82とを備えている。
図1には、互いに直交するX,Y,Z方向に沿った矢印が表されている。他の図においても、X,Y,Z方向に沿った矢印が、適宜、表されている。
図1におけるX,Y,Z方向と、他の図におけるX,Y,Z方向とは、同じ方向を表している。燃料噴射弁100は、燃料を噴射する。本実施形態では、燃料噴射弁100は、気体燃料である水素ガスを噴射する。尚、燃料噴射弁100は、水素ガスではなく、例えば、石炭ガスやアセチレンガスやプロパンガスや天然ガス等の気体燃料を噴射してもよい。燃料噴射弁100は、気体燃料ではなく、例えば、ガソリンや軽油等の液体燃料を噴射してもよい。
【0010】
ハウジング20は、Z方向に沿った長手方向を有している。ハウジング20は、+Z方向側に向かって、噴射ノズル30と、第1筒部材21と、第2筒部材22と、第3筒部材23と、第4筒部材24と、第5筒部材25とが、この順に連接されて構成されている。噴射ノズル30および各筒部材21~25は、それぞれ、Z方向に沿った中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。噴射ノズル30の-Z方向側の端部には、燃料を噴射するための噴孔31が設けられている。噴射ノズル30の噴孔31の周縁部には、ニードル40の弁部42が接触する弁座32が設けられている。本実施形態では、噴射ノズル30と第1筒部材21との間と、第1筒部材21と第2筒部材22との間と、第2筒部材22と第3筒部材23との間と、第3筒部材23と第4筒部材24との間と、第4筒部材24と第5筒部材25との間とは、それぞれ、溶接や圧入等によって互いに固定されている。噴射ノズル30と第2筒部材22とは、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されており、かつ、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。第3筒部材23と第5筒部材25とは、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。第1筒部材21と第4筒部材24とは、非磁性材料であるオーステナイト系ステンレス鋼によって形成されている。尚、第1筒部材21は、フェライト系ステンレス鋼によって形成されてもよい。
【0011】
第5筒部材25には、燃料導入パイプ12が接続されている。本実施形態では、第5筒部材25と燃料導入パイプ12との間は、溶接によって互いに固定されている。燃料導入パイプ12は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。燃料導入パイプ12の+Z方向側の端部には、燃料を導入するための導入口14が設けられている。燃料導入パイプ12には、燃料噴射弁100に燃料を供給するための供給パイプが接続される。燃料導入パイプ12内には、フィルタ13が設けられている。フィルタ13は、導入口14から流入した燃料に混入した異物を捕集して、ハウジング20内に異物が流入することを抑制する。
【0012】
ニードル40は、ハウジング20内に、中心軸CLに沿って移動可能に配置されている。ニードル40は、軸部41と、弁部42と、拡径部43とを有している。軸部41は、中心軸CLを中心とした円柱形状を有している。弁部42は、軸部41の-Z方向側の端部に設けられている。弁部42が弁座32に接触することによって噴孔31が閉塞され、弁部42が弁座32から離れることによって噴孔31が開放される。本実施形態では、拡径部43は、軸部41の+Z方向側の端部に設けられている。拡径部43の外径は、軸部41の外径よりも大きい。拡径部43の-Z方向側の面は、可動コア50の+Z方向側の端面に接触する。軸部41と拡径部43との内部には、中心軸CLに沿って燃料が流れる燃料通路44が設けられている。燃料通路44は、拡径部43の+Z方向側の端面に開口部を有している。軸部41の側面には、燃料通路44に連通する連通孔45が設けられている。
【0013】
可動コア50は、ハウジング20内に、中心軸CLに沿って移動可能に配置されている。可動コア50は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。可動コア50の内側には軸部41が貫通しており、可動コア50の内壁面にはZ方向に沿って軸部41が摺動する。摺動とは、2つの物体同士が接触した状態で一方の物体が他方の物体の面を滑って移動することだけでなく、近接した2つの物体同士の間に流体が介在した状態で一方の物体が他方の物体の面を滑って移動することをも意味する。可動コア50は、大径部56と、小径部57とを有している。大径部56の外径は、小径部57の外径よりも大きい。大径部56の内径は、小径部57の内径と同じである。小径部57は、大径部56から-Z方向側に向かって突き出すように設けられている。大径部56の+Z方向側の端面には、拡径部43が接触する。
【0014】
可動コア50は、磁性材料によって形成された第1可動コア部材51と、第1可動コア部材51の硬度よりも高い硬度を有する第2可動コア部材52とによって構成されている。第1可動コア部材51の硬度と第2可動コア部材52の硬度とは、ビッカース硬さ試験(JIS Z 2244)によって調べることができる。可動コア50の本体部分は、第1可動コア部材51によって構成されている。可動コア50のうちの、ハウジング20に接触または摺動する部分と、ニードル40が接触または摺動する部分と、固定コア60に接触する部分とは、第2可動コア部材52によって構成されている。本実施形態では、第1可動コア部材51は、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。第2可動コア部材52は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成され、かつ、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。第1可動コア部材51と第2可動コア部材52とは、圧入や溶接等によって互いに固定されている。尚、可動コア50は、第1可動コア部材51と第2可動コア部材52とによって構成されずに、その全体が第1可動コア部材51によって構成されてもよい。
【0015】
固定コア60は、ハウジング20内の可動コア50よりも+Z方向側に固定されている。本実施形態では、固定コア60は、第4筒部材24と第5筒部材25とに溶接等によって固定されている。固定コア60は、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。固定コア60の内壁面には、ニードル40の拡径部43が摺動する。固定コア60の-Z方向側の端部には、中心軸CLに沿って移動する可動コア50が接触する。固定コア60の内側における+Z方向側の部分には、中心軸CLを中心とした円筒形状を有するアジャスティングパイプ11が圧入によって固定されている。
【0016】
固定コア60は、磁性材料によって形成された第1固定コア部材61と、第1固定コア部材61の硬度よりも高い硬度を有する第2固定コア部材62とによって構成されている。第1固定コア部材61の硬度と第2固定コア部材62の硬度とは、ビッカース硬さ試験(JIS Z 2244)によって調べることができる。第1可動コア部材51に対向する固定コア60の本体部分は、第1固定コア部材61によって構成されている。固定コア60のうちの拡径部43が摺動する部分は、第2固定コア部材62によって構成されている。固定コア60のうちの可動コア50が接触する部分は、第2固定コア部材62によって構成されている。本実施形態では、第2固定コア部材62の-Z方向側の端面は、第1固定コア部材61の-Z方向側の端面よりも-Z方向側に数十マイクロメートル突き出すように設けられている。固定コア60に可動コア50が接触する際には、第2固定コア部材62に第2可動コア部材52が接触し、第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間には隙間が設けられる。本実施形態では、第1固定コア部材61は、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。第2固定コア部材62は、金属材料であるマルテンサイト系ステンレス鋼によって形成されており、所定の硬度を有するように焼入れ処理が施されている。第1固定コア部材61と第2固定コア部材62とは、圧入によって互いに固定されている。尚、第1固定コア部材61の-Z方向側の端面と第2固定コア部材62の-Z方向側の端面とが面一に設けられて、第2可動コア部材52の+Z方向側の端面が第1可動コア部材51の+Z方向側の端面よりも+Z方向側に数十マイクロメートル突き出すように設けられてもよい。固定コア60は、第1固定コア部材61と第2固定コア部材62とによって構成されずに、その全体が第1固定コア部材61によって構成されてもよい。
【0017】
第1付勢部材81は、固定コア60の内側におけるアジャスティングパイプ11と拡径部43との間に配置されている。第1付勢部材81は、-Z方向側に向かってニードル40を付勢する。本実施形態では、第1付勢部材81は、Z方向に沿って伸縮するコイルばねによって構成されている。第1付勢部材81の+Z方向側の端部は、アジャスティングパイプ11に接触しており、第1付勢部材81の-Z方向側の端部は、拡径部43に接触している。アジャスティングパイプ11のZ方向における位置を調節することによって、第1付勢部材81がニードル40を付勢する力を調節できる。本実施形態では、第1付勢部材81がニードル40を付勢する力の方が、後述する第2付勢部材82が可動コア50を付勢する力よりも大きくなるように、アジャスティングパイプ11の位置が調節されている。
【0018】
第2付勢部材82は、第1筒部材21と小径部57との間に配置されている。第2付勢部材82は、+Z方向側に向かって可動コア50を付勢する。本実施形態では、第2付勢部材82は、Z方向に沿って伸縮するコイルばねによって構成されている。第2付勢部材82の-Z方向側の端部は、第1筒部材21に接触しており、第2付勢部材82の+Z方向側の端部は、小径部57に接触している。
【0019】
ハウジング20の外壁面には、コイル70が巻回されたボビン71が配置されている。本実施形態では、第3筒部材23の外壁面と第4筒部材24の外壁面と第5筒部材25の外壁面とに跨ってボビン71が配置されている。第5筒部材25の外壁面のうちのボビン71が配置されていない部分と、燃料導入パイプ12の外壁面の一部とは、樹脂材料によって被覆されている。第5筒部材25の側方には、第5筒部材25の外壁面から突き出すように、コネクタ15が設けられている。コネクタ15には、コイル70に電気的に接続された端子16が設けられている。本実施形態では、インサート成形によって、樹脂製のコネクタ15に金属製の端子16が設けられている。端子16には、スイッチング素子等を介して、バッテリ等の電源が電気的に接続される。
【0020】
コイル70は、電源から電流の供給を受けることによって磁界を発生させる。コイル70の発生させる磁界によって、第3筒部材23と、第1固定コア部材61と、第1可動コア部材51と、第5筒部材25とを通る磁気回路が形成される。そのため、可動コア50と固定コア60との間に磁気吸引力が発生する。コイル70の外周には、コイル70を覆うようにして筒状のホルダ17が設けられている。第5筒部材25とホルダ17との間には、環状のカバー18が設けられている。ホルダ17とカバー18とは、それぞれ、磁性材料によって形成されており、上述した磁気回路の一部を構成する。
【0021】
ハウジング20は、-Z方向側から順に、小径内側面121と、中径内側面122と、大径内側面123とを有している。本実施形態では、小径内側面121は、第1筒部材21に設けられており、中径内側面122は、第2筒部材22に設けられている。大径内側面123は、第2筒部材22と第3筒部材23と第4筒部材24と第5筒部材25とに跨がって設けられている。小径内側面121と中径内側面122と大径内側面123とは、それぞれ、中心軸CLを中心とした円筒形状を有している。中径内側面122の内径は、小径内側面121の内径よりも大きい。大径内側面123の内径は、中径内側面122の内径よりも大きい。ハウジング20内における小径内側面121と中径内側面122との間には、小径内側面121と中径内側面122とを接続する第1段差面124が設けられている。ハウジング20内における中径内側面122と大径内側面123との間には、中径内側面122と大径内側面123との間を接続する第2段差面125が設けられている。第1段差面124は、第1筒部材21の+Z方向側の端面に設けられている。第2段差面125は、第2筒部材22のZ方向における両端の間に設けられている。第1段差面124と第2段差面125とは、中心軸CLを中心とした円環形状を有している。尚、中径内側面122のことを第1内側面と呼ぶことがあり、大径内側面123のことを第2内側面と呼ぶことがあり、第2段差面125のことを段差面と呼ぶことがある。
【0022】
小径内側面121とニードル40の軸部41との間には、連通孔45から噴孔31に向かって燃料が流れる。中径内側面122には可動コア50の小径部57がZ方向に沿って摺動する。大径内側面123には固定コア60が固定されており、大径内側面123のうちの固定コア60よりも-Z方向側の部分には、可動コア50の大径部56がZ方向に沿って摺動する。第1段差面124には、第2付勢部材の-Z方向側の端部が接触している。第2段差面125は、可動コア50の大径部56の-Z方向側の面に対向する。
【0023】
ハウジング20内には、ハウジング20の大径内側面123と第2段差面125と可動コア50の小径部57の外側面と大径部56の-Z方向側の面とによって区画されたダンパ室26が設けられている。ダンパ室26内には燃料が封入される。燃料が封入されるとは、燃料が完全に封じ込められることを意味するのではなく、燃料の自由な出入りが制限される程度に燃料が封じ込められることを意味する。ダンパ室26内は、大径内側面123と大径部56との間の隙間と、中径内側面122と小径部57との間の隙間とを介してダンパ室26外に連通している。本実施形態では、大径内側面123と大径部56との間の隙間の大きさと、中径内側面122と小径部57との間の隙間の大きさとが、それぞれ、数マイクロメートルから十数マイクロメートルになるようにハウジング20と可動コア50とが設けられることによって、燃料の自由な出入りが制限されている。
【0024】
燃料噴射弁100を
図1に表された閉弁状態から
図2に表された開弁状態に切替えるための開弁動作について説明する。
図1に表されたように、閉弁状態では、弁部42が弁座32に接触しているため、噴孔31は閉塞されている。閉弁状態では、コイル70には電流が供給されていない。ニードル40は、第1付勢部材81によって-Z方向側に向かって付勢されており、可動コア50は、第2付勢部材82によって+Z方向側に向かって付勢されている。そのため、拡径部43と大径部56のうちの第2可動コア部材52によって構成された部分とが接触した状態で、ニードル40と可動コア50とは静止している。可動コア50と固定コア60との間には、開弁動作において可動コア50が移動可能なように隙間が設けられている。導入口14から流入した燃料は、燃料導入パイプ12、固定コア60の内側、燃料通路44、連通孔45の順に流れて、噴孔31に導かれる。導入口14から流入した燃料の一部は、大径内側面123と大径部56との間の隙間等を介してダンパ室26内に流入する。そのため、ダンパ室26内には燃料が充満している。
【0025】
コイル70への電流の供給が開始されることによって、可動コア50の第1可動コア部材51と固定コア60の第1固定コア部材61との間に磁気吸引力が発生して、可動コア50は、固定コア60に向かって+Z方向側に移動する。拡径部43が第2可動コア部材52に押されることによって、ニードル40は、可動コア50とともに移動する。ニードル40の移動によって、弁部42が弁座32から離れて、噴孔31からの燃料の噴射が開始される。尚、Z方向における弁部42と弁座32との距離のことをリフト量と呼ぶ。
【0026】
可動コア50の+Z方向側への移動に応じてダンパ室26の容積が拡大されることによって、ダンパ室26内の燃料の圧力は低下する。そのため、可動コア50には、ニードル40と可動コア50とを減速させる力が働く。可動コア50の第2可動コア部材52が固定コア60の第2固定コア部材62に衝突することによって、可動コア50の移動は停止される。換言すれば、固定コア60によって、+Z方向側への可動コア50の移動は規制される。ダンパ室26によって可動コア50が減速されるので、第2可動コア部材52が第2固定コア部材62に衝突する際の衝撃力は低減される。
【0027】
第2可動コア部材52が第2固定コア部材62に衝突した後、ニードル40は、可動コア50から独立して、慣性によって+Z方向側への移動を継続する。ニードル40の移動に応じて第1付勢部材81が拡径部43に押されて縮むことによって、第1付勢部材81には弾性エネルギが蓄えられる。その後、ニードル40は、第1付勢部材81に蓄えられた弾性エネルギによって、可動コア50に向かって-Z方向側に押し戻される。拡径部43が第2可動コア部材52に衝突することによって、ニードル40の移動は停止される。上述したとおり、ニードル40と可動コア50とがダンパ室26によって減速されるので、第2可動コア部材52が第2固定コア部材62に衝突する際の衝撃力は低減される。さらに、ニードル40が可動コア50とともに移動する際にニードル40と可動コア50とがダンパ室26によって減速されるので、第1付勢部材81に蓄えられる弾性エネルギは低減される。そのため、拡径部43が第2可動コア部材52に衝突する際の衝撃力は低減される。可動コア50の移動が停止された後、ダンパ室26内には、大径内側面123と大径部56との間の隙間等を介して燃料が流入する。以上で説明した一連の動作によって、燃料噴射弁100は、
図2に表された開弁状態になる。開弁状態では、リフト量に応じた所定の噴射率で噴孔31から燃料が噴射される。コイル70への電流の供給が継続されている間、燃料噴射弁100は、開弁状態に保たれる。
【0028】
燃料噴射弁100を
図2に表された開弁状態から
図1に表された閉弁状態に切替えるための閉弁動作について説明する。コイル70への電流の供給が停止されることによって、第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間の磁気吸引力が消失する。開弁状態では、第2固定コア部材62に第2可動コア部材52が接触しており、第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間には隙間が設けられているので、コイル70への電流の供給が停止されると、第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間の磁気吸引力は応答良く消失する。第1固定コア部材61と第1可動コア部材51との間の磁気吸引力が消失することによって、ニードル40は、第1付勢部材81に押されて-Z方向側に向かって移動する。大径部56のうちの第2可動コア部材52によって構成された部分が拡径部43に押されることによって、可動コア50は、ニードル40とともに-Z方向側に向かって移動する。
【0029】
可動コア50の-Z方向側への移動に応じてダンパ室26の容積が縮小されることによって、ダンパ室26内の燃料の圧力は上昇する。そのため、可動コア50には、ニードル40と可動コア50とを減速させる力が働く。ダンパ室26内の燃料の圧力が上昇すると、ダンパ室26内の燃料は、中径内側面122と小径部57との間の隙間等を介して、徐々にダンパ室26外に流出する。弁部42が弁座32に衝突することによって、ニードル40の移動は停止される。換言すれば、弁座32によって、-Z方向側へのニードル40の移動が規制される。ダンパ室26によってニードル40と可動コア50とが減速されるので、弁部42が弁座32に衝突する際の衝撃力は低減される。弁部42が弁座32に接触することによって噴孔31が閉塞されるため、噴孔31からの燃料の噴射が停止される。
【0030】
弁部42が弁座32に衝突した後、可動コア50は、ニードル40から独立して、慣性によって-Z方向側への移動を継続する。可動コア50の移動によってダンパ室26の容積がさらに縮小されるため、可動コア50には、可動コア50を減速させる力が働く。可動コア50の移動に応じて第2付勢部材82が可動コア50に押されて縮むことによって、第2付勢部材82には弾性エネルギが蓄えられる。その後、可動コア50は、第2付勢部材82に蓄えられた弾性エネルギによって、+Z方向側に向かって押し戻される。第2可動コア部材52が拡径部43に接触することによって、可動コア50の移動は停止される。上述したとおり、ニードル40と可動コア50とがダンパ室26によって減速されるので、弁部42が弁座32に衝突する際の衝撃力は低減される。さらに、ニードル40が可動コア50とともに移動する際にニードル40と可動コア50とがダンパ室26によって減速され、かつ、可動コア50がニードル40から独立して移動する際に可動コア50がダンパ室26によって減速されるので、第2付勢部材82に蓄えられる弾性エネルギは低減される。そのため、第2可動コア部材52が拡径部43に接触する際の衝撃力は低減される。以上で説明した一連の動作によって、燃料噴射弁100は、
図1に表された閉弁状態になる。閉弁状態では、噴孔31からの燃料の噴射は停止される。
【0031】
図3に示すように、本実施形態における燃料噴射弁100の製造方法は、第1組立工程と、寸法測定工程と、調整工程と、第2組立工程とを有する。まず、ステップS110の第1組立工程では、ニードル40と可動コア50と第2付勢部材82とがハウジング20内の所定の位置に取り付けられる。この際、ハウジング20の-Z方向側の端部から可動コア50までの距離が所定の距離になるように、ハウジング20内に可動コア50が取り付けられる。本実施形態では、ニードル40と可動コア50と第2付勢部材82とは、閉弁状態におけるそれぞれの位置に取り付けられる。つまり、弁部42が弁座32に接触し、かつ、第2付勢部材82に付勢されて可動コア50の大径部56がニードル40の拡径部43に接触するように、ニードル40と可動コア50と第2付勢部材82とがハウジング20内に取り付けられる。この際、弁部42が弁座32に接触した状態が保たれるように、ハウジング20の一端とニードル40の拡径部43とが冶具等によって固定されてもよい。本実施形態では、第1組立工程後のハウジング20の第2段差面125と可動コア50の大径部56との間の距離は、閉弁状態における第2段差面125と大径部56との間の距離になる。Z方向における第2段差面125と大径部56との間にはダンパ室26が形成される。
図4に表されたZ方向における第2段差面125と大径部56との間の隙間の大きさLd、換言すれば、ダンパ室高さLdが、ダンパ室高さLdの目標として予め定められた目標寸法よりも大きくなるように、ハウジング20や可動コア50等が加工され、これらが組み立てられることが好ましい。
【0032】
次に、ステップS120の寸法測定工程では、ダンパ室高さLdが測定される。例えば、可動コア50を+Z方向側から-Z方向側に押し込んで、大径部56が第2段差面125に接触して可動コア50が停止するまでの押し込み量を測定することによって、ダンパ室高さLdを測定できる。X線CT装置を用いてダンパ室高さLdが測定されてもよい。
【0033】
その後、ステップS130の調整工程において、ハウジング20のうちの噴孔31と第2段差面125との間の部分がZ方向に沿って伸長するようにハウジング20を塑性変形させることによって、ダンパ室26の容積が調節される。本実施形態では、
図4に示すように、寸法測定工程にて測定されたダンパ室高さLdが目標寸法に近付くようにハウジング20を塑性変形させることによって、ダンパ室26の容積が調節される。回転する複数のローラー200の間で第1筒部材21の外周部分が圧延されることによって、第1筒部材21が塑性変形させられる。例えば、
図5に示すように、3つの回転するローラー200A~200Cの間で第1筒部材21が圧延される。ローラー200Bおよびローラー200Cに第1筒部材21が接触するように製造中の燃料噴射弁100が配置され、ローラー200Aが第1筒部材21に接触するように移動されて、第1筒部材21の外径が所定量変化するように第1筒部材21が圧延される。ダンパ室高さLdが目標寸法に一致するように第1筒部材21のZ方向に沿った伸び量が決定され、第1筒部材21の外径の変化量とZ方向に沿った伸び量との関係を用いて第1筒部材21の外径を変化させる量が算出される。第1筒部材21の外径の変化量とZ方向に沿った伸び量との関係は、予め行われる試験によって取得できる。硬化熱処理等が施されていない第1筒部材21の硬度は、第2段差面125が設けられた第2筒部材22の硬度よりも低い。そのため、第2筒部材22をZ方向に沿って伸長させるよりも容易に、第1筒部材21をZ方向に沿って伸長させることができる。第1筒部材21をZ方向に沿って伸長させることによって、第2筒部材22と第2付勢部材82の-Z方向側の端部は、+Z方向側に移動する。可動コア50はニードル40の拡径部43によって+Z方向側への移動を規制されるので、第2段差面125が大径部56に接近して、ダンパ室高さLdが変更される。
【0034】
ステップS140の第2組立工程では、
図6に示すように、Z方向における固定コア60の第2固定コア部材62と可動コア50の第2可動コア部材52との間の隙間の大きさLlが、開弁状態における所期のリフト量に応じた大きさになるように、固定コア60が精密に圧入される。第2組立工程では、さらに、ハウジング20内の所定の位置に第1付勢部材81等が取り付けられ、ハウジング20外の所定の位置にコイル70等が取り付けられる。以上で説明した工程によって、燃料噴射弁100が製造される。尚、ステップS130の調整工程とステップS140の第2組立工程との間に、ステップS120の寸法測定工程とステップS130の調整工程とを複数回繰り返してもよい。この場合、より精密にダンパ室26の容積を調整できる。
【0035】
以上で説明した本実施形態の燃料噴射弁100の製造方法によれば、調節工程において、ハウジング20の第1筒部材21を塑性変形させてダンパ室高さLdを変更することによって、ダンパ室26の容積を個体ごとに調整できるので、ダンパ室26の容積に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。そのため、ダンパ室26による衝撃低減効果に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。特に、本実施形態では、寸法測定工程においてダンパ室高さLdを測定し、調整工程においてダンパ室高さLdが目標寸法に近付くように第1筒部材21を塑性変形させるので、簡易な方法によってダンパ室26の容積に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。
【0036】
また、本実施形態では、調節工程において、ローラー200A~200Cを用いて第1筒部材21を圧延するので、第1筒部材21を均等に塑性変形させることができる。そのため、第1筒部材21の長手方向に沿った伸び量が円周方向に沿ってばらつくことを抑制できる。
【0037】
B.第2実施形態:
図7に示すように、第2実施形態の燃料噴射弁100の製造方法は、寸法測定工程に代えて動作テスト工程を有することが第1実施形態と異なる。他の工程については、特に説明しない限り、第1実施形態と同じである。
【0038】
ステップS210の第1組立工程では、まず、第1実施形態と同じように、ニードル40と可動コア50と第2付勢部材82とがハウジング20内の所定の位置に取り付けられる。本実施形態では、さらに、
図8に示すように、固定コア60と第1付勢部材81とダミーコイル90とダミーインレット91とがハウジング20の所定の位置に取り付けられる。ダミーコイル90は、コイル70や端子16やホルダ17としての機能を有する。ダミーインレット91は、燃料導入パイプ12やアジャスティングパイプ11としての機能を有する。ダミーインレット91とハウジング20との間は、Oリング92によってシールされる。尚、ダミーコイル90のことを単にコイルと呼ぶことがある。
【0039】
ステップS220の動作テスト工程では、ダミーコイル90への電流の供給のオンオフを切り替えることによって製造中の燃料噴射弁100を試験的に開弁状態と閉弁状態との間で切り替える動作テストを実施して、燃料噴射弁100の動的特性を取得する。燃料噴射弁100の動的特性には、リフト挙動と噴射率挙動とが含まれる。リフト挙動とは、開弁動作時および閉弁動作時におけるリフト量の推移のことを意味する。噴射率挙動とは、開弁動作時および閉弁動作時における噴射率の推移のことを意味する。本実施形態では、動作テスト工程にて、燃料噴射弁100のリフト挙動を取得する。
図9には、ダミーコイル90に供給される駆動信号のオンオフの推移と、リフト挙動とが表されている。
【0040】
ステップS230の調整工程において、
図10に示すように、動作テスト工程にて取得した燃料噴射弁100の動的特性が、燃料噴射弁100の動的特性の目標として予め定められた目標特性に近付くようにダンパ室26の容積が調節される。初期状態では、ダンパ室26の容積が目標の容積よりも大きく設けられているので、ダンパ室26によるニードル40および可動コア50の減速度合いが小さい。そのため、ニードル40および可動コア50の移動速度が目標の速度よりも速い。したがって、
図9に示すリフト量の傾きが、目標の傾きよりも急峻である。本実施形態では、
図9に示した開弁動作および閉弁動作におけるリフト量の傾きが目標の傾きになるように、ダンパ室26の容積が調節される。ダンパ室26の容積は、ダンパ室高さLdが変更されることによって調節される。ダンパ室高さLdは、第1筒部材21がZ方向に伸長するようにローラー200で圧延されることによって変更される。第1筒部材21を伸ばす量は、ダンパ室26の容積変化量とリフト挙動の変化との関係を用いて算出される。予め行われる試験によってダンパ室26の容積変化量とリフト量の傾きの変化量との関係を取得できる。その後、
図9に示したリフト量が目標の量になるように、圧入された固定コア60のZ方向における位置が調節される。ローラー200による圧延と動作テストとを繰り返すことによって、開弁動作および閉弁動作におけるリフト挙動を目標の挙動に近付けることができる。
【0041】
ステップS240の第2組立工程では、ハウジング20からダミーコイル90とダミーインレット91とOリング92とが取り外されて、燃料導入パイプ12やアジャスティングパイプ11やコイル70等がハウジング20の所定の位置取り付けられる。以上で説明した工程によって、燃料噴射弁100が製造される。
【0042】
この形態の燃料噴射弁100の製造方法によれば、調節工程において、燃料噴射弁100のリフト挙動が目標の挙動になるようにダンパ室26の容積が個体ごとに調整される。そのため、ダンパ室26による衝撃低減効果に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。特に、本実施形態では、可動コア50の大径部56とハウジング20の大径内側面123との間の隙間の大きさや、可動コア50の小径部57とハウジング20の中径内側面122との間の隙間の大きさに個体ごとのばらつきが生じた場合であっても、ダンパ室26による衝撃低減効果に個体ごとのばらつきが生じることを抑制できる。
【0043】
C.他の実施形態:
(C-1)上述した各実施形態の燃料噴射弁100の製造方法では、ハウジング20の第1筒部材21を塑性変形させることによって、ダンパ室26の容積が調節されている。これに対して、第2筒部材22のうちの第2段差面125よりも-Z方向側の部分を塑性変形させることによって、ダンパ室26の容積が調節されてもよい。
【0044】
(C-2)上述した各実施形態の燃料噴射弁100の製造方法では、ローラー200による圧延によってハウジング20を塑性変形させている。これに対して、ローラー200による圧延ではなく、他の方法によってハウジング20を塑性変形させてもよい。
【0045】
(C-3)上述した第2実施形態の燃料噴射弁100の製造方法では、ステップS220の動作テスト工程において、燃料噴射弁100のリフト挙動が取得され、ステップS230の調整工程において、燃料噴射弁100のリフト挙動が目標の挙動に近付くようにダンパ室26の容積が調節される。これに対して、ステップS220の動作テスト工程において、燃料噴射弁100の噴射率挙動が取得され、ステップS230の調整工程において、燃料噴射弁100の噴射率挙動が目標の挙動に近付くようにダンパ室26の容積が調節されてもよい。
【0046】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
11…アジャスティングパイプ、12…燃料導入パイプ、13…フィルタ、14…導入口、15…コネクタ、16…端子、17…ホルダ、18…カバー、20…ハウジング、21…第1筒部材、22…第2筒部材、23…第3筒部材、24…第4筒部材、25…第5筒部材、26…ダンパ室、30…噴射ノズル、31…噴孔、32…弁座、40…ニードル、41…軸部、42…弁部、43…拡径部、44…燃料通路、45…連通孔、50…可動コア、51…第1可動コア部材、52…第2可動コア部材、56…大径部、57…小径部、60…固定コア、61…第1固定コア部材、62…第2固定コア部材、70…コイル、71…ボビン、81…第1付勢部材、82…第2付勢部材、90…ダミーコイル、91…ダミーインレット、92…Oリング、100…燃料噴射弁、121…小径内側面、122…中径内側面、123…大径内側面、124…第1段差面、125…第2段差面、200…ローラー