IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特許-車両の制御システム 図1
  • 特許-車両の制御システム 図2
  • 特許-車両の制御システム 図3
  • 特許-車両の制御システム 図4
  • 特許-車両の制御システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3822 20150101AFI20231031BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20231031BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20231031BHJP
   B60R 25/40 20130101ALI20231031BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
H04B1/3822
E05B49/00 K
B60R25/24
B60R25/40
H04B7/06 040
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020015031
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122104
(43)【公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 信吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 紀博
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 啓太
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151808(JP,A)
【文献】特開2019-133327(JP,A)
【文献】特開2011-042988(JP,A)
【文献】特開2007-170162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/3822
E05B 49/00
B60R 25/24
B60R 25/40
H04B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信したことに応答して電波を出力する携帯機との間で近距離無線通信を行なう車両の制御システムであって、
前記携帯機との通信可能範囲を前記車両の室外に有する車外アンテナと、
前記携帯機との通信可能範囲を前記車両の室内に有する車内アンテナと、
前記車外アンテナおよび前記車内アンテナの作動および停止を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記車両の状態が第1状態である場合に前記車内アンテナを停止して前記車外アンテナを作動させ、
前記車両の状態が第2状態である場合に前記車内アンテナおよび前記車外アンテナの双方を作動させ
前記第1状態は、前記車両に乗員が乗車していることが検出されていない状態であり、
前記第2状態は、前記車両に乗員が乗車していることが検出されている状態である、車両の制御システム。
【請求項2】
前記制御システムは、
前記車外アンテナおよび前記車内アンテナを用いた前記近距離無線通信を行なう通信回路と、
前記通信回路と前記車外アンテナとを接続する車外接続状態と、前記通信回路と前記車内アンテナとを接続する車内接続状態とのどちらかに切替可能な切替装置とを備え、
前記制御装置は、
前記車両の状態が前記第1状態である場合に、前記切替装置の状態を前記車外接続状態に固定し、
前記車両の状態が前記第2状態である場合に、前記切替装置の状態を前記車外接続状態と前記車内接続状態との間で周期的に切り替える、請求項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、携帯機との間で近距離無線通信(たとえば、NFC(Near Field Communication)の通信規格に従った通信、以下「NFC通信」ともいう)を行なう車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、NFC通信を行なう機能を有する携帯機を車両用の電子キーとして使用する技術が知られている。たとえば、特開2018-115463号公報(特許文献1)には、携帯機との通信可能範囲を車室外に有する車外アンテナと、携帯機との通信可能範囲を車室内に有する車内アンテナとを備えた車両が開示される。この車両においては、乗員が携帯機を車外アンテナあるいは車内アンテナに近づけると、携帯機は、車外アンテナあるいは車内アンテナから受信した電波から電力を得て起動し、認証情報を含む電波を出力する。携帯機から出力された電波が車外アンテナあるいは車内アンテナに受信されると、車両は、携帯機から受信した電波に含まれる認証情報に基づいて、携帯機についての認証の成否を判定する。そして、認証が成立している場合には、車両機器の動作が許容される。これにより、乗員は携帯機を車両用の電子キーとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-115463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2018-115463号公報に開示された車両においては、車外アンテナおよび車内アンテナを作動するための電力が常時必要となり、車外アンテナおよび車内アンテナで消費される電力が高くなるという問題がある。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、携帯機との間で近距離無線通信を行なう車外アンテナおよび車内アンテナを備える車両において、車外アンテナおよび車内アンテナで消費される電力を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による車両の制御システムは、電波を受信したことに応答して電波を出力する携帯機との間で近距離無線通信を行なう。この制御システムは、携帯機との通信可能範囲を車両の室外に有する車外アンテナと、携帯機との通信可能範囲を車両の室内に有する車内アンテナと、車外アンテナおよび車内アンテナの作動および停止を制御する制御装置とを備える。制御装置は、車両の状態が第1状態である場合に車内アンテナを停止して車外アンテナを作動させ、車両の状態が第2状態である場合に車内アンテナおよび車外アンテナの双方を作動させる。
【0007】
上記態様によれば、車両の状態が第2状態である場合には車内アンテナおよび車外アンテナの双方が作動されるが、車両の状態が第1状態である場合には、車外アンテナは作動され、車内アンテナは停止される。これにより、車両の状態に関わらず車内アンテナおよび車外アンテナの双方が常時作動される場合に比べて、車外アンテナおよび車内アンテナで消費される電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、携帯機との間で近距離無線通信を行なう車外アンテナおよび車内アンテナを備える車両において、車外アンテナおよび車内アンテナで消費される電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】制御システムの構成の一例を模式的に示す図である。
図2】通信装置の構成を模式的に示す図(その1)である。
図3】車両の状態と、室外アンテナおよび室内アンテナの制御状態との一例を模式的に示す図である。
図4】制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】通信装置の構成を模式的に示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0011】
図1は、本実施の形態による制御システム1の構成の一例を模式的に示す図である。本実施の形態による制御システム1は、車両Vに搭載され、車両Vの制御を実行可能に構成される。制御システム1は、携帯カードCAとの間で近距離無線通信(NFC通信)を行なうように構成される。
【0012】
携帯カードCAは、車両Vの乗員によって所持され、車両Vの制御を行うための電子キーとしての機能を備える。携帯カードCAには、NFC通信機能のうち、少なくともカードエミュレーション機能が実装される。カードエミュレーション機能は、パッシブタイプの通信機能である。なお、携帯カードCAは、カードエミュレーション機能に加えて機器間通信機能(P2P)機能が実装されたスマートフォン等によって実現されてもよい。車両Vのアンテナ(後述する室外アンテナ10aあるいは室内アンテナ10b)の通信可能範囲内に携帯カードCAが位置する場合、携帯カードCAは、車両Vのアンテナから受信した電波から電力を得て起動し、車両Vに予め登録された認証情報(IDコード情報など)を含む電波を出力する。
【0013】
車両Vは、乗降用のドア2と、携帯カードCAとの間でNFC通信を行なうための室外アンテナ10a、室内アンテナ10bおよび通信装置20と、制御装置30と、ドアロック装置40と、状態検出装置50とを備える。
【0014】
室外アンテナ10aは、車両Vのドア2に配置され、車両Vの室外に通信可能範囲(通信範囲)を有する。室内アンテナ10bは、車両Vの室内における運転席に近い位置(たとえばダッシュボード周辺の位置)に配置され、車両Vの室内に通信可能範囲を有する。なお、各アンテナ10a,10bの通信可能範囲は、たとえば、各アンテナ10a,10bから約数cm~10cm程度の狭い範囲である。
【0015】
通信装置20は、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bを用いて携帯カードCAとの間でNFC通信を行なう。通信装置20には、NFC通信機能のうち、少なくともリーダライタ機能が実装される。なお、通信装置20に、リーダライタ機能に加えて機器間通信(P2P)機能が実装されてもよい。通信装置20は、各アンテナ10a,10bが携帯カードCAから受信した電波信号に含まれるデータ(認証情報)を復調して制御装置30に出力する。
【0016】
ドアロック装置40は、制御装置30からの指令に従って、車両Vのドア2を施錠状態と解錠状態とのどちらかの状態に切替えるように構成される。
【0017】
状態検出装置50は、乗員が車両Vに乗車しているか否かを判定するための情報を検出する装置である。たとえば、状態検出装置50は、車両Vの室内を撮影するカメラであってもよいし、シートクッションに埋設された着座センサであってもよい。また、たとえば、車両Vの室内にいる乗員が所持するスマートフォンとの間でBluetooth(登録商標)による接続を行なっているか否かを判定する装置であってもよい。これらの場合、状態検出装置50による検出結果に基づいて、乗員が車両Vに乗車していることを直接的に判定することができる。
【0018】
また、状態検出装置50は、ドアロック装置40の状態(施錠状態あるいは解錠状態)を検出する装置であってもよい。この場合、状態検出装置50による検出結果に基づいて、乗員が車両Vに乗車していることを間接的に判定することができる。たとえば、ドアロック装置40の状態が施錠状態である場合に乗員が車両Vに乗車していないと判定し、ドアロック装置40の状態が解錠状態である場合に乗員が車両Vに乗員していると判定することができる。
【0019】
制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、各種信号を入出力するための入出力ポートとを含んで構成される(いずれも図示せず)。制御装置30は、通信装置20からの信号、およびメモリに格納されたプログラムなどに基づいて、ドアロック装置40などの車両Vに搭載される機器を制御する。なお、制御装置30が行なう制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
【0020】
車両Vの乗員は、車両Vの室外から携帯カードCAを室外アンテナ10aの通信可能範囲内に近づける操作(以下「車外近接操作」ともいう)を行なうことで、携帯カードCAと車両Vの通信装置20との間で室外アンテナ10aを用いたNFC通信を行なわせることができる。
【0021】
制御装置30は、上述の車外近接操作(すなわち室外アンテナ10aによるNFC通信)が検出された場合、ドアロック装置40の状態を切り替える制御を行なう。具体的には、制御装置30は、ドアロック装置40が施錠状態である状態で車外近接操作が検出された場合にはドアロック装置40を解錠状態に切り替え、ドアロック装置40が解錠状態である状態で車外近接操作が検出された場合にはドアロック装置40を施錠状態に切り替える。
【0022】
また、車両Vの乗員は、車両Vの室内で携帯カードCAを室内アンテナ10bの通信可能範囲内に近づける操作(以下「車内近接操作」ともいう)を行なうことで、携帯カードCAと車両Vの通信装置20との間で室内アンテナ10bを用いたNFC通信を行なわせることができる。
【0023】
制御装置30は、上述の車内近接操作(すなわち室内アンテナ10bによるNFC通信)が検出された場合、車両Vの走行を許容する。たとえば、制御装置30は、車内近接操作が検出された場合に、車両Vの駆動力源(エンジン、モータなど)を始動することを許容することによって車両Vの走行を許容する。
【0024】
図2は、通信装置20の構成を模式的に示す図である。通信装置20は、第1通信回路21aと、第2通信回路21bとを備える。
【0025】
第1通信回路21aは、マイコン22aとNFCIC23aとを備える。第1通信回路21aは、室外アンテナ10aに接続され、室外アンテナ10aによるNFC通信を行なう。第1通信回路21aは、制御装置30によって作動されると、携帯カードCAに電力を供給するための電波(搬送波)を室外アンテナ10aから断続的に出力させる状態(以下「発振状態」ともいう)となる。携帯カードCAが室外アンテナ10aの通信可能範囲内に位置する場合、室外アンテナ10aから出力された電波(搬送波)が携帯カードCAに受信されることによって携帯カードCAが起動し、携帯カードCAは認証情報を含む電波信号を出力する。携帯カードCAが出力した電波信号は、室外アンテナ10aに受信される。第1通信回路21aは、室外アンテナ10aが受信した電波信号に含まれるデータ(認証情報)を復調して制御装置30に出力する。
【0026】
第2通信回路21bは、マイコン22bとNFCIC23bとを備える。第2通信回路21bは、室内アンテナ10bに接続され、室内アンテナ10bによるNFC通信を行なう。第2通信回路21bは、制御装置30によって作動されると、携帯カードCAに電力を供給するための電波(搬送波)を室内アンテナ10bから断続的に出力させる状態(以下「発振状態」ともいう)となる。携帯カードCAが室内アンテナ10bの通信可能範囲内に位置する場合、室内アンテナ10bから出力された電波(搬送波)が携帯カードCAに受信されることによって携帯カードCAが起動し、携帯カードCAは認証情報を含む電波信号を出力する。携帯カードCAが出力した電波信号は、室内アンテナ10bに受信される。第2通信回路21bは、室内アンテナ10bが受信した電波信号に含まれるデータ(認証情報)を復調して制御装置30に出力する。
【0027】
図1に戻って、制御装置30は、状態検出装置50によって検出された情報に基づいて、車両Vの状態が、乗員が乗車していることが検出されていない降車状態(第1状態)であるのか、乗員が乗車していることが検出されている乗車状態(第2状態)であるのかを判定する。そして、制御装置30は、車両Vの状態の判定結果に応じて、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bの作動および停止(すなわち第1通信回路21aおよび第2通信回路21bの作動および停止)を制御する。
【0028】
図3は、車両Vの状態と、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bの制御状態との一例を模式的に示す図である。時刻t1以前のように車両Vの状態が降車状態である場合、乗員は車両Vに乗車していないと想定されるため、制御装置30は、「発振固定モード」で通信装置20を制御する。発振固定モードとは、室内アンテナ10bを停止しつつ室外アンテナ10aを作動する(すなわち第2通信回路21bを停止しつつ第1通信回路21aを作動する)ことによって、発振状態となるアンテナを室外アンテナ10aに固定するモードである。発振固定モード中においては、携帯カードCAの車外近接操作を室外アンテナ10aによって検出可能である。また、発振固定モード中においては、室内アンテナ10bが停止されるため、室内アンテナ10bの消費電力(すなわち第2通信回路21bの消費電力)を低減することができる。
【0029】
時刻t1にて車両Vの状態が降車状態から乗車状態に変化した場合、乗員は車両Vに乗車していると想定されるため、制御装置30は、通信装置20の制御モードを、発振固定モードから「発振切替モード」に変更する。発振切替モードは、室内アンテナ10bを停止しつつ室外アンテナ10aを作動する状態(すなわち第2通信回路21bを停止しつつ第1通信回路21aを作動する状態)と、室外アンテナ10aを停止しつつ室内アンテナ10bを作動する状態(すなわち第1通信回路21aを停止しつつ第2通信回路21bを作動する状態)とを、非常に短い周期(たとえば100msec程度の周期)で高速に切り替えるモードである。
【0030】
発振切替モード中においては、発振状態となるアンテナが室外アンテナ10aと室内アンテナ10bとの間で周期的に高速に切り替えられる。そのため、切替周期よりも十分に長い期間(たとえば数秒程度の期間)においては、携帯カードCAの車外近接操作を室外アンテナ10aによって検出可能であるとともに、携帯カードCAの車内近接操作を室内アンテナ10bによって検出可能である。したがって、仮に車両Vの状態が乗車状態であると判定されているにも関わらず実際には乗員が車外にいるような状況が生じたとしても、乗員は車外から室外アンテナ10aに対して携帯カードCAの車外近接操作を行なうことによって、ドアロック装置40の状態を切り替えることができる。
【0031】
また、発振切替モード中においては、瞬間的には、室外アンテナ10aおよび室外アンテナ10aのうちの一方のアンテナが停止されている。そのため、室外アンテナ10aおよび室外アンテナ10aを同時に作動させる場合に比べて、室外アンテナ10aおよび室外アンテナ10aのの消費電力を低減することができる。
【0032】
図4は、制御装置30が室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bの状態を制御する際に行なう処理手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、予め定められた条件が成立する毎(たとえば所定周期毎)に繰り返し実行される。
【0033】
制御装置30は、状態検出装置50によって検出された情報に基づいて、車両Vの状態が乗車状態(乗員が乗車していることが検出されている状態)であるか否かを判定する(ステップS10)。
【0034】
車両Vの状態が乗車状態でない場合(ステップS10においてNO)、すなわち車両Vの状態が降車状態である場合、制御装置30は、上述の「発振固定モード」で通信装置20を制御する(ステップS20)。これにより、発振状態となるアンテナが室外アンテナ10aに固定される。
【0035】
一方、車両Vの状態が乗車状態である場合(ステップS10においてYES)、制御装置30は、上述の「発振切替モード」で通信装置20を制御する(ステップS30)。これにより、発振状態となるアンテナが室外アンテナ10aと室内アンテナ10bとの間で周期的に高速に切り替えられる。
【0036】
以上のように、本実施の形態においては、車両Vの状態が降車状態である場合には、乗員が車両Vに乗車していないと想定されることに鑑み、制御装置30は、発振状態となるアンテナを室外アンテナ10aに固定する「発振固定モード」で通信装置20を制御する。発振固定モード中においては、携帯カードCAの車外近接操作が検出可能であるとともに、室内アンテナ10bの消費電力(すなわち第2通信回路21bの消費電力)を低減することができる。
【0037】
そして、車両Vの状態が乗車状態である場合には、乗員が車両Vに乗車していないと想定されることに鑑み、制御装置30は、発振状態となるアンテナを室外アンテナ10aと室内アンテナ10bとの間で高速に切り替える「発振切替モード」で通信装置20を制御する。発振切替モード中においては、携帯カードCAの車外近接操作および車内近接操作の双方を検出することができるとともに、瞬間的には室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bのうちの一方が停止されているため、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bの双方を同時に作動させる場合に比べて消費電力を低減することができる。
【0038】
なお、発振固定モード中において、室外アンテナ10a(第1通信回路21a)を常時作動させるのではなく定期的に停止するようにしてもよい。このようにすることによって、発振固定モード中における室外アンテナ10aの消費電力(第1通信回路21aの消費電力)を低減することも可能である。
【0039】
<変形例1>
上述の実施の形態においては、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bにそれぞれ対応する第1通信回路21aおよび第2通信回路21bを備える例(図2参照)について説明した。しかしながら、1つの通信回路を室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bで共用するようにしてもよい。
【0040】
図5は、本変形例1の一態様による通信装置20Aの構成を模式的に示す図である。この通信装置20Aは、通信回路21と、スイッチ(切替装置)23とを含む。
【0041】
通信回路21は、マイコン22とNFCIC23とを備える。通信回路21は、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bに共用される。具体的には、通信回路21は、スイッチ23を介して室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bのどちらかに接続され、接続中のアンテナによるNFC通信を行なう。
【0042】
スイッチ23は、室外アンテナ10aと通信回路21のNFCIC23とを接続する「車外接続状態」と、室内アンテナ10bと通信回路21のNFCIC23とを接続する「車内接続状態」とのどちらかに切替可能に構成される。スイッチ23の状態は、マイコン22からの指令によって切り替えられる。マイコン22は、制御装置30からの指令に従って、スイッチ23の状態を制御する。
【0043】
本変形例1による通信装置20Aを用いる場合には、車両Vの状態が降車状態である場合に、通信回路21を作動状態に維持しつつ、スイッチ23の状態を車外接続状態に固定することによって、上述の「発振固定モード」で通信装置20Aを制御することができる。また、車両Vの状態が乗車状態である場合には、通信回路21を作動状態に維持しつつ、スイッチ23の状態を車外接続状態と車内接続状態との間で非常に短い周期(たとえば100msec程度の周期)で高速に切り替えるようにスイッチ23をスイッチングさせることによって、上述の「発振切替モード」で通信装置20Aを制御することができる。そのため、上述の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0044】
さらに、本変形例1による通信装置20Aにおいては、室外アンテナ10aによるNFC通信と室内アンテナ10bによるNFC通信とを、1つの通信回路21で行なうことが可能となる。その結果、室外アンテナ10aおよび室内アンテナ10bにそれぞれ対応する第1通信回路21aおよび第2通信回路21bを設ける場合に比べて、通信回路の数を削減することができる。
【0045】
<変形例2>
上述の実施の形態においては室外アンテナ10aおよび室外アンテナ10aがそれぞれ1つずつ設けられる例について説明したが、室外アンテナ10aおよび室外アンテナ10aはぞれぞれ2つ以上設けられてもよい。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0047】
以上に説明した例示的な実施の形態およびその変形例は、以下の態様の具体例である。
(1) 本開示の一態様による車両の制御システムは、電波を受信したことに応答して電波を出力する携帯機との間で近距離無線通信を行なう。この制御システムは、携帯機との通信可能範囲を車両の室外に有する車外アンテナと、携帯機との通信可能範囲を車両の室内に有する車内アンテナと、車外アンテナおよび車内アンテナの作動および停止を制御する制御装置とを備える。制御装置は、車両の状態が第1状態である場合に車内アンテナを停止して車外アンテナを作動させ、車両の状態が第2状態である場合に車内アンテナおよび車外アンテナの双方を作動させる。
【0048】
上記態様によれば、車両の状態が第2状態である場合には車内アンテナおよび車外アンテナの双方が作動されるが、車両の状態が第1状態である場合には、車外アンテナは作動され、車内アンテナは停止される。これにより、車両の状態に関わらず車内アンテナおよび車外アンテナの双方が常時作動される場合に比べて、車外アンテナおよび車内アンテナで消費される電力を低減することができる。
【0049】
(2) ある態様においては、第1状態は、車両に乗員が乗車していることが検出されていない状態である。第2状態は、車両に乗員が乗車していることが検出されている状態である。
【0050】
上記態様によれば、車両に乗員が乗車していることが検出されていない場合に、車内アンテナを停止して車内アンテナの消費電力を低減することができる。また、車両に乗員が乗車していることが検出されている場合に、車内アンテナおよび車外アンテナの双方を作動させることができる。
【0051】
(3) ある態様においては、制御システムは、車外アンテナおよび車内アンテナを用いた近距離無線通信を行なう通信回路と、通信回路と車外アンテナとを接続する車外接続状態と、通信回路と車内アンテナとを接続する車内接続状態とのどちらかに切替可能な切替装置とを備える。制御装置は、車両の状態が第1状態である場合に、切替装置の状態を車外接続状態に固定する。制御装置は、車両の状態が第2状態である場合に、切替装置の状態を車外接続状態と車内接続状態との間で周期的に切り替える。
【0052】
上記態様によれば、通信回路と室外アンテナとが接続される車外接続状態と、通信回路と室内アンテナとが接続される車内接続状態とが、周期的に切り替えられる。これにより、室外アンテナによる通信と室内アンテナによる通信とを、1つの通信回路で行なうことが可能となる。そのため、室外アンテナおよび室内アンテナにそれぞれ対応する2つの通信回路を設ける場合に比べて、通信回路の数を削減することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 制御システム、2 ドア、10a 室外アンテナ、10b 室内アンテナ、20,20A 通信装置、21 通信回路、21a 第1通信回路、21b 第2通信回路、22,22a,22b マイコン、23 スイッチ、30 制御装置、40 ドアロック装置、50 状態検出装置、CA 携帯カード、V 車両。
図1
図2
図3
図4
図5