(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】情報伝送装置、通報表示システム及び通報表示方法
(51)【国際特許分類】
H04N 21/488 20110101AFI20231031BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20231031BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04N21/488
H04N21/431
G08B27/00 Z
(21)【出願番号】P 2020007433
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】今井 博之
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-092468(JP,A)
【文献】特開2019-114182(JP,A)
【文献】特開2001-258070(JP,A)
【文献】特開2017-188824(JP,A)
【文献】特開2005-167907(JP,A)
【文献】国際公開第2012/157739(WO,A1)
【文献】特開2015-186192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸別受信機により受信された通報情報に基づいてテレビジョン受像機の表示を制御する情報伝送装置において、
前記テレビジョン受像機による視聴対象に選局されたチャネルの映像を取得する選局映像取得部と、
前記戸別受信機により受信された通報情報を取得する通報情報取得部と、
前記選局映像取得部により取得された選局チャネルの映像と前記通報情報取得部により取得された通報情報とを含む合成映像を生成して前記テレビジョン受像機に出力する表示制御部とを備え
、
更に、前記テレビジョン受像機に対して送信された赤外線リモコン信号を受光する赤外線受光部を一体的に備え、又はケーブルにより接続可能に備え、
前記選局映像取得部として、前記赤外線受光部により受信された赤外線リモコン信号が示す選局チャネルの映像を受像するチューナ部を備えることを特徴とする情報伝送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報伝送装置において、
前記通報情報には、通報の緊急性を表すフラグが付されており、
前記情報伝送装置は、前記テレビジョン受像機の表示切り替えを、緊急性ありのフラグが付された通報情報が受信された際にのみ行うか、緊急性なしのフラグが付された通報情報が受信された際にも行うかについて利用者が変更可能な第1の設定値を記憶しており、
前記戸別受信機により前記通報情報が受信された際に、前記表示制御部は、前記第1の設定値に従って、前記テレビジョン受像機の表示切り替えを制御する制御信号を生成して前記テレビジョン受像機に出力することを特徴とする情報伝送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の情報伝送装置において、
前記情報伝送装置は、前記選局チャネルの映像と前記通報情報を同時表示するか否かについて利用者が変更可能な第2の設定値を記憶しており、
前記戸別受信機により前記通報情報が受信された際に、前記表示制御部は、前記第2の設定値が前記通報情報を同時表示する設定の場合には、前記合成映像を前記テレビジョン受像機に出力し、前記第2の設定値が前記通報情報を同時表示しない設定の場合には、前記選局チャネルの映像又は前記通報情報のいずれか一方を前記テレビジョン受像機に出力することを特徴とする情報伝送装置。
【請求項4】
戸別受信機により受信された通報情報を情報伝送装置の制御の下でテレビジョン受像機に表示させる通報表示システムにおいて、
前記情報伝送装置は、
前記テレビジョン受像機に対して送信された赤外線リモコン信号を受光する赤外線受光部を一体的に備え、又はケーブルにより接続可能に備えると共に、前記赤外線受光部により受信された赤外線リモコン信号が示す選局チャネルの映像を受像するチューナ部を備えており、前記戸別受信機により前記通報情報が受信された際に、
前記チューナ部により取得された選局チャネルの映像と前記通報情報とを含む合成映像を生成して前記テレビジョン受像機に出力し、
前記テレビジョン受像機は、前記情報伝送装置から入力された前記合成映像を表示することを特徴とする通報表示システム。
【請求項5】
戸別受信機により受信された通報情報を情報伝送装置の制御の下でテレビジョン受像機に表示させる通報表示方法において、
前記情報伝送装置が、
前記テレビジョン受像機に対して送信された赤外線リモコン信号を受光する赤外線受光部を一体的に備え、又はケーブルにより接続可能に備えると共に、前記赤外線受光部により受信された赤外線リモコン信号が示す選局チャネルの映像を受像するチューナ部を備えており、前記戸別受信機により前記通報情報が受信された際に、
前記チューナ部により取得された選局チャネルの映像と前記通報情報とを含む合成映像を生成して前記テレビジョン受像機に出力し、
前記テレビジョン受像機が、前記情報伝送装置から入力された前記合成映像を表示することを特徴とする通報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン受像機を利用して通報情報を提供する通報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
台風、水害、地震等の災害から地域住民の生命や財産を守るための一手段として、防災行政無線システムの導入が進められており、災害に際して各種情報をいち早く住民に伝達したり、避難誘導を行うために運用されている。防災行政無線システムでは、市町村役場などの拠点に設置された親局装置から、その管轄地域の屋外に設置された屋外拡声子局や家屋内に設置された戸別受信機などに対して、通報信号が無線により送信される。屋外拡声子局は、通報信号を受信すると、併設された拡声装置を用いて通報を拡声出力する。また、戸別受信機は、通報信号を受信すると、戸別受信機の音声出力部から通報を音声出力する。さらに、外国人に対しても迅速かつ正確に情報を伝達できるように、システムを多言語に対応させることも行われている(特許文献1参照)。
【0003】
旧来の防災行政無線システムは、防災用の通報を屋外拡声子局や戸別受信機から音声出力して地域住民に知らせるものであった。しかしながら、音声のみによる通報では聞き漏らす場合があるため、近年では、戸別受信機で受信した通報を情報伝送装置を介してテレビジョン受像機に表示するシステムが検討されている。例えば、特許文献2には、情報伝送装置が、戸別受信機で受信された通報データに基づく映像信号をテレビジョン受像機に送信し、緊急性ありの通報の場合には更に、その映像信号の表示を指示する制御信号(電源オン、画面切り替え)をテレビジョン受像機に送信する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-337987号公報
【文献】特開2017-249074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献2に記載の発明では、緊急性の高い通報(緊急通報)があった場合には、テレビ放送を視聴中でも強制的に緊急通報の表示に切り替わってしまい、テレビ放送の視聴が阻害されてしまうため、更なる工夫が求められていた。
また、緊急性の低い通報(通常通報)があった場合には、利用者がテレビジョン受像機を自主的に操作しない限り、通常通報が表示されることはなかった。このため、利用者が通常通報もテレビジョン受像機に表示させる希望していたとしても、その希望を満たすことができなかった。
【0006】
本発明は、上記のような従来の事情を鑑みて為されたものであり、テレビジョン受像機での通報の表示によるテレビ放送の視聴に対する影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では情報伝送装置を以下のように構成した。
すなわち、本発明に係る情報伝送装置は、戸別受信機により受信された通報情報に基づいてテレビジョン受像機の表示を制御する情報伝送装置であって、テレビジョン受像機による視聴対象に選局されたチャネルの映像を取得する選局映像取得部と、戸別受信機により受信された通報情報を取得する通報情報取得部と、選局映像取得部により取得された選局チャネルの映像と通報情報取得部により取得された通報情報とを含む合成映像を生成してテレビジョン受像機に出力する表示制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、選局チャネルの映像と通報情報とを含む合成映像をテレビジョン受像機に表示させることができるので、テレビジョン受像機での通報の表示によるテレビ放送の視聴に対する影響を抑えることができる。
【0009】
ここで、通報情報に対してその通報の緊急性を表すフラグが付されている場合、以下のような制御を行う構成としてもよい。すなわち、情報伝送装置は、テレビジョン受像機の表示切り替えを、緊急性ありのフラグが付された通報情報が受信された際にのみ行うか、緊急性なしのフラグが付された通報情報が受信された際にも行うかについて利用者が変更可能な第1の設定値を記憶しておき、戸別受信機により通報情報が受信された際に、表示制御部は、第1の設定値に従って、テレビジョン受像機の表示切り替えを制御する制御信号を生成してテレビジョン受像機に出力するようにしてもよい。これにより、利用者が望む場合には、緊急性なしの通報情報の受信時にも、テレビジョン受像機の表示を自動的に切り替えることが可能となる。
【0010】
また、情報伝送装置は、選局チャネルの映像と通報情報の同時表示するか否かについて利用者が変更可能な第2の設定値を記憶しておき、戸別受信機により通報情報が受信された際に、表示制御部は、第2の設定値が通報情報を同時表示する設定の場合には、合成映像をテレビジョン受像機に出力し、第2の設定値が通報情報を同時表示しない設定の場合には、選局チャネルの映像又は通報情報のいずれか一方をテレビジョン受像機に出力するようにしてもよい。これにより、テレビジョン受像機による通報情報の表示を利用者が望む形態で提供することが可能となる。
【0011】
なお、情報伝送装置は、選局チャネルの映像の取得を種々の態様にて実現することが可能である。一例として、情報伝送装置は、テレビジョン受像機に対して送信された赤外線リモコン信号を受光する赤外線受光部を一体的に備え、又はケーブルにより接続可能に備え、選局映像取得部として、赤外線受光部により受信された赤外線リモコン信号が示す選局チャネルの映像を受像するチューナ部を備える構成としてもよい。別の例として、情報伝送装置は、選局チャネルの映像を受像してその映像信号を出力する外部装置と接続され、選局映像取得部は、外部装置から出力された映像信号を取得する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、テレビジョン受像機での通報の表示によるテレビ放送の視聴に対する影響を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通報表示システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1の通報表示システムに係る情報伝送装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図1の通報表示システムに係る情報伝送装置の設定データを例示する図である。
【
図4】
図1の通報表示システムに係る情報伝送装置の処理フローを例示する図である。
【
図5】
図1の通報表示システムに係るテレビジョン受像機の画面例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る通報表示システムの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1には、本発明の一実施形態に係る通報表示システムの構成例を示してある。本システムは、市町村の自治体単位で設けられる防災行政無線システムの一種であり、親局操作卓1と、基地局2と、戸別受信機3と、情報伝送装置4と、テレビジョン受像機5とを用いて構成されている。情報伝送装置4は、防災行政無線システムで使用される装置であり、戸別受信機3の配下に接続される。
【0015】
親局操作卓1および基地局2は、市町村役場などの拠点に設置される。親局操作卓1と基地局2は、ケーブル等で通信可能に接続される。親局操作卓1は、扱者による操作に応じて、地域内の戸別受信機3を通じて出力させる通報情報を発生させる。この通報情報には、出力形式を示す情報や、通報の緊急性を表すフラグが付されている。親局操作卓1から出力された通報情報は、基地局2から無線により送信される。
【0016】
戸別受信機3、情報伝送装置4およびテレビジョン受像機5は、各施設や各家庭の屋内に設置される。情報伝送装置4は、戸別受信機3およびテレビジョン受像機5のそれぞれとケーブル等で通信可能に接続される。なお、情報伝送装置4は、本例のように戸別受信機3とは別体に設ける構成に限られず、戸別受信機3が内蔵する構成であってもよい。この場合は、情報伝送装置4を内蔵した戸別受信機3とテレビジョン受像機5とをケーブル等で接続すればよい。
【0017】
戸別受信機3は、基地局2から無線により送信された通報情報を受信した場合に、その出力形式に応じた動作を行う。すなわち、単に音声出力する形式の通報情報の場合には、自身が持つスピーカ(又はケーブル等で接続された外部スピーカ)により音声出力する。また、表示出力する形式の通報情報の場合には、通報情報をテレビジョン受像機5で表示できるように情報伝送装置4へ出力する。
【0018】
図2には、情報伝送装置4の構成例を示してある。情報伝送装置4は、データ処理部11と、設定データ記憶部12と、画面データ記憶部13と、テレビ制御部14と、赤外線受光部15と、テレビチューナ部16とを有する。
【0019】
設定データ記憶部12は、テレビジョン受像機5の制御を行う必要性などを判定するための設定データを記憶する。設定データの項目としては、
図3に示すように、表示切替条件、同時表示有無、通報情報優先度、テレビ放送優先度などがある。
【0020】
表示切替条件は、テレビジョン受像機の表示切り替えを行う条件を示すデータ項目である。本例では、緊急性ありのフラグが付された通報情報が受信された際にのみ表示切り替えを行う場合には“緊急”を設定し、緊急性なしのフラグが付された通報情報が受信された際にも表示切り替えを行う場合には“緊急または通常”を設定することが規定されている。
【0021】
同時表示有無は、テレビジョン受像機5による視聴対象に選局されたチャネル(以下、「選局チャネル」という)の映像と通報情報を同時表示するか否かを示すデータ項目である。本例では、同時表示する場合には“有”を設定し、同時表示しない場合には“無”を設定することが規定されている。
【0022】
通報情報優先度は、通報情報を優先的に表示するか否かを示すデータ項目である。本例では、通報情報を優先的に表示する場合には“1”が設定され、そうでない場合には“0”を設定することが規定されている。
【0023】
テレビ放送優先度は、選局チャネルの映像を優先的に表示するか否かを示すデータ項目である。本例では、選局チャネルの映像を優先的に表示する場合には“1”が設定され、そうでない場合には“0”を設定することが規定されている。
【0024】
これらの設定項目のうち、表示切替条件および同時表示許否は、情報伝送装置4に接続されたマウス等の入力機器を使用して、利用者が任意に設定することができる。また、通報情報優先度およびテレビ放送優先度は、データ処理部11によって自動的に決定され、設定される。
【0025】
画面データ記憶部13は、通報情報の表示画面(以下、「通報画面」という)の画像や画面レイアウトなどの画面データを記憶する。また、後述するように、データ処理部11から通報画面の画像や画面レイアウトを更新するための更新データが入力されると、その更新データに従って画面データを更新する。通報画面としては、画面全体を使用して通報情報を表示する全表示画面や、選局チャネルの映像と通報情報とを含む合成画像を表示する同時表示画面などがある。
【0026】
赤外線受光部15は、テレビジョン受像機5に対して送信された赤外線リモコン信号を受光する。テレビメーカに応じて赤外線リモコン信号のフォーマットが異なるため、テレビメーカなどを設定できるように構成されている。赤外線受光部15は、例えば、情報伝送装置4と一体に構成される。情報伝送装置4は、テレビジョン受像機5に対する赤外線リモコン信号を受光できるように、テレビジョン受像機5の赤外線受光部の近くに配置することが好ましい。なお、このような配置が難しい場合を考慮して、赤外線受光部15を情報伝送装置4にケーブル等で接続できるように構成し、テレビジョン受像機5の赤外線受光部の近くの任意の位置に赤外線受光部15を配置してもよい。
【0027】
データ処理部11は、赤外線受光部15により受光した赤外線リモコン信号が示す選局チャネルを特定し、必要に応じてテレビチューナ部16を起動し、テレビチューナ部16に選局チャネルを受信させる。つまり、テレビジョン受像機5に表示されている選局チャネルの映像及び音声と同じものをテレビチューナ部16に受信させる。
【0028】
データ処理部11は更に、戸別受信機3から入力された通報情報をテレビ制御部14に出力する。このとき、通報情報の緊急性と設定データ記憶部12に記憶された設定データとに基づいて、テレビジョン受像機5の制御を行う必要性などを判定し、テレビジョン受像機5の制御が必要な場合はその旨をテレビ制御部14に通知する。
【0029】
また、データ処理部11は、通報画面の更新データが外部から入力された場合に、その更新データを画面データ記憶部13に出力する。更新データは、例えば、親局操作卓1から送信して戸別受信機3で受信するようにしてもよく、USB(Universal Serial Bus)メモリ等を情報伝送装置4に接続して直接入力されてもよい。
【0030】
テレビ制御部14は、データ処理部11から出力される通報情報、画面データ記憶部13から出力される画面データ、テレビチューナ部16から出力される選局チャネルの映像信号や音声信号などが入力され、これらのデータに基づいて通報用の映像信号や音声信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。テレビ制御部14はまた、テレビジョン受像機5の制御が必要な旨の通知をデータ処理部11から受けた場合に、テレビジョン受像機5を制御するための制御信号を生成し、テレビジョン受像機5の外部入力端子に出力する。外部入力端子としては、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子を使用することができる。また、制御信号としては、例えば、HDMIのCEC(Consumer Electronics Control)を使用することができる。
【0031】
図4には、情報伝送装置4がテレビジョン受像機5に表示させる内容を決定する際の処理フローを例示してある。
情報伝送装置4は、戸別受信機3からの通報情報に付されたフラグを参照して、通報の緊急性を判定する(ステップS11)。緊急性ありの通報情報の場合(ステップS11;YES)は、設定データ記憶部12の通報情報優先度に“1”を設定する(ステップS12)。一方、緊急性なしの通報情報の場合(ステップS11;NO)は、設定データ記憶部12にアクセスして表示切替条件を判定する(ステップS13)。
【0032】
表示切替条件が“緊急または通常”の場合(ステップS13;YES)は、設定データ記憶部12の通報情報優先度に“1”を設定し(ステップS14)、そうでない場合、すなわち、表示切替条件が“緊急”の場合(ステップS13;NO)は、設定データ記憶部12の通報情報優先度に“0”を設定する(ステップS15)。
【0033】
次に、設定データ記憶部12にアクセスして同時表示有無を判定する(ステップS16、S19)。ここで、ステップS12又はS14にて通報情報優先度に“1”を設定したケースでは、同時表示有無が“有”の場合(ステップS16;YES)は、設定データ記憶部12のテレビ放送優先度に“1”(通報情報優先度と同じ値)を設定し(ステップS17)、そうでない場合、すなわち、同時表示有無が“無”の場合(ステップS16;NO)は、設定データ記憶部12のテレビ放送優先度に“0”(通報情報優先度より小さい値)を設定する(ステップS18)。
【0034】
また、ステップS15にて通報情報優先度に“0”を設定したケースでは、同時表示有無が“有”の場合(ステップS19;YES)は、設定データ記憶部12のテレビ放送優先度に“0”(通報情報優先度と同じ値)を設定し(ステップS20)、そうでない場合、すなわち、同時表示有無が“無”の場合(ステップS19;NO)は、設定データ記憶部12のテレビ放送優先度に“1”(通報情報優先度より大きい値)を設定する(ステップS21)。
【0035】
その後、通報情報優先度とテレビ放送優先度を比較し、比較結果に応じた動作を行う。具体的には、通報情報優先度がテレビ放送優先度よりも高い場合(ステップS22;YES)は、テレビジョン受像機5の電源オンおよび外部入力映像への表示切り替えを指示する制御信号をテレビジョン受像機5に出力するとともに、画面全体を使用して通報情報を表示する全表示画面の映像信号をテレビジョン受像機5に出力する(ステップS23)。この場合、テレビジョン受像機5の状態に関わらず、通報情報が強制的に表示されることになる。
【0036】
また、テレビ放送優先度が通報情報優先度よりも高い場合(ステップS24;YES)は、画面全体を使用して通報情報を表示する全表示画面の映像信号をテレビジョン受像機5に出力する一方で、上記の制御信号の出力は行わない(ステップS25)。この場合、テレビジョン受像機5の制御は行わないので、テレビジョン受像機5の電源がオフの場合やテレビ放送を視聴している場合などは、利用者自身がテレビジョン受像機5を操作しない限り通報情報が表示されない。
【0037】
また、通報情報優先度とテレビ放送優先度が同じ値の場合(ステップS24;NO)は、上記の制御信号をテレビジョン受像機5に出力するとともに、テレビチューナ部16を起動して選局チャネルの映像を取得し、選局チャネルの映像と通報情報とを含む合成画像の映像信号を生成してテレビジョン受像機5に出力する(ステップS26)。この場合、テレビジョン受像機5の状態に関わらず、通報情報が強制的に表示されることになるが、選局チャネルの映像も同時に表示されるので、通報情報の表示によるテレビ放送の視聴に対する影響が抑えられる。
【0038】
図5には、テレビジョン受像機5に選局チャネルの映像と通報情報を同時表示した際の画面例を示してある。同図では、ピクチャーインピクチャー方式で、選局チャネル映像(21)の一部に通報情報(22)を重ねて表示している。なお、通報情報の表示位置は任意であり、
図5のように選局チャネル映像の下部分に重ねる構成に限定されない。ただし、通報情報は、選局チャネル映像が見づらくならないような位置や大きさであることが望ましい。また、通報の緊急性に応じて位置や大きさを変化させてもよく、例えば、緊急性ありの場合には、通報情報の表示を通常のものより大きくするようにしてもよい。また、ピクチャーインピクチャー方式以外の表示形態でもよく、例えば、画面を左右2分割し、選局チャネル映像と通報情報を左右に分けて表示する態様としてもよい。また、通報の表示位置、大きさ、表示形態などを、利用者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0039】
以上のように、本例の情報伝送装置4では、戸別受信機3により通報情報が受信された場合に、テレビ制御部14が、テレビチューナ部16により受像された選局チャネルの映像と、データ処理部11を通じて戸別受信機3から取得された通報情報とを含む合成映像を生成し、テレビジョン受像機5に出力するように構成されている。したがって、テレビジョン受像機5には、利用者が視聴中の選局チャネルの映像に加えて通報情報が表示されることになるので、テレビジョン受像機での通報の表示によるテレビ放送の視聴に対する影響が抑制される。
【0040】
また、本例の情報伝送装置4は、テレビジョン受像機5の表示切り替えを、緊急性ありのフラグが付された通報情報が受信された際にのみ行うか、緊急性なしのフラグが付された通報情報が受信された際にも行うかについて利用者が変更可能な設定値(表示切替条件)を記憶しており、戸別受信機3により通報情報が受信された際に、テレビ制御部14が、この設定値(表示切替条件)に従って、テレビジョン受像機5の表示切り替えを制御する制御信号を生成してテレビジョン受像機5に出力するように構成されている。したがって、利用者が望む場合には、緊急性なしの通報情報の受信時にも、テレビジョン受像機5の表示を自動的に切り替えることができる。
【0041】
また、本例の情報伝送装置4は、選局チャネルの映像と通報情報を同時表示するか否かについて利用者が変更可能な設定値(同時表示有無)を記憶しており、戸別受信機3により通報情報が受信された際に、テレビ制御部14が、この設定値(同時表示有無)が通報情報を同時表示する設定の場合には、合成映像をテレビジョン受像機5に出力し、そうでない場合は、選局チャネルの映像又は通報情報のいずれか一方をテレビジョン受像機5に出力するように構成されている。したがって、テレビジョン受像機5による通報情報の表示を利用者が望む形態で提供することができる。
【0042】
なお、本例の情報伝送装置4は、テレビジョン受像機5に対して送信された赤外線リモコン信号を受光する赤外線受光部15を一体的に備え(又はケーブルにより接続可能に備え)、赤外線受光部15で受光した赤外線リモコン信号が示す選局チャネルの映像をテレビチューナ部16で受像する構成であるが、他の構成により実現することも可能である。
【0043】
例えば、
図6に示すように、選局チャネルの映像を受像してその映像信号を出力する外部装置6を別途設け、情報伝送装置4に外部装置6をケーブル等で接続し、外部装置6から映像信号を取得する構成としてもよい。この場合、情報伝送装置4は、赤外線受光部15やテレビチューナ部16を備えない構成であってもよい。ただし、外部装置6がテレビジョン受像機5の選局チャネルを認識できるように、外部装置6(特に赤外線受光部)をテレビジョン受像機5の近傍に配置することが好ましい。
【0044】
また、テレビジョン受像機5がテレビチューナ部を備えず、選局チャネルの映像を受像してその映像信号を出力する外部装置6’から映像信号を取得する構成の場合にも本発明を適用することが可能である。この場合、情報伝送装置4が外部装置6’の選局チャネルを認識できるように、情報伝送装置4(特に赤外線受光部15)を外部装置6’の近傍に配置することが好ましい。あるいは、外部装置’6から出力される映像信号を、情報伝送装置4とテレビジョン受像機5に分配するようにしてもよい。
【0045】
ここで、本例では、テレビチューナ部16が本発明に係る選局映像取得部に対応し、データ処理部11が本発明に係る通報情報取得部に対応し、テレビ制御部14が本発明に係る表示制御部に対応しているが、他の構成により本発明に係る各機能部を実現してもよいことは言うまでもない。
【0046】
以上、本発明について一実施形態に基づいて説明したが、本発明はここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、他の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
また、本発明は、例えば、上記の処理に関する技術的手順を含む方法や、上記の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのようなプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶する記憶媒体などとして提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、テレビジョン受像機を利用して通報情報を提供する通報表示システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1:親局操作卓、 2:基地局、 3:戸別受信機、 4:情報伝送装置、 5:テレビジョン受像機、 6:外部装置
11:データ処理部、 12:設定データ記憶部、 13:画面データ記憶部、 14:テレビ制御部、 15:赤外線受光部、 16:テレビチューナ部