(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231031BHJP
B29C 45/06 20060101ALI20231031BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/06
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2020007509
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 直彦
(72)【発明者】
【氏名】樽家 宏治
(72)【発明者】
【氏名】岡田 壮史
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-052351(JP,A)
【文献】特開2015-107657(JP,A)
【文献】特開2011-116085(JP,A)
【文献】特開2012-091354(JP,A)
【文献】特開2016-124249(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063979(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の下側金型が取り付けられるロータリーテーブルと、前記ロータリーテーブルと鉛直方向に対向して配置され、1つの上側金型が取り付けられる可動ダイプレートと、を有し、部品設置位置でインサート部品が設置された前記下側金型を、前記ロータリーテーブルを回転させて射出位置に移動させ、前記射出位置で樹脂材料と前記インサート部品とが一体化された成形品を成形する射出成形機であって、
(a)前記部品設置位置にある前記下側金型に自動機によって前記インサート部品が設置されると、前記自動機から当該インサート部品に関する部品情報を取得し、
(b)前記成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報と当該成形品に含まれる前記インサート部品に関する前記部品情報とを関連付けた成形品情報を生成する、ように構成された制御装置を有し
、
前記制御装置は、
前記部品設置位置にある前記下側金型に設置された前記インサート部品に関する前記部品情報を前記自動機から取得すると、当該部品情報を前記部品設置位置用の部品情報格納領域に格納し、
前記ロータリーテーブルが回転されて前記部品設置位置にある前記下側金型が前記射出位置に移動されると、前記部品設置位置用の部品情報格納領域に格納された前記部品情報を前記射出位置用の部品情報格納領域に格納し、
前記射出位置にある前記成形品の前記成形情報を取得するとともに、当該成形情報と前記射出位置用の部品情報格納領域に格納されている前記部品情報とを関連付けた成形品情報を生成するように構成されていることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記部品情報は、前記インサート部品のシリアルナンバー、色、材質および重量、ならびに、前記インサート部品に関する加工情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金型が取り付けられるロータリーテーブルを有し、インサート部品が配置された金型に樹脂材料を射出して成形品を成形する射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の竪型射出成形機が開示されている。特許文献1の竪型射出成形機は、ロータリーテーブルを回転させることにより、ロータリーテーブルに取り付けた2つの下側金型を1つの上側金型と対向する位置に交互に移動させて鉛直方向に型開閉を行う。この竪型射出成形機では、一方の下型金型と上側金型とを型締している間に、他方の下側金型に自動機によってインサート部品が設置される。そして、ロータリーテーブルを回転させ、インサート部品が設置された下側金型と上側金型とを型締して当該インサート部品と樹脂材料とが一体化された成形品を成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成形品に異常が検出された場合など、原因を突き止めるために、当該成形品を成形した際の成形情報を射出成形機から取得して解析を行う。そして、上述したような成形品については、インサート部品に関する部品情報を自動機から取得して、成形情報と突き合わせながら解析を行う必要がある。しかしながら、成形情報と部品情報とが、射出成形機と自動機とで別々に記録されるため、成形情報と部品情報との対応付け処理が煩雑であった。特に、上述した射出成形機では、成形情報として複数の金型についての成形情報を取得しているため、部品情報との対応付け処理がより煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、煩雑な処理を行うことなく樹脂材料とインサート部品とが一体化された成形品について解析を行うことができる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、複数の下側金型が取り付けられるロータリーテーブルと、前記ロータリーテーブルと鉛直方向に対向して配置され、1つの上側金型が取り付けられる可動ダイプレートと、を有し、部品設置位置でインサート部品が設置された前記下側金型を、前記ロータリーテーブルを回転させて射出位置に移動させ、前記射出位置で樹脂材料と前記インサート部品とが一体化された成形品を成形する射出成形機であって、(a)前記部品設置位置にある前記下側金型に自動機によって前記インサート部品が設置されると、前記自動機から当該インサート部品に関する部品情報を取得し、(b)前記成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報と当該成形品に含まれる前記インサート部品に関する前記部品情報とを関連付けた成形品情報を生成する、ように構成された制御装置を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明において、前記制御装置は、前記部品設置位置にある前記下側金型に設置された前記インサート部品に関する前記部品情報を前記自動機から取得すると、当該部品情報を前記部品設置位置用の部品情報格納領域に格納し、前記ロータリーテーブルが回転されて前記部品設置位置にある前記下側金型が前記射出位置に移動されると、前記部品設置位置用の部品情報格納領域に格納された前記部品情報を前記射出位置用の部品情報格納領域に格納し、前記射出位置にある前記成形品の前記成形情報を取得するとともに、当該成形情報と前記射出位置用の部品情報格納領域に格納されている前記部品情報とを関連付けた成形品情報を生成するように構成されていることが好ましい。
【0008】
本発明において、前記部品情報は、前記インサート部品のシリアルナンバー、色、材質および重量、ならびに、前記インサート部品に関する加工情報のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動機によって部品設置位置にある下側金型にインサート部品が設置されると、自動機からそのインサート部品に関する部品情報を取得する。そして、成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報と当該成形品に含まれるインサート部品に関する部品情報とを関連付けた成形品情報を生成する。このようにしたことから、射出成形機と自動機とから成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報とインサート部品に関する部品情報とを別々に取得して付き合わせる必要がない。そのため、煩雑な処理を行うことなく樹脂材料とインサート部品とが一体化された成形品に関する情報の解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機および自動機の正面図である。
【
図2】
図1の射出成形機および自動機の平面図である。
【
図3】
図1の射出成形機の機能ブロックおよび記憶装置を説明する図である。
【
図4】
図1の射出成形機の動作の一例を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る射出成形機について、
図1~
図4を参照して説明する。
【0012】
図1、
図2は、本発明の一実施形態に係る射出成形機および自動機の正面図および平面図である。
図3(a)は、
図1の射出成形機の機能ブロックを説明する図である。
図3(b)は、
図1の射出成形機の制御装置が有する記憶装置を説明する図である。
図4は、
図1の射出成形機の動作の一例を説明するシーケンス図である。
【0013】
本実施形態の射出成形機1は、上側金型81および下側金型82により形成されるキャビティ84に、可塑化した樹脂材料を射出充填し、冷却固化することで、樹脂材料とインサート成形用の部品(以下、「インサート部品」という)が一体化された成形品を成形する(インサート成形する)ものである。なお、本実施形態は、加熱シリンダが水平方向に沿って配置された射出成形機に本発明を適用した構成の一例を示すものであるが、加熱シリンダが鉛直方向に沿って配置された射出成形機に本発明を適用してもよい。
【0014】
射出成形機1は、
図1~
図3に示すように、上側金型81および下側金型82を型締する型締装置10と、キャビティ84に樹脂材料を射出する射出装置20と、型締装置10および射出装置20を制御する制御装置30と、を有している。射出成形機1は、例えば、6軸の多関節型ロボットからなる自動機50と連携して動作する。自動機50は、下側金型82から成形品を取り出すとともに下側金型にインサート部品Kを設置する。
【0015】
型締装置10は、ロータリーテーブル11と、ロータリーテーブル11と鉛直方向に対向して配置された可動ダイプレート12と、を有している。また、型締装置10は、ロータリーテーブル11を時計方向に所定角度ずつ間欠回転するように駆動する回転駆動機構13と、ロータリーテーブル11と可動ダイプレート12により上側金型81および下側金型82を鉛直方向に締め付けて型締力を発生させる型締駆動機構14と、を有している。
【0016】
ロータリーテーブル11の上面11aには、2つの下側金型82が180度間隔で取り付けられている。なお、3つ以上の下側金型82がロータリーテーブル11の上面11aに取り付けられていてもよい。2つの下側金型82をそれぞれ区別して説明する場合は、下側金型82A、82Bと示す。2つの下側金型82は、射出ステーションP1および成形品取出ステーションP2の2つの作業ステーションに位置づけられる。可動ダイプレート12には、上側金型81が取り付けられている。
【0017】
射出ステーションP1は、上側金型81および下側金型82を型締して可塑化した樹脂材料をキャビティ84に射出充填する射出位置である。本実施形態では、射出位置において、樹脂材料とインサート部品Kとが一体化された成形品が成形される。成形品取出ステーションP2は、射出ステーションP1を0時の位置としたときに6時の位置にあり、下側金型82から成形品を取り出す成形品取出位置である。そして、成形品取出ステーションP2は、下側金型82にインサート部品Kを設置する部品設置位置でもある。
【0018】
射出装置20は、型締装置10に対して水平方向に進退可能に配置されている。射出装置20は、加熱シリンダ21と、加熱シリンダ21に収容された図示しないスクリューと、を有している。射出装置20は、射出ステーションP1にある下側金型82(または上側金型81)に加熱シリンダ21のノズル21aをタッチさせ、スクリューを回転および進退させて可塑化した樹脂材料をキャビティ84に射出充填する。
【0019】
制御装置30は、射出成形機1全体の動作を司る。制御装置30は、マイクロコンピュータを有して構成されている。制御装置30は、型締装置10の回転駆動機構13および型締駆動機構14、ならびに、射出装置20などの各種駆動機構等の動作を制御する。制御装置30は、自動機50と連携している。
【0020】
具体的には、制御装置30は、成形動作において、
(1)ロータリーテーブル11に設置された複数の下側金型82を射出ステーションP1および成形品取出ステーションP2に移動するように回転駆動機構13を制御し、
(2)射出ステーションP1にある上側金型81および下側金型82を型締するように型締駆動機構14を制御し、
(3)型締された上側金型81および下側金型82のキャビティ84に可塑化した樹脂材料を射出充填するように射出装置20を制御する。
【0021】
また、制御装置30は、
(4)自動機50から、下側金型82へのインサート部品の設置を完了したタイミングを示す部品設置完了タイミング信号Saを受信し、
(5)自動機50に対して、インサート部品Kに関する部品情報Jkを要求する部品情報要求信号Sbを送信し、
(6)自動機50から送信される部品情報Jkを含む部品情報応答信号Scを受信し、
(7)成形品取出ステーションP2にある下側金型82から成形品を取り出すべきタイミングを示す成形品取出タイミング信号Sdを自動機50に送信する。
【0022】
また、制御装置30は、例えば、不揮発性メモリやハードディスク装置などで構成された記憶装置31を有している。記憶装置31は、第1の部品情報格納領域311と、第2の部品情報格納領域312と、成形品情報格納領域313と、を有している。
【0023】
第1の部品情報格納領域311は、射出ステーションP1にある下側金型82に設置されたインサート部品Kに関する部品情報Jkが格納される。第1の部品情報格納領域311は、射出位置用の部品情報格納領域である。第2の部品情報格納領域312は、成形品取出ステーションP2にある下側金型82に設置されたインサート部品Kに関する部品情報Jkが格納される。第2の部品情報格納領域312は、部品設置位置用の部品情報格納領域である。成形品情報格納領域313は、成形品に関する成形情報Jmおよび部品情報Jkを含む成形品情報が格納される。
【0024】
成形情報Jmは、可塑化時間、1次射出時間、サイクル時間、ヒータ温度、ならびに、スクリューの可塑化完了位置、速度(V)-圧力(P)切換位置およびクッション位置などの成形品の成形条件の実測値を含む。成形情報Jmは、各種センサーなどで測定され、制御装置30によって収集(取得)される。本実施形態において、部品情報Jkは、インサート部品Kのシリアルナンバーを含む。部品情報Jkは、インサート部品Kの色、材質または重量などを含んでいてもよい。さらに、部品情報Jkは、インサート部品に施された加工に関する加工情報を含んでいてもよい。
【0025】
また、制御装置30は、成形品情報を外部に出力するためのユニバーサルシリアルバス(USB)などの外部出力インタフェースを有している。
【0026】
次に、上述した本実施形態の射出成形機1における成形動作の一例について、
図4を参照して説明する。
【0027】
成形動作の開始直前の状態において、下側金型82Aが成形品取出ステーションP2にあり、下側金型82Bが射出ステーションP1にある。そして、射出成形機1において成形動作を開始すると、まずは自動機50が、インサート部品Kを成形品取出ステーションP2にある下側金型82Aに設置する(S110)。そして、自動機50は、射出成形機1の制御装置30に部品設置完了タイミング信号Saを送信する(S120)。
【0028】
制御装置30は、部品設置完了タイミング信号Saを受信すると、自動機50に部品情報要求信号Sbを送信する(S130)。自動機50は、部品情報要求信号Sbを受信すると、直前に下側金型82Aに設置したインサート部品Kに関する部品情報Jkを含む部品情報応答信号Scを制御装置30に送信する(S140)。この部品情報応答信号Scは、部品情報Jkとして、インサート部品Kのシリアルナンバー(SN:xxxx)を含んでいる。
【0029】
制御装置30は、部品情報応答信号Scに含まれる部品情報Jk(SN:xxxx)を第2の部品情報格納領域312に格納する(S150)。そして、制御装置30は、回転駆動機構13を制御して、ロータリーテーブル11を180度回転させる(S160)。これにより、下側金型82Aが成形品取出ステーションP2から射出ステーションP1に移動され、下側金型82Bが射出ステーションP1から成形品取出ステーションP2に移動される。
【0030】
制御装置30は、下側金型82Aが射出ステーションP1に移動されると、第2の部品情報格納領域312に格納されている部品情報Jkを、第1の部品情報格納領域311に格納する(S170)。すなわち、第2の部品情報格納領域312から第1の部品情報格納領域311に部品情報Jkをコピーする。これにより、第1の部品情報格納領域311に格納された部品情報Jkと、射出ステーションP1にある下側金型82Aに設置されたインサート部品Kとを対応させる。なお、本実施形態において、制御装置30は、センサーなどによりロータリーテーブル11の回転位置を監視し、回転駆動機構13による回転に加えて手動による回転の場合にも、ロータリーテーブル11が所定角度(たとえば90度)を超えて時計方向に回転されたことを検出すると、下側金型82Aが射出ステーションP1に移動されたものと認識して、上述のように部品情報Jkをコピーする。
【0031】
制御装置30は、下側金型82Bが成形品取出ステーションP2に移動されると、自動機50に成形品取出タイミング信号Sdを送信する(S180)。そして、制御装置30は、上側金型81および射出ステーションP1にある下側金型82Aを用いてインサート成形を行う(S190)。具体的には、制御装置30は、型締駆動機構14および射出装置20を制御して、上側金型81およびインサート部品Kが設置された下側金型82Aを型締する。そして、制御装置30は、型締された上側金型81および下側金型82のキャビティ84に可塑化した樹脂材料を射出充填して、樹脂材料とインサート部品Kとが一体化された成形品を成形する。
【0032】
また、制御装置30は、インサート成形を行う際に成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報Jmを収集し、収集した成形情報Jmと第1の部品情報格納領域311に格納されている部品情報Jk(SN:xxxx)とを関連付けて成形品情報を生成する(S200)。そして、制御装置30は、生成した成形品情報を記憶装置31の成形品情報格納領域313に格納する。なお、制御装置30は、成形品情報格納領域313への成形品情報の格納に代えて、外部出力インタフェースに接続されたパソコンやハードディスク装置などの外部機器に成形品情報を出力してもよい。
【0033】
自動機50は、成形品取出タイミング信号Sdを受信すると、成形品取出ステーションP2にある下側金型82Bから成形品を取り出す(S210)。なお、この時点では、下側金型82Bを用いた成形品の成形が行われていないため、取り出す成形品がない。そして、自動機50は、インサート部品Kを成形品取出ステーションP2にある下側金型82Bに設置し(S220)、射出成形機1の制御装置30に部品設置完了タイミング信号Saを送信する(S230)。
【0034】
制御装置30は、部品設置完了タイミング信号Saを受信すると、自動機50に部品情報要求信号Sbを送信する(S240)。自動機50は、部品情報要求信号Sbを受信すると、直前に下側金型82Bに設置したインサート部品Kに関する部品情報Jkを含む部品情報応答信号Scを制御装置30に送信する(S250)。この部品情報応答信号Scは、部品情報Jkとして、インサート部品Kのシリアルナンバー(SN:yyyy)を含んでいる。
【0035】
制御装置30は、部品情報応答信号Scに含まれる部品情報Jk(SN:yyyy)を第2の部品情報格納領域312に格納する(S260)。そして、制御装置30は、回転駆動機構13を制御して、ロータリーテーブル11を180度回転させる(S270)。これにより、下側金型82Bが成形品取出ステーションP2から射出ステーションP1に移動され、下側金型82Aが射出ステーションP1から成形品取出ステーションP2に移動される。
【0036】
制御装置30は、下側金型82Bが射出ステーションP1に移動されると、第2の部品情報格納領域312に格納されている部品情報Jkを、第1の部品情報格納領域311に格納する(S280)。これにより、第1の部品情報格納領域311に格納された部品情報Jkと、射出ステーションP1にある下側金型82Bに設置されたインサート部品Kとを対応させる。
【0037】
制御装置30は、下側金型82Aが成形品取出ステーションP2に移動されると、自動機50に成形品取出タイミング信号Sdを送信する(S290)。そして、制御装置30は、上側金型81および射出ステーションP1にある下側金型82Bを用いてインサート成形を行う(S300)。
【0038】
また、制御装置30は、成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報Jmを収集し、収集した成形情報Jmと第1の部品情報格納領域311に格納されている部品情報Jk(SN:yyyy)とを関連付けて成形品情報を生成する(S310)。そして、制御装置30は、生成した成形品情報を記憶装置31の成形品情報格納領域313に格納する。
【0039】
自動機50は、成形品取出タイミング信号Sdを受信すると、成形品取出ステーションP2にある下側金型82Aから成形品を取り出す(S320)。そして、これ以降は、上記S110~S320を繰り返し実行する。
【0040】
そして、制御装置30は、射出成形機1の図示しない操作部に成形品情報の出力を要求する操作が入力されると、外部インタフェースに接続された外部機器に成形品情報を出力する。
【0041】
以上より、本実施形態の射出成形機1によれば、自動機50によって成形品取出ステーションP2にある下側金型82にインサート部品Kが設置されると、自動機50からそのインサート部品Kに関する部品情報Jkを取得する。そして、成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報Jmと当該成形品に含まれるインサート部品Kに関する部品情報Jkとを関連付けた成形品情報を生成する。このようにしたことから、射出成形機1と自動機50とから成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報Jmとインサート部品Kに関する部品情報Jkとを別々に取得して付き合わせる必要がない。そのため、煩雑な処理を行うことなく樹脂材料とインサート部品Kとが一体化された成形品に関する情報の解析を行うことができる
【0042】
また、射出成形機1は、成形品取出ステーションP2にある下側金型82に設置されたインサート部品Kに関する部品情報Jkを自動機50から取得すると、その部品情報を第1の部品情報格納領域311に格納する。射出成形機1は、ロータリーテーブル11が回転されて成形品取出ステーションP2にある下側金型82が射出ステーションP1に移動されると、第2の部品情報格納領域312に格納された部品情報Jkを第1の部品情報格納領域311に格納する。そして、射出成形機1は、射出ステーションP1において成形品を成形する成形条件の実測値である成形情報Jmを取得するとともに、その成形情報Jmと第1の部品情報格納領域311に格納されている部品情報Jkとを関連付けた成形品情報を生成する。このようにしたことから、ロータリーテーブル11の回転に基づいて、インサート部品Kに関する部品情報Jkを射出ステーションP1に対応する第1の部品情報格納領域311に格納する。そのため、例えば、異常動作の確認などのために動作を停止した射出成形機1において、手動でロータリーテーブル11が回転された場合でも、成形情報Jmと部品情報Jkとを正しく関連付けることができる。
【0043】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、本発明をダイカストマシンなどの成形機に適用してもよく、前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…射出成形機
10…型締装置
11…ロータリーテーブル
11a…上面
12…可動ダイプレート
13…回転駆動機構
14…型締駆動機構
20…射出装置
21…加熱シリンダ
21a…ノズル
30…制御装置
31…記憶装置
311…第1の部品情報格納領域
312…第2の部品情報格納領域
313…成形品情報格納領域
50…自動機
81…上側金型
82、82A、82B…下側金型
84…キャビティ
K…インサート部品
Jk…部品情報
Jm…成形情報
Sa…部品設置完了タイミング信号
Sb…部品情報要求信号
Sc…部品情報応答信号
Sd…成形品取出タイミング信号